評価グリッド法によるレトロな空間の魅力についての価値評価構造

1.1K Views

June 24, 24

スライド概要

日本人間工学会第65回大会
講演番号:1E1-4

profile-image

大阪公立大学生活科学部居住環境学科デザイン人間工学研究室(土井俊央研究室)

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

(ダウンロード不可)

関連スライド

各ページのテキスト
1.

〇永田蒼衣 大阪市立大学 生活科学部4回生 土井俊央 大阪公立大学 喫茶店を対象とした 評価グリッド法による レトロな空間の価値評価構造 大学院生活科学研究科) 1

2.

1研究背景・目的  近年、レトロブームが若者に人気→レトロな商品や空間が注目 過去に一度経験したことのある中高年層には懐かしいと感じられる ⇕ 若年層にとって必ずしも過去に経験しておらず、懐かしさがなくても 魅力を感じている。 Q.若年層が“レトロ”に対して どのように魅力に感じているのか? 2

3.

1研究背景・目的  UXカーブによるフィルムカメラやガラスペン、コーヒーミルなどを用いた研究 ¹⁾ →レトロな製品に関する先行研究は多数 →レトロな空間にフォーカスした研究は少ない →レトロブームの一つである喫茶店に着目 1) 村田 三実:UXカーブによるレトロな製品の魅力要因に関する分析,大阪市立大学 , 2023 3

4.

1研究背景・目的  若年層がレトロな魅力を感じる要因を調査 →レトロな魅力を生み出す製品・サービス・空間等のデザインへの活用 *レトロの定義「今より昔、その当時の象徴であったもの」²⁾ ²)古谷奈菜:若者のレトロ商品における利用動機に関する研究 , プロモーショナル・マーケティング研究, 2019 4

5.

2方法  喫茶店のレトロな空間の魅力要因を探る →評価グリッド法を用いたインタビュー調査を実施  評価グリッド法 …ラダリングインタビューを通して、人の評価構造を明らかにし、視覚的に階層構造として 表現できる方法。  人の行動や価値評価の動機を定性的に評価できる 5

6.

2方法  調査対象:喫茶店  「美しい純喫茶の写真集」より30枚の喫茶店の内装写真を30枚を選ぶ  調査参加者:建築系を専攻する大学生5名(20~22歳の男性2名、女性3名) 6

7.

手順 “レトロな魅力を感じる“を 基準に5つのグループに 写真を分類 ⑴ 写真の分類 ⑵ 比較理由 ①1番目に魅力に感じる (最も魅力に感じる) ⑶ ラダリング ②2番目に魅力に感じる ⑷ ⑵⑶の繰り返し ④4番目に魅力に感じる ⑸ 評価構造図の作成 ③3番目に魅力に感じる ⑤5番目に魅力を感じる (最も魅力に感じない) ① ② ③ ④ 7 ⑤

8.

手順 “レトロな魅力を感じる“を 基準に5つのグループに 写真を分類 ⑴ 写真の分類 ⑵ 比較理由 ⑶ ラダリング ⑷ ⑵⑶の繰り返し ⑸ 評価構造図の作成 ①1番目に魅力に感じる (最も魅力に感じる) ②2番目に魅力に感じる ③3番目に魅力に感じる ④4番目に魅力に感じる ⑤5番目に魅力を感じる (最も魅力に感じない) ④と⑤を比較しながら 分類した理由を聞く ↓ 理由=オリジナル評価項目 ① ② ③ ④ 8 ⑤

9.

手順 ⑴ 写真の分類 ⑵ 比較理由 ⑶ ラダリング オリジナル評価項目 例:『非日常感がある』 〇ラダーダウン 「なにがどうなっていると非日常感がありますか?」 『シャンデリアやレースのカーテンがある』 ⑷ ⑵⑶の繰り返し 〇ラダーアップ 「非日常感があるとどうしてレトロな魅力を感じるのですか?」 『タイムスリップしたような感じがするから』 ⑸ 評価構造図の作成 「タイムスリップするとどうして良いのですか?」 『ワクワクを感じて喫茶店に行くのが楽しいから』 9

10.

「喫茶店におけるレトロな魅力の評価構造図」 「喫茶店におけるレトロな魅力の評価構造図」 *関西学院大学感性価値創造インスティテュ-トが開発したESV(評価構造可視化システム)を使用 10

11.

“また来たい”と感じたのはどうして ですか? レトロな魅力のある空間 『のんびりできるから』 『マスターにまた話しに来たい』 何度も来店し、 ゆっくり時間を過ごしたくな る要素 他人との繋がりを 実感できる 11

12.

『暗めの雰囲気が漂う』 『外光が少なく薄暗い』 12

13.

「どのような椅子に レトロな魅力を感じますか?」 「古さが感じられるとどうして 良いのですか?」 『タイムスリップしたよ うな気持ちになるか ら』 『木材の椅子』 『ロココのテイスト』 『古さを感じる』 13

14.

「店内の何がどうなっているとアット ホームに感じますか?」 『カウンターがある』 『ほかの客との間に仕切りがある』 14

15.

「店内の何がどうなっているとアット ホームに感じますか?」 『ものが多い』 『雑貨やポスターがある』 15

16.

3総合的考察 若者がレトロな魅力を感じる要因  「暗い」雰囲気ながらも「あたたかみ」を感じる→落ち着きゆっくりできる  「他人との繋がり」「自分だけの空間」→他人との適度な距離感を保てる  「古い」家具「ごちゃごちゃ」としたものの多さ「タイムスリップ」 →洗練でない空間が新鮮さを刺激している 16

17.

4まとめ 目的:レトロブームから、レトロな空間の魅力分析 方法:評価グリッド法を用いて評価構造図を作成 調査:レトロな魅力の価値評価構造を視覚化できた 今後:ほかの属性の若年者に向けた調査の余地 17