よくわからないことが多い場合の計画づくり(アジャイルな計画づくり)

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April 19, 25

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レッドジャーニー(https://redjourney.jp/) 所属のアジャイルコーチ 元ギルドワークス 所属 様々な規模のSIerでのシステム開発を経て今に至り、約10年で40の組織、80のチームを支援している。 「ええと思うなら、やったらよろしいやん」を口癖に、社内のみならず社外のチームがより良くなるお手伝いなど日々活動中。 ・認定プロフェッショナルスクラムマスター(CSP-SM) ・認定プロダクトオーナー(CSPO) ブログ:サウスポーなエンジニアの独り言

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各ページのテキスト
1.

よくわからないことが多い場合の 計画づくりのコツ v0.6̲20250422 中村 洋(@yohhatu)

2.

アジャイルな計画づくり

3.

アジャイルソフトウェア開発宣言

4.

アジャイルな計画づくりの前提

5.

アジャイルな計画づくりの前提 ✔ 最初から”完璧な計画”を立てることは不可能 “完璧な計画”とは必要な作業をすべて洗い出し、完了 予測(見積り)を正確に設定したもの

6.

アジャイルな計画づくりの前提 ✔ 進捗が当初の計画どおりでないなら、計画が 間違っていただけ 計画を立てた人、作業を実施した人、誰も悪くない(例 外はあるが)

7.

アジャイルな計画づくりの前提 ✔ 計画どおりに進捗することが正しいわけでは ない。顧客に価値を届けることがより大事 計画どおりにやっても顧客が喜ばないこともある

8.

アジャイルな計画づくりの前提 ✔ なぜ、最初から”完璧な計画”を立てることは 不可能なのか? ✔ 不確実性の存在 不確実性としては「目指すゴール」「ゴールへの道 筋」「ゴールを目指す自分たちのこと」などがある

9.

アジャイルな計画づくりの前提 ✔ 計画を立てるのはムダなの? ✔ ある程度の計画づくりは必要だが、現実に起 きたことに適応して、計画し続けよう

10.

なにを計画するか?

11.

なにを計画するか? ✔ ゴール ✔ ゴールまでのマイルストーン ✔ わかっている短い期間の詳細な計画

12.

なにを計画するか? ✔ ゴール ✔ 最終的にどうなりたいか? ✔ どうなると嬉しいのか? ✔ なにを目指すのか? 「目標」と表現することもある

13.

なにを計画するか? ✔ ゴールまでのマイルストーン ✔ ゴールに到達するまでの途中の状態 中間ゴールのように表現できるものもある

14.

なにを計画するか? ✔ わかっている短い期間の詳細な計画 ✔ 1〜2週間くらいの期間が対象 その期間が終わった時にどうなっているか?に 対して、なにをどのようにやっていくか?を計 画したもの

15.

なにを計画するか? ✔ ゴール:1年後に海外に住んでいる ✔ マイルストーン ✔ 3ヶ月後にパスポートを取得できている ✔ 6ヶ月後に1度現地に行く家を見つけられている ✔ 9ヶ月後に… ✔ わかっている短い期間の詳細な計画 1週間後にパスポート取得に必要な書類が提出できている ✔ 証明写真を撮る ✔ 書類Xを書く ✔ 書類Xを郵送する ✔…

16.

なにを計画するか? ✔ ゴール:問合せの9割が1時間以内に解決できている ✔ マイルストーン ✔ 自動返答の環境ができている ✔ 初期ユーザーの数社がプロトタイプを利用している ✔ 正式リリースをして問合せしている企業に案内ができている ✔ わかっている短い期間の詳細な計画 チャットボットでサンプル問合せを使ってやりとりできている ✔ サンプルの問合せを集める ✔ チャットボットXを開発環境にインストールする ✔ チャットボットにサンプル問合せをインポートする ✔…

17.

計画を立てたらどうするの?

18.

計画を立てたらどうするの? ✔ ゴール、ざっくりマイルストーン、直近の計 画を立てたら、実際に直近の計画に基づいて活 動する ✔ 実際に手を動かしたりして、中間生成物をつ くったり、ものづくりに取り組む ✔ “わかる”ことを増やす(新たな“わからないこ と”が増えることもある)

19.

計画を立てたらどうするの? ✔ 顧客自身もなにが欲しいかわかっていないことがわ かる ✔ 顧客がお金を払ってまで1時間以内の返答を欲してい ないことがわかる ✔ ゴール(9割)が非現実であることがわかる ✔ 自動返答を既存のシステムに組み込むのが大変なこ とがわかる ✔ これまでの問合せを利用できる形にするのに思って いたより作業が必要なことがわかる ✔ 自分たちのスキルが足りないことがわかる

20.

計画を立てたらどうするの? ✔ 自分たちが実際に取り組み、そこで観察でき たこと、その結果を活かし、先の計画をアップ デートし、次の計画を立てる ✔ 経験主義と三現主義(現場・現物・現実)

21.

顧客自身もほしいものがわかっていない ✔ 顧客自身もなにが欲しいかわかっていない ✔ 顧客自身も(自分が欲する)期待する状態をわ かっていない(なんなら言語にできない)

22.

顧客自身もほしいものが わかっていない

23.

顧客自身もほしいものがわかっていない https://medium.com/@thx2001r/the-project-cartoon-root-cause-5e82e404ec8a

24.

顧客自身もほしいものがわかっていない ✔ 形にして実際に体験してもらい反応(フィード バック)をすばやく集めることが大事 ✔ 新たにわかったことがあれば、形にしたこと はムダではない

25.

アジャイルな計画づくりの特徴 ✔ 経験主義によって得られた情報をもとに計画 し続ける ✔ 計画は最初に立てて終わりではない ✔ 計画は常に変わる可能性がある

26.

どうやってうまく計画し続けるの?

27.

どうやってうまく計画し続けるの? ✔ 一度にたくさんの計画を立てない ✔ 計画との差分を頻繁に検査して更新する ✔ 実際にやる人たちを中心に計画し続ける

28.

どうやってうまく計画し続けるの? ✔ 一度にたくさんの計画を立てない ✔ 変更する計画の範囲が広いほど大変 ✔ 大変だと後回しにしたくなる ✔ 一度に扱う範囲が広いと認知負荷が高くなる (勘違いやミスも生まれる)

29.

どうやってうまく計画し続けるの?

30.

再掲:なにを計画するか? ✔ ゴール ✔ ゴールまでのざっくりとしたマイルストーン ✔ ある程度、わかっている期間の詳細な計画

31.

どうやってうまく計画し続けるの? ✔ 計画との差分を頻繁に検査して更新する ✔ 定期的に検査して適応、更新する場を持つ ✔ 自分たちで更新できる軽いプロセス

32.

どうやってうまく計画し続けるの? ✔ 実際にやる人たちを中心に計画し続ける ✔ 実際にやる人たちのほうがわかっていること が多い ✔ みんなの知見、アイデアを持ち寄る ✔ 自分自身で計画し続けることで自信、自分事 感が生まれる

33.

これまでの経験に反する?

34.

これまでの経験に反する? ✔ 最初にすべての作業を洗い出し、工数を見積 もり、ガントチャートで工程を引き、その通り に進めることが期待されている ✔ 計画に差分が出れば、計画通りに進行するた めに残業や人員追加で対処しようとする ✔ 最初の計画を変えることをよしとしない(変え るのが大変ということもあるが)

35.

これまでの経験に反する? 以下のような状況だとこれまでのやり方が有効 かもしれない ✔ 実際に作業する人が何度もやったことがある ✔ 他の人でもできるように手順や作業が整理さ れている ✔ 顧客にとって役立つことがわかっている

36.

不確実性を見極める ✔ 自分たちがなにをわかっているか?わからな いことはなにか?といった不確実性をもとにア ジャイルな計画づくり(の度合い)を選んでいく

37.

これから学んでいく時に 参考にするとよさそうな書籍 https://unsplash.com/photos/2JIvboGLeho

38.

これから学んでいく時に 参考にするとよさそうな書籍 ✔ アジャイルな見積りと計画づくり ~ ソフトウェアを育てる概念と技法 価値ある

39.

※参考:不確実性のコーン ~ 書籍:「アジャイルな見積りと計画づくり 価値あるソフトウェアを育てる概念と技法」

40.

よくわからないことが多い場合の 継続的な計画づくりの参考になれば幸いです https://unsplash.com/photos/3y7fe̲I--WU