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August 11, 25
スライド概要
TransFormerモデルとは、初学者のチームメンバー用にまとめたものです。
至らぬ点がありますが、よろしくお願いいたします。
これから機会があれば登壇資料を掲載していきたいと思います
Transformerモデル って何?
生成AIの心臓部 Transformerモデル ChatGPT、DALL-E、Gemini... これら全ての生成AIの基礎となっているのが Transformerモデルです
生成AIの祖、 それがTransformer 現在使われている生成AIの多くはTransformerが基礎! 具体例: ・ChatGPT (GPT-4): 完全にTransformerベースで文章を生成 ・DALL-E: Transformerでテキスト理解 + 拡散モデルで画像生成 ・Google Bard/Gemini: Transformerベースで会話 ・翻訳アプリ: Transformerで多言語対応 2017年に誕生 → 現在のAIブームの火付け役
AIの進化 順番処理 並列処理 1990年代〜: RNN(順番処理) 単語を一つずつ順番に処理。遅いし、長い文章を忘れちゃう... 2000年代: LSTM/GRU(記憶改善) RNNより記憶力UP!でもまだ順番処理の限界が... 2017年: Transformer(革命!) 「Attention is All You Need」で大きな転換点となった
従来モデル(RNN/LSTM) の悩み 問題2: 長い文章を忘れる 問題1: 順番処理で遅い 「私は昨日公園で...」を処理するとき、 「私」→「は」→「昨日」...と一つず つ。 小説の最初の方の重要な情報を、 結果: 長い文章だと時間がかかりすぎる! 終盤で忘れちゃう... 結果: 文脈理解が浅い! この問題を解決するために生まれたのが... Transformer!
革新ポイント1: Attentionメカニズム 「注意」を向けて文脈を理解 「私は、昨日公園で遊んでいた猫を見ました。」 従来モデル 「見ました」を処理するとき、 直前の「猫を」しか見えない Transformer 「見ました」が「猫」と「遊んで いた」に強く注目!全体の関係性 を把握 文章全体を一気に理解できるようになった!
革新ポイント2: 並列処理で処理速度が大幅に向上 従来の方法 単語を一つずつ順番に処理 時間: 文の長さに比例して増加 Transformerの方法 全ての単語を同時に処理 時間: 大幅短縮! 実際の効果 ・訓練時間: 数日 → 数時間に短縮 ・大規模化: 数億パラメータのモデルが現実的に ・GPU活用: 並列処理能力をフル活用
革新ポイント3: 汎用性の拡大 テキスト生成 画像生成AI 文章作成、翻訳、要約 ※完全にTransformerベース DALL-E、Stable Diffusion ※Transformer(テキスト理 解)+ 拡散モデル等 音声処理 マルチモーダル Whisper、音声合成 ※Speech Transformer GPT-4V、Gemini ※複数のTransformer組み合わせ 2025年現在: TransformerはAIの「共通言語」として活躍している
Transformerは「こそあど」 指示語をどう理解する? 例文: 「新商品のマーケティング戦略を考えて。それについて詳しく教えて。」 従来モデルの場合 「それ」が何を指すか判断が困難 → 曖昧な回答になりがち Transformerの場合 Attentionで 「それ」=「マーケティング戦略」 と正しく関連付け → 的確な回答が可能 具体的な処理メカニズム ・文脈追跡 : 「それ」より前に出てくる候補を特定 ・意味的関連性: 最も関連性の高い概念を選択 ・距離と重要度: 近い位置ほど関連性が高いと判断
プロンプトにも関わる 日本語特有の「こそあど」とは? 「これ・それ・あれ・どれ」系の指示語のこと! コ系(近称) これ、この、ここ、こちら 話し手に近いもの ソ系(中称) それ、その、そこ、そちら 聞き手に近いもの ア系(遠称) あれ、あの、あそこ、あちら 両者から離れたもの ド系(疑問) どれ、どの、どこ、どちら 不明なもの・質問 なぜプロンプトで重要? 「これ」「それ」「あれ」は何を指しているか曖昧になりやすく、 AIが混乱する原因となる可能性
「こそあど」を理解した効果的な プロンプト作成 良くない例 良い例 プレゼン資料を作って。 それをもっと魅力的にして。 これについて追加情報も欲しい。 マーケティング用のプレゼン資料 を作って。その資料をより視覚的 に魅力的にして。マーケティング 戦略について追加情報も欲しい。 「それ」「これ」が何を指すか 不明確 具体的に何を指すか明確 プロンプト作成のベストプラクティス ・明示的な参照: 「それ」→「その商品」「その戦略」 ・文脈の整理: 複数の話題を扱う時は区切りを明確に ・段階的な指示: 一つずつ具体的に指示 ・確認の活用: 「上記の○○について」など明確な表現
従来モデル vs Transformer 項目 従来モデル (RNN/LSTM) Transformer 革新のポイント 処理方式 順番処理 並列処理 速度大幅向上 文脈理解 短期記憶中心 長期関係も把握 精度向上 「こそあど」理解 近い単語のみ参照 全文脈から最適解 指示語解決力向上 適用範囲 主にテキスト 多分野対応 柔軟性向上 学習時間 数日〜数週間 数時間〜数日 効率性向上 全ての項目でTransformerが上回っている
なぜGPUが必要になるの? 理由1: 大量の行列演算 Attentionメカニズムは大量の掛け算が必要。GPUは並列計算が得意! 理由2: 並列処理の設計 全ての単語を同時に処理 = GPUの並列処理能力をフル活用 理由3: 大規模モデル 数千億〜1兆パラメータのモデル → 大量のメモリとパワーが必要 Transformer + GPU = 現在のAIブーム! ※CPUでも動作可能ですが、実用的な速度ではありません
まとめ: Transformerモデルの凄さ 2017年の「Attention is All You Need」が世界を変えた! 技術革新 ・並列処理で処理速度が大幅に向上 ・長期文脈の理解 ・多分野への応用 ・「こそあど」など指示語の正確な理解 社会への影響 ・ChatGPTなどの生成AI誕生 ・AIの民主化 ・新しいビジネスモデル ・より自然な日本語対話の実現 プロンプトエンジニアリングへの示唆 Transformerの仕組みを理解することで、 より効果的なプロンプトが作成できる AI技術の進展に大きく貢献したモデル
用語一覧・解説 Transformer(トランスフォーマー) 2017年にGoogleが発表したニューラルネットワークモデル。現在の生成AIの基礎となっている。 Attention(アテンション) 文中の単語同士の関係性に「注意」を向けて重要度を判断するメカニズム。Transformerの核心技術。 RNN(Recurrent Neural Network) 単語を順番に処理する従来のモデル。記憶機能はあるが、長い文章では情報を忘れやすい。 LSTM(Long Short-Term Memory) RNNの記憶力を改善したモデル。長期記憶が得意だが、それでも順番処理の限界あり。 並列処理 複数のタスクを同時に実行すること。Transformerが高速な理由の一つ。 GPU(Graphics Processing Unit) 並列計算に特化したプロセッサ。Transformerの大量行列演算に必要不可欠。 生成AI テキスト、画像、音声などの新しいコンテンツを生成するAI。ChatGPTは完全にTransformerベース 画像生成AIは多くがハイブリッド構造。 こそあど 日本語の指示語システム。「これ・それ・あれ・どれ」など。話し手と聞き手の距離関係を表現。 プロンプトエンジニアリング AIに適切な指示を与えて望む結果を得るための技術。指示の書き方が重要。 Encoder-Decoder 入力を理解する部分(Encoder)と出力を生成する部分(Decoder)からなるTransformerの基本構造。 多言語モデル 複数の言語を理解・生成できるAIモデル。各言語の指示語システムも学習済み。 パラメータ AIモデルが学習によって調整する変数。多いほど複雑なタスクが可能(数千億~1兆個程度)。 拡散モデル ノイズから段階的に画像を生成する手法。DALL-E 2、Stable Diffusionなどで使用される画像生成の中核技術。 ハイブリッドアーキテクチャ Transformerと他の技術(拡散モデル、CNNなど)を組み合わせた構造。現代のAIでよく使われる設計手法