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January 07, 26
スライド概要
Regional Scrum Gathering Tokyo 2026( #RSGT2026 ) での発表資料
レッドジャーニー( https://redjourney.jp/ ) 所属のアジャイルコーチ 元ギルドワークス 所属 様々な規模のSIerでのシステム開発を経て今に至り、約10年で50の組織、100チーム以上を支援している。 「ええと思うなら、やったらよろしいやん」を口癖に、社内のみならず社外のチームがより良くなるお手伝いなど日々活動中。 ・認定プロフェッショナルスクラムマスター(CSP-SM) ・認定プロダクトオーナー(CSPO) ブログ ・サウスポーなエンジニアの独り言( https://www.yohhatu.com/ ) ・yohhatu's note( https://scrapbox.io/yohhatu/ )
Regional Scrum Gathering® Tokyo よくわからないことが多い場合の 計画づくりのコツ 中村 洋(@yohhatu)
中村 洋(Yoh Nakamura) ✔ レッドジャーニー ✔ アジャイルコーチ ✔ Certi ed Scrum Professional®-ScrumMaster ✔ Certi ed Scrum Product Owner® ✔ Certi ed Agile Leadership I ✔ Certi ed LeSS Practitioner fi fi fi fi ✔ @yohhatu
ともに越える
Scrum Fest Osaka 2025 Outcomeの設計と計測のやり方 中村 洋(@yohhatu)
今日お話すること
今日お話すること ✔ 「よくわからないこと」への向き合い方 ✔ わからないことが多い時の計画づくりの方法 ✔ よくわからないことと一緒に進めて行く方法
伝えたいことを最初に
伝えたいことを最初に ✔ わからないことがあるという前提に立ち、向 き合っていく ✔ ゴールを見立てつつ、小さく少しずつ計画し て進めていく ✔ 進んでわかったことによって継続的に計画し 続け、変化に対応していく
こういう時、困りませんか?
こういう時、困りませんか? ✔ 「ステークホルダーに伝えた計画がだいぶ違 うことがわかった。どうしよう…」 ✔ 「いろいろわからないことがあるんだけど、 リリースできそうな時期を教えてくれと言われ た。どうしよう…」
こういう風に言えると楽ですよね ✔ 「やってみないとわからないので計画を立て るよりちゃっちゃとやってみてそれから考えま しょうよ」
「わからない」の種類
「わからない」の種類 ✔ 実は自分たちはわかっている ✔ 自分たちはわからないけど、わかっている人 がどこかにいる ✔ 誰もわかっていない
「わからない」の種類 ✔ 実は自分たちはわかっている = 既知の既知 すでに対応のやり方がわかっており、それを実 行することが容易なもの 例:カップラーメンを美味しくつくる・マルバツゲーム
「わからない」の種類 ✔ 自分たちはわからないけど、わかっている人 がどこかにいる = 既知の未知 原因と結果を理解したり、実施したりするには 専門知識が必要 例:北京ダック(作るのが難しい料理)を美味しくつく る・チェスや将棋
「わからない」の種類 ✔ 誰もわかっていない = 未知の未知 原因と結果を事後的に推測するしかなく正解は ない。実際にやってみてその反応から学ぶ 例:特定多数の人が美味しく食べてもらう料理をつく る・ボードゲーム
「わからない」の種類 ✔ 実は自分たちはわかっている = 既知の既知 ✔ 自分たちはわからないけど、わかっている人 がどこかにいる = 既知の未知 ✔ 誰もわかっていない = 未知の未知
「わからない」の種類 ✔ 誰もわかっていない = 未知の未知 価値あるプロダクトづくりの文脈では、この”誰もわ かっていない”領域と向き合うことが多い 「顧客にとって有用なのか?」 「この機能は利用者が使えるのか?」 「自分たちはこれを作れるのか?」
よくわからないことが多い場合の 計画づくりの考え方
よくわからないことが多い場合の 計画づくりの考え方 ✔ 最初から”完璧な計画”を立てることは不可能 ✔ 計画どおりでないなら計画が間違っていただけ ✔ 計画どおりであることが良いとは限らない ✔ わかったふりをしない
よくわからないことが多い場合の 計画づくりの考え方 ✔ 最初から”完璧な計画”を立てることは不可能 “完璧な計画”とは必要な作業をすべて洗い出し、完了 予測(見積り)を正確に設定したもの
よくわからないことが多い場合の 計画づくりの考え方 ✔ なぜ、最初から”完璧な計画”を立てることは 不可能なのか? ✔ 不確実性の存在 「目指すゴール」「ゴールへの道筋」「ゴールを目指 す自分たちのこと」などわからないことがある
よくわからないことが多い場合の 計画づくりの考え方 ✔ 進捗が当初の計画どおりでないなら、計画が 間違っていただけ 計画を立てた人、作業を実施した人、誰も悪くない
よくわからないことが多い場合の 計画づくりの考え方 ✔ 計画どおりに進捗することが良いこととは限 らない。顧客に価値を届けることがより大事 計画どおりにやっても顧客が喜ばないこともある
よくわからないことが多い場合の 計画づくりの考え方 ✔ わかったふりをしない 自分たちがわかっていないことがあるという現実から 目を背けない
よくわからないことが多い場合の 計画づくりの考え方 ✔ 計画を立てるのはムダなの? ✔ ある程度の計画づくりは必要だが、現実に起 きたことに適応して、計画し続けよう
なにを計画するか?
なにを計画するか? ✔ ゴール ✔ ゴールまでのマイルストーン ✔ わかっている短い期間の詳細な計画
なにを計画するか? ✔ ゴール ✔ 顧客や利用者の状況はどうなっていると嬉し いの? ✔ 自分たちのビジネスをどうしたいの?
なにを計画するか? ✔ ゴールまでのマイルストーン ✔ ゴールに到達するまでの途中の状態 中間ゴールのように表現できるものもある
なにを計画するか? ✔ わかっている短い期間の詳細な計画 ✔ 1〜2週間くらいの期間が対象 なにをどのようにやっていくか?を計画した手 元の話
なにを計画するか? ✔ ゴール:問合せの9割が1時間以内に解決できている ✔ マイルストーン ✔ 自動返答の環境ができている ✔ 初期ユーザーの数社がプロトタイプを利用している ✔ 正式リリースをして問合せしている企業に案内ができている ✔ わかっている短い期間の詳細な計画 チャットボットでサンプル問合せを使ってやりとりできている ✔ サンプルの問合せを集める ✔ チャットボットXを開発環境にインストールする ✔ チャットボットにサンプル問合せをインポートする ✔…
計画しようとすると 「わからないこと」が見えてくる
計画しようとすると 「わからないこと」が見えてくる ✔ 顧客はお金を払ってまで1時間以内の返答を欲しい? ✔ 9割を1時間で回答するって現実的なの? ✔ 既存システムのコード、構造はどうなっているの? ✔ 自分たちのスキルは十分だろうか?
計画しようとすると 「わからないこと」が見えてくる ✔ 「わからないこと」の観点、数は複数ある ✔ 「わからないこと」を最初から全ては洗い出 せない
わからないことを見える化する ✔ 「わからないことはなにか?」「どうしたら わかりそうか?」などを並べたリスト ✔ なにかわかったり、新たにわかりたいことが 見つかれば更新する
「わからないことリスト」の例 わからないもの まずどうする? どうなったら終わり? ・顧客の機会損失を試算する 顧客はお金を払ってまで1時間以内 ・利用者の業務を観察する の返答を欲しい? ・想定利用料を顧客に提示する ・見込み顧客の反応が10社集まっ て分析できている ・既存回答データを活用できるか 9割を1時間で回答するって現実的 試してみる なの? ・既存業務フローを聞く ・9割に到達するためのギャップが 整理できている 既存システムのコード、構造はど うなっているの? ・有識者にサポートしてもらう ・モブワーク ・自分たちでコードがある程度把 握できている … … …
計画を立てたらどうするの?
計画を立てたらどうするの? ✔ 実際に直近の計画に基づいて活動する ✔ すばやく形にして、様々な反応を集める
計画を立てたらどうするの? ✔ わかったことを増やしていく 新たに「わからないこと」「わかりたいこと」が増え ることもある ✔ 新たにわかったことがあればムダではない 「なんで事前にわからなかったんだ?」という声があ るけど気にしない
計画を立てたらどうするの? ✔ 計画は最初に立てて終わりではない ✔ 実際に取り組み、わかったことで、計画を アップデートする ✔ 計画は常に変わる
どうやってうまく計画し続けるの?
どうやってうまく計画し続けるの? ✔ 一度にたくさんの計画を立てない ✔ 計画との差分を頻繁に検査して更新する ✔ 実際にやる人たちを中心に計画し続ける
どうやってうまく計画し続けるの? ✔ 一度にたくさんの計画を立てない ✔ 変更する計画の範囲が広いと大変 ✔ 大変だと後回しにしたくなる ✔ 認知負荷が高くなるし、勘違いも生まれる
どうやってうまく計画し続けるの?
どうやってうまく計画し続けるの? ✔ 計画との差分を頻繁に検査して更新する ✔ 頻繁に検査して適応、更新する場を持つ ✔ 自分たちで更新できる軽いプロセス
どうやってうまく計画し続けるの? ✔ 実際にやる人たちを中心に計画し続ける ✔ 実際にやる人たちのほうがわかっていること が多い ✔ みんなの知見、アイデアを持ち寄る ✔ 自分たちで計画し続けることで自分ごと感が 生まれる
わからないことが多い時の 計画づくりをうまくできるとどうなる?
わからないことが多い時の 計画づくりをうまくできるとどうなる? ✔ 予想と違うことがすぐにわかる ✔ 小さい、少ない範囲なのですぐに対応できる ✔ 関係者とも認識をすぐに合わせやすくなる
わからないことが多い時の 計画づくりをうまくできるとどうなる? ✔ 共通の目的に向かって協働できる ✔ 顧客や利用者にとって価値が生まれる可能性 が高くなる
まとめ
まとめ ✔ わからないことがあるという前提に立ち、向 き合っていく ✔ ゴールを見立てつつ、小さく少しずつ計画し て進めていく ✔ 進んでわかったことによって継続的に計画し 続け、変化に対応していく
まとめ どれも当たり前のこと
まとめ ✔ 当たり前だが、うまくやれるとは限らない ✔ 「難しい」は、やらない理由にはならない ✔ 組織、現場ごとに違う。学び、探し続ける
明日からやってみるといいこと ✔ 計画というものに対するステークホルダーの 認知を聞いてみる ✔「わからないことリスト」を作ってみる ✔ 頻繁に素早く計画をアップデートできる仕事 のやり方を実験してみる
よくわからないことが多い場合の 継続的な計画づくりの参考になれば幸いです https://unsplash.com/photos/3y7fe̲I--WU