競馬観戦における勝負服の事前記憶支援がレース映像への注視と観戦エンゲージメントに与える影響

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September 02, 26

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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1.

競馬観戦における 勝負服の事前記憶支援が レース映像への注視と観戦エンゲージメント に与える影響 明治⼤学 宮崎勇輝 中村聡史 0

2.

研究背景 • 競馬観戦中、自分の応援する馬をレース中に探す必要がある • 馬番や帽色、毛色、勝負服などを頼りに着目馬を見つける 帽色 馬番 勝負服 毛色 JRA公式チャンネル「2024年 ヴィクトリアマイル(G1) | テンハッピーローズ | JRA公式」https://youtu.be/wOtdqohsy2w?si=bgtfyymLcpTHYjcX 1

3.

研究背景 通常、馬番で各競走馬を識別することが多いが 馬体の影に隠れて馬番が見えない状況は頻繁に起こり得る 見えない 馬番 JRA公式チャンネル「2024年 ヴィクトリアマイル(G1) | テンハッピーローズ | JRA公式」https://youtu.be/wOtdqohsy2w?si=bgtfyymLcpTHYjcX 2

4.

研究背景 通常、馬番で各競走馬を識別することが多いが 馬体の影に隠れて馬番が見えない状況は頻繁に起こり得る 着目している競走馬を見つけることができないと 見えない レース観戦の楽しさが減少してしまう! 馬番 JRA公式チャンネル「2024年 ヴィクトリアマイル(G1) | テンハッピーローズ | JRA公式」https://youtu.be/wOtdqohsy2w?si=bgtfyymLcpTHYjcX 3

5.

トラッキングシステム • 初心者でも理解可能・各競走馬の位置把握が容易 • ゴール直前では表示が消失・大型スクリーンを見てしまう • システムに頼りすぎると競走馬の競り合いを直接自分の目で 観戦することは難しい JRA公式チャンネル「2024年 ヴィクトリアマイル(G1) | テンハッピーローズ | JRA公式」https://youtu.be/wOtdqohsy2w?si=bgtfyymLcpTHYjcX JRA公式チャンネル「2024年 凱旋門賞(G1) | ブルーストッキング | JRA公式」https://youtu.be/pGraxDBcfDM?si=2goLroe3HdWFo-7F 4

6.

研究背景 勝負服は種類が多く、馬番やトラッキングシステムが見えなくても ほとんど一意に識別することができる 勝負服 JRA公式チャンネル「2024年 ヴィクトリアマイル(G1) | テンハッピーローズ | JRA公式」https://youtu.be/wOtdqohsy2w?si=bgtfyymLcpTHYjcX 5

7.

研究背景 このレースから「7番」を見つけて下さい JRA公式チャンネル「2023年 中山金杯(GⅢ) | ラーグルフ | JRA公式」 https://youtu.be/wdxYDeZFWgA?si=yWeq̲EPiuvxhKkig 6

8.

研究背景 このレースから を見つけて下さい JRA公式チャンネル「2022年 高松宮記念(GⅠ) | ナランフレグ | JRA公式」 https://youtu.be/jnmzvI370bM?si=v8-j5TbPKbd̲PlWY 7

9.

研究背景 大まかに勝負服を記憶していると 似ている勝負服が複数頭出走している時に困惑することもある JRA公式チャンネル「2025年 京都金杯(G3) | サクラトゥジュール | JRA公式」https://youtu.be/4s8lVSLwKPM?si=mMXakbiehTtZ̲f56 8

10.

研究背景 大まかに勝負服を記憶していると 似ている勝負服が複数頭出走している時に困惑することもある 似ている勝負服を識別可能にして 競馬観戦することが重要 JRA公式チャンネル「2025年 京都金杯(G3) | サクラトゥジュール | JRA公式」https://youtu.be/4s8lVSLwKPM?si=mMXakbiehTtZ̲f56 9

11.

研究背景 競馬場は1日で複数回のレースが施行される 応援する競走馬や騎手の勝負服はレースごとに異なる場合が多い 1R目 2R目 3R目 12R目 同じ勝負服が出走 10

12.

研究背景 競馬場は1日で複数回のレースが施行される 応援する競走馬や騎手の勝負服はレースごとに異なる場合が多い 1R目 3R目 2R目 4R目 覚えた勝負服を レース後すぐに忘れる必要がある! 同じ勝負服が出走 11

13.

どういった支援を目指す? • 着目馬の勝負服をレース開始前に短時間で識別可能にしておく • レース中はシステムの補助を必要とせずに十分に観戦ができる • レース後すぐに記憶した勝負服を忘れることができる この勝負服が応援している馬であると 識別できるようにする! 着⽬⾺の勝負服 類似勝負服 12

14.

パズル手法(EC75&HCI215) • 同じ勝負服内での交換 Ø 模様や配色を覚える 記 憶 対 象 • 異なる勝負服間での交換 Ø 勝負服間の違いを覚える 類 似 服 宮崎 勇輝, 中村 聡史. 競馬観戦時における着目馬識別を可能にする忘却を考慮したパズル型勝負服記憶支援手法の提案,情報処理学会 研究報告エンタテインメントコンピューティング (EC), Vol.2025-EC-75, No.39, pp.1-8, 2025. 宮崎 勇輝, 中村 聡史. 競馬観戦時における忘却を考慮したパズル型勝負服記憶支援手法のレース映像を用いた検証, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI), Vol.2025-HCI-215, No.38, pp.1-8, 2025. 13

15.

パズル手法(EC75&HCI215) 競馬アナも用いる塗り絵手法と比較 勝負服画像・競馬映像の勝負服再認テストにおいて、パズル手法の 正答率・忘却性の有効性を確認 画像再認テスト 塗り絵⼿法 映像再認テスト パズル手法は勝負服を記憶・忘却 することができる手法である 宮崎 勇輝, 中村 聡史. 競馬観戦時における着目馬識別を可能にする忘却を考慮したパズル型勝負服記憶支援手法の提案,情報処理学会 研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC), Vol.2025-EC-75, No.39, pp.1-8, 2025. 宮崎 勇輝, 中村 聡史. 競馬観戦時における忘却を考慮したパズル型勝負服記憶支援手法のレース映像を用いた検証, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2025-HCI-215, No.38, pp.1-8, 2025. 14

16.

勝負服を記憶する必要性 • 私は勝負服を意識しながら観戦していた • “事前に記憶せずスマホなどに勝負服を表示しそれを見て 観戦することもできるのでは?” [EC75] ? • 勝負服を事前に記憶することが レースへの没入や楽しさなどに与える影響は明らかでない 15

17.

目的 事前に勝負服を記憶する場合と その場で勝負服を参照する場合での 観戦体験の違いを評価する 16

18.

仮説 H1:画像参照条件では、パズル条件よりも、レース映像から 視線が外れる回数が多い H2:パズル条件では、画像参照条件よりも、フロー・没入、 対象馬追跡、レースへの関与、満足度・価値の各尺度 得点が高い 17

19.

実験概要 • 大学生・大学院生32名(平均22.1歳) • 実験参加者内比較として32名全員に両方の手法を実施 • データ欠損により2名を除外し、30名が分析対象者 パズル⼿法 画像参照⼿法 18

20.

実験手順 パズル手法 実験説明 練習 各条件で 2回繰り 返す レース映像視聴 画像参照手法 映像視聴後 アンケート 最終比較 アンケート レース映像視聴 • パズル手法:手法で勝負服を事前に記憶し、視聴中は勝負服の参照 ができない • 画像参照手法:事前に勝負服を記憶せず、視聴中に勝負服画像を 参照できる 19

21.

視線逸脱 • PCに接続したカメラから参加者がPC画面を向いているか画面 外を見ているかを判定 レース映像を視認 レース映像以外を視認 20

22.

観戦エンゲージメント評価軸 関連研究で使用されたエンゲージメントの評価をレース映像の視聴という文脈に合 わせて修正して使用( 1.Kimら Koufaris Ghaniら 2.Mamadaら Saitoら Jennettら 3.Bradyら Yoshidaら ] ) [2019] [2002] [1991] [2023] [2020] [2008] [2005] [2013 1. フロー・没入:レース映像への集中・没入、観戦の楽しさや興奮を評価 Ø レース映像に引き込まれていた・レース映像を見ることは楽しかった 2. レースへの関与:馬の位置や状況を把握・予測し、主体的に関与したかを評価 Ø レース中、対象の馬がどのような状況にいるかを理解しながら見ることができた・レース中、 対象の馬を応援したいと感じた 3. 満足度・価値:視聴体験への満足度や価値、再び観戦したいかを評価 Ø このレース映像の視聴体験に満足した・このレースを通して、競馬や馬の見方について理解が 深まった 4. 対象馬追跡:本実験のオリジナル尺度、馬を見つけ注意を向けたかを評価 Ø レース中、対象の馬をすぐ見つけることができた・レース中、対象の馬に注意を向けながら見 ることができた 21

23.

• パズル:平均11.57回 • 画像参照:平均30.37回 • Wilcoxonの符号付順位検定 で有意差あり • W = 35.0 p<.001 rrb=-.84 視線逸脱回数 結果 〜視線逸脱回数〜 パズル 画像参照 25

24.

結果 〜映像視聴後アンケート〜 • 各参加者ごとに回答を平均化 • Wilcoxonの符号付順位検定・Holm法による多重比較補正で 4尺度全てで有意差あり • W = 57.0 p = .0045 rrb=.70 • 対象馬追跡 • W = 106.0 p = .0193 rrb=.51 • レースへの関与 • W = 98.0 p = .0193 rrb=.55 • 満足度・価値 尺度得点(1-7) • フロー・没入 • W = 57.0 p = .0035 rrb=.72 フロー・没⼊ 対象⾺追跡 レースへの 満⾜度・価値 関与 26

25.

考察 〜視線逸脱回数〜 • 画像参照条件では対象の勝負服を 確認するために、スマホへと 視線を移す必要があった • 画像参照はレース前の記憶負担を 軽減するが、レース中の視覚的 注意を分散させる可能性がある 視線逸脱回数 • 画像参照条件は視線逸脱回数が多い パズル 画像参照 28

26.

考察 〜映像視聴後アンケート〜 • 勝負服の事前記憶は対象馬の 識別を容易にするだけでなく、 対象馬に注意を向けながら レースをより主体的に観戦 していたと考えられる 尺度得点(1-7) • 観戦エンゲージメント4尺度全てでパズル条件は高く評価された フロー・没⼊ 対象⾺追跡 レースへの 満⾜度・価値 関与 29

27.

考察 〜条件によるエンゲージメントの差〜 • パズルをすることで視聴前から勝負服と触れ合い、視聴中に対象 馬を探し追い続けようとする主体的な観戦をした可能性 • 画像参照ではいつでも勝負服を確認できたが、能動的に勝負服に 関わらなかったので感心や親近感が低下し、レースへの関与や視 聴体験の満足度に影響したと考えられる 30

28.

考察 〜記憶状況によるエンゲージメントの差〜 • パズル条件 • 3着全て記憶していた:22件 • 少なくとも1着を記憶していなかった:38件 • パズルをしていても十分に 記憶できていないと 観戦エンゲージメントは 低く評価される傾向 フロー・没⼊ 対象⾺追跡 レースへの 関与 満⾜度・価値 31

29.

結果&考察 まとめ • 画像参照はレース前の記憶負担を軽減するが、レース中の 視覚的注意を分散させる可能性がある • 観戦エンゲージメントの4尺度全てでパズル条件が高評価 パズル⼿法 画像参照⼿法 32

30.

東京競馬場における実地実験 実際の競馬場でパズル手法を用いることが観戦体験を向上 させるのかを検証 大学生・大学院生 のべ39名 合計158レースで提案手法を用いた観戦を行なった • 勝負服への意識が促進され目線や体験が向上した • もっと短時間で低負荷で行いたい • 予想からパズルまでを手軽にしたい 33

31.

パリ・ロンシャン競馬場における実地実験(予定) 海外での競馬観戦では観戦環境や状況が異なる可能性がある 世界で最も権威あるレースの一つ「凱旋門賞」で実地の検証 引用:https://billetterie.france-galop.com/en/event/qatar-prix-de-larc-de-triomphe/ 34

32.

まとめ • 競馬観戦では勝負服で競走馬を識別することができる • 競馬観戦の勝負服事前記憶の有効性が明らかでない • パズル条件と画像参照条件とで観戦エンゲージメントを比較 • 勝負服を事前記憶することで観戦の楽しさや満足度が向上 35