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April 10, 21
スライド概要
おいもサロン「干しいもの現状とビジネス」
2021/4/10開催
https://sweetpotatoes.jp/news/youtubelive20210410/
サツマイモの無限の魅力と可能性を日々探求|サツマイモに関するTV・ラジオ出演、雑誌・新聞取材、専門誌寄稿の実績多数|サツマイモの歴史や栽培、品種、加工や商品化まで、サツマイモに関する見識を深め、わかりやすく伝えることに情熱をそそいでいます
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもの現状とビジネス 一般社団法人さつまいもアンバサダー協会 代表理事 橋本亜友樹 1
© Sweet Potato Ambassador Association. 自己紹介 橋本亜友樹(はしもとあゆき) 1978年1月21日、兵庫県尼崎市生まれ。千葉県柏市在住。 妻と娘(小1)の三人家族。 【学歴】 2000年 神戸大学農学部 植物資源学科卒業 2002年 神戸大学大学院自然科学研究科 植物資源学修了 2015年 グロービス経営大学院大学 経営学修了(MBA取得) 【経歴】 新卒で日本ヒューレット・パッカードに入社しシステムエン ジニアとしてキャリアをスタート。その後、アビームコンサ ルティングにてITコンサルタントとして勤務した後、 2012年6 月に「ITで農業を支援する」をミッションに株式会社エーブ リッジを起業。 その後、2015年8月にさつまいもカンパニー 株式会社を設立、2019年8月に一般社団法人さつまいもアンバ サダー協会を設立し、それぞれ代表に就任。 2
© Sweet Potato Ambassador Association. 最近のさつまいも生産 3
© Sweet Potato Ambassador Association. サツマイモの生産量 令和元年度の国内生産量は748,700トンで、県別にみれば鹿児島県がダントツの生産量 をほこり、続いて茨城県、千葉県、宮崎県が続き、この4県で日本の生産量の8割を占 める。 戦後まもなくは、今よりも8倍近くの生産量(7,180,000トン)があったが、需要の減少 によって1955年から2010年までの60年間減少し続けている。2010年から2016年にかけ て微量ながら回復傾向にあったが、2017年からは再び減少傾向となっている。 2019年の都道府県別生産量 都道府県名 1955~2019年の生産量推移 生産量(トン) 割合(%) 鹿児島県 261,300 34.9 茨城県 168,100 22.5 千葉県 93,700 12.5 宮崎県 80,600 10.8 徳島県 27,300 3.6 その他都道府県 118,800 15.8 合計 748,700 ー 4
© Sweet Potato Ambassador Association. サツマイモの用途 サツマイモは生食用だけではなく、様々な用途向けに作られている。 戦後まもなくは、でん粉および飼料用が大きな割合を占めていたが、貿易自由化の影響で それらの需要が激減した。その後、平成初期の焼酎ブームによってアルコール用が占める 割合が増加したが、近年その割合には大きな変動もなく推移している。 用途別消費量推移(1955~2019年) 用途別消費量(2019年) 用途 合計 生 食 自家消費 用 市場販売 消費量(t) 割合(%) 369,800 49.4 38,600 5.2 331,200 44.2 飼料用 2,100 0.3 種子用 11,000 1.5 加工食品用 79,600 10.6 でん粉用 98,000 13.1 アルコール用 171,400 22.9 減耗・その他 16,700 2.2 合計 748,700 100.0 5
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいも基礎知識 6
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもとは 一般的には「加熱したサツマイモを干したもの」(=ドライフルーツ?) 一部には生のイモを使った生切干と言われるものもある。 「乾燥芋(かんそういも、かんそいも)」「いも切り干し」「きっぽし」「いもかち」な ど、呼び名は地域によって変わってくる。 7
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもの歴史 江戸時代文政年間の頃、現在の御前崎市にあたる地域で発祥した。 1908年に現在の茨城県ひたちなか市周辺で生産が始まり、農閑期の副業として定着した。 その後、原料のサツマイモに適した土壌だったことや、冬の乾燥した気候(海風)が生産 に適していたことから、現在は茨城県が圧倒的なシェア(8割前後)を占めている。 保存食として全国各地に製造が広まり、戦争中は携帯食としても活用された。 8
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもの製造工程 干しいもは一般的に下記のような工程で作られる。 蒸す前に皮むきをするところや、加熱方法として「煮る」または「焼く」の方法をとって いる地域(商品)もある。 蒸す 皮むき スライス 並べる 乾燥 9
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもの栄養 サツマイモ自体が栄養バランスがとれていて、機能性成分を含むなど優秀な食品である。 (準完全栄養食/健康増進作物) そのようなサツマイモを素材としている干しいもは、カロリー補給源としてだけではなく、 食物繊維やミネラル・ビタミン類が凝縮された、無添加・ノンシュガーな健康食品といえ る。 エ ネ ル ギ た 水 分 ー kcal ん ぱ く 炭 脂 水 質 化 物 質 g ナ ト リ ウ ム カ リ ウ ム カ ル シ ウ ム マ β ビ ビ グ ー タ タ ネ カ ミ ミ ロ ン ン ウ テ B B ム ン 1 2 μg mg mg シ 鉄 ビ ナ タ イ ア シ ン 酸 6 g g mg mg mg mg 277 22.2 3.1 0.6 71.9 18 980 53 45 2.1 - さつまいも/塊根/皮なし/生 126 65.6 1.2 0.2 31.9 11 480 36 24 さつまいも/塊根/皮なし/蒸し 131 65.6 1.2 0.2 31.9 11 480 36 24 さつまいも/塊根/皮なし/焼き 151 58.1 1.4 0.2 39 13 540 34 23 0.7 - さつまいも/塊根/皮つき/生 127 64.6 0.9 0.5 33.1 23 380 40 24 0.5 40 0.1 0.02 0.6 さつまいも/塊根/皮つき/蒸し 129 64.2 0.9 0.2 33.7 22 390 40 23 0.5 45 0.1 0.02 さつまいも/塊根/皮つき/天ぷら 205 52.4 1.4 6.8 38.4 36 380 51 25 0.5 58 0.11 0.04 mg 葉 B ン さつまいも/蒸し切干 g ミ mg 水 不 ビ 溶 溶 タ 性 性 ミ 食 食 ン 物 物 C 繊 繊 維 維 食 物 で ぶ 繊 ん ど 果 維 ぷ う 糖 総 ん 糖 g し 麦 ょ 芽 糖 糖 g g 量 mg μg mg g g g g g 0.19 0.08 1.6 0.41 13 9 2.4 3.5 5.9 21.8 2.6 2.2 11.5 24.4 0.6 28 0.11 0.04 0.8 0.26 49 29 0.6 1.6 2.2 24.5 0.6 0.4 2.7 0.1 0.6 29 0.11 0.04 0.8 0.27 50 29 0.6 1.7 2.3 17.5 0.5 0.4 2.6 9.2 0.12 0.06 1 0.33 47 23 1.1 2.4 3.5 13.1 0.4 0.4 4.7 15.8 0.2 49 25 0.9 1.8 2.8 24.1 0.7 0.5 0.7 0.2 54 20 1 2.8 3.8 14.5 0.6 0.4 3.1 10.3 0.7 0.2 57 21 0.9 2.2 3.1 23.6 0.6 0.5 3.1 3 0.1 5.7 ※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より 10
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもの特徴 11
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもの評価ポイント 干しいもを評価する際のポイントとして、食感・甘み・香り・色の4要素を定義した。 評価ポイント 説明 食感 「ねっとり」「軟らかい」「硬い」などがあり、近年はねっとりとした軟らかい ものが好まれる傾向にある。 食感に大きく影響するのは乾燥の工程であり、乾燥しすぎると保存性は良くなる が食感が硬くなる。乾燥が足りないと軟らかく仕上がるが、香りが弱く保存性は 悪くなる。糖含量も影響しており、糖が十分にあると、水分と結合して保水力を 高めるため、しっとりと軟らかくする効果がある。 甘み 甘みが強いものが好まれる傾向にある。主に麦芽糖、ショ糖が関与しており、こ の2つの糖で全糖含量の9割近くを占める。両方とも掘取直後のいもには少ない が、貯蔵や加工の工程で増えるため、糖のもとになるデンプンの充実した良質な 原料いもの確保、デンプンの糖への変換をうまく行う必要がある。 香り 焼きいもほど強い香りはないが、食べたときに鼻に抜けるような風味に特徴があ る。サツマイモ本来もっている香り、加熱によって生じる香り、乾燥工程で生成 する香りの組み合わせにより、独特の香りを作り出す。風味があると表現される ことが多い。 色 タマユタカが主流だったときは、べっ甲色が美味しい干しいもとされていたが、 実際には灰色のものが多く、決して食欲をそそる色ではなかった。 現在主流のべにはるかは干し上がりでもきれいな黄色を保っており、黄金色を売 りにしている商品が多い。 品種による影響が大きく、もともとの肉色やポリフェノール含量(酸化すると黒 くなる)が関与すると考えられている。 12
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもを特徴づけるもの 次に、商品として特徴づけられるポイント(=差別化ポイント)として、主に原料いもの 品種、形状、乾燥方法の3つがあげられる。以降、この3つのポイントについて深堀して いく。 品種 乾燥方法 形状 13
© Sweet Potato Ambassador Association. ①:品種 干しいもに用いられる品種の特徴として、肉質が粘質であることが求められる。 また経済的には多収であることが重要となっている。 品種 特徴 タマユタカ 長期にわたって干しいも加工用の主力品種(だった)。収量が多い。ただし、 干しいも加工時に「シロタ」と呼ばれる品質障害が発生しやすい。すっきり とした甘さが特徴。 泉13号 生育が小ぶりになりやすく収量が少ないこと、薄皮が厚いために加工がやり づらいことからあまり生産されていない。独特のコクがあり、濃黄で飴色に 仕上がる。 ほしキラリ 干しいもに適した品種として近年育成。「シロタ」がほとんど発生しない。 タマユタカに比べると収量が落ちるが泉よりは多収。苗の温度管理が難しく 生産者が少ない。後味がすっきりとしていて食べやすい。 べにはるか 糖度が非常に高く、収量もタマユタカと同等で人気の品種。ねっとりとして いるため、加工はやりづらいが、綺麗な黄色の外観と強い甘みが特徴。 シルクスイート 群馬県の種苗会社が開発した品種。焼きいも用としても人気がある。干しい もの肉色は淡黄となり、シロタの発生も少ない。 シロタ 14
© Sweet Potato Ambassador Association. ②:形状 干しいもの形状は次のような種類がある。 形状は見た目だけではなく、食べた時の食感の違いとしてあらわれてくることが多い。 形状 特徴 平干し 最も一般的な干し芋の形状。原料いもを薄くスライスしたものを乾燥させてい る。 丸干し 原料いもをそのまま(大きいものはカットして)乾燥させたもの。 平干しに比べると乾燥にかかる時間が倍ぐらいかかる。 角切り 一口サイズ 長方形にカットしている。歯ごたえがあるのが特徴。 平干しなどで形を整える際にでる切れ端を商品化。オフィスなどで手軽に食べ ることができるようになっている。 15
© Sweet Potato Ambassador Association. ③:乾燥方法 乾燥方法は、従来は天日干しが主流だったが、乾燥機の性能の向上や衛生面の問題もあり、 機械乾燥が主流となってきている。 干し方 天日干し 機械乾燥 機械乾燥 +天日干し 特徴 蒸かしたサツマイモを簀の子などに並べて自然乾燥させる。機械乾燥に比べ て風味が出る(香気成分が多い)が、天候に左右されやすいため、品質や生 産にばらつきが出やすい。仕上がりにつやがでる。 乾燥機を使用してサツマイモを乾燥させる。一定品質かつ衛生的に生産する ことができ、生産計画も立てやすい。色味は、天日干しに比べて明るく仕上 がりやすい。 カビは乾燥初期に生えやすいため、乾燥機を使用して早めに乾燥させ、乾燥 機のみだと風味が悪くなるので、風味を出すために仕上げ段階は天日で干す 方法。 16
© Sweet Potato Ambassador Association. 最近の干しいも事情 17
© Sweet Potato Ambassador Association. 国内干しいも市場について① 干しいもの販売は、様々な経路で行われているが、消費者への直接販売が総販売量の6~ 7割を占めると言われており、実態がつかみにくい。また、小規模に生産を行っている地 域においては、農林水産省の統計上に数字が上がっていないことが多い。 都道府県報告による農林水産省調べおよび財務省「日本貿易統計」から、日本国内におけ る国産品と輸入品を合わせた干しいもの総供給量は、平成25年度において1万5,732tで ある。干しいもの国内生産量の推移をみると、年度間の変動はみられるものの平成5年度 の8,185tから平成25年度の1万2,335tへと緩やかな増加傾向を示していて、近年もこ の増加傾向は続いているものと推測される。 小売販売価格をおおむね1Kgあたり3,000円とし、総供給量をもとに市場規模を推測して みると、平成25年度においては472億円程度となる。ただし、サツマイモの用途別消費 の実態が正確に把握できていない都道府県もみられるため、実際の生産量および市場規模 は上記の統計上の数字よりもやや多いと見込まれる。 18
© Sweet Potato Ambassador Association. 国内干しいも市場について② 小売サイドからの需要は増加しており、基本的には需要に対して供給が追い付いていない 状況である。理由としては、干しいもの品質の8割程度は原料となるサツマイモの品質に よると言われるが、その原料となる高品質なサツマイモの確保が難しいこと。また、製造 には非常に時間と手間がかかり、機械化が進んでいるとはいえ、簡単には増産できないこ とが挙げられる。そのため、市場としては今後も緩やかに成長していくと思われる。 需要が伸びている理由としては、健康志向の高まりから無添加の食品として見直されてお り、子供のおやつや高齢者の手軽な栄養補給食品として食べられるようになったこと、近 年、色合いや味が良い品種が育成されてこれまで食べていなかった消費者にも受け入れら れやすくなったこと、コロナ禍による巣ごもり需要が挙げられる。 19
© Sweet Potato Ambassador Association. 国内干しいも市場について③ 茨城県が主要産地となった理由としては、干しいもの製造に適した品種「タマユタカ」の 収量増大や品質安定化に地域全体としていち早く取り組んだこと、からっ風が吹くという 自然立地条件の優位性があったが、近年は「べにはるか」が急速に普及し始め、消費者の 嗜好もしっとり・ねっとり系の甘い品種に移っている。 「べにはるか」は収量・品質が安定しておりあまり生産地を選ばないこと、また乾燥機技 術の発達により、自然条件に頼らずとも一定以上の品質の干しいもが生産できるように なってきていることから、干しいもの産地の分散化や新規参入者の増加により、競争は激 化していくものと推測される。 20
© Sweet Potato Ambassador Association. 主力品種の移りかわり 原料いもの品種は、1960年頃に登場して以来、「タマユタカ」が半世紀にわたって主力 品種だったが、近年は「べにはるか」が主流となってきている。 茨城県における干しいも用サツマイモ栽培面積は、平成21年に「たまゆたか」が95%、 「泉13号」が5%ぐらいから、平成29年には 「たまゆたか」が20%、「べにはるか」が 60%、他品種( 「泉13号」等)が20%という状況となっている。 タマユタカ べにはるか 21
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもの価格 前述の通り、もともと干しいもの販売は直販が多く、近年インターネットでの販売が伸び ているため、インターネット通販(EC)サイトを中心として価格調査を実施し、干しい も加工に使用しているサツマイモの品種、形状、チャネル、事業者形態を軸にまとめた。 事業者 内容量 小売価格 グラム 形態 (g) (円) 単価 # 品種 形状 チャネル 1 タマユタカ 平干し 自店舗 法人 150 540 3.60 2 タマユタカ 平干し 自店舗 法人 180 500 2.78 3 タマユタカ 平干し 自店舗 法人 180 500 2.78 4 タマユタカ 平干し 自店舗 法人 200 590 2.95 5 タマユタカ 平干し 自店舗 法人 400 1,100 2.75 6 タマユタカ 平干し 自店舗 法人 500 1,560 3.12 7 タマユタカ 平干し 自店舗 法人 800 2,200 2.75 8 タマユタカ 平干し 自店舗 法人 1,000 2,700 2.70 9 タマユタカ 平干し 自店舗 個人 1,000 1,600 1.60 10 タマユタカ 平干し 自店舗 個人 2,000 3,100 1.55 11 タマユタカ 丸干し 自店舗 法人 200 720 3.60 12 タマユタカ 丸干し 自店舗 法人 200 600 3.00 13 タマユタカ 丸干し 卸 法人 280 650 2.32 14 タマユタカ 丸干し 自店舗 法人 450 1,300 2.89 15 タマユタカ 丸干し 自店舗 個人 1,000 1,800 1.80 16 シルクスイート 平干し 自店舗 法人 160 600 3.75 17 シルクスイート 平干し 自店舗 法人 2,000 4,000 2.00 18 シルクスイート 平干し モール 法人 2,000 4,800 2.40 19 シルクスイート 丸干し 自店舗 法人 150 600 4.00 20 シルクスイート 丸干し 自店舗 法人 320 1,300 4.06 21 べにはるか 平干し 卸 法人 100 540 5.40 22 べにはるか 平干し 自店舗 法人 150 500 3.33 23 べにはるか 平干し 自店舗 法人 160 520 3.25 24 べにはるか 平干し 卸 法人 300 1,080 3.60 25 べにはるか 平干し 自店舗 法人 500 1,560 3.12 26 べにはるか 平干し 自店舗 法人 1,000 2,700 2.70 27 べにはるか 平干し 自店舗 個人 1,000 1,800 1.80 28 べにはるか 平干し モール 法人 2,000 5,000 2.50 29 べにはるか 平干し 自店舗 個人 2,000 3,500 1.75 30 べにはるか 丸干し 自店舗 法人 150 570 3.80 31 べにはるか 丸干し 自店舗 法人 180 720 4.00 32 べにはるか 丸干し 自店舗 法人 300 1,404 4.68 33 べにはるか 丸干し 自店舗 個人 1,000 2,000 2.00 ポイントをいくつか列挙すると、 ・丸干しは平干しに比べると、概ね1~2割程度高 い価格になっている。 ・内容量が少なくするほど(小分けにするほど) グラム当たりの単価は高くなる。 ・「タマユタカ」に比べると、「べにはるか」や 「シルクスイート」は概ね2割程度高い。 ・卸やモールで販売する場合は、同じ商品でも自 店舗に対して販売先に支払う手数料分価格を高く 設定している。 ・グラム単価は個人に比べて法人の場合は1.5~2 倍の価格を設定している。法人の場合、商品に関 するこだわりや情報をホームページなどで詳しく 記載して発信していること、パッケージも実際の 商品が見やすく、ラベルにも高級感を出すなどの 工夫があることが認められる。 22
© Sweet Potato Ambassador Association. 干しいもアンケート結果 以前実施した干しいもに関する消費者アンケートの結果を一部紹介する。 干しいもは贈答品として年に数回食べることが多かったが、近年は販売チャネルの増加も あり、手軽に食べられる傾向にある。しかし、価格の高さがネックである。 干しいもを食べる頻度 干しいもは高いので そんなに買えない お歳暮など贈答品と して受け取る 23
干しいもをめぐる課題 ①干しいもに適した品種の開発 今の主力品種である「べにはるか」は焼いもにも適しており、焼きいも用途向けとの奪い 合いによって原料芋価格が上昇している。 また、「べにはるか」は窒素吸収量が多く、地力の低下や連作障害の発生を招く恐れがあ る。また、肉色が白いべにはるかの発生、風味が弱いなどの課題もある。 ②自動化促進 干しいもの製造はその大部分が機械化されておらず、手作業によって行われているため、 大量生産が難しく、人手不足や人件費高騰の影響を受けやすい。皮むきやスライス、乾燥 工程の自動化が進むことが望まれている。 ③衛生管理・品質向上 改正食品衛生法により、2021年6月1日よりHACCPが義務化されるが、小規模な家内工 業が多く、どこまで徹底されるかは不透明な部分もある。 近年、食感が軟らかいものが求められるため、保管や販売状態によってはカビが生えやす い。水分活性値を測定するなど、賞味期限を含めた品質の向上も求められる。 24
最後に 干しいも市場の拡大を図るために、次の視点からも取り組みを考えてみたい。 1.干しいもは機能性に優れた健康食品・自然食品でもあるため、単に美味しいということ だけではなく、この利点を活かした商品づくりやプロモーションを行う。 2.消費者の嗜好は様々であり、それに対応した品揃えが必要である。「べにはるか」以外 の品種も一定数のニーズはある。 3.ターゲットを明確にした商品づくりやプロモーションを行う。例えば、有色系品種(オ レンジやムラサキ)を使った栄養補給としての商品、オフィスで間食として食べるのに最 適なパッケージ等。 4.無添加やノンシュガーという点は、海外においても高評価であり、農産加工品として輸 出向けを視野に入れてみる。 25
© Sweet Potato Ambassador Association. ご清聴ありがとうございました 当協会では会員を募集しておりますので、 ホームページ等よりお問合せください。 26