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September 05, 16
スライド概要
HCI研究会at下関のスライド
「錯視図形提示によるコンテンツ視聴手法」
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
周辺視への錯視図形提示による コンテンツ視聴手法の提案 福地 翼(明治大学 総合数理学部3年) 松井 啓司(明治大学 総合数理学部4年) 中村 聡史(明治大学 総合数理学部)
研究背景 • 動画共有サイトの普及 - Youtube,ニコニコ動画など • 動画コンテンツを視聴する機会の増加 ただディスプレイを通して 視聴するだけでは物足りなさを感じる
関連研究 • IllumiRoom [Brett 2013] - プロジェクタを用いたディスプレイ周辺への刺激提示 • 周辺視へのエフェクト提示による動画の視聴体験拡張 [松井 2015] - 動画周辺へのエフェクト提示
関連研究 共通点 • コンテンツ周辺へのエフェクト(刺激)提示 - 印象変化に対して有効に作用 刺激による体験の阻害を抑制 問題点 • プロジェクタの用意 • 複雑なエフェクトの作成 → 視聴体験のためのコスト、手間の問題が残る
研究目的 コンテンツ周辺への単純刺激の提示により 印象を変化させ視聴体験を拡張する • コンテンツ周辺への刺激を画面内に提示 • 提示する刺激には単純なものを利用
提案手法 ポイント 1. 周辺への提示で効果が見込めるか? 2. 複雑な手順を踏まずに表現できるか? 錯視図形提示によるコンテンツ視聴手法
提案手法 なぜ錯覚なのか? 錯覚とは 「実際とは異なる感覚や認識をもたらす現象」 仮説 錯覚 錯覚により映像では得られない感覚や認識を 錯覚による感覚や認識 コンテンツによる感覚や認識 与えることで映像に対する印象変化が起きる
提案手法 なぜ錯視図形なのか? 1. 周辺への提示で効果が見込めるか? → 周辺視へ提示した際に錯覚現象が有効 [寺内 1991] 2. 複雑な手順を踏まずに表現できるか? → 図形が単純なものが多く、表現が容易
手法の構造 動的に変化する錯視図形を提示 画面
実装 • 錯視図形提示 :Processing - 動的に変化(sin関数を使用) sin(90°) sin(90° ) • 視線データ取得(分析用):Tobii EyeX - 座標をテキストデータで取得
実験 仮説 錯覚により映像では得られない感覚や認識を 与えることで映像に対する印象変化が起きる 錯覚提示によって • 印象が変化するか? • 知覚は変化するか? • 弊害(疲労感など)は発生するか? • 視線はどう変化するか?
前調査 実験に使用する錯視図形の絞り込み ① 主観によって選んだ8つの錯視を用意 • エビングハウス錯視 • オービンソン錯視 • カフェ・ウォール錯視 • ツェルナー錯視 • グリッド錯視 • デルブーフ錯視 • ベクション錯視 • ミュラー・リヤー錯視 ②印象の変化を感じたものを選択
前調査 エビングハウス錯視 オービンソン錯視 大きさの知覚 傾きの知覚
前調査 カフェ・ウォール錯視 ツェルナー錯視 傾き・歪みの知覚 傾き・歪みの知覚
前調査 グリッド錯視 デルブーフ錯視 奥行きの知覚 大きさの知覚
前調査 ベクション錯視 ミュラー・リヤー錯視 移動感の知覚 長さ・歪みの知覚
前調査 実験に使用する錯視図形の絞り込み ① 著者が主観によって選んだ8つの錯視を用意 • エビングハウス錯視 • オービンソン錯視 • カフェ・ウォール錯視 • ツェルナー錯視 • グリッド錯視 • デルブーフ錯視 • ベクション錯視 • ミュラー・リヤー錯視 ②印象の変化を感じたものを選択
錯視 選択の多かった4つの錯視を実験に使用 奥行き知覚 1. グリッド錯 視 移動感知覚 3. ベクション錯 視 傾き知覚 2. オービンソン錯 視 大きさ知覚 4. エビングハウス錯 視
動画の選定 1. グリッド錯視 - 風景動 画 選定理由 広がり・奥行きの増減による飽きの変化
動画の選定 2. オービンソン錯視 – 飛行動 画 選定理由 傾斜・歪みの増減による不安・動揺の変化
動画の選定 3. ベクション錯視 – ジェットコースター動 画 選定理由 移動感の増減による勢い・せわしなさの変化
動画の選定 4. エビングハウス錯視 – 動物動 画 選定理由 大きさの増減による遠近感・感心の変化
評価実験 錯視提示の有無による効果の調査(協力者:14名) 錯視提示:なし 錯視提示:あり ・ 計8本を視聴 提示の有無に ・ 印象・知覚(5段階)について評価 ・ 疲労感(4段階)について評価 ・ 視線データを取得
実験結果: 印象と知覚 :ベクション 2 1 0 -1 -2 動揺・苛立ち・楽しさが増加 飽きが減少 勢い・せわしなさが増加 動不苛感飽悲楽集広奥せ勢接引傾歪 揺安立心きしし中が行わい近き斜み みさ りきし ち な さ エフェクトなし エフェクトあり
実験結果: 印象と知覚 :グリッド 2 1 0 -1 -2 動揺・不安が増加 飽きが減少 勢い・傾斜以外の項目に対して効果あり 動不苛感飽悲楽集広奥せ勢接引傾歪 揺安立心きしし中が行わい近き斜み みさ りきし ち な さ エフェクトなし エフェクトあり
実験結果: 印象と知覚 :オービンソン 2 1 0 -1 -2 不安・感心・楽しさが増加 飽きが減少 歪みが大幅に増加した 動不苛感飽悲楽集広奥せ勢接引傾歪 揺安立心きしし中が行わい近き斜み みさ りきし ち な さ エフェクトなし エフェクトあり
実験結果: 印象と知覚 :エビングハウス 2 1 0 -1 -2 感心が増加 広がり・接近・引きが増加した 動不苛感飽悲楽集広奥せ勢接引傾歪 揺安立心きしし中が行わい近き斜み みさ りきし ち な さ エフェクトなし エフェクトあり
実験結果: 印象評価 印象 • ベクション錯視 - 動揺、苛立ち、楽しさが増加。飽きが減少。 • グリッド錯視 - 不安、動揺が増加。飽きが減少。 • オービンソン錯視 - 不安、感心、楽しさが増加。飽きが減少。 • エビングハウス錯視 - 感心が増加。
実験結果: 知覚変化 知覚 • ベクション錯視 - 勢い、せわしなさなど移動感が増加 • グリッド錯視 - 勢い・傾斜以外の知覚項目が増加 • オービンソン錯視 - 歪みが増加 • エビングハウス錯視 - 引き、接近、大きさなど遠近感が増加
実験結果: 疲労感 :ベクション 3 2 疲労感・不快感・集中できないがわずかに増加 1 0 不 快 感 が あ る 疲 労 感 が あ る 頭 痛 が す る エフェクトなし 眼 の 疲 れ 眼 の ぼ や け 集 中 で き な い 眼 が か す む エフェクトあり
実験結果: 疲労感 :グリッド 3 2 大きな変化は見られなかった 1 0 不 快 感 が あ る 疲 労 感 が あ る 頭 痛 が す る エフェクトなし 眼 の 疲 れ 眼 の ぼ や け 集 中 で き な い 眼 が か す む エフェクトあり
実験結果: 疲労感 :オービンソン 3 2 疲労感が増加し、不快感はわずか増加 1 0 不 快 感 が あ る 疲 労 感 が あ る 頭 痛 が す る エフェクトなし 眼 の 疲 れ 眼 の ぼ や け 集 中 で き な い 眼 が か す む エフェクトあり
実験結果: 疲労感 :エビングハウス 3 2 値の変化はほとんど見られなかった 1 0 不 快 感 が あ る 疲 労 感 が あ る 頭 痛 が す る エフェクトなし 眼 の 疲 れ 眼 の ぼ や け 集 中 で き な い 眼 が か す む エフェクトあり
実験結果: 疲労感 分類 • 疲労感あり - ベクション錯視 - オービンソン錯視 • 疲労感なし - グリッド錯視 - エビングハウス錯視
考察 映像周辺への錯視提示により印象が変化する - 飽きが減少 → システムが有効に作用 不安・動揺がすべての錯視で増加した → 錯覚の付与またはsin関数が原因?
考察 映像周辺への錯視提示により印象が変化する - 飽きが減少 → システムが有効に作用 不安・動揺がすべての錯視で増加した → 錯覚の付与またはsin関数が原因? 一部の錯視では疲労感が見られた - 改善する必要あり
考察 映像周辺への錯視提示により印象が変化する - 飽きが減少 → システムが有効に作用 不安・動揺がすべての錯視で増加した → 錯覚の付与またはsin関数が原因? 一部の錯視では疲労感が見られた - 改善する必要あり グリッド錯視は多くの知覚項目が増加 - 知覚表現に対して汎用
実験: 視線ログ 錯視の有無で変化は見られなかった オービンソン錯視 錯視の提示でわずかに視線が乱れた エビングハウス錯視
実験: 視線ログ 錯視の有無で変化は見られなかった ベクション錯視 錯視提示によって視線が中央に寄る傾向 グリッド錯視
考察 提示の有無にかかわらず視線は安定 - 一部(エビングハウス錯視)錯視の影響あり 大きさ知覚
考察 提示の有無にかかわらず視線は安定 - 一部(エビングハウス錯視)錯視の影響あり 大きさ知覚 視線と評価の関係 - 視線が中心に密集している場合 → 集中、奥行きを高く評価する傾向にある
まとめ • 周辺視への錯視図形提示による コンテンツ視聴手法の提案 • 錯視図形提示による印象変化の調査 → 印象の変化が見られた
まとめ • 周辺視への錯視図形提示による コンテンツ視聴手法の提案 • 錯視図形提示による印象変化の調査 → 印象の変化が見られた 今後の展望 • 提示による問題点の解消 • 動作パターンと印象変化の関係の調査 • 複数の錯視を表現する汎用的図形の作成
応用 Webサービスとしての実装
応用 今後の展望 • システムの調整 • 使用感や印象変化について調査 • 提示パターンの工夫・追加