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August 09, 23
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
PP-Undo 筆圧を軸としたUndo機能のためのストローク群に 対する一括筆圧情報付与手法の提案とその評価 明治大学 関口祐豊 中村聡史 1
背景と問題点 デジタル手書き特有の機能 Undo…直前に行った操作を戻す Redo…Undo前の状態に戻す 操作の順序に沿ってしかUndoすることができない ctrl + z ctrl + z ctrl + z 2
背景 タブレットとスタイラスペンを用いた手書きの中でも… 筆圧はユーザが明示的に変化させやすい筆記情報である [東ら 2014] 東孝文, 金井秀明. 切り絵の裁断スキルの向上を目的とするなぞり描き練習システムによる筆圧制御の効果. 情報処理学会 論文誌, 2018, vol. 59, no. 11, p. 1978-1985. 3
背景 下書きやメモのような 重要度や確信度の低い箇所をまとめて消したい!! 4
これまでの提案手法 従来のUndoでは困難だった 時系列順ではないものに対してUndoを行う 確信度や重要度の大小に応じて 筆圧をコントロールして記述することで 筆圧の弱いストロークから削除を行うUndo機能 5
PP-Undo 関口祐豊, 植木里帆, 中村聡史. PP-Undo: 筆圧の制御により付与されたストロークの確信度に基づくUndo手法の提案. 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), 2023, vol. 2023-HCI-201, no. 15, pp. 1-8. 6
問題点 筆圧の制御に不快感 筆圧制御を意図せず失敗してしまうこともある 7
長期利用における気付き 2ヶ月以上にわたって長期利用を実施 筆圧値を強,中,弱の3段階に分け,それぞれのストロークに どの筆圧で書かれるべきであったかをアノテーション付与 グラフの凡例・軸 縦軸:筆圧値 横軸:ストローク数 :強 :弱 :中 8
長期利用における気付き 2ヶ月以上にわたって長期利用を実施 筆圧値を強,中,弱の3段階に分け,それぞれのストロークに どの筆圧で書かれるべきであったかをアノテーション付与 筆圧を制御しようと思っても グラフの凡例・軸 不安定になってしまう縦軸:筆圧値 横軸:ストローク数 :強 :弱 :中 9
長期利用における気付き これまで 10
長期利用における気付き 筆圧をストローク群のまとまりごとに設定したい 11
提案手法 手書き中の筆圧ジェスチャによる 手書きストローク群に対する筆圧付与 1. グループの最初のストロークのみ筆圧を調整するジェスチャ 2. ペンの長押しによって筆圧を再設定するジェスチャ 3. 筆圧を波打つように変化させ,筆圧設定を取消すジェスチャ 12
3つのジェスチャ 1. グループの最初のストロークのみ筆圧を調整するジェスチャ 今回 13
1つ目のジェスチャ 1ストロークの筆圧値設定方法の検討 1. 筆圧の平均(今までと同様) 2. 筆圧の最大値 3. 筆圧の強さが上位25%のポイントの平均値 4. 時系列の中盤50%部分の平均値 14
3つのジェスチャ 2. ペンの長押しによって筆圧を再設定するジェスチャ ストロークを書いている最中に スタイラスペンの動きを止め,その間の筆圧を制御することで, そのストローク群に筆圧を再設定 15
3つのジェスチャ 3. 筆圧を波打つように変化させ,筆圧設定を取消すジェスチャ 1ストローク内の筆圧の強弱を 強く→弱く→強く→弱くなどのように 波打つように変化させるジェスチャ 16
実験目的 PP-Undoに3つのジェスチャが 筆圧アノテーションとして使えるか 17
実験 1〜1時間半程度 14名(男性9名・女性5名) 使用端末 Wacom MobileStudio Pro 13 登録ジェスチャ 再設定ジェスチャ 波打ちジェスチャ 11試行 11試行 2試行 株式会社Wacom, https://www.wacom.com/ja-jp/products/wacom-mobilestudio-pro, (参照2023-6-19) アンケート 18
実験 登録ジェスチャ 再設定ジェスチャ 行の途中で 長押しを行い, 筆圧値を再設定する 波打ちジェスチャ 各行の最初のストロークを 指定された筆圧の強さで記述 1ストローク内の筆圧値が波打つように変化 させながらストロークを記述するタスク 19
実験結果 登録ジェスチャ ・筆圧上位25%平均を取るのが最も精度が良いことがわかった 再設定ジェスチャ ・再設定を失敗してしまう回数が極端に多くなっているユーザもいた 波打ちジェスチャ ・筆圧を1ストローク内で変化させながら書くことは可能であるが, 文字がうまく書けなくなってしまっていた 20
実験結果 登録ジェスチャ 今回の提案手法で筆圧のブレは軽減できることが期待されるが, どの程度の精度でユーザが想定通りの筆圧を書くことができているかを調査 各ユーザのストロークの筆圧を強さごとに分類し,精度の検証 21
実験結果 登録ジェスチャ 平均値 最大値 上位25%平均 中盤50%平均 平均精度 83.2% 81.6% 83.4% 82.6% 最低精度 66.2% 56.3% 60.4% 59.2% ・筆圧上位25%平均を取るのが最も精度が良いことがわかった ・平均値を取ることはこの中では安定した精度が期待できる 22
実験結果 再設定ジェスチャ 長押しジェスチャをどの程度行うことができるか調査 各ユーザの再設定後のストロークの筆圧を強さごとに分類し,精度の検証 23
実験結果 正解率 再設定ジェスチャ ユーザ 全体では約80.3%の精度で再設定できていた 24
実験結果 正解率 再設定ジェスチャ ユーザ ユーザによって再設定精度が異なる 25
実験結果 再設定ジェスチャ 正解率 再設定を失敗してしまう回数が 極端に多くなってしまっているユーザもいた ユーザ ユーザによって再設定精度が異なる 26
実験結果 波打ちジェスチャ 1ストローク内で筆圧の強弱を複数回変化させることは 可能であるのかを調査 各ユーザの筆圧の遷移グラフから検証 27
実験結果 波打ちジェスチャ 下のようなグラフになっているユーザが多くいた 筆圧を1ストローク内で変化させながら書くことは可能である グラフの軸 縦軸:筆圧 横軸:時間 28
実験結果 波打ちジェスチャ しかしながら, ストロークが曲がってしまっており, 普段通りの文字が 書けなくなってしまっていた 29
実験結果 アンケート 使用感に関するアンケート 登録タスク 評価(-2~+2) 再設定タスク 0.871 -0.36 波打ちタスク -1.00 ・最初のストロークのみ制御するのは容易であった ・長押しでの再設定は多少難しい ・波打つように筆圧をコントロールすることは難しい ・75%以上の実験協力者が不快感を抱いていない 30
考察 筆圧制御を最初のストロークのみにすることで 不快感の軽減 31
考察:登録ジェスチャ 上位25%の平均を取るのは精度が良いが, 短いストロークや素早く書いたストロークの場合は 平均値を取る方が精度が良い 32
考察:再設定ジェスチャ ・ユーザによって再設定精度が異なる ・失敗回数が極端に多いユーザがいた しかし,タスクの前半と後半で比較すると14人中10人の精度が上昇 慣れの影響が大きいジェスチャであるが 長期間使用することで有用性があることが示唆された 33
考察:波打ちジェスチャ 筆圧を1ストローク内で変化させながら書くことは可能である しかし,ストロークが曲がってしまっており, 普段書いている文字が書けなくなってしまっていた 実際の手書きの場面で筆圧を波打つように 変動させながら記述することは,難しいこと示唆された 34
考察:アンケート 最初のストロークのみ筆圧制御することは そこまで不快感が高くなく容易である 有用性の高い手法であると考えられる 35
結論 ・筆圧制御をグループの最初のストロークのみに することによる不快感とブレの軽減 ・長押しジェスチャによる再設定手法の有用性 36
今後の展望 今回グループは改行ごとにボタンを押してもらって設定していた 今後は グループの推定を行っていきたい 37
まとめ PP-Undo:筆圧の強弱を軸としたUndo 問題点:筆圧の制御にブレが生じている.筆圧制御に不快感がある. 目的:負荷をかけずに筆圧制御可能とする 手法:グループの最初の筆圧のみ制御 長押しジェスチャによる筆圧再設定手法 結果:筆圧制御をグループの最初のストロークのみにすることによる 不快感とブレの軽減 長押しジェスチャによる再設定手法の可能性 38