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March 17, 24

スライド概要

BPSDに対するミルタザピンの効果を検証した論文
プラセボ群と比較してミルタザピン群でBPSD改善度に差を認めませんでした。BPSDは多因子によって起こるため、薬物療法のみの改善は難しいという事なのかもしれません。
内的妥当性と外的妥当性を検討しました。

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某病院精神科後期研修医が運営するアカウントです。日々の勉強会の内容など情報発信をしていきますので、 よろしくお願い申し上げます。

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各ページのテキスト
2.

批判的吟味 内的妥当性 • 論文の方法論は適切か? • 論文の結果、考察は信頼できるか? 外的妥当性 • 論文の結果は目の前の患者に当てはめられるか? • 論文の結果は自分の臨床環境に当てはめられるか?

3.

前提 • 認知症におけるBPSDは約半数にみられる • そのうち80%は6か月以上症状が持続する • 治療の1st lineは非薬物療法 • 2nd lineとして薬物療法が行われる

4.

前提 • 抗精神病薬が最も使われているが・・ • 効果は小さく、死亡率が上昇する • 国によっては規制されている • ChE阻害薬、メマンチン、バルプロ酸は効果がない

5.

目的 • 先行研究で・・・ • ミルタザピンがBPSDに有効な可能性が示唆された • ミルタザピンがADにおけるagitationに有効かどうかを 調査した

6.

方法 セッティング • イギリスの26か所の病院で患者をリクルート

7.

方法 対象 • 精神科医によりアルツハイマー型認知症と診断された • Cohen-Mansfield Agitation Inventoryで45点以上 • BPSDが非薬物療法に反応していない 除外基準 • • • • • 自殺リスクがある ミルタザピンが禁忌 抗うつ薬か抗精神病薬を内服している 55才以下で妊娠の可能性がある 観察者がいない

8.

方法 ランダム化と盲検化 • ソフトウェアを用いて、センターでランダムに割り付け • Double-blindで、治療薬とプラセボは同じカプセルに入れた • 治療者、評価者、患者、介護者は割り付け先を知らない 治療内容 • ミルタザピンは2週間毎に45㎎まで増量 • 副作用の有無をresearch workerがチェックし、副作用がなければ増量 • 副作用が出たら投与量を維持するか中止 ☆医師は用量調整に関与しない

9.

方法 アウトカム • プライマリー:12週後のCMAIスコア • セカンダリー:6週後のCMAIスコア、DEMQOL、EQ-5D-5L, NPI、carer mental health, carer burden, cognition • 安全性:死亡、脱落、アドヒアランス、副作用、自殺スケール • コスト

10.

方法 統計 • General linear model • 交絡因子として居住地、病院を調整

11.

結果 患者フロー • ミルタザピン102例 • プラセボ102例 • 最終評価は • ミルタザピン群79名 • プラセボ群87名

12.

結果 背景因子 • • • • ミルタザピン群で女性が多かった CMAIの平均値は約70 希死念慮は13%と18% 自殺企図は4%と0%

13.

結果 薬剤投与量 • ミルタザピンの平均投与量は30㎎ • プラセボ群でも増量幅に差はなかった 副作用 • 副作用出現率、脱落率とも差はなかった • 死亡者は7名vs1名でミルタザピン群で多かった

14.

結果 • プライマリーアウトカム • 両群でCMAIスコアに有意差を 認めなかった

15.

結果 • セカンダリーアウトカム • 本人指標は全て有意差なし

16.

結果 • セカンダリーアウトカム • 介護者負担の項目でプラセボ群の方が軽い項目があった

17.

結論 • 興奮状態は • • • • Unmet needs(空腹や口渇など) 身体疾患(感染や甲状腺機能異常) 処方薬(抗コリン薬やステロイド) 環境(刺激がありすぎたりなさすぎたり) で起こる • 結果的に画一的な薬物療法はうまくいかない • 治療効果が出ている向精神薬は鎮静効果を

18.

結論 • 多因子であるため、画一的な薬物療法はうまくいかない • 治療効果が出ている向精神薬は • 鎮静効果を利用しているだけで、結果的に有害事象が増える • 薬物療法が効果がでなかったが、ケアが症状を改善したとも言える

19.

批判的吟味に関する資料 • RCTの批判的吟味に関するスライドhttp://ebmh.med.kyotou.ac.jp/files/Lecture%20on%20RCTs.pdf • 批判的吟味チェックシートhttp://ebmh.med.kyotou.ac.jp/toolbox.html • メタアナリシスの批判的吟味に関するスライド http://ebmh.med.kyoto-u.ac.jp/files/Lecture%20on%20SRs.pdf