2024卒業論文_倉谷彩音

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February 19, 25

スライド概要

生涯未婚の要因とそのウェルビーイングに与える影響を検証します。少子高齢化の一因として進む未婚化に焦点を当て、生涯未婚者と有配偶者との比較分析を行い、特に社会的孤立や経済的貧困についてのリスクを評価します。最終的には、この研究が未婚化問題の解決にどのように寄与できるかを探ります。

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慶應義塾大学商学部商学科山本勲研究会 ホームページ: https://www.yamazemi.info Instagram: https://www.instagram.com/yamazemi2024

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各ページのテキスト
1.

卒論最終発表 17期 倉谷彩音 1

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テーマ概要 生涯未婚の要因とウェルビーイングに与える影響 に関する実証分析 少子高齢化の要因の一つである未婚化が進行していることに問題意識をもち、その中でも生涯未婚者 (その時点において今後一生涯結婚しないであろう人)に焦点を当てて、その要因と生涯未婚者の ウェルビーイングに着目し有配偶者と比較することで、少子高齢化対策の一助としたい 2

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ゴールビジョン 【何年たっても見返したくなる論文】 ・わかりやすい論文にすること ・統計手法の理解を深めること 3

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アウトライン ① はじめに ② 先行研究 ③ 分析アプローチ ④ 分析結果 ⑤ おわりに 4

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アウトライン ① はじめに ② 先行研究 ③ 分析アプローチ ④ 分析結果 ⑤ おわりに 5

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はじめに 日本の現状-出生と未婚- 論文p.4 【日本の少子化】 2023年に厚生労働省が発表した「人口動態統計」 によれば、出生率は1.20人、出生数は75万人と、 どちらとも過去最低を更新した。 この少子化は、労働力人口の低下、社会保障負 担の増加など、日本の経済構造に大きな影響を 及ぼすと考えられる。この現状を打破するべく、 政府は子育て支援策に力を入れているが、未だ に少子化は続いている。 出典:令和5年人口動態統計月報年計(概数)の概況 6

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はじめに 日本の現状-出生と未婚- 論文p.4 【未婚率の上昇】 全年齢階級で未婚率は上昇している。 中でも、35歳以降の未婚率はあまり変化がない。 男性で約30%、女性で約20%と上昇傾向にある。 出典:2015年 総務省統計局「国勢調査」 7

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はじめに 日本の現状-出生と未婚- 論文p.4 【婚外子の割合】 日本の婚外子割合は2.3%となっており、 先進諸国と比較しても圧倒的に低い。 8

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はじめに 日本の現状-出生と未婚- 日本の出生数、出生率の低下の要因の 一つに未婚化があることは明らかである 日本の婚外子割合は2.3%となっており、 先進諸国と比較しても圧倒的に低い 9

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はじめに 生涯未婚の要因 論文p.4 【生涯未婚】その時点において今後一生涯結婚しないであろう人の割合 明確な基準はないが、日本では50歳を基準としている。 左図は生涯未婚率の推移を表している。 日本の生涯未婚率は上昇傾向に 実績値である2015年時点では、男性の方が女性より も約10%生涯未婚率が高く、将来推計においてもその 差は広がるとされている。 10

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はじめに 生涯未婚の要因 論文p.4 1999年:山田昌弘が「パラサイトシングル仮説」を提唱。 「パラサイトシングル仮説」 学業終了後も親と同居し続け基礎的生活条件を親に依存する未婚者を「パラサイトシングル」 と名付け、晩婚化・未婚化の主な原因は彼らのようなパラサイトシングルであるとした。 この問題については関心の大きさからこれまで多くの研究が行われ てきたが、パラサイトシングル説を支持する結果は見当たらない。 (田中・鈴木[2020]、北村・坂本[2007]、樋口・坂本・萩原[2016]) 11

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はじめに 生涯未婚の要因 論文p.4 【結婚の意思決定あるいは生涯未婚の要因に関する研究】 西本(2007):非就業男性は、就業男性と比べて結婚確率が低く、社会経済的地位が高い男性は、 結婚確率が高くなる。 樋口・坂本・萩原(2016):大卒で親と同居している女性、時給の高い就業者は結婚確率が高い。 田辺・鈴木(2020):女性の生涯未婚率における都道府県差の要因は、大学・大学院卒、所得、医 療福祉業就業率であり、親との同居は未婚率を下げる。 男性と女性では生涯未婚である要因に差がある。 また、学歴や収入、生活様式が大きく関係していることは明らかであ る一方、過去の労働環境といった過去の経験・境遇が生涯未婚の規定 要因になるかは明らかにされていない。 12

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はじめに 日本の現状-生涯未婚の要因- 【結婚の意思決定あるいは生涯未婚の要因に関する研究】 西本(2007):非就業男性は、就業男性と比べて結婚確率が低く、社会経済的地位が高い男性は、 結婚確率が高くなる。 問題意識① 樋口・坂本・萩原(2016):大卒で親と同居している女性、時給の高い就業者は結婚確率が高い。 未婚率の上昇に関する研究は多くなされているものの、未だに明確な 田辺・鈴木(2020):女性の生涯未婚率における都道府県差の要因は、大学・大学院卒、所得、医 要因解明には至っておらず、特に「過去の労働環境」が生涯未婚の規 療福祉業就業率であり、親との同居は未婚率を下げる。 定要因になるかは明らかにされていない。 従って、これらが生涯未婚の規定要因になるのかを明らかにし、生涯 未婚となるメカニズムを明らかにする。 男性と女性では生涯未婚である要因に差がある。 また、学歴や収入、生活様式が大きく関係していることは明らかであ る一方、育った環境、新卒時の労働環境といった過去の経験・境遇が 生涯未婚の規定要因になるかは明らかにされていない。 13

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はじめに 生涯未婚の影響 論文p.5 【2025年問題】 団塊の世代の約800万人が一斉に75歳 以上になることで、日本の人口の年齢別 比率が劇的に変化し「超高齢化社会」と なり、社会構造や体制が大きな分岐点を 迎える。 具体的には、労働力不足や介 護・医療現場の崩壊、社会保 障量の負担の増加などに影響 が出ると考えられる。 14

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はじめに 生涯未婚の影響 論文p.5 高齢単身世帯が増加傾向 その中でも… 【高齢の一人暮らし男性の未婚率】 2020年 33.7% 2050年 59.7% 【高齢の一人暮らし女性の未婚率】 2020年 11.9% 出典:2024年6月7日 日本経済新聞 2050年 30.2% 15

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はじめに 日本の現状-生涯未婚の影響- 論文p.5 単身高齢者は「社会的孤立」に陥りやすい。 【社会的孤立の問題点】 ①日常生活や緊急時において、必要な支援を受けることが 難しくなる点である。 ②他者との関係性の欠如は、生きる意欲や自己肯定感の低 下を招く。 ③経済的な厳しさに社会的孤立が加わると、生活困窮が一 層深刻になる。 出典:2022年12月7日 東洋経済オンライン 16

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はじめに 日本の現状-生涯未婚の影響- 論文p.5 現在は、単身高齢者でも近くに近親者が住んでいるケースが多いが、今後 は近親者が一人もいない高齢単身者が増える。 (日本経済新聞 2024年6月7日) 特に生涯未婚者は その可能性が高い と考えられる 未婚者として中年期、さらには高齢期を過ごすことの家族生活上のリスク(経済的 貧困・健康・社会的孤立など)に対する学術的関心が高まりつつある。 (藤森 2010,2017、橘木 2020) 17

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はじめに 生涯未婚の影響 論文p.4 永瀬(2013):生涯未婚女性の生活満足度が既婚者と比較して相対的に低いことがわかっている。 斉藤知洋(2021): 40代から50代の中年未婚者は社会経済的地位やメンタルヘルスが低く、男性においては家 族生活上の不利に陥りやすいことが示されている。 Laura K. (2015):未婚者は既婚者に比べて心理的健康レベルが低いことがわかっている。 生涯未婚者がウェルビーイングに与える長期的な影響は明らかにされていない。また、先 行研究での分析には、未婚の選択自体が個人の性格や価値観、健康状態など観測できない 要因によって左右される可能性や、ウェルビーイングが既に低い人ほど結婚しないといっ た内生性が生じやすいが、それを考慮した因果推論は実施されていない。 18

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はじめに 日本の現状-生涯未婚の影響- 現在は、高齢者単身世帯でも近くに近親者が住んでいるケースが多いが、 今後は近親者が一人もいない高齢単身者が増える。 問題意識② 未婚者として中年期、さらには高齢期を過ごすことの家族生活上のリ 特に生涯未婚者は スク(経済的貧困・健康・社会的孤立など)を内生性を考慮した上で その可能性が高い 検出する必要がある。 と考えられる 未婚者として中年期、さらには高齢期を過ごすことの家族生活上のリスク(経済 的貧困・健康・社会的孤立など)に対する学術的関心が高まりつつある。 (藤森 2010,2017、橘木 19 2020)

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はじめに 本研究で明らかにすること・目的 論文p.5 1 生涯未婚になりやすい人の属性分析 2 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与え る影響 未婚化による少子化問題の解決の一端になるとともに、今後増加していく未婚者が中年期、 さらには高齢期を過ごすことの家族生活上のリスク(経済的貧困・健康・社会的孤立な ど)を提示することで、彼らをサポートする社会体制の提示に寄与することである。 20

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はじめに 本研究の分析①:生涯未婚になりやすい人の属性 論文p.6 理論: つり合い理論によれば、女性の社会進出が進んだことにより未婚化が進んだはずである。先行研究で は、男性は低学歴で低収入、女性は高学歴で高収入だと未婚になりやすいことが示されていることか ら、過去の労働環境も生涯未婚の要因に関係していると考えられる。 仮説: 女性の場合は若い頃に労働環境が良くなかった人ほど生涯未婚になりやすい 推計方法:変量効果プロビットモデル 被説明変数には未婚ダミーを用いる。40・50代にサンプルを分けて推計することで各時点でどのよ うな要因が生涯未婚に繋がるのか時系列変化を観察する。 説明変数には過去の週平均労働時間や年収、先行研究で使用されていた親との同居、親の持家や介 護ダミーといった変数を用いる。 21

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はじめに 本研究の分析②: 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 論文p.6 仮説: 予期せぬイベントがあった場合、生涯未婚者は既婚者に比べて孤立しやすくウェルビーイングは悪 化する 新型コロナウイルスによる自粛や、病気や事故といった予測不可能なイベントが生じたことで、生涯 未婚者のウェルビーイングがどのように影響を受けるのかを変量効果プロビットモデルを用いて推計 する。予測不可能なイベントが生じた前後の変化に注目することで、間接的ではあるが、内生性に対 処したうえで生涯未婚の影響を明らかにすることができる。 推計方法:変量効果モデル 被説明変数にはウェルビーイング指標として生活満足度とメンタルヘルス指標(K6)を用いる。 説明変数には未婚ダミーとコロナ禍自粛期間ダミーの交差項、未婚ダミーと事故・病気ダミーの交 差項を用いてイベント前後の生涯未婚者のウェルビーイングの変化を推計する。 22

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はじめに 本研究の独自性 論文p.6 1 生涯未婚の要因に関して、先行研究では着目されていなかった、 若い頃の労働環境といった過去の情報に焦点を当てる点。 2 生涯未婚がウェルビーイングに与える影響について予期せ ぬイベント前後での変化をみることで間接的に内生性を考 慮した定量的な分析を行う点。 23

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アウトライン ① はじめに ② 先行研究 ③ 分析アプローチ ④ 分析結果 ⑤ おわりに 24

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先行研究・独自性 先行研究 論文p.6-7 -3つに分類- ①生涯未婚の要因に関する先行研究 ②生涯未婚がウェルビーイングに与える影響 ③予期せぬイベントがウェルビーイングに与える影響 25

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先行研究・独自性 先行研究 ①生涯未婚の要因に関する先行研究 論文p.7 西本真弓(2007) 小島直宏(2002) 生涯未婚化現象に焦点を当てて要因分析を行ったが、未婚女性 の結婚意識に関するミクロデータの分析から、生涯未婚率が今 後急速に変化することを示唆する結果や、生涯未婚率の将来動 向を予測するのに有益な情報は得られなかった。 男性において結婚確率に影響を与える要因は何かについて、プ ロビットモデルを用いて分析した結果、非就業男性の場合、大 企業の事務職と比較して結婚確率が50%以上減少することを明 らかにした。さらに、会社団体役員、管理職、事業主、保安職 といった職業につている男性は収入が高く、安定している職業 では結婚確率が高くなることも明らかにした。 田辺和俊・鈴木孝弘(2020) 都道府県別の女性未婚率の要因について検証している。45歳~54歳の47都道府県の 女性の生涯未婚率を対象に、各種政府統計を基に作成した47種の指標を説明変数と して、非線形重回帰分析を行った結果、女性未婚率を上昇させる要因として所得、大 学・大学院卒率、医療・福祉業就業率があることを示した。さらに、女性未婚率を下 げる要因として親との同居率、持ち家率、製造業就業率、交際率、育児休業制度と介 護休業制度利用率の6つがあることや、個人の未婚である原因を示したものではなく、 都道府県間の未婚率差を説明するものに過ぎないことも指摘している。 26

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先行研究・独自性 先行研究 ①生涯未婚の要因に関する先行研究 論文p.7 西本真弓(2007) 小島直宏(2002) 男性において結婚確率に影響を与える要因は何かについて、プ 生涯未婚化現象に焦点を当てて要因分析を行ったが、未婚女性 ロビットモデルを用いて分析した結果、非就業男性の場合、大 の結婚意識に関するミクロデータの分析から、生涯未婚率が今 企業の事務職と比較して結婚確率が50%以上減少することを明 後急速に変化することを示唆する結果や、生涯未婚率の将来動 らかにした。さらに、会社団体役員、管理職、事業主、保安職 ・親との同居率が未婚率の低下に最大の影響を与える一方、高学歴かつ高所得女性の増加が未 向を予測するのに有益な情報は得られなかった。 といった職業につている男性は収入が高く、安定している職業 婚率の上昇に大きく寄与することや、非就業男性は、就業男性と比べて結婚確率が低く、社会 では結婚確率が高くなることも明らかにした。 【明らかになっていること】 経済的地位が高い男性は、結婚確率が高くなることが明らかになっている。 田辺和俊・鈴木孝弘(2020) 都道府県別の女性未婚率の要因について検証している。45歳~54歳の47都道府県の 女性の生涯未婚率を対象に、各種政府統計を基に作成した47種の指標を説明変数と して、非線形重回帰分析を行った結果、女性未婚率を上昇させる要因として所得、大 学・大学院卒率、医療・福祉業就業率があることを示した。さらに、女性未婚率を下 げる要因として親との同居率、持ち家率、製造業就業率、交際率、育児休業制度と介 護休業制度利用率の6つがあることや、個人の未婚である原因を示したものではなく、 都道府県間の未婚率差を説明するものに過ぎないことも指摘している。 27

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先行研究・独自性 先行研究 ②生涯未婚が就業行動やウェルビーイングに与える影響 論文p.7 永瀬伸子(2013) 斉藤知洋(2021) 既婚者と比べて中年層の未婚者は社会経済的地位やメンタルヘ ルスが低く、さらに家族生活上の不利に陥りやすい傾向は男性 で顕著であると示している。斉藤(2021)によれば、未婚男性は 既婚者と比較して低学歴である割合が高く、非正規雇用や低所 得に該当する割合が多いほか、ディストレスも高いことが明ら かになっている一方、未婚女性については、教育水準や正規雇 用率が高い傾向がみられ、ディストレスに関しては有配偶女性 と同程度であることが示されている。しかしながら、中年期の 未婚者における家族生活の変化を時系列で追った分析結果には、 明確な傾向や一致する結論が得られていない点も示されている。 生涯未婚の女性は経済状況が悪く、さらに親の同居や非正規雇 用の場合に賃金が下がることに加えて、生活満足度は既婚者と 比べ相対的に低く、賃金は高いという諸外国にある傾向が日本 にはないことを明らかにした。 大風薫(2014) 中年層の未婚女性において、家庭内労働の頻度の上昇や母親と の同居が正規雇用率を低下させることが示されている。 Laura K. Soulsby, Kate M. Bennett (2015) 未婚者は既婚者よりも心理的健康が低い傾向があることが示さ れている。しかし、長期的に及ぼす影響は明らかになっておら ず、因果関係ではなく相関関係にとどまっている。 28

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先行研究・独自性 先行研究 ②生涯未婚が就業行動やウェルビーイングに与える影響 論文p.7 永瀬伸子(2013) 斉藤知洋(2021) 【明らかになっていること】 生涯未婚の女性は経済状況が悪く、さらに親の同居や非正規雇 用の場合に賃金が下がることに加えて、生活満足度は既婚者と 比べ相対的に低く、賃金は高いという諸外国にある傾向が日本 にはないことを明らかにした。 既婚者と比べて中年層の未婚者は社会経済的地位やメンタルヘ ・生涯未婚者は既婚者と比較してウェルビーイングが悪化しやすい傾向がある ルスが低く、さらに家族生活上の不利に陥りやすい傾向は男性 で顕著であると示している。斉藤(2021)によれば、未婚男性は 既婚者と比較して低学歴である割合が高く、非正規雇用や低所 得に該当する割合が多いほか、ディストレスも高いことが明ら 大風薫(2014) かになっている一方、未婚女性については、教育水準や正規雇 中年層の未婚女性において、家庭内労働の頻度の上昇や母親と 用率が高い傾向がみられ、ディストレスに関しては有配偶女性 の同居が正規雇用率を低下させることが示されている。 と同程度であることが示されている。しかしながら、中年期の 未婚者における家族生活の変化を時系列で追った分析結果には、 明確な傾向や一致する結論が得られていない点も示されている。 Laura K. Soulsby, Kate M. Bennett (2015) 未婚者は既婚者よりも心理的健康が低い傾向があることが示さ れている。しかし、長期的に及ぼす影響は明らかになっておら ず、因果関係ではなく相関関係にとどまっている。 29

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先行研究・独自性 先行研究 ③予期せぬイベントがウェルビーイングに与える影響 中込 (2024) Murayama H, Okubo R, Tabuchi T (2021) 新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって 社会的孤立者が増加したことを明らかにし、パンデ ミック中の社会的孤立が有病率を6.7%増加させたと 示している。 この増加は、男性と高齢者で顕著であった。 質的研究では、新型コロナウイルス感染症流行に伴 い、社会的孤立・孤独感が増加し、その結果、精神 的苦痛を増大させたことが示されている。中込 (2024)は、これらのエビデンスは観察研究に基づく ものが多いが、全体として高い一貫性を持っている としている。 論文p.8 Kim HHS and Jung JH (2021) Li J. Yan C, Yang S, Li Z, Li W. Gui Z and Zhou C (2022), 新型コロナウイルス禍では社会的孤立が精 神的苦痛と関係していることが示されてい る。 Pen S and Roth AR (2022) 瀬藤乃理子・片桐祥雅・西上智彦・中尾和久(2018) アメリカの50歳以上を対象とした結果、新 型コロナウイルス感染症拡大前後で社会的 孤立が増加した。 医学的な観点から、運動が疾患を持つ人のメンタル ヘルスを改善させるかを検証した結果、運動がさま ざまな疾患においてメンタルヘルスの改善効果を持 つことを示している。 30

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先行研究・独自性 先行研究 ③予期せぬイベントがウェルビーイングに与える影響 中込 (2024) 【明らかになっていること】 質的研究では、新型コロナウイルス感染症流行に伴 Murayama H, Okubo R, Tabuchi T (2021) 新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって 社会的孤立者が増加したことを明らかにし、パンデ ミック中の社会的孤立が有病率を6.7%増加させたと 示している。 この増加は、男性と高齢者で顕著であった。 い、社会的孤立・孤独感が増加し、その結果、精神 ・新型コロナウイルス感染症拡大は社会的孤立を増大させる。 的苦痛を増大させたことが示されている。中込 論文p.8 Kim HHS and Jung JH (2021) Li J. Yan C, Yang S, Li Z, Li W. Gui Z and Zhou C (2022), 新型コロナウイルス禍では社会的孤立が精 神的苦痛と関係していることが示されてい ・新型コロナウイルス感染症に伴い生じた社会的孤立は健康・ウェルビーイングに悪影響を与 る。 える。 (2024)は、これらのエビデンスは観察研究に基づく ものが多いが、全体として高い一貫性を持っている としている。 ・特に高齢者と男性に影響が出る。 Pen S and Roth AR (2022) 瀬藤乃理子・片桐祥雅・西上智彦・中尾和久(2018) アメリカの50歳以上を対象とした結果、新 型コロナウイルス感染症拡大前後で社会的 孤立が増加した。 医学的な観点から、運動が疾患を持つ人のメンタル ヘルスを改善させるかを検証した結果、運動がさま ざまな疾患においてメンタルヘルスの改善効果を持 つことを示している。 31

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アウトライン ① はじめに ② 先行研究 ③ 分析アプローチ ④ 分析結果 ⑤ おわりに 32

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分析アプローチ 理論的背景 論文p.8-9 ①ベッカーモデル Becker(1973, 1974, 1991)の家庭経済学では、個 人が満足感を得るために「家計内財」を生産・消費 することが重要とされる。家計内生産は一人でも複 数人でも可能であり、独身生活の自由や賃金効率と、 結婚生活によるコストと便益を比較して結婚の意思 決定が行われるとされる。ただし、この理論はパー トナーの特性や共同生活での効用が完全に分かって いるという前提を含むため、現実には不確実性があ る。結果として、独身生活の自由や効率性を重視す る人ほど、結婚への動機が低くなる可能性がある。 ②結婚相手とのつり合い理論 つり合い理論では、結婚相手の選択において個人的 感情だけでなく、役割分担や金銭管理など現実的な 適合性が重視される。Gale and Shapley(1962)の 理論によれば、男女の属性(教育、収入、健康な ど)の組み合わせが家計内の生産効率に影響を与え、 属性が補完関係にある場合は生産性が向上し(正の 順位付け)、代替関係の場合は賃金格差が大きいほ ど生産性が高まる(負の順位付け)とされている。 しかし、高学歴女性の増加や男女の賃金格差の縮小、 男性の非正規雇用の増加により、経済的属性の代替 関係による負の順位付けが起こりにくくなり、未婚 化が進行している可能性がある。つまり、女性の社 会進出が進むほど未婚化が進む要因になるのではな いか。 33

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分析アプローチ 理論的背景 【仮説】 論文p.8-9 ①生涯未婚になりやすい人の属性 ②結婚相手とのつり合い理論 つり合い理論では、結婚相手の選択において個人的 男性の場合は非正規雇用で低所得、低学歴な人、女性の場合は高所得、高学歴で、過去の労働 ①ベッカーモデル 感情だけでなく、役割分担や金銭管理など現実的な 時間が長い人が生涯未婚になりやすい Becker(1973, 1974, 1991)の家庭経済学では、個 適合性が重視される。Gale and Shapley(1962)の 人が満足感を得るために「家計内財」を生産・消費 理論によれば、男女の属性(教育、収入、健康な することが重要とされる。家計内生産は一人でも複 ど)の組み合わせが家計内の生産効率に影響を与え、 数人でも可能であり、独身生活の自由や賃金効率と、 属性が補完関係にある場合は生産性が向上し(正の 結婚生活によるコストと便益を比較して結婚の意思 順位付け)、代替関係の場合は賃金格差が大きいほ 決定が行われるとされる。ただし、この理論はパー ど生産性が高まる(負の順位付け)とされている。 トナーの特性や共同生活での効用が完全に分かって しかし、高学歴女性の増加や男女の賃金格差の縮小、 ②予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 いるという前提を含むため、現実には不確実性があ 男性の非正規雇用の増加により、経済的属性の代替 る。結果として、独身生活の自由や効率性を重視す 関係による負の順位付けが起こりにくくなり、未婚 満足度が高い人ほど未婚を選択する傾向がある一方で、先行研究では、生涯未婚者のウェルビーイングは既 る人ほど、結婚への動機が低くなる可能性がある。 化が進行している可能性がある。つまり、女性の社 婚者と比べて悪化する傾向が見られている。ここから、生涯未婚がウェルビーイングに与える影響の仮説と 会進出が進むほど未婚化が進む要因になるのではな して、満足度が高く未婚を選択したものの、予期せぬイベントがあった場合、生涯未婚者は既婚者に比べて いか。 孤立しやすくウェルビーイングは悪化すると考える。また、その傾向は男性の方が女性よりも大きいと考え る。 34

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分析アプローチ 推計方法1 生涯未婚になりやすい人の属性分析 論文p.9-10 【推計モデル】 変量効果プロビットモデル 𝑃𝑟 𝑌𝑖𝑡 = 1 = 𝐹(𝛼0 +𝛼1 𝑊𝑃𝑖 + 𝛼2 𝑃𝑖 + 𝛼3 𝑋𝑖𝑡 + 𝑇𝑡 + 𝐹𝑖 ) 【説明変数】 ■ 【被説明変数】 ■ 未婚ダミー 【時間効果】 週平均労働時間 ■ 年収 ■ 親との同居 ■ 親との死別 ■ 親の持家 ■ 介護の有無 ■ 自身の持家 【コントロール変数】 ■ 企業規模ダミー ■ 職種ダミー ■ 正規雇用ダミー ■ 最終学歴 ■ 年ダミー 【固有効果】 ■ 時間によって変わらな い個々人の固有効果 35

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分析アプローチ 推計方法2 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 論文p.10 【推計モデル】 変量効果モデル 𝑊𝐵𝑖𝑡 = 𝛼0 + 𝛼1 𝑀𝑖𝑡 ∙ 𝐸𝑖𝑡 + 𝛼2 𝐸𝑖𝑡 + 𝛼3 𝑋𝑖𝑡 + 𝑇𝑡 + 𝐹𝑖 + 𝜀𝑖𝑡 ) 【説明変数】 【被説明変数】 ■ ウェルビーイング指標 ・生活満足度 ・K6 【コントロール変数】 ■結婚ダミー×コロナ自粛期間ダミー ■ ■生涯未婚ダミー×コロナ自粛期間ダミー ■ 年収 ■結婚ダミー×事故・病気ダミー ■ 最終学歴 ■ 正規雇用ダミー ■ 年齢層ダミー ■生涯未婚ダミー×事故・病気ダミー ■各ダミー変数の単体項 週平均労働時間 【時間効果】 ■ 年ダミー 【固有効果】 ■ 時間によって変わらな い個々人の固有効果 36

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分析アプローチ 使用データ 論文p.10-11 使用データ:日本家計パネル調査(JHPS/KHPS) 〈調査対象〉 20歳以上の男女 〈調査期間〉 2004年~2022年 本研究では、生涯未婚者の要因や影響 を見たいので、40または50歳以上の 男女にサンプルを限定し分析を行う。 37

38.

分析アプローチ 変数作成 生活満足度 論文p.11 この質問項目のうち、 「ご自身のお仕事」に関しての回答を変数化する。 0~10の値をとり、値が大きいほど生活満足 度が高いことを示す。 38

39.

分析アプローチ 変数作成 メンタルヘルス指標 論文p.11 Kessler et al.(2002)によって開発された気分・不安障害を 評価する尺度K6を使用する。 それぞれへの5段階の回答の合計を0~24点の範囲でスコア化し、 数値が大きいほどメンタルヘルスが悪いことを示す。 39

40.

分析アプローチ 変数作成 過去の変数データ抽出方法 論文p.11 【説明変数】 ■ 週平均労働時間 〈30代〉 ■ 年収 30歳から39歳までの変数の合計値 ■ 親との同居 ■ 親との死別 ■ 親の持家 ■ 介護の有無 ■ 自身の持家 ÷ 該当年数(30歳から39歳) ÷ 該当年数(40歳から49歳) 〈40代〉 40歳から49歳までの変数の合計値 40

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分析アプローチ 変数作成 病気ダミー 論文p.11 この質問項目のうち、 1から5に関しての回答を変数化する。1を選択していれば0、2から5を選択していれ ば1を取るダミー変数を作成する。 41

42.

分析アプローチ 基本統計量 標本数 平均値 標準偏差 最小値 最大値 76211 44577 16660 0.206 5.964 4.241 0.404 2.075 4.435 0 0 0 1 10 24 48541 66803 39.284 672.411 20.256 498.170 1 0 150 9600 10423 11002 12176 12176 12176 12176 12176 42.992 615.052 0.230 0.007 0.023 0.023 0.023 20.358 337.831 0.396 0.066 0.133 0.126 0.133 1 13 0 0 0 0 0 145 5900 1 1 1 1 1 25448 26386 28414 28414 28414 28414 28414 76211 41.561 713.595 0.264 0.030 0.061 0.028 0.061 0.587 19.284 345.956 0.420 0.140 0.203 0.139 0.203 0.492 1 0 0 0 0 0 0 0 145 5858 1 1 1 1 1 1 高校卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 男性ダミー 76211 76211 76211 76211 0.484 0.129 0.232 0.487 0.500 0.335 0.422 0.500 0 0 0 0 1 1 1 1 年齢層ダミー(ベース:60代) 40代 50代 76211 76211 0.265 0.264 0.441 0.441 0 0 1 1 被説明変数 年収 30代時 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 40代 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 病気ダミー 66803 672.411 498.170 0 9600 10423 11002 12176 12176 12176 12176 12176 42.992 615.052 0.230 0.007 0.023 0.023 0.023 20.358 337.831 0.396 0.066 0.133 0.126 0.133 1 13 0 0 0 0 0 145 5900 1 1 1 1 1 25448 26386 28414 28414 28414 28414 28414 76211 41.561 713.595 0.264 0.030 0.061 0.028 0.061 0.587 19.284 345.956 0.420 0.140 0.203 0.139 0.203 0.492 1 0 0 0 0 0 0 0 5858 論文p.11 1 高校卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 男性ダミー 76211 76211 76211 76211 0.484 0.129 0.232 0.487 0.500 0.335 0.422 0.500 0 0 0 0 1 1 1 1 76211 76211 76211 37360 0.265 0.264 0.200 0.581 0.441 0.441 0.400 0.493 0 0 0 0 1 1 1 1 76211 76211 76211 76211 76211 76211 76211 76211 0.100 0.117 0.042 0.030 0.118 0.014 0.101 0.011 0.300 0.321 0.200 0.170 0.323 0.117 0.302 0.103 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 76211 76211 76211 76211 76211 0.160 0.128 0.090 0.107 0.037 0.366 0.335 0.286 0.309 0.188 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 145 1 1 1 1 1 コントロール変数 未婚ダミー 生活満足度 メンタルヘルス指標(K6) 説明変数 現在 週平均労働時間 年収 30代時 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 40代 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 病気ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 40代 50代 70代 正規雇用ダミー 職種ダミー(ベース:事務) 販売 サービス 管理的な仕事 運輸・通信 輸送・建築・保守・運搬 情報処理技術 専門的・技術的な仕事 保安 企業規模ダミー(ベース=従業員500人以上) 1~4人 5~29人 30~99人 100~499人 官公庁 コントロール変数 42

43.

分析アプローチ 基本統計量 論文p.11 標本数 平均値 標準偏差 最小値 最大値 76211 44577 16660 0.206 5.964 4.241 0.404 2.075 4.435 0 0 0 1 10 24 48541 66803 39.284 672.411 20.256 498.170 1 0 150 9600 10423 11002 12176 12176 12176 12176 12176 42.992 615.052 0.230 0.007 0.023 0.023 0.023 20.358 337.831 0.396 0.066 0.133 0.126 0.133 1 13 0 0 0 0 0 145 5900 1 1 1 1 1 25448 26386 28414 28414 28414 28414 28414 76211 41.561 713.595 0.264 0.030 0.061 0.028 0.061 0.587 19.284 345.956 0.420 0.140 0.203 0.139 0.203 0.492 1 0 0 0 0 0 0 0 145 5858 1 1 1 1 1 1 76211 0.484 0.500 0 1 被説明変数 未婚ダミー 生活満足度 メンタルK6 説明変数 現在 週平均労働時間 年収 30代時 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 40代 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 病気ダミー コントロール変数 ・未婚ダミーに着目すると、全体の約20.6%が 未婚である。生涯未婚者の定義よりサンプルを 50歳以上に限定した場合は、約21.1%が未婚で ある。2024年度の「人口統計資料集」(国立社 会保障・人口問題研究所)によれば、男性の約 28%、女性の約18%が生涯未婚であることから、 使用データにおけるバイアスは生じていないとい える。 43 高校卒ダミー

44.

分析アプローチ 基本統計量 論文p.11 標本数 平均値 標準偏差 最小値 最大値 76211 44577 16660 0.206 5.964 4.241 0.404 2.075 4.435 0 0 0 1 10 24 48541 66803 39.284 672.411 20.256 498.170 1 0 150 9600 10423 11002 12176 12176 12176 12176 12176 42.992 615.052 0.230 0.007 0.023 0.023 0.023 20.358 337.831 0.396 0.066 0.133 0.126 0.133 1 13 0 0 0 0 0 145 5900 1 1 1 1 1 25448 26386 28414 28414 28414 28414 28414 76211 41.561 713.595 0.264 0.030 0.061 0.028 0.061 0.587 19.284 345.956 0.420 0.140 0.203 0.139 0.203 0.492 1 0 0 0 0 0 0 0 145 5858 1 1 1 1 1 1 76211 0.484 0.500 0 1 被説明変数 未婚ダミー 生活満足度 メンタルK6 説明変数 現在 週平均労働時間 年収 30代時 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 40代 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 病気ダミー コントロール変数 ・週平均労働時間に着目すると、30代から40代 の間で平均値に差はないものの、年収の部分を見 ると30代に比べて40代の平均値が高い。 ・病気ダミーでは約半数以上の人が病気になった ことがあると読み取れる。 44 高校卒ダミー

45.

アウトライン ① はじめに ② 先行研究 ③ 分析アプローチ ④ 分析結果 ⑤ おわりに 45

46.

分析結果 分析の流れ 論文p.12 1 生涯未婚になりやすい人の属性分析 2 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 46

47.

分析結果 分析の流れ 論文p.12 1 生涯未婚になりやすい人の属性分析 2 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 47

48.

分析結果 推計1 予備的分析 〈過去の時点における週平均労働時間・年収と現在の婚姻形態の関係〉 論文p.13 48

49.

分析結果 推計1 予備的分析 〈過去の時点における週平均労働時間・年収と現在の婚姻形態の関係〉 論文p.13 【週平均労働時間】 男性の場合は、全年代において未婚者の方が週平均労働 時間は少なくなっている。 女性の場合は、全年代において未婚者の方が週平均労働 時間は多くなる傾向にある。 仮説と一致している。 49

50.

分析結果 推計1 予備的分析 〈過去の時点における週平均労働時間・年収と現在の婚姻形態の関係〉 論文p.13 【年収】 男性、女性ともに既婚者の方が高い傾向が あり、男性の場合は仮説と一致しているが 女性の場合、仮説とは一致していない。 50

51.

分析結果 推計1 推計結果 論文p.13 被説明変数:未婚ダミー(40代) 10年前 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 職種(ベース:事務) 販売 サービス 管理的な仕事 運輸・通信 製造・建築・保守・運搬 情報処理技術 専門的・技術的な仕事 保安 定数項 年ダミー 企業規模ダミー 標本数 ID数 被説明変数:未婚ダミー(50代) 男性 女性 男性 (1) (2) (3) (4) -0.00747*** (0.00194) -0.000954*** (0.000117) 1.263*** (0.0649) -0.973*** (0.376) 0.0827 (0.185) 1.544*** (0.149) -0.307*** (0.100) -0.566*** (0.143) 0.0348 (0.100) -1.078*** (0.0955) 0.0237*** (0.00197) -0.00279*** (0.000146) 0.619*** (0.0713) 1.159*** (0.420) -0.538** (0.239) 2.068*** (0.304) -0.233** (0.0928) -0.177* (0.0969) -0.0254 (0.110) 0.448*** (0.0685) -0.00841*** (0.00213) -0.00195*** (0.000132) 0.668*** (0.0673) 0.248 (0.191) -0.154 (0.277) 0.569** (0.283) -0.383*** (0.117) -0.158 (0.149) -0.345*** (0.118) -0.289*** (0.0916) 0.0365*** (0.00251) -0.00211*** (8.19e-05) 0.221*** (0.0647) 0.647*** (0.153) -0.472 (0.301) -0.179 (0.262) - -0.377*** (0.122) -0.772*** (0.155) -0.524*** (0.129) -0.0940 (0.125) -0.264** (0.109) -0.564*** (0.165) -0.450*** -0.119 -0.110 (0.226) 1.148*** (0.306) Yes Yes 3,927 - 0.0645 (0.104) -0.0649 (0.714) -0.0162 (0.0877) 0.913*** (0.275) 0.0833 (0.128) 0.617** (0.277) 0.00742 (0.0963) -0.383* (0.226) Yes Yes 2,940 - -0.138 (0.129) -0.311** (0.139) -0.124 (0.126) 0.121 (0.128) -0.260** (0.111) 0.336** (0.158) -0.0508 (0.123) -0.372* (0.194) 1.217*** (0.300) Yes Yes 4,076 - -0.0825 (0.0893) 2.035*** (0.256) 0.215*** (0.0794) 0.112 (0.284) -0.405*** (0.108) 1.169*** (0.406) 0.0234 (0.0901) - (注1) 括弧内はロバスト変数を示す。 (注2) ***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 女性 0.0130 (0.0889) 0.0403 (0.0939) 0.189* (0.102) 0.221*** (0.0673) -0.233 (0.230) Yes Yes 3,894 - 51

52.

分析結果 推計1 推計結果 40代 論文p.13 被説明変数:未婚ダミー(40代) 10年前 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 職種(ベース:事務) 販売 サービス 男性 女性 (1) (2) -0.00747*** (0.00194) -0.000954*** (0.000117) 1.263*** (0.0649) -0.973*** (0.376) 0.0827 (0.185) 1.544*** (0.149) -0.307*** (0.100) -0.566*** (0.143) 0.0348 (0.100) -1.078*** (0.0955) 0.0237*** (0.00197) -0.00279*** (0.000146) 0.619*** (0.0713) 1.159*** (0.420) -0.538** (0.239) 2.068*** (0.304) -0.233** (0.0928) -0.177* (0.0969) -0.0254 (0.110) 0.448*** (0.0685) -0.377*** (0.122) -0.772*** 0.0645 (0.104) -0.0649 【過去の週平均労働時間と年収】 (1)列:週平均労働時間の係数は-0.00747、 年収の係数は-0.000954と僅かだが負に有 意な結果となっている。 (2)列:週平均労働時間の係数は0.0237と正 に、年収の係数は-0.00279と負に有意な結 果となっている。 52

53.

分析結果 推計1 推計結果 40代 論文p.13 被説明変数:未婚ダミー(40代) 10年前 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 職種(ベース:事務) 販売 サービス 女性 (1) (2) -0.00747*** (0.00194) -0.000954*** (0.000117) 1.263*** (0.0649) -0.973*** (0.376) 0.0827 (0.185) 1.544*** (0.149) -0.307*** (0.100) -0.566*** (0.143) 0.0348 (0.100) -1.078*** (0.0955) 0.0237*** (0.00197) -0.00279*** (0.000146) 0.619*** (0.0713) 1.159*** (0.420) -0.538** (0.239) 2.068*** (0.304) -0.233** (0.0928) -0.177* (0.0969) -0.0254 (0.110) 0.448*** (0.0685) -0.377*** (0.122) -0.772*** 0.0645 (0.104) -0.0649 男性は過去の週平均労働時間が短く、過去の年収が低い人は40代で未婚にな 【過去の週平均労働時間と年収】 りやすい。女性は過去の週平均労働時間が長く、過去の年収が低いと40代で (1)列:週平均労働時間の係数は-0.00747、 未婚になりやすく、仮説は部分的に正しいと言える。 親の持家 正規雇用ダミー 男性 年収の係数は-0.000954と僅かだが負に有 意な結果となっている。 (2)列:週平均労働時間の係数は0.0237と正 に、年収の係数は-0.00279と負に有意な結 果となっている。 53

54.

分析結果 推計1 推計結果 40代 論文p.13 被説明変数:未婚ダミー(40代) 10年前 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 職種(ベース:事務) 販売 サービス 男性 女性 (1) (2) -0.00747*** (0.00194) -0.000954*** (0.000117) 1.263*** (0.0649) -0.973*** (0.376) 0.0827 (0.185) 1.544*** (0.149) -0.307*** (0.100) -0.566*** (0.143) 0.0348 (0.100) -1.078*** (0.0955) 0.0237*** (0.00197) -0.00279*** (0.000146) 0.619*** (0.0713) 1.159*** (0.420) -0.538** (0.239) 2.068*** (0.304) -0.233** (0.0928) -0.177* (0.0969) -0.0254 (0.110) 0.448*** (0.0685) -0.377*** (0.122) -0.772*** 0.0645 (0.104) -0.0649 【その他の説明変数】 (1)(2)列において、親との同居、介護ダミーの係数は正に有意な 結果となっており、過去に親と同居、または介護をしていた人ほ ど40代で未婚になりやすい。 一方で、 (1)列では、親との死別、正規雇用ダミーの係数が負に有意である (2)列では親との死別、正規雇用ダミーの係数が正に有意である 男性は30代時に親と死別せず、非正規雇用であるほど未婚になり やすいことがわかり、先行研究と同様の結果が得られた。 54

55.

親との同居 分析結果 親との死別 1.263*** 0.619*** (0.0649) (0.0713) -0.973*** 1.159*** (0.376) (0.420) 0.0827 -0.538** (0.185) (0.239) 1.544*** 2.068*** (0.149) (0.304) -0.307*** -0.233** (0.100) (0.0928) -0.566*** -0.177* (0.143) (0.0969) 0.0348被説明変数:未婚ダミー(40代)-0.0254 男性 女性 (0.100) (0.110) 推計1 推計結果 40代 親の持家 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 10年前 週平均労働時間 職種(ベース:事務) 販売 年収 サービス 親との同居 管理的な仕事 親との死別 運輸・通信 親の持家 製造・建築・保守・運搬 介護ダミー 情報処理技術 持家 専門的・技術的な仕事 高卒ダミー 保安 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー (1) -1.078*** (0.0955) -0.00747*** (0.00194) -0.377*** -0.000954*** (0.122) (0.000117) -0.772*** 1.263*** (0.155) (0.0649) -0.524*** -0.973*** (0.129) (0.376) -0.0940 0.0827 (0.125) (0.185) -0.264** 1.544*** (0.109) (0.149) -0.564*** (0.165) -0.450*** -0.307*** -0.119 (0.100) -0.110 -0.566*** (0.226) (0.143) 0.0348 (0.100) (2) 0.448*** (0.0685) 0.0237*** (0.00197) 0.0645 -0.00279*** (0.104) (0.000146) -0.0649 0.619*** (0.714) (0.0713) -0.0162 1.159*** (0.0877) (0.420) 0.913*** -0.538** (0.275) (0.239) 0.0833 2.068*** (0.128) (0.304) 0.617** (0.277) 0.00742 -0.233** (0.0963) (0.0928) -0.177* (0.0969) -0.0254 (0.110) 論文p.13 【職種】 (1)列では運輸・通信、保安を除いたすべ ての職種の係数が負に有意 (2)列では、運輸・通信、専門・技術的仕 事において正に有意な結果が出ており、男 性と女性では異なる結果が得られた。 55

56.

親との同居 分析結果 親との死別 1.263*** 0.619*** (0.0649) (0.0713) -0.973*** 1.159*** (0.376) (0.420) 0.0827 -0.538** (0.185) (0.239) 1.544*** 2.068*** (0.149) (0.304) -0.307*** -0.233** (0.100) (0.0928) -0.566*** -0.177* (0.143) (0.0969) 0.0348被説明変数:未婚ダミー(40代)-0.0254 男性 女性 (0.100) (0.110) 推計1 推計結果 40代 親の持家 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 10年前 週平均労働時間 職種(ベース:事務) 販売 年収 サービス 親との同居 (1) -1.078*** (0.0955) -0.00747*** (0.00194) -0.377*** -0.000954*** (0.122) (0.000117) -0.772*** 1.263*** (0.155) (0.0649) -0.524*** -0.973*** (0.129) (0.376) -0.0940 0.0827 (0.125) (0.185) -0.264** 1.544*** (0.109) (0.149) -0.564*** (0.165) -0.450*** -0.307*** -0.119 (0.100) -0.110 -0.566*** (0.226) (0.143) 0.0348 (0.100) (2) 0.448*** (0.0685) 0.0237*** (0.00197) 0.0645 -0.00279*** (0.104) (0.000146) -0.0649 0.619*** (0.714) (0.0713) -0.0162 1.159*** (0.0877) (0.420) 0.913*** -0.538** (0.275) (0.239) 0.0833 2.068*** (0.128) (0.304) 0.617** (0.277) 0.00742 -0.233** (0.0963) (0.0928) -0.177* (0.0969) -0.0254 (0.110) 論文p.13 男女ともに過去に親と同居、または介護をしていた人ほど40代で未婚になり やすく、男性は30代時に親と死別せず、非正規雇用であるほど未婚になりや 【職種】 すい。また、職種においては男女で異なる結果が得られた。 (1)列では運輸・通信、保安を除いたすべ 管理的な仕事 親との死別 運輸・通信 親の持家 製造・建築・保守・運搬 介護ダミー 情報処理技術 持家 専門的・技術的な仕事 高卒ダミー 保安 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー ての職種の係数が負に有意 (2)列では、運輸・通信、専門・技術的仕 事において正に有意な結果が出ており、男 性と女性では異なる結果が得られた。 56

57.

分析結果 推計1 推計結果 50代 論文p.14 被説明変数:未婚ダミー(50代) 10年前 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 男性 女性 (3) (4) -0.00841*** (0.00213) -0.00195*** (0.000132) 0.668*** (0.0673) 0.248 (0.191) -0.154 (0.277) 0.569** (0.283) -0.383*** (0.117) -0.158 (0.149) -0.345*** (0.118) -0.289*** (0.0916) 0.0365*** (0.00251) -0.00211*** (8.19e-05) 0.221*** (0.0647) 0.647*** (0.153) -0.472 (0.301) -0.179 (0.262) 0.0130 (0.0889) 0.0403 (0.0939) 0.189* (0.102) 0.221*** (0.0673) 【過去の週平均労働時間と年収】 (1)列:週平均労働時間の係数は-0.00841、 年収の係数は-0.00185と僅かだが負に有意 な結果となっている。 (2)列:週平均労働時間の係数は0.0365と正 に、年収の係数は-0.00211と負に有意な結 果となっている。 57

58.

分析結果 推計1 推計結果 50代 論文p.14 被説明変数:未婚ダミー(50代) 10年前 週平均労働時間 男性 女性 (3) (4) -0.00841*** (0.00213) -0.00195*** (0.000132) 0.668*** (0.0673) 0.248 (0.191) -0.154 (0.277) 0.569** (0.283) -0.383*** (0.117) -0.158 (0.149) -0.345*** (0.118) -0.289*** (0.0916) 0.0365*** (0.00251) -0.00211*** (8.19e-05) 0.221*** (0.0647) 0.647*** (0.153) -0.472 (0.301) -0.179 (0.262) - 男性は過去の週平均労働時間が短く、過去の年収が低い人は50代で未婚にな 【過去の週平均労働時間と年収】 親との同居 りやすく、女性は過去の週平均労働時間が長く、過去の年収が低い人は50代 (1)列:週平均労働時間の係数は-0.00841、 親との死別 で未婚になりやすいと、仮説を部分的に支持する結果となった。 年収 親の持家 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 0.0130 (0.0889) 0.0403 (0.0939) 0.189* (0.102) 0.221*** (0.0673) 年収の係数は-0.00185と僅かだが負に有意 な結果となっている。 (2)列:週平均労働時間の係数は0.0365と正 に、年収の係数は-0.00211と負に有意な結 果となっている。 58

59.

分析結果 推計1 推計結果 50代 論文p.14 被説明変数:未婚ダミー(50代) 10年前 週平均労働時間 年収 親との同居 親との死別 親の持家 介護ダミー 持家 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 男性 女性 (3) (4) -0.00841*** (0.00213) -0.00195*** (0.000132) 0.668*** (0.0673) 0.248 (0.191) -0.154 (0.277) 0.569** (0.283) -0.383*** (0.117) -0.158 (0.149) -0.345*** (0.118) -0.289*** (0.0916) 0.0365*** (0.00251) -0.00211*** (8.19e-05) 0.221*** (0.0647) 0.647*** (0.153) -0.472 (0.301) -0.179 (0.262) 0.0130 (0.0889) 0.0403 (0.0939) 0.189* (0.102) 0.221*** (0.0673) 【その他の説明変数】 (3)(4)列において、親との同居の係数は正に有意な結果と なっており、過去に親と同居していた人ほど50代以降に未 婚になりやすい。 (3)列では、介護ダミーの係数が正に有意となっており、 (4)列では、親との死別の係数が正に有意となっている。 (3)列では、正規雇用ダミーの係数が負に有意である (4)列では大学・大学院卒ダミーの係数、正規雇用ダミーの 係数が正に有意である 男性は40代時に介護をしており、非正規雇用であるほど未 婚になりやすく、女性は40代時に親と死別しており大学・ 大学院卒で正規雇用であると未婚になりやすいと、先行研究 と整合的な結果が得られた。 59

60.

分析結果 推計1 推計結果 50代 論文p.14 被説明変数:未婚ダミー(50代) 職種(ベース:事務) 販売 サービス 管理的な仕事 運輸・通信 製造・建築・保守・運搬 情報処理技術 専門的・技術的な仕事 保安 定数項 年ダミー 企業規模ダミー 標本数 ID数 男性 女性 (3) (4) -0.138 (0.129) -0.311** (0.139) -0.124 (0.126) 0.121 (0.128) -0.260** (0.111) 0.336** (0.158) -0.0508 (0.123) -0.372* (0.194) 1.217*** (0.300) Yes Yes 4,076 - -0.0825 (0.0893) 2.035*** (0.256) 0.215*** (0.0794) 0.112 (0.284) -0.405*** (0.108) 1.169*** (0.406) 0.0234 (0.0901) - (注1) 括弧内はロバスト変数を示す。 (注2) ***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 -0.233 (0.230) Yes Yes 【職種】 (3)列では情報処理技術の係数が正に有意、 サービス、製造・建築・保守・運搬、保安 では負に有意な結果となっている (4)列では、サービス、管理的な仕事、情 報処理技術において正に有意な結果が出て おり、男女ともに情報処理技術職に就いて いる人は未婚になりやすい結果が得られた。 3,894 - 60

61.

分析結果 推計1 推計結果 50代 論文p.13 被説明変数:未婚ダミー(50代) 職種(ベース:事務) 販売 男性 女性 (3) (4) -0.138 (0.129) -0.311** (0.139) -0.124 (0.126) 0.121 (0.128) -0.260** (0.111) 0.336** (0.158) -0.0508 (0.123) -0.372* (0.194) 1.217*** (0.300) Yes Yes 4,076 - -0.0825 (0.0893) 男女ともに、過去に親と同居していた人ほど50代以降に未婚になりやすい。 サービス 2.035*** (0.256) 男性は40代時に介護をしており、非正規雇用であるほど未婚になりやすく、 管理的な仕事 0.215*** 【職種】 (0.0794) 女性は40代時に親と死別しており大学・大学院卒で正規雇用であると未婚に 運輸・通信 0.112 (3)列では情報処理技術の係数が正に有意、 なりやすい。 (0.284) 製造・建築・保守・運搬 -0.405*** サービス、製造・建築・保守・運搬、保安 また、職種は男女によって異なるが、男女ともに情報処理技術職に就いてい (0.108) 情報処理技術 では負に有意な結果となっている る人は未婚になりやすい。 1.169*** (0.406) 専門的・技術的な仕事 保安 定数項 年ダミー 企業規模ダミー 標本数 ID数 (注1) 括弧内はロバスト変数を示す。 (注2) ***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 0.0234 (0.0901) -0.233 (0.230) Yes Yes (4)列では、サービス、管理的な仕事、情 報処理技術において正に有意な結果が出て おり、男女ともに情報処理技術職に就いて いる人は未婚になりやすい結果が得られた。 3,894 - 61

62.

分析結果 本研究で分析すること 1 生涯未婚になりやすい人の属性分析 2 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 62

63.

分析結果 推計2 予備的分析 生活満足度 〈生活満足度と現在の婚姻形態の関係〉 論文p.15 男性、女性ともに未婚者の方が低い傾向にある。 また、コロナ自粛期間の方が既婚・未婚ともに生 活満足度がわずかではあるが高い。 63

64.

分析結果 推計2 予備的分析 メンタルヘルス 〈メンタルヘルス指標(K6)と現在の婚姻形態の関係〉 論文p.15 メンタルヘルスに関しても、未婚者の方が悪い傾 向にある。また、既婚である場合は、コロナ自粛 期間のメンタルヘルスは自粛期間以外に比べて悪 い傾向にある。 さらに、生活満足度、メンタルヘルスともに女性 は婚姻形態による変化があまりなく、男性は婚姻 形態による変化が顕著である。 64

65.

分析結果 推計2 推計結果 生活満足度 被説明変数:生活満足度 コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 男性 女性 男性 女性 コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー (1) -0.118 (0.128) (2) 0.00328 (0.127) 病気ダミー×未婚ダミー 未婚ダミー コロナ自粛期間ダミー 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 定数項 年ダミー 標本数 ID数 (4) -0.0682 (0.119) -0.0402 (0.107) -0.663*** -0.134 -0.635*** -0.110 (0.112) (0.116) (0.131) (0.130) -0.190*** -0.123** 0.0812 0.0649 (0.0619) (0.0685) 病気ダミー 週平均労働時間 (3) -0.00245* (0.00134) 0.000185*** (3.92e-05) 0.0116 (0.186) 0.480** (0.237) 0.493*** (0.185) 0.0579 (0.0672) -0.00546*** (0.00202) 0.000166*** (5.67e-05) -0.169 (0.153) 0.313* (0.172) 0.505*** (0.194) 0.0968 (0.0854) -0.0661 (0.0636) 0.212** (0.0893) 5.922*** (0.196) Yes 6,956 1,472 -0.220*** (0.0603) 0.0956 (0.0945) 6.183*** (0.164) Yes 5,852 1,271 (注1) 括弧内はロバスト変数を示す。 (注2) ***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。 (0.0540) -0.00242* (0.00134) 0.000190*** (3.92e-05) 0.0114 (0.185) (0.0609) 0.473** (0.236) 0.502*** (0.184) 0.0534 (0.0673) -0.00547*** (0.00202) 0.000169*** (5.68e-05) -0.173 (0.153) 0.309* (0.172) 0.506*** (0.194) 0.0951 (0.0852) -0.304*** (0.103) 6.301*** (0.202) Yes 6,956 1,472 -0.323*** (0.111) 6.384*** (0.176) Yes 5,852 1,271 65

66.

分析結果 推計2 推計結果 生活満足度 論文p.16-17 被説明変数:生活満足度 コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 男性 女性 男性 女性 コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー (1) -0.118 (0.128) (2) 0.00328 (0.127) 病気ダミー×未婚ダミー 未婚ダミー コロナ自粛期間ダミー -0.663*** -0.134 (0.112) (0.116) 0.0812 0.0649 (0.0619) (0.0685) 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 定数項 -0.00245* (0.00134) 0.000185*** (3.92e-05) 0.0116 (0.186) 0.480** (0.237) 0.493*** (0.185) 0.0579 (0.0672) -0.00546*** (0.00202) 0.000166*** (5.67e-05) -0.169 (0.153) 0.313* (0.172) 0.505*** (0.194) 0.0968 (0.0854) -0.0661 (0.0636) 0.212** (0.0893) 5.922*** -0.220*** (0.0603) 0.0956 (0.0945) 6.183*** (3) (4) -0.0682 (0.119) -0.0402 (0.107) -0.635*** -0.110 (0.0540) -0.00242* (0.00134) 0.000190*** (3.92e-05) 0.0114 (0.185) (0.0609) (0.131) (0.130) 【コロナ自粛期間ダミー】 ・生活満足度への影響をみると、全列において交差項の係数が 有意ではなかった。 -0.190*** -0.123** -0.00547*** ・(1)列 (0.00202) 0.000169*** 未婚ダミーの係数が-0.633と負に有意。 (5.68e-05) -0.173 交差項の係数は有意ではなかった。 0.473** (0.236) 0.502*** (0.184) 0.0534 (0.0673) (0.153) 0.309* (0.172) 0.506*** (0.194) 0.0951 (0.0852) -0.304*** (0.103) 6.301*** -0.323*** (0.111) 6.384*** ・(2)列 係数が有意な説明変数は見られなかった。 66

67.

分析結果 推計2 推計結果 生活満足度 論文p.17 被説明変数:生活満足度 病気ダミー 男性 女性 (3) (4) コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー 病気ダミー×未婚ダミー -0.0682 (0.119) -0.0402 (0.107) 未婚ダミー -0.635*** -0.110 (0.131) (0.130) コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 -0.190*** -0.123** (0.0540) -0.00242* (0.00134) 0.000190*** (3.92e-05) 0.0114 (0.185) (0.0609) 0.473** (0.236) 0.502*** (0.184) 0.0534 (0.0673) -0.00547*** (0.00202) 0.000169*** (5.68e-05) -0.173 (0.153) 0.309* (0.172) 0.506*** (0.194) 0.0951 (0.0852) -0.304*** (0.103) - -0.323*** (0.111) - 【病気ダミー】 ・生活満足度への影響をみると、全列において交差項の係数が 有意ではなかった。 ・(3)列 病気ダミーの係数は-0.190と負に有意である。 未婚ダミーの係数は-0.635と負に有意である。 交差項はの係数は有意でなかった。 ・(4)列 病気ダミーの係数は-0.123と負に有意であり、交差項の係数は 有意でなかった。 男性女性ともに予期せぬイベントが生涯未婚者の生活満足度に 影響を及ばさないことが示唆される。 67

68.

分析結果 推計2 推計結果 生活満足度 論文p.17 被説明変数:生活満足度 コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 男性 女性 男性 女性 コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー (1) -0.118 (0.128) (2) 0.00328 (0.127) -0.663*** -0.134 (0.112) (0.116) 病気ダミー×未婚ダミー 未婚ダミー コロナ自粛期間ダミー 0.0812 0.0649 (0.0619) (0.0685) -0.00245* (0.00134) 0.000185*** (3.92e-05) 0.0116 (0.186) 0.480** (0.237) 0.493*** (0.185) 0.0579 (0.0672) -0.00546*** (0.00202) 0.000166*** (5.67e-05) -0.169 (0.153) 0.313* (0.172) 0.505*** (0.194) 0.0968 (0.0854) -0.0661 (0.0636) 0.212** (0.0893) 5.922*** -0.220*** (0.0603) 0.0956 (0.0945) 6.183*** 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 定数項 (3) (4) -0.0682 -0.0402 【コロナ自粛期間ダミー:その他の変数】 (0.119) (0.107) -0.635*** -0.110 (0.00134) 0.000190*** (3.92e-05) 0.0114 (0.185) (0.236) 0.502*** (0.184) 0.0534 (0.0673) (0.00202) 0.000169*** (5.68e-05) -0.173 (0.153) 0.309* (0.172) 0.506*** (0.194) 0.0951 (0.0852) -0.304*** (0.103) 6.301*** -0.323*** (0.111) 6.384*** (0.131) (0.130) ・(1)(2)列 週平均労働時間の係数が負に有意。 年収の係数がわずかに正に有意。 -0.190*** -0.123** (0.0540) (0.0609) 専門・短大ダミー、大学・大学院卒ダミーの係数が正に有意。 -0.00242* -0.00547*** ・ (1)列 70代の係数が正に有意となっており、60代に比べて70代の男 性は生活満足度が高い傾向にある。 0.473** ・(2)列 50代の係数が負に有意となっており、60代に比べて50代の女 性は生活満足度が低い傾向にある。 68

69.

分析結果 推計2 推計結果 生活満足度 論文p.17 被説明変数:生活満足度 病気ダミー 男性 女性 (3) (4) 病気ダミー×未婚ダミー -0.0682 (0.119) -0.0402 (0.107) 未婚ダミー -0.635*** -0.110 (0.131) (0.130) -0.190*** -0.123** (0.0540) -0.00242* (0.00134) 0.000190*** (3.92e-05) 0.0114 (0.185) (0.0609) コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー 【病気ダミー:その他の変数】 コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 0.473** (0.236) 0.502*** (0.184) 0.0534 (0.0673) -0.00547*** (0.00202) 0.000169*** (5.68e-05) -0.173 (0.153) 0.309* (0.172) 0.506*** (0.194) 0.0951 (0.0852) -0.304*** (0.103) - -0.323*** (0.111) - ・(3)(4)列 週平均労働時間の係数が負に有意。 年収の係数がわずかに正に有意。 専門・短大ダミー、大学・大学院卒ダミーの係数が正に有意。 50代の係数が負に有意となっており、60代に比べて50代の女 性は生活満足度が低い傾向にある。 69

70.

分析結果 推計2 推計結果 生活満足度 論文p.17 被説明変数:生活満足度 病気ダミー 男性 女性 (3) (4) 病気ダミー×未婚ダミー -0.0682 (0.119) -0.0402 (0.107) 未婚ダミー -0.635*** -0.110 (0.131) (0.130) -0.190*** -0.123** (0.0540) -0.00242* (0.00134) 0.000190*** (3.92e-05) 0.0114 (0.185) (0.0609) コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー 【その他の変数】 予期せぬイベントは生涯未婚者の生活満足度に影響を与えない。 コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 0.473** (0.236) 0.502*** (0.184) 0.0534 (0.0673) -0.00547*** (0.00202) 0.000169*** (5.68e-05) -0.173 (0.153) 0.309* (0.172) 0.506*** (0.194) 0.0951 (0.0852) -0.304*** (0.103) - -0.323*** (0.111) - ・(3)(4)列 週平均労働時間の係数が負に有意。 年収の係数がわずかに正に有意。 専門・短大ダミー、大学・大学院卒ダミーの係数が正に有意。 50代の係数が負に有意となっており、60代に比べて50代の女 性は生活満足度が低い傾向にある。 70

71.

分析結果 推計2 推計結果 メンタルヘルス 論文p.17 被説明変数:メンタルヘルス コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 男性 女性 男性 女性 コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー (1) -0.133 (0.321) (2) -0.565** (0.288) 病気ダミー×未婚ダミー 未婚ダミー コロナ自粛期間ダミー 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 定数項 年ダミー 標本数 ID数 (4) 0.0283 (0.589) 0.873** (0.433) 1.355*** 1.056*** 1.309** 0.225 (0.356) (0.341) (0.566) (0.450) -0.130 0.240 (0.141) (0.169) 病気ダミー 週平均労働時間 (3) 0.00743 (0.00519) 6.60e-06 (0.000161) -0.331 (0.524) -0.532 (0.623) -0.470 (0.532) -0.00639 (0.220) -0.00185 (0.00606) -0.000255* (0.000133) 0.328 (0.406) 0.0966 (0.440) 0.633 (0.547) 0.199 (0.271) 0.647*** (0.202) -0.578*** (0.214) 3.426*** (0.563) Yes 2,729 967 0.583** (0.233) -0.546 (0.410) 4.295*** (0.434) Yes 2,419 864 0.735*** 0.281 (0.200) 0.00735 (0.00517) -2.59e-05 (0.000163) -0.324 (0.517) (0.227) -0.524 (0.616) -0.509 (0.525) 0.0198 (0.222) -0.00273 (0.00603) -0.000260** (0.000131) 0.359 (0.402) 0.106 (0.436) 0.625 (0.543) 0.198 (0.272) 1.303*** (0.278) 2.259*** (0.563) Yes 2,729 967 1.152*** (0.411) 3.568*** (0.552) Yes 2,419 864 71 (注1) 括弧内はロバスト変数を示す。 (注2) ***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%で有意であることを示す。

72.

分析結果 推計2 推計結果 メンタルヘルス 論文p.17 被説明変数:メンタルヘルス コロナ自粛期間ダミー 男性 女性 コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー (1) -0.133 (0.321) (2) -0.565** (0.288) 病気ダミー×未婚ダミー 未婚ダミー コロナ自粛期間ダミー 1.355*** 1.056*** (0.356) (0.341) -0.130 0.240 (0.141) (0.169) 0.00743 (0.00519) 6.60e-06 (0.000161) -0.331 (0.524) -0.532 (0.623) -0.470 (0.532) -0.00639 (0.220) -0.00185 (0.00606) -0.000255* (0.000133) 0.328 (0.406) 0.0966 (0.440) 0.633 (0.547) 0.199 (0.271) 0.647*** (0.202) -0.578*** (0.214) 0.583** (0.233) -0.546 (0.410) 【コロナ自粛期間ダミー】 ・(3)列 交差項の係数は有意でない。 未婚ダミーの係数は1.355と正に有意である。 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 ・(4)列 未婚ダミーの係数は1.056と正に有意である。 交差項の係数は-0.565と負に有意である。コロナ自粛期間ダ ミーと交差項の合計値は-0.325と負であることから、 コロナ自粛期間において、女性の場合、未婚者は既婚者に比べ てメンタルヘルスが改善する可能性が示唆されるという仮説と は異なる結果が得られた。 72

73.

分析結果 推計2 推計結果 メンタルヘルス 論文p.17 被説明変数:メンタルヘルス 病気ダミー 男性 女性 (3) (4) 病気ダミー×未婚ダミー 0.0283 (0.589) 0.873** (0.433) 未婚ダミー 1.309** 0.225 (0.566) (0.450) コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 0.735*** 0.281 (0.200) 0.00735 (0.00517) -2.59e-05 (0.000163) -0.324 (0.517) (0.227) -0.524 (0.616) -0.509 (0.525) 0.0198 (0.222) -0.00273 (0.00603) -0.000260** (0.000131) 0.359 (0.402) 0.106 (0.436) 0.625 (0.543) 0.198 (0.272) 1.303*** (0.278) - 1.152*** (0.411) - 【病気ダミー】 ・(3)列 交差項の係数は有意でない。 未婚ダミーの係数は1.309と正に有意である。 ・(4)列 交差項の係数は0.873と正に有意である。 交差項と病気ダミーの合計値は1.154と正である。 ここから、女性の場合は、事故・病気により未婚者のメンタル ヘルスは既婚者に比べて顕著に悪化するという結果が得られ、 仮説と異なる結果となった。 73

74.

分析結果 推計2 推計結果 メンタルヘルス 論文p.17 被説明変数:メンタルヘルス コロナ自粛期間ダミー 男性 女性 コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー (1) -0.133 (0.321) (2) -0.565** (0.288) 1.355*** 1.056*** (0.356) (0.341) 病気ダミー×未婚ダミー 【コロナ自粛期間ダミー:その他の変数】 未婚ダミー コロナ自粛期間ダミー -0.130 0.240 (0.141) (0.169) 0.00743 (0.00519) 6.60e-06 (0.000161) -0.331 (0.524) -0.532 (0.623) -0.470 (0.532) -0.00639 (0.220) -0.00185 (0.00606) -0.000255* (0.000133) 0.328 (0.406) 0.0966 (0.440) 0.633 (0.547) 0.199 (0.271) 0.647*** (0.202) -0.578*** (0.214) 0.583** (0.233) -0.546 (0.410) 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 ・(1)(2)列 50代の係数が正に有意となっており、60代に比べて50代の男 女はメンタルヘルスが悪い傾向にある。 ・ (1)列 70代の係数が負に有意となっており、60代に比べて70代の男 性はメンタルヘルスが良い傾向にある。 ・(2)列 年収の係数が負に有意。 74

75.

分析結果 推計2 推計結果 メンタルヘルス 論文p.17 被説明変数:メンタルヘルス 病気ダミー 男性 女性 (3) (4) 病気ダミー×未婚ダミー 0.0283 (0.589) 0.873** (0.433) 未婚ダミー 1.309** 0.225 (0.566) (0.450) コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー 【病気ダミー:その他の変数】 コロナ自粛期間ダミー 病気ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 0.735*** 0.281 (0.200) 0.00735 (0.00517) -2.59e-05 (0.000163) -0.324 (0.517) (0.227) -0.524 (0.616) -0.509 (0.525) 0.0198 (0.222) -0.00273 (0.00603) -0.000260** (0.000131) 0.359 (0.402) 0.106 (0.436) 0.625 (0.543) 0.198 (0.272) 1.303*** (0.278) - 1.152*** (0.411) - ・(3)(4)列 50代の係数が正に有意となっており、60代に比べて50代の男 女はメンタルヘルスが悪い傾向にある。 ・(4)列 年収の係数が僅かに負に有意。 75

76.

分析結果 推計2 推計結果 メンタルヘルス 論文p.17 被説明変数:メンタルヘルス 病気ダミー 男性 女性 (3) (4) 病気ダミー×未婚ダミー 0.0283 (0.589) 0.873** (0.433) 未婚ダミー 1.309** 0.225 (0.566) (0.450) 0.00735 (0.00517) -2.59e-05 (0.000163) -0.324 (0.517) -0.524 (0.616) -0.509 (0.525) 0.0198 (0.222) -0.00273 (0.00603) -0.000260** (0.000131) 0.359 (0.402) 0.106 (0.436) 0.625 (0.543) 0.198 (0.272) 1.303*** (0.278) - 1.152*** (0.411) - コロナ自粛期間ダミー×未婚ダミー 男性においては、有意な結果は得られなかった。女性の場合は、コロナ自粛 【病気ダミー:その他の変数】 期間において未婚者は既婚者に比べて生活満足度が改善し、事故・病気をす 病気ダミー 0.735*** 0.281 るとメンタルヘルスが悪化することが明らかになった。 (0.200) (0.227) ・(3)(4)列 コロナ自粛期間ダミー 週平均労働時間 年収 高卒ダミー 専門・短大ダミー 大学・大学院卒ダミー 正規雇用ダミー 年齢層ダミー(ベース:60代) 50代 70代 50代の係数が正に有意となっており、60代に比べて50代の男 女はメンタルヘルスが悪い傾向にある。 ・(4)列 年収の係数が僅かに負に有意。 76

77.

アウトライン ① はじめに ② 先行研究 ③ 分析アプローチ ④ 分析結果 ⑤ おわりに 77

78.

おわりに まとめ1 生涯未婚になりやすい人の属性 論文p.20 〈男性〉 〈女性〉 ・過去の週平均労働時間が短い人 ・過去の年収が低い人 ・過去の週平均労働時間が長い人 ・過去の年収が低い人 これらは女性の年収が低いと未婚になりやすいという結果を除いては仮説と一致する結果となった。 78

79.

おわりに まとめ1 生涯未婚になりやすい人の属性 論文p.20 〈男性〉 男性においては、過去の労働環境から低所得であると結婚できない傾向が見 〈女性〉 られた。これはベッカーモデルの理論と一致した結果ではあるが、低所得層 の労働者を対象とした教育・訓練プログラムを強化し、労働市場での競争力 を高めることで是正できるのではないか。 ・過去の週平均労働時間が短い人 ・過去の週平均労働時間が長い人 女性においては、過去の労働環境が悪いと結婚を選択しない傾向がみられる。 ・過去の年収が低い人 ・過去の年収が低い人 女性の社会進出が進んだ結果ともいえるが、出産や育児というライフステー ジに配慮した労働環境が普及することで、是正されていくのではないか。 これらは女性の年収が低いと未婚になりやすいという結果を除いては仮説と一致する結果となった。 79

80.

おわりに まとめ2 論文p.20 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 〈生涯未婚者〉 〈コロナ禍〉 〈既婚者〉 コロナ自粛期間において、女性の生涯未婚者は既婚者に比べてメンタルヘ ルスが改善する。 80

81.

おわりに まとめ2 論文p.20 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 〈生涯未婚者〉 〈事故・病気〉 〈既婚者〉 女性の生涯未婚者の場合、事故・病気をするとメンタルヘルスが悪化する。 81

82.

おわりに まとめ2 予期せぬイベントが生涯未婚者のウェルビーイングに与える影響 彼らに対しては、家族や近親者のサポートが既婚者と比べて少ない為、事故 や病気によりウェルビーイングが悪化した結果、社会的孤立に陥ることが無 いよう、心理的なサポートやカウンセリングサービスの提供や、経済的支援、 リハビリ施設へのアクセス向上といったサポートを優先的に受けることが出 来るよう強化する必要があると言える。 事故・病気をすると生活満足度やメンタルヘルスが悪化することが明らかになった。 また、その傾向は女性の場合により顕著であることも示された。 82

83.

おわりに 課題点 1 2 用いたウェルビーイング指標の妥当性 生活満足度を用いたが有意な結果を得ることが出来なかった。 死別・離婚者との比較を行えなかった点。 使用データの制約によって、死別・離婚者のサンプル数が少なく既婚者に含めて推計を行ったが、 3つの婚姻形態では更に異なる結果が考察できた可能性がある。 83

84.

参考文献 〈書籍・論文〉 ・Becker, G.S.(1973) “A Theory of Marriage: PartⅠ”, Journal of Political Economy, Vol.81, No.4,p.p 813-46 ・Becker, G.S.(1974) “A Theory of Marriage: PartⅡ”, Journal of Political Economy, Vol.82, No.2,pt2,S11-S26 ・Becker, G.S.(1991) “A Treatise on The Family, Enlarged Edition, Cambridge: Harvard Univ. Press ・Gale, D and Shapley, L.(1962) “College Admission and the Stability of Marriage”, American Mathematical Monthly, 69, pp.9-15 ・Kim HHS and Jung JH (2021), “Social Isolation and Psychological Distress during the COVID-19 Pandemic: A Cross-national Analysis”, Gerontologist,61(1), pp.103-113 ・Laura K. Soulsby, Kate M. Bennett (2015),‘Marriage and Psychological Wellbeing_The Role of Social Support’ ・Li J. Yan C, Yang S, Li Z, Li W. Gui Z and Zhou C (2022), “Social Isolation Transitions and Psychological Distress among Older Adults in Rural China: A Longitudinal Study before and during the COVID-19 Pandemic”, Journal of Affective Disorders.308, pp.337-342. ・Murayama H, Okubo R, Tabuchi T(2021),“Increase in Social Isolation during the COVID-19 Pandemic and Its Association with Mental Health: Findings from the JACSIS 2020 Study” International Journal of Environmental Research and Public Health.18 (16)8238. ・Pen S and Roth AR(2022),“Social Isolation and Loneliness before and during the COVID-19 Pandemic: A Longitudinal Study of US Adults Older Than 50,” The Journals of Gerontology: Aeries B,77(7),pp.e185-190. 〈調査・webサイト〉 ・国立社会保障・人口問題研究所(2017),「現代日本の結婚と出産-第16回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書-」 JNFS16_ReportALL.pdf (ipss.go.jp)(最終閲覧日:7月8日) ・厚生労働省(2023),「令和5年人口動態統計月報年計(概数)の概況」gaikyouR5.pdf (mhlw.go.jp)(最終閲覧日:7月10日) ・東洋経済オンライン(2022),「身寄りのない[単身高齢者]が陥る社会的孤立」身寄りのない「単身高齢者」が陥る社会的孤立 身元保証や 84 死後の手続きを誰が担うのか | 1億「総孤独」社会 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)(最終閲覧日:7月15日)

85.

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ご清聴ありがとうございました。 86