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July 07, 23
スライド概要
精神科の診断基準DSM-5がDSM-5-TRに改訂された概略について精神科医としてレクチャーやYouTubeで解説するのに使用した資料です。レクチャーなどでの使用OKです
精神科医、大学教員かつYouTuberです。資料は講義での使用OKです。 私がYouTubeで使用している資料につき公開をご希望の方がいたら、該当する動画のコメント欄でお知らせください。
DSM-5-TR 何が変わった? なぜ変わった?
1952 1968 1980 1994 2013 DSM DSM-II DSM-III DSM-IV DSM-5
1952 1968 1980 1987 1994 2000 2013 2022 DSM DSM-II DSM-III DSM-III-R DSM-IV DSM-IV-TR DSM-5 DSM-5-TR
TR Text Revision 本文改定
Text 診断的特徴、有病率、 経過、予後、性差、鑑 別診断、併存症 など
新しい診断基準で定義 されたばかりの疾患 正確な有病率や予後などの 情報は十分にないはず 松崎朝樹の私見
基準発表から何年か経ってから Text Revisionが 新しい より正確な 情報を提供
TRなのに 診断基準が 少し変更された
さらに
日本精神神経学会 が中心となって 日本語訳の 語を変更
ICDと用語を 揃える方針
DSM-III DSM-IV 各疾患の担当者が 翻訳したものが 採用された
DSM-5では 日本精神神経学会により 精神科病名検討連絡会 が組織された 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
日本精神神経学会精神科病名検討連絡会 • 日本トラウマティック・ストレ ス学会 • 日本精神神経学会精神科 用語検討委員会 • 日本睡眠学会 • 日本うつ病学会 • 日本精神科診断学会 • 日本心身医学会 • 日本児童青年精神医学会 • 日本不安障害学会 • 日本老年精神医学会 • 日本精神神経学会性同一 性障害に関する委員会 • 日本精神神経学会ICD‒11 委員会 • 日本アルコール・薬物医学 会 • 日本依存神経精神科学会 • 日本統合失調症学会 • 日本摂食障害学会 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
① 患者中心の医療が 行われる中で、よりわ かりやすいもの、患者 の理解と納得が得られ やすい 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
② 差別意識や不快感 を生まない ③ 国民の病気への認 知度を高めやすい 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
④ 直訳が相応しくない 場合には意訳を考え、 アルファベット病名はな るべく使わない 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
障害を避け 症に置換 という方向性
障害は 児童や親に大きな衝撃 を与えうるとされ 障害の症への変更 が提案された 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
disorderを 障害と翻訳すると disabilityの障害と 混同されうる 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
Disabilityは 能力の欠如、不自由の意味 不可逆性のものが多い Disorderは 秩序の乱れ、不調の意味 可逆性のものが多い
disorderを 障害と翻訳すると 不可逆的な状態と の誤解が生じうる 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
障害の症への置換は 症状がある者への 過剰診断・過剰治療 を招きうる 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会, DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版), 精神神経学雑誌 第116巻 第 6 号(2014)429‒457
〇〇症は本来 1)〇〇が原因で生じるもの 例:花粉症、熱中症、感染症 2)〇〇という症状が生じるもの 例:不妊症、依存症、不眠症 松崎朝樹の私見
〇〇症は本来 「〇〇に症状が生じる」 の意味を持たない はずだった 悪い例:認知症、学習症 松崎朝樹の私見
そんな議論がある中 障害が 症に 変更されたものが多い 松崎朝樹の私見
DSM-5 〇〇障害 DSM-5-TR 〇〇症
DSM-5 〇〇性障害 DSM-5-TR 〇〇症
DSM-5 〇〇症/〇〇障害 DSM-5-TR 〇〇症