ゲームデザイン概論 「第33章」

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April 21, 25

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Game Jammer working at Yasuda Women's University since April 2025. IGDA Japan board member, HEVGA individual member. 2025年より安田女子大学に移りました.

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各ページのテキスト
1.

Introduction to Game Design 第33章 「ゲームデザイナには 必ず社会的責任が伴う」 講師: 山根信二 Creative Commons Attribution 4.0 International license Creative Commons Attribution 4.0 International license .

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本章の構成 • 33.1 あいまいさの危険性 The Danger of Obscurity • 33.2 責任を負うということ Being Accountable • 33.3 秘密の計画 Your Hidden Agenda • 33.4 隠された秘密 The Secret Hidden in Plain Sight • 33.5 誓いの指輪 The Ring 1

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§33.1 あいまいにはできない問題 • ゲームデザイナと名乗ることをためらう理由 • 「ゲームをつくってます」 • 「……『グランド・セフト・オート』みたいなやつ?」 (GTA3は神奈川県で本当に有害図書指定された) • ゲーム業界全体が抱える問題 • ゲームについて社会的責任を果たすのは誰の役目か? • ゲーム会社は経営責任はあるが倫理的な責任を持てない。 • 経営者も管理職も個人的な責任を持てない。 • あなたがつくったゲームの責任を持てる人が一人だけいる 2

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§33.2 責任を負うということ Being Accountable • アカウンタビリティ=説明責任 • 新しい技術にはいいことも悪いこともある • 確率が少ないからといって否定することはできない • ゲームを世に出していいという意思決定は誰の仕事か • 多くのゲームデザイナは、ゲームを出してよいか迷ったら弁 護士に相談する • それは倫理的な責任を企業弁護士に丸投げしているだけでは ないのか? • 悪用されたゲームが報道されることを考えて仕事をする 3

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§33.3 秘密の計画 Your Hidden Agenda • ゲームデザイナがやろうと思えば,世の中のた めになるゲームデザインは可能 • だが,「世の中のためになるゲームをつくる」 といったゲームデザイナの意図は外からは見え ない (in secret) • しかし、プレイヤーは必ず感謝してくれる ※日本企業については補足資料参照. 4

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§33.4 本書に隠されていた秘密 • ゲームのよい影響・悪い影響を考えるだけでなく, 人類の将来についても考えよう • 新しいメディアをつくることは,次の世代がそれぞ れの人生をどう考えるかを定義すること • 作り手の責任は重大 • ゲームデザイナは人類のあらゆる活動をゲームとし てデザインできる • 本書で学んだ,よいゲームデザインのための原則が 役立つ時では? 5

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§33.5 誓いの指輪 • 大学の卒業記念指輪(カレッジリング) • 大学でのエンジニア教育が教えてきたこと • エンジニアになるには、知識を学ぶだけでなく社会に貢献 しようとする人格が求められる (現代日本でも大学には「技術と社会」「技術者倫理」 「専門家倫理」といった科目がある) • もしも「ゲームが人々を助けることができる」と信じ るならば、ゲームデザイナもエンジニア同様に卒業す る(世に出る)時にこの指輪をつけるべき 6

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レンズ#111: 社会的責任のレンズを てにいれた! •ゲームデザイナーとしての責務に忠実で あり続けるために、次の質問を自分に投 げかけてみよう。 •わたしのゲームは人々の役に立つか? どうすれば役に立てるか? Does my game help people? How? 7

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教科書補足: 秘密にしていない企業 • 企業ごとに異なる企業理念 • 「秘密の計画」(教科書§33.3)ではゲームデザイナのたくらみは秘 密にしているが、企業によって対応は異なる • 日本のゲーム産業は企業ごとにルーツが違い異なる企業文化がある • 特に,子どものためのおもちゃを作ってきた企業は,世の中に役に 立つという社是(企業理念)を打ち出しているところが多い • そのような企業文化を持たない企業については教科書の指摘 通りだが、 • 近年の上場企業では新しい動きも: 「ゲームデベロッパーが 地球温暖化に取り組む理由: 2022-2024」 8

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教科書補足: 誓いの指輪をつけたエンジニ ア • マーベルのヒーロー映画『アイアンマン』には,主人公の トニー・スタークがでMIT(マサチューセッツ工科大学)の 指輪を身につけているシーンがある.これは彼が専門家と しての責任を負うことを暗示している. • MIT同窓会では彼の公式な卒業年度を説明している ( https://alum.mit.edu/slice/who-iron-man).また,地元 メディアでもトニー・スタークのMIT在学時代を特集し, ヘンリー・ジェンキンズ教授(19章「ワールド」)や『マン ガ学』のスコット・マクラウド(20章「キャラクター」) ら当時のMIT関係者がトニーの思い出を語っている(アーカ イブ). 9

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参考文献補足(1) • 第33章の参考文献『Stop Teaching our Kids to Kill』は 日本語訳されていないが,同じ著者の『戦争における 「人殺し」の心理学』と続編『「戦争」の心理学 人間 における戦闘のメカニズム』は翻訳されている. • 近年になってその情報源の一つは創作だと指摘された ために,その情報源に依拠した部分は汚染されたとし てきされている。 “On Killing, by David Grossman, is badly contaminated by its reliance on Marshall’s frauds.” だが、それ以外の部分についての記述は否定 されていない. 10

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参考文献(2) • 第33章の参考文献「Fred Rogers Testifies Before Congress」はリンクが切れているので,他のビデオを 紹介します. https://www.youtube.com/watch?v=kwaa5rxvt-Q • これはアメリカの伝説的な子供番組の司会者,フレッ ド・ロジャーズ米国議会で公共テレビ放送の重要性を 訴えた証言です.第33章は彼の言葉の引用からはじ まっています.彼の言葉ではじまり,彼の言葉でおわ る章になっています. 11