ドライビングシミュレータにおける路上駐車のドア開閉が認知的狭さに及ぼす影響について

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December 10, 24

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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1.

ドライビングシミュレータにおける 路上駐車のドア開閉が認知的狭さに 及ぼす影響について 明治大学B3 成瀬詩織 飯田空 福井雅弘 髙久拓海 中村聡史(明治大学) 山中祥太 (LINEヤフー株式会社) 1

2.

背景 カーナビゲーションシステム →経路推薦や到着時間予測が可能 →運転に対する個人の技量は考慮されていない ↓ 様々な道路条件に対する運転難易度のモデル化 きついカーブ 狭い道路 2

3.

背景 路上駐車のドアが開閉する経路 駐車場や路上でのドアの開閉は日常的に発生している これまでの研究では,路上駐車車両のドアが突然開く可能性は 調査されていない 路上駐車が多い道路 ドアを開ける様子 3

4.

背景 路上駐車のドアが開閉する経路 危険予測することで,運転者が道路幅を 実際より狭く感じる現象 →認知的狭さと定義 認知的狭さを考慮した実験を行う 4

5.

関連研究 ステアリングの法則 人の特性を分析し操作をモデル化したもの ペンをスライドさせる動作を幅Wと経路長Aを用いて次のように モデル化した[Accotら 1997] 𝑀𝑇 = 𝑎 + 𝑏 ∗ 𝐼𝐷 (MT:通過時間) 𝑊 𝐴 𝐴 ID = 𝑊 (ID:通過する難易度) Accot, J., and Zhai, S.. Beyond Fitts’ law: models for trajectory-based HCI tasks. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’97). 1997, pp. 295-302. 5

6.

関連研究 ステアリングの法則 幅が急に変化する経路においても成立する Accot, J., and Zhai, S.. Beyond Fitts’ law: models for trajectory-based HCI tasks. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’97). 1997, pp. 295-302. 6

7.

関連研究 実環境での実験 都心部区画道路の路上駐車に対するドライバー意識とそのために 必要な車道幅員に関する研究 [李ら 1994] ↓ 実環境での実験は試すことが可能な道路条件も限られている 李相光, 樗木武, and 辰巳浩, “都心部区画道路の路上駐車に対す るドライバー意識とそのために必要な 車道幅員に関する研究,” 第 29 回日本都市計画学会学術研究論文集, no.29, pp.277–282, 1994. 7

8.

目的 それぞれの道路条件ごとの難しさを明らかにする 条件ごとに難易度のモデル化を行う ↓ ドライバの運転レベルに合わせた経路選択が可能 8

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目的 1. 路上駐車のドア開閉が認知的狭さに及ぼす影響 についての調査 2. ステアリングの法則が適用できるか検証 9

10.

実験設計 実車の運転を再現するためドライビングシミュレータを用いたシステムを使用 区間内の通過幅,区間長,左右位置,開閉の有無を任意に設定可能 10

11.

ドライビングシミュレータの様子 11

12.

実験設計 道路幅 𝑊b ∶ 5m 路上駐車車両の幅 𝑊c ∶ 1.77m 通過幅 𝑊s ∶ 3m 4m 5m の中から選ばれる ドア幅 𝑊d ∶ 1m ドアが開いている時の通過幅(最狭幅) 𝑊s − 𝑊d 12

13.

実験設計 通過幅:開閉無しの時3m, 4m, 5mから選出 開閉有りの時4m, 5m, 6mから選出 区間長:40m, 100m, 200mから選出 3m 4m 5m 13

14.

実験設計 各区間例 (通過幅, 区間長, 開閉有無, 左右位置) 第1区間 (5m, 100m, 開閉有り, 左設置) 第2区間 (3m, 100m, 開閉無し, 右設置) 第3区間 (4m, 100m, 開閉有り, 左設置) 14

15.

実験設計 実験協力者は運転免許を持つ大学生20名 全18種類の区間を各3回,合計54回,18コース走行 コース内のすべての区間を成功させるまでそのコースを 繰り返す 区間の成功条件:ガードレール,駐車車両に接触せず走行する (接触した場合エラーとみなされそのコース自体やり直しになる) 15

16.

実験結果 平均通過時間 通過幅が狭くなるほど平均通過時間は長くなる 16

17.

実験結果 開閉有無別のエラー率 各通過幅における区間内のエラー率 各区間長における区間内のエラー率 通過幅が狭くなるほどエラー率は高くなる 区間長が長くなるほどエラー率は高くなる また,最狭幅4m,5mの場合,エラー率は開閉有りの方が高くなる 17

18.

実験結果 左右別のエラー率 各通過幅における区間内のエラー率 各区間長における区間内のエラー率 駐車位置が走行方向に対して右に位置する時, 通過幅,区間長ともにエラー率が高くなった 18

19.

実験結果 ステアリングの法則の検証 𝑊1 開閉を考慮したモデルから得られた式 𝑊2 𝐿1 𝐿1 区間を通過する際のクロッシング動作の開始地点 𝐿2 次の区間に入る際の認知的負荷 𝐿2 𝐿1 𝑛𝑊1 モデル#3.3 𝑀𝑇 = 𝑎 + 𝑏 𝐿1 − 𝑛𝑊1 + + + 𝑑log 2 +1 𝑊1 𝑊2 + 𝑐 × 𝑜𝑝𝑒𝑛 𝑊1 𝑊2 + 𝑐 × 𝑜𝑝𝑒𝑛 𝐿2 を通過する際の時間 モデル#4.3 𝑀𝑇 = 𝑎 + 𝑏 𝐿1 を通過する際の時間 𝐿1 − 𝑛𝑊1 𝐿1 𝐿2 𝑛𝑊1 + +𝑑 + 𝑒log 2 +1 𝑊1 𝑊1 𝑊2 + 𝑐 × 𝑜𝑝𝑒𝑛 𝑊2 + 𝑐 × 𝑜𝑝𝑒𝑛 19

20.

考察 運転難易度について  ドアが開閉するという意識が認知的狭さに影響を与え運転操作のミスを する可能性が上がることが考えられる  今回の実験は運転席が右側に設定されていたため,左側の死角が増し, 実際の道路幅に対する認知的狭さが強調されたために発生した現象で あると考えられる  開閉を考慮したモデルの方が難易度推定に適している 20

21.

今後の展望 • 運転難易度のさらなるモデル化に向けて コース条件の再設計 • 複雑な走行経路や異なる道路幅に対する モデルの適応性を検証 𝑊1 𝑊2 𝐿1 𝐿2 検証に用いたモデル図 21

22.

まとめ  背景:コース条件ごとの運転難易度を調べたい  目的:路上駐車のドア開閉が認知的狭さに及ぼす影響についての調査 Yamanakaらのモデルの適合度の検証  結果:最狭幅が等しくなる条件では,ドア開閉有りの区間の方がエラー率が高く 平均通過時間が長くなることを明らかにした Yamanakaらのモデルを用いて高い精度で推定できることを示した  展望:異なる連結方法に基づいてコース条件を設計し再実験 22