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October 23, 26
スライド概要
(AIによる要約)
スライドでは、講演者がプロジェクトで「やばい」と直感した経験をもとに、危機感を無理に押し付けずにメンバー自身が問題に気付く場を作る重要性を説明します。具体的施策として、チームでの振り返りとセイルボート手法、作業基準を定めたワーキングアグリーメント、社内勉強会での対話促進、外部コミュニティでの問題可視化(妖怪メタファー)を実践し、危機感を段階的に外側へ広げるアプローチを示します。参加者はこれらの手法をすぐに自組織に適用でき、継続的な探索と改善を進められるようになります。
アジャイル/スクラム/データサイエンス/プロダクトマネジメント/プロジェクトマネジメント/組織論など、日々の学びをスライドにします。
スクラム祭り2026 横浜トラック 誰も気付いていない 「やばさ」に一人で気付いたら ~「危機感」を仲間と共有するための試行錯誤~ 2026/10/24 shimitaka (清水 隆史)
はじめに
自己紹介 清水隆史(shimitaka) エンジニアリングマネージャー SIer→製造業 ほんらいの すがた 現場大好き人間 好きな言葉 「みんなで幸せになろうよ」 インターネット のすがた
Target Audience 「このままではやばい」と直感的に感じているが、 周りにその「やばさ」が理解されず孤独を感じている方 危機感をうまく言葉にできず、その伝え方に悩んで いる方 キャリア採用・異動などで「新参者」という立場から 社内に働きかけようとしている方
Learning Outcome 危機感を一人で抱え込まず、3つのレベルで少しずつ 「外側」に広げていく具体的な打ち手を知る 「危機感を持て」と説くのではなく、相手が自ら気付 ける場をつくる具体的なアプローチを知る ひとつの出来事で挫折せず、継続的に探索を続けてい く粘り強さを知る 明日から具体的な施策を試せるようになる
みなさんに質問です 仕事をしていて、 このままいくと やばいことになりそう… と直感的に思ったことはありませんか? ※ここでの「やばい」は漠然とした不安といったネガティブな意味です
たとえば… となりの部署で誰がユーザーなのかよく分からない 大型プラットフォームの開発が進んでいる 目的がよく分からない定例会議を目の当たりにした プロジェクトチームの対話が少ないように見える 喧嘩しているわけではないけど 相互理解が進んでいるようにも思えない 適材適所になっていない人事を見た
でも まわりの人は あまりその「やばさ」に 気付いてないみたい…
もしかしたら その「やばさ」に 気付いているのは 自分だけ?と不安になる ※もちろん全員に聞いて回ったわけではないから本当のところは分からないが、 少なくとも「やばい!」と言っている人は見かけない
具体的に こんなことが ありました
私の最近の具体的な出来事 AIコーディングエージェントに任せてアプリを開発し ているチームがあった そのアプリはターゲットユーザーが誰で、どんなユー スケースを想定しているか明確になっていなかった 品質やセキュリティのチェックをやっているようにも 見えなかった 実績作りの為に開発しているだけのようにも思えた そんなアプリをリリース(外販)しようとしていた
つまり そもそも「正しいもの」(作るべき もの)がつくれていないのでは? 「正しく」(品質・セキュリティ が保証された状態で)つくれてい ないのでは? 正しいものを正しくつくる …の両方に疑問があった
このままいくと… 営業・マーケティング活動に工数と予算を使ってしまう 仮に売れたとしても不具合が続出する可能性がある エンジニアが新機能の追加より不具合改修に追われるこ とになる そうなると売上向上はあまり見込めない むしろコスト増により赤字になる恐れすらある…
私は直感的に思った 「やばい」
一方で… ターゲットユーザーが誰で、どんなユースケースを想定 しているのか、私が知らないだけの可能性もある 品質やセキュリティのチェックも知らないところでしっ かりやっている可能性もある 私が勝手に「やばい」と思っているだけで、実際はやば くない可能性もあった とはいえ、私はなんとかしたかった
私の危機感の 背景
私が「やばい」と思うのには背景がある オンコール対応でのつらい経験 ジョン・コッターの『企業変革力』
オンコール対応でのつらい経験 SIer時代にあるシステムの運用・保守を任された 休日や夜中に客先からのオンコール(架電)で呼び出 され、その不具合対応に追われる日々を過ごした 「なぜこのような事象が発生したのか」とお客様から 次々にお叱りを受ける毎日 自分が悪い訳でもないのに、なんでこんなに怒られる んだろう…とみじめな気持ちになった こんな思いは二度と誰にもさせたくない、という強い 思いを持った
ジョン・コッターの『企業変革力』 書籍『企業変革力』では変革のための 8つのステップを紹介している その第1のステップとして 「危機感を醸成する」 が挙げられている 変革が失敗する一番の理由は、 危機感が足りないことだ 『企業変革力』(ジョン・P. コッター (著), John P. Kotter (原名), 梅津 祐良 (翻訳) ) https://www.amazon.co.jp/dp/4822242749
だからこそ 危機感 を持ち課題の対策を考え続けることが 大事だと思って生きてきた
一方で こういった意見にも出会った ✓「本人たちは一生懸命やっているのだから、 変な危機感を持たせる必要はない」 ✓「もしうまくいかなくても、本人が一度痛い目を 見た方が成長するだろう」 外から見ているだけの私が「やばいよ!やばいよ!」 といって危機感を煽ってもなかなかうまくいかないだ ろう…ということも予想がついた
宇田川元一『企業変革のジレンマ』 書籍『企業変革のジレンマ』では コッターの「変革の8段階」を再考 危機感を醸成するという行為は、影響を 与えたい人間が、何らかの考えを持って いる人々に対し、「その考え方は間違って いる」と指摘することを意味する。 よほどの対立状況に置かれていない限り、 このモデルが成り立つことは難しい。 『企業変革のジレンマ 「構造的無能化」はなぜ起きるのか』(宇田川元一 (著) ) https://www.amazon.co.jp/dp/B0D7M82K36/
宇田川元一『企業変革のジレンマ』 人々の間に企業変革への自発性が醸成さ れたとき、企業変革はかなりの部分で成 し遂げられていると言える。 なぜなら、その自発性によって各人が 様々な課題を自らの課題として考え、必 要な取り組みを組織内で実行するために、 着実に内外の関係者とともに歩をすすめ られるようになっているからである。 『企業変革のジレンマ 「構造的無能化」はなぜ起きるのか』(宇田川元一 (著) ) https://www.amazon.co.jp/dp/B0D7M82K36/
だから 本人自らが「やばさ」に 気付き、対策を打てるようになる ことが大切なのではないか?
タイトルの解釈 ここでの「共有」とは、危機 感を煽ることではなく、相手 が自分で気付くこと
3つの施策 「自分たちで 気付ける状態 をつくる」
私が考えたこと 危機感を無理に主張しない そして 自分たち自身が問題に 気付ける状態をつくる
具体的に私が やったこと
「チーム」でふりかえり まずはなによりも「ふりかえり」をやってみた 自分は「ふりかえり」の場をつくりファシリテートを するだけ セイルボート ✓後押しとなるもの(追い風)や 将来的なリスク(暗礁)などを 挙げることができた ✓自分たち自身でリスク(暗礁) に気付けた(感じていたことを 言語化できた) 「同じことを思っている 人がいて安心した」
「チーム」でワーキングアグリーメント 「作業の基準がない」という課題が ふりかえりで挙げられた そこで、ワーキングアグリーメント として作業の基準を作った ✓(例)要求分析(上流)と先方提出資料(下流) は第三者レビューを行う ✓(例)実装(中流)はコーディングエージェント を使っても良いが、AIによる敵対的テストを行う こととした
「自社内」で勉強会 「製造業データビジネス勉強会」 などの勉強会を自社内で企画・開催 参加者の方が登壇者の発表に対して 気軽に感想や質問をチャットできる ようにして、対話を促した 様々な対話が生まれた ✓(例)リリースしても運用がうまく いかなくて、結局サービス終了に陥る ことって多いよね 【製造業データビジネス勉強会】03_プロダクトづくりとサービス設計(ビジネスモデルと価値設計も) https://www.docswell.com/s/shimitaka/5MQ7V9-data-business-benkyo-03
「社外コミュニティ」で問題の可視化 組織の力学によって起こる問題を「妖怪」という メタファーで表現する取り組みをLTや書籍などで発表 「妖怪組織いじり」*など様々な妖怪が出てきて 「そういうの、うちにもある!」 と共感を得て対話に 繋げることが出来た 5分間で妖怪何体言えるかな? (横浜アジャイル#4大LT大会) https://www.docswell.com/s/ shimitaka/K6N6MX-yokai-5 *意図が不明瞭な組織改編を繰り返し、何をする部署なのか を社員に考えさえ続けて時間を奪う恐ろしい妖怪
インサイド・アウト 社外コミュニティ 自社内 自分の身近なところ から始めて チーム 徐々に外側に広げる
スクラムの三要素で考えてみると… 透明性 「チーム」でふ 自分たちがやってき りかえり・ワー たこととその結果を キングアグリー 透明性をもってふり メント かえる 「自社内」で勉 各自の理解度や世の 中の考え方に透明性 強会 を持たせて理解する 検査 イメージ通り仕事が 出来ているかを自分 たち自身で検査する 適応 自分たちの仕事の仕 方をワーキングアグ リーメントという形 で適応する 勉強会での学びを基 As-IsとTo-Beの ギャップを思い描け にして自分たちの考 え方や取り組み方を るようにする アップデートする 「社外コミュニ 組織の力学による現 身近なところに「妖 「妖怪」に対する対 ティ」で問題の 象に名前を付けて問 怪」はいないかを考 応策を考えてみる 可視化 題を可視化する えてみる
うまくいかなかったこと 勉強会に来てくれる人が最初は3人で、発表するのも 自分だけ、だった ふりかえりも、1回は自分がファシリテートして出来 たが、その後自走が出来なかった 誤解を招くこともあった ✓(例)勉強会は「実績づくり」 ✓(例)妖怪は「ヘイト」 「AIでつくったアプリ」についてはまだ試行錯誤中
続けた結果良かったことも! ワーキングアグリーメントによって第三者レビューの 文化が根付きつつある 勉強会の宣伝・告知を工夫した結果、勉強会にはコン スタントに20人以上が来てくれるようになった 妖怪の取り組みに対して、「今の悩みに刺さることば かり!」といった共感を得られた 「課題に対して孤独感を抱いていたのは自分だけじゃ なかった」と思えるようになった
まとめ 危機感を煽るだけでは人は動かない 自分たち自身が問題に気付ける状態をつくるのが大事 具体的な施策として、 チームではふりかえりとワーキングアグリーメント策定 自社内の取り組みとしては勉強会 社外コミュニティではメタファー(妖怪)で伝える をやってみた 試行錯誤しながらも効果は出始めている
Thank you for your attention !!