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February 16, 26
スライド概要
(AIによる要約)
スライドは、筆者が自ら経験した多数の新規事業失敗例を料理の工程に置き換えて紹介しています。まず、社内の既存技術(シーズ)と市場のニーズ(ウィル)を冷蔵庫から探し出し、食べたいものを尋ねてニーズを把握します。その後、マッチングイベントでシーズとニーズを組み合わせ、100億円規模の市場価値を検討しますが、経験不足の担当者が現れたり、価値説明(蓋然性)や競争優位性の根拠が不十分だったりします。さらに、PoCを繰り返し煮込むように検証を重ねるものの、焦げ付くほど過剰に進めてしまい、結局誰にも受け入れられない事業となります。その後も、経営層の交代や形だけの新規事業創出プログラムが始まり、同じサイクルが繰り返されることで学習性無気力に陥ります。スライドは、各工程での具体的な失敗パターンと、なぜ失敗したのかを明示し、再発防止のヒントを提供しています。
アジャイル/スクラム/データサイエンス/プロダクトマネジメント/プロジェクトマネジメント/組織論など、日々の学びをスライドにします。
新規事業の 失敗レシピ 2026/02/16 清水 隆史 @shimitaka
はじめに
このスライドの趣旨 このスライドは、大企業における新規事業の創出に失敗 しまくった私が「なにをやったら失敗したのか」をふり かえって料理に喩えて説明するものです もちろん私は「美味しい料理」(=売れる新規事業)を 作りたかったわけですが、なかなかそうもいきませんで した 内部的な要因・外部的な要因・偶発的な要因などいろい ろありましたが「これが失敗の要因であろう」と推察さ れるものを列挙します
このスライドの趣旨 「うまくいったかな」と思ったことは1回だけあります (0→1、1→10、スピンアウトまで実施)が、それも 様々な幸運に恵まれたと思ってるので、汎用化・一般化 が難しいです 一方で、これをやったらうまくいかなかった、というの は山ほどあっていろいろ言えそうなので、それを整理し て紹介することにします 勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし * *私の世代だとヤクルトを日本一に導いた野村克也監督の名言として知られていますが、元をただすと江戸時 代の大名である松浦静山の言葉らしいです
前提条件 伝統的日系大手企業 ✓いわゆるJTC(Japanese Traditional Company)でのお話 製造業・宇宙開発・食品メーカー・SIer ✓たまたま自分が所属したり仕事上お付き合いしていたのがこのあたりの 業界だった 自分の経験則+近しい人の経験談 ✓基本的には自分が経験した複数プロジェクトがベース ✓プラスして実際に会ってお話をした人(近しい人)の経験談も交えてい きます
料理で 喩える 失敗する 新規事業の 作り方
失敗する新規事業の作り方 ① 冷蔵庫の中から食材を探します ② 「食べたいものは何ですか?」と聞きます ③ マッチングイベントをやります ④ 「100億円の価値があるか?」を考えます ⑤ どこからともなく海原さんもどきが現れます
失敗する新規事業の作り方 ⑥ 調理行程を紙に書きだして「この料理が美味しい理由」 を説明します ⑦ 「この料理をウチの店で出す理由」を考えます ⑧ じっくりコトコト煮込みます ⑨ 誰にも食べられない失敗料理の出来上がり!
もう少し 詳しく
①冷蔵庫の中から食材を探します これってつまり… 自社が持っている既存技術から以下を探す ✓新規事業になりそうなもの(possibility) ✓新規事業にしたいもの(will) つまりシーズ探し 特許とかデータの場合もある (例)精密機器メーカーなのだが、エンジニアがいるし 機器データもあるのでAIを活用した「何か」をやってみ よう!
②「食べたいものは何ですか?」と聞きます これってつまり… 世の中のお困りごとを探す ✓新規事業になりそうなもの(possibility) ✓新規事業にできそうなもの(can) つまりニーズ探し 社会課題にアプローチする (例)新聞・雑誌を読んでみると、どうやら世の中的に は少子高齢化が問題になっているようだ!
③マッチングイベントをやります これってつまり… ニーズとシーズの組み合わせを模索します アイデア出しのワークショップをやったりします パイナップルとリンゴにペンが刺さった、みたいなもの がアイデアとして出されます (例)少子高齢化問題に対応する AIソリューションを開発して自社データ も活用しながらコンサル事業を始めよう!
④「100億円の価値があるか?」を考えます これってつまり… そのビジネスの市場性を検討します よくやるのがTAM/SAM/SOMの 導出 (例)少子高齢化市場は 1000億円の市場性がある そのうち弊社は10%を とれば100億円の市場だ! TAM、SAM、SOMとは?意味や活用シーン、計算方法を具体例を交えて解説 https://www.utokyo-ipc.co.jp/column/tam-market-size/
⑤どこからともなく海原さんもどきが現れます これってつまり… 「この新規事業を企画 したのは誰だぁっ!!」 みたいな人が現れます でも本物ではなく「もどき」なので、実はその人自身も 新規事業を語れるほどの経験が無かったりします
⑥調理行程を紙に書きだして 「この料理が美味しい理由」を説明します これってつまり… その新規事業が「儲かる理由」を説明します よく「蓋然性の説明」と言われたりします ✓蓋然性:その事柄が実際に起こるか否か、真であるか否かの、確実性の 度合。また、蓋然的であること。 調理行程(プロセス)を紙に書きだしてそれ通り作業を 進める、というイメージ 「そもそも売れる(美味しい)って論理的に説明できる んだっけ?」とか疑問に思いながらパワポを100枚つくる
⑦「この料理をウチの店で出す理由」を考えます これってつまり… 他の企業(他の店)に負けない圧倒的なアドバンテージ があるのかどうかを考えて説明します 参入障壁とか『Why ○○?』(○○には会社名または略 称が入る)とかいう言葉が飛び交います 「この手の新規事業(新規プロダクト)ならスタート アップ企業の方が速くて上手にできるのではないか」 「自社らしさ、例えば技術の優位性はどこにあるのか」 とか言われはじめます
⑧じっくりコトコト煮込みます これってつまり… 検討に検討を重ねます だいたい小さくPoCから始めます PoCは「可もなく不可もなく」という感じで続きます PoCが第3回、第4回ぐらいになってくると、「そろそろ 有償化を考えたほうが…」みたいな話が出てきます 一方で品質も大切だし、上層部に話が行くには時間がか かるので、その間じっくりと煮込みは続きます
⑨誰にも食べられない 失敗料理の出来上がり! これってつまり… じっくりコトコト煮込んだ結果、煮込みすぎて焦げ付い たり素材が原型をとどめていないような料理が出来上が ります 「これって結局誰が食べたかったんだっけ?」みたいな 話がでてきます 無理やり食べようとするとおなかを壊したりします (そのあとの運用保守がとても大変)
アフター ストーリー
失敗する新規事業の作り方 ⑩ どこからともなく山岡さんもどきが現れます ⑪ 経営層が変わります ⑫ 「若い人中心に独創的な料理を作ってもらおう!」みた いなプログラムが始まります ⑬ ①’に戻ります
⑩どこからともなく山岡さんもどきが現れます これってつまり… 「やれやれ、本物の新規事業 を知らないようだ…。来週 またここに来てください。」 みたいな人が現れます でも本物ではなく「もどき」なので、実はその人自身も 新規事業を語れるほどの経験が無かったりします
⑪経営層が変わります これってつまり… そうこうしているうちに年度が替わり、経営層(執行 役・執行役員)や事業部長・部長などが変わります 上位が変わると戦略が変わり、新規事業に対するアプ ローチや熱意も変わったりします。 (例)AIだ、DXだ、と言っていたが、これからは量子コ ンピューターが来るぞ!そっちに注力していこう!
⑫「若い人中心に独創的な料理を作ってもらおう!」 みたいなプログラムが始まります これってつまり… なんだかかっこいい名前を付けて「新規事業創出プログ ラム」が始まります(または既存のプログラムが刷新さ れます) 募集の説明会を大々的に行い、 名だたる著名人を社外から呼んで講演会 を行い、毎週大量の宿題を出して 新規事業アイデアをPowerPointに落とし 込み、TEDみたいなプレゼンをさせます
⑬①’に戻ります これってつまり… 同じ歴史を繰り返します 1周した人は「もう疲れたよ…」「どうせ同じことの繰り 返しでしょ」と学習性無気力に陥ります
いったいどこで 間違ったのか??
いったいどこで間違ったのか?? ① 冷蔵庫の中から食材を探します ② 「食べたいものは何ですか?」と聞きます ③ マッチングイベントをやります ④ 「100億円の価値があるか?」を考えます ⑤ どこからともなく海原さんもどきが現れます ⑥ 調理行程を紙に書きだして「この料理が美味しい理由」を説明します ⑦ 「この料理をウチの店で出す理由」を考えます ⑧ じっくりコトコト煮込みます ⑨ 誰にも食べられない失敗料理の出来上がり! ⑩ どこからともなく山岡さんもどきが現れます ⑪ 経営層が変わります ⑫ 「若い人中心に独創的な料理を作ってもらおう!」 みたいなプログラムが始まります ⑬ ①’に戻ります
いったいどこで間違ったのか?? ① 冷蔵庫の中から食材を探します ② 「食べたいものは何ですか?」と聞きます ③ マッチングイベントをやります ④ 「100億円の価値があるか?」を考えます ⑤ どこからともなく海原さんもどきが現れます ⑥ 調理行程を紙に書きだして「この料理が美味しい理由」を説明します ⑦ 「この料理をウチの店で出す理由」を考えます ⑧ じっくりコトコト煮込みます ⑨ 誰にも食べられない失敗料理の出来上がり! ⑩ どこからともなく山岡さんもどきが現れます ⑪ 経営層が変わります ⑫ 「若い人中心に独創的な料理を作ってもらおう!」 みたいなプログラムが始まります ⑬ ①’に戻ります
例えば「①冷蔵庫の中から食材を探します」 シーズ探しをすること自体は良いこと 新しくゼロから生み出すよりも、自社が持っている既存 技術(リソース)を使うほうが立ち上がりが早い、とい うのはその通り だが、その意識が強いがゆえに既存技術を有効活用する こと自体が目的になっていたのではないか? むしろ既存技術は既存事業に最適化しているのだから、 新規事業には不向き(またはカスタマイズが不可欠)な のでは?
例えば「①冷蔵庫の中から食材を探します」 【出典】【5分LT会】エラい人より顧客価値を優先する「覚悟」の話 | ドクセル
例えば「⑥調理行程を紙に書きだして 「この料理が美味しい理由」を説明します」 決裁権がある人やお金を持っている人に対して「その新 規事業がうまくいく理由」を説明するのは大事なこと だが、どれだけ完璧なロジックで工程を書き出したとし ても、その工程通り実施できるとは限らないし、うまく いくとは限らない 完璧に未来を予想することはできないし、その予想に対 して責任を持つこともできない それであれば、顧客の反応を見てもらった方がよっぽど 有効だったのではないか?
どうすればよくなるか ここまで紹介したことは、いわば新規事業創出の地雷 地雷を探知し踏まないようにするにはどうしたらよい のか、を考えて実践するしかない (例)ある程度仮説出しができたら早めに想定顧客の 元に行き顧客の声を聴く (例)シーズやニーズのマッチングがうまくいかな かったら早めにドロップまたはピボットする (例)関係ない人が横から口出ししない
失敗を踏まえて私が言えること 顧客の声を聴こう 当たり前のことをちゃんとやろう 会社のプロセスに惑わされないようにしよう (会社のプロセスが悪いといっているわけではない) 顧客の声を聴こう(二度目) 自分の信念を貫こう 顧客の声を聴こう(三度目)
Thank you for your attention !!