529 Views
January 15, 25
スライド概要
幼児教育・保育無償化政策の影響を分析し、世帯の幼稚園・保育園利用率や生活の質への影響を実証的に評価します。無償化政策が親の労働時間や支出割合、ウェルビーイングに与える効果を重点的に調査し、パネルデータを用いて政策前後の変化を追跡します。少子化や経済的負担軽減を目的とした政策の意義とその達成度についても考察します。
公式ホームページ( https://www.yamazemi.info )
慶應義塾大学商学部商学科山本勲研究会 ホームページ: https://www.yamazemi.info Instagram: https://www.instagram.com/yamazemi2024
三田論最終発表 幼児教育・保育無償化の政策評価 —世帯の幼稚園・保育園利用率と生活の質に与える影響の実証分析— 政策班 1
アウトライン 1. テーマ紹介 2. 背景・問題意識 3. 先行研究 4. 分析アプローチ 5. 推計結果 6. おわりに 2
1. テーマ紹介 アウトライン 2. 背景・問題意識 3. 先行研究 4. 分析アプローチ 5. 推計結果 6. おわりに 3
1.テーマ紹介 三田論テーマ 幼児教育・保育の無償化の政策評価: ―世帯の幼稚園・保育園利用率と生活の質に与える影響の実証分析― <保育園・幼稚園利用率の分析> 保育所等の施設利用には金銭的な障壁が依然として存在 無償化政策がこの経済的な障壁を撤廃することに寄与したのか分析 <政策施行後の効果分析> 無償化政策が親の労働時間・費目別支出割合・親のウェルビーイングに与える影響を分析 パネルデータを用いることで固有効果を考慮し政策前後の推移を追跡 4
1. テーマ紹介 2. 背景・問題意識 アウトライン 3. 先行研究 4. 分析アプローチ 5. 推計結果 6. おわりに 5
2. 背景・問題意識 2. 政策実現の流れと趣旨 少子化が深刻な課題 出生数が長年、右肩下がり 岩澤(2002) 要因 男女の婚姻行動 の変化 令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-図表1-1-7 既婚者の 出生行動変化 出生数、合計特殊出生率の推移 6
2. 背景・問題意識 2. 政策実現の流れと趣旨 森田(2004) 子育て費用と出生行動には統計的に 有意に負の関係がある 子育て世帯におけるアンケート調査 子育てに関する負担では経済的負担 が最も大きい 出生数の減少の要因として子育て費用が上げられる 出典:文部科学省 令和2年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究 ~家庭教育支援の充実に向けた保護者の意識に関する 実態把 握調査~」 報告書 7
2. 背景・問題意識 2. 政策実現の流れと趣旨 <これまでの政策> ◆2014年8月22日:子ども・子育て支援法が公布 子ども・子育て支援法 趣旨 すべての子どもに良質な成育環境を保障する等のため、子ども及び子育ての支援のための給付の創設並 びにこれ に必要な財源に関する包括的かつ一元的な制度の構築等の所要の措置を講ずる 「新しい経済政策パッケージ」 「骨太の方針2018」 「幼児教育無償化の制度の具体 化に向けた方針」 8
2. 背景・問題意識 2. 政策実現の流れと趣旨 2015年 54% 保育園・幼稚園利用率 2022年 63% 保育園・幼稚園等の利用率は年々上昇してお り、保育政策の拡充は子育て負担軽減に大き く寄与しその意義は非常に大きいといえる ※厚生労働省「社会福祉施設等調査」・文部科学省「学校基本統計」より筆者作成 ※保育所等には幼稚園・保育園・幼保連携型認定こども園・保育所型認可施設を含む 9
2. 背景・問題意識 2. 政策の問題意識 保育料に関して約8割の家庭が 少なからず負担に感じている 目的: 子育てを行う家庭の 経済的負担の軽減 出典:日本総研 「保育の費用負担の在り方」 ー幼児教育無償化を考えるー 10
2. 背景・問題意識 2. 政策実現の流れと趣旨 ◆2014年8月22日:子ども・子育て支援法が公布 2019年10月より 子ども・子育て支援法 趣旨 幼児教育・保育の無償化政策 すべての子どもに良質な成育環境を保障する等のため、子ども及び子育ての支援のための給付の創設並 びにこれ に必要な財源に関する包括的かつ一元的な制度の構築等の所要の措置を講ずる 目的: 「骨太の方針2018」 子育てを行う家庭の経済的負担の軽減 「新しい経済政策パッケージ」 これらを踏まえ、 「幼児教育無償化の制度の具体 化に向けた方針」 • 令和元年5月10日 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律が成立。 同年10月1日から実施。 11
2. 背景・問題意識 2. 政策実現の流れと趣旨 内容: 幼稚園、保育所、認定こども園等の費用の無償化 <少子化対策の観点> ・幼児教育の重要性 ・子育てや教育にかかる費用負担の軽減 ・支援対象の拡大 子育て支援の経済的負担の軽減は2016年から段階的に実施され、 本改正は所得制限が撤廃され対象が拡大 ¹子ども・子育て支援法の一部を改正する法律等の施行に伴う留意事項等について(通知)(令和元年9月13日 ) 内閣府子ども・子育て本部統括官・文部科学省初等中等教育局長・厚 生 労 働 省 子 ど も 家 庭 局 長 12
2. 背景・問題意識 2. 幼児教育・保育の無償化政策概要 1.対象年齢と範囲: •3歳から5歳までの子どものいる全ての世帯 •0歳から2歳までの子どものいる住民税非課税世帯 2.対象施設: •認可保育所・幼稚園・認定こども園・小規模保育施設 ※その他の認可外保育施設も条件を満たせば対象となる場合がある 3.補助内容: •保育料の無償化:対象となる年齢・施設の子どもに対して、保育料が無償となる。 •認可外保育施設等の利用者には、一定額の補助が行われる。 4.目的: •子育て家庭の経済的負担の軽減 •少子化対策 5.実施期間: •2019年10月から施行 13
2. 背景・問題意識 2. 幼児教育・保育の無償化政策概要 0~2歳 世帯状況 課税世帯 3~5歳 非課税世帯 課税世帯 非課税世帯 幼稚園 無償化 保育所 認可こども園 無償化対象 認可外保育施設 にあたらな 一時預かり事業 い 病児保育事業 ファミリー・サポート・センター事業 月額4.2万円 の利用料が 無料 無償化 月額3.7万円までの利用 料が無料 14
2. 背景・問題意識 2. 政策実現の流れと趣旨 2019年10月より 幼児教育・保育の無償化政策 ◆2014年8月22日:子ども・子育て支援法が公布 子ども・子育て支援法 趣旨 子育てを行う家庭の経済的負担の軽減 目的: すべての子どもに良質な成育環境を保障する等のため、子ども及び子育ての支援のための給付の創設並 びにこれ に必要な財源に関する包括的かつ一元的な制度の構築等の所要の措置を講ずる 「骨太の方針2018」 問題意識① 「新しい経済政策パッケージ」 これらを踏まえ、 「幼児教育無償化の制度の具体 化に向けた方針」 無償化政策の目的である経済負担軽減が達成されているか • 令和元年5月10日 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律が成立。 同年10月1日から実施。 15
2. 背景・問題意識 2.1 政策の問題意識② 韓国 少子化対策の過去事例して、2013年から無償化政策を実施 ●政策概要 1.対象年齢と範囲: •0~5歳児の全所得層 2.補助内容: •満0~5歳のすべての児童に対して養育手当が支給され 無償化が実現 3.目的: •子育て家庭の経済的負担の軽減 •少子化対策 4.実施期間: •2013年3月から実施 ※『日本経済新聞「韓国の出生率、22年は過去最低の0.78 OECDで最下位。」2023年2月22日夕刊』より引用 16
2. 背景・問題意識 2.1 政策の問題意識② キムウンゾン・イへスック(2016)によると… 幼児教育無償化政策(韓国) 余 波 効 果 余波効果 教育格差の拡大 女性の労働市場への参加 17
2. 背景・問題意識 2.1 政策の問題意識② キムウンゾン・イへスック(2016)によると… 幼児教育無償化政策(韓国) ②本政策の余波効果として教育格差と労働参加にどう影響するか ①本政策の目的が達成されているのか 余 波 効 果 余波効果 女性の労働市場への参加 教育格差の拡大 18
2. 背景・問題意識 2.1 政策の問題意識③ Exton and Shinwell(2018) ウェルビーイング指標では、人々の状態に関する粒度の細かいデータを通じて、 どういっ た属性でどのような課題や脆弱性があり、変化しているかを統計的に 分析可能とする。 国際的な高まりを受けて日本では… ・日本において2019年から「満足度・生活の質に関する調査」を実施している ・近年、ウェルビーイング経営なども注目されている 19
2. 背景・問題意識 2.1 政策の問題意識③ 幼児教育・保育 無償化 親 へ の 影 響 時間の使い方の変化 (労働時間/余暇時間) ウェルビーイング お金の使い方の変化 (教育費/娯楽費) Paul Dolan , Tessa Peasgood , Mathew White (2008) 主観的ウェルビーイングに与える重要な要因として自由時間と収入があり、 その両方が適切なバランスを保っていることが必要である。 20
2. 背景・問題意識 2.1 問題意識③ 主観的健康状態 これらの指標をすべて被説明変数として 多角的に分析する メンタルヘルス指標K6 ワークエンゲージメントUWES 仕事満足度 ウェルビーイング 生活満足度 幸福度 絶対的プレゼンティーズム 相対的プレゼンティーズム 21
2. 背景・問題意識 2.1 問題意識③ 主観的健康状態 これらの指標をすべて被説明変数として 多角的に分析する メンタルヘルス指標K6 ③ウェルビーイングの観点から本政策はどのように評価されるか ワークエンゲージメントUWES 仕事満足度 ウェルビーイング 生活満足度 幸福度 絶対的プレゼンティーズム 相対的プレゼンティーズム 22
2. 背景・問題意識 2.1 問題意識まとめ ① 無償化政策の目的である経済負担軽減が達成されているのか ② 本政策の余波効果として教育格差と労働参加にどう影響するか ③ ウェルビーイングの観点から本政策はどのように評価されるか 幼児教育・保育の無償化の親への影響について 実証分析されている先行研究は日本にはない 23
2. 背景・問題意識 2.1問題意識 1 子育て世帯において経済支援は負担軽減として機能したか 無償化政策によってどのような効果があったか 2 本研究では、幼児教育無償化の政策評価を 実証分析する 幼児教育・保育の無償化の親への影響について 実証分析されている先行研究は日本にはない 24
2.2 分析概要 問題意識まとめ 経済負担軽減 教育格差 労働参加 ウェルビーイング DD分析により、無償化政策前後の 1 「保育園・幼稚園利用確率」を比較し、世帯年収による違いを分析 2 「労働時間」を妻と夫でそれぞれ比較し、分析 3 「世帯支出」と「ウェルビーイング指標」を多角的に比較し、分析 ( 経済負担軽減 ・ 教育格差 ) ( 労働参加 ・ ウェルビーイング) ( ウェルビーイング ) 25
2. 背景・問題意識 2.3 独自性とその意義1 1 幼児教育・保育の無償化政策を評価した実証分析 独自性 2020年の無償化について、ミクロパネルデータを用いて長期的な影響を実証的に分析できる 点 意義 幼児教育無償化について政策評価した実証分析は、日本ではほとんどされていない。よって、 DD分析等を利用した研究で、幼児教育無償化の効果を多方面に測定し、日本・海外の幼児 教育無償化の意義について考える一助とする。 26
2. 背景・問題意識 2.3 独自性とその意義2 2 幼児教育・保育の無償化が親のウェルビーイングに与える影響 独自性 無償化が親のウェルビーイングにどの程度影響を与えるかを明らかにする点 意義 幼児教育の利用が親のウェルビーイングに与える影響について、特に無償化の観点における研 究はほとんどない。実証分析よって、無償化を中心に幼児教育の利用がこれらにどの程度影響 を与えるかについて明らかにすることで、親の幼児教育の利用の意義、さらには親のワークライフ バランスについて考えるエビデンスとなる。 27
1. テーマ紹介 2. 背景・問題意識 3. 先行研究 アウトライン 4. 分析アプローチ 5. 推計結果 6. おわりに 28
3. 先行研究 3. 先行研究 保育に関する先行研究を、以下のとおり三つに分類した。 ①保育政策 (保育サービス、児童手当) ②無償化政策 ③保育とウェルビーイング 29
3. 先行研究 3.1 先行研究 ①保育政策 ――保育サービス 深井, 2019 【概要】 保育所整備が,その政策目的である女性の就業率と 出生率の上昇にどの程度貢献してきたのかを検証 【結果】 保育所の整備によってこ れまで祖父母による子育て 補助などのインフォーマルケアを使用していた人が 保育所を使 うようになったこと、子どもの年齢が小 さいほど保育所利用の就業への正の効果が大きいこ とや、若い女性において出生率が上昇したことがわ かった Brilli, Y., Boca, D.D., Pronzato, C.D. 2013 【概要】 保育サービスの利用可能性が母親の就業と子どもの発達 に与える影響を検討している。パネルデータを用いた固 定効果モデルとランダム効果モデルを使用し、保育 サービスの利用可能性の変化とその結果を評価している。 【結果】 保育サービスの利用可能性が母親の就業率を高め、子ど もの発達にも好影響を与えることが確認された。 Lee, G.H.Y., Lee, S.P. 2014 【概要】 日本における保育サービスの利用可能性、出生率、女性の労働力参加の関係を 分析している。 【結果】 保育サービスの利用可能性が高まると、女性の労働力参加率が上昇し、出生率に も影響を与えることが示されている。 Shuhei Nishitateno,Masato Shikata,2017 【概要】 認可保育所の利用しやすさの向上が母親の就業率向上に どの程度貢献したかを定量的に分析する。 【結果】 認可保育所の利用しやすさ向上によって、母親の就業率 は増加したが、幼稚園入園率や入園数は減少することが 示され、認可保育所と幼稚園におけるクラウディングア ウトが支持された。 Kinoshita, Y., Guo, F. 2015あ 【概要】 OECD諸国における女性の労働力参加を促進する要因を分析する。パネルデータを用いた回帰分析 して、各国の女性労働力参加率に対する政策の影響を評価する。 【結果】 教育の向上や保育サービスの拡充が、女性の労働力参加を促進することが示されている。 30
3. 先行研究 3.1 保育サービスに関する先行研究まとめ 就業率 出生率 子供への影響 保育所サービス 家計消費 労働時間 健康(メンタルヘルス) 31
3. 先行研究 3.1 先行研究 ①保育政策 ——児童手当 西村, 2008 宇南山,2010 【概要】 児童手当が家計の消費にどのような影響を与えたかを分析 【結果】 家計調査に基づく分析によれば、平均的な世帯にとって、児童手当は生涯所 得の一部を形成するだけで、他の所得とプールされて支出されていた。つま り、児童手当は一義的には「子育て世帯への所得再分配政策」として評価で きる。 【概要】 児童手当制度に期待される役割を ①児童の健全な育成と資質の向上と ②少子化対策 の2つにわけ、それぞれの観点から同制度を評価 【結果】 ①児童手当による所得の上昇は子どもの質を高めるので,所得制限つきの児 童手当制度 は所得階層間における子どもの資質格差を 是正するのに貢献 ②児童手当制度により子どものコストにおける所得階層間格差も是正される 浅川,2020あ 【概要】 母親の就業の有無・就業時間の両観点から、児童手当が母親就業に与えた政策効果の有無について統計的に検証 【結果】 ・2010年の児童手当の拡充:児童手当の拡充は、未就学児の親のうち世帯年収が平均以下の世帯では保育環境に対する優先順位を高めた一方で、小学生の親 のうち世帯年収が平均以上の世帯では教育環境に対する優先順位を高めた ・2012年の所得制限による減額:児童手当が減額された世帯では、母親が認可外保育を利用することでパートタイムや自営業での就業確率を増やし、労働時 間や勤労所得も増加することが分かった。また、母親就業の増加は待機児童割合が高い都道府県でのみ確認された。さらに、母親就業の増加は子供の健康に悪 影響を及ぼさないことも確認された 32
3. 先行研究 3.1 先行研究 ①保育政策 ——児童手当 駒村,1996 【概要】親の負担する保育費用が保育所入所率や女性の労働供給に与える影 響を推計 【結果】保育所の入所の有無が乳幼児をもつ女性の労働供給を決定すること は明らか。保育需要に保育料の親負担が負の影響を与えている。保育所入所 率と女性の就業率の間に正相関があることから、親の保育料負担軽減は保育 需要を増大させ、女性労働供給を増大させる可能性が高くなる。 高久, 2015 【概要】2010年に導入された「子ども手当」は、手当の財源として各種控 除が廃止されたことから高所得者にはほとんど恩恵のない政策だった。しか し、中低所得世帯では手当の増加額が控除廃止による負担増を上回ったた め、ネットでの可処分所得の増加がもたらされたと考えられる。本稿ではそ のような流動性の付与が,中低所得世帯の両親の心理的健康にどのような影 響を与えたか,日本家計パネル調査(JHPS)を用いて検証 【結果】 「子ども手当」導入による現金給付の拡充は両親の主観的健康を有意に向 上 33
3. 先行研究 3.1 児童手当に関する先行研究まとめ 就業率 出生率 子供への影響 児童手当 家計消費 労働時間 健康(メンタルヘルス) 34
3. 先行研究 3.1 先行研究 ①保育政策 (海外) ノルウェー:Tarjei Havnes &Magne Mogstad フランス:Pauline Givord&Claire Marbot 【概要】 ノルウェーで 1975 年後半に実施された、育児補助金の大規模な拡大につ ながった改革が、既婚母親の就業率に与えた影響について調査 【概要】育児補助金の増額が有料育児の利用と未就学児の母親の参加率に及 ぼす短期的な影響を評価する。2004年に導入されたフランスの家族手当改 革であるPAJEによって提供された自然実験を使用 【結果】 3歳から6歳までの子どもに対する保育補助の大規模な拡大であっ たが、母親の就業率にはごくわずかな効果しかもたらさなかった 【結果】3歳未満の子供を持つ家庭への補助金が増額され、子供の養育費が 50%削減された。この補助金により、保育補助を利用する家庭の割合は大幅 に増加したが、女性の労働供給はごくわずかな増加にとどまった。このこと は、補助金がインフォーマルな保育の利用からフォーマルな保育へのシフト を引き起こしたことを示唆 オランダ: Leon J.H. Bettendorf &Egbert L.W. Jongen & Paul Muller スウェーデン: Daniela Lundin&Eva Mörk&Björn Öckert 【概要】オランダで2005年に行われた大規模な改革を例に、育児補助金が労 働力供給に及ぼす因果効果について検討 【結果】この改革は、12歳未満の対象児童の正規保育料を50%引き下げ、一 部の非正規保育への助成を拡大し、保育への公的支出を3倍に増やした。こ の改革により、女性の労働供給は比較的わずかに増加し、女性の週平均労働 時間は一貫して増加した。この場合、フルタイムで働く母親や週あたりの労 働時間が長い母親が補助金の恩恵を受けていると考えられる 【概要】保育料改革による保育料の外生的変動を利用して、保育料の削減が 女性の労働力供給に与える影響を推定 【結果】スウェーデンは保育料に上限を設け、自治体が保護者に請求できる 金額を制限した。しかし、この改革による保育料の大幅な削減は、女性の労 働供給には実質的に影響を与えなかった 35
3. 先行研究 3.1 先行研究 ①保育政策 (海外) イギリス:Mike Brewer ,Sarah Cattan 【概要】 イギリスおける幼児教育および保育(ECEC)への政府支援について分析 【結果】 政府の支援策は子供の発達や親の労働供給に対して一定の効果があるものの、 その影響は限定的であることが示された。特に、保育の質を向上させるため の介入が必要であり、現在の政策は必ずしも最適な形で効果を発揮していな い可能性があることが指摘された。また、政策の複雑さや不透明さが、効率 的な資源配分を妨げていることが示唆された。 アルゼンチン: Samuel Berlinski & Sebastian Galiani 【概要】アルゼンチンにおける公立就学前教育の拡大プログラムが就学前教 育への出席と母親の労働供給に及ぼす因果的影響を推定 【結果】1990年代、アルゼンチンは、3歳から5歳の子どもの保育就学を支援 し、母親の労働力参加を促進するために、就学前学校施設の大規模な建設プ ログラムを実施した。このプログラムは、コミュニティ・レベルでの公立学 校教育を無償で提供するもので、暗黙の補助金とみなすことができる。この プログラムは、就学前教育への参加と母親の就労に大きなプラスの効果をも たらした 韓国: ゾンソンミ カナダ:Michael Baker&Jonathan Gruber& Kevin Milligan 【概要】韓国労働パネル調査を用いて、保育料支援制度が出産と雇用に与え る影響を分析 【結果】所得水準に関係なくすべての所得階層に実施した保育料支援制度は 出産に正の効果があり、統計的に有意であった。特に子どもがいない世帯で より大きな効果が現れた。 そして、雇用に与える影響を分析した結果では、保育料支援制度は雇用を減 らすという結果が出ており、統計的にも有意であった 【概要】ケベック州で1997年に保育政策のために導入された高額な補助金支 給による保育の利用、母親の労働力供給、家族の幸福への影響を検討 【結果】ケベック州は1997年に改革を導入し、4歳までのすべての子どもに1 日5ドルの保護者負担で保育枠を提供した。この補助金により、保育の利用 と利用時間数が増加し、女性の労働供給も増加した。保育利用の増加は母親 の労働供給の増加の2倍であり、補助金が非正規の取り決めを駆逐したこと を示唆 36
3. 先行研究 3.1 保育政策に関する先行研究まとめ 就業率 出生率 子供への影響 明らかになっていないこと 明らかになってること 家計消費 労働時間 ウェルビーイング 37
3. 先行研究 3.2 先行研究 ②無償化政策(日本) 日本総合研究所の調査 調査対象:20~49歳の無償化対象の子をもつ全国の保護者 *0~2歳は住民非課税世帯のみ 日本総合研究所より https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/2021_13359.pdf 38
3. 先行研究 3.2 先行研究 ②無償化政策(日本) 日本総合研究所の調査 日本総合研究所より https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/2021_13359.pdf 39
3. 先行研究 3.2 先行研究 ②無償化政策(日本) <調査されていること> <調査されていないこと> ○日本総合研究所のアンケート調査 ・幼児・保育施設の利用しやすさ ・家計への影響 (家計に余裕が出たかどうか) ・仕事時間の変化 ・出生意欲 ・無償化に対する評価 ○日本において、幼児教育・保育の無償化 によって親の労働時間・生活時間がどのよ うに変化したかを実証的に分析すること ○幼児教育や保育が親のウェルビーイング に与える影響 40
3. 先行研究 3.2 無償化政策(日本)の先行研究まとめ 就業率 出生率 子供への影響 アンケート調査 まだ十分に研究されていないこと 日本での実証分析 家計消費 労働時間 ウェルビーイング 41
3. 先行研究 3.2 先行研究 ②無償化政策(海外) Taryn W. Morrissey, 2017 【概要】アメリカにおける育児と親の労働力参加の関係について 【結果】 ・保育料が10%引き下げられると、母親の雇用は0.25~11%増加することを 示しており、その中でも0.5~2.5%近くになる可能性が高い Mike Brewer et al,2018 【概要】イングランドを例に、無料のパートタイム育児を提供した場合と、 この提供をフルタイム育児に拡大した場合の効果を比較→政策の潜在的な影 響 【結果】無料のパートタイム育児は、最年少の子供が資格を持つ母親の労働 力参加にわずかしか影響を及ぼさないが、無料育児をパートタイムからフル タイムに拡大すると、これらの母親の労働力参加と雇用が大幅に増加するこ とを示唆。 Isabelle Bouchard,Lydia Cheung, 2018 【概要】 ニュージーランドで導入された「20時間の無料幼児教育(ECE)」政策が、 母親の労働市場への参加と収入に与える影響を差分の差分分析を用いて評価 【結果】 母親が1人の子どもを持つ場合、労働市場への参加率と収入が一部で減少す る一方、2人の子どもを持つ場合には、労働市場への参加率が増加する Jo Blanden 【概要】 イギリスにおいて3歳児に対する無償のパートタイム早期教育の導 入が、子供の発達の改善と母親の就業率の向上を実現するかどうかを評価 【結果】 ・3歳児が無償のパートタイム早期教育を受ける割合が1999年には37%だっ た利用率が2007年には88%に上昇。 ・子供の発達と3歳児の母親の就業率も有意 42
3. 先行研究 3.2 無償化政策(海外)のまとめ 就業率 出生率 子供への影響 明らかになっていないこと 明らかになってること 家計消費 労働時間 ウェルビーイング 43
3. 先行研究 3.3 先行研究 ③保育とウェルビーイング 松田 茂樹 ,2001 【概要】 育児ネットワークの構造が母親の心理的なウェルビーイング (well-being)に与える影響を分析。特に、育児不安度や生活満 足度を指標に、どのようなネットワーク構造が母親のウェルビー イングに貢献するかを調査している。 【結果】 父親の育児参加や家庭外の育児ネットワークが大きいほど、母親 の育児不安が低く、生活満足度が高い。特に、親族と非親族が適 度に混ざったネットワークが、母親のウェルビーイングに良い影 響を与えることが示唆されている。 朴 志先 ,2011 【概要】 目的は未就学児の父親の育児参加と本人の心理的ウェルビーイングの 関係を明らかにすること。回収された412世帯のうち,319世帯のデー タを用いて,構造方程式モデリングで解析した。 【結果】 ・父親の育児参加は家族・家庭への貢献感から健康関連QOLに直接的 に影響すること。夫婦関係満足感ならびに精神的健康を通して健康関 連QOLに間接的に影響することを明らかにした。 Seiichiro Yamaguchi, Yuki Asai,Ryo Kambayashi,2018 薊 奈保子,2015 【概要】 日本における地域ごとの保育拡充が子供とその親に与える影響を 評価。また、保育が親の育児の質や主観的な幸福感、ストレスに 与える影響を調査。 【結果】 保育への登録は、子供に対して言語発達を促進することを確認。 保育の利用は、教育水準の低い母親の育児の質を向上させ、主観 的な幸福感を高め、ストレスを軽減する効果があった。マージナ ル・トリートメント・エフェクト(MTE)の推定結果から、保育 の恩恵を最も受ける子供は、保育を利用する可能性が低いことが 示され、保育の効率的な配置に課題があることを示唆。 【概要】 仕事観, 育児観, ソーシャルサポートの3 つの概念が育児期女性のウェ ルビーイングとどのように関連するか明らかにすることを目的とし て、 調査を行った。 【結果】 育児不安, パートナーとの関係性 認知, 道具的・情緒的サポートの4つ の影響を受けやすい傾向が示された。 その中でも特に育児不安とパー トナーとの関係性は, 育児期女性のウェルビーイングに大きな影響を 与えることが考えられた。また、育児観は大きな影響を与えるが、 仕 事に対する価値観はあまり影響を与えないことが明らかとなった。 44
アウトライン 1. テーマ紹介 2. 背景・問題意識 3. 先行研究 4. 分析アプローチ 5. 推計結果 6. おわりに 45
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.1 分析の流れ 1 幼児教育・保育の無償化による保育サービス利用確率の 変化を世帯収入に分けて分析する 2 幼児教育・保育の無償化によって親の労働時間どのように 変化したのかを分析する 3 幼児教育・保育の無償化によって世帯支出と親のウェル ビーイングはどのように変化したのかを分析する 全ての推計においてDD分析により政策評価する 46
4. 分析アプローチ(理論的背景) 4.1 理論的背景 • 無償化政策が親のウェルビーイングに与える影響のメカニズム 消費と余暇の効用最大化問題から分析を行う • 消費と余暇どちらを選好するかで効用最大化を図る行動が異なる 静学的労働供給モデルを用いる 清家篤「労働経済」東洋経済新報社より 47
4. 分析アプローチ(理論的背景) 4.1 理論的背景 消費 同じ余暇時間で消費できる財・ サービスの量が増えるため、 予算制約線の傾き(名目賃金/物 価=実質賃金)が急になる 幼児教育の無償化 保育サービス・幼児教育の価格低下 消費する財・サービスの平均価格低下 余暇 清家篤「労働経済」東洋経済新報社より 働かなくても得られる所得(=非勤労所得) 48
4. 分析アプローチ(理論的背景) 4.1 理論的背景 消費 余暇 さらに、予算制約線の傾きが急 になったことで無差別曲線が 右上にシフト 労働 余暇と労働はトレードオフの関係であり、 余暇の増加(減少)は労働の減少(増加) 無差別曲線は右上にあるものほど、高い効用であることを意 味するため、無償化政策により効用が向上するといえる 余暇 清家篤「労働経済」東洋経済新報社より 49
4. 分析アプローチ(理論的背景) 4.1 理論的背景:消費者の効用最大化問題 消費 所得効果:消費(可処分所得)の 増加に伴う余暇需要の増加 代替効果:財・サービス 平均価格の低下による 余暇の機会費用上昇に 伴う余暇需要の抑制 代替効果>所得効果: 労働時間の増加 代替効果<所得効果: 余暇時間の増加 余暇の増加 余暇の減少 余暇 50
4. 分析アプローチ(理論的背景) 4.1 理論的背景:消費者の効用最大化問題 消費 労働を選好する傾向にある ので、労働時間が増加する 消費 余暇を選好する傾向にある ので、労働時間が減少する 余暇が正常財と捉え(お金に余裕がある 人)、所得効果>代替効果 均衡点は右上にシフト 余暇が劣等財(あるいは正常財)と捉え(お 金に余裕がない人)、代替効果>所得効果 均衡点は左上にシフト 余暇 余暇 51
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計1 無償化政策が保育サービス利用率に与える影響 幼児教育・保育の無償化政策を評価したDD分析 ー世帯年間収入に注目してー 【分析手法】DD分析 被説明変数:保育サービス利用ダミー 【仮説】 もともと家計に余裕のある世帯ほど保育サービスを利用していると考えられる。 幼児教育・保育の無償化により、保育サービスの費用が削減されるため、低所得 世帯も利用しやすくなったと考えられる。 52
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計1 無償化政策が保育サービス利用率に与える影響 幼児教育・保育の無償化政策を評価したDD分析 ー世帯年間収入に注目してー トリートメントグループ 世帯年間収入(5分位)ダミー: 下位80%ダミー *世帯年収を5分位に分け、 下位0~20%,20~40%,40~60%,60~80%ダミーを利用 コントロールグループ 世帯年間収入(5分位)ダミー: 上位20%ダミー ※幼児(0~5歳)がいる有配偶世帯にサンプル限定 53
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計1 無償化政策が保育サービス利用率に与える影響 モデル : 変量効果線形確率モデル 固定効果線形確率モデル 変量効果プロビットモデル 分類 被説明変数 説明変数 変数 推計式1 𝑑_𝑝𝑟𝑒𝑠𝑐ℎ𝑜𝑜𝑙𝑖𝑡 = α + β1 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 × 𝑑_2020𝑡 + β3 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 + β3 𝑑_2020𝑡 + γ𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 + 𝐹𝑖 +𝜀𝑖𝑡 コントロール変数 夫婦それぞれの年齢ダミー 変数名 変数の説明 保育・幼稚園利用ダミー 夫婦それぞれの学歴 𝑑_𝑝𝑟𝑒𝑠𝑐ℎ𝑜𝑜𝑙𝑖𝑡 保育園・幼稚園を利用してい れば1をとる 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 トリートメントグループ 前ページで説明 祖父母準同居ダミー 𝑑_2020𝑡 2020年以降ダミー 政策効果が表れる年なら1を とる 未就学児(0~5歳)の数 𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 コントロール変数 右記の通り 子ども(6~17歳)の数 固有効果 時間を通じて変化しない 未就学児(0~5歳)の数 𝐹𝑖 祖父母同居ダミー 時間固有効果 54
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計1 無償化政策が保育サービス利用率に与える影響 モデル : 変量効果線形確率モデル 政策評価を行う上 固定効果線形確率モデル で最も重要な係数 変量効果プロビットモデル 分類 被説明変数 説明変数 変数 推計式1 𝑑_𝑝𝑟𝑒𝑠𝑐ℎ𝑜𝑜𝑙𝑖𝑡 𝑑_𝑝𝑟𝑒𝑠𝑐ℎ𝑜𝑜𝑙 𝑖𝑡 = α + β 𝑇𝑅𝐸 𝑑_2020𝑡++ββ3𝑇𝑅𝐸 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡++ββ3𝑑_2020 𝑑_2020𝑡++γ𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙 γ𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡++𝐹𝐹𝑖+𝜀 +𝜀𝑖𝑡 1 = α + β1 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡𝑖𝑡××𝑑_2020 𝑡 3 𝑖𝑡 3 𝑡 𝑖𝑡 𝑖 𝑖𝑡 コントロール変数 夫婦それぞれの年齢ダミー 変数名 変数の説明 保育・幼稚園利用ダミー 夫婦それぞれの学歴 𝑑_𝑝𝑟𝑒𝑠𝑐ℎ𝑜𝑜𝑙𝑖𝑡 保育園・幼稚園を利用してい れば1をとる 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 トリートメントグループ 前ページで説明 祖父母準同居ダミー 𝑑_2020𝑡 政策効果が表れる年なら1を 2020年以降ダミー ATE(平均処置効果) とる 𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 コントロール変数 右記の通り 子ども(6~17歳)の数 固有効果 時間を通じて変化しない 未就学児(0~5歳)の数 𝐹𝑖 政策効果の影響を示す 祖父母同居ダミー 未就学児(0~5歳)の数 時間固有効果 55
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計2 無償化政策が親の労働時間に与える影響 幼児教育・保育の無償化政策を評価したDD分析 ー週平均労働時間に注目してー 【分析手法】DD分析 被説明変数:週平均労働時間 余暇が劣等財 & 所得と余暇の効用最大化問題より個人 所得効果<代替効果 【仮説】 の選好により労働時間が増加・減少す るのか異なると考えられる 余暇が正常財 & 所得効果>代替効果 労働時間:増加 労働時間:減少 56
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計2 無償化政策が親の労働時間に与える影響 幼児教育・保育の無償化政策の対象と トリートメント・コントロールグループ(推計2・推計3) トリートメントグループ 政策対象 ・ ・0~2歳児のいる 非課税世帯 ・3~5歳児のいる 世帯 コントロールグループ それ以外の有配偶世帯 政策対象でない 57
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計2 無償化政策が親の労働時間に与える影響 • 推計式2 𝑊𝑜𝑟𝑘_𝑡𝑖𝑚𝑒𝑖𝑡 = α + β1 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 × 𝑑_2020𝑡 + β3 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 + β3 𝑑_2020𝑡 + γ𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 + 𝐹𝑖 +𝜀𝑖𝑡 モデル : 変量効果線形確率モデル 固定効果線形確率モデル 変量効果プロビットモデル 分類 被説明変数 説明変数 変数名 変数の説明 コントロール変数 𝑊𝑜𝑟𝑘_𝑡𝑖𝑚𝑒𝑖𝑡 親の週平均労働時間 夫婦それぞれについて分析 年齢ダミー 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 トリートメントグループ 前ページで説明 学歴ダミー 𝑑_2020𝑡 2020年以降ダミー 政策効果が表れる年なら1をとる 𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 コントロール変数 右記の通り 固有効果 時間を通じて変化しない 変数 𝐹𝑖 ※推計2-1においてはサンプルを就業者に限定せず、非就業者の労働時間を0時間として推計した 持ち家ダミー 子ども(6~17歳)の数 未就学児(0~5歳)の数 時間固有効果 58
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計3-1 無償化政策が費目別支出割合に与える影響 幼児教育・保育の無償化政策を評価したDD分析 ー費目別の支出割合に注目してー 【分析手法】DD分析 被説明変数:費目別の支出割合(食費・外食費/教育費/教養・娯楽費) 【仮説】 無償化政策により、保育利用料分の支出が浮いたことで、可処 分所得は増加、消費者である家計は効用が最大となる財や サービスの組み合わせを選択する。 59
4. 分析アプローチ(推計方法) これにより、政策の余波効果 として教育格差拡大が示唆 される 4.2 推計3-1 無償化政策が費目別支出割合に与える影響 子どもへの投資により 幼児教育無償化政策を評価したDD分析 教育費割合増 効用最大化 ー世帯支出に注目してー 自身への投資により 【分析手法】DD分析 教養・娯楽費割合増 効用最大化 被説明変数:各世帯支出(食費/外食費/教育費/教養・娯楽費) 【仮説】 生活の水準 食費・外食費割合 無償化政策により、保育利用料分の支出が浮いたことで、可処 分所得は増加、消費者である家計は効用が最大となる財や サービスの組み合わせを選択する。 60
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計3-1 無償化政策が費目別支出割合に与える影響 モデル :固定効果モデル 変量効果モデル • 推計式3-1 コントロール変数 夫婦それぞれの年齢ダミー 𝑟𝑎𝑡𝑖𝑜_𝑒𝑥𝑝𝑒𝑛𝑠𝑒𝑖𝑡 = α + β1 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 × 𝑑_2020𝑡 + β2 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 β3 𝑑_2020𝑡 + γ𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 + 𝐹𝑖 +𝜀𝑖𝑡 夫婦それぞれの学歴 祖父母同居ダミー 祖父母準同居ダミー 分類 変数 変数名 変数の説明 夫の正規雇用ダミー 被説明変数 𝑟𝑎𝑡𝑖𝑜_𝑒𝑥𝑝𝑒𝑛𝑠𝑒𝑖𝑡 費目別支出割合 食費・外食費/教育費/教養・娯楽 費の3種について分析 妻の正規雇用ダミー 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 トリートメントグループ 前ページで説明 同居人数 𝑑_2020𝑡 2020年以降ダミー 政策効果が表れる年なら1をとる 子ども(6~17歳)ダミー 𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 コントロール変数 右記の通り 未就学児(0~5歳)ダミー 固有効果 時間を通じて変化しない 時間固有効果 説明変数 𝐹𝑖 持ち家ダミー 61
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計3-2 無償化政策がウェルビーイングに与える影響 幼児教育・保育の無償化政策を評価したDD分析 ーウェルビーイングに注目してー 【分析手法】DD分析 被説明変数:ウェルビーイング指標 【仮説】 幼児教育・保育の無償化により、保育園・幼稚園費用が削減される それにより可処分所得が上昇するため、所得と余暇の効用最大化問題より、効用 は上昇するため、ウェルビーイングも向上すると考えられる。 62
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計3-2 無償化政策がウェルビーイングに与える影響 • 推計式3-2 モデル :固定効果モデル 変量効果モデル コントロール変数 𝑊𝑒𝑙𝑙𝑏𝑒𝑖𝑛𝑔𝑖𝑡 = α + β1 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 × 𝑑_2020𝑡 + β2 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 + β3 𝑑_2020𝑡 + γ𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 + 𝐹𝑖 +𝜀𝑖𝑡 年齢ダミー 業種ダミー 勤続年数 大企業ダミー 分類 被説明変数 説明変数 変数 変数名 変数の説明 官公庁ダミー 𝑊𝑒𝑙𝑙𝑏𝑒𝑖𝑛𝑔𝑖𝑡 各ウェルビーイング指標 夫婦それぞれについて分析 配偶者の正規雇用ダミー 𝑇𝑅𝐸𝑖𝑡 トリートメントグループ 前ページで説明 子ども(6~17歳)の数 𝑑_2020𝑡 2020年以降ダミー 政策効果が表れる年なら1をとる 𝐶𝑜𝑛𝑡𝑟𝑜𝑙𝑖𝑡 コントロール変数 右記の通り 祖父母準同居ダミー 固有効果 時間を通じて変化しない 時間固有効果 𝐹𝑖 未就学児(0~5歳)の数 祖父母同居ダミー 63
4. 分析アプローチ(推計方法) 4.2 推計3-2 無償化政策がウェルビーイングに与える影響 幼児教育・保育の無償化政策を評価したDD分析 ーウェルビーイングに注目してー 非金銭的なウェルビーイングに注目する 主観的健康状態 メンタルヘルス指標K6 ワークエンゲージメントUWES 仕事満足度 生活満足度 幸福度 絶対的プレゼンティーズム 相対的プレゼンティーズム 64
4. 分析アプローチ(データ) 4.3 使用するデータ 慶應義塾大学経済研究所 パネルデータ設計・解析センター 日本家計パネル調査(JHPS/KHPS) →保育利用、世帯収入・支出、ウェルビーイングなど 対象時期 調査対象 JHPS:2009年〜2022年 KHPS:2004年~2022年 JHPS:20歳以上の男女 KHPS20歳以上の男女 本稿では、2015年〜2022年&20-50代&有配偶者世帯にサ ンプルを限定して分析する。 65
4. 分析アプローチ(データ) 4.3 使用する変数——被説明変数・説明変数 分類 指標 変数 変数の説明 保育園・幼稚園利用率 保育園・幼稚園利用ダミー 幼児のいる世帯で保育園・幼稚園のいずれかを利用=1 生活時間 夫の労働時間 妻の労働時間 食費・外食費用割合 費目別支出割合 被説明変数 ウェルビーイング 説明変数 世帯年間収入(5分位)ダミー(推計1) トリートメントグループ(推計2・推計3) 週労働平均時間 一か月あたりの全支出に占める食費・外食費の割合 教育費用割合 一か月あたりの全支出に占める教育費の割合 娯楽費用割合 一か月あたりの全支出に占める教養・娯楽費の割合 夫の主観的健康状態 1~5の値をとり、値が大きいほど健康状態がいい 夫の心の健康の尺度,K6 数値を反転し、0~24の合計値として、値が大きいほどメンタルヘルスがいい 夫のワークエンゲージメントUWES 0~6をとる平均値として、値が大きいほどワークエンゲージメントが高いと評価 夫の主観的生産性 0~10の値をとり、値が大きいほど主観的生産性が高いと評価する 夫の仕事満足度 0~10の値をとり、値が大きいほど仕事満足度が高いと評価する 夫の生活満足度 0~10の値をとり、値が大きいほど生活満足度が高いと評価する 夫の幸福度 0~10の値をとり、値が大きいほど幸福度が高いと評価する 夫の絶対的プレゼンティーズム 0~100の値をとり、値が大きいほど生産性が低下 夫の相対的プレゼンティーズム 0.25~2の値をとり、値が大きいほど生産性が低下、なお0.25以下、2以上を0.25、2に置き換えている 妻の主観的健康状態 1~5の値をとり、値が大きいほど健康状態がいい 妻の心の健康尺度,K6 数値を反転し、0~24の合計値として、値が大きいほどメンタルヘルスがいい 妻のワークエンゲージメントUWES 0~6をとる平均値として、値が大きいほどワークエンゲージメントが高いと評価 妻の主観的生産性 0~10の値をとり、値が大きいほど主観的生産性が高いと評価する 妻の仕事満足度 0~10の値をとり、値が大きいほど仕事満足度が高いと評価する 妻の生活満足度 0~10の値をとり、値が大きいほど生活満足度が高いと評価する 妻の幸福度 0~10の値をとり、値が大きいほど幸福度が高いと評価する 妻の絶対的プレゼンティーズム 0~100の値をとり、値が大きいほど生産性が低下 妻の相対的プレゼンティーズム 0.25~2の値をとり、値が大きいほど生産性が低下、なお0.25以下、2以上を0.25、2に置き換えている 世帯年間収入(5分位)ダミー 1分位 上位0~20%=1、それ以外は0 世帯年間収入(5分位)ダミー 2分位 上位20~40%=1、それ以外は0 世帯年間収入(5分位)ダミー 3分位 上位40~60%=1、それ以外は0 世帯年間収入(5分位)ダミー 4分位 上位60~80%=1、それ以外は0 世帯年間収入(5分位)ダミー 5分位 上位80~100%=1、それ以外は0 政策対象ダミー • 分析に正確性を期すため、週平均 労働時間、費目別支出割合につい ては平均値±3標準誤差の範囲外 を欠損値として、除外した。 • 相対的プレゼンティ-ズムを0.25~ 2.0の範囲に収まるよう置き換えた。 • メンタルヘルス指標K6は値を反転し、 値が大きいほどメンタルヘルスが良 好と評価 3~5歳児のいる世帯あるいは0~2歳児のいる非課税世帯=1、それ以外は0 66
4. 分析アプローチ(データ) 4.3 使用する変数——コントロール変数 分類 指標 世帯構成 世帯家計状況 変数 変数の説明 同居ダミー 同居している人数 子ども(6~17歳)ダミー 18歳未満の子供がいれば1をとるダミー変数、それ以外は0 未就学児(0~5歳)ダミー 0~5歳児の子供がいれば1をとるダミー変数、それ以外は0 子ども(6~17歳)の数 世帯における6~17歳の子どもの数 未就学児(0~5歳)の数 世帯における0~5歳の未就学児の数 共働きダミー 共働きしているならば1をとるダミー変数、それ以外は0 祖父母同居ダミー 両親と同居していれば1をとるダミー変数、それ以外は0 祖父母準同居ダミー 両親が近所(45分以内)に住んでいれば1をとるダミー変数、それ以外は0 手取り世帯年間収入 単位は万円 持ち家ダミー 家を所有=1、それ以外は0 20代=1、それ以外は0 年齢ダミー 夫の個人属性 30代=1、それ以外は0 40代=1、それ以外は0 50代=1、それ以外は0 高卒=1、それ以外は0 コントロール変数 学歴ダミー 短大・高専卒=1、それ以外は0 勤続年数 現在勤めている会社に何年勤続しているか 大企業ダミー 従業員規模が500人以上あるいはサービス業(公務を除く)の場合100人以上=1 大学・大学院卒=1、それ以外は0 夫の就業属性 官公庁ダミー 業種が公務あるいは勤め先が官公庁=1 正規雇用ダミー 正規雇用であれば1、それ以外は0をとるダミー変数 20代=1、それ以外は0 年齢ダミー 妻の個人属性 30代=1、それ以外は0 40代=1、それ以外は0 50代=1、それ以外は0 高卒=1、それ以外は0 学歴ダミー 短大・高専卒=1、それ以外は0 勤続年数 現在勤めている会社に何年勤続しているか 大企業ダミー 従業員規模が500人以上あるいはサービス業(公務を除く)の場合100人以上=1 大学・大学院卒=1、それ以外は0 妻の就業属性 官公庁ダミー 業種が公務あるいは勤め先が官公庁=1 正規雇用ダミー 正規雇用であれば1、それ以外は0をとるダミー変数 • このほか、夫婦の業種ダミーを作成した。 • 業種は11種に分類し、以下内訳を示す。 • 建設業 • 製造業(出版、印刷を含む) • 卸売・小売業(デパート・スーパー含む)、飲 食業、宿泊業 • 金融・保険業、不動産業 • 運輸、情報サービス業・調査業、通信情報業 • 電気・ガス・水道・熱供給業 • 医療・福祉 • 教育・学習支援業 • その他のサービス業 • 公務 • 農業・漁業・林業・水産業・鉱業 67
4. 分析アプローチ(データ) 4.3 使用する変数—トリートメントグループとコントロールグループ 推計1 推計2・推計3 コントロールグループ コントロールグループ 世帯年間収入(5分位): 上位20%ダミー それ以外の有配偶世帯 トリートメントグループ トリートメントグループ 世帯年間収入(5分位): 下位80% *世帯年収を5分位に分け、 下位0~20%,20~40%,40~60%,60~80%ダミーを利用 ・0~2歳児のいる非課税世帯 ・3~5歳児のいる全世帯 68
4. 分析アプローチ(データ) 4.3 使用する変数—トリートメントグループとコントロールグループ 推計1 推計1 推計2・推計3 【仮説】:政策により保育園・幼稚園を利用の経済的負担が軽減される コントロールグループ コントロールグループ 保育サービスの利用に経済障壁があるとすれば、負担軽減のためには 世帯年収が低い世帯ほど政策の効果を受けると考えられる。 世帯年間収入(5分位): 上位20%ダミー トリートメントグループ 世帯年間収入(5分位): 下位80% *世帯年収を5分位に分け、 下位0~20%,20~40%,40~60%,60~80%ダミーを利用 それ以外の有配偶世帯 そこで、世帯年収を五分位に分け、 コントロールグループを上位20% トリートメントグループを下位80%(下位0-20%,20-40%,40-60%,60-80%) トリートメントグループ とすることで、政策効果が低所得層の保育園・幼稚園利用率に正の有 ・0~2歳児のいる非課税世帯 意な影響を及ぼし、政策の目的が果たされるか分析する ・3~5歳児のいる全世帯 69
4. 分析アプローチ(データ) 4.3 使用する変数—トリートメントグループとコントロールグループ 推計2・推計3 推計2-1,2-2・推計3はそれぞれ政策効果の与える労 推計1 働時間、費目別支出割合、各ウェルビーイングの影響 を分析する コントロールグループ 世帯年間収入(5分位): 上位20%ダミー トリートメントグループ 純粋に政策対象となるトリートメントグループと対象と ならないコントロールグループを設定する 世帯年間収入(5分位): 下位80% *世帯年収を5分位に分け、 下位0~20%,20~40%,40~60%,60~80%ダミーを利用 推計2・推計3 コントロールグループ それ以外の有配偶世帯 トリートメントグループ ・0~2歳児のいる非課税世帯 ・3~5歳児のいる全世帯 70
4. 分析アプローチ(データ) 4.3 記述統計量——被説明変数 記述統計量 推計1 推計2-1 夫 妻 44.963 27.214 推計2-2 推計3 夫 妻 被説明変数 保育園・幼稚園利用ダミー 0.378 週平均労働時間 費目別支出割合 教養・娯楽費用割合 0.045 教育費用割合 0.051 食費・外食費割合 0.274 ウェルビーイング指標 主観的健康状態 3.464 3.536 メンタルヘルス指標(K6) 12.681 12.005 ワークエンゲージメント 2.958 3.045 主観的生産性 6.466 6.127 仕事満足度 5.456 5.635 生活満足度 6.214 12.005 幸福度 6.152 6.312 絶対的プレゼンティーズム 64.663 61.268 1.067 1.066 8,516 8,548 相対的プレゼンティーズム サンプルサイズ 2,974 7,995 7,995 7,181 幼稚園・保育園ダミーは平均値 が0.378であるが、政府統計 (厚生労働省:『社会福祉施設 等調査』『人口動向調査』、文 部科学省省:『学校基本調査』) より保育所等・幼稚園利用率は 60%(2022年)を超えており、実 際のデータと大きな乖離がある といえる。 注1:表の数値は平均値を掲載 注2:推計3の夫のサンプルサイズは欠損値の関係で夫の生活満足度が4,474、K6/ワークエンゲージメント/WHO-HPQ1/WHO-HPQ2が4,475である。 注2:推計3の妻のサンプルサイズは欠損値の関係で夫の生活満足度が4,899、K6/ワークエンゲージメント/WHO-HPQ1/WHO-HPQ2が4,667である。 71
4. 分析アプローチ(データ) 4.3 記述統計量——被説明変数 記述統計量 推計1 推計2-1 夫 妻 44.963 27.214 推計2-2 推計3 夫 妻 被説明変数 保育園・幼稚園利用ダミー 0.378 週平均労働時間 費目別支出割合 教養・娯楽費用割合 0.045 教育費用割合 0.051 食費・外食費割合 0.274 ウェルビーイング指標 主観的健康状態 3.464 3.536 メンタルヘルス指標(K6) 12.681 12.005 ワークエンゲージメント 2.958 3.045 主観的生産性 6.466 6.127 仕事満足度 5.456 5.635 生活満足度 6.214 12.005 幸福度 6.152 6.312 絶対的プレゼンティーズム 64.663 61.268 1.067 1.066 8,516 8,548 相対的プレゼンティーズム サンプルサイズ 2,974 7,995 7,995 7,181 1世帯あたりに複数の未就学児 (0〜5歳)がいる場合、それぞれを 独立したサンプルサイズとして扱 うことで、推計1のサンプルサイ ズを確保した。 注1:表の数値は平均値を掲載 注2:推計3の夫のサンプルサイズは欠損値の関係で夫の生活満足度が4,474、K6/ワークエンゲージメント/WHO-HPQ1/WHO-HPQ2が4,475である。 注2:推計3の妻のサンプルサイズは欠損値の関係で夫の生活満足度が4,899、K6/ワークエンゲージメント/WHO-HPQ1/WHO-HPQ2が4,667である。 72
4. 分析アプローチ(データ) 記述統計量——説明変数 記述統計量 推計1 推計2-1 夫 妻 推計2-2 推計3 夫 妻 説明変数 世帯年間収入5分位ダミー(1分位=下位20%) 1分位ダミー 0.232 0.067 2分位ダミー 0.170 0.135 3分位ダミー 0.223 0.196 4分位ダミー 0.177 0.300 5分位ダミー 0.199 0.231 トリートメントグループダミー サンプルサイズ 2,974 0.096 0.096 0.096 0.097 0.097 7,995 7,995 7,181 8,516 8,548 注1:表の数値は平均値を掲載 注2:推計3の夫のサンプルサイズは欠損値の関係で夫の生活満足度が4,474、K6/ワークエンゲージメント/WHO-HPQ1/WHO-HPQ2が4,475である。 注2:推計3の妻のサンプルサイズは欠損値の関係で夫の生活満足度が4,899、K6/ワークエンゲージメント/WHO-HPQ1/WHO-HPQ2が4,667である。 73
4. 分析アプローチ(データ) 記述統計量——コントロール変数① 記述統計量 推計1 推計2-1 夫 妻 推計2-2 推計3 夫 妻 コントロール変数 共働きダミー 0.446 0.966 0.971 0.966 0.965 0.966 祖父母同居ダミー 0.094 0.158 0.157 0.148 0.158 0.157 祖父母準同居ダミー 0.498 0.492 0.493 0.490 0.492 0.492 持ち家ダミー 0.678 0.834 0.836 0.828 0.834 0.835 子ども(6~17歳)ダミー 0.451 0.546 0.549 0.562 0.546 0.548 未就学児(0~5歳児)ダミー 1.000 0.124 0.120 0.122 0.124 0.122 同居人数 4.216 3.914 3.914 3.906 3.917 3.918 子ども(6~17歳)の数 0.608 0.898 0.903 0.925 0.898 0.901 未就学児(0~5歳)の数 1.431 0.154 0.150 0.153 0.151 20代ダミー 0.070 0.015 0.015 0.014 0.015 0.015 30代ダミー 0.673 0.165 0.163 0.167 0.164 0.164 40代ダミー 0.247 0.428 0.431 0.437 0.430 0.431 50代ダミー 0.010 0.392 0.392 0.383 0.391 0.391 高卒ダミー 0.300 0.414 0.417 0.417 0.417 0.417 短大・高専卒ダミー 0.101 0.091 0.093 0.093 0.092 0.093 大学・大学院卒ダミー 0.479 0.382 0.376 0.376 0.378 0.377 正規雇用ダミー 0.874 0.816 0.816 0.816 0.812 0.813 勤続年数 7.463 16.048 16.103 15.998 16.044 16.078 大企業ダミー 0.388 0.468 0.468 0.467 0.465 0.465 官公庁ダミー 0.065 0.020 0.019 0.019 0.020 0.020 夫個人属性 妻個人属性 74
0.925 0.898 0.901 0.150 0.153 0.151 0.015 0.014 0.015 0.015 0.163 0.167 0.164 0.164 0.428 0.431 0.437 0.430 0.431 0.010 0.392 0.392 0.383 0.391 0.391 高卒ダミー 0.300 0.414 0.417 0.417 0.417 0.417 短大・高専卒ダミー 0.101 0.091 0.093 0.093 0.092 0.093 大学・大学院卒ダミー 0.479 0.382 0.376 0.376 0.378 0.377 正規雇用ダミー 0.874 0.816 0.816 0.816 0.812 0.813 勤続年数 7.463 16.048 16.103 15.998 16.044 16.078 大企業ダミー 0.388 0.468 0.468 0.467 0.465 0.465 官公庁ダミー 0.065 0.020 0.019 0.019 0.020 0.020 20代ダミー 0.073 0.013 0.013 0.012 0.013 0.013 30代ダミー 0.654 0.163 0.160 0.163 0.162 0.161 40代ダミー 0.259 0.432 0.436 0.444 0.435 0.436 50代ダミー 0.013 0.391 0.391 0.380 0.390 0.391 高卒ダミー 0.229 0.385 0.385 0.384 0.385 0.386 短大・高専卒ダミー 0.283 0.306 0.307 0.311 0.306 0.306 大学・大学院卒ダミー 0.340 0.197 0.194 0.192 0.196 0.195 正規雇用ダミー 0.297 0.262 0.261 0.257 0.262 0.263 勤続年数 2.899 7.390 7.385 7.347 7.393 7.402 大企業ダミー 0.385 0.443 0.441 0.443 0.437 0.437 官公庁ダミー 0.051 0.018 0.018 0.018 0.018 0.018 2,974 8,241 7,995 7,181 8,510 8,548 子ども(6~17歳)の数 0.608 0.898 未就学児(0~5歳)の数 1.431 0.154 20代ダミー 0.070 0.015 30代ダミー 0.673 0.165 40代ダミー 0.247 50代ダミー 4. 分析アプローチ(データ) 夫個人属性 0.903 記述統計量——コントロール変数② 妻個人属性 サンプルサイズ 注1:表の数値は平均値を掲載 注2:推計3の夫のサンプルサイズのうち、K6、ワークエンゲージメント、絶対的プレゼンティーズム、相対的プレゼンティーズムが4,475である。 注3:推計3の妻のサンプルサイズのうち、K6、ワークエンゲージメント、絶対的プレゼンティーズム、相対的プレゼンティーズムが4,667である。 75
アウトライン 1. テーマ紹介 2. 背景・問題意識 3. 先行研究 4. 分析アプローチ 5. 推計結果 6. おわりに 76
5. 推計結果(予備的分析) 5-1 推計結果1 : 保育・幼稚園利用率 予備的分析 世帯年間収入ダミー(5分位)毎の保育園・幼稚園利用率の変化 90% 80% 70% 世帯年収が高い世帯ほど、 保育園・幼稚園利用率が 平均的に高い。 60% 50% 40% 30% 20% 10% 2019年にJHPS/KHPSは約2,000の新規サンプルが新たに世帯を抽出し、調査対象に加えたことに注意 0% 2015年 世帯収入 2016年 2017年 第一分位(下位20%) 2018年 第二分位 注:図中の縦棒は95%信頼区間 2019年 2020年 第三分位 第四分位 2021年 2022年 第五分位 ※平行トレンド検定についてはスライド末に掲載 77
5-1. 推計結果 5-1 推計結果1 : 保育・幼稚園利用率 推計結果 無償化政策が幼児のいる世帯の保育園・幼稚園を利用する確率に与える影響 被説明変数:保育園・幼稚園利用ダミー 固定効果線形確率モデル 変量効果線形確率モデル 変量効果プロビットモデル 2020年以降ダミー×世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) ×4分位 ×3分位 0.0946* 0.0957* 0.364* (0.0554) (0.0515) (0.219) -0.00777 0.0397 0.102 (0.0546) (0.0498) (0.208) ×2分位 -0.0255 0.00321 (0.0607) (0.0544) (0.227) ×1分位(=下位20%) -0.000888 0.0224 0.00216 -0.0254 (0.215) (0.0580) (0.0500) 4分位 -0.0484 -0.0602* (0.0426) (0.0361) (0.139) 3分位 -0.0904** -0.127*** -0.469*** (0.0458) (0.0361) (0.139) 0.0117 -0.0493 ハウスマン検定の結果、有意水準 1%で固定効果モデルが採択 世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) 2分位 -0.218 -0.177 (0.0481) (0.0373) (0.151) -0.0569 -0.0959*** -0.360** (0.0503) (0.0360) (0.147) 2020年以降ダミー 0.471*** -0.183*** -0.733*** (0.0918) (0.0496) (0.207) 共働きダミー 0.0654** 0.190*** 0.767*** (0.0267) (0.0197) (0.0748) 祖父母同居ダミー -0.00377 0.00255 (0.0662) (0.0382) (0.143) 祖父母準同居ダミー 0.0796 0.0607** 0.239** (0.0525) (0.0274) (0.101) 子ども(6~18歳)の数 -0.277*** 0.0653*** 0.280*** (0.0468) (0.0157) (0.0573) 0.000450 0.0950*** 0.415*** (0.0362) (0.0186) (0.0756) 0.431** 0.676* 0.743 (0.173) (0.378) (1.180) 夫の年齢ダミー Yes Yes Yes 妻の年齢ダミー Yes Yes Yes 夫の学歴ダミー No Yes Yes 妻の学歴ダミー No Yes Yes 1分位 未就学児(0~5歳)の数 定数項 注目する変数 0.0142 年ダミー Yes Yes Yes サンプルサイズ 2,982 2,982 2,982 ID数 1,144 1,144 1,144 決定係数 0.104 注 1:()内はロバスト標準誤差を示す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 また、DD分析を行うにあたり平行トレンドの仮定が 満たされているか検定 →結果については補足としてスライド末尾に掲載 注3:推計結果はすべて係数を掲載している。 注4:ハウスマン検定の結果、有意水準1%で固定効果モデルが採択される。 注:推計1ではサンプルは幼児がいる世帯に限定される 78
5-1. 推計結果 5-1 推計結果1 : 保育・幼稚園利用率 推計結果 無償化政策が幼児のいる世帯の保育園・幼稚園を利用する確率に与える影響 被説明変数:保育園・幼稚園利用ダミー 固定効果線形確率モデル 変量効果線形確率モデル 変量効果プロビットモデル 2020年以降ダミー×世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) ×4分位 0.0946* 0.0957* 0.364* (0.0554) (0.0515) (0.219) ×3分位 -0.00777 0.0397 0.102 (0.0546) (0.0498) (0.208) ×2分位 -0.0255 0.00321 (0.0607) (0.0544) (0.227) ×1分位(=下位20%) -0.000888 0.0224 0.00216 -0.0254 (0.0580) (0.0500) (0.215) 4分位 4分位 -0.0484 -0.0484 -0.0602* -0.0602* -0.218 -0.218 (0.0426) (0.0426) (0.0361) (0.0361) (0.139) (0.139) 3分位 3分位 -0.0904** -0.0904** -0.127*** -0.127*** -0.469*** -0.469*** (0.0458) (0.0458) (0.0361) (0.0361) (0.139) (0.139) 0.0117 0.0117 -0.0493 -0.0493 世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) 世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) 2分位 2分位 -0.177 -0.177 (0.0481) (0.0481) (0.0373) (0.0373) (0.151) (0.151) -0.0569 -0.0569 -0.0959*** -0.0959*** -0.360** -0.360** (0.0503) (0.0503) (0.0360) (0.0360) (0.147) (0.147) 0.471*** -0.183*** -0.733*** (0.0918) (0.0496) (0.207) 共働きダミー 0.0654** 0.190*** 0.767*** (0.0267) (0.0197) (0.0748) 祖父母同居ダミー -0.00377 0.00255 (0.0662) (0.0382) (0.143) 祖父母準同居ダミー 0.0796 0.0607** 0.239** (0.0525) (0.0274) (0.101) 子ども(6~18歳)の数 -0.277*** 0.0653*** 0.280*** (0.0468) (0.0157) (0.0573) 0.000450 0.0950*** 0.415*** (0.0362) (0.0186) (0.0756) 1分位 1分位 2020年以降ダミー 世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) 4分位 未就学児(0~5歳)の数 定数項 0.676* 0.743 (0.173) (0.378) (1.180) 夫の年齢ダミー Yes Yes Yes 妻の年齢ダミー Yes Yes Yes 夫の学歴ダミー No Yes Yes 妻の学歴ダミー No Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes サンプルサイズ 2,982 2,982 2,982 ID数 1,144 1,144 1,144 決定係数 0.104 2分位 考察 世帯年間収入上位20%と 比べ、所得が低いほど、保 育園・幼稚園利用率が低い その中でも、41~60%の所 得層が顕著に低いといえる 0.0142 0.431** 3分位 世帯年間収入ダミー(5分位) の3分位(=上位41~60%)の 係数が負に有意 そのほか、変量効果モデルに おいて、4分位、1分位は係数 が負に有意 注 1:()内はロバスト標準誤差を示す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 -0.0484 -0.0602* -0.218 (0.0426) (0.0361) (0.139) -0.0904** -0.127*** -0.469*** (0.0458) (0.0361) (0.139) 0.0117 -0.0493 -0.177 (0.0481) (0.0373) (0.151) -0.0569 -0.0959*** -0.360** (0.0503) (0.0360) (0.147) 注3:推計結果はすべて係数を掲載している。 1分位 注4:ハウスマン検定の結果、有意水準1%で固定効果モデルが採択される。 注:推計1ではサンプルは幼児がいる世帯に限定される 79
5-1. 推計結果 5-1 推計結果1 : 保育・幼稚園利用率 推計結果 世帯年間収入(上位21~40%) 無償化政策が幼児のいる世帯の保育園・幼稚園を利用する確率に与える影響 被説明変数:保育園・幼稚園利用ダミー 固定効果線形確率モデル 変量効果線形確率モデル 変量効果プロビットモデル ×3分位 ×3分位 0.0946* 0.0946* (0.0554) (0.0554) -0.00777 -0.00777 0.0957* 0.0957* (0.0515) (0.0515) 0.0397 0.0397 0.364* 0.364* (0.219) (0.219) 0.102 0.102 ×2分位 ×2分位 (0.0546) (0.0546) -0.0255 -0.0255 (0.0498) (0.0498) 0.00321 0.00321 (0.0607) (0.0607) -0.000888 -0.000888 (0.0580) (0.0580) (0.0544) (0.0544) 0.0224 0.0224 (0.208) (0.208) -0.0254 -0.0254 (0.227) (0.227) 2020年以降ダミー×世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) 2020年以降ダミー×世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) ×4分位 ×4分位 ×1分位(=下位20%) ×1分位(=下位20%) (0.0500) (0.0500) 0.00216 0.00216 (0.215) (0.215) 世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) 4分位 -0.0484 (0.0426) (0.0361) (0.139) 3分位 -0.0904** -0.127*** -0.469*** (0.0458) (0.0361) (0.139) 0.0117 -0.0493 2分位 1分位 -0.0602* -0.218 世帯年間収入上位20%に比べ て、政策前後で9.4%保育園・ 幼稚園利用率が上昇した -0.177 (0.0481) (0.0373) (0.151) -0.0569 -0.0959*** -0.360** (0.0503) (0.0360) (0.147) 0.471*** -0.183*** -0.733*** (0.0918) (0.0496) (0.207) 共働きダミー 0.0654** 0.190*** 0.767*** (0.0267) (0.0197) (0.0748) 祖父母同居ダミー -0.00377 0.00255 (0.0662) (0.0382) (0.143) 祖父母準同居ダミー 0.0796 0.0607** 0.239** (0.0525) (0.0274) (0.101) 子ども(6~18歳)の数 -0.277*** 0.0653*** 0.280*** (0.0468) (0.0157) (0.0573) 未就学児(0~5歳)の数 ×3分位 0.000450 0.0950*** 0.415*** (0.0362) (0.0186) (0.0756) 定数項 0.431** 0.676* 0.743 (0.173) (0.378) (1.180) 夫の年齢ダミー Yes Yes Yes 妻の年齢ダミー Yes Yes Yes 夫の学歴ダミー No Yes Yes 妻の学歴ダミー No Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes サンプルサイズ 2,982 2,982 2,982 ID数 1,144 1,144 1,144 2020年以降ダミー いずれのモデルにおいても、 ×4分位(世帯年間収入上位 21~40%)の交差項の係数が 正に有意 2020年以降ダミー×世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) ×4分位 ×2分位 ×1分位(=下位20%) 決定係数 0.0142 0.104 注 1:()内はロバスト標準誤差を示す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:推計結果はすべて係数を掲載している。 0.0946* 0.0957* 0.364* (0.0554) (0.0515) (0.219) -0.00777 0.0397 0.102 (0.0546) (0.0498) (0.208) -0.0255 0.00321 -0.0254 (0.0607) (0.0544) (0.227) -0.000888 0.0224 0.00216 (0.0580) (0.0500) (0.215) 注4:ハウスマン検定の結果、有意水準1%で固定効果モデルが採択される。 注:推計1ではサンプルは幼児がいる世帯に限定される 80
5-1. 推計結果 5-1 推計結果1 : 保育・幼稚園利用率 推計結果 政策実施前 無償化政策が親への労働時間に与える影響 被説明変数:週平均労働時間 妻 FE トリートメントグループダミー×2020年以降ダミー トリートメントグループダミー 2020年以降ダミー 夫 RE FE RE -0.0711 1.795** 1.405* 0.576 (0.839) (0.791) (1.093) (0.986) 7.722*** 7.784*** 1.653 2.047** (0.883) (0.823) (1.032) (0.963) -0.271 0.352 -2.594*** -1.857*** (0.599) (0.481) (0.774) (0.603) 持ち家ダミー -1.187 0.351 1.047 1.809** (1.013) (0.626) (1.158) (0.708) 子ども(6~17歳)の数 -1.889*** -1.541*** -0.125 0.319 (0.354) (0.238) (0.452) (0.290) -11.86*** -11.33*** -3.133*** -2.764*** (0.787) (0.644) (0.830) (0.703) 23.88*** 24.58*** 40.59*** 36.64*** 未就学児(0~5歳)の数 定数項 (1.042) (1.054) (1.283) (1.307) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー Yes Yes Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 14,345 14,345 14,006 14,006 ID数 3,126 3,126 3,102 3,102 決定係数 0.055 0.004 注1:()内はロバスト標準誤差を表す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:推計結果はすべて係数を掲載している。 世帯年間収入下位21~40%を除いて保育園・幼稚園の 利用には経済的な障壁がある →世帯年間収入下位21~40%は以前より実施されてき た段階的な無償化の影響により 経済的な障壁が取り払われていたと考える 政策実施後 無償化政策の効果は世帯年間収入が比較的高い上位 21~40%に表れている →段階的な無償化政策により低所得層には厚く支援が されており、今回の所得制限が撤廃された無償化では所 得が高いほど絶対的な影響が大きいと考えられる。 注4:ハウスマン検定の結果、妻、夫いずれにおいても有意水準1%で固定効果モデルが採択される 注:推計1ではサンプルは幼児がいる世帯に限定される 81
5-1. 推計結果 5-1 推計結果1 : 保育・幼稚園利用率 推計結果 世帯年間収入(5分位)ダミーの係数を見ると4分位について は経済障壁が撤廃されたといえる。 無償化政策が幼児のいる世帯の保育園・幼稚園を利用する確率に与える影響 政策実施前 被説明変数:保育園・幼稚園利用ダミー 固定効果線形確率モデル 変量効果線形確率モデル 変量効果プロビットモデル 2020年以降ダミー×世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) ×4分位 0.0946* 0.0957* 0.364* (0.0554) (0.0515) (0.219) 一方で、すべてのモデルで3分位の係数は負に有意で、また 変量効果モデルでは2分位の係数が負に有意である。 交差項(×2分位、×3分位)においては係数が統計的に有意 ではなく、経済的な障壁が取り払われていない ×3分位 ×2分位 ×1分位(=下位20%) -0.00777 0.0397 0.102 (0.0546) (0.0498) (0.208) -0.0255 0.00321 -0.0254 (0.0607) (0.0544) (0.227) -0.000888 0.0224 0.00216 (0.0580) (0.0500) (0.215) 世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) 4分位 3分位 2分位 1分位 -0.0484 -0.0602* -0.218 (0.0426) (0.0361) (0.139) -0.0904** -0.127*** -0.469*** (0.0458) (0.0361) (0.139) 0.0116 -0.0493 -0.177 0.0117 -0.0493 -0.177 -0.0569 -0.0959*** -0.360** (0.0503) (0.0360) (0.147) 0.471*** -0.183*** -0.733*** (0.0918) (0.0496) (0.207) 共働きダミー 0.0654** 0.190*** 0.767*** (0.0267) (0.0197) (0.0748) 祖父母同居ダミー -0.00377 0.00255 (0.0662) (0.0382) (0.143) 祖父母準同居ダミー 0.0796 0.0607** 0.239** (0.0525) (0.0274) (0.101) 子ども(6~18歳)の数 -0.277*** 0.0653*** 0.280*** (0.0468) (0.0157) (0.0573) 0.000450 0.0950*** 0.415*** (0.0362) (0.0186) (0.0756) 2020年以降ダミー 考察 未就学児(0~5歳)の数 0.0142 所得制限を撤廃した今回の無償化政策は高所 得層への影響が大きく、中所得層への効果が 薄い為、今後中所得層への支援を厚くするべ きだと示唆される 定数項 0.431** 0.676* 0.743 (0.173) (0.378) (1.180) Yes Yes Yes 妻の年齢ダミー Yes Yes Yes 夫の学歴ダミー No Yes Yes 妻の学歴ダミー No Yes 夫の年齢ダミー Yes 年ダミー Yes Yes Yes サンプルサイズ 2,982 2,982 2,982 ID数 1,144 1,144 1,144 決定係数 0.104 注 1:()内はロバスト標準誤差を示す。 世帯年間収入下位21~40%を除いて保育園・幼稚園の 利用には経済的な障壁がある →世帯年間収入下位21~40%は以前より実施されてき た段階的な無償化の影響により 経済的な障壁が取り払われていたと考える 政策実施後 無償化政策の効果は世帯年間収入が比較的高い上位 21~40%に表れている →段階的な無償化政策により低所得層には厚く支援が されており、今回の所得制限が撤廃された無償化では所 得が高いほど絶対的な影響が大きいと考えられる。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:推計結果はすべて係数を掲載している。 注4:ハウスマン検定の結果、有意水準1%で固定効果モデルが採択される。 注:推計1ではサンプルは幼児がいる世帯に限定される 82
5-2. 推計結果 5-2 推計結果2 : 週平均労働時間 予備的分析 夫の週平均労働時間の推移 政策実施後 妻の週平均労働時間の推移 政策実施後 考察 ◆夫・妻共に政策対象となる世帯はそうでない世帯に比べて労働時間が少ない傾向にある。 →保育政策を充実させることで、保育園や幼稚園をしようする選択肢を増やし、仕事と育児の 両立をしやすい環境を整えやすくすることができる 注:図中の縦棒は95%信頼区間 ※平行トレンド検定についてはスライド末に掲載 83
5-2. 推計結果 5-2 推計結果2 : 週平均労働時間 推計結果 • 妻の週平均労働時間において、交 差項の係数が正で統計的に有意 無償化政策が親への労働時間に与える影響 被説明変数:週平均労働時間 妻 夫 FE RE FE RE トリートメントグループダミー×2020年以降ダミー 1.795** 1.405* 0.576 -0.0711 (0.839) (0.791) (1.093) (0.986) トリートメントグループダミー 7.722*** 7.784*** 1.653 2.047** (0.883) (0.823) (1.032) (0.963) -0.271 0.352 -2.594*** -1.857*** 2020年以降ダミー (0.599) (0.481) (0.774) (0.603) 持ち家ダミー -1.187 0.351 1.047 1.809** (1.013) (0.626) (1.158) (0.708) 子ども(6~17歳)の数 -1.889*** -1.541*** -0.125 0.319 (0.354) (0.238) (0.452) (0.290) 未就学児(0~5歳)の数 -11.86*** -11.33*** -3.133*** -2.764*** (0.787) (0.644) (0.830) (0.703) 定数項 23.88*** 24.58*** 40.59*** 36.64*** (1.042) (1.054) (1.283) (1.307) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー Yes Yes Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 14,345 14,345 14,006 14,006 ID数 3,126 3,126 3,102 3,102 決定係数 0.055 0.004 注1:()内はロバスト標準誤差を表す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:推計結果はすべて係数を掲載している。 注4:ハウスマン検定の結果、妻、夫いずれにおいても有意水準1%で固定効果モデルが採択される • 政策効果により、労働時間が 1.795時間/週増えたといえる 新たな疑問 別途就業者に限定したサンプルで推計を行ったと ころ、政策効果による労働時間の増加は見られず、 新たに労働を選択する人が増えたと考えられる。 どのような就業属性が増加したのか? (※就業者に限定した推計については末尾に掲載) ※推計2-1においてはサンプルを就業者に限定せず、非就業者の労働時間を0時間として推計した また、傾向スコアを用いた分析でも同様の結果が得られた。推計結果はスライド末尾に掲載 84
5-2. 推計結果 5-2 推計結果2 : 妻の就労状況 推計結果 無償化政策が妻の就労状況に与える影響 被説明変数:就労ダミー トリートメントグループダミー×2020年以降ダミー トリートメントグループダミー 2020年以降ダミー 持ち家ダミー 子ども(6~17歳)数 被説明変数:就業形態 正規雇用ダミー 非正規雇用ダミー その他就労ダミー(自営業等) FE RE FE RE FE RE FE RE (1) (2) (3) (4) (5) (6) (5) (6) 0.0665*** 0.0515** -0.0105 -0.00335 0.0531** 0.0411** 0.000669 0.00150 (0.0239) (0.0226) (0.0130) (0.0127) (0.0208) (0.0201) (0.00963) (0.00925) 0.259*** 0.260*** -0.00521 -0.0124 0.0454** 0.0488** 0.0127 0.0107 (0.0244) (0.0232) (0.0116) (0.0112) (0.0209) (0.0193) (0.0109) (0.0102) 0.0211 0.0293** 0.0429*** 0.0570*** -0.00812 -0.0142 -0.000172 -0.00794 (0.0147) (0.0116) (0.0120) (0.0102) (0.0168) (0.0137) (0.00873) (0.00729) -0.0144 0.0372** -0.0264* -0.0161 0.0349 0.0403** 0.00613 0.0112 (0.0266) (0.0164) (0.0149) (0.0119) (0.0235) (0.0156) (0.0109) (0.00805) -0.0171* -0.00657 -0.0237*** -0.0238*** 0.0243** 0.0271*** 0.00184 0.000415 (0.00887) (0.00608) (0.00699) (0.00563) (0.00960) (0.00704) (0.00458) (0.00351) -0.373*** -0.363*** -0.0122 -0.000202 -0.129*** -0.135*** -0.00956 -0.0123* (0.0208) (0.0178) (0.0114) (0.0104) (0.0179) (0.0149) (0.00754) (0.00673) 0.792*** 0.754*** 0.238*** 0.231*** 0.425*** 0.417*** 0.0857*** 0.104*** (0.0270) (0.0255) (0.0177) (0.0255) (0.0265) (0.0284) (0.0120) (0.0162) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー No Yes No Yes No Yes No Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 14,618 14,618 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 ID数 3,135 3,135 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 決定係数 0.099 幼児(0~5歳)数 定数項 注1:()内はロバスト標準誤差を表す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:ハウスマン検定の結果、(1)~(6)のいずれでも有意水準1%で固定効果モデルが採択される 0.012 0.022 0.002 • 就労ダミーに注目すると、交 差項の係数が正で統計的に 有意 →政策効果により就労者が約 6.7%増加したといえる • 非正規雇用ダミーに注目する と、交差項の係数が正で統 計的に有意 →政策効果により非正規雇用 が約5.3%増加したといえる 85
5-2. 推計結果 5-2 推計結果2 : 妻の職位 推計結果 無償化政策が妻の職位に与える影響 被説明変数:職位 正社員(役職なし) トリートメントグループダミー×2020年以降ダミー トリートメントグループダミー 2020年以降ダミー 持ち家ダミー 子ども(6~17歳)数 幼児(0~5歳)数 職位正社員(役職あり) 契約社員 アルバイター・パートタイマー 派遣社員 嘱託 FE RE FE RE FE RE FE RE FE RE FE RE (1) (2) (3) (4) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) -0.0582*** -0.0499*** 0.0691*** 0.0637*** -0.00823 -0.00377 0.0249* 0.0170 -0.00313 -0.000183 0.00507* 0.00480* (0.0196) (0.0190) (0.0178) (0.0170) (0.00838) (0.00732) (0.0146) (0.0141) (0.00529) (0.00436) (0.00279) (0.00268) 0.0260* 0.0145 -0.0467*** -0.0441*** -0.00659 -0.00690 0.0264* 0.0312** 0.00443 0.00168 -0.00180 -0.00207 (0.0155) (0.0151) (0.0139) (0.0131) (0.00679) (0.00622) (0.0154) (0.0143) (0.00453) (0.00378) (0.00306) (0.00262) -0.0369** -0.00310 0.0326*** 0.0103 -0.00781 -0.00704 0.00378 0.00615 -0.00136 -0.000552 0.000158 -0.000220 (0.0157) (0.0125) (0.0125) (0.0103) (0.00676) (0.00507) (0.0112) (0.00956) (0.00478) (0.00306) (0.00221) (0.00209) -0.0309 -0.0289* -0.000438 0.0203 0.0290** 0.00379 -0.00592 0.0112 -0.000941 -0.00268 -0.00223 -0.00101 (0.0233) (0.0157) (0.0211) (0.0140) (0.0127) (0.00674) (0.0180) (0.0122) (0.0112) (0.00464) (0.00247) (0.00216) -0.0133 -0.00697 0.00170 -0.00116 -0.00808** -0.00769*** 0.0258*** 0.0276*** -0.00317 -0.00339** -0.000951 -0.00113 (0.00872) (0.00639) (0.00742) (0.00552) (0.00390) (0.00232) (0.00696) (0.00537) (0.00262) (0.00152) (0.00150) (0.00111) -0.0196 0.00691 0.0214* 0.0143 -0.0109* -0.00909* -0.0525*** -0.0569*** -0.00936** -0.00577* -0.00140 -0.00118 (0.0143) (0.0122) (0.0115) (0.00989) (0.00659) (0.00466) (0.0129) (0.0106) (0.00460) (0.00325) (0.00135) (0.00143) 0.359*** 0.306*** 0.197*** 0.160*** 0.0177 0.0282*** 0.175*** 0.165*** 0.00936 0.0149** 0.0124*** 0.00593** (0.0244) (0.0277) (0.0210) (0.0226) (0.0130) (0.00897) (0.0199) (0.0225) (0.00972) (0.00703) (0.00338) (0.00268) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー No Yes No Yes No Yes No Yes No Yes No Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 14,669 ID数 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 3,143 決定係数 0.007 定数項 0.012 0.003 0.012 0.002 0.001 注1:()内はロバスト標準誤差を表す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:ハウスマン検定の結果、(1)~(6)のいずれでも有意水準1%で固定効果モデルが採択される • 正社員(役職なし):交差項の係数は負で統計的に有意 • 正社員(役職あり)・アルバイト・パートタイマー・嘱託:交差項の係数は正で統計的に有意 *嘱託:高齢者が想定されることが多いが、本研究のデータでは、嘱託の年齢に限定はない 86
5-2. 推計結果 5-2 推計結果2 : 妻の就労状況・職位を踏まえ 推計結果 考察 ◆無償化政策により、子育て世帯女性の労働が促進されたといえる。 ◆その中で、正社員(役職なし)が減少したのは無償化により経済的負担が軽減さ れ、可処分所得が増加したことによる所得効果によって労働のインセンティブが低 下したからだと考える。 ◆一方で、正社員(役職あり)が増加したのは保育の利用が促進されたことで、労働 意欲が高い女性が継続して働ける環境づくりが進み、そうした女性が役職もちとなっ たのではないかと考える。 →女性ではキャリアアップ重視か、育児や家事の両立を目指す柔軟な働き方重視か といった働き方の多様化が進んでいるといえる。 87
5-2. 推計結果 5-3 推計結果3-1 : 費目別支出割合 予備的分析 食費・外食費割合の推移 政策実施後 教育費割合の推移 教養・娯楽費割合の推移 政策実施後 政策実施後 考察 ◆食費・外食費割合はほぼ同じトレンドをたどっている ◆教育費割合については平行トレンドの仮定を満たしていない可能性 ◆娯楽費用割合は平行トレンドも満たし、トリートメントグループが増加しているように見える 注:図中の縦棒は95%信頼区間 ※平行トレンド検定についてはスライド末に掲載 88
5-2. 推計結果 5-3 推計結果3-1 : 費目別支出割合 推計結果 無償化政策が費目別支出割合に与える影響 被説明変数:費目別支出割合 娯楽・教養費用割合 FE トリートメントグループダミー×2020年以降ダミー トリートメントグループダミー 教育費用割合 RE FE 食費・外食費割合 RE FE RE (1) (2) (3) (4) (5) (6) 0.0115*** 0.00695*** -0.00754** -0.0162*** 0.00801 0.0108** (0.00298) (0.00250) (0.00371) (0.00325) (0.00559) (0.00499) -0.00156 -0.000348 0.0119*** 0.0165*** -0.00380 -0.00284 (0.00276) (0.00229) (0.00302) (0.00266) (0.00473) (0.00418) 2020年以降ダミー -0.0133*** -0.00454** -0.00965*** -0.00745*** 0.0352*** 0.0292*** (0.00269) (0.00190) (0.00358) (0.00264) (0.00467) (0.00358) 祖父母同居ダミー -0.000428 -0.00584*** -0.00375 -0.0117*** 0.00650 0.00193 (0.00279) (0.00178) (0.00367) (0.00238) (0.00495) (0.00369) 祖父母準同居ダミー 夫の正規雇用ダミー 妻の正規雇用ダミー 0.00125 0.000800 0.00293 -0.000402 -0.00411 -0.00525** (0.00194) (0.00131) (0.00260) (0.00184) (0.00333) (0.00264) -0.00122 -0.00108 0.000119 0.00221 -1.62e-05 -0.00278 (0.00273) (0.00144) (0.00295) (0.00185) (0.00508) (0.00302) 0.000862 0.000808 0.000799 -0.00162 -0.00113 -0.00726*** (0.00267) (0.00134) (0.00372) (0.00183) (0.00436) (0.00271) 0.0112*** 0.0108*** -0.000636 0.0100*** 0.0326*** 0.0348*** (0.00329) (0.00142) (0.00378) (0.00173) (0.00581) (0.00299) 0.00188* 0.00177*** 0.00505*** 0.00740*** 0.00937*** 0.00907*** (0.00105) (0.000573) (0.00151) (0.000811) (0.00198) (0.00120) 0.0106*** 0.0182*** 0.0162*** 0.0270*** 0.00813*** 0.00216 (0.00163) (0.00123) (0.00249) (0.00187) (0.00300) (0.00236) -0.0162*** -0.00986*** -0.00688** -0.0119*** -0.00499 -0.00582 (0.00309) (0.00232) (0.00301) (0.00226) (0.00492) (0.00417) 0.0321*** 0.0140*** 0.0234*** 0.00265 0.185*** 0.204*** (0.00560) (0.00344) (0.00726) (0.00438) (0.0103) (0.00744) 夫の年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes 妻の年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes 夫の学歴ダミー No Yes No Yes No Yes 妻の学歴ダミー No Yes No Yes No Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 13,208 13,208 13,093 13,093 13,810 13,810 ID数 3,021 3,021 3,005 3,005 3,058 3,058 決定係数 0.022 持ち家ダミー 同居人数 子ども(6~17歳)ダミー 未就学児(0~5歳)ダミー 定数項 注 1 :( )内はロバスト標準誤差を示す。 0.009 0.030 • 娯楽・教養費用割合において →交差項の係数は正で有意 娯楽・教養費用割合は政策により約1.2%増加 ・教育費用割合において →交差項の係数は負で有意 教育費用割合は無償化により約0.8%減少 ・食費・外食費用割合において →変量効果モデルでは交差項の係数は正で有意 固定効果モデルでは有意ではないが、符号が同 じことから傾向は似ているといえる。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:FE,REはそれぞれ固定効果モデル、変量効果モデルを示す。 注4:ハウスマン検定の結果、いずれの費目別支出割合においても有意水準1%で固定効果モデルが採択された。 ※傾向スコアを用いた分析でも同様の結果が得られた。推計結果はスライド末尾に掲載 89
5-2. 推計結果 5-3 推計結果3-1 : 費目別支出割合 推計結果 考察 ◆娯楽・教養費用割合増加は親が自身の効用を最大化するために消費行動を変化 させたからと考えられる。 ◆教育費用費用割合の減少は韓国の先行事例とは異なる結果となった。保育施設、 幼稚園における幼児教育が家庭内の教育の代替となったことで減少したと考えられ る。 ◆食費・外食費用割合が増加した理由としては、推計2から既婚女性の就労が促進 されており、ライフスタイルの変化が起こっているといえる。そのため、共働きが増加 し、料理にかける時間が少なくなったことからインスタントに食べることのできるやや 割高な調理済み食品などを買う傾向にシフトしたのではないかと考える。 ※韓国では、子供がいれば保育サービス代の料金が支給されるが、日本では幼稚園・保育園に通園 しなければ料金は支給されない 90
5-3. 推計結果(予備的分析) 5-3 推計結果3-2 : 夫のウェルビーイング 予備的分析 主観的健康状態の推移 政策実施後 生活満足度の推移 メンタルヘルス指標K6の推移 絶対的プレゼンティーズムの推移 幸福度の推移 注:図中の縦棒は95%信頼区間 仕事満足度の推移 政策実施後 政策実施後 政策実施後 政策実施後 ワークエンゲージメントの推移 政策実施後 相対的プレゼンティーズムの推移 政策実施後 ※平行トレンド検定についてはスライド末に掲載 政策実施後 91
5-3. 推計結果(予備的分析) 5-3 推計結果3-2 : 妻のウェルビーイング 予備的分析 主観的健康状態の推移 メンタルヘルス指標K6の推移 政策実施後 生活満足度の推移 政策実施後 ワークエンゲージメントの推移 仕事満足度の推移 政策実施後 政策実施後 幸福度の推移 絶対的プレゼンティーズムの推移 政策実施後 政策実施後 相対的プレゼンティーズムの推移 政策実施後 政策実施後 注:図中の縦棒は95%信頼区間 ※平行トレンド検定についてはスライド末に掲載 92
5. 推計結果 5.3 推計結果3-2 : 夫のウェルビーイング 推計結果 政策効果による親のウェルビーイングの変化 被説明変数:各種ウェルビーイング指標 夫 トリートメントグループ×2020年以降ダミー トリートメントグループ 2020年以降ダミー 勤続年数 大企業ダミー 官公庁ダミー 配偶者の正規ダミー 持ち家ダミー 子ども(6~17歳)の数 未就学児(0~5歳)の数 祖父母同居ダミー 祖父母準同居ダミー 主観的健康状態 メンタルヘルス指標K6 ワークエンゲージメント 仕事満足度 生活満足度 幸福度 -0.0136 0.162 -0.0987 0.136 0.0703 0.0397 -0.663 0.0708* (0.0551) (0.330) (0.0790) (0.138) (0.103) (0.122) (1.454) (0.0366) -0.0558 -0.0186 0.144 0.0308 -0.199* -0.345*** 1.734 -0.0375 (0.0525) (0.429) (0.102) (0.129) (0.109) (0.109) (1.749) (0.0419) -0.0278** 絶対的プレゼンティーズム 相対的プレゼンティーズム -0.0699 -0.205 0.0517 0.608*** 0.248*** -0.0875 1.652** (0.0444) (0.168) (0.0409) (0.122) (0.0899) (0.103) (0.692) (0.0134) -0.00161 0.0675** -0.0122* -0.0552*** -0.00780 -0.0103 0.259** 0.00266* (0.00266) (0.0282) (0.00657) (0.00939) (0.00585) (0.00716) (0.114) (0.00155) -0.0338 -0.239 0.0903 -0.124 0.0289 0.0488 1.030 -0.0215 (0.0310) (0.266) (0.0598) (0.0902) (0.0640) (0.0781) (1.035) (0.0210) -0.00799 -0.614 0.220 0.0844 0.135 0.114 -0.667 0.0229 (0.104) (0.709) (0.171) (0.254) (0.178) (0.186) (2.412) (0.0718) -0.00967 0.215 -0.0776 -0.000749 0.155 -0.0438 -1.602 -0.00485 (0.0455) (0.331) (0.0816) (0.107) (0.107) (0.0878) (1.403) (0.0242) -0.0202 0.359 -0.00332 -0.141 0.285** 0.0963 -1.601 -0.0415 (0.0478) (0.443) (0.103) (0.152) (0.124) (0.127) (2.222) (0.0410) 0.0161 0.221 -0.00807 -0.0279 -0.0530 -0.0373 1.189 -0.0374** (0.0200) (0.177) (0.0457) (0.0535) (0.0415) (0.0437) (0.812) (0.0168) 0.0577 0.295 -0.121* -0.0308 0.0218 0.327*** 0.210 -0.0164 (0.0402) (0.289) (0.0730) (0.109) (0.0895) (0.0932) (1.197) (0.0233) 0.0731* -0.960 -0.201 -0.0356 0.0495 -0.0353 -4.264 0.00635 (0.0416) (0.604) (0.134) (0.109) (0.0977) (0.103) (2.806) (0.0422) -0.0487 -0.144 -0.130 -0.0399 -0.0611 0.0690 -0.944 0.00158 (0.0312) (0.369) (0.0797) (0.0803) (0.0600) (0.0669) (1.637) (0.0316) 3.691*** 9.455*** 3.206*** 6.674*** 6.266*** 6.253*** 60.96*** 1.121*** (0.0739) (0.665) (0.160) (0.512) (0.177) (0.276) (3.070) (0.0529) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 10,998 5,435 5,405 10,955 10,959 10,989 5,402 4,559 ID数 2,485 1,839 1,836 2,476 2,478 2,481 1,832 1,643 決定係数 0.006 0.006 0.009 0.016 0.013 0.006 0.009 0.008 定数項 注1: ()内はロバスト標準誤差を示す。 注2: ***、**、*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 注3:モデルは固定効果モデルを使用 注4:データの制約よりK6、ワークエンゲージメントUWES、絶対的プレゼンティーズム、相対的プレゼンティーズムは2019年以降のデータを利用 ※傾向スコアを用いた分析でも同様の結果が得られた。 また、平行トレンドの仮定も満たされていることが確認できた 93
5. 推計結果 5.3 推計結果3-2 : 妻のウェルビーイング 推計結果 政策効果による親のウェルビーイングの変化 被説明変数:各種ウェルビーイング指標 妻 トリートメントグループ×2020年以降ダミー トリートメントグループ 主観的健康状態 メンタルヘルス指標K6 ワークエンゲージメント 仕事満足度 生活満足度 幸福度 -0.0414 0.249 0.115 -0.342** -0.0126 -0.0264 0.563 0.0467 (0.0586) (0.388) (0.0913) (0.148) (0.116) (0.131) (1.947) (0.0358) -0.00709 絶対的プレゼンティーズム 相対的プレゼンティーズム -0.0355 0.730 -0.198* 0.0709 -0.0808 -0.444*** 1.085 (0.0597) (0.469) (0.119) (0.157) (0.117) (0.149) (2.355) (0.0404) 2020年以降ダミー -0.116** 0.264 -0.0695 0.509*** 0.288*** -0.214** 2.127** -0.0295** (0.0454) (0.174) (0.0499) (0.135) (0.0955) (0.106) (0.864) (0.0136) 勤続年数 -0.00589* 0.0172 -0.0140 -0.0402*** -0.00525 0.00636 0.276 0.00117 (0.00346) (0.0327) (0.0109) (0.0132) (0.00745) (0.00859) (0.197) (0.00241) 0.0545* -0.356 0.000525 0.120 0.0300 0.0582 0.201 -0.0272 (0.0309) (0.269) (0.0673) (0.0976) (0.0669) (0.0731) (1.117) (0.0198) 大企業ダミー 官公庁ダミー 配偶者の正規ダミー 持ち家ダミー 子ども(6~17歳)の数 未就学児(0~5歳)の数 祖父母同居ダミー 祖父母準同居ダミー 0.0559 0.686 0.0194 0.526* 0.346 0.133 -0.442 0.0442 (0.0883) (1.132) (0.262) (0.279) (0.244) (0.223) (4.117) (0.0569) -0.0337 0.274 0.0584 0.0859 -0.0851 0.0636 2.427 0.0319 (0.0431) (0.390) (0.115) (0.158) (0.0812) (0.111) (2.261) (0.0309) -0.00343 0.0173 -0.953* 0.0450 -0.256 0.314** 0.330** -3.297 (0.0628) (0.488) (0.120) (0.177) (0.137) (0.135) (2.103) (0.0391) 0.0363* 0.231 -0.0806* 0.0470 -0.0319 -0.0308 1.051 -0.0358** (0.0197) (0.171) (0.0489) (0.0588) (0.0425) (0.0475) (0.827) (0.0166) 0.105** -0.553* 0.0101 0.105 0.0426 0.533*** -1.749 -0.0162 (0.0438) (0.306) (0.0949) (0.117) (0.0946) (0.129) (1.743) (0.0231) 0.0289 0.365 -0.218* 0.139 -0.0453 -0.141 1.401 0.00291 (0.0411) (0.482) (0.121) (0.114) (0.0906) (0.104) (2.355) (0.0407) 0.0115 0.299 0.0493 0.0475 0.0125 -0.0757 0.787 0.0252 (0.0317) (0.372) (0.0981) (0.0914) (0.0672) (0.0729) (1.817) (0.0365) 3.884*** 11.18*** 3.271*** 5.646*** 5.352*** 6.875*** 57.80*** 1.322*** (0.133) (0.655) (0.193) (0.307) (0.173) (0.262) (3.599) (0.0565) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 9,933 4,938 4,895 9,912 9,931 9,939 4,846 4,796 ID数 2,382 1,755 1,755 2,382 2,382 2,385 1,740 1,734 決定係数 0.008 0.011 0.006 0.012 0.013 0.017 0.011 0.009 定数項 注1: ()内はロバスト標準誤差を示す。 注2: ***、**、*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 注3:モデルは固定効果モデルを使用 注4:データの制約よりK6、ワークエンゲージメントUWES、絶対的プレゼンティーズム、相対的プレゼンティーズムは2019年以降のデータを利用 ※傾向スコアを用いた分析でも同様の結果が得られた。 また、平行トレンドの仮定も満たされていることが確認できた 94
5-3 推計結果3-2 : 親のウェルビーイング 無償化政策が夫のウェルビーイングに与える影響 推計結果 無償化政策が妻のウェルビーイングに与える影響 被説明変数:各種ウェルビーイング指標 被説明変数:各種ウェルビーイング指標 • 妻の仕事満足度において、交差項の係数が 負で有意 トUWES 主観的健康状態 主観的生産性 仕事満足度 生活満足度 メンタルヘルス指標K6 ワークエンゲージメントUWES (4) (5) (6) (1) (2) (3) →無償化によって妻の仕事満足度が0.342減少している。 幸福度 主観的生産性 (4) (7) 絶対的プレゼンティーズム 仕事満足度 (5) (8) 相対的プレゼンティーズム 生活満足度 (6) (9) -0.0414 -0.0663 0.249 0.136 0.115 0.0871 0.0563 0.0397 -0.342**-0.663 0.0708* -0.0989 (0.0586) (0.145) (0.388) (0.138) (0.0913)(0.172) (0.195)(0.122) (0.148)(1.454) (0.0366) (0.177) -0.0355 0.173 0.730 0.0308 -0.198* -0.170 0.109-0.345*** 0.0709 1.734 -0.0375 -0.0365 (0.175) (0.109) (0.469) (0.129) (0.119) (0.187) (0.236) • (0.0597) 夫の相対的プレゼンティーズムにおいて、交差項の係数が 正 に有意 (0.157)(1.749) (0.0419) (0.192) 1.652** 0.509*** -0.0278** 0.166 (0.135)(0.692) (0.0134) (0.140) 0.259** -0.0402*** (0.114) (0.0132) 0.00266* -0.00651 (0.00155) (0.0105) 0.120 1.030 (1.035) (0.0976) -0.0215 -0.0447 (0.0210) (0.0885) 0.105 0.210 (0.117)(1.197) -0.0164 -0.0883 (0.0233) (0.154) 0.139 -4.264 0.00635 -0.117 -0.116** 0.165** 0.264 0.608*** -0.0695 0.201 0.213**-0.0875 →周りの従業員と比べて夫の仕事におけるプレゼンティーズムが0.708増 (0.0454) (0.0692) (0.174) (0.122) (0.0499)(0.154) (0.0864)(0.103) -0.00589*0.0259** 0.0172-0.0552*** -0.0140-0.00842 0.0276-0.0103 加している (0.00346)(0.0114) 0.0545* 0.103 (0.0327)(0.00939) -0.356 -0.124 (0.00958) (0.0109) 0.0005250.0825 (0.00716) (0.0197) 0.0201 0.0488 (0.0309) (0.104) 0.0559 -0.0667 (0.269) (0.0902) 0.686 0.0844 (0.0673)(0.0929) 0.0194 -0.176 (0.112)(0.0781) -0.0442 0.114 0.105** 0.0210 -0.553* -0.0308 0.0101 0.0556 -0.1750.327*** =労働に関係する環境が改善され、生産性が向上した 考察 0.526*-0.667 0.517*0.0229 (0.0718) (0.0883) (0.241) (1.132) (0.254) (0.262) (0.295) (0.412)(0.186) (0.279)(2.412) (0.293) ◆無償化政策は子育て世帯の女性の労働を促進し、働き方の幅を広げたと推計2-1から言える。 -0.00485 -0.0337 -0.160 0.274 -0.000749 0.0584 0.0639 0.243 -0.0438 0.0859-1.602 -0.190 (0.0242) ◆ただし、傾向として、非正規雇用が増加しており、仕事の内容が単純なものに変化し、その分やりがいが低下し (0.0431) (0.140) (0.390) (0.107) (0.115) (0.143) (0.226)(0.0878) (0.158)(1.403) (0.154) -0.0415 0.0173 -0.160 -0.953* -0.141 0.0450 -0.113 -0.330 0.0963 -0.256-1.601 0.578*** ていったと考えられる。 (0.0410) (0.0628) (0.222) (0.488) (0.152) (0.120) (0.263) (0.210)(0.127) (0.177)(2.222) (0.201) ◆一方で、既婚女性の就労は増加したことで、家計を支える者が夫だけではなくなり、心理的不安が軽減されたこ -0.0374** 0.0363* 0.119 0.231 -0.0279 -0.0806*0.0482 0.105 -0.0373 0.0470 1.189 -0.0396 とで相対的な生産性が上がったと考えられる。 (0.0437) (0.812) (0.0168) (0.0197) (0.0812) (0.171) (0.0535) (0.0489)(0.0746) (0.0827) (0.0588) (0.0612) 経済産業省「企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協同による健康づくりのススメ~」によると日本人の (0.0438) (0.120) (0.306) (0.109) (0.0949)(0.164) (0.174)(0.0932) 性格気質を考慮すると、相対的プレゼンティーズムを重視するべきとされている 0.0289 -0.426 0.365 -0.0356 -0.218* 0.190 0.140 -0.0353 95
アウトライン 1. テーマ紹介 2. 背景・問題意識 3. 先行研究 4. 分析アプローチ 5. 推計結果 6. おわりに 96
6. おわりに 6. おわりに――幼児教育・保育の無償化の政策評価 【推計1】 • 比較的高所得層(世帯年間収入上位21~40%)の保育園・幼稚園利用率が増加し、高所得層ほ ど政策効果を受けていることが判明した。 【推計2】 • 女性の労働時間が増加していることが傾向スコアの重み付けを用いた分析からも女性の労働 時間が増加していることがいえ、非正規雇用の増加、正社員(役職なし)の減少/正社員(役職あ り)の増加から、働き方の多様性が広がり、個人の選好による二極化が起こっているといえる。 【推計3-1】 • 無償化政策により教養娯楽費用の増加、教育費用割合の減少、食費・外食費用割合の増加か ら、個人の効用を向上させる消費行動をとっている。 【推計3-2】 • 仕事に関する主観的ウェルビーイングにおいて夫は改善、妻は悪化しているのが観察できた。 97
6. おわりに 6. おわりに――幼児教育・保育の無償化の政策評価 【推計1】 • 比較的高所得層(世帯年間収入上位21~40%)の保育園・幼稚園利用率が増加し、高所得層ほ ど政策効果を受けていることが判明した。 【推計2-1】 • 女性の労働時間が増加していることが傾向スコアの重み付けを用いた分析からも女性の労働 時間が増加していることがいえ、非正規雇用の増加、正社員(役職なし)の減少/正社員(役職あ り)の増加から、働き方の多様性が広がり、個人の選好による二極化が起こっているといえる。 • 【推計2-2】 • 無償化政策により教養娯楽費用の増加、教育費用割合割合の減少、食費・外食費用割合の増 加から、個人の効用を向上させる消費行動をとっている。 【推計3】 • 仕事に関する主観的ウェルビーイングにおいて夫婦ともに悪化がみられた。 98
6. おわりに 6. おわりに――幼児教育・保育の無償化の政策評価 【本研究における課題点】 • 政府統計によると、保育園等・幼稚園の利用率は60%超えだが、本 研究のデータでは、約40%であり、乖離がある。 • ウェルビーイング指標の一部(K6・ワークエンゲージメント・主観的生 産性・絶対的プレゼンティーズム・相対的プレゼンティーズム)が 2019年からしかデータの取得ができず、平衡トレンドの仮定が満た されていない可能性がある。 • 本研究のデータでは、サンプルサイズが大きくない。保育園・幼稚園 の利用者や非課税世帯が少ないため厳密な政策評価とはいえない 可能性がある。 99
参考文献 参考文献 • 「幼児教育・保育の無償化について」内閣府文部科学省・厚生労働省,https://www.mext.go.jp/comp onent/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/08/15/1419586-5.pdf • 「子ども・子育て関連3法について」内閣府・文部科学省・厚生労働省,2013年4月, https://warp.da.ndl.go.j p/info:ndljp/pid/12772297/www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/s-abo ut.pdf • 「少子化の決定要因と対策について: 夫の役割、職場の役割、政府の役割、社会の役割」 山口 一男, 経 済産業研究所, https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/04j045.pdf • 「現代日本の結婚と出産―第16回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書―, 国立社会 保障・人口問題研究所, 2023年8月31日, https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16_ ReportALL.pdf • 「経済財政運営と改革の基本方針 2018 について」, 閣議決 定, 2019年6月15日, https://www5.cao.g o.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2018/2018_basicpolicies_ja.pdf • 「新しい経済政策パッケージについて」, 閣議決定, 2018年12月08日, https://www5.cao.go.jp/keiza i1/package/20171208_package.pdf • 「幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針」,関係閣僚合意, 2018年12月28日https://w ww.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/20/141459 2_001_1.pdf 100
参考文献 参考文献 • 深井大洋(2019),「保育所整備は女性の就業率や出生率を上げたのかー保育所整備の制作評価」,日本労働研究 雑誌 No.707, https://www.jil.go.jp/institute/zassi/Mbacknumber/2019/06/pdf/004-020.pdf • 宇南山卓(2023),「保育所等の整備が出生率に与える影響」,独立行政法人経済産業研究所 23-J-030, https:// www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/23090003.html • Asai(2007),「保育所整備は母親の就業率をなぜ押し上げなかったのか」, https://www.sciencedirect.com/ science/article/abs/pii/S0927537118300939?via%3Dihub • 山口慎太郎, 「保育政策の意図せざる帰結 」, https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2019/06 /pdf/021-034.pdf • 日本総合研究所, 「幼児教育・保育の無償化の効果等の把握に関する調査研究 」, https://www.jri.co.jp/Me diaLibrary/file/column/opinion/detail/2021_13359.pdf • 中山 徹, 「幼児教育・保育無償化のとらえ方抜本的改善の方向性 」, https://www.jstage.jst.go.jp/article/c onsumercoopstudies/529/0/529_5/_pdf/-char/ja • 浜野陸, 「幼児教育・保育の国際的動向 」, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jces/2021/63/2021_ 2/_pdf 101
参考文献 参考文献 • 宇南山 卓(2010),「児童手当が家計消費に与えた影響」,https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/11j0 21.html • 西村 智「児童手当制度の役割とその効果を考える 」, https://www.jstage.jst.go.jp/article/consumercoo pstudies/393/0/393_18/_pdf/-char/ja • 高久 「児童手当が両親の心理的健康に与える影響: 中低所得世帯における検証 」, https://www.ipss.go.jp/ syoushika/bunken/data/pdf/20038507.pdf • 浅川,「児童手当制度が母親の就業状態に与えた政策効果の推定―日本家計調査パネルを用いて 」, https://ka ken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19J12418/ • Asai, Y. , Kambayashi, R. , Yamaguchi, S. ,2015. Childcare availability,household struc- ture, and maternal employment. J. Jpn. Int. Economies • Brilli, Y., Boca, D.D., Pronzato, C.D. (2013).. Does child care availability play a role in maternal employment and children’s development? Evidence from Italy. Rev. Econ. Household • Lee, G.H.Y., Lee, S.P. (2014).Childcare availability, fertility and female labor force participation in Japan. J. Jpn. Int. Economies • Kinoshita, Y., Guo, F. (2015).What can boost female labor force participation in Asia? IMF Working Paper, WP 102
ご清聴 ありがとうございました FBよろしくお願いいたします 103
(0.125) ×3分位 補論 -0.0374 (0.112) ×2分位 0.132 (0.126) ×1分位 推計1 平行トレンド検定 -0.0826 (0.111) 2018年ダミー ×4分位 0.0520 (0.124) ×3分位 0.0124 (0.117) ×2分位 推計1:平行トレンド検定 推計1: 平行トレンド検定 被説明変数:保育園・幼稚園利用ダミー 年ダミー×世帯年間収入5分位ダミー(ベース=5分位(上位20%)) ×1分位 ×4分位 -0.159 2019年ダミー (0.119) ×4分位 ×3分位 -0.0752 ×2分位 -0.0164 ×3分位 (0.119) -0.0972 (0.109) -0.0374 (0.112) ×2分位 0.132 ×1分位 -0.0826 (0.111) 世帯年間収入階層ダミー(ベース=5分位, 1分位=下位20%) 4分位 -0.0425 3分位 -0.182** -0.088 (0.0788) 2018年ダミー ×4分位 0.0520 2分位 (0.124) ×3分位 0.0124 (0.117) ×2分位 ×1分位 1分位 -0.145* (0.0784) 定数項 -0.0648 (0.116) -0.132 (0.0862) 0.0174 (0.126) 0.224** (0.0987) (0.126) ×1分位 0.136 (0.106) (0.125) ×3分位 0.215** (0.101) ×2分位 2017年ダミー -0.132 0.0642 (0.110) (0.115) ×4分位 -0.0648 (0.116) 2016年ダミー ×1分位 0.0174 (0.126) 0.384 (0.458) 年ダミー Yes ×4分位 0.0642 サンプルサイズ 1,867 (0.110) 決定係数R² 0.142 ×3分位 0.215** 2019年ダミー (0.101) ×2分位 ×1分位 注1: ()内はロバスト標準誤差を示す。 0.136 注2: ***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 (0.106) 注3:コントロール変数として、共働きダミー、祖父母同居ダミー、祖父母準同居ダミー、 0.224** (0.0987) 子ども(6~17歳)の数、未就学児(0~5歳)の数を用いている。 世帯年間収入階層ダミー(ベース=5分位, 1分位=下位20%) 4分位 -0.0425 3分位 -0.182** -0.088 (0.0788) 2分位 -0.132 104
補論 推計2-1 親(就労者)の労働時間の推移 いずれのモデルの交差項の係数 は統計的に有意ではない 105
補論 推計2 平行トレンド検定 推計2-1: 平行トレンド検定 推計2-2: 平行トレンド検定 推計2-2:平行トレンド検定 推計2-1:平行トレンド検定 被説明変数:費目別支出割合 被説明変数:週平均労働時間 夫 ×2017年ダミー ×2018年ダミー ×2019年ダミー 教育費用割合 食費・外食費割合 トリートメントグループ×年ダミー(ベース=2015年) トリートメントグループ×年ダミー(ベース=2015年) ×2016年ダミー 娯楽費用割合 妻 0.759 -1.331 (2.086) (1.934) 2.536 2.789 (1.922) (2.101) -0.964 -1.021 (2.058) (1.862) 1.887 -2.278 (1.772) (1.715) トリートメントグループ -0.454 0.583 (1.733) (1.822) 定数項 47.42*** 26.40*** (3.806) (4.434) 年ダミー Yes Yes サンプルサイズ 6,821 6,073 決定係数R² 0.017 0.260 注1: ()内はロバスト標準誤差を示す。 注2: ***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 注3:コントロール変数として、持ち家ダミー、子ども(6~17歳)の数、未就学児(0~5歳)の数を用いている。 ×2016年ダミー ×2017年ダミー ×2018年ダミー ×2019年ダミー トリートメントグループ 定数項 0.00110 -0.00326 0.00254 (0.00608) (0.00738) (0.00857) 0.00340 -0.00609 0.00452 (0.00620) (0.00735) (0.00897) -0.000419 -0.00654 0.0149 (0.00703) (0.00773) (0.00965) 0.00536 0.00480 0.0164* (0.00620) (0.00686) (0.00842) 0.00272 0.00833 -0.00727 (0.00492) (0.00626) (0.00745) 0.0183*** 0.0120** 0.223*** (0.00391) (0.00560) (0.00649) 年ダミー Yes Yes Yes サンプルサイズ 8,736 8,652 9,048 決定係数R² 0.065 0.087 0.051 注1: ()内はロバスト標準誤差を示す。 注2: ***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 注3:コントロール変数として、祖父母同居ダミー、祖父母準同居ダミー、夫の正規尾用ダミー、妻の正規雇用ダミー、持ち家ダミー、同居人数、 子ども(6~17歳)ダミー、幼児(0~5歳)ダミーを用いている。 106
補論 推計2-1 傾向スコア加重を用いた分析 推計2-1: 週平均労働時間 推計2-1: サンプルを就労者に限定 無償化政策が親への労働時間に与える影響 無償化政策が親への労働時間に与える影響 被説明変数:週平均労働時間 妻 トリートメントグループダミー×2020年以降ダミー トリートメントグループダミー 定数項 WLS FE WLS FE (1) (2) (3) (4) 2.419** -0.250 0.222 1.316 (1.035) (0.944) (1.173) (1.174) -1.709 0.471 1.261 0.335 (0.890) (1.466) (1.215) -0.117 0.204 -1.182 -3.550*** (0.780) (0.752) (0.853) (0.857) 0.781 -0.625 1.061* 0.250 (0.478) (1.491) (0.564) (1.182) -1.478*** -0.800* 0.861*** -0.368 (0.284) (0.411) (0.253) (0.477) -1.846** -3.575*** -1.896* -2.376** (0.872) (0.832) (1.041) (1.042) 28.76*** 24.88*** 38.71*** 42.52*** 持ち家ダミー 未就学児(0~5歳)の数 妻 (1.214) 2020年以降ダミー 子ども(6~17歳)の数 被説明変数:週平均労働時間 夫 (0.863) (1.474) (1.062) (1.345) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー Yes No Yes No 年ダミー Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 12,546 12,106 13,913 13,457 決定係数 0.019 0.705 0.005 0.628 注1:(1),(3)の()内はロバスト標準誤差、(2),(4)はクラスタ標準誤差を表す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:(1)~(4)では傾向スコアによる重み付けを行っている 注4:傾向スコアの共変量には夫婦の年齢ダミー・学歴ダミー、同居人数、 子ども(6~17歳)ダミー、未就学児(0~5歳)ダミー、持ち家ダミー、年ダミーを使用 トリートメントグループダミー×2020年以降ダミー トリートメントグループダミー 夫 WLS FE WLS FE (1) (2) (3) (4) 1.082 -0.650 0.376 1.672 (1.060) (1.091) (1.175) (1.171) 0.00786 1.155 0.135 1.343 (1.388) (1.009) (1.463) (1.215) 2020年以降ダミー -0.590 -0.0111 -1.127 -3.630*** (0.767) (0.826) (0.852) (0.856) 持ち家ダミー -1.429*** 0.254 0.969* 0.164 (0.469) (1.103) (0.561) (1.179) -1.476*** -1.148*** 0.802*** -0.423 (0.224) (0.417) (0.254) (0.467) -2.356** 子ども(6~17歳)の数 未就学児(0~5歳)の数 定数項 -1.569 -1.602* -2.059** (1.059) (0.872) (1.041) (1.049) 32.23*** 27.70*** 38.91*** 42.85*** (0.861) (1.258) (1.062) (1.343) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー Yes No Yes No 年ダミー Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 10,323 9,839 13,775 13,311 決定係数 0.018 0.653 0.004 0.633 注1:(1),(3)の()内はロバスト標準誤差、(2),(4)はクラスタ標準誤差を表す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:(1)~(4)では傾向スコアによる重み付けを行っている 注4:傾向スコアの共変量には夫婦の年齢ダミー・学歴ダミー、同居人数、 子ども(6~17歳)ダミー、未就学児(0~5歳)ダミー、持ち家ダミー、年ダミーを使用 107
補論 推計2-2 傾向スコア加重を用いた分析 無償化政策が費目別支出割合に与える影響 推計2-2: 費目別支出割合 被説明変数:費目別支出割合 娯楽・教養費用割合 2020年以降ダミー 祖父母同居ダミー WLS FE WLS FE (1) (2) (3) (4) (5) (6) 0.00408 0.0157*** -0.0134*** -0.00973** 0.00958* 0.0114* (0.00255) (0.00338) (0.00330) (0.00422) (0.00537) (0.00626) -0.000792 -0.00646 0.0198*** 0.0164*** -0.00256 -0.00546 (0.00287) (0.00396) (0.00360) (0.00459) (0.00555) (0.00571) -0.00654*** -0.0220*** -0.00492 -0.0123*** 0.0285*** 0.0401*** (0.00245) (0.00360) (0.00384) (0.00458) (0.00521) (0.00672) -0.00614*** -0.000470 -0.00986*** -0.00380 -0.00492 0.000351 (0.00183) (0.00317) (0.00255) (0.00422) (0.00349) (0.00794) 祖父母準同居ダミー 夫の正規雇用ダミー 妻の正規雇用ダミー 持ち家ダミー 同居人数 子ども(6~17歳)ダミー 未就学児(0~5歳)ダミー 定数項 食費・外食費割合 FE トリートメントグループダミー×2020年以降ダミー トリートメントグループダミー 教育費用割合 WLS 0.00130 0.00249 -0.00233 0.00220 -0.00527* -0.00985** (0.00141) (0.00275) (0.00223) (0.00319) (0.00279) (0.00457) -0.00292* 0.000639 -0.000828 -0.00103 -0.00118 0.00357 (0.00166) (0.00336) (0.00215) (0.00355) (0.00303) (0.00621) 0.000712 0.000715 -6.79e-05 0.00600 -0.00841*** -0.00474 (0.00145) (0.00287) (0.00197) (0.00528) (0.00275) (0.00645) 0.0116*** 0.0107*** 0.0143*** -0.00187 0.0328*** 0.0368*** (0.00128) (0.00404) (0.00170) (0.00568) (0.00246) (0.00795) 0.00182** 0.00140 0.00448*** 0.00504*** 0.00683*** 0.00668** (0.000891) (0.00116) (0.000822) (0.00186) (0.00152) (0.00272) 0.0184*** 0.00544*** 0.0407*** 0.0211*** -0.00309 0.00523 (0.00171) (0.00207) (0.00229) (0.00353) (0.00288) (0.00386) -0.00854*** -0.0187*** -0.0152*** -0.0101* -0.00321 -0.00559 (0.00302) (0.00485) (0.00362) (0.00530) (0.00554) (0.00619) 0.01000*** 0.00597 0.00320 -0.0639*** 0.223*** 0.181*** (0.00365) (0.0155) (0.00538) (0.0197) (0.00750) (0.0197) 夫の年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes 妻の年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes 夫の学歴ダミー Yes No Yes No Yes No 妻の学歴ダミー Yes No Yes No Yes No 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 12,950 12,467 12,804 12,311 13,688 13,230 決定係数 0.097 0.476 0.128 0.526 0.041 0.533 注 1 :(1),(3),(5)の( )内はロバスト標準誤差、(2),(4),(6)の( )内は(1),(3),(5)の( )内はクラスタ標準誤差を示す。 注2:*** ,**,*印はそれぞれ1%水準,5%水準,10%水準で有意であることを示す。 注3:(1)~(6)のいずれにおいても傾向スコアによる重み付けをしている 注4:傾向スコアの共変量には夫婦の年齢ダミー・学歴ダミー、同居人数、子ども(6~17歳)ダミー、未就学児(0~5歳)ダミー、持ち家ダミー、年ダミーを使用 108
補論 推計3夫 平行トレンド検定 推計3夫: 平行トレンド検定 推計3:平行トレンド検定 被説明変数:夫のウェルビーイング指標 主観的健康状態 メンタルヘルス指標 ワークエンゲージメント K6 UWES 仕事満足度 生活満足度 幸福度 -0.256 -0.341 (0.231) 絶対的プレゼンティーズム 相対的プレゼンティーズム トリートメントグループ ×年ダミー(ベース=2015年) ×2016年ダミー 0.0568 -0.275 (0.114) (0.296) (0.235) ×2017年ダミー -0.00514 0.0281 -0.0494 -0.378 (0.120) (0.293) (0.246) (0.244) 0.128 0.210 0.225 0.000529 (0.123) (0.299) (0.245) (0.251) 0.0130 -0.344 -0.213 -0.457** (0.259) (0.200) (0.204) -0.0390 -0.198 -0.340* ×2018年ダミー ×2019年ダミー (0.103) -0.501 -0.108 0.897 0.0655 トリートメントグループ -0.203** (0.0969) (1.072) (0.154) (0.247) (0.195) (0.192) (2.119) (0.0477) 定数項 3.280*** 10.69*** 3.652*** 4.809*** 4.914*** 5.548*** 70.26*** 1.056*** (0.0547) (1.046) (0.156) (0.149) (0.124) (0.125) (2.091) (0.0393) Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes コントロール変数 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 7,191 1,647 1,637 7,164 7,164 7,184 1,628 1,363 決定係数 0.024 0.043 0.030 0.025 0.044 0.038 0.022 0.010 注1: ()内はロバスト標準誤差を示す。 注2: ***、**、*はそれぞれ1%、5%、10%で有意であることを示す。 注3:データの制約によりK6、ワークエンゲージメントUWES、絶対的プレゼンティーズム、相対的プレゼンティーズムは2019年以降のデータを利用 注4:コントロール変数として、勤続年数、大企業ダミー、官公庁ダミー、配偶者の正規雇用ダミー、持ち家ダミー、子ども(6~17歳)の数、 未就学児(0~5歳)の数、祖父母同居ダミー、祖父母準同居ダミーを用いている。 109
補論 推計3妻 平行トレンド検定 推計3妻: 平行トレンド検定 推計3:平行トレンド検定 被説明変数:妻のウェルビーイング指標 主観的健康状態 メンタルヘルス指標 ワークエンゲージメント K6 UWES 仕事満足度 生活満足度 幸福度 絶対的プレゼンティーズム 相対的プレゼンティーズム トリートメントグループ ×年ダミー(ベース=2015年) ×2016年ダミー ×2017年ダミー ×2018年ダミー ×2019年ダミー 0.103 0.255 0.501 -0.193 (0.122) (0.321) (0.309) (0.282) 0.259** 0.140 0.293 -0.337 (0.128) (0.343) (0.322) (0.317) -0.536* 0.295** 0.140 0.142 (0.126) (0.340) (0.310) (0.304) 0.0783 -0.263 0.197 -0.542** (0.110) (0.281) (0.263) (0.249) -0.325*** 2.015 -0.277 -0.119 -0.628** -0.511** 4.039 0.0441 (0.104) (1.273) (0.169) (0.261) (0.258) (0.241) (2.630) (0.0479) 3.253*** 11.49*** 3.073*** 4.939*** 4.957*** 5.761*** 60.27*** 1.045*** (0.0529) (1.016) (0.157) (0.141) (0.123) (0.121) (2.150) (0.0363) コントロール変数 Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 6,464 1,483 1,463 6,452 6,463 6,466 1,438 1,426 決定係数 0.042 0.027 0.024 0.038 0.059 0.058 0.026 0.008 トリートメントグループ 定数項 注1:()内はロバスト標準誤差を示す。 注2: ***、**、*はそれぞれ1%、5%、10%で有意であることを示す。 注3:データの制約によりK6、ワークエンゲージメントUWES、絶対的プレゼンティーズム、相対的プレゼンティーズムは2019年以降のデータを利用 注4:コントロール変数として、勤続年数、大企業ダミー、官公庁ダミー、配偶者の正規雇用ダミー、持ち家ダミー、子ども(6~17歳)の数、 未就学児(0~5歳)の数、祖父母同居ダミー、祖父母準同居ダミーを用いている。 110
補論 推計3 傾向スコア加重を用いた分析 推計3夫: ウェルビーイング トリートメントグループ×2020年以降ダミー トリートメントグループ 2020年以降ダミー 勤続年数 大企業ダミー 官公庁ダミー 配偶者の正規ダミー 持ち家ダミー 子ども(6~17歳)の数 未就学児(0~5歳)の数 祖父母同居ダミー 祖父母準同居ダミー 無償化政策が夫のウェルビーイングに与える影響 被説明変数:夫の各種ウェルビーイング指標 主観的健康状態 メンタルヘルス指標 ワークエンゲージメント K6 UWES 仕事満足度 生活満足度 幸福度 絶対的プレゼンティーズム (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) -0.00541 0.135 -0.141 0.142 0.108 -0.0308 -0.323 0.0663* (0.0634) (0.390) (0.0915) (0.153) (0.121) (0.140) (1.664) (0.0384) -0.0285 -0.289 0.229* 0.0648 -0.340** -0.338*** 1.895 -0.0124 (0.0651) (0.505) (0.122) (0.182) (0.134) (0.121) (2.044) (0.0459) -0.0321* 相対的プレゼンティーズム -0.0132 -0.189 0.0347 0.686*** 0.357*** 0.163 0.798 (0.0544) (0.204) (0.0503) (0.154) (0.114) (0.132) (0.905) (0.0188) 1.13e-05 0.0539*** -0.00675 -0.0447*** -0.00927 -0.0106 0.313*** 0.00480** (0.00282) (0.0206) (0.00737) (0.0101) (0.00653) (0.00742) (0.115) (0.00200) -0.0262 -0.344 0.0934 -0.0189 0.0426 0.0451 0.238 -0.00349 (0.0424) (0.298) (0.0708) (0.106) (0.0671) (0.0860) (1.400) (0.0246) -0.0223 0.512 0.122 0.0675 0.135 -0.0495 -1.381 0.0335 (0.103) (0.593) (0.146) (0.250) (0.147) (0.205) (2.270) (0.0885) -0.0417 -0.0272 -0.196* -0.0508 0.0152 -0.169 -0.679 0.0105 (0.0549) (0.504) (0.113) (0.149) (0.101) (0.109) (2.076) (0.0250) -0.0363 0.993* 0.0545 0.0705 0.313* 0.136 0.564 -0.00852 (0.0526) (0.574) (0.122) (0.193) (0.172) (0.153) (3.351) (0.0580) 0.0379 -0.0101 0.00125 -0.0619 -0.0966* -0.00270 0.728 -0.0247 (0.0257) (0.206) (0.0532) (0.0668) (0.0494) (0.0506) (0.997) (0.0209) 0.0444 0.402 -0.194** -0.0573 0.118 0.443*** -0.423 -0.0234 (0.0554) (0.340) (0.0951) (0.178) (0.122) (0.109) (1.386) (0.0247) 0.0797* -0.900 -0.0681 -0.0508 0.0420 -0.122 -2.673 0.0466 (0.0479) (0.690) (0.172) (0.127) (0.111) (0.121) (3.094) (0.0589) -0.0599 -0.643 -0.167** -0.0973 -0.116 0.0367 -3.171* -0.0327 (0.0418) (0.392) (0.0729) (0.108) (0.0756) (0.0841) (1.775) (0.0364) 3.555*** 9.632*** 3.168*** 6.344*** 6.180*** 6.004*** 60.40*** 1.049*** (0.0818) (0.756) (0.196) (0.510) (0.220) (0.303) (4.154) (0.0735) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 10,580 5,112 5,079 10,536 10,539 10,569 5,077 4,218 決定係数 0.637 0.925 0.805 0.686 0.681 0.628 0.608 0.451 定数項 注1: ()内はロバスト標準誤差を示す。 注2: ***、**、*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 注3:モデルは傾向スコアの重み付けをした固定効果モデルを使用 注4:傾向スコアの共変量には夫婦の年齢ダミー・学歴ダミー、同居人数、子ども(6~17歳)ダミー、未就学児(0~5歳)ダミー、 持ち家ダミー、年ダミーを使用 111
補論 推計3 傾向スコア加重を用いた分析 推計3妻: ウェルビーイング 無償化政策が妻のウェルビーイングに与える影響 被説明変数:各種ウェルビーイング指標 主観的健康状態 トリートメントグループ2020年以降ダミー トリートメントグループ 2020年以降ダミー 勤続年数 大企業ダミー メンタルヘルス指標 ワークエンゲージメント K6 UWES 仕事満足度 生活満足度 幸福度 絶対的プレゼンティーズム (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 相対的プレゼンティーズム (8) -0.0137 0.217 0.164 -0.199 0.0120 0.00889 0.482 0.0429 (0.0632) (0.407) (0.103) (0.169) (0.128) (0.150) (2.126) (0.0387) -0.0342 0.794 -0.233 0.0486 -0.0609 -0.438** 1.736 0.0248 (0.0619) (0.506) (0.149) (0.222) (0.146) (0.216) (2.814) (0.0514) -0.214*** 0.286 -0.0517 0.296* 0.133 -0.299** 1.904* -0.0280 (0.0593) (0.215) (0.0577) (0.169) (0.126) (0.142) (1.140) (0.0189) 0.000240 -0.0256 -0.0124 -0.0212 0.00784 0.00252 0.350 -4.22e-05 (0.00403) (0.0415) (0.0110) (0.0157) (0.0106) (0.00990) (0.292) (0.00248) 0.0642* 0.0967 -0.0304 0.176 0.0261 0.0799 -0.641 -0.0338 (0.0371) (0.307) (0.0762) (0.126) (0.0813) (0.0877) (1.459) (0.0257) 官公庁ダミー -0.00416 -0.331 -0.0172 0.418 0.321 0.184 3.390 0.0578 (0.101) (1.085) (0.255) (0.292) (0.271) (0.226) (4.235) (0.0670) 配偶者の正規ダミー 0.00311 0.160 0.0253 0.0473 -0.131 -0.0216 3.856 0.0682* (0.0371) 持ち家ダミー 子ども(6~17歳)の数 未就学児(0~5歳)の数 祖父母同居ダミー 祖父母準同居ダミー (0.0549) (0.465) (0.158) (0.190) (0.162) (0.150) (2.503) 0.0274 -1.302*** -0.0933 -0.116 0.258 0.414** -4.033 -0.0181 (0.0758) (0.493) (0.148) (0.199) (0.191) (0.184) (3.042) (0.0573) 0.0455* 0.297 -0.0834 -0.00699 -0.0573 -0.0677 1.891* -0.0308 (0.0236) (0.203) (0.0587) (0.0681) (0.0551) (0.0606) (0.981) (0.0203) 0.0934* -0.591* 0.0296 0.0825 -0.0279 0.427** -1.290 -0.0386 (0.0476) (0.316) (0.121) (0.195) (0.140) (0.212) (2.107) (0.0387) 0.0402 0.837 -0.321* 0.0647 -0.114 -0.247* 1.831 0.0489 (0.0557) (0.556) (0.194) (0.147) (0.127) (0.131) (2.632) (0.0571) 0.0382 0.338 0.147 0.0860 0.102 -0.0436 2.138 -0.0232 (0.0404) (0.368) (0.127) (0.110) (0.0810) (0.0893) (2.693) (0.0386) 3.832*** 12.25*** 3.410*** 5.380*** 5.143*** 6.876*** 56.09*** 1.265*** (0.108) (0.735) (0.243) (0.331) (0.287) (0.282) (5.249) (0.0757) 年齢ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 学歴ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 年ダミー Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes サンプルサイズ 9,498 4,576 4,522 9,472 9,493 9,498 4,480 4,425 決定係数 0.654 0.926 0.780 0.615 0.709 0.644 0.583 0.457 定数項 注1: ()内はロバスト標準誤差を示す。 注2: ***、**、*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 注3:モデルは傾向スコアの重み付けをした固定効果モデルを使用 注4:傾向スコアの共変量には夫婦の年齢ダミー・学歴ダミー、同居人数、子ども(6~17歳)ダミー、未就学児(0~5歳)ダミー、 持ち家ダミー、年ダミーを使用 112