周辺視野への視覚刺激提示がプログレスバー待機時間に及ぼす影響

678 Views

February 23, 19

スライド概要

松井啓司(FMS1期生)の修論発表会資料です。

profile-image

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

周辺視野への視覚刺激提示が プログレスバー待機時間に及ぼす影響 松井 啓司 (中村研究室) 2019.02.01

2.

概要 • 体感時間を短縮する手法についての研究発表 ◯ 従来手法より体感時間が数%短縮 • 使用実験とアンケートによる評価 ◯ ◯ ブラウザバックなどの行動が減少する傾向 目の疲労感などがわずかに向上する傾向

3.

研究背景 • PC操作時に様々な待機時間が発生 ◯ Webページへのアクセスや画像のDLなどによるもの • 他の作業をするには短い時間 • ただ待つだけでは長い時間 待機時間を短く体感したい!

4.

関連研究 • 待機時間を短く体感するための手法 ◯ プログレスバー(視覚的フィードバック) • プログレスバーの効果を高めるための手法 ◯ ◯ アニメーション付与[Chris 2010] インタラクティブな要素の付与[Hohenstein 2016]

5.

提案手法 • 提案手法 ◯ ◯ プログレスバーの効果を高めるためのもの 特に視野範囲に着目したもの

6.

視野範囲について 周辺視野 中心視野

7.

提案手法 • 2種類の視野に着目した視覚的フィードバック ◯ 効果が強まる?阻害しあう??

8.

これまでの研究成果 • 20〜160秒の待機時間で有効か検証[松井 2017] ◯ 視覚刺激の速度変化によって体感時間が短縮 • 8〜12秒の待機時間で有効か検証[松井 2018] ◯ 特に短い待機時間において短縮 • 提案手法が有効になる条件を調査[松井 2018] ◯ 背景とのコントラスト比が1.5以上で有効 • 2〜12秒の待機時間で有効か検証[松井 2019] ◯ 提案手法によって体感時間が短縮

9.

これまでの研究成果 -実験例• 実験の流れ ◯ ◯ ◯ プログレスバー提示 体感時間を回答 インターバル 繰り返す

10.

これまでの研究成果 -実験結果従来手法 プログレスバー 単体 提案手法 加速 一定 減速 体感時間(%) 97.4 96.0 96.3 95.5 分散 0.017 0.018 0.016 0.019 • 体感時間(%):90%の時に10秒を9秒と体感 • プログレスバー単体よりは体感時間が短縮

11.

実験概要 • 実際に使うシーンを想定した実験 ◯ 「調べたいことがあってWebページへアクセスした のに読み込みに時間がかかった」 • 体感時間の短縮によってなにが起きる? ◯ 長い時間待てるようになる?

12.

実験手順 • 調べ物タスク ◯ 4つのテーマ • チョコレートの歴史 • ボードゲームの歴史 • 十二星座の歴史 • 相撲の歴史 ◯ 20個の資料(Webページ) • それぞれに1〜20秒の読み込み時間 • ランダムな順番ですべての資料に1度ずつアクセス • 待てないと思ったらブラウザバックを許可 • 読み込み時間中は視覚的フィードバックが提示

13.

提示なし • 提示内容 ◯ ◯ ◯ ◯ 提示なし プログレスバーのみ提示 周辺視野への視覚刺激のみ提示 両方とも提示

14.

プログレスバーのみ提示 • 提示内容 ◯ ◯ ◯ ◯ 提示なし プログレスバーのみ提示 周辺視野への視覚刺激のみ提示 両方とも提示

15.

視覚刺激のみ提示 • 提示内容 ◯ ◯ ◯ ◯ 提示なし プログレスバーのみ提示 周辺視野への視覚刺激のみ提示 両方とも提示

16.

両方提示 • 提示内容 ◯ ◯ ◯ ◯ 提示なし プログレスバーのみ提示 周辺視野への視覚刺激のみ提示 両方とも提示

17.

実験概要 • 4種類の視覚的フィードバックによる効果を比較 ◯ ◯ ◯ ◯ 提示なし プログレスバーのみ提示 周辺視野への視覚刺激のみ提示 両方とも提示 • 評価内容 ◯ ◯ 行動変容(ブラウザバック回数) 生理的指標についてのアンケート(吐き気など)

18.

実験手順例 –チョコの歴史について調べる1 2 ブラウザバック率 3 15 / 20件 = 75% テーマ 視覚的 フィードバック チョコレート プログレスバー アンケート 18 19 20 吐き気 :2/4点 眼精疲労:2/4点 頭痛 :1/4点

19.

実験条件 • 実験協力者10名 • 周辺視野へ提示する視覚刺激の設定 ◯ ◯ 中心視野を視野直径 15°以内 ディスプレイ • 表示領域 509.8 × 286.7mm • 目との距離 50cm • その他 待機中は画面中央を見るよう事前に教示 • 時計などを確認できない状態で実施 ◯

20.

実験結果 –ブラウザバック率の差について- 提示なし 発生率(%) 53.0 プログレスバー 24.0 周辺視野 45.5 • ブラウザバックの発生率 ◯ ◯ ◯ 提案手法でブラウザバック率が最も低下 プログレスバーの表示が有効 周辺視野のみではあまり有効ではない • グループ間に有意な差(5%水準) 両方提示 22.5

21.

提示なし プログレスバー 周辺視野 Webブラウザ想定実験 両方提示 1 0 0 0 0 2 0 0 0 0 3 0 0 0 0 4 10 0 0 0 5 10 0 0 0 6 20 0 0 0 7 30 0 20 0 8 40 10 20 0 9 70 30 40 0 10 60 40 40 20 11 80 30 50 30 12 70 30 60 30 13 80 30 70 30 14 80 30 90 40 15 80 50 70 40 16 90 50 90 50 17 70 30 90 40 18 90 50 90 60 19 90 50 90 50 20 90 50 90 60

22.

実験結果 –アンケート結果について- 提示なし プログレスバー 周辺視野 両方提示 吐き気 0.30 0.30 0.27 0.40 眼精疲労 0.05 0.30 0.35 0.45 頭痛 0.05 0.05 0.10 0.10 • SSQを項目ごとに平均 ◯ ◯ 全ての項目でほぼ同じ値 提案手法:生理的指標への影響がわずかに高い

23.

まとめ • 周辺視野への視覚刺激提示により プログレスバーの効果を高める手法の提案 • 提案手法を実際に使うシーンを想定した実験 ◯ ◯ 行動変容が確認 生理的指標への影響 • 課題 ◯ ◯ 副作用を軽減するための条件調査 応用可能性の検討(VRコンテンツなど)