管理職向けアジャイルはじめの一歩

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December 08, 25

スライド概要

(AIによる要約)
このスライドは企業の管理職向けにアジャイルの基本的なマインド、プロセス、プラクティスを紹介しています。「まずはざっくりとアジャイルの全体感を知りたい」という方向けの初歩的な手引きです。具体的には、アジャイルのマインドを理解し、スクラムイベントについて理解し、モブワークやプランニングポーカーといったプラクティスの活用法を知ることができます。また、管理職が直面するさまざまな悩みを解消するヒントも提供されます。

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アジャイル/スクラム/データサイエンス/プロダクトマネジメント/プロジェクトマネジメント/組織論など、日々の学びをスライドにします。

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各ページのテキスト
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管理職向けアジャイル はじめの一歩 2025/12/09 @shimitaka1982 清水 隆史

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はじめに

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はじめに このスライドは企業の管理職の方向けに、アジャイル のマインド・プロセス・プラクティスについて紹介する ものです。 「はじめの一歩」というタイトルの通り、「まずは ざっくりとアジャイルの全体感を知りたい」という方向 けの最初の手引きというコンセプトで作成しています。 “銀の弾丸*”を提供するものではありません。 これからの業務において何かのヒントになれば嬉しい! ぐらいの思いで作成しています。 *銀の弾丸:複雑で困難な問題を一気に解決できるような魔法のような特効薬や万能の解決策のこと

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本スライドの対象者 いままでソフトウェア開発やアジャイルにあまり触れ てこなかった管理職の方で「アジャイルについて知りた い/学びたい」「アジャイルで課題を解決できたらいい な」と思う方におすすめです。 いま管理職でなくても将来の管理職候補の方や、 管理職には興味は無くても単純にアジャイルには 興味がある、という方ももちろんWelcomeですが、 あくまで管理職の方向けに作成している点を 予めご了承ください。

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本スライドのアウトカム * アジャイルソフトウェア開発宣言を通してアジャイルが 大切にしているマインドを理解できます スクラムの紹介を通して”アジャイル開発”でよく使われ るプロセスの”カタ”を知り、守破離の守を学ぶことがで きます モブワーク・プランニングポーカーといった 代表的なプラクティスを通してアジャイルな 仕事の進め方のコツを身に付けることができます *アウトカム(outcome):このスライドを読むことによってみなさんが得られるもののこと

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自己紹介 清水隆史(shimitaka) 宇宙開発事業・小売業・製造業における プロジェクトリード 【資格】情報処理技術者試験プロジェクトマネージャ、 PMP®、CSP-SM、A-CSPO等 オンライン学習プラットフォーム「Udemy」講師 大手製造業の管理職 ✓自分自身も管理職なんです

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本スライドで紹介すること 管理職の悩み(前フリ) アジャイルのマインド:あり方 ✓アジャイルソフトウェア開発宣言 アジャイルのプロセス:進め方 ✓スクラム(スクラムイベント) アジャイルのプラクティス:実践知 ✓モブワーク ✓プランニングポーカー

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管理職の 悩み

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管理職の悩み 管理職のみなさん* 日々様々な悩みが尽きないですよね (”課題”とか”問題”といった表現も考えましたが、 敢えてみなさんの人に焦点を当てて”悩み”と表現しました) *このスライドはあくまで管理職向けとしてるのでこう 問いかけています。これは経営者や一般職などの方に 「悩みがない」などと言っているわけでは決してありま せんのでご留意ください

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管理職の悩みの例 Google Geminiさんが こう言ってた 上司と部下の板挟み ✓経営層からのプレッシャーや方針と、現場の部下からの意見や要望、 不満との間で調整役となり、板挟み状態になることに多くの管理職が ストレスを感じています。自身の裁量が発揮しにくいと感じることも あります。 業務量の多さと時間管理の難しさ ✓本来のマネジメント業務に加えて、現場の実務も兼務することが多く、 業務量が膨大になりがちです。その結果、十分な部下育成の時間を確 保できない、自身の業務効率が上がらないといった時間管理の難しさ に直面します。

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管理職の悩みの例 Google Geminiさんが こう言ってた 部下の育成とマネジメント ✓部下の多様な価値観や働き方を理解し、個々の成長を促すことの難し さが挙げられます。具体的には、指示待ちの部下への対応や、モチ ベーションの維持・向上、効果的な指導方法などに悩むケースが多く 見られます。 責任の重さと割に合わないと感じる報酬 ✓組織の業績やチームの結果に対する責任の重さを常に感じています。 また、責任や業務負担の増加に対して、給与や待遇が見合っていない と感じる「割に合わない」という悩みもよく聞かれます。

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アジャイルの可能性 その悩み、アジャイルの マインド・プロセス・プラクティスで 少しは解消されるかもしれません! (というか私自身がアジャイルを知って 日々の業務の悩みが解消される方向に 向かったので、その経験則をお伝えします)

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マインド

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アジャイルソフトウェア開発宣言 アジャイルの原典 2001年に17人の開発者が作成した文書 ✓つまり四半世紀も前に出来た ✓つまりみんなで作った(=誰か一人の考えではない) 4つの価値観と12の原則 Webページ上で68の言語で無償公開 ✓つまり全世界共通 「アジャイルとは何か」を勉強するならまずはこれを じっくり読み解くことをオススメします!

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アジャイルソフトウェア開発宣言 4つの価値 ⚫個人と対話 ⚫動くソフトウェア ⚫顧客との協調 ⚫変化への対応 [出典]アジャイルソフトウェア開発宣言(日本語版) https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html

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アジャイル宣言の背後にある原則 12の原則 [出典]アジャイル宣言の背後にある原則 https://agilemanifesto.org/iso/ja/principles.html ⚫顧客満足を最優先 ⚫価値のあるソフトウェアを 継続的に提供 ⚫変化を味方につける ⚫一定のページを継続的に維持 ⚫シンプルさが本質 ⚫自己組織的なチーム ・・・etc.

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管理職業務への役立て方の例 個人と対話を大切にしてメンバーと対話の時間を増やす 動くソフトウェアを「作成されたPowerPoint資料」や 「アンケート結果のデータ」などと読み替えて、エビデ ンスベースでレビューを行う マネジメントしているチームの自己組織化を奨励する 経営者や上長や部下の「言ってることが変わる」 といった変化はありうるものだと考えて、 その変化に適応することを前提とする

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よくある疑問 Q1.そもそもアジャイル”開発”って言ってるんだから、 開発業務してない人には関係ないのでは? A1.確かにもともとはソフトウェア開発から生まれたもの ですが、現在では様々な立場の方がそのマインドセット を受け入れて実践しています。その原典となるのがこの 「アジャイルソフトウェア開発宣言」です。 Q2.誰でも無料で見られるWebページで公開しているけど 本当に大丈夫?(有料じゃないと価値がないのでは?) A2.いいんです!オープンマインドですから。

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よくある疑問 Q3.体系化された公式の文書などは無いのですか?こんな に簡易的なものでいいんですか? A3.アジャイルには重厚長大な公式ドキュメントはありま せん。敢えて言えばこの「アジャイルソフトウェア開発 宣言」がそれにあたります。だからといって、この宣言 の価値が失われることはありません。むしろシンプルで 分かりやすいからこそ世界中の方に四半世紀も愛されて いる、とも言えます。

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よくある疑問 Q4.日本の機関が発行している文書じゃないと信用出来ない A4.IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発行している 「アジャイルソフトウェア 開発宣言の読みとき方」という 文書があります。無料で閲覧 出来るのでぜひ参考にしてみて ください。 [出典]アジャイルソフトウェア開発宣言の読み解き方|IPA https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-itui/itssplus/ps6vr70000001i7c-att/000065601.pdf

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プロセス

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スクラム スクラム(Scrum)はフレームワークのひとつ スクラムガイド*が原典だが2025年に副読本という位置 づけでスクラムガイド拡張パック**が発表 どちらもWebページ上で無償公開 アジャイルのフレームワークの中でも もっともメジャーなもの *スクラムガイド https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf **スクラムガイド拡張パック https://scrumexpansion.org/ja/

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(参考)スクラムの普及度合い PMI日本支部アジャイル研究会が2025年9月に発表した 「アジャイルプロジェクトの実態」アンケート調査によ れば、「導入されたプロセス・手法」としてリーン・ス クラム・カンバン・XP・DevOpsなどの選択肢の中で 「スクラム」が最も多い回答となった ✓補足としていえば、PMIはプロジェクト マネジメントの文脈であり、アンケート 対象は日本企業が多いと思われる ✓ただ、世界的にもスクラムがメジャーで あることは疑いの余地がない *2025年度アンケート調査結果 - アジャイル 研究会 https://www.pmi-japan.org/agilesg/2025/09/05/post-105/

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つまり何がいいたいかというと まずは初手として スクラムを知っておこう! (スクラムがアジャイルの全てではないし、 スクラムを知っただけでアジャイルを 知った気になると危険だが、最初に 勉強するには妥当な選択、的な意味合い)

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スクラムイベント スクラムガイドでは「スクラムイベント」というもの が謳われている スクラムガイドには以下の通り記載されている スクラムにおけるそれぞれのイベントは、 スクラムの 作成物の検査と適応をするための公式の機会である (中略) すべてのイベントは、複雑さを低減するために、 同じ時間と場所で開催されることが望ましい。

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スクラムイベント スクラムイベントはごく簡単に言えば 「プロジェクトの定例会」のようなもの これはプロジェクトを円滑に進めるためのプロセスの ようなものとも言えるため、このスライドでは敢えて分 かりやすく「プロセス」の例として紹介している (※補足していえば、「スクラムイベント=プロセス」と言っているわけで はありません。あくまで守破離の守を伝えるために管理職の方に分かりやす く言葉を選んだ結果ですので、ご了承ください)

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スクラムイベント スクラムガイドで謳われているイベントは以下の5つ ✓スプリント ✓スプリントプランニング ✓デイリースクラム ✓スプリントレビュー ✓スプリントレトロスペクティブ それぞれのイベントに意味(目的)がある ✓(例)デイリースクラムについては以下のような記載がある デイリースクラムの⽬的は、計画された今後の作業を調整しながら、 スプリントゴールに対する進捗を検査し、 必要に応じてスプリントバックログを適応させることである。

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管理職業務への役立て方の例 グループ全員で集まって週の初めに「今週誰が何をど んなスケジュールでやるか」を話し合う ⇒スプリントプランニングに相当 グループ全員で集まって毎日朝会で昨日やったこと、 今日やること、課題の3点を報告してもらう ⇒デイリースクラムに相当 グループ全員で集まって週の終わりに「今週の作業を 終えてみてどうだったか」を話し合う ⇒スプリントレトロスペクティブに相当

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よくある疑問 Q5.そんなの当たり前にやっとるがな A5.それでいいんです!!当たり前にできてい ればそれを大切にしてください!無理にスクラムのフ レームワークに合わせる必要はありません。 ただ、その当たり前が形骸化せずにできているか、 狙いや目的が達成できているかは ぜひチェックしてみましょう!

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よくある疑問 Q6.日本の機関が発行している文書じゃないと信用出来ない A6.IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発行している 「アジャイル開発の進め方」 という文書があります。 無料で閲覧出来るので ぜひ参考にしてみてください。 [出典]アジャイル開発の進め方|IPA https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-itui/itssplus/ps6vr70000001i7c-att/000065606.pdf

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プラクティス

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そもそもプラクティスとは プラクティス(practice)とは、もともと練習・実践・ 実行を意味する言葉で、特定の分野での習慣・慣行・手 法なども意味する アジャイルの文脈では、開発業務においてチームで習 慣化された方法ややり方などを指す より分かりやすく言えばコツやTipsと いったものに近い (※私はよく「実践知」と訳しています)

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モブワーク モブワークとは、3人以上の人が同じ時間に協力して ひとつのタスクに取り組む作業のこと もともとはプログラミングでよく活用されているプラ クティスだが、資料作成や事務作業など、あらゆる業務 に応用が出来る 一人が「ドライバー(操作担当)」、 他のメンバーが「ナビゲーター (助言・指示役)」となって進める ことが多い

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管理職業務への役立て方の例 来週上位職に提出するためのPowerPoint資料を作成する 必要があり、グループのメンバーのタスクの状況や目標 に対する達成度などを整理する必要がある。 そこでモブワークで資料作成を行う会を1時間セッティ ングした。管理職の自分がドライバーとなりPowerPoint を開いてTeams画面共有しながら資料を作成し、グルー プのメンバーがナビゲーターとなって記載する内容や文 言についてアドバイスをしながら一緒に資料作成を進め ていった。

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管理職業務への役立て方の例 様々な業務に応用できる ✓一緒に予算管理表を更新する (予算管理も管理職の大事な仕事のひとつ) ✓一緒に目標設定をする (目標管理も管理職の大事な仕事のひとつ) ✓一緒に申請処理・承認を行う (申請書の確認・承認も管理職の大事な仕事のひとつ) 作成⇒レビュー⇒(差し戻し)⇒承認というプロセスを 踏んでいませんか?それ、一気に出来るかもしれません。 そう、モブワークならね。

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プランニングポーカー プランニングポーカーとは、機能要件の工数や複雑さ をチームで相対的に見積もるためのゲーム感覚の手法の こと 専用のカード(フィボナッチ数列が書かれたもの)を 使い、全員が同時にカードを公開して見積もりを出し、 数値がバラついた場合に対話を通じて認識の ズレや考慮漏れを解消し、合意形成を目指す

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管理職業務への役立て方の例 新しい社内研修の開発と運用を任された。管理職であ る自分とグループのメンバーで進めていきたい。 作業のタスク出しを行ったものの、それがどれぐらい 時間がかかることなのかさっぱり見当がつかない。 そこでメンバーと一緒にプランニングポーカー形式で 各タスクの見積もりを行った。 その過程で「タスクの粒度が荒すぎる」とか「このタ スク、何をもって完了となるんだっけ」といった対話が 行われた。

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よくある疑問 Q7.公式のやりかたはどこに書かれているの? A7.アジャイルのプラクティスには「公式のやりかた」と いったものはありません。また「必ずこれに従わなけれ ばならない」といったものもありません。モブワークも プランニングポーカーも「こういったやり方でやってみ たら(自分の場合は)うまくいった」といった経験知で す。誰でもその経験則を参考にして真似して良いですし 自由にアレンジして構いません。

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よくある疑問 Q8.そうはいっても初めから全部自分で考えるのはしんど いから何かしら”カタ”みたいなのを知りたい Q8.「アジャイルプラクティスガイドブック」 といった書籍を参考にしたり、 気になる用語を聞いたらGoogle検索や 生成AIに聞いてみるのも良いでしょう! [出典]アジャイルプラクティスガイドブック チームで成果を出すための開発技術の実践知 https://amzn.asia/d/5Y2qSvW

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まとめ

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まとめ アジャイルのマインドの例としてアジャイルソフト ウェア開発宣言を紹介した アジャイルのプロセスの例としてスクラムのスクラム イベントを紹介した アジャイルのプラクティスの例としてモブワークとプ ランニングポーカーを紹介した 管理職の方の日々の悩みをやわらげ、管理職業務にお ける何かしらのヒントになれば嬉しい

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Thank you for your attention!!