操舵角に応じた音提示の温厚変化がカーブ走行時の操舵に及ぼす影響

677 Views

May 16, 23

スライド概要

自動車の初心者ドライバにとって,カーブ走行は操舵の量やタイミングが感覚的で習得が容易ではない.我々はこれまでの研究において,操舵角に応じた音を鳴らすことで運転を支援するドレミハンドルという手法を提案してきた.これまでに行った実験において,ドレミハンドルが修正舵回数を減少させることを明らかにしてきたものの,音の変化が運転行動へ及ぼす影響については明らかにできていなかった.そこで本稿では,ドレミハンドルにおける音高変化がハンドル操作に与える影響について分析を行った.その結果,音高が変化する操舵角を基準にハンドルを操作している傾向がみられた.

profile-image

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

操舵⾓に応じた⾳提⽰の⾳⾼変化が カーブ⾛⾏時の操舵に及ぼす影響 明治⼤学4年 ⿃居武史 渡邉健⽃ 松⽥さゆり ⼤⽯琉翔 中川由貴 中村聡史 ⼩松孝徳 (明治⼤学) 澄川瑠⼀ ⾼尾英⾏ (株式会社SUBARU) 1

2.

背景 Q. 運転は得意ですか? 2

3.

背景 400 350 334 300 250 200 199 179 213 150 ハンドル操作が特に重要な カーブは難しい 100 ハンドルを回すタイミング、量が 視覚と腕の感覚頼り 50 0 ハンドル ブレーキ アクセル その他 運転の苦⼿な項⽬アンケート Yahoo!クラウドソーシング 運転免許を保有する男⼥ 2000 ⼈対象 経験が必要 3

4.

ドレミハンドルの提案 ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド ハンドル⾓度に応じた⾳階の ドレミ⾳が鳴る ハンドル操舵⾓を 感覚的に伝えられる 松⽥さゆり, 中川由貴, 船﨑友稀奈, 渡邉健⽃, ⼤⽯琉翔, 中村聡史, ⼩松孝徳, ⿃居武史, 澄川瑠⼀, ⾼尾英⾏. ドレミハンドル: 操舵⾓に応じた⾳提⽰⼿法複数種のカーブを⽤いた検証. 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) 2022, Vol. 2022-HCI-200, No.8, pp.1-8. 4

5.

修正舵 ハンドル操作の評価指標:修正舵 ハンドルの切り⾜し戻しにより、 ハンドル操作を微調整すること 修正舵が多いと操舵が不安定で 良くない運転 ハ ン ド ル 操 舵 ⾓ 時間 5

6.

得意な⼈の⾛⾏ 6

7.

不得意な⼈の⾛⾏ 7

8.

これまでの実験 • 複数種のカーブをランダムで⾛⾏し、ドレミハンドル 使⽤有無で⽐較 [松⽥ 2022] → 有意に修正舵が減少した • ドレミハンドルの⼀⾳階に割り当てる⾓度幅(以後⾳階幅) を変えて実験 [渡邉 2023] → 急なカーブ:⾳階幅が広いもの (Wide) 緩いカーブ:⾳階幅が通常のもの(Normal) が適切 渡邉 健⽃, 松⽥ さゆり, ⼤⽯ 琉翔, 中川 由貴, 中村 聡史, ⼩松 孝徳, ⿃居 武史, 澄川 瑠⼀, ⾼尾 英⾏. ドレミハンドルにおける⼀⾳階に対する⾓度幅がカー ブ⾛⾏の上達に与える影響の調査 , 研究報告ヒューマンコンピュータインタ ラクション(HCI), Vol.2023-HCI-201, Issue.36, pp.1 - 8, 2023. 8

9.

これまでの実験の課題 ドレミハンドルが 運転技能 に与える影響(修正舵回数やハンドル⾓速度など) 運転⾏動 に与える影響(ハンドルの切り⽅など) 9

10.

⽬的 ドレミハンドルを使⽤することにより • ⼀定の⾳階の中でハンドルを維持しようとする • ⾳が変化したタイミングで特に修正舵が多く発⽣する ⾳⾼変化がカーブ⾛⾏中の操舵に 与える影響について検証 10

11.

分析データ(実験条件) ドレミハンドル⾮使⽤群と3種類のドレミハンドル群 • ドレミハンドル⾮使⽤群 (Nothing) • ⾳階幅が広いドレミハンドル群 (Wide) • ⾳階幅が通常のドレミハンドル群(Normal) • ⾳階幅が狭いドレミハンドル群 (Narrow) 11

12.

分析データ(実験条件) Wide 180度で1オクターブ Normal 90度で1オクターブ Narrow 45度で1オクターブ 12

13.

⾛⾏動画(Wide) 13

14.

⾛⾏動画(Normal) 14

15.

⾛⾏動画(Narrow) 15

16.

分析データ(実験コース) 急なカーブがあるコース 緩いカーブがあるコース 16

17.

分析データ(実験設計) 練習前の実⼒調べ カーブ練習 成⻑の計測 慣れ ベース 練習 テスト 4本 8本 20本 8本 ドレミハンドル使⽤ 17

18.

分析データ(実験設計) カーブ練習 成⻑の計測 慣れ ベース 練習 テスト 4本 8本 20本 8本 ドレミハンドル使⽤ 18

19.

結果(ハンドル操舵⾓の軌跡) Nothing Normal 緩 い カ $ ブ 19

20.

結果(ハンドル操舵⾓の軌跡) Nothing Wide Normal Narrow 急 緩 20

21.

結果(ハンドル操舵⾓の軌跡) Nothing Wide Normal Narrow 急 緩 21

22.

結果(各⾳階の最⼤持続距離) ドレミハンドル使⽤群は1つの⾳階で⾳を維持しようとする ある特定の⾳階の持続距離が⻑い? ドレミハンドル⾮使⽤群は複数の⾳階を⾏ったり来たりする いくつかの⾳階の持続距離が同程度? 22

23.

結果(各⾳階の最⼤持続距離) ミ ハ ン ド ル 操 舵 ⾓ レ ド 移動距離 23

24.

結果(各⾳階の最⼤持続距離) ミ ハ ン ド ル 操 舵 ⾓ レ ド 移動距離 24

25.

結果(各⾳階の最⼤持続距離) ミ ハ ン ド ル 操 舵 ⾓ レ ド 移動距離 25

26.

結果(各⾳階の最⼤持続距離) 急なカーブ 緩いカーブ 26

27.

結果(各⾳階の最⼤持続距離) 急なカーブ 緩いカーブ 27

28.

結果(各⾳階の最⼤持続距離) 急なカーブ 緩いカーブ 28

29.

結果(修正舵の発⽣位置) ミ ハ ン ド ル 操 舵 ⾓ ⾳が変わった瞬間に 修正舵をする? レ ド 移動距離 29

30.

結果(修正舵の発⽣位置) 急なカーブ 緩いカーブ 30

31.

結果(修正舵の発⽣位置) 急なカーブ 1/5-2/5 緩いカーブ 1/5-2/5 31

32.

結果(修正舵の発⽣位置) 急なカーブ 緩いカーブ 2/5-3/5 2/5-3/5 32

33.

結果(修正舵の発⽣位置) 急なカーブ 緩いカーブ 2/5-3/5 2/5-3/5 33

34.

結果(修正舵の発⽣位置) 急なカーブ 3/5-4/5 緩いカーブ 3/5-4/5 34

35.

考察(ハンドル操舵⾓の軌跡) • ドレミハンドル使⽤群(Wide・Normal・Narrow)は 1つの⾳階付近でハンドルを維持するような傾向があった • ドレミハンドル⾮使⽤群(Nothing)は 操舵⾓を維持できずハンドル操作が不安定であった ⾳を参考にハンドルを操作してる 35

36.

考察(各⾳階の最⼤持続距離) • どの実験条件でもある特定の⾳階にピークが存在する • ドレミハンドル使⽤群(Wide・Normal・Narrow)は ドレミハンドル⾮使⽤群(Nothing)に⽐べてピークの値が⼤きい ・ある程度⼀定の操舵⾓を維持できている ・⾳提⽰によりさらにその意識が⾼まる 36

37.

考察(修正舵の発⽣位置) • Wide・Normal • ⾳の中央付近でハンドル操作を⾏う傾向があった • Narrow • ⼀様に分布していた Narrowでは⾳⾼変化が細かすぎた 37

38.

展望 • 適切な⾳階幅、⾳提⽰のデザインについての検討 • 交差点や複数のカーブが連続するなど、ドレミハンドルが 効果的に機能する場⾯についての検証 • 実⾞を⽤いた実験と効果の検証 38

39.

まとめ ⽬的:⾳提⽰がカーブ⾛⾏中の操舵に与える影響の調査 ⼿法:これまでのデータにおける⾳階に基づいた分析 結果:⾳⾼が変化する⾓度付近でハンドルを維持する ⾳⾼が変化してから10度以上で修正舵が増える 展望:適切な⾳提⽰デザインの検討 ドレミハンドルが効果的に機能する場⾯の検証 実⾞での検証 39