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April 21, 25
スライド概要
Game Jammer working at Yasuda Women's University since April 2025. IGDA Japan board member, HEVGA individual member. 2025年より安田女子大学に移りました.
Introduction to Game Design 第27章 プレイテストによる改善 講師: 山根信二 Creative Commons Attribution 4.0 International license Creative Commons Attribution 4.0 International license .
本教材の内容 • 前回のふりかえり • Ch.25チーム開発、 Ch.26ゲームデザインドキュメント • ゲーム開発の困難さ • 今回の内容 • Ch.27: Good Games Are Created Through Playtesting • よいゲームはプレイテストによってつくられる • 本章の構成: • プレイテストとは • プレイテストのヒント: 5W1H (前回のチーム開発の話とも関連) 1
§27.1 プレイテストとは ゲーム開発にはいくつものテストがある: • フォーカスグループ (Focus Groups) ゲームのアイデアがプレイヤーに受け入れられるか • QAテスト/ 品質管理(quality assurance)テスト バグを見つけるためのテスト • ユーザビリティテスト(Usability Testing) 使いやすさのテスト • プレイテスト(Playtesting) ゲームデザインに大きくかかわる,本章のテーマ 2
§27.2 私はプレイテストが大嫌い • プレイテストが嫌いなデザイナは多い • どこの誰かわからない人のテストよりも開発者の方を信 じるべきでは?自分を信じろ! • 「素人にこのゲームが簡単にわかってたまるか!」 • そしてテストをしない言い訳を考える「まだ骨組みしか できていないんだよ」「まだテストの準備ができていな いんだよ」「テストには参加できなくなった」 • わかっていない,ひどい結果でもそれは素晴らしいこと 3
§27.3 プレイテストの質問 (Playtest Question) • そもそもプレイテストって何? • プレイテストでは調べたいことが決まっている: それは「ゲームプレイ」 • 具体的な質問を準備してプレイテストに臨むこと • (これはプロトタイピングだけでなく,科学実験の 計画とも同じ) • 本書のこれまでのレンズはプレイテストに使える • プレイテストを5つの視点で分類してみた: 「なぜこのプレイテストを行うのか?」「誰を」 「どこで」「何を」「どのように」 4
質問1. Why? 「なぜこのプレイテストを行うのか?」 • ゲーム開発はプロトタイピング • ゲームデザイナはゲームプレイ(体験)を気にする • ソフトウェアのプロトタイプではなく,ゲームによっ てプレイヤーにうまれる体験のプロトタイプに • テストする目的をはっきりさせよう • ゲームは,目指す体験を生み出しているか? 5
質問2. Who? 「誰を?」 • 開発者でテスト • 友人でテスト • 上級者ゲーマーでテスト • テッシュテスター(予備知識ゼロ) • それぞれに長所と短所がある • 先に「なぜ」がわかっていなければ、「誰を」の 質問に答えることはできない 6
質問3. Where? 「どこで?」 プレイテストをどこで行えば良いのか? • 作業場で • 実験室で • 公共の場で • 実験台の自宅で • オンラインで • それぞれに長所と短所が(略 7
質問4. What? 「何を?」 プレイテストで何を明らかにしたいのか:2つの種類 • 自分の知りたい回答 • 自分が事前に想定していなかったこと • あらかじめ仮説がなければサプライズもない • 自分が想定していなかったプレイヤー行動 • 自分では理解しているつもりになっていたが違うかも 8
質問5. How? 「どのようにして?」 • §27.7.1 プレイテストの場にいるべきか? • §27.7.2 対面で言うべきことは? • §27.7.3 どこを見るべき? • §27.7.4 テストプレイ中に収集するべき、その他の データは? • §27.7.5 テストプレイ中に話しかけてよいのか? • 発話プロトコル: 行動を変えずに思考を話す訓練 9
§27.8 テストプレイ後に収集 すべきデータは? • どうやって,どんな実験方法でテストするのか • アンケート用紙 • インタビュー • (余談) • これらの仮説+4W1H(教科書第3版では5W1H)はあら ゆる分野の実験計画で使われています • 参考文献に出てくる生体データも使うかも? 10
レンズ#103: プレイテストのレンズを てにいれた! プレイテストは、ゲームが実際に遊ばれるのを見るチャ ンスです。プレイテストを最大限有意義なものにするた めに、以下の質問を自分にしてみましょう。 • なぜプレイテストを行うのか? • 誰をプレイテストに参加させるべきか? • いつ,開発のどの段階でプレイテストを行うか?(原著第3版 で追加) • どこでプレイテストを行うべきか? • 何をプレイテストに求めているか? • どのように望む情報を手に入れるか? 11
参考文献補足: プレイテストと日本 • “Valve's Approach to Playtesting: the Application of Empiricism” (GDC2009)のスライドと動画 • https://steamcdna.akamaihd.net/apps/valve/2009/GDC2009_ValvesApproachToPlaytesting.pdf • https://www.gdcvault.com/play/1566/Valve-s-Approach-to-Playtesting • 後半で教科書にはない生体データ分析も説明している • 日本のゲームメディアでも熱心に報道 • 佐藤カフジ「良質なゲームを生み出すプレイテストのアプローチ: Valve の実験心理学博士が明かす、プレイテスト手法のあれこれ」(2009) https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/080132.html • 佐藤カフジ「バイオフィードバックでゲームの完成度を高めろ!: ValveとEA が取り組む、生理学的な指標をゲーム体験向上に繋げる方法」(2011) https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/431430.html 12
参考文献補足: 日本への導入 • 「うちもテストには力を入れているよ」 • QAテストとプレイテストの混同 • 第27章のはじめで,デバッグ(QAテスト)とユーザー テスト(プレイテスト)を区別している • 日本の過去文献には、この不具合チェックとゲーム デザイン作業の区別がなく,どちらも「デバッグ」 と呼んでいる場合がある. • 「誤って理解してほしくない日本的「デバッグ」と 欧米の「ユーザーテスト」の違い(上)」(2011) 13
プレイテストで活躍する心理学博士 • 北米のプレイテストは心理学博士が実験計 画を立てて行っていた • その手法は論文として出版されている • ゲームUXコミュニティに見る「人類共通の 脳機能」とゲームデザインへの応用 (CEDEC2024) https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/vie w/2950 14