息をするように改善する~QCストーリーと対比しながら改善のあり方を考えてみた~

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July 10, 25

スライド概要

(AIによる要約)
本スライドでは、QCストーリーの概念を通じて、予算管理における問題解決のアプローチを考察します。実際の経験を基に、テーマ選定や現状把握、目標設定、原因分析、対策立案といったステップを振り返り、どのように改善するかを模索しています。改善に必要な時間や手順を見直し、スムーズな進行を目指す重要性が強調されています。

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各ページのテキスト
1.

息をするように改善する ~QCストーリーと対比しながら 改善のあり方を考えてみた~ 2025/07/10 @shimitaka1982 清水 隆史

2.

本日お伝えしたいこと 息をするように 改善しよう!

3.

背景 会社の予算管理の方法に問題があった ✓年度で使用する予算と実際に使用した実績の差異の確認(いわゆる予 実管理)がExcelやメールベースで行われており手間を要した その問題自体は状況を把握して改善案を提示してほぼ 解決したが、たまたまその時にQCストーリーのことが おぼろげながら浮かんできたので、QCストーリーに 則って整理してみたらどうなるんだろか?という思考実 験を行った

4.

QCストーリーとは QCストーリーは、品質管理(Quality Control)にお ける問題解決や課題達成を、体系的に進めるための進 め方や手順のこと 4つの型があるとされる(諸説あります) ✓未然防止型 ✓問題解決型 ✓課題達成型 ✓施策実行型 この2つが 良く使われる

5.

QCストーリーとは *諸説あります 問題解決型のステップ 1.テーマ選定 5.対策立案 2.現状把握 6.対策実施 3.目標設定 7.効果確認 4.原因分析 8.標準化

6.

(参考)QCストーリーとは QCストーリーに公式のものは特にない(ように見え る。日科技連のWebサイトにも簡単な紹介が記載され ているだけ) 複数の書籍・Webサイトをあたったが、QCストーリー の流れはものによって微妙に異なっていた [出典] QCストーリー・QC手法 - 品質管理なら日本科学技術連盟 https://www.juse.or.jp/service_solution/qc_story/index.html

7.

QCストーリー との対比

8.

QCストーリーとの対比の思考実験 ここからは、私が実際にやった問題解決について、い ま振り返って敢えてQCストーリーに照らし合わせてみ たらどのようなことが言えるのか*、ということを思考 実験してみたい 対比 *あくまで後になってから考えたことであり、私がQCストーリーを意識して問題解決を行ったわけではない、という点をご理解ください

9.

QCストーリーとの対比の思考実験 1.テーマ選定 私の場合は、今回の予算の予実管理の問題は問題を認識 してから1秒で「対応すべき」と判断した。 ほぼ脊髄反射のようなものだった。 選定も何も、そこに問題があってみんな困っているのだ から、解決する以外に選択肢はなかった (※ここからは「課題」ではなく「問題」という言葉で 統一します)

10.

QCストーリーとの対比の思考実験 1.テーマ選定 QCストーリーでは、メンバーが共通の問題認識を 持っているものを全て挙げて「緊急度が高いもの」 「コスト対効果の大きいもの」などを整理する手順 ただ、全て挙げるのは時間がかかるし、共通認識を持 てていない問題について共通認識を図るのは時間がか かるし、共通認識化できた問題が必ずしも優先順位が 高いとは限らない。

11.

QCストーリーとの対比の思考実験 1.テーマ選定 私が過去たまたま見ていた現場では、このテーマ選定 に1ヶ月以上時間をかけている現場があった ✓毎週1回の打ち合わせで、 ✓テーマを出し合う(ブレスト):1回 →テーマの説明:1~2回 →緊急度やコスト対効果の投票:2回 →テーマの決定:1回 ✓…といった感じで1ヶ月半ほどかかっていた

12.

QCストーリーとの対比の思考実験 1.テーマ選定 私の所感だが、もしかしたら「対応すべき問題かどう かをしっかりと見極めてから行動しよう」という考え なのかもしれない 限られたリソース(人・金・時間など)を有効活用し ようという気持ちは分かるが、結局そのテーマ選定自 体に時間をかけてしまって本末転倒になっているので はないか?

13.

QCストーリーとの対比の思考実験 1.テーマ選定 いろいろ頭を使って考えをめぐらすことは良いのだが、 まずはやってみないと分からないのではないかと思う これは、「ハラミにしようか、タン塩にしようか、そ れともカルビにしようか…」といろいろ考えを深めて いるうちに、結局焼肉を食べれない(時間切れ)とい う事象にも近い

14.

(参考)フレーム問題 AI(人工知能)界における 難問のひとつ 洞窟内に台車がある 台車の上にバッテリーと爆弾 ロボットにバッテリーを持ち出す ように命令すると… • ロボット1号:爆弾ごと持ち出して爆発 • ロボット2号:あらゆる可能性を考えすぎて爆発 • ロボット3号:あらゆる可能性を仕分けることを考えすぎて爆発 今しようとしていることに関係のある事柄だけを選び出して 考えることは、実は非常に難しい

15.

つまりこういうこと テーマ選定で頭を悩ましている間 に時間はどんどん 過ぎていってるんだから、 つべこべ言わずに、まずは [出典]『JUST DO IT!』シャイア・ラブーフの激励:英語・日本語字幕 https://youtu.be/nwW4CDGucVs?si=ljDWHgUKWrc4f1TM

16.

QCストーリーとの対比の思考実験 2.現状把握 私の場合は、関係者にヒアリングをしたりチャットし たりして現在のExcelフォーマットや作業の流れの確認 を行った。使った時間は45分程度だった QCストーリーでは、数値データや客観的データにこだ わるように言われている。大事なことではあるが、それ にこだわりすぎるあまり時間を使いすぎてしまっては 本末転倒になるように思う

17.

QCストーリーとの対比の思考実験 2.現状把握 私が過去たまたま見ていた現場では、「その問題で 困っている人は一部の人だけなのではないか?」とい う意見が挙げられ、他にどれぐらい困っている人がい るのかアンケート調査を行っていた。 私の所感だが、その観点は大事ではあるものの、少な くとも「自分や身近な人が困っている」のだから「や る理由」は十分あると思う

18.

QCストーリーとの対比の思考実験 3.目標設定 私の場合は、以下を目標とした ✓予算管理担当や関係者が一番嬉しいやり方を考える ✓「嬉しい」とは予実管理がしっかりできて手間が少ない方法 これも1分ぐらいで考えた。ほぼ脊髄反射。 この目標に関しても、特に他の人に伝えるようなこと はしていない(する必要が無かったから)

19.

QCストーリーとの対比の思考実験 3.目標設定 私が過去たまたま見ていた現場では「この取り組みの KPIは何か?」と問われていた おそらくKPIを設定するということが目標設定とセット になっていたのだと思われる このような時は危険な兆候だと思った方がいい

20.

QCストーリーとの対比の思考実験 3.目標設定 私の所感だが、そこに問題があってみんな困ってるん だから、まずはその問題の解決が第一優先になるはず ただ、そのことでさえ疑問に思ったり、その効果を疑 問視されることがある 説明をするためだけにKPIを設定し、そのKPIを頑張っ て計測して報告するようなことになったら、それこそ 本末転倒である

21.

つまりこういうこと つべこべ言わずに、とっとと [出典]『JUST DO IT!』シャイア・ラブーフの激励:英語・日本語字幕 https://youtu.be/nwW4CDGucVs?si=ljDWHgUKWrc4f1TM

22.

QCストーリーとの対比の思考実験 4.原因分析 私の場合は、現状把握の段階で既に原因分析が出来て いたので、0秒 QCストーリーでは、おそらく現状把握はあくまで現 状を把握するだけで、その原因を分析するところまで 含まないという前提だと思われる

23.

QCストーリーとの対比の思考実験 4.原因分析 ただ実際は、現状把握と原因分析は並行して行われると 思われる(例:ある人にヒアリングしたことで、現状が 把握できたとともに根本原因も見えてきた、など) 従って、現状把握と原因分析はわざわざフェーズを分け なくても良いのではないか

24.

QCストーリーとの対比の思考実験 4.原因分析 私が過去たまたま見ていた現場では、「2.現状把握」 の段階で原因分析っぽいことをやろうとしたときに、 「それは『4.原因分析』でやるから今やるべきではない のでは」といった話が出てきたことがあった 私の所感だが、真面目にこのストーリー順でやる必要 性もないし、対応が重なってても問題ない(むしろ一 緒に出来てラッキー)と思う

25.

つまりこういうこと [出典]『JUST DO IT!』シャイア・ラブーフの激励:英語・日本語字幕 https://youtu.be/nwW4CDGucVs?si=ljDWHgUKWrc4f1TM 真面目にQCストーリーを 正確になぞる必要性もないん だから

26.

QCストーリーとの対比の思考実験 5.対策立案 私の場合は、明日までに○○さんにこれを聞いて、明後 日までに改善案のワークフローをTeamsに記載して、来 週の定例会で報告しよう、などと脳内で簡単に対策とそ の計画を立てた(5分) その対策と計画をわざわざ資料にしたり人に説明したり することはなかった(する必要が無いから)

27.

QCストーリーとの対比の思考実験 5.対策立案 QCストーリーでは、一緒に取り組む人と対策案を出し あったり、その対策の妥当性や効果などを確認する流れ になると思われる 私が過去たまたま見ていた現場では、数時間かけて対策 案を全員で書き出して、それぞれの投資対効果を出し 合ってその結果で判断していた

28.

QCストーリーとの対比の思考実験 5.対策立案 あまりにも 遅すぎやしないか…?

29.

つまりこういうこと 早く問題を解決しろ! [出典]『JUST DO IT!』シャイア・ラブーフの激励:英語・日本語字幕 https://youtu.be/nwW4CDGucVs?si=ljDWHgUKWrc4f1TM

30.

QCストーリーとの対比の思考実験 6.対策実施 ようやく対策の実施まできた 私の場合は、5で立案した対策をほぼそのまま実施した。 対策にかかった時間はせいぜい20分程度だった(私の手 を離れた予算管理担当の方の工数は分からない) ここまでせいぜい数時間程度

31.

QCストーリーとの対比の思考実験 7.効果確認 8.標準化 私の場合は、実際に考えてみたワークフローで運用を回 してみて、問題があればまた適宜改善する形で標準化を 進めていった その過程で効果確認(もともとの問題が解決されている かの確認)も進めていった

32.

QCストーリーとの対比の思考実験 7.効果確認 8.標準化 私が過去たまたま見ていた現場では、この効果確認と標 準化がほぼどの現場でもできていなかった なぜなら、やらされ感が強かったから(早く手を引きた かったのだと思われる) システムを企画したら後は誰かが開発・運用してくれる とか、規約を作ったらあとはその規約に従って誰かが運 用してくれるとか、そういった発想に近いと感じる

33.

QCストーリーとの対比の思考実験 7.効果確認 8.標準化 QCストーリーと直接関係するわけではないが、TQMに は「後工程はお客様」という考え方がある 「品質を各工程でつくりこむ」という考え方もある 問題解決についても、責任をもって後工程(運用)を考 えるマインドが欲しい(本人がやるという意味ではなく 後工程を考えて対策を検討するといった意味)

34.

改めて考察

35.

考察 「わざわざこのような手順(QCストーリー)でやる 必要がないのではないか」といった話を有識者にした 際に、こういった趣旨のことを言われた 「shimitakaさんは慣れている人だから自然と出来るのか もしれないけど、世の中には慣れてない人もいるんだよ。 だから、QCストーリーという型をベースにして ちゃんとみんなが出来るようにするんだよ。」

36.

考察 これを言われて私は初めて「あ、私は問題解決に慣れ てる側の人だと思われてたんだ」と思った 「慣れてない人」がもしいるのであれば、まず型を覚 えるという意味でQCストーリーに従ってやってみるの も悪くはないかもなと思った(そこは否定しない) ただ、「慣れている人」がその型をやることによって、 型を意識するがあまり疑念が浮かんだり、逆に遅く なってしまうようなことは避けたい(私がそうだった ので)

37.

考察 「普段当たり前のように できていたことが、手順通りやる ことで逆に遅くなる現象」 が起きてないか? この現象に名前 を付けたい!

38.

考察 これは、プロ野球の選手に対して 「教科書の手順通り素振りをやれ!」 と言っているようなものだと感じた 勘を取り戻すとか、守破離の守を いったん見つめなおす、といった意味で 時には必要かもしれないが、常に必要という ことではないし、そんなことを毎回確認して いたら野球なんてできない

39.

そしてこの考察に至る 型は大事だし学ぶべきことではある ただ、その型が唯一無二の考え方かどうかは分からな いし、それに囚われすぎるがあまり時間を使ってし まっては本末転倒である 野球の素振りをするように、改善を常に意識し続けて トレーニングする(『改善の素振り』)ことによって、 そのうち意識せず息をするように自然と業務の改善が 出来るようになるのではないか(言葉を借りれば「慣 れている」状態)

40.

本日お伝えしたいこと そして、本日お伝えした かったこの考察に至る 息をするように 改善しよう!

41.

つまりこういうこと [出典]『JUST DO IT!』シャイア・ラブーフの激励:英語・日本語字幕 https://youtu.be/nwW4CDGucVs?si=ljDWHgUKWrc4f1TM そして、息をするように 問題を解決しろ!

42.

ABC A:あたりまえのことを B:ぼやぼやしないで C:ちゃっちゃとやる

43.

やってみよう! とはいえ「『改善の素振り』ってどうすれば?」って 思われる方もいらっしゃいますよね 提案:毎日「セルフふりかえり」をしてみる あまり難しく考えずに、以下のことを頭に思い浮かべ てみる(帰りの電車とかお風呂とかでOK) ✓今日あったこと ✓それについて感じたこと ✓明日どうするか 慣れてきたら書き出してみよう

44.

(参考)量質転化の法則 量質転化の法則:量をこなすことで質的な変化が起こ るという法則のこと。ある程度の量をこなすことで、 質的な向上が見られるようになり、最終的にはより高 いレベルの質に到達できるという考え方 もとは1770年にドイツの哲学者ヘーゲルが提唱した弁 証法の基本原則らしい 質を追い求めるあまり量が減るよりも、とにかく量を こなすことが大切なのではないか

45.

(参考)アンダーマイニング効果 アンダーマイニング効果:もともと内発的な興味や楽 しさでやっていた行動(内発的動機)に対して、外発 的な報酬(お金や賞品など)を与える(外発的動機) と、かえってモチベーションが低下してしまう現象の こと 今回の事例とは少し文脈が異なるものの、普段から自 分たちが自然とやっている良い取り組みに対して、他 の考え方(動機)を取り入れることによって逆にでき なくなってしまうようなことには、十分気を付けたい

46.

Thank You !!