2025/06/17 「生き生きとした組織」を「生命展開の原則」から考えてみる

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June 18, 25

スライド概要

2025/06/17 講演の資料です。
https://management30.connpass.com/event/355349/

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全体性探究家、忘れられたXPer、アジャイル実践者、 『「アジャイル式」健康カイゼンガイド』著者 https://amzn.to/3zNK4cJ

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

「生き生きとした組織」 を 「生命(いのち)展開の 原則」から考えてみる Takeshi Kakeda

2.

懸田 剛 愛媛県松山市からきました! ディープなアジャイル パタン・ランゲージの源流と 発展 生物多様性保全活動 存在を「生き生き」させる

3.

「生き生きとした組織」 を探求するにあたり 私の関心事はいろいろなものがありますが 今日はアレグザンダーのパタン・セオリーを中心に お届けします

4.

パタン・セオ リー パタン・ランゲージを薄く まとめた本

5.

『小さな美し い村』とは 盈進学園東野高校の建設回想録 パタン・ランゲージの最大事例 施主視点で物語られている パタン・ランゲージ抜きで面白 い!!

7.

問. 皆さんの「生き生 きとした組織」で見ら れるイメージとはどん なもの?

8.

今日取り上げたいト ピック 利用者参加型設計 構造保存変容 全体性 生命の質

9.

利用者参加型設計 当事者が設計に積極的に関わっていく 当事者目線の設計

10.

利用者参加型設計がも たらすもの 自律性・自主性 自由と責任感 当事者意識

11.

使い手を考えた建築物 「利用者目線で作られたモノ」 p.28 「廊下の幅は、走っても良いように、すれ違う余裕を見てやや 広くしてある。裸足で運動場を走り回るのは良いことだ。校舎 の入り口に足洗い場が用意されている。児童の身長、歩幅、動 き方を考えて、階段の寸法、ロッカーなどの建具の造作が決ま る。」

13.

利用者目線と見た目目 線 実際の場で「ああ、考えられてるな」と感じる ←→ インスタ映えしても使いにくいオフィス

14.

問:組織における「利 用者目線」「利用者参 加」ってなんだろう?

15.

自己組織化?自主経 営?

16.

「組織の利用者参加」 とは? 組織の成員自らがデザインする 関係性・ルール・環境・すべて

17.

利用者参加型設計がも たらすもの 自律性・自主性 自由と責任感 当事者意識

18.

利用者設計のツール: パタン・ランゲージ

19.

p.48 「アレグザンダーら設計スタッフと100名の教職員は、連日、個別 の対話を進めていった。「学校の聖域とはどこか?」など意表をつ く質問もあって戸惑う教員もいたが、ノー・ネクタイのワイシャツ にコーデュロイのズボンで年中通している彼の気さくな人柄と率直 な物言いは、初対面の対話に起こりがちなぎごちなさを解きほぐす のに効果があったようだ。くつろいだ雰囲気の中で、それぞれの教 員が新キャンパスに何を望むのかが徹底して問われ続けた。多様な 学校活動の状況から新しいキャンパスへの夢に至る多くの話題を 巡って、誰もが、アレグザンダーとのくつろいだやり取りを楽しん でいた。

20.

「複数人の表面的な言 葉より、個人の本音」

21.

p.48 「「言いたい放題のことを言ってきたけど、 あれでよかったのかな?」と心配する教員も いたが、本音であればそれで良いのである。 建前という今の常識の厚い殻を破って「本 音」を引き出すのがこの作業の眼目であり又 最も困難な部分なのだ。」

22.

本音であればいい 数が問題ではない、

23.

パタン・ランゲージの 例

24.

1. 全体的特徴 1. 石の土台塀、木の柱、白い壁、2、3箇所特別なところに朱色の漆 材、深々とひさしをのばす屋根、濃い地味な屋根の色、地面の石 や草が建物や敷地を特徴づけている。 2. まず敷地を囲む外塀がある。 3. 外塀の内側に、全敷地の約5分の1にあたる小さな面積を囲む内塀 がある。 4. 内塀の内側の領域を「内境内」と呼ぶ。ここは、学校の主要な建 物が建つ密度の高い領域である。

25.

6. 主要建築の外部構造 1. 内境内では、建物や外部空間の配置によって、微妙、かつ間接的な経路がで きており、方向を変更したり、ささやかな塀で遮ることで、ストレートに見 えない、よりプライバシーの高い離れの様な場所に導かれるようになってい る。 2. 建物自体もその内なる構造に、これと同じフィーリングを持続するようにし てある。つまり、すべての建物内部について大きい部屋が親しく組み合わさ るように、内部が組織されている。そこには、近代的な建築の高校や大学に ある型通りの廊下や階段はまったくない。 3. 高校のホーム・ルーム棟は、教室側に1つ、1階にもう1つと配置される。上の 教室からは、直接地面に出られる様な、階段付きの2階建ての建物である。

26.

8. 建物の内装の特徴 1. 内装の調子は暖かく控えめである。木の柱、床、壁が各所に 有り、白障子白天井の横には、淡い黄色の紙や絹の布に似た 淡黄色の壁がある。 2. 建物の床は、通常のものより少し高く持ち上げられている。 3. 教室の床の多くは木で、靴は教室でぬぐ。 4. 教室の多くは、一方に縁側が有り、そこから入ってくる光 は、格子窓を通して差し込んでくる。

27.

使用者参加の原理の具体化 p.50-51 1. 全教員と個別のインタビューが行われた。 2. インタビューでは、彼らがまとう現代文明社会の厚い殻を破ってその底に無意識に隠されている 「本音」を探る。 3. キャンパス全体に何を求めるかという次元から、個々の施設等に関する要望に至るまで、教員は、 それぞれの考え、希望を率直に述べる。大勢が共有するような最大公約数を求めたりはしない。 4. 誰にも共有されない個人的なアイデア、要望であっても、それが目指すキャンパスの実際にふさわ しい場合には、積極的に取り上げる。 5. 個性の伸長を目指す学園のユニークな教育理念を具体化する教育の現場をつくることを念頭におい て、教職員・生徒の毎日の生活の場=「住まい」の創造という目標に照らして意見、要望を述べて いく。

28.

パタン・ランゲージの特徴 全ての参加者の本音から作る 異なるスケール(大・中・小)から成る 理想のキャンパスのイメージを表現する 個人の意見もすくい上げる(Not 最大公約数) 理念・目標に照らし合わせたものをまとめる

29.

理念と目標 理念:「個性の伸長」 目標:「住まい」の創造 上記にふさわしい意見・要望を取り上げていく

30.

個々の本音の前提とし て 理念・目標が存在する

31.

できる前からイメージできるもの p.52 「最終的に、パタン・ランゲージは1冊の本としてまとめられた。 「100ページにも及ぶ1冊の本として完成し、そこには、まるで学園 がすでにあるかのように描かれている。」 組織の状況がありありと描かれたものがある か?

32.

先にイメージで共有しておき、現物に向き 合う p.55 「現地に立って何の制約もなしにキャンパスのイメージを思い描くことは可能だが、そ れだけでは、他の人達(使用者)と共有できるものは全くない。しかし、この段階で配 置計画に参加した教員らは、既にプロジェクト・ランゲージとして木造低層主体のキャ ンパスのスケッチを共有しているのだ。このスケッチに基づき旗竿を建てていく作業に よってそれぞれの建物の位置と輪郭が原寸で示されていく。こうして今、目の前に浮か び上がってくる全体像は、何の制約もなく個々人が勝手につくり上げるイメージではな い。」 事前に共有できるもの・ 現場で共有するもの

33.

組織で共有できるもの は? クレド?カルチャーコード?MVV?パーパス? 一人ひとりの納得性 現場の行動の源泉 自分で決断するときのモノサシ

34.

全体性

35.

全体の相互調和・関係性を見ながら配置計画、その 後基本設計 p.102 「アレグザンダーの場合、配置計画の段階では、建物の基本設計はできていない。パタン・ランゲージに おいて、各建物のおおよその階数、ボリュームがわかっているだけで、それを基にまず現場で配置図を作 成する。現地では、外部環境、敷地の環境との調和を考え、その上で敷地に実際に諸施設を配置し各建物 の相互の調和と関係を決めながら配置計画を終える。こうして得られた諸施設の配置を図面に写しとるの が配置図である。ここで初めて、基本設計に入る事ができる。基本設計から配置図作成という通常の過程 の逆なのだ。配置図を現地で作成しその上で建物の形を決めていくという手法が、環境を無視して建築家 の頭の中だけで造形をすすめることの弊害を防ぐ、唯一の方法だと思う。」 全体の調和を保ちながら大まかに配置し、現場のフィードバックで調整し 続ける

36.

組織に例えて言うなら 全体性を保ちつつ組織を大きく分けるが 全体性を保ちながらダイナミックに変更し続け る ダイナミックリチーミング?

37.

全体性がもたらすもの 全体がもたらす最適化・調和 全体視点

38.

顧客価値を基準に変え ていく バリューストリームを基準に変え続ける

39.

本当にそれだけで 「生命の質」は生まれ る?

40.

構造保存変容 Structure Preserving Transformation 今の構造を保存し、守り育てながら変更するプロセス 今の構造を活用しつつ、潜在的なセンターを発見し て、より強める

41.

土地の声を聞く p.46 「今の普通の造成では、起伏のある土地の造成を頼まれれば、"全て均ら して3つのレベル"ということになる。いずれ均らして、土地の起伏は無 くなってしまう。それなら、敷地模型はいらないし、それを作る建築家 もいないであろう。茶畠特有の地形を活かして周辺の環境との調和を求 めるにはどうすればよいのか?どのような造成がこの敷地にふさわしい のか?それに答えるには、実際に敷地の中を歩き回った時の「実感」に 照らして考えるしかない。こうして、その土地の「実感」を得、土地と の「一体感」を感じることが、「土地の声を聞く」ことになる。」

42.

なるべくしてなった池 p.134 第一の問題は、周辺の自然・風土・地形など総じて地域文化と の調和をどう考えていくかということだ。“土地の声”に耳を傾 けるのである。この敷地の造成では、茶畠の起伏を活かすこと である。雨が降ると自然の池になり野菜もできない湿地の窪地 は、そのままで、ここがどうなるべきかを我々に語りかけてい る。キャンパスの池は、「なるべくして池になった」のだ。

43.

構造保存が セミラティス構造を生む あるものを使う 少しづつ変わる セミラティス構造がプロセスによって出現する

44.

構造保存の変容 p.170 「この施設は、パタン・ランゲージにはないが、配置計画の段 階で、センタリング・プロセスによって必要であることが確認 され建設することになった。ホーム・ルーム通りの正面にこれ を配置することで、通りそのものがモールとしての空間にな る。あれば良いというのではなく、ホーム・ルーム通りがモー ルになる上で無くてはならない施設ということだ。」

45.

←→ 構造破壊変容 既存を壊し、新しく作る それまでの構造は「なかったこと」になる

46.

構造保存変容の例 古民家をリフォームしてそこに住む 古い町並みを活かした地域活性化

47.

構造保存変容がもたら すもの きめ細かい適応 最小の資源利用 小さい変化の積層、過去との連続性

48.

構造保存変容とフィー ドバックループの違い 構造保存変容は「既存の構造保存(=尊重)」 フィードバックループには「構造の保存(尊 重)」はない

49.

組織の構造保存とはな んだろう? ビジネス?組織体制?ルール?文化? 「これまで」を尊重できるか?

50.

前提となるのは 「常に最善原則」 「誰もが常に最善を尽くしている」 後からは色々言えるが、当時は最善だったと思 えるか?

51.

組織における 構造保存変容プロセスでの ポイント 常に最善原則のもと これまでに敬意を持ちつつ 今注目すべき点にフォーカスして よい形に変える、その繰り返し

52.

組織の「カタチ」 組織パターン、チームトポロジー、unFix、ダ イナミックリチーミング これからは「AIエージェント」も組織の一員へ どういう構造保存になる?

53.

組織における「変わら ないもの」とは?

54.

「共有された思想」は変わらない p.165 「そこで決定的な問題になるのは、ある事業を進めるにあたって、参加者が基 本的な考え方を共有しているかということなのである。思想の共有と言い換え ても良いかと思う。このプロジェクトで言えば、「地域の自然と風土を尊重し た開発としての」「木造低層を主体とする木を主な建築資材にしたキャンパ ス」ということである。このような思想の共有は、考え方から職人の有無も含 めて「木のシステム」が失われている今日では、共有するということ自体が困 難だった。事実、完成するまでの全過程を通じて、理事、教職員の多数が「木 の思想」とでも言うべき考え方を共有することなど、終始一貫なかったのであ る。」

55.

「生命の質」

56.

生命の質って何? 感じ取った「生き生きさ」 安らぎ、心地よさ、etc 以前は「名付け得ぬ質(QWAN)」

57.

p.29 「板張りの廊下や自然の通風を大切にしたい と思うのは、現実を自覚しない郷愁と感傷で しかないということになるのだろうか。この ような"時流"は、どこかおかしいのだと思 う。」

58.

p.29 「何よりも嬉しかったのは、木という素材が与え てくれるくつろぎと落ち着きである。「よくほか の学校で研修会があって参加するのですが、どこ へ行ってもコンクリートの校舎で心身ともに疲れ るのです。終わってここへ戻ってくると、心から ホッとします。やはり木の良さなのでしょう ね。」と教頭は述べた。」

59.

感じたものを 大事に守ろうとするか

60.

無自覚に抑圧された「本音」 p.48 「人々は、現代技術文明の潮流に、首までどっぷり浸かっている。 建て前、常識の奥に隠されている「本音」は、本人自身さえ自覚し ていない。意図的に意識の深いところまで掘り下げていかないと、 それに届かないのである。この「本音」がないと、対話で語られる ことの記録は、時々の時代の流れを写しとること、時代の流れの反 映を集めた断片の寄せ集めにしかならない。」

61.

「聞いてもでてこない」本音を探り当 てる p.49 「さらに、あらゆるものを相対化する相対主義=真理複数説が多数を占める現 代では、「本音」の実在さえ疑わしくなっている。"本来の柔道"などというも のは、既に無くなっているか、あるいはどうでも良いものになっているよう だ。従って、体育科の教員自身のイメージに、"あるべき"武道場は存在しな かったのである。誰もが現代文明の潮流に流され、相対主義が支配している現 代では、「本音」を探り当てることを抜きにしては、使用者参加の原理は機能 し得ない。」

62.

いかにホンネを言える か 「こんなこと言ってもいいのか な?」

63.

「心理的安全性」で すましていいの?

64.

p.104 「正解は、目的によって変わっていってよいが、無機的 でヒューマン・スケールをはるかに超える高層ビル、工 場などの大構造の建築では機能が第一であって、くつろ ぎ、うるおい、豊かな、どこか覚えのある懐かしい空間 などは求むべくもない。これらの建築と生徒、教職員 の"住まい"である学校建築を同一視することはできな い。そこでは、機能主義第一で捨てられたもののことご とくを拾い上げ実現することが大切になる。」

65.

組織は「ハレ」なのか「ケ」なのか p.111 「要は、毎日の日常生活が、建物と外部環境との調和、キャンパス内で の建物相互の間、建物内部での調和によって、活き活きとはしている が、しかし落ち着いて過ごせるように設計されている。アレグザンダー は、このキャンパスでの学校生活が「ハレ」ではなく住まいにおける 「ケ」であることから、日常生活に不可欠な調和を大切にしていたので ある。」

66.

感性を合理の次元に乗 せると立ち行かない

67.

p.164 「第一の問題は、「木を使う。」という選択が、普通の討議に はなじまないということだ。討議は、一般に、合理と機能の次 元で可否を確かめ、論理に基づいて正誤を争うことになる。木 とアルミの対立の場合、耐久性はともかく、強度、耐水性を見 れば、木に勝ち目はないし、木が正しいと主張できる論理など はない。「木を使う。」という選択には、主として感性が関 わっているのであって、感性、好みに関わることについては、 合理の次元で論理的に進められる討議で可否、正誤を決めるこ とはできないのである。」

68.

「木にしたい」を合理 で説明しない

69.

p.167 この件で所長と議論するのは避けた。 〜 合理・機能の次元での答えになっていないことは百も承知で、所長 には、「設計通り木にしてほしい。」とだけ答えた。当然議論の対 象になると考えている所長にしてみれば、その議論がなくただ「木 にしたいから木だ。」というのは、極めて理不尽に思えただろう。 常に感性を重視する設計者、施主側と合理・機能を旨とするゼネコ ンで長く仕事をしてきた工事所長との間の認識のずれが生ずる状況 は、異なる言語で通訳なしに話をするのと似ている。

70.

感性や好みで仕事をしていたのでは、ゼネコンの利益は出てこな い。所長の立場は、当然であった。所長は執拗に鉄骨を主張し続け たが、注意深く議論になるのを避けながらその提案を拒否しつづけ た。「思想の共存」というと、言葉の上だけではありそうに聞こえ るが、木と金属の間に中間はないので、これがテーマになると、建 設工事では相互の譲歩とか妥協の余地は全くないのである。所長は ついに諦めて、「そこまで言われるならしょうがないですね。木で やりましょう。」ということになったが、表情には憤懣やるかたな い心情がありありと見えていた。」

71.

「木で作ってくれ」と ただお願いする

72.

「思想の共有」ができ ていなかった

73.

p.165 しかし、第三の問題はさらに重要であって、それは、ことが形 式上、民主的な手順を踏んで決定されているかどうかにあるの ではない。そこで決定的な問題になるのは、ある事業を進める にあたって、参加者が基本的な考え方を共有しているかという ことなのである。思想の共有と言い換えても良いかと思う。こ のプロジェクトで言えば、「地域の自然と風土を尊重した開発 としての」「木造低層を主体とする木を主な建築資材にした キャンパス」ということである。

74.

p.165 このような思想の共有は、考え方から職人の有無も含めて「木のシステ ム」が失われている今日では、共有するということ自体が困難だった。 事実、完成するまでの全過程を通じて、理事、教職員の多数が「木の思 想」とでも言うべき考え方を共有することなど、終始一貫なかったので ある。1980年代前半という時期の日本の常識は、「木の思想」とは全く 無縁のフジタの側にあった。事あるごとに、理事、教職員の多くがフジ タに傾くのも無理はなかった。このような時代の常識に反する“時代の非 常識”を100名を超える教職員が共有するなど、幻想というしかなかった のであろう。ということなら、ある時点で同意したとしても、それが具 体化し現実の姿を取って現れるとたちまち動揺して不同意に転ずること が度々起こるのも、それほど不思議ではない。

75.

p.165 基本的に「木の思想」を共有していない上に、強 固な「時代の常識」が人々の意識の深層を支配し ているからだ。“多数が不同意に変われば、前の決 定を変えるのが当然”とする第一の問題は、実は 「時代の常識」の支配下で、基本的な考え方、思 想を共有していないという、この第三の問題がそ の基盤になっていたのである。

76.

理念・目標に加えて 「思想の共有」が必要 だった

77.

「思想」とは何か? 根幹にあるもの 覆ると、対象の存在意義がなくなるもの 人が追い詰められると、破棄するかもしれない

78.

「木の思想」=時代の 非常識

79.

常識に抗うことの 恐れ・不安を避けたい

80.

問:組織に関して皆さ んが周囲と共有してお きたい「思想・価値」 は何?

81.

「感性は現実である」

82.

P.101 豊かさ、くつろぎは、人の感情、感性に関わるもの なので、合理になじまないし機能的に位置づけるの は難しい。だからといって、これをとらえどころの ないものとして形而上学的に扱うべきではない。豊 かさもくつろぎも、実態のある現実のものなのだ。 「住まい」が豊かなくつろぎの場になり得るのと同 じように、学校でもそれは可能である。

83.

感性を大事にするとい うことは、感じたこと を信じること

84.

いろいろな「感じ」 Sensitivity:感性・感覚・感受性 Emotion:感情・情動(喜怒哀楽) Feeling:上記2つを含む Passion:より強い感情

85.

「感じた」ものの抑制 否定感情を抑える 理性的に考えて打ち消す 大事にしたいがなかったことにする

86.

「感じ」は内側からの通 知 モヤモヤは何か「感じ」があることを知らせる 否定感情は何かが満たされていないことを知らせる 肯定感情は何かが満たされていることを知らせる 「感じ」たものは確かに「ある」

87.

昭和60年にタイムスリップ 数十年木造校舎は作られていない 25年間大型木造建築は作られていない 最初は合意していた教職員たちが突然反対側に回り始める ベンダーも「木より鉄だ」を言い始める さぁ、あなたはどうす る??

88.

自分の「感じ」たもの を信じられる?

89.

自分が「不快の回避」 をしていると自覚でき る? 諦め:こうなったら、仕方ない... 正当化:こうするしかなかったんだ。

90.

生命の質 2つを比較することで「感じ」とれる 安心な場で「感じ」とれる 防衛状態では「感じ」とれない 無自覚に「感じ」取れてない状態 全体性=生命の質

92.

「感じ」を妨げる、な かったことにする要因 恐れ 正当化 「感じ」の感度の違い

93.

恐れに駆動されてる組 織で「感じ」ることは できるのか?

94.

「感じ」はトレーニン グが必要 ミラーテスト(アレグザンダー) エンパシー、自己共感(NVC) どれも「メタ認知」が重要

95.

感じている自分 感じれていない自分

96.

感じれてない時 「わからない」 「混乱している」 「どうすればいいの?」

97.

深呼吸

98.

誰でも「生命の質」は感じ取れる

99.

ビオトープで学んだこと 環境を変えれば生き物は集まる その環境を好む生き物が集まる 環境に応じた豊かさが生まれる 多様な環境が、多様な生物を集める 「守りたい生き物」が好む環境を整える

100.

2022の状態

101.

2025の状態

102.

2025 シャジクモ(絶滅危惧種)

103.

組織に変換してみると... 組織の環境を変えれば人は集まる その環境を好む人が集まる 環境に応じた豊かさが生まれる 多様な環境が、多様な人を集める 「いて欲しい人」が好む環境を整える

104.

システムAとシステム B システムA:生命/調和/豊かさ(=感じる世 界) システムB:合理性/効率性/機能性(=考え る世界)

105.

システムA(感性・全体性)とシステムB(合理性・機能性) の統合 p.104 「そこでは、機能主義第一で捨てられたもののことごとくを拾い上げ実現することが大 切になる。現代の設計・施工が排除してきた現場主義、立ち上がりを見ながら決めてい く、絶えざる修正を繰り返す在来の手法は、大手ゼネコンの1つであるフジタとの間 で、絶えざる議論と勝ち負けをその場で決めなければならないタフな対立をもたらし た。 しかしこの点では、対立しながらも、藤田敏美工事所長は、アレグザンダーと施主の意 図をよく理解し、可能な限りそれに沿うよう協力してくれた。実務者でありながら、ユ ニークなキャンパスの実現に様々な工夫を考えてくれたのである。」

106.

組織におけるシステム AとBとは? システムA:生命・調和・豊かさ? システムB:合理性・効率性・機能性?

107.

「感じ」を扱うために 「生命の質(Feeling)」を感じ大切に扱おう とする 「感情(Emotion)」を扱い方を学ぶ 「感じ」たことをなかったことにしない

108.

AとBの統合とは? Aシステム(生命・調和・豊かさ)を保存し守 ろうとする Aを実現するために、Bを使う Aを壊さないように、Bで支える

109.

AとBの統合のために 生き生きさを実現するために 必要な思想を共有し 「生命の質」を感じて大事に扱い AをまもるためにBを使う

110.

皆さんへお願い 一緒にAとBの統合を考えて欲しい 「生命の質」を感じる力を開き、 生命の豊かさに溢れた世界にして欲しい

111.

一人ひとりが自分の弱 さと向き合い 願いに気づくことで世 界は変る