DXの哲学 ~対話からはじめる組織改革~

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July 28, 24

スライド概要

Power Appsなどの業務改善ツールを活用した取り組みをしようとしたり、DXに取り組んでいこうとすると、ほとんど場合、違う部署の人や役職の人と話をしないといけない場面に遭遇します。
「今の仕事をよりよくしたいだけなのに、なんでわかってくれないの?」といった、もどかしい気持ちになることもあると思います。
業務改革は一朝一夕には進みません。そして、改革を進めるにはどうしたって人と人との地道な対話が欠かせません。
本セッションでは、業務改革を着実に進めていくための手段として、”対話”にフォーカスを当て、”対話”を効果的におこなうための考え方や思考法に関するをお話させていただきました。

「〇〇部はDXに対してやる気がない」「△△さんは、いつもネガティブなことを言って新しい取り組みに反対する」というような悩みをもっているかた、業務改革に障壁を感じていらっしゃるかたにとって、仕事を一歩でも二歩でも前に進めていくヒントになれば幸いです。

※本資料は、Japan Power Apps User Gruop 広島 #7にて、LTさせていただいた際の資料です。

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メカからコンピューターまで幅広くやってます。営業と技術屋のハーフ。最近はMicrosoft 365とPower Platformなお仕事が増えてきました。好きなものはホップバシバシ系のペールエールビール。 HIT広島観光大使。

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各ページのテキスト
1.

DXの哲学 ~対話からはじめる組織改革~ 2024年7月28日 宮川 裕穂 (@miyakawayuho)

2.

私について • 山口生まれ、 広島住み • 職歴 • 【前】 組込み機器向けGUIソフトウェア開発ツールの会社で営業SE 11年 • 【現】 広島地場のSIerで営業SE 8年目 • Microsoft 365のライセンス販売、構築、教育、サポート、運用 • 工場などの現場に行って、お客さんと一緒に問題解決策を考えてご提案 • 保有資格 • MS-700 (Teams Administrator) • PL-100 (Power Platform App maker) • 情報セキュリティマネジメント • お気に入りのMicrosoft製品 • PowerPoint, Word, Copilot(Bing Chat), Intune Copyright Yuho Miyakawa Channel Connect 2023で登壇 (2023年9月 日本マイクロソフト品川本社) 1

3.

本日の目的 • Power Appsユーザーグループの活動は、DX推進という文脈と 密接に絡んでいるケースが多々あると思ってます。 • DX の X(transformation:改革) を行おうという想いはあれど、 なかなか思い通りにいかないもどかしさ、感じることないですか? • DXを推進する者として持っておくと良さげな思考法、考え方の型を 自分なりに哲学してみたので、共有してみます。 Copyright Yuho Miyakawa 2

4.

データで見る、日本の状況 • 実質賃金で、日本はアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、 韓国の下に位置 • 日本企業は先進主要国の中で収益性は高いものの、 設備投資と研究開発効率は最下位クラス • 16年後には、国内労働人口は約16%減少 (例えば社員数300人の会社であれば約250人に減少) 経済産業省は、 「これまでと同様の経済運営・企業経営を継続すると…社会の安定性すら失われる可能性がある」 と、レポート内で述べている。 Copyright Yuho Miyakawa 我が国の人口について|厚生労働省 (mhlw.go.jp) 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理(METI/経済産業省) 3

5.

Copyright Yuho Miyakawa 4

6.

キタカゼ・アプローチでは変革は進まない • 「将来がヤバい」「変革しないとヤバい」という危機感 を煽るだけでは、人は動かない • 「DXが進まないのは、知識が足りないからだ」という 判断でDX教育だけをやっても、変革は進まない • トップダウンで指示を出すだけでは、変革は進まない Copyright Yuho Miyakawa 5

7.

DXの多義性 多義性:ある対象が、複数の意味や解釈をもつこと DXによって成し遂げたいと考えていること 意識の範囲(スコープ) DX推進部門 自社の新しいビジネスモデルの創造 全社と顧客 事業推進部門 既存ビジネス(今やってる主業)の効率的な運営 自部門と顧客 管理部門 社内庶務業務の効率的な運営 全社 DXの解釈ひとつをとってみても、部門や立場が変わるだけで、これだけの多義性が生じる。 各々、自分たちの部署に課されているミッションをキチンとこなしているだけであり、誰も悪くない。 Copyright Yuho Miyakawa 6

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改革を進める上での攻略法は、”対話”を重ねること 敬意をもって接する 相手を通じて、己を見る 相手のことばで応答する Copyright Yuho Miyakawa 7

9.

効果的な“対話”をおこなうためのテクニック その人の過去の経験や仕事観、人生観などのストーリーを 会話を重ねながらよく見て、そして応答する 「自分は何もわかっていない(not-knowing)」と いう前提で相手を見る 「きっと〇〇だろう」と決めてかからない、 わかったつもりにならない 「私わかってる人」 「あなたわかってない人」 という関係に陥らないように注意する Copyright Yuho Miyakawa 8

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“対話”を通じて、相手の眼差しで伴走する • 会話を重ね、相手の立場で、相手の眼差しで、一緒に悩む、共感する • 相手にできることは何か、自分にできることは何か、ということを 常に問いかけながら、対話をじっくりと重ねていく • 「相手が変わる」のではなく、実は「自分が変わる」ことで、改革は少し ずつ少しずつ進み始める • 「not-knowing」から、「ちょっとknowing」に変化 Copyright Yuho Miyakawa 9

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“対話”による変革の成功事例 かつて栄華を誇っていた、アメリカのテック企業は、組織が大きくなるにつれて、次第に仕事 は機械的になり、事業部同士で内部抗争をするようになり、市場から転落していった。 そんななか、新たに就任したCEOは、アメリカンフットボールチームを優勝に導くことに貢献 した心理学者 マイケル・ジャーベイズを招き、経営執行チームの幹部達と次のようなことを実 施した。 • ジャーベイズが講師となり、様々なエクササイズを通じた“対話”を実施した • 始めは「バカにされるのではないか」「失敗するのではないか」「この部屋で一番頭がいい人 間に見えないのではないか」「くだらない」と思い、ぎこちない態度の幹部がほとんどだった • やがてCEOを含む幹部たちは、それぞれ大切にしている想いや人生観を語り始めた (中には目に涙を浮かべている幹部もいた) • CEOは、この会社に入社して以来、仲間から仕事の話ではなく本人自身の話を聞くのは初 めてだったことに気づいた 経営執行チームの幹部たちは、この感動的な日を境に役割が変わった。 「幹部一人ひとりはもはや、会社に使われるだけの存在ではない。みなが 個人として、より高いミッションを持ち、他者の役に立つという情熱を追 い求めるために、会社という場を使う存在となった 」 Hit Refresh (日経BP社) より引用し一部改変 Copyright Yuho Miyakawa 10

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“対話”による変革の修行に役立つ3冊 企業変革のジレンマ 「構造的無能化」はなぜ起きるのか NVC 人と人との関係にいのちを吹 き込む法 新版 反応しない練習 宇田川 元一 著 マーシャル・B・ローゼンバーグ 著、 安納 献 監訳、小川 敏子 訳 草薙 龍瞬 著 日本経済新聞出版 日本経済新聞出版 KADOKAWA ISBN:9784296115921 ISBN:9784532321956 ISBN:9784041030400 Copyright Yuho Miyakawa 11

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千里の道も一歩から。 地道に対話を重ねて、ちょっとずつ変革を進めていきましょう。 Copyright Yuho Miyakawa 12