【共同講座】普及・促進に向けた事例調査報告書(令和4年度)

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August 15, 24

スライド概要

企業が、⾼等教育機関(⼤学・⾼等専⾨学校等)と"共同"で自社が必要とする高度専門人材を育成する"講座"(コース・学科等を含む)を設置する『共同講座』の事例調査報告書となります。

*経済産業省の補助事業『共同講座創造支援事業費補助金』を(一社)社会実装推進センターが運営しております。

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各ページのテキスト
1.

令和4年度⾼等教育機関における共同講座創造⽀援事業 共同講座の普及・促進に向けた事例調査 報告書 株式会社野村総合研究所 社会システムコンサルティング部 2024年3⽉

2.

1 調査の実施概要 2 共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果) 3 共同講座の促進に係る主要論点 4 各論点への⽰唆 5 今年度補助事業における取組み好事例 1

3.

1.調査の実施概要 調査実施事項の全体像①:アンケート・インタビュー調査、デスク調査 n 昨年度・今年度の本補助事業採択事業者及びそれ以外の企業事例について調査した。 調査対象 昨年度補助事業の 採択事業者(23社) 調査実施事項 受講者向け 担当者向け 今年度補助事業の 採択事業者(25社) 上記以外の企業等 担当者向け 概要 アンケート調査 • ⾃⾝の受講後の⾏動変容、応募したきっかけ、共同講 座の利点、学びに対する意欲の変化等を書⾯で把握 インタビュー調査 • 上記のアンケート調査に基づき、「サクセスケース(成功事 例)」とみられる受講者に対して、インタビューを実施 アンケート調査 • 昨年度受講者の⾏動変容、⼈材育成効果を上げるた めに有効な施策、波及効果等を書⾯で把握 インタビュー調査 • 上記のアンケート調査に基づき、受講者の⾏動変容がみ られると回答した事業者に対して、インタビューを実施 講座実施中調査 (書⾯) • 実施中時点での、⼈材育成ニーズ、期待する⾏動変容、 ⾼等教育機関との連携の経緯、課題等を書⾯で把握 講座実施後調査 (書⾯) • 終了後の、共同講座の内容や課題、評価、今後の予定、 本補助事業への評価等について書⾯で把握 デスク調査 • 新聞・雑誌記事等の情報に基づき、共同講座の事例リ ストを作成 インタビュー調査 • 上記のデスク調査に基づき、特徴的な取組みを⾏ってい る事例について、企業にインタビューを実施 2

4.

1.調査の実施概要 調査実施事項の全体像②:⽂献調査、派⽣調査 n 研修転移に関する⽂献調査や、共同講座と類似した枠組みである「共同研究」の枠組みについて調査した。 調査実施事項 概要 ⼈材開発の効果を⾼めるための⽅策 (学術的な知⾒の調査・整理) • 企業の⼈材開発の効果を⾼めるための理論や既存研究を整理するために、研修転移及 び組織学習に関する⽂献調査を実施 「共同研究」に関する取組みを踏まえた、 共同講座の課題解決策の整理 • 有識者とのディスカッションを通じて、共同講座と類似した枠組みである「共同研究」におけ る既存事例や⽀援政策を調査 3

5.

1.調査の実施概要 昨年度採択事業者へのアンケート調査(受講者向け) 調査概要 主な調査項⽬ タイトル 共同講座受講者向けアンケート 趣旨 昨年度採択事業者が開催した共同講座受講者向け に追跡調査を実施する • 共同講座の成果を確認する • 特に効果のあったと考えられる講座内容や⼯夫等 も把握する 期間 2023年11⽉〜12⽉ 実施⽅法 各事業者に受講者への展開依頼及びGoogle Form を送付し、回答を依頼 対象 「令和3年度共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採 択17事業者の講座受講者109件 (受講者による回答。17/23事業者回収) 1.受講者の⾏動変容について • 受講動機 • 講座後の⾏動変容 2.研修転移を促進させる取組みについて • 受講者に対する⽀援・働きかけ(講座前・講座中・講座後) • 特に有効な⽀援・働きかけ 4 .上司の態度について • 講座で学んだことに対する上司の関わり⽅ 5.共同講座の利点について • 通常の研修との違い 6.学びへの影響について • 学びの意欲の変化 • 学ぶ時間の変化 4

6.

1.調査の実施概要 昨年度採択事業者へのインタビュー調査(受講者向け) 調査概要 趣旨 主な調査項⽬ ⾏動変容の主体となる受講者の現場実践度の確認 として、 「サクセスケース(成功事例)」の詳細を把握 する 期間 2024年1⽉ 実施⽅法 オンラインインタビュー(Teams) 対象選定 の考え⽅ 昨年度採択事業者へのアンケート調査(受講者向 け)への回答を基に、必須条件・任意条件(次ページ 参照)に合致する受講者を抽出した 対象 4講座の受講者(各1名)を対象として実施 1.講座に応募した動機 • 特に強かった動機 2.講座後、学んだことの活⽤状況 • どのような結果が出たか • いつ、どんな場⾯でどのように活⽤したか • 学んだことの活⽤にあたって所属組織から受けられた⽀援・働きかけ 3.講座における所属組織からの⽀援や働きかけ • どのような⽀援があったか • ⽀援・働きかけの効果 • 職場の上司の態度が受講前・受講中・受講後に与えた影響 5

7.

1.調査の実施概要 (参考)昨年度採択事業者へのインタビュー調査(受講者向け) インタビュー調査対象者の抽出条件(受講者) インタビューに協⼒可能である • お名前、メールアドレスを共有いただけた⽅ 必 須 条 件 任 意 条 件 共同講座を実施した会社に所属している⽅ • 講座受講時の属性 ü 「 社会⼈(共同講座を実施した会社に所属している)」を選択 研修転移が起きている • 講座後の⾏動変容 ü 「①講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た」を選択 ü 回答状況によって、「②講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない」も 許容 所属先から何らかの⽀援や働きかけがあった • 所属している⾃社からの講座受講に係る⽀援 ü ①講座前、②講座中、③講座後のいずれかで、何らかの⽀援策を選択 ※以上を基にスクリーニングした上で、回答者の参加講座や属性に偏りが出ないように抽出した 6

8.

1.調査の実施概要 昨年度採択事業者へのアンケート調査(担当者向け) 調査概要 タイトル 主な調査項⽬ 共同講座担当者向けアンケート 趣旨 昨年度採択事業者向けに追跡調査を実施する • 共同講座の成果を確認する • 特に効果のあったと考えられる講座内容や⼯夫等 も把握する 期間 2023年11⽉〜12⽉ 実施⽅法 各事業者にGoogle Formを送付し回答を依頼 対象 「令和3年度共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採 択22事業者(事業者による回答。22/23事業者回 収) 1.講座について • 共同講座の主導部署、費⽤負担部署 2.受講者の⾏動変容について • 受講者の⾏動変容の程度 3.研修転移を促進させる取組みについて • 受講者に対する⽀援・働きかけ(講座前・講座中・講座後) 4 .受講者(⾼等教育機関の学⽣)について • 学⽣の採⽤への影響 • 学⽣の事業者・業界への関⼼度の変化 5.受講者の波及効果について • 受講者の現場のプロセス・進め⽅の改善に関係する動き • 講座実施後の現場の社員(⾮受講者)・現場の管理職・経営層 との関係性の変化 • 講座実施後の会社全体としての変化 6.本補助事業について • 当初想定していなかった経費の内容、⾦額 • 本補助事業に求める改善点 • 講座の今後の展開⽅針 7

9.

1.調査の実施概要 昨年度採択事業者へのインタビュー調査(担当者向け) 調査概要 主な調査項⽬ 趣旨 受講者のエピソードを客観的な視点から補強するととも に、組織への影響・波及効果について深掘りする 期間 2024年1⽉ 実施⽅法 オンラインインタビュー(Teams) 対象選定 の考え⽅ アンケート調査結果より、受講者の⾏動変容を感じて いると回答した事業者を抽出(詳細は次ページ参 照) 対象 3事業者を対象として実施 1.受講者の⾏動変容 • 当初期待していた⾏動変容 • 受講者に⽣じた⾏動変容の詳細 • 受講者全体の様⼦ 2.受講者への働きかけ • 受講者に対する⽀援・働きかけ(講座前・講座中・講座後) • ⽀援・働きかけへの評価 • 組織⾵⼟ 3.組織への影響・波及効果 • 現場の⾮受講者、管理者層、経営層、組織全体に与えた効果 8

10.

1.調査の実施概要 (参考)昨年度採択事業者へのインタビュー調査(担当者向け) n アンケートで「⾏動変容があった」と回答した採択事業者(担当者)をインタビュー対象とした。 n なお、組織への影響・波及効果については差があると考えられるため、それぞれ対象に含めた。 採択事業者の分類とインタビューで確認すべき事項 ⾏動変容〇 組織への影響・波及効果✖ <⾏動変容> • 感じられた⾏動変容の具体的な内容 • ⾏動変容を促進する⽀援策 ⾏ 動 変 容 ⾏動変容〇 組織への影響・波及効果〇 <⾏動変容> • 感じられた⾏動変容の具体的な内容 • ⾏動変容を促進する⽀援策 感 じ ら れ <組織への影響・波及効果> た • 組織への影響・波及効果がなぜ起きないか <組織への影響・波及効果> • 組織への影響・波及効果の具体的な内容 • 今後⼯夫・改善する予定 ・・・等 ・・・等 感 じ ら れ な か っ た ⾏動変容✖ 組織への影響・波及効果✖ ⾏動変容✖ 組織への影響・波及効果〇 対象外: 原則として成果が得られているところに 深掘インタビューを実施する 対象外: 受講者の⾏動変容がない状態で、組織への 影響・波及効果のみ発⽣することは考えづらい 影響・波及効果はなかった 影響・波及効果があった 組織への影響・波及効果 9

11.

1.調査の実施概要 今年度採択事業者へのアンケート調査(実施期間中) 調査概要 主な調査項⽬ タイトル 共同講座ご担当者向けアンケート(事業実施中) 趣旨 今年度採択事業者向けに実施中の共同講座の状況 を確認する • 共同講座の受講要件等を把握する • 共同講座を企画する際の課題等を把握する 期間 2024年1⽉ 1.受講者について • 属性ごとの対象要件 (⾃社社員/⾃社以外社会⼈/連携⾼等教育機関の学⽣/その 他) • ⾃社社員の募集⽅法(挙⼿制・指名制) • 属性ごとの⼈材戦略・⼈材開発課題 • 属性ごとの期待する変化(業務・⾏動等) 2.連携に向けたプロセス • ⾼等教育機関との接点 3.共同講座の実施内容や課題、評価等 • 共同講座の企画に係る苦労・課題と対応策 • 採択事業者と⾼等教育機関がそれぞれ果たした役割、提供価値 実施⽅法 各事業者にGoogle Formを送付し回答を依頼 4.本補助事業について • 補助事業への申請にあたり苦労した点 対象 「令和4年度共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採 択25事業者(事業者による回答。全件回収) 10

12.

1.調査の実施概要 今年度採択事業者へのアンケート調査(実施後) 調査概要 主な調査項⽬ タイトル 共同講座ご担当者向けアンケート(事業実施後) 趣旨 今年度採択事業者向けに実施後の共同講座の状況 を確認する • 共同講座の受講者数・担当部署・受講者への働 きかけ等を把握する • 共同講座の利点等を確認する • 共同講座を運営する際の課題等を把握する • 補助⾦への政策的意⾒を把握する 期間 2023年2〜3⽉ 実施⽅法 各事業者にGoogle Formを送付し回答を依頼 対象 「令和4年度共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採 択25事業者(事業者による回答。全件回収) 1.共同講座の実施内容や課題、評価等 • 主導部署、費⽤負担部署 • 受講者への講座前・講座中・講座後の⽀援 • 共同講座の運営に係る苦労・課題と対応策 • 採択事業者と⾼等教育機関がそれぞれ果たした役割、提供価値 • 受講者への追跡調査の結果 • ⾼等教育機関の学⽣の採⽤への影響 2.本補助事業への評価 • 本補助⾦を受けることで共同講座の実施が促進されたか、その内容 • その他、本事業に関して良かった点、改善点 3.今後の予定 • 来年度以降も共同講座を継続して実施する予定か • 継続する場合、費⽤負担に関する⽅針と共同講座の改善点 11

13.

1.調査の実施概要 採択事業者以外の事例調査(デスク調査、インタビュー調査) 調査の進め⽅ 事例リスト作成 (デスク調査) インタビュー先 抽出 インタビュー 実施 インタビューにおける主な調査項⽬ • 新聞・雑誌記事等に基づき、国内における共同 講座の事例リストを作成 • 事業者と⾼等教育機関の⼆者連携に加え、⾏ 政を巻き込むなど、多機関連携で共同講座を実 施している事例を抽出 • 学⽣のみ対象の講座(寄付講座的な内容が多 いと考えられるため)や、短期の市⺠講座的な内 容に近いと考えられるものは除外 • その上で、講座内容を⾒ながら、研究だけでなく ⼈材育成も充実していると思われる講座を抽出 • 先⾏事例が少ない、⽂系寄りのプログラムを提供 している講座を抽出 • 2024年1〜2⽉に4件のインタビューを実施 1.⾼等教育機関との連携の経緯、狙い • 連携のきっかけ、検討の経緯、主導した部署等 • 始めるにあたって特に苦労したこと、ハードル等 • ⼈材育成のニーズ・必要性(当該テーマや分野に係る⼈材育成に取 組む理由、背景にある事業環境変化、経営課題等) • それぞれのニーズのすり合わせ・合意形成の経緯等 2.⼈材育成事業・プログラムの内容 • 受講対象者(部署、職種、年次、受講前に有しているスキル等) • ⽬指す⼈材像(上記の対象者を、どのレベルまで育成することを⽬ 指しているか) • 特に重要と考えているプログラム(講義、演習、実習等)の内容 • プログラム開発・運営に係る採択事業者と⾼等教育機関の 役割分担 3.⼈材育成上の成果、当該プログラムへの評価 • 受講者の成⻑、業務への活⽤状況等 • 受講者の⼈材育成成果を向上させるための働きかけ(講座前・講 座中・講座後) • ⾼等教育機関と連携することの利点 4.運営にあたっての留意点・課題等 • 修了した社員への処遇・配置・評価等への配慮の有無、その内容 • ⾼等教育機関と連携して運営することの難しさ、課題等 • 今後の展望、政策的⽀援への期待・要望 12

14.

1.調査の実施概要 ⽂献調査:⼈材開発の効果を⾼めるための⽅策の整理 調査の進め⽅ 主な調査項⽬ 1.研修転移を巡る理論 基礎的な理論の • 企業の⼈材開発の効果を⾼めるための理論や既 整理 存研究について、主に国内の基礎⽂献(書籍 (⽂献調査) 等)を調査 2.研修転移を促進する施策:研修デザイン 3.研修転移を促進する施策:職場環境 4.研修転移の成果測定に係る研究結果 ※調査結果は別紙1参照 有識者との ディスカッション • 有識者とのディスカッションを通じて、追加調査の ⽅向性を確定 論⽂サーベイ (⽂献調査) • 研修転移の促進策や、その効果測定⽅法に関 連する国内外の研究論⽂をサーベイ • 学術的に「効果がある」と検証された促進策や、 効果測定⽅法を整理 13

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1.調査の実施概要 派⽣調査:「共同研究」に関する取組みを踏まえた、共同講座の課題解決策の整理 調査の進め⽅ • 社内有識者とのディスカッションを通じて、共同講 座と類似した枠組みである「共同研究」における 社内有識者への 既存調査・事例の確認及び整理を実施 インタビュー • 共同研究に関する取組みを踏まえた、共同講座 ・ディスカッション の課題解決策の整理を実施 主な調査項⽬ 1.共同研究開設の準備段階の課題と⽀援策 2.共同研究と⽐較した共同講座の開設段階における課題 3.共同研究において産学連携を促進するための政策事例 14

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1 調査の実施概要 2 共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果) 3 共同講座の促進に係る主要論点 4 各論点への⽰唆 5 今年度補助事業における取組み好事例 15

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2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|調査の観点 共同講座受講後、受講者の“現場での⾏動は変化したか”という点に着⽬する n 企業における⼈材開発の達成度の評価⽅法として、4レベルに分けて測定する考え⽅が⼀般的に⽤いられる。 n 評価にあたっては、⼈材開発を通じて達成したい“成果”につながるような⾏動の変化(=レベル3)が起きているか、に焦点を当て るべきとされる。 l 最終的には成果(売上や利益、新規事業創出など)を挙げること(=レベル4)が求められるとしても、その要因は様々で、⼈材開発以外の 影響も考えられる。 カークパトリックの「4レベル評価モデル」 内容 レベル 名称 1 Reaction 反応 学習イベントに対して、受講者がどの程度、 肯定的に反応したか 2 Learning 学習 学習イベントに参加することで、受講者がどの程度、 • 学習していても、学習内容が現場で実践されるとは ⽬標とされた知識、スキル、態度を獲得したか 限らない 3 Behavior ⾏動 学習イベント中に学んだことを、受講者がどの程度、 • “⾏動”を導けたときのみ、 “成果”が⽣み出される 仕事に戻ったときに活⽤したか 可能性が⽣じる 4 Results 成果 学習イベントとその後の定着によって、どの程度の 結果が⽣み出されたのか 例)測定⽅法 例)受講直後に⾏われる満⾜度や実⽤度に関するアンケート 特徴 • 「感情的反応」(満⾜度、等)よりも「実⽤的反応」 (有⽤度、等)の⽅が、その後の“学習“や”⾏動”に 影響を与える 例)研修後半に⾏われるテストやロールプレイ 例)本⼈による⾃⼰評価、上司や同僚による他者評価 例)⽣産性の向上、品質の向上 出所)中原淳、関根雅泰、島村公俊、林博之 『研修開発⼊⾨ 研修評価の教科書』(2022年)より作成 • 企業活動において最終的に期待されるレベル • 測定結果の背景には様々な要因があり、複雑 16

18.

2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|実施した調査 昨年度の共同講座受講者及び採択事業者(担当者)へ追跡調査を実施した。 本章では、共同講座の成果やそのための⼯夫に焦点をあてる n アンケートを通じて全体的な傾向を把握した。 n さらに、“⾏動”レベルで良い変化が⾒られた受講者・事業者(担当者)へインタビューを⾏った。 追跡調査の概要 調査対象 調査⽅法 受講者 アンケート • 応募したきっかけ • 講座後の状況 (学んだことを業務で活⽤し たか) 調査内容 • 受講に当たって⾏われた、 所属組織からの⽀援 採択事業者(担当者) インタビュー ※アンケート回答をもとに、 以下の点の詳細を確認 • 講座に応募した動機 • 学んだことの活⽤状況 • 講座における所属組織から の⽀援や働きかけ アンケート • 受講者の⾏動の変化 • 受講者への⽀援 • 受講者による組織への波及 効果 • 上司の態度 • 受講者以外への波及効果 (現場の社員、管理職、経 営層、会社全体) • 共同講座の魅⼒ • 学⽣への波及効果 • 学ぶ意欲や学ぶ時間の変化 • 共同講座の魅⼒ インタビュー ※アンケート回答をもとに、 以下の点の詳細を確認 • 受講者の⾏動の変化 • 受講者への働きかけ • 組織への影響・波及効果 • 今後の取組み 17

19.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果) サマリー n ⾏動変容 l 半数以上の受講者が、学んだことを業務で活⽤した。 l 学んだことの活⽤⽅法は、得られた知⾒をこれまでの業務に活かす、新たなチャレンジの糧とする等、様々であった。 l 活⽤できなかった受講者はスキル不⾜や学びを活かせる環境に無いことを理由として挙げている。 n 学ぶ姿勢 l 講座後、学ぶ意欲が向上した受講者が多いが、費やす時間は変わらなかったとする回答が多い。 n 運営体制・環境 l 共同講座に関して、講座前・中・後に⾃社からの⽀援等を受けた受講者はあまり多くなかった。 l しかし、⾃社からの⽀援を受けた受講者は、受けていない受講者と⽐べて学んだことをより業務で活⽤していた。 l 講座での学びを業務に活かすためには、講座中に学びを吸収できる環境づくりを前提としつつ、特に講座後の実践につなげら れるよう、全体を設計する必要があるのでは。 l 本講座で学んだことに対して、職場の上司が学んだことを職務に活⽤することを奨励するなど、現場の上司が奨励的である受 講者が最も多かった。 l 職場の上司が講座で学んだことの活⽤を強く求める受講者ほど、講座で学んだことを業務で活⽤していた。 n 採択事業者への波及効果 l 共同講座を実施した事業者では、現場の社員(⾮受講者)の学習意欲や、管理職層や経営者層の⼈材育成への関⼼ について、良い変化が⾒られた。 l そのほか、研究テーマの新規開拓、⾃社の知名度向上といった効果も⾒られた。 l 組織への波及効果の背景には、受講者が学んだことを業務で活⽤している姿があるのでは。 18

20.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|⾏動変容 半数以上の受講者が、学んだことを業務で活⽤した。背景として、スキルが定着するまで 粘り強く取組めたことや、新たな視点を得られたことがあると考えられる 共同講座の特徴や共同講座で得られたこと(受講者の声) 講座後の状況(SA・必須)(N=109) 0% 20% 40% 60% 80% 100% ⻑期間・体系的な講座で⾝につきやすい • 2か⽉で体系的に学べた。⻑期間、⾊々な⼈と関わりながら、 ⼤学の先⽣にすぐ質問できる機会はあまりない。ここまで研修を どっぷりしたことも初めてだった 20.2% 33.9% 45.9% • 講座では同じことを5、6回繰り返したので、内容が染みつく段階 までできたのが良かった 新しい視点 • 講座で得た知識を発展させて業務に繋げた 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない • 共同講座を通じて出会った、普段接することのない先⽣の考え ⽅やものの⾒⽅が⾮常に参考になった。社内で新しいことを実 施する際、「この先⽣であればどうするのだろう」と思考することに より、ひらめきを得ることができた 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった 出所)昨年度受講者アンケート、昨年度受講者インタビューより作成 19

21.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|⾏動変容 (参考)講座担当者から⾒ても、期待していた⾏動変容が⾒られた講座がほとんど。利点と して、⾼等教育機関が持つ専⾨性の⾼さや、⾃社に合わせた内容にできたことが挙がっている 講座後の状況(SA・必須)(N=22) 0% 20% 40% 受講者の講座後の状況(講座担当者の声) 60% 80% 100% 0.0% 0.0% 22.7% 63.6% 13.6% 当初期待していた⾏動変容が⾒られた 当初期待していた⾏動変容がやや⾒られた 基礎から応⽤まで幅広い学習内容 • ⼤学教員の講師による講義のため、特定のビジネスに限定され た技術や⼿法の知識に限らず、広く領域の基礎から応⽤まで 学習することができた ⾃社にあった講座内容 • 過去には外部の動画研修も実施したが、終わった後⾃分に合っ ていない、研修の後半は⾃分に関係ないと感じる、といった意⾒ が社員からは出ていた • 共同講座はまさに⼤学のゼミに近いような形だった。テーラーメイド の講座を社内で実施したことで、講座の内容がかなり⾃分⾃⾝ に関わってくる。同じ課題を持った⼈が集まってワイワイがやがやと 話すことができ、通常の研修に⽐べて議論の密度が違うと思った 当初期待していた⾏動変容はあまり⾒られなかった 当初期待していた⾏動変容は⾒られなかった わからない、その他 出所)昨年度採択事業者(担当者)アンケート、昨年度採択事業者(担当者)インタビューより作成 20

22.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|⾏動変容 学んだことの活⽤⽅法は、得られた知⾒をこれまでの業務に活かす、 新たなチャレンジの糧とする等、様々であった 講座で学んだことの業務での活⽤⽅法(受講者の声) 得られた専⾨的・最新の知⾒を活⽤し、業務の質を向上 • 共同研究により教授陣より得た知⾒から、分析⼿法を社内に展開した。 そのテーマでの分析に困っている担当者からは、分かりやすく客観的に⾒ることができたとフィードバックをもらった。 ⾃分⾃⾝も分析を実施しやすくなった • 講座で学んだツールを課内の業務改善に活⽤した • 関連するメソッドをつかった事業部⾨のビジネス⽀援をしており、そのメソッドを補強をした • 社内の会議で講座の内容を共有し、業務に活かすよう促した。ユーザー主体で取組めるようになり、業務の質が向 上することが⾒込まれる 新たなビジネス・研究機会の創出 • 実習で検討した案を実現するプロジェクトが始動している • 新しいビジネスの仮説⽴案に講座で学んだ⼿法を活⽤した • 新たな知識を得ることができ、共同研究における技術調査の幅が広がった • 新規プロジェクトで、講座で学んだ思考⽅法や、⼼構え等についてグループ員と共有し、実践した 出所)昨年度受講者アンケートより作成 21

23.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|⾏動変容 活⽤できなかった受講者はスキル不⾜や学びを活かせる環境に無いことを 理由として挙げている 講座で学んだことを業務で活⽤できなかった理由(受講者の声) 業務で活かせる場⾯が無い • 現場の業務との親和性が低く、活⽤する機会が無かった • 担当業務との違いがあり、直接、活⽤することができなかった スキルの不⾜ • 活⽤までに⾃⾝のスキルが⾄っていなかった • 講座で業務に活⽤できるレベルの知⾒・⽰唆を得られなかった • 適⽤には⼿法に関する知⾒や習熟度を同僚と合わせる必要がある 組織⾵⼟や環境の都合上、新しいことにチャレンジできない • 他業務に追われて取組めていない • 所属する組織では「従来通りのやり⽅」が重視され、新しい⼿法を導⼊する際には他部⾨間の調整が必要など かなりの労⼒を要するため、ボトムアップ的に活動しても取⼊れられない 出所)昨年度受講者アンケートより作成 22

24.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|学ぶ姿勢 学ぶ意欲が向上した受講者が多いが、費やす時間は変わらなかったとする回答が多い 学びの意欲の変化(SA・必須)(N=109) 0% 20% 40% 60% 64.2% 学ぶ時間の変化(SA・必須) (N=109) 80% 100% 35.8% 0.0% 0% 20% 38.5% 40% 60% 80% 61.5% 学びに対する意欲は⾼まった 学びに費やす時間は増えた 学びに対する意欲は変わらなかった 学びに費やす時間は変わらなかった 学びに対する意欲は低下した 学びに費やす時間は減った 出所)昨年度受講者アンケートより作成 100% 0.0% 23

25.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 講座前において、⾃社からの⽀援等はなかった受講者が最も多かった ⾃社からの⽀援:講座前(MA・必須)(N=109) 0% 10% 事前課題の提供 20% 30% 50% 60% 19.3% 上司による⽀援 29.4% ⽀援等は実施しなかった その他 40% 56.0% 1.8% n その他回答 • • 受講料の援助を頂いた スケジュールのリマインドや課題・アンケートの提出などのフォロー 出所)昨年度受講者アンケートより作成 24

26.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 講座中において、現場メンバーの協⼒があった受講者が最も多かった ⾃社からの⽀援:講座中(MA・必須) (N=109) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 現場メンバーの協⼒ 56.9% 41.3% ⽀援等は実施しなかった その他 60% 1.8% n その他回答 • • 社内から評価対象サンプルの提供があった 講座資料及び補⾜資料の共有があった 出所)昨年度受講者アンケートより作成 25

27.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 講座後において、⾃社からの⽀援等はなかった受講者が最も多かった ⾃社からの⽀援:講座後(MA・必須) (N=109) 0% 10% 受講内容のリマインド 受講者への個別コーチング 50% 60% 70% 16.5% 5.5% 3.7% 0.0% 他の受講者と継続的に関わっていく学習環境の整備 9.2% 57.8% ⽀援等は実施しなかった その他 40% 2.8% 上司による⽀援 昇給・昇格 30% 19.3% 活⽤機会の提供 異動・配置転換 20% 1.8% n その他回答 • 上司より講座内容の展開のリクエストがあり、課員への情報共有を図った 出所)昨年度受講者アンケートより作成 26

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受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 (参考)⾃社の講座に参加した受講者に絞った場合も、 講座前に⽀援等はなかった受講者が最も多かった ⾃社からの⽀援:講座前(MA・必須)(⾃社の講座に参加した受講者)(N=86) 0% 10% 40% 50% 60% 31.4% 上司による⽀援 51.2% ⽀援等は実施しなかった 出所)昨年度受講者アンケートより作成 30% 22.1% 事前課題の提供 その他 20% 2.3% 27

29.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 (参考)⾃社の講座に参加した受講者に絞った場合も、 講座中に現場メンバーの協⼒があった受講者が最も多く、その割合にも⼤きな違いはなかった ⾃社からの⽀援:講座中(MA・必須)(⾃社の講座に参加した受講者)(N=86) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 57.0% 現場メンバーの協⼒ 40.7% ⽀援等は実施しなかった その他 出所)昨年度受講者アンケートより作成 60% 2.3% 28

30.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 (参考)⾃社の講座に参加した受講者に絞った場合も、 講座後に⽀援等はなかった受講者が最も多かった ⾃社からの⽀援:講座後(MA・必須)(⾃社の講座に参加した受講者)(N=86) 0% 10% 20% 5.8% 3.5% 0.0% 11.6% 他の受講者と継続的に関わっていく学習環境の整備 55.8% ⽀援等は実施しなかった その他 出所)昨年度受講者アンケートより作成 60% 14.0% 上司による⽀援 昇給・昇格 50% 2.3% 活⽤機会の提供 異動・配置転換 40% 22.1% 受講内容のリマインド 受講者への個別コーチング 30% 0.0% 29

31.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 講座前に⾃社からの⽀援を受けた受講者は、受けていない受講者と⽐べて 学んだことをより業務で活⽤していた ⾃社からの⽀援:講座前(MA)別・講座後の状況 0% 20% 事前課題の提供(N=21) 上司による⽀援(N=32) ⽀援等は実施しなかった(N=61) その他(N=2) 40% 60% 28.6% 25.0% 14.8% 80% 38.1% 33.3% 43.8% 31.3% 29.5% 50.0% 100% 55.7% 50.0% 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった 出所)昨年度受講者アンケートより作成 30

32.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 講座中に⾃社からの⽀援を受けた受講者は、受けていない受講者と⽐べて 学んだことをより業務で活⽤していた ⾃社からの⽀援:講座中(MA)別・講座後の状況 0% 20% 現場メンバーの協⼒(N=62) ⽀援等は実施しなかった(N=45) 24.2% 11.1% 40% 60% 80% 41.9% 24.4% その他(N=2) 100% 33.9% 64.4% 100.0% 0.0% 0.0% 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった 出所)昨年度受講者アンケートより作成 31

33.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 講座後に⾃社からの⽀援を受けた受講者は、受けていない受講者と⽐べて、学んだことを より業務で活⽤していた。特に活⽤機会を提供された場合、全ての受講者が活⽤できている ⾃社からの⽀援:講座後(MA)別・講座後の状況 0% 20% 40% 60% 80% 100% 受講内容のリマインド(N=21) 33.3% 受講者への個別コーチング(N=3) 33.3% 66.7% 0.0% 活⽤機会の提供(N=18) 33.3% 66.7% 0.0% 上司による⽀援(N=6) 16.7% 異動・配置転換(N=4) 28.6% 38.1% 66.7% 16.7% 50.0% 50.0% 0.0% 昇給・昇格(N=0)0.0% 他の受講者と継続的に関わっていく学習環境の整備(N=10) ⽀援等は実施しなかった(N=63) 50.0% 7.9% 30.0% 28.6% その他(N=2)0.0% 20.0% 63.5% 100.0% 0.0% 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった 出所)昨年度受講者アンケートより作成 32

34.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 講座での学びを業務に活かすためには、講座中に学びを吸収できる環境づくりを前提に、 講座後の業務につながるような設計が必要と考えられる n インタビューでは、講座に集中できる環境や、講座後も学びを活かす機会があったといった共通点が⾒られた。 講座で学んだことを業務で活かした⽅が受けた、⾃社からの⽀援 A⽒ 講座前 C⽒ 上司による⽀援 (特に⽀援策はなし) 現場メンバーの協⼒ • 講座中 B⽒ 講座に時間を使う分、チームメン バーに業務をお願いし、マネジャー含 めメンバーは快く対応してくれた 事務局メンバーの励まし • ⻑期間の講座で疲弊している⼈も いたが、挫けないよう伴⾛してくれた • • 受講の提案を受けた 学んだ内容を展開してほしいと⾔ われた 上司による⽀援 (特に⽀援策はなし) 現場メンバーの協⼒ • • 授業により業務が圧迫されたが、 他のメンバーに業務負荷を分散さ せてもらった 元々、チームや部署内でサポートし 合うマインドセットで業務をしている D⽒ • 受講中の時間を業務時間とし、業 務中に講座に参加しても問題が無 いよう融通してもらえた 現場メンバーの協⼒ (特に⽀援策はなし) • 講座の会場までは移動時間が⻑く、 時間を融通してもらえたことは助 かった 受講内容のリマインド • 学んだことや、実業務に活かせそう なお題をくれた 活⽤機会の提供 • 講座後 事務局も講座を実務につなげてほ しいという気持ちが強い 他の受講者と継続的に関わってい く学習環境の整備 • • そもそもの講座の特性として、受講 者同⼠での議論が必要 事務局の定期的な呼びかけもあり、 講座後も⾯識があるような関係作 りをしてくれている 出所)昨年度受講者インタビューより整理 (特に⽀援策はなし) 既に活⽤機会があった • • 学んだ内容を活かす場や、周りに 教育する機会を明⽰的にセッティン グされるということはなかった 業務に直結する講座であったため、 特別な機会を設けてもらうわけでは 無く、そのまま⾃⾝の業務に活かし ていった 他の受講者と継続的に関わってい く学習環境の整備 • • 引き続きオンラインで基礎講座を実 施しており、社内で挙げられた課題 を講座内で解決している 対⾯・オンラインで先⽣と和気あい あいと議論しながら、実務へ実装 する動きがでてきている (特に⽀援策はなし) ⾃主的に活⽤した • • • 講座で得た知⾒や考え⽅を業務 に適応した 機会提供されたというより、⾃主的 な意図で⾏った 他の受講者はそれぞれの置かれた ⽴場によって、活⽤状況は異なる 印象 33

35.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 本講座で学んだことに対して、職場の上司が学んだことを職務に活⽤することを奨励するなど、 現場の上司が奨励的である受講者が最も多かった 職場の上司との関わり(SA・必須) (N=109) 0% 10% 7.3% 20% 30% 40% 50% 66.1% 60% 70% 80% 90% 26.6% 100% 0.0% 0.0% 要求的 (例:部下が何を学んできたかを上司は把握していて、それを確実に仕事に転⽤させたいと思っている) 奨励的 (例:学んだ成果を職務に活⽤することを奨励している) 中⽴的 (例:研修を受けてきたという事実を上司が無視している、職務が今までどおりに完了するのであれば何も⾔わない) やる気をそぐ (例:「やってはいけない」と直接的には⾔わないが、上司が快く思っていないことは確実に伝えられている) 抑⽌的 (例:学んだことの活⽤を上司が禁⽌している) 出所)昨年度受講者アンケートより作成 34

36.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|運営体制・環境 職場の上司より、講座で学んだことの活⽤を強く求められた受講者ほど、 講座で学んだことを業務で活⽤している 上司の態度(SA)別・講座後の状況 0% 20% 要求的(N=8) 40% 37.5% 60% 25.0% 80% 100% 37.5% 奨励的(N=72) 18.1% 36.1% 45.8% 中⽴的(N=29) 20.7% 31.0% 48.3% やる気をそぐ(N=0)0.0% 抑⽌的(N=0)0.0% 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった 出所)昨年度受講者アンケートより作成 35

37.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|採択事業者への波及効果 採択事業者では、現場の社員(⾮受講者)についても、 学習意欲向上という変化が⾒られた 受講者以外への波及効果:現場の社員(SA・必須)(N=22) 受講者以外への波及効果:現場の社員(SA・必須)(N=22) n 現場の社員(⾮受講者)が以前より研修等に前向きな姿勢をみせる ようになった n 現場の社員(⾮受講者)が以前より業務に関するスキルアップに励む ようになった 0% 20% 18.2% 40% 60% 45.5% 80% 22.7% 100% 13.6% 0% 20% 18.2% 40% 50.0% 60% 80% 18.2% 100% 13.6% (変化を)感じた (変化を)やや感じた (変化を)感じた (変化を)やや感じた (変化を)あまり感じなかった (変化を)感じなかった (変化を)あまり感じなかった (変化を)感じなかった 出所)昨年度採択事業者(担当者)アンケートより作成 36

38.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|採択事業者への波及効果 採択事業者では、管理職層や経営者層の⼈材育成への関⼼の ⾼まりという変化が⾒られた 受講者以外への波及効果:現場の管理職(SA・必須)(N=22) 受講者以外への波及効果:経営層(SA・必須)(N=22) n 現場の管理職が以前に⽐べて⼈材育成に協⼒的になった n 経営層が以前より⼈材育成に関⼼を持つようになった 0% 20% 18.2% 40% 60% 40.9% (変化を)感じた (変化を)あまり感じなかった 80% 27.3% 100% 13.6% (変化を)やや感じた (変化を)感じなかった 出所)昨年度採択事業者(担当者)アンケートより作成 0% 20% 27.3% 40% 60% 45.5% 80% 18.2% 100% 9.1% (変化を)感じた (変化を)やや感じた (変化を)あまり感じなかった (変化を)感じなかった 37

39.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|採択事業者への波及効果 そのほかでは、研究テーマの新規開拓、⾃社の知名度向上といった効果が⾒られた 受講者以外への波及効果:会社全体(SA・必須)(N=22) 受講者以外への波及効果:会社全体(SA・必須)(N=22) n 研究テーマの新規開拓につながった n ⾃社の知名度が上がった 0% 20% 22.7% 40% 60% 80% 100% 9.1% 13.6% 54.5% 0% 20% 22.7% 40% 50.0% 60% 80% 4.5% 100% 22.7% (変化を)感じた (変化を)やや感じた (変化を)感じた (変化を)やや感じた (変化を)あまり感じなかった (変化を)感じなかった (変化を)あまり感じなかった (変化を)感じなかった 出所)昨年度採択事業者(担当者)アンケートより作成 38

40.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|採択事業者への波及効果 受講者が学んだことを業務で活⽤することで、組織にも様々な変化が及ぼされる n 受講者の変化として、講座後に⾏動変容が⾒られた採択事業者ほど、講座を受講していない現場社員の スキルアップへの取組み姿勢にも変化を感じていた。 受講者の⾏動変容(SA)別・ 現場社員(⾮受講者)におけるスキルアップへの取組み 0% 20% 当初期待していた⾏動変容が⾒られた(N=5) 受 講 者 の 変 化 当初期待していた⾏動変容がやや⾒られた(N=14) 40% 60% 40.0% 14.3% 40.0% 64.3% 80% 100% 0.0% 20.0% 21.4% 0.0% 当初期待していた⾏動変容はあまり⾒られなかった(N=0)0.0% 当初期待していた⾏動変容は⾒られなかった(N=0)0.0% わからない、その他(N=3)0.0% (変化を)感じた 100.0% (変化を)やや感じた (変化を)あまり感じなかった (変化を)感じなかった 組織(⾮受講者)の変化 出所)昨年度採択事業者(担当者)アンケートより作成 39

41.

受講者 アンケート 採択事業者 インタビュー アンケート インタビュー 2.共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果)|採択事業者への波及効果 さらに、受講者の成果や講座の意義を担当者が積極的に発信することで、 ⼈材育成の意義を組織に浸透させるという好循環を⽣み出している採択事業者もいた n 共同講座の活動や成果が受講者だけに閉じないよう、現場社員から管理職・経営層まで、社内全体に発信して いた。 共同講座による成果の発信に取組む採択事業者 E社 G社 当初の 問題意識・ 背景 共同講座が業務から隔離されている ü 組織の規模が⼤きく、講座が「社内の⼀部の 取組み」ととらえられてしまう ü 講座外の⽅も巻き込まないと、講座が「通常の 業務とは違う世界のもの」と切り取られてしまう ⼈材育成の意義が⾒失われている ü 受講者の成果が⾒えないと、⾮受講者が学ぶ 意義を感じられない ü 経営層や管理職層は⼈材育成の重要性を認 識しつつも、単年度の業績や⽬の前の業務を 優先してしまう場合がある 取組み・成果 の発信 • 共同講座の発表会等に管理職を招待 • 社内報や社外の媒体で取組みを発信 取組み事例をナレッジ化 • 社内報を通じて、Off-JTの機会があること、講座を 通じてスキルアップや新たな業務での活躍が⾒込める ことを発信(資格等による成果の⾒える化も検討) • ⼈材育成の意義や講座の成果を経営層や管理職層 に説明 組織内への 波及 • 共同講座の様⼦を実際に⾒てもらうことで、受講者の 成果を前向きにとらえてもらえる • 発信を通じて講座の存在が組織に浸透する • ナレッジ化により、⾮受講者も「やる意義がありそう」 「⾃分もできそう」と講座に関⼼を持つ • 成果を出す⼈材が現れていることに影響され、 講座に興味を持つ若⼿が増えつつある • 経営層を中⼼に、⼈材育成への関⼼が⾼まりつつ ある 出所)昨年度採択事業者(担当者)インタビューより整理 40

42.

1 調査の実施概要 2 共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果) 3 共同講座の促進に係る主要論点 4 各論点への⽰唆 5 今年度補助事業における取組み好事例 41

43.

3.共同講座の促進に係る主要論点(仮説) 共同講座(産学連携による⼈材育成)が促進されるためには、 下記の4つの主要論点に対して、⽰唆や事例を⽰す必要があると考えられる 1 利点 • 共同講座(産学連携による⼈材育成)がもたらす特別なメリットや⽬的意識は何か? (それ以外の⼈材育成⽅法と⽐較して) • 共同講座が有効となる分野・テーマ・領域、対象、事業課題・ニーズ等は何か? • 実施すべき講座・プログラム内容をどう定めるべきか?(上記の論点の裏側) 接点 • 共同講座を進めるために、どのように⾼等教育機関と接点・関係を持てばよいか? • どのように協議して、⽅向性について基本合意すればよいか? ※接点づくりもプロセスの⼀部だが重要論点となるため区分 プロセス • 開発・運営に⾄るプロセスでどのようなボトルネックがあるか? どう乗り越えればよいか? (主に、具体的な設計・開発(実施直前まで) / 運⽤・改善 の2フェーズ) 政策 • 共同講座を促進するために求められる政策的⽀援とは何か? • 本事業の改善に向けたリクエスト事項は? 2 3 4 この主要4論点について、前述の各調査を通じて⽰唆や事例を整理した 42

44.

1 調査の実施概要 2 共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果) 3 共同講座の促進に係る主要論点 4 各論点への⽰唆 5 1 利点 2 接点 3 プロセス 4 政策 今年度補助事業における取組み好事例 43

45.

1 4.各論点への⽰唆 利点 通常の研修と⽐較して、共同講座の受講者や担当者は、 ⾼等教育機関が持つアカデミックな要素に注⽬している 通常の研修と⽐較した共同講座の魅⼒(受講者の声) 通常の研修と⽐較した共同講座の魅⼒(講座担当者の声) 専⾨的・最先端な知識に触れられる • 最先端の技術について単なる技術の習得ではなく、アカデミックな観 点からの指導があった • ⼤学教授から直接最新の研究情報を得ることができた • ⼊⾨から応⽤まで幅広いレベルで質疑応答に対応してもらえる • ⼤学で研究されている⽅で、思考がスマートかつ造詣が深い。普段 疑問に思っているが聞けなかったことに関して明確な回答をもらうこと ができ、その点もメリットに感じた • 社内では教育できない⾼度な内容の研修ができる点が良かった。す ぐに直接的な活⽤はできなくても、業務に関連する分野の、スキルの ⼟台を強化することにつながると考えられた 学びに前向きに取組める環境 • ビジネス観点では否定されそうな意⾒も「⾯⽩い」と、前向きに発⾔ できる環境だった 専⾨性の⾼さ • ⼤学教員の講師による講義のため、特定のビジネスに限定された技 術や⼿法の知識に限られず、広く領域の基礎から応⽤まで学習す ることができた • ⼤学教授監修であることによる質の⾼さ、教授から直接アドバイスを 受けられる貴重な機会の提供 事業者には無い⼈的交流や⾼度な設備 • 学⽣との交流は他の研修ではなかったため、これが⼀番の収穫 • 企業とは違う価値観をもつ⾼等教育機関の先⽣、学⽣と連携する ことで普段とは違う視点での議論ができたことが⼀番の魅⼒と感じ た • ⼈材交流や実験等のハブとなる実験室の提供 • 通常接することのない、参加学⽣の熱⼼さを肌で感じることができた 出所)昨年度受講者アンケート、昨年度採択事業者(担当者)アンケートより作成 44

46.

1 4.各論点への⽰唆 利点 共同講座は受講者の⾏動変容につながっており、講座としての質も⾼い。学びが定着しやす い環境や、受講者⾃⾝の関⼼に寄せた講座内容を作り出せたことが要因と考えられる 講座後の状況(SA・必須)(N=109) 業務で活⽤できる理由(受講者、講座担当者の声) 【受講者】 0% 20% 40% 60% 80% 100% ⻑期間・体系的な講座で⾝につきやすい • 2か⽉で体系的に学べた。⻑期間、⾊々な⼈と関わりながら、⼤学の 先⽣にすぐ質問できる機会はあまりない • 講座では同じことを5、6回繰り返したので、内容が染みつく段階まで できたのが良かった 20.2% 33.9% 45.9% 新しい視点 • 共同講座を通じて出会った、普段接することのない先⽣の考え⽅やも のの⾒⽅が⾮常に参考になった。「この先⽣であればどうするのだろう」 と思考することにより、ひらめきを得ることができた 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった 注)グラフと⼀部の声は再掲 出所)昨年度受講者アンケート、昨年度受講者インタビュー、 昨年度採択事業者(担当者)インタビューより作成 【講座担当者】 基礎から応⽤まで幅広い学習内容 • ⼤学教員の講師による講義のため、特定のビジネスに限定された技 術や⼿法の知識に限らず、広く領域の基礎から応⽤まで学習するこ とができた ⾃社にあった講座内容 • 共同講座はまさに⼤学のゼミに近いような形だった。テーラーメイドの講 座を社内で実施したことで、講座の内容がかなり⾃分⾃⾝に関わって くる。同じ課題を持った⼈が集まってワイワイがやがやと話すことができ、 通常の研修に⽐べて議論の密度が違うと思った 45

47.

1 4.各論点への⽰唆 利点 多くの受講者で、共同講座受講後に学びへの意欲が向上していた。 ただし、より多くの時間を学びに割いてもらうためには、⼯夫の余地がある 学びの意欲の変化(SA・必須)(N=109) 0% 20% 40% 60% 64.2% 学ぶ時間の変化(SA・必須) (N=109) 80% 100% 35.8% 0.0% 0% 学びに対する意欲は⾼まった 学びに対する意欲は変わらなかった 学びに対する意欲は低下した 20% 38.5% 40% 60% 80% 61.5% 100% 0.0% 学びに費やす時間は増えた 学びに費やす時間は変わらなかった 学びに費やす時間は減った 【受講者の声】 • 研究内容は⾼度だと感じた。⾃学の⾜りなさを感じた • ⼤学で学んだことと仕事で必要となるスキルは異なる場合があるが、学⽣に向けた分かりやすい 講座を⾜掛かりに、より⾼度な参考書に触れる機会が増えたことに伴い、時間をかけ学んだこと を吸収しようとする前向きな意欲につながったと感じている 出所)昨年度受講者アンケート、昨年度受講者インタビューより作成 46

48.

⽂献紹介 4.各論点への⽰唆 1 利点 (参考)学びへの意欲があるものの学び直せないミドル・シニアの学び直し*⾏動を 促進するには、以下の要素が効果的であると考えられている 就業者の学び直す意欲が⾏動につながるために必要な要素 • 上司の仕事関連の学びが熱⼼ • 職務特性 例:成果の明確さ、仕事の負荷の 低さ、技能の⾼度さ、クリエイティビティ 的確な組織の ⼈材マネジメント • ⼈事管理 例:育成の⼿厚さ、キャリアの透明 性等 • 研修訓練経験 例:キャリアプランニング研修 等 • 職場の学習⾵⼟ 例:業務外の学習・⾃⼰啓 発に積極的な従業員が多い、⾃由に副業・兼業 ができる等 キャリアの セルフアウェアネス の⾼さ • ⾃分のキャリア全体がどういった⽅向に向かってい るかを理解できているなど、内⾯的な⾃⼰認知 (キャリアのセルフアウェアネス)が⾼い 専⾨性の⾼さ • 専⾨性(保有している知識やスキルの専⾨性の 度合い)が⾼い 学び直し マインド • 「好奇⼼」「いけ図々しさ」「エンジョイメント」「⾃⼰ 効⼒感」といったマインドを持っている 企業(経営層・⼈事部⾨)ができること 学び直しのインセンティブシステムは機能しているか確認する • ⼈事諸制度の内容や運⽤状況は就業者の学びを抑制してはいな いか、育成施策は学びを促進するものとなっているかなど、社内アン ケート等を通じ確認する 就業者が⾃⾝のキャリアを振り返る機会を設ける • キャリアのセルフアウェアネスを⾼めるために、⾃⾝のキャリアについて 振り返るような教育機会を設定する 中間管理職から学び直しを実践し、オープンな学び直し ⾵⼟を醸成する • 管理職向けの教育で、管理者⾃らが学び直しを実践するとともに、 メンバーの学び直しを後押しする働きかけの⼤切さを強調する 学びの⼊り⼝を狭めず、学び続ける姿勢を評価する • 就業者が働くことを通じて⾃らを更新し続ける意欲(学び直しマイ ンド)を育むことを重んじ、提供する教育施策を再構築していく 良質な「経験」を提供する • 若⼿時代からにプロジェクト・マネジメントを経験する機会を設けたり、 多様な⾃⼰啓発活動を⽀援する *ここでいう学び直しとは業務外の時間に、仕事やキャリアに関して継続して学習することを指す 出所)パーソル総合研究所+産業能率⼤学 ⿑藤研究室「ミドル・シニアの学びと職業⽣活についての定量調査」を参考に作成 47

49.

1 4.各論点への⽰唆 利点 ⾼等教育機関の研究能⼒・実績に紐づく⼈材育成には多くの事業者が価値を感じている。 加えて、多様な⼈材との交流や、 「学ぶ場、究める場」としての魅⼒も付加価値となっている ⾼等教育機関の付加価値、連携の利点 ⾼ 等 教 育 機 関 の 主 要 機 能 に 基 づ く 価 値 研究 能⼒・実績 教育 能⼒・実績 事業者にない、多様な ⼈ と 場 の 魅 ⼒ ⼈材 場 の魅⼒ • 当該テーマにおける⾼度な専⾨性、先端性 • アカデミック・理論的・体系的な知⾒ • 学際的な知⾒ 研修会社等と⽐較した優位性 ◎ • 先端的で豊富な研究設備 • 「この⼤学・研究室でなければ学べない」という圧倒的 な優位性 • 理系だけでなく、⼈⽂社会系においても優位性は発 揮される • 体系的なカリキュラムの設計・実施に係る専⾨ 性 • 特に、⼤掛かりな講座(⻑期間・⻑時間)でも 提供できるノウハウ・経験 • ⼤掛かりかつ体系的なカリキュラムの提供により、より 学びが⾝につきやすい • (連携⽅法にもよるが)専⾨的な内容を事業者の ニーズ・実情を踏まえながらカリキュラムに落とし込める • 様々な碩学から得られる最⾼の刺激 • 学部⽣・院⽣からの新鮮な質問・意⾒ • 視野の拡⼤、将来の共同研究や事業展開に向 けたヒントの獲得、モチベーション向上 • キャンパスにおける、学びの意欲を向上させる/ 学びに切り替え、集中させる雰囲気 • 「学ぶ場、究める場」としての魅⼒、吸引⼒ • (特に有名⼤学における)「誰でも知っている」 「信頼できる」というネームバリュー 出所)昨年度受講者アンケート、昨年度受講者インタビューより分析 ○ • 研修会社等にはない魅⼒。特に包括的な提携がで きた場合、⼈材交流を活発化することにより価値が 増す ○ • 共同講座から、さらなる共同研究へと具体的に発展 する事例もある ○ • “学ばない社会⼈”であっても、学びへのモチベーション を⾼める仕掛けとなり、⾃律的な学びを促す 48

50.

1 調査の実施概要 2 共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果) 3 共同講座の促進に係る主要論点 4 各論点への⽰唆 5 1 利点 2 接点 3 プロセス 4 政策 今年度補助事業における取組み好事例 49

51.

2 4.各論点への⽰唆 接点 2年間の本事業を通じて、偶発的接点が起点となり講座が開設されたケースが多かった 共同講座の開設につながる接点のマッピング・評価 • 採択事業者と⾼等教育機関の接点には 様々なものがあるが、概ねその有効性と再現 性はトレードオフの関係にある ü 有効性:共同講座の開設へのつながり やすさ ü 再現性:他社にとっての取⼊れやすさ ⾼ コールドコール 再 現 性 ( 他 社 に と っ て の 取 ⼊ れ や す さ ⁚ 低 展⽰会・学会・ イベント・⼀般 向け簡易講座等 からの発展 共同研究 からの発展 • 2年間の本事業では、偶発的接点により共同 講座を開設したケースが多かった ü 例:すでにトップ同⼠がつながっており、 両者が⼈材育成について意気投合し、 講座開設に向けた協議が始まった 等 コンソーシアム・ 協議会等での つながり 管理職層以下 での個⼈的つな がり トップ同⼠の 個⼈的つながり 有効性(共同講座の開設へのつながりやすさ) ⾼ • 有効性と再現性の双⽅が⽐較的⾼い接点と しては「共同研究からの発展」が挙げられる ü 例:すでに⾼等教育機関と共同研究を 進めていたところ、より研究を深めていくた めに、あるいは研究成果を活⽤するために は⼈材育成が必要との認識に⾄り、共 同講座について検討を始めた 等 50

52.

2 4.各論点への⽰唆 接点 既存の共同研究やコンソーシアム・協議会等から共同講座へ展開させるためには、 ⼈材育成にフォーカスして具体的に協議する場や時間を⼗分に設けることが有効である 共同講座の開設につながる接点のマッピング・評価 ⾼ コールドコール 再 現 性 ( 他 社 に と っ て の 取 ⼊ れ や す さ ⁚ 低 展⽰会・学会・ イベント・⼀般 向け簡易講座等 からの発展 • 既存の共同研究やコンソーシアム・協 議会等から、共同講座の設置へと 発展させた事例においては、 ⼈材育成に関するニーズや課題につ いてフォーカスした意⾒交換や、勉強 会等を開催していることが多かった 共同研究 からの発展 コンソーシアム・ 協議会等での つながり • したがって、これらの既存の接点を活 ⽤するためには、⼈材育成に議題を フォーカスして具体的に協議する場・ 時間を⼗分に設けることが有効と考 えられる 管理職層以下 での個⼈的つな がり トップ同⼠の 個⼈的つながり 有効性(共同講座の開設へのつながりやすさ) ⾼ 51

53.

2 4.各論点への⽰唆 接点 実際に、今年度の採択事業者においては、⼈材育成に関する相談や意⾒交換等を ⾼等教育機関と実施したことが、共同講座の開設につながっている 既存の共同研究から発展させたケース(講座担当者の声) 勉強会を兼ねた共同研究を通じた検討 • 元々、⾼等教育機関との技術トップ同⼠のつながりを有しており、い くつかの技術領域において勉強会を兼ねた共同研究を実施していた • その流れで、技術開発と⼈材育成をさらに加速させるため、⼈材育 成を⽬的とする共同講座についても検討・準備を進めることとなった 共同研究相⼿の⾼等教育機関への相談を起点とした検討 • 新規事業に挑戦するにあたり、現在の社内⼈材では知識・スキルが 不⾜している状況だった • そこで、共同研究を別途進めていた⾼等教育機関へ相談したところ、 ⼈材育成を⽬的とする共同講座を開設する⽅向で検討が進んだ 共同研究の効果を⾼めるための共同講座の開設 • すでに⾼等教育機関との共同研究を進めていたが、新規事業に関 わる内容であり、社内での理解度やスキルが乏しい状況だった • そこで、社内⼈材のスキルアップと新規事業の重要性を社内に拡⼤ するため、共同講座の開設に着⼿した 出所)今年度採択事業者アンケートより作成 既存の協議会・コンソーシアムから発展させたケース(講座担当者の声) ⾼等教育機関と採択事業者による懇談会での意⾒交換 • 前年度に共同講座が開設され、授業等だけでなく公開シンポジウム も開催するなど、次世代を担う⼈材の育成に⼤きな成果が得られた • 前年度の終了時に、⾼等教育機関と受講企業による懇談会を開 催し、様々な成果を検証しつつ意⾒交換を実施した。その中で、成 果をさらに地域全体に波及させていく⽅針について確認されたため、 地域企業がコンソーシアムを組成し、新しい連携体制の下で共同講 座の準備・運営を進めた 事業環境や課題に関する継続的な意⾒交換 • 以前から、⼤学教授との間で、産業の国際的な事業環境や課題に 関する意⾒交換等をしていた • その中で、課題解決のための⼈材育成プログラムの検討を開始した ⾼等教育機関からの提案を踏まえた検討 • ⼈材育成についてはかねてより組織内における重要な課題と認識し ていたところ、⾼等教育機関との既存のつながりの中で、以前より 様々な⼈材育成プログラムの提案を受けていた • その内容も踏まえながら、共同講座について検討を進めた 52

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2 4.各論点への⽰唆 接点 共同研究領域では、本気の研究創出を⽬指して、クローズドな場で詳細なニーズを伝える、 あるいはニーズを具体化するところから議論する「ラウンドテーブル」を設置している事例がある 名古屋⼯業⼤学におけるパートナーラウンドテーブルの概要 包括 契約 企業 若⼿の巻き込みに関するコメント ニーズのヒアリング ニーズの相談 ⾼等教育機関(産連部⾨) • 「ラウンドテーブル」における企業との協議で ニーズに沿う 研究者の 選定 詳細な技術課題の相談・ 資⾦の提供 知⾒・技術の提供 守秘義務契約による詳細なニーズ・ 豊富な情報をもとにした議論 (パートナーラウンドテーブルの実施) 研究者 は、企業のニーズを掘り下げ、具体化する所 から始まる • その際には、⾃学の研究分野の異なる複 数の研究者が集まって、議論を⾏うことで、 具体的な共同研究テーマの創出に繋がる • このような取組みに、積極的に若⼿の参加 を呼び掛けるようにしている • 若⼿の多くにとって、このような本格的な共 同研究に参加する経験が、のちの研究にプ ラスに働くだろうという考えがあるほか、若⼿ の⽅がこのような「柔らかい議論」にも前向き に取組んでくれる側⾯もある 共同研究テーマが決まっていない状態から、企業と複数の専⾨分野の研究者が 課題解決について議論することで、両者ともに納得できる共同研究が創出される 出所)経済産業省「令和3年度産業経済研究委託事業(官⺠による若⼿研究者発掘⽀援事業におけるEBPMの検討)調査報告書」より作成 53

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2 4.各論点への⽰唆 接点 ただし、共同講座においては、⾼等教育機関側のシーズ* が⼗分に形成されていない。 そこで、企業ニーズの具体化だけでなく、⼤学シーズの具体化プロセスも必要となる n 共同講座では、共同研究と異なりそもそも⾼等教育機関側での⼈材育成に係るシーズ* が成熟していないため、企業・⾼等教育 機関のマッチングや事業の運営に⾄る前の、講座を構想する段階から、両者が対話を重ねる必要であると考えられる。 共同研究と共同講座の違い:構想段階における⽐較 ニーズの具体化/把握 共 同 研 究 共 同 講 座 企業による⾃社ニーズの特定が困難 • 共同研究で解決すべき⾃社のニーズ・課題を特定し、明 確化するのが困難である 企業による⾃社ニーズ特定が困難 • • DX化等、取組むべき事業課題がある⼀⽅で、そのため に必要な⼈材像を定められていない 共同講座実施企業においても、どのような⼈材を育て、 ⾃社の価値を⾼めていくか、が⼗分に検討されていない 場合がある シーズ調査 企業による⾼等教育機関シーズ探索が可能である • • ⾼等教育機関のシーズは⼀定程度明らかになっている 企業と⾼等教育機関をつなぐ既存の仲介業者やプラッ トフォームがあるため、企業ニーズに応じて⾼等教育機関 のシーズを探索することが可能である ⾼等教育機関側は⼈材育成に係るシーズ* を 提⽰できない • • ⾼等教育機関の知を外部に打ち出し、アピールするよう な取組みが⼗分に⾏われていない 取組んでいる場合も、共同研究に係る活動が主で、⾃ ⾼等教育機関が持つ産業⼈材育成機能について、組 織的に棚卸できていない 共同講座版 ⼈材育成ラウンドテーブル(仮)の設置 ⼈材育成に係る企業ニーズ・⾼等教育機関シーズについて⾔語化し、共同講座の開設を協議する場 * 共同講座でいうシーズとは、⾼等教育機関がリカレント教育プログラムにおいて提供できる⼈材育成プログラムのノウハウ・知⾒・実績等のケイパビリティを指す 54

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2 4.各論点への⽰唆 接点 共同講座の開設に向けて、企業ニーズ・⾼等教育機関シーズ* の双⽅を⾔語化していく⼈材 育成ラウンドテーブルが有効とみられ、開催には⾔語化を⽀援できる事務局の設置が推奨される 共同講座版 ⼈材育成ラウンドテーブル(RT)の体制(案) • 共同講座の開設には、企業のやりたいこと・⾼等教育機関のできることを 明らかにするところから始める必要がある • 中⽴的な⽴場の事務局を設置し、ラウンドテーブルの進⾏補助に加え、企業 の課題感や、⾼等教育機関のノウハウ・ケイパビリティの整理をサポートする ラウンドテーブル(RT)の進め⽅(例) / ニ ー ズ の 具 体 化 把 握 ⾼等教育機関 企業 • ⼈材育成課題や ニーズの相談 • (講座開設時) 資⾦提供 ①企業ニーズ探索 ニーズのヒアリング ・解きほぐし ラウンド テーブル ファシリテーション 事務局 • 企業の課題意識へ 学術的知⾒等を もとに助⾔ • ⼈材育成ノウハウを 提供 ②⾼等教育機関 シーズ*発掘 シーズの整理・発⾒ RTサポート機能 ※議論の活性化やマッチング確度上昇のため、複数企業の参加も想定可能 シ ー ズ 調 査 RT#1 • 初回顔合わせ • 相互理解のための意⾒交換 ①企業ニーズ 探索 • 参加企業と事務局が個別に議論し、企業ニーズ をとりまとめ • 「RT#2」で企業ニーズを発表する準備 RT#2 • 「①企業ニーズ探索」を通して棚卸しされた企業 ニーズを発表 • 企業側の発表に対する意⾒交換 ②⾼等 教育機関 シーズ発掘 • ⾼等教育機関と事務局が個別に議論し、 「RT#2」を踏まえながら、⾼等教育機関が持つ 知⾒・ノウハウを整理 • 「RT#3」で⾼等教育機関シーズを発表する準備 RT#3 • 「②⾼等教育機関シーズ発掘」を通して⾒つけら れた⾼等教育機関が持つ⼈材育成知⾒・ ノウハウを発表 • 講座アイディアを出し合う RTを通して⽣まれた講座アイディアをもとに、 企業と⾼等教育機関が共同講座の開設を検討し、基本合意を締結 * 共同講座でいうシーズとは、⾼等教育機関がリカレント教育プログラムにおいて提供できる⼈材育成プログラムのノウハウ・知⾒・実績等のケイパビリティを指す 55

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2 4.各論点への⽰唆 接点 (参考)共同研究領域における、企業・⾼等教育機関それぞれへの政策的⽀援(例) 共同研究の準備段階における課題と政策的⽀援策 ニーズ具体化/把握 課 題 ⽀ 援 策 企 業 側 教 育⾼ 機等 関 側 • • ⾃社ニーズが明らかになっていな い 事業課題を学術的課題に変換 できない シーズ調査* • • • 企業ニーズが分からない • • 企業ニーズに合致した⾼等教育 機関シーズを⾒つけることが困難 企業からの若⼿研究者の認知度が 低く、企業起点のシーズ探索が困難 企業向けの提案・対話に関する経 験の不⾜ ⾼等教育機関からの発信が届いて いない 【企業への⽀援策】 - ニーズ探索WSの開催 - 座談会やラウンドテーブル で課題解決について議論 - ⾼等教育機関側が分か りやすいような企業ニーズ 集を作成 【企業への⽀援策】 - ⾼等教育機関シーズ 紹介イベントを開催し、 シーズを探索 - ⾼等教育機関シーズ 探索が可能なオンライン PFの⽴ち上げ 【⾼等教育機関への⽀援策】 - 座談会やラウンドテーブル 等を通じて、課題解決に ついて議論する場を設置 【⾼等教育機関への⽀援策】 - 企業側が分かりやすいよ うな⾼等教育機関シーズ 集を作成する - 研究成果の効果的な⾒ せ⽅メンタリングを実施 マッチング活動 • 個⼈のネットワークや学会以外で ⾼等教育機関と接点を持ちにく い 具体化・クロージング • • • • 知財戦略の不⾜ 研究者が前向きでない 内部合意が困難 PJTマネジメントの不⾜ • 企業とのネットワークを 有していない 【企業・⾼等教育機関への⽀援策】 - マッチングイベントの開催 - マッチング⽤のオンライン PFの⽴ち上げ - 研究者の情報と企業の ニーズをマッチングするAI マッチング⽀援システムの 活⽤ 【企業・⾼等教育機関への⽀援策】 - 相談対応 - 専⾨家の派遣 【⾼等教育機関への⽀援策】 - プッシュ型コンタクトを通じ てシーズの売り込み/企業 の「⼀本釣り」を実施 * ⾼等教育機関側⽬線としては、⾼等教育機関側のシーズの周知・広報を指す 出所)経済産業省「令和3年度産業経済研究委託事業(官⺠による若⼿研究者発掘⽀援事業におけるEBPMの検討)調査報告書」、NEDO若⼿研究者産学連携プラットフォームより整理 56

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1 調査の実施概要 2 共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果) 3 共同講座の促進に係る主要論点 4 各論点への⽰唆 5 1 利点 2 接点 3 プロセス 4 政策 今年度補助事業における取組み好事例 57

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3 4.各論点への⽰唆 プロセス 共同講座づくりのプロセスは、主に2フェーズに分かれる 共同講座づくりのプロセス フェーズ1 設計・開発 • 基本協定等に基づき、体制を組成し、共同講座の具体的 な内容や実施⽅法等を設計・開発するフェーズ (運営開始の直前まで) フェーズ2 運営・改善 • 共同講座を実際に運⽤し、内容を改善していくフェーズ 58

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3 4.各論点への⽰唆 設計・開発フェーズにおいて、事業者側の講座担当者は、主要ステークホルダー 3者との意⾒調整をしつつ、共同講座の具体的な内容を詰めていく必要がある プロセス フェーズ1 設計・開発 採択事業者で⾒られた、講座担当者のステークホルダーと悩み(ボトルネック) 経営層・ 経営⽅針把握、すり合わせ、 本社機構 実施への合意獲得 事業者側担当者の悩み① 経営層・本社機構との調整: • ⾼等教育機関と連携して⼈材育成 を⾏う意義を理解してもらえない • 組織のリソース(ヒト・カネ)を講座 実施に割くことに合意してもらえない • ニーズとシーズのすり合わせ (既存カリキュラムのカスタマイズ、等) • 実施に向けた⼿続き 事業者側 共同講座 受講する意義がある講座の設計 担当者 現場 (管理職・社員) 事業者側担当者の悩み② 現場社員が受講したい・させたいと思える内容や受講⽅法の探索: • 現場社員やその上司に講座の必要性を理解してもらえない • 現場が多忙で講座に参加してもらえない 出所)昨年度事業成果、今年度の調査結果より整理 ⾼等教育機関側 窓⼝・担当教員 事業者側担当者の悩み③ ⾼等教育機関との調整: • 意思決定、事務⼿続きの進み⽅やスピード感が異なる • 教員が忙しすぎて、講座について深く協議できない • ⾼等教育機関のカリキュラム案へのカウンター提案ができ ない(そのまま受⼊れてしまう) 59

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3 4.各論点への⽰唆|経営層・本社機構との調整 経営層に対して、共同講座の意義を理解してもらい、リソースの調達等に 協⼒してもらえるよう、調整・説得に苦労する講座担当者もいた プロセス フェーズ1 設計・開発 悩み① 対 経営層 採択事業者が経営層との調整・説得で苦労した点 課題・調整事項 具体例(講座担当者の声) ⼈材育成への理解醸成 • ⾼等教育機関との連携が過去に⾏われたこともあるが、取組み姿勢が悪い 施策は中⽌していたこともあった。今回の共同講座には本気で取組んでもら えるよう、⾼等教育機関側に働きかけ、経営層にも伝える部分で苦労した • 産学連携の意義、共同研究内容の意義・⽬的についての社内合意形成に 苦労した • 短期的には利益を⽣まない活動である⼀⽅で、年間で⼤きな単位での出費 と別途⼯数が必要となることに対して理解をしてもらうことに苦労した 費⽤ 対 効果の説明 • ⾼等教育機関に⽀出する研究費と研究期間の妥当性を承認してもらうこと に苦労した • 企業規模があまり⼤きくなく、⾦銭⾯の余裕がないことから、いかに費⽤をか けずにできるかという検討に苦労した (特に無かったとする回答も⼀定数あり) 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケートより作成 • 企画段階より前に、⾼等教育機関とのやり取り等で合意している • 経営層が共同講座の企画に携わっている 60

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3 4.各論点への⽰唆|現場社員が受講したい・させたいと思える内容や受講⽅法の探索 現場は通常業務との兼ね合いで、⼈材育成に割く余裕が少ない。社員が前向きに 受講できる内容を提⽰するために、担当者は設計・開発段階から試⾏錯誤していた プロセス フェーズ1 設計・開発 悩み② 対 現場 現場社員が抱える⼈材育成へのジレンマ 管理職 (上司) *⼀部は運営段階でも継続して検討 • 業務⾃体を削減することは難しく、現場社員が 業務に割く時間が減ると困る 課題・調整事項 • ⼀定期間・年度単位での業績⽬標があり、⻑ 期的な視点を持ちづらい 現場のニーズ把握 ・講座内容の チューニング • 社員が学びたい、成⻑が期待ができると思える 内容になるよう、ニーズを把握する • 当初⽬的と、現場のニーズや社員のレベルに 合わせて、講座内容を調整する 受講の意義 ・インセンティブ の提⽰ • 受講によって期待できる成果・メリットを現場に 提⽰する 受講者の選定 • 現場のニーズや講座の⽬的に合わせて、適切 な受講者像を設定する • 想定する受講者が講座に参加できるか、事前 に関係者と調整する 受講しやすい 環境の整備 • 業務の現場や受講のネックになる点を事前に 確認する • 講座に集中できるような実施体制・仕組みを 検討する • 共同講座のような⼈材育成事業に参加すると、 講座の準備や受講時間等で時間的拘束が発 ⽣する 社員 (受講者⾃⾝) 現場と関連した、設計・開発段階の課題・調整事項 • 上司や同僚と業務調整をする必要が出てくる • 業務時間にかけられる時間が減っても、⼈材育成を⾏う 意義が⾒いだせないと、受講者は集まらない • 受講したい⼈がいても、上司(管理職)が納得してくれない、 あるいは受講しても業務が気になり講座に集中できない 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、昨年度採択事業者(担当者)インタビューより作成 具体例 *採択事業者の事例よりまとめ 61

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3 4.各論点への⽰唆|⾼等教育機関との調整 ⾼等教育機関は講座を作り上げるパートナーであるため、検討事項は多岐にわたる。 ⼀⽅で、双⽅の経験不⾜や、組織⽂化の違いがネックになるケースもあった プロセス フェーズ1 設計・開発 悩み➂ 対 ⾼等教育機関 ⾼等教育機関との検討事項 ⾼等教育機関との連携で苦労した点 • 採択事業者は、企画時点で以下のような論点を詰めていた • 実際に進める中で、検討体制にあまり余裕が無い様⼦もうかがえた 論点 コンテンツ (中⾝、難易度、 実施⽅法) 体制 ・役割分担 費⽤分担 ・報酬設定 その他 採択事業者が苦労した具体的な議題 ボトルネック 具体例(講座担当者の声) 不慣れな⼿続き • 意思決定、事務⼿続きの進み⽅やスピード 感が⾼等教育機関と企業で異なる • 研究費の⽀払い⽅法前払いであり、その点 を社内に浸透させことが難しかった • 法務の観点で契約書⾯に合意するための 時間がかかった 関係者の多忙さ • 教員は時間と労⼒に余裕がなく、コンテンツ 作りに時間を要した • 企業側、⾼等教育機関側の構成メンバーが 共に多忙であり、企画等の打合せを開催す るのに苦労した 講座作りに係る 経験値の差 • ⾃社と⾼等教育機関側で、教材開発の進 め⽅に認識のギャップを埋めるのに時間がか かった *採択事業者の事例よりまとめ • 出席者のテスト⽅法の合意 • 学⽣向けの講座を社会⼈向けにするための 調整 • 参加教員の調整や各教員の役割の調整 • 事業者側から派遣する講師への報酬の⽀ 払い⽅法 • 作成物における著作権の取扱い 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、昨年度採択事業者(担当者)インタビューより作成 62

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3 4.各論点への⽰唆|共同講座の設計・開発に係るボトルネックを乗り越えるための⽅策 採択事例を踏まえると初期段階で運営関係者を強固に巻き込むことが肝要と 考えられる。同時に、経営課題に資する講座であることを⽰し、 経営層や業務現場等社内からの⽀持を獲得することも求められるのでは プロセス フェーズ1 設計・開発 共同講座の設計・開発に係るボトルネックを乗り越えるための⽅策 経営・現場を巻き込み、 社内体制を充実させる • 経営層の協⼒を得て、経営⽅針として⽰してもらうことで、社内調整をスムーズに 進める(経営層向けプログラムを作成し受講してもらう事例も) • 現場部⾨を巻き込み、⼈材育成ニーズを随時把握するとともに、現場との意⾒調 整を任せる 内容・事務⼿続きの両⾯から ⾼等教育機関との連携体制を 強化する • 定期的な場をセットし、共同講座の内容を具体的に協議する時間を確保する • 授業等を担当する教員も参画し、授業内容等を具体的に議論する (授業内容がわかる担当者が参画することでより効果的、効率的に進められる) • 事務⼿続き等の⾯では、産学連携担当等、企業等の外部組織との連携・やり 取りに精通した組織の協⼒をあおぐ 経営課題や⽇々の業務と連動させて 講座のゴールを設定する • 現場へのヒアリング・アンケート調査、⾼等教育機関の担当者・教員を伴った現場 視察や現場との意⾒交換、模擬講義の実施など、様々な⼿段を⽤いて現場の ⼈材育成ニーズ・課題を把握する • インパクトマップ等を⽤いながら、経営課題や⽇々の業務と連動させて、ニーズや 講座で学ぶべきことを整理することも⼀案 (⇒次ページ以降で詳述) 検討体制の 強化 経営課題・成果を 意識した講座づくり 講座の成果を説明できるようにする ※特に、継続実施の場合に重要 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、昨年度事業成果、⽂献調査より整理・分析 • 講座をやりっぱなしにせず、講座を実施したことによる効果・変化を調査しておく • 特に、受講者の⾏動変容に着⽬することで、企業・組織活動に連動させながら講 座の意義を⽰せるのではないか(⇒次ページ以降で詳述) 63

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3 4.各論点への⽰唆|経営課題や業務と連動したゴール設定 プロセス フェーズ1 設計・開発 学びを⾏動の変化につなげ、企業の成果に貢献できる講座にするためには、 最終⽬標までの道筋を整理しておく必要がある n ⼈材開発においては、学びを通じて「⾏動」の変化を促し、その⾏動変容を通じて「成果」に貢献する必要がある。 n 例えば、インパクトマップ等の枠組みで、講座と成果のつながりを描くことができる。 l インパクトマップはロバート・ブリンカーホフが提唱するモデルで、⼈材開発の取組みにおける学習成果(学習⽬標)が 企業の⽬標に結び付くまでの道筋を整理する枠組み。 インパクトマップと⼈材開発における達成度レベルの関係 レベル2 学習 レベル3 ⾏動 学習成果 重要な 仕事上の ⾏動 *レベルについては、16ページ参照 レベル4 成果 結果 出所)中原淳、関根雅泰、島村公俊、林博之 『研修開発⼊⾨ 研修評価の教科書』(2022年)より作成 部⾨⽬標 全社⽬標 64

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3 4.各論点への⽰唆|経営課題や業務と連動したゴール設定 講座の道筋を整理するにあたっては、関係者との意⾒交換が必要。 その際、相⼿の⽴場・関⼼によって検討すべきポイントが変わることが想定される プロセス フェーズ1 設計・開発 講座設計にあたり、関係者と検討すべきこと レベル2 学習 レベル3 ⾏動 学習成果 重要な 仕事上の ⾏動 レベル4 成果 結果 部⾨⽬標 全社⽬標 ⾼等教育機関関係者* 管理職層*・現場社員 経営層 レベル2 学習 〜 レベル4 成果 レベル3 ⾏動 レベル4 成果 • 実際に教える⽴場として、この講座 でどんな知識・スキルを獲得すること が⽬的かをすり合わせる • 専⾨性や中⽴的な⽴場を活かし、 業界の⼈材育成課題をより広い視 野で議論できる可能性がある • 忙しい現場を離れて講座に参加す る意義を感じてもらうために、講座を 通じて業務に良い影響があると納得 してもらう • 主に、⽇々の業務に関係して、現場 社員の⾏動がどう変わるかを考える • 講座を実施する意義を感じてもらう ために、企業としての戦略を踏まえた ⼈材育成ニーズを共有する • 主に、講座を通じてどのような⽬標を 達成したいか、を考える *教員、等 *受講者の上司、等 出所)中原淳、関根雅泰、島村公俊、林博之 『研修開発⼊⾨ 研修評価の教科書』(2022年)を参考に分析 65

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3 4.各論点への⽰唆|経営課題や業務と連動したゴール設定 プロセス フェーズ1 関係者との意⾒交換を繰り返すことで、納得のいく講座が作り上げられると思料。 設計・開発 採択事業者では、現場の実態を踏まえて取組みやすい講座に改善している例もあった 講座設計のサイクル(モデル例) 採択事業者における講座設計の進め⽅(講座担当者の声) • それぞれのStepはくり返し、あるいは順番が前後することも 想定される。 • 組織的な⽬標との連動をはかる • 経営層のニーズを聞取り、講座の設計過程に巻き込む Step1 • 社会⼈が研修として仕事の合間に受講するのであれば、この程度の 時間がよいということを事業者から⽰し、⼤学の先⽣と相談しながら 講座の検討を進めた 経営者からの⽰唆 (経営⽬標や経営課題、等) Step2 Step3 現場のニーズ・要望の 確認・すり合わせ • ⼤学側からは学⽣向けの教材を共有されていたが、社会⼈がやるに は内容が深く、必要な時間・期間も⻑すぎた ⾼等教育機関と プログラム内容を検討 • 現場社員からも、以前⾏った講座を踏まえ、教材に関する難易度 や改善点を出してもらった。例えば、教材の動画の⻑さが仕事の合 間に取組むには⻑すぎるいという指摘があった。この点を踏まえて⼤ 学の先⽣とも相談し、動画の区切りを⾒直してもらった • 先⽣は、仕事の合間に勉強する社会⼈に教えることは慣れていない。 しかし、こちらの要望に合わせて教材を作ってくれたため、社内の受 講者も⽐較的容易に受講できるようになった • プログラム作成を進めつつ、内容や実施⽅法が現場の 実態とずれていないかを随時確認する • 各Stepで得られた知⾒を講座へ反映し検討を重ねる 出所)昨年度採択事業者(担当者)インタビューを踏まえ整理 出所)昨年度採択事業者(担当者)インタビューより作成 66

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再掲 4.各論点への⽰唆|講座の成果をとりまとめる⽅法 講座の成果を⽰すには、受講者の“現場での⾏動は変化したか”に着⽬する 3 プロセス フェーズ1 設計・開発 n 企業における⼈材開発の達成度の評価⽅法として、4レベルに分けて測定する考え⽅が⼀般的に⽤いられる。 n 評価にあたっては、⼈材開発を通じて達成したい“成果”につながるような⾏動の変化(=レベル3)が起きているか、に焦点を当てる べきとされる。 l 最終的には成果(売上や利益、新規事業創出など)を挙げること(=レベル4)が求められるとしても、その要因は様々で、⼈材開発以外の 影響も考えられる。 カークパトリックの「4レベル評価モデル」 内容 レベル 名称 1 Reaction 反応 学習イベントに対して、受講者がどの程度、 肯定的に反応したか 2 Learning 学習 学習イベントに参加することで、受講者がどの程度、 • 学習していても、学習内容が現場で実践されるとは ⽬標とされた知識、スキル、態度を獲得したか 限らない 3 Behavior ⾏動 学習イベント中に学んだことを、受講者がどの程度、 • “⾏動”を導けたときのみ、 “成果”が⽣み出される 仕事に戻ったときに活⽤したか 可能性が⽣じる 4 Results 成果 学習イベントとその後の定着によって、どの程度の 結果が⽣み出されたのか 例)測定⽅法 例)受講直後に⾏われる満⾜度や実⽤度に関するアンケート 特徴 • 「感情的反応」(満⾜度、等)よりも「実⽤的反応」 (有⽤度、等)の⽅が、その後の“学習“や”⾏動”に 影響を与える 例)研修後半に⾏われるテストやロールプレイ 例)本⼈による⾃⼰評価、上司や同僚による他者評価 例)⽣産性の向上、品質の向上 出所)中原淳、関根雅泰、島村公俊、林博之 『研修開発⼊⾨ 研修評価の教科書』(2022年)を参考に作成 • 企業活動において最終的に期待されるレベル • 測定結果の背景には様々な要因があり、複雑 67

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⽂献紹介 4.各論点への⽰唆|講座の成果をとりまとめる⽅法 (参考)数字と物語の両⽅を活⽤することで、講座の成果をステークホルダーへ 分かりやすく、シンプルに提⽰できると考えられている 3 プロセス フェーズ1 設計・開発 n 客観的な数字と⽣々しい物語の両⾯を⽤いることで、ステークホルダーの納得感を得やすい。 n ただし、データの特性や説明したいこと、リソース等の制約に応じて、調査⽅法・範囲を調整することになる。 評価に⽤いるデータの種類 データに期待できること・役割(例) 定量データ 数字で表現されるデータ 定性データ 聞き取りやインタビュー等による ⾔葉で表現されたデータ • 数字で表現できるので信頼性が⾼い • 集団間や時系列などで⽐較が⽤意 • 特に「客観性」「合理性」「効率性」を重視する経営者等に全体像を ⽰すためには必須 • 迫真性に富み、納得感や腹落ち感が得られる • 現場の⽣々しい状況が把握できる • 取りたい⽅向性に関連する現場の声があることで、ステークホルダーの 意思決定を後押しできる 出所)中原淳、関根雅泰、島村公俊、林博之 『研修開発⼊⾨ 研修評価の教科書』(2022年)を参考に作成 68

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3 ⽂献紹介 4.各論点への⽰唆|講座の成果をとりまとめる⽅法 プロセス フェーズ1 (参考)定量・定性データを組み合わせながら受講者の“⾏動”を測定する 設計・開発 ⽅法として、成功例を⾒つけ出し、その内容・背景を深掘りする⽅法が紹介されている n 少数の成功例からも多くを学べるということを前提に、「成功例」を⾒つけ出し、深く話を聞くサクセスケース・メソッド (Success Case Method)という測定⽅法がある。 n 「⾏動」に注⽬し、現場の声も交えることで、社内での納得感を得やすいという利点がある。 サクセスケース・メソッドの全体像・調査の⽅法 • 事前にインパクトマップを設計したうえで研修を実施し、受講者が当初設定した⽬標に到達しているかを調査する 準備 ・研修実施 実施結果の 調査 取りまとめ・ 発信 1. インパクトマップの作成 Ø 2. 3. P.64参照 研修後の状況を確認 アンケート ① 研修で学んだことを仕事で活⽤しなかった ② 研修で学んだことを仕事で活⽤し、良い結果が出た 研修の実施 ③ 研修で学んだことを仕事で活⽤したが、 まだ結果は出ていない 数か⽉後の「簡易アンケート」の実施 アンケートの回答に応じて、回答内容・背景を深堀り 4. 5. 成功例・失敗例への 「深掘り」インタビューの実施 インタビュー 物語としての提⽰ Ø Ø Ø 研修前の受講者の状態 研修中のでき事や研修で得たもの 研修後の受講者の状態 出所)中原淳、関根雅泰、島村公俊、林博之 『研修開発⼊⾨ 研修評価の教科書』(2022年)を参考に作成 【成功例(回答:②)】 • (研修で学んだことのうち)何を使った? • (それを⾏ったことで)どんな結果が? • (研修内容を活⽤する際に)何が⼿助けに? • (他の受講者や教育スタッフに対して)助⾔があれば 【失敗例(回答:①)】 • • (研修内容を活⽤しなかった理由として)何が邪魔した? (他の受講者や教育スタッフに対して)助⾔があれば 69

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3 4.各論点への⽰唆 運営・改善フェーズで直⾯する課題は、①講座を通じた⾏動変容に係るもの ②講座を実施する上での実業務に係るものの2つに⼤別されるとみられる 運営・改善フェーズでの主な課題 課題1: 受講者の受講後の現場の実践(⾏動変容)に つながらない • ⽬標としていたスキルを獲得したものの、その後現場で実践する機会 が与えられなかった プロセス フェーズ2 運営・改善 ⽅策例 ⾏動変容を促進する施策を打ち出す • 講座前・講座中・講座後の3フェーズごとに、講座担当者・現場の上 司等から受講者⾃⾝や周囲の環境に対する働きかけを実施すること で、受講者の⾏動変容は促進される 課題2: 慣れない相⼿・慣れない業務で準備・調整に時間がかかる 好事例の参照 • 社会⼈と学⽣の双⽅に合わせた⽇程調整に苦労 • 共同講座特有の課題に際して過去の採択事業者の対応策を後掲 • 幅広い属性の対象者への告知・募集が困難 70

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再掲 4.各論点への⽰唆|⾏動変容に⾄るまで ⼈材開発では、受講者の「⾏動の変化」まで到達させることが重要である 3 プロセス フェーズ2 運営・改善 課題1 n 企業における⼈材開発の達成度の評価⽅法として、4段階(4レベル)に分けて測定する考え⽅が⼀般的に⽤いられる。 n ⼈材開発は直接的には成果を⽣まない(レベル4を直接には達成できない)。受講した社員の⾏動が変わること(⾏動変容)に より、間接的に成果を⽣み出すため、⼈材開発は特にレベル3の「⾏動変容」が起きているかどうかに焦点を当てるべきとされている。 カークパトリックの「4レベル評価モデル」(再掲) レベル 名称 内容 1 Reaction 反応 学習イベントに対して、受講者がどの程度、肯定的に反 応したか 2 Learning 学習 学習イベントに参加することで、受講者がどの程度、⽬標 とされた知識、スキル、態度を獲得したか 3 Behavior ⾏動 学習イベント中に学んだことを、受講者がどの程 度、仕事に戻ったときに活⽤したか 4 Results 成果 学習イベントとその後の定着によって、どの程度の結果が ⽣み出されたのか 注)詳細は別紙1を参照 出所)中原淳、関根雅泰、島村公俊、林博之 『研修開発⼊⾨ 研修評価の教科書』(2022年)より作成 ⼈材開発ではレベル3の到達を⽬指す 71

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3 4.各論点への⽰唆|研修デザイン・研修環境 研修転移* が起こるかどうかは、受講者の特徴や研修デザイン(研修の中⾝) だけでなく、職場環境によっても左右される プロセス フェーズ2 運営・改善 課題1 研修転移* のモデル 研修のインプット 研修のアウトプット 転移の状況 学習と保持 ⼀般化と維持 受講者の特徴 • 能⼒ • 性格 • 動機 研修デザイン • 学習原理 • ⼀連の流れ • 研修内容 職場環境 • 同僚・上司の⽀援 • ⾵⼟ • 使⽤機会 * 研修転移とは、研修で学んだことが、仕事の現場で⼀般化され役⽴てられ、かつその効果が持続すること(詳細は別紙1を参照) ⼀般化:研修で学んだことが現場で適⽤されること(実践されること) 持続 :現場に適⽤された効果性が、直ちに失われれるのではなく、持続すること 出所) 中原淳、島村公俊、 鈴⽊英智佳、関根雅泰 『研修開発⼊⾨ 研修転移の理論と実践』(2018年)、 Grossman et al. 2011. The transfer of training: what really matters. より作成 72

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3 4.各論点への⽰唆|研修転移促進施策 共同講座の効果を⾼めるために、講座実施前・実施中・実施後に 講座担当者や現場の上司から受講者に対して各種⽀援を⾏うことが効果的である プロセス フェーズ2 運営・改善 課題1 研修転移を促進するために、効果的とされている受講者への⽀援策(例) 講座担当者による受講者への働きかけ 現場の上司による受講者への働きかけ 実施前 • 事前課題の提供:事前に本講座の内容に関するe-learning を実 施 • 研修の説明責任の通知:研修後に、報告書の作成や上司との⾯ 談など、席名責任の伴う義務を課す • 研修前のミーティング:講座に参加する⽬的について、受講者と話し 合い、研修内容の活⽤についての具体的な期待を伝える • 上司/同僚による同様の研修への参加:上司がまず研修を受け、下 の階層が受けていく 実施中 • 研修中のミスに対するポジティブなサポートの提供:ミスから⾃主 的に学ぶことを推奨する • 受講者グループによる定期的な会合の設定:直⾯している課題 等について受講者間で共有・議論 • 現場メンバーの協⼒:講座に集中できるように、現場メンバーと業務 を調整する 実施後 • 受講内容のリマインド:講座で学んだ内容や⽴てた活動計画をリマ インドする • 研修内容の有⽤性の確認:アンケート調査等 • 受講者への個別コーチング:講座で⽴てた⾏動⽬標や活動計画を 実⾏できるよう、受講者に対してフォローアップ • 活⽤機会の提供:講座で学んだ内容を活かせる機会を作る • 他の受講者と継続的にかかわっていく学習環境の整備:メーリングリ ストやチャットツール等で、講座後の実践事例を報告する場を提供 • 研修後のミーティング:スキル習得度合いや研修内容の活⽤機会に ついての合意等を確認するミーティングを設ける • 活⽤機会の提供:講座で学んだ内容を活かせる機会を作る • コーチング・フィードバック:受講者に対するコーチングや、実践度合い についてのフィードバックを⾏う 注)詳細は別紙1を参照 出所)中原淳、島村公俊、 鈴⽊英智佳、関根雅泰 『研修開発⼊⾨ 研修転移の理論と実践』(2018年)、 Heimbeck et al. 2010. Integrating Errors into the Training Process: The Function of Error Management Instructions and the Role of Goal Orientation.出所)Brinkerhoff et al. 1995. Partnerships for training transfer: Lessons from a corporate study. . Martin et al. 2010. Workplace climate and peer support as determinants of training transfer. 、Baldwin et al. 1991. Organizational training and signals of importance: Linking pretraining perceptions to intentions to transfer. より整理 73

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3 4.各論点への⽰唆|現場の上司の働きかけ 受講者の⾏動変容を促すには、 職場の上司による要求的(学んだ内容を活⽤させる)な態度が効果的である プロセス フェーズ2 運営・改善 課題1 受講者の⾏動変化を左右する、職場における上司の雰囲気 雰囲気の5段階 特徴 抑⽌的 Preventing 学んできたことの活⽤を、上司が禁⽌している やる気をそぐ Discouraging 「やってはいけない」と直接的にはいわないが、 上司が快く思っていないことは確実に伝えられている 中⽴的 Neutral 研修を受けてきたという事実を上司が無視している 職務が今までどおりに完了するのであれば、何もいわない 奨励的 Encouraging 学んだ成果を職務に活⽤することを奨励している 要求的 Requiring 部下が何を学んできたかを上司は把握していて、 それを確実に仕事に転⽤させたいと思っている 注)詳細は別紙1を参照 出所)中原淳、関根雅泰、島村公俊、林博之 『研修開発⼊⾨ 研修評価の教科書』(2022年)より作成 より⾏動変容を促す 74

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3 4.各論点への⽰唆|講座前の⽀援 講座前に、上司より受講の動機づけ等を受けた受講者は、 受けていない受講者と⽐べて、学んだことをより業務で活⽤していた 講座前の⾃社からの⽀援×講座後の⾏動変容の状況 0% 20% 40% 60% 80% 28.6% 38.1% 33.3% 上司による⽀援(N=32) 25.0% 43.8% 31.3% その他(N=2) 14.8% 29.5% 50.0% 55.7% 50.0% 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった フェーズ2 運営・改善 課題1 取組みの具体例(受講者の声) 事前課題の提供(N=21) ⽀援等は実施しなかった(N=61) プロセス 100% 事前課題の提供 • スケジュールのリマインドや課題・アンケートの提出などのフォローがあっ た 上司による⽀援 • 上司から受講したらどうかという提案をいただき、講座研修に参加し た。受講後に、学んだ内容を展開して欲しいということを⾔われた • 上位者からは、時間への配慮があった。受講中の時間を業務時間 とし、業務中に抜けても問題がないよう融通を利かせてくれた。会場 まで往復2時間かかるため、時間の融通は助かった 注)グラフは再掲 出所)昨年度受講者アンケート・昨年度受講者インタビューより作成 75

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3 4.各論点への⽰唆|講座中の⽀援 講座中に、現場メンバーによる業務調整等の⽀援を受けた受講者は、 受けていない受講者と⽐べて、学んだことをより業務で活⽤していた 講座中の⾃社からの⽀援×講座後の⾏動変容の状況 0% 現場メンバーの協⼒(N=62) 20% 24.2% 40% フェーズ2 運営・改善 課題1 取組みの具体例(受講者の声) 60% 80% 41.9% ⽀援等は実施しなかった(N=45) 11.1% 24.4% その他(N=2) プロセス 100% 現場メンバーの協⼒ 33.9% 64.4% 100.0% 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 0… 0.0% • 講座により業務が圧迫されていたが、他のメンバーに負荷分散をして もらうことでサポートしてもらった。元来チーム内や部署内でサポートし 合うマインドセットで業務をしているため、スムーズな負荷分散をしても らうことができた • 講座研修に時間を使わせてもらった分、他のチームメンバーに実業務 のやらなければならない業務をお願いしていたが、マネージャー含め他 のチームメンバーは快く対応してくれた 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった その他 • 事務局メンバーは講座中、励まし続けてくれた。2か⽉間に及ぶ講座 研修で疲弊している⼈も多かったが、できるときに体を⼤事にしなさい、 と⾔いつつアドバイスをくれたり、Teams内でのリマインドや会議のまと めを共有してくれたり、挫けないように伴⾛してくれた 注)グラフは再掲 出所)昨年度受講者アンケート・昨年度受講者インタビューより作成 76

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3 4.各論点への⽰唆|講座後の⽀援 講座後に、講座で学んだ内容の活⽤機会の提供等の⽀援を受けた受講者は、 受けていない受講者と⽐べて、学んだことをより業務で活⽤していた 講座後の⾃社からの⽀援×講座後の⾏動変容の状況 0% 20% 40% 60% 33.3% 66.7% 0.0% 活⽤機会の提供(N=18) 33.3% 66.7% 0.0% 16.7% 28.6% 活⽤機会の提供 受講者への個別コーチング(N=3) 38.1% 66.7% 50.0% 16.7% 50.0% ⽀援等は実施しなかった(N=63) 7.9% • 講座後すぐに実務に活かせるように、講座担当者とのミーティングが 設定された。仮説ベースであるが、学んだことを基にに、こういう領域 にこういったアプローチをしてはどうか、と提案を投げかけてくれた。学 んだことを実務に落とすためのヒントにもなり、次のアクションに強制 的に繋げられるような仕組みであった 0.0% 受講内容のリマインド 昇給・昇格(N=0)0.0% 他の受講者と継続的に関わっていく学習環境の整備(N=10) 課題1 80% 100% 33.3% 異動・配置転換(N=4) フェーズ2 運営・改善 取組みの具体例(受講者の声) 受講内容のリマインド(N=21) 上司による⽀援(N=6) プロセス 50.0% 30.0% 28.6% 63.5% その他(N=2)0.0% 100.0% 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった • 講座担当者から、学んだ内容のリマインド、そしてそれに基づいて業 務ではの活⽤⽅法を提案してくれるなど、継続しやすいような⽀援 があった 20.0% 0.0% 他の受講者と継続的にかかわっていく学習環境の整備 • それなりに労⼒もかかる講座内容であったため、参加者同⼠仲良く なった。講座後も定期的にチャット等で呼びかけがあり、講座後の 継続的な関係性作りを事務局側がしてくれている 注)グラフは再掲 出所)昨年度受講者アンケート・昨年度受講者インタビューより作成 77

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3 4.各論点への⽰唆|職場の上司からの⽀援 職場の上司の態度として、講座で学んだことの活⽤を強く求められた受講者ほど、 学んだことをより業務で活⽤していた 20% 中⽴的(N=29) 課題1 40% 60% 80% 100% 奨励的な上司 要求的(N=8) 奨励的(N=72) フェーズ2 運営・改善 上司の態度の詳細(受講者の声) 上司の態度別×講座後の状況 0% プロセス 37.5% 18.1% 20.7% 25.0% 36.1% 31.0% 37.5% 45.8% • 特許や論⽂執筆の声掛けが増えた。上位者の前職が研究者という こともあり普段からそういった話はされるが、共同講座の実施後、その ような発⾔が増えた 48.3% • 受講に際しての業務調整に関しても、「⾃分たち他のメンバーでやる から」と⾔ってくれ奨励的であった やる気をそぐ(N=0)0.0% 抑⽌的(N=0)0.0% 講座で学んだことを、業務で活⽤し、良い結果が出た • 講座後も、研修の学んだ内容を共有してもらえたら嬉しいとすぐにコ メントがあり、⼗数⼈規模のグループで発表する機会も設けててくれ たため、活⽤を、後押ししてくれたイメージである • 業務調整や業務の引き取りといった奨励的な態度は、会社の⾵潮 が影響している。20代〜30代の若⼿・中堅のメンバーへはどんどん内 部や外部の研修への参加といった⾃⼰研鑽を後押しする⾵潮があり、 ⾃分から学びに⾏くことに関してストップをかける⼈はいないという印 象を持っている 講座で学んだことを、業務で活⽤したが、まだ結果は出ていない 講座で学んだことを、業務で活⽤しなかった 注)グラフは再掲 出所)昨年度受講者アンケート・昨年度受講者インタビューより作成 78

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3 4.各論点への⽰唆 共同講座の運営にあたって、慣れない相⼿先との慣れない業務を 適切に進めるためには、ステークホルダーとの密な連携が肝要となる 共同講座を運営する上で採択企業が直⾯した課題 ⾼等教育機関側との 打合せ時間の確保が困難 慣れない相⼿ (⾼等教育機関) との調整 フェーズ2 運営・改善 課題2 事業者の取組み事例 オンライン対応・ 関係者の拡⼤ • Teamsやメールを活⽤し密な情報共有を⼼掛ける • 直接的な担当者に加え、事務担当や秘書とも調整する 学⽣に合わせた⽇程調整 が困難 スケジュール調整 • スケジュールの早期確定、社会⼈が受講しやすい時間帯で開講 する • 学⽣のカリキュラムを考慮したスケジュール設定 ルール・スピード感の違い 担当者との綿密な打合せ • ⾼等教育機関側の担当者に⼀任する • ⾼等教育機関側の事務担当と綿密に調整する 受講者の上司のまきこみ・ 業務調整 • 受講者の上司への講義趣旨の説明を⾏う • 講義スケジュール策定に上司も巻き込みあらかじめ調整する • 部署・上司と協⼒して業務量を調整する • 会社としての⽅針や受講者のキャリアプランについて、本講座の 受講メリットを⽰しつつ話し合う • 通常業務の⼀環として認める 受講者の実業務との調整 が困難 慣れない業務 (共同講座) の調整 プロセス 受講者のモチベーションが 低い 担当者の業務負担が 過⼤ 業務調整 幅広い属性の対象者への 告知・募集が困難 複数メディアの活⽤ 出所)昨年度事業成果、昨年度採択事業者(担当者)インタビュー、今年度採択事業者(担当者)アンケートより作成 • 共同講座業務の専任担当を設ける • 巻き込み⼒の⾼い者を担当者として設定する • Webサイトを⽴ち上げ、講座の⽬的や⽇程等を発信する • 社内向けの広報として社内報に取組みを掲載する 79

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1 調査の実施概要 2 共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果) 3 共同講座の促進に係る主要論点 4 各論点への⽰唆 5 1 利点 2 接点 3 プロセス 4 政策 今年度補助事業における取組み好事例 80

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4 4.各論点への⽰唆 政策 本事業の補助⾦の活⽤は、講座開設の後押しとなっただけでなく、 ステークホルダーとの関係強化・拡⼤や、講座内容の充実化・⾼度化につながっている 「共同講座創造⽀援事業費補助⾦」活⽤による効果(講座担当者の声) 意思決定/具体化の後押し 講座開設の 後押し ステークホルダーとの 関係強化・拡⼤ • 補助⾦の存在により、新たに講座の開設を決意した • 補助⾦によって共同講座の実施の話が具体的になった 関係者への説得材料 • 補助⾦の存在により、経営層からの推薦を得られ、新たに講座の開設につながった • 本補助⾦がきっかけとならなければ⾼等教育機関との協議が前に進まなかった 新たな連携・協⼒体制の 構築 • ⽬指す⽅向性をともにする企業に参加してもらうことができ、新たな関係構築が進んだ • 講座を通じて、これまで検討してこなかった⼤学との共同開発という選択肢が⽣まれ、結果として プロダクトに⾼い専⾨性を盛り込むことができた 受講者の拡⼤ • 補助⾦によって講座を無料で開講できたため、受講対象者の範囲を広げられた • 補助⾦によって本事業の存在を知り、学⽣と共に勉強する機会を設けられた 講師の充実化 • 最前線で活躍している研究者・技術者を⼤学・企業等から派遣いただき、内容が⾼度化された • 補助⾦によって専⾨性の⾼い講師に講演を依頼ができた • 補助⾦によって講師の⼈数を増やせたため、講座の内容を拡充・⾼度化することができた 講座内容の 充実化・⾼度化 その他の質向上への効果 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケートより作成 • 補助⾦によって機材を増やすことができたため、講座の内容を拡充・⾼度化できた • 補助⾦により、外部コンサル等による⽀援を⼿厚くすることができた 81

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4 4.各論点への⽰唆 政策 ⼈材育成が⻑期的な取組みであることへの配慮や、ノウハウや事例の共有については、 政策的⽀援が有効となる可能性が⾼いと考えられる 共同講座に係る政策の⽅向性 共同講座の 数を増やす 共同講座の 質を上げる 共同講座の 種類を増やす • 多くの企業・⾼等教育機関が共 同講座に取組んでいる状態 • 受講者の学習成果が⾼い状態 • 共同講座の受講者が企業の 競争⼒や成⻑に貢献している状 態 • 特定の分野に限らず、⽂系・理系 の様々な分野で共同講座が実施 されている状態 出所)昨年度事業成果、今年度の調査結果より整理・分析 考えられる施策(案) ⻑期的な取組み であることの配慮・ ⽀援 • ⼈材育成は短期では成果が出づらいため、ステージゲート等 を設け、翌年度への継続ができる仕組みを取⼊れるなど、 ⻑期的な⽀援への期待が⼤きい • ⼀定程度の期間において、成果が出た場合に補助率を上 げるなどの⼯夫も考えられる 企業と⾼等教育 機関の接点創出 の⽀援 • 偶発的な接点が共同講座開設の起点となることが多い。共 同講座の拡⼤には接点の発⾒・創出のサポートが重要 • ただし、企業・⾼等教育機関に既存の接点はあるため、⼈ 材育成にフォーカスしてお互いのニーズ・シーズを⾔語化する ようなラウンドテーブル実施の⽀援が有効と考えられる ノウハウや事例の 共有 • 共同講座の事例はまだ多くなく、ノウハウや事例について、 情報提供・共有を求める要望が多い • 例えば、先⾏している企業・⾼等教育機関と、これから実施 しようとしている企業・⾼等教育機関が情報交換できる場が あれば、新たな挑戦を増やせる可能性がある 共同講座の周知・ 認知度向上 • 上記の「ノウハウや事例の共有」と関連するが、 引き続き本事業の成果をより積極的に広めることで、企業・ ⾼等教育機関が共同講座をより設置しやすくなる(受講者 が集まる、社内・学内で賛同を得られる等)可能性がある 82

84.

1 調査の実施概要 2 共同講座の成果評価の詳細(追跡調査結果点 3 共同講座の促進に係る主要論点 4 各論点について得られた⽰唆 5 本補助事業における今年度事業者の取組み好事例 83

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5.本補助事業における今年度の取組み好事例 接点及びプロセスの論点に係る優れた取組みを実施している事例を抽出した 抽出条件 接点 • ⾼等教育機関との連携にあたり、コンソーシアム・協議会等 のつながり等、再現性の⾼い接点をきっかけとして挙げている プロセス • 経営戦略と紐づけて⼈材育成ニーズ、⽬指す⼈材像を設定 している • 上記に基づき、⾼等教育機関と議論の上、プログラムを⽴ 案している • さらに、現場と連携してプログラムをブラッシュアップしている 84

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5.本補助事業における今年度の取組み好事例 掲載事例⼀覧 DOWAホールディングス株式会社 × 東北⼤学 NECネッツエスアイ株式会社 × 芝浦⼯業⼤学 シナノケンシ株式会社(ASPINA) × 信州⼤学⼯学部 テクニウム株式会社 × 北九州⼯業⾼等専⾨学校 JR⻄⽇本SC開発株式会社 × 阪南⼤学 85

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DOWAホールディングス株式会社×東北⼤学 86

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DOWAホールディングス株式会社×東北⼤学|DOWA×東北⼤学共創研究所 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 連携体制 ⾦属加⼯業界において、⾃動⾞や情報機器向けを中⼼ に、⾼特性な銅合⾦の供給を主な事業領域としている。 効率的に新しい価値を創造し、今後も中国メーカーに勝 ち続けるためには、これまでの材料組織制御をベースとした 「職⼈型素材開発⼈材」を「DX型素材開発⼈材」へ育 てていく必要がある。即ち、データ駆動型の素材開発技 術、並びに、データ駆動型開発に供せる正確なデータ取 得技術を有する⼈材の開発が不可⽋である 東北⼤学⼤学院⼯学研究科 DOWAホールディングス株式会社 教授・機構⻑ (コーディネータ) 特任教授 (運営総括アドバイザー ・取締役) ⾃社社員 社内の各開発拠点において、DX技術を⼿の内化し、活 ⽤しながら材料開発分野を牽引する⼈材が必要である TA (⼤学院・学部学⽣) 連携⾼等教育 機関の学⽣ ⾃社社員との交流の中で、学⽣が社会⼈になったときの 開発スタンスのギャップを緩和させると共に、学⽣⾃⾝の 研究がどのように産業界で貢献するのかといった新しい視 点を取り⼊れてもらうことに期待している。 講義や実習を担当する⾃社社員が学⽣へ教えることによ るリカレントの場としても考えている ⾃社社員 将来的にはDX技術を活⽤しながら材料開発分野を牽 引する⼈材となることに期待している。本講座を通じて、 DX技術に興味を持つ社員を増やし、これら技術を取り込 むといったモチベーションの向上も期待している 連携⾼等教育 機関の学⽣ ⾮鉄業界に興味を持つ学⽣を増やし、DX技術を有する 学⽣の採⽤に繋げたい 共同講座で特に注⼒す るポイント • 計測技術の確⽴ • 新銅素材創成に関する共同研究を通した若⼿⼈材の 育成 • ⼯場実証実験を通した、学⽣への事業化意識の植え 込み ⼈材育成テーマ・分野を 選んだ背景と狙い ⼈ ⼈ 材 材 開 戦 発 略 課 ・ 題 期 待 し て い る 変 化 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 教授 (運営⽀援責任者) :専任教員 学⽣募集 受講者 特任教授 (運営総括責任者 ・事業開発部⻑) 連携 DOWAメタルテック 磐⽥技術センター (銅合⾦開発拠点) 社員選定 ⼯学部・⼯学研究科学⽣ 企業社員 申込・受講者数等 属性 申込者数 受講者数 ⾃社社員 26 26 連携⾼等教育機関の学⽣ 43 43 87

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DOWAホールディングス株式会社×東北⼤学|DOWA×東北⼤学共創研究所 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 連 携 の 狙 い ・ 利 点 連 課携 題に 等係 る 連携を主導した事業開発部は、⾃社グループの各部⾨の研 究開発推進や横串活動を⽀援する組織で、産学連携も主 要業務の⼀つである。従来より東北⼤学⼤学院環境科学 研究科に寄附講座を設置、運営しており、かつ⼤学本部とも 包括連携協定の締結を⾏い、交流を⾏っていた。将来を⾒ 据えた研究を⾏う研究組織・社内の研究員の専⾨性を上げ、 研究者のモチベーションを向上させる場の必要性を感じていた ところ、⼤学より全部局との共創が可能である共創研究所の 紹介を受け、⽬指したい⽅向が⼀致していることを確認し、 2021年11⽉に⼤学の産学連携担当理事より技術・事業開 発管掌取締役に説明があり、設置に向けて⼀気に加速、 2022年4⽉に共同講座を設置した 企業側 東北⼤学は材料、特に⾦属材料に関して優れた研究開発 実績を持っており、さらには近年DXおよびGXに関する開発に も⼒を⼊れており、特に⾃社内では技術を有していないMIを 活⽤した材料開発について知⾒を保有していた。東北⼤学と 連携することでこれら最先端技術の獲得を期待した ⾼等 教育 機関側 • 産学連携による⼈材育成の実現 • 企業等と連携体制の強化、繋がりの獲得 • 学⽣の、企業等における実践的な学びの受講 企画時 対経営層:特になし 対現場:現場ニーズに合致する講座内容にする必要があった 対⾼等教育機関:企業側、⾼等教育機関側の構成メン バーが共に多忙であり、企画等の打合せを開催するのに苦労 した 運営時 対経営層:特になし 対現場:講座内容の⾃社ニーズと⾼等教育機関側が望ん でいる内容のすり合わせ 対⾼等教育機関:同上 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 効果促進施策、成果、今後の展望 受講者 への フォロー アップ 実施前 事業開発部⻑が研究所⻑クラスへ昨年の共同研究の実績 を対⾯で事前説明し、受講への理解促進と受講者への動 機づけを依頼した 共同講座と⼀部連動する社会⼈博⼠号取得⽀援制度につ いて社員全員がアクセスできる社内サイトに概要を掲載し、受 講への動機づけを図った 実施中 ー 実施後 来年度の受講⽣の拡⼤のため、講義終了後、社内ポータル サイトや社内報にも共同講座の内容等について広報した ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 狙い通りの効果が得られた。受講者へのヒアリングを通じて機 械学習やMIを⽤いた新規な合⾦開発への興味が深まってい ることを感じられた。実際に講義受講者(⾃社社員)は、2023 年度には前年の同講座と⽐べ約50%増加した 受講者からの フィードバック内容、 観測された ⾏動変容 ⾃社社員:昨年度講座はMI技術の初歩的な内容が中⼼ であったが、今年度は⾃社内で取り扱っている銅合⾦を軸と した応⽤編を作成、好評であった。DX技術を利⽤した材料 開発等のセミナーや勉強会や当グループ内の⽣産技術部⾨ が⾏っている実例紹介等の横串活動への参加率も向上した 連携⾼等教育機関の学⽣:本講義は、⼯産学連携・共創 の重要性の理解や将来の職業を考える上で貴重。また、現 場体験型WSは、⼤学での実験研究との相違や共通性を認 識する絶好の機会となり、学⽣の材料開発や⼯学研究モチ ベーションの向上にも有意義なものであった ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 講座を受講する⾃社社員との交流や講義、実習の中で業界 に興味を持つ学⽣を増やすことで、⾃社内では持ち合わせて いないDX技術を有する学⽣の採⽤に繋げたいと考えている 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 受講者のうち、2022年度は1名が博⼠後期課程に在学中、 2023年度は1名が東北⼤学博⼠後期課程に編⼊学予定で あり、その後のフォローアップも進めていく計画である 88

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DOWAホールディングス株式会社×東北⼤学|DOWA×東北⼤学共創研究所 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 概要 2023年10⽉ 1.5時間×8コマ 計12時間 講義:材料科学⼯学 特 別講義 (2022年度より 継続) ①DOWAの会社紹介と東北⼤学との取組み ②⾃動⾞⽤銅合⾦材料および量産技術開発 ③④銅合⾦の基礎 と 次世代銅合⾦の開発最前線 ⑤銅合⾦薄膜の塑性変形挙動 ⑥状態図をベースとした合⾦開発 ⑦機械学習による合⾦開発 ⑧データ駆動型の新銅合⾦開発 2 2023年11⽉ 7時間×4⽇間 計28時間 実習:現場体験型ワーク ショップ (2022年度より 継続) DOWAグループの研究拠点にて、学と-企業側研究者の交流を通じ、学⽣は⼯場での モノ作りの体感と企業での試験を体験、企業側研究者は講師となることで学⽣へ教え ることによる学び直しをする機会とする。 実際に条件を振った銅合⾦サンプルを作製、評 価を⾏い、加⼯条件の違いによる特性発現のメカニズムを考察 3 2023年5⽉〜 2024年2⽉ ⾃社:135時間 ⼤学:200時間 共同研究:極薄板材の 引張試験時における破断 挙動に関する研究 (2022年度より継続) 極薄材の引張試験時における変形挙動の解明と機械特性の正確な評価⽅法の確⽴ を⾏い、将来的には評価法のJISや国際規格化を⽬指す 4 2023年5⽉〜 2024年2⽉ ⾃社:150時間 ⼤学:200時間 共同研究:新規⾼強度 ⾼導電銅合⾦ (2023 年度より新規) 機械学習による新規銅合⾦の組成を探索し、合⾦サンプルを製作、評価を実施。 機械学習に必須となる系統的かつ多量のデータ取得の実現に向け、ハイスループット実 験計測系(硬度および導電性の⾃動マッピング計測)の構築・検証に取り組んだ 1 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 89

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DOWAホールディングス株式会社×東北⼤学|DOWA×東北⼤学共創研究所 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 社会⼈博⼠号取得⽀援制度との連動: 実践的な内容の開発: 共同講座での成⻑度合いをもって、社会⼈博⼠号の取得⽀ 援を実施。講座の受講への動機づけを強化した 前年度の導⼊的な講座をブラッシュアップし、 より効果的な研究開発⼈材を育成 • 昨年度の同講座で学び直しの意義を再認識し、社会⼈博⼠号取得⽀ 援制度を社内に新設した • 同制度では、⼊学⾦、授業料、出張費などの社会⼈博⼠号取得費⽤ の全額⾃社負担及び取得に係る活動をすべて就学時間内として取り扱 う⽀援を実施する • 本講座の受講によって、新しい価値創造つながる成果を得るなどして成 ⻑度が⾼く評価された受講者については、同制度の下、社会⼈博⼠学 ⽣に選定する • 上記の内容を社員全員がアクセスできる社内ポータルサイトに掲載して周 知。実際に同サイトを⾒たことによって受講した者もいる • 昨年度の同講座では新材料開発におけるDX技術の最新動向等の導⼊ 的な内容を実施したところ、受講者から、具体的な活⽤事例の紹介や、 実際に機械学習等を活⽤して新銅素材開発をしてみたい、といった声が 挙がった • 上記を踏まえ、引き続き業界動向を紹介する講義に加え、⾃社内で取り 扱っている銅合⾦を軸とした、銅素材開発に向けた具体的な事例に関す るセミナー形式の講座を追加した • 更に、現場体験型ワークショップでは、実際に機械学習により予測された 新銅素材を製造し、その特性を評価する実践的な内容に発展させた • 社員1名は、東北⼤学内の計算技術に関係した研究室に社会⼈博⼠と して2024年度の編⼊学を予定している 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 90

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NECネッツエスアイ株式会社×芝浦⼯業⼤学|カーボンニュートラル時代の事業創造に向けた将来予測 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野 を選んだ背景と狙い ⼈ 材 開 戦 発 略 課 ・ 題 ⼈ 材 期 待 し 化て い る 変 今後の事業拡⼤に向けて、グリーン社会の実現に向けた カーボンニュートラル/エネルギーマネジメントに係る課題解 決⼒の⾼度化を⽬指す。そのためには、これまで既存事業 の現場役割を担ってきた⼈材が顧客へ情報提供をしたり、 気づきを促したりするような⼒を養うことが求められる。 本講座は、物事を多⾯的俯瞰的に捉え、顧客価値を起 点としてサービスシステムを構想・設計する事を⽬的に、 「データサイエンスとシステム⼯学⼿法」について学び、将来 のカーボンニュートラルの位置づけを踏まえながら、顕在化し ていない顧客の課題抽出・課題解決⽴案など事業に有効 な構想を創造できる⼈材を育成していく ⾃社社員 将来のカーボンニュートラル時代への取組みを⾒据え、顧客 が潜在的にかかえる課題を解決できる能⼒(コンサル⼒・ SE⼒)の向上 連携⾼等教 育機関の学 ⽣ 講座を通して事業創造を経験し、社員と交流する ⾃社社員 2030年の社会におけるカーボンニュートラルの位置づけと顕 在化していない顧客各種課題抽出および課題解決⽴案 など当社事業に有効な構想を創造する 連携⾼等教 育機関の学 ⽣ 共同講座で特に注⼒ するポイント 事業創造や企業への関⼼度向上 連携体制 芝浦⼯業⼤学システム理⼯学部 研究企画課 リサーチアドミニストレータ NECネッツエスアイ(株) 社会・環境ソリューション事業本部 基盤技術開発本部 社会・環境ソリューション事業本部 社会・環境ソリューションビジネス開発本部 産学連携担当 准教授 (常勤教員) 統括・企画 研究補助者 学⽣アルバイト 公共ソリューション営業本部 共同講座教育担当 ü⽣徒募集・選定 受講者 営業統括本部 ビジネスプロセスイノベーション推進本部 総務部 ü社内公募・選定 システム理⼯学部 学⽣ ⾃社の従業員(推薦/公募) 申込・受講者数等 属性 申込者数 受講者数 ⾃社社員 32 32 連携⾼等教育機関の学⽣ 5 5 芝浦⼯業⼤学の⾼度なシステム⼯学に関する知⾒とNEC ネッツエスアイに蓄積された膨⼤なビジネスノウハウ/データ を融合させることで、新しいコンサル⼈材育成の⼿法を確⽴ させる 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 92

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NECネッツエスアイ株式会社×芝浦⼯業⼤学|カーボンニュートラル時代の事業創造に向けた将来予測 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 連 携 の 狙 い ・ 利 点 ⼤学と社内にて包括連携契約が締結され、その契約の活動 の⼀環として検討・実施した 企業側 • ⾼等教育機関の⾼度な専⾨性や確かなカリキュラムを活 ⽤して学ぶことができる • これまで培ってきたビジネスノウハウ/ビジネスデータを提供 し、⼈材育成に活⽤できる ⾼等 教育 機関側 • 産学連携による⼈材育成を実現できる • 企業等と連携体制を強化し、繋がりを獲得できる • 学⽣が企業等における実践的な学びを受けられる 企画時 対経営層:社内関連部⾨との調整 対現場:対象の⼈選に関する調整 対⾼等教育機関:特になし(⽐較的、密な連携が取れて いたため) 運営時 対経営層:理解があり特に苦労した点はなし 対現場:受講者所属部⾨への説明、受講対象者の厳選 対⾼等教育機関:密な連携が取れたため特に苦労した点 はなし 連 課携 題に 等係 る 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 効果促進施策、成果、今後の展望 受講者 への フォロー アップ 実施前 事前説明により、⽬的や育成したい⼈材像/デザイン⽅針 を受講者にインプットした 実施中 講座の各回で受講者へアンケートを⾏い、次回開催に向けで きる限りの改善をした。 受講者から、講義で学習したスキルを実業務で活⽤したい旨 の相談があった際には、担当講師から助⾔をした 実施後 講座内で提案された事業構想案を⾃社のビジネスアイディア コンテストに応募(コンテストで評価の⾼いプランは実⽤化に 向けて活動する予定) ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 現場での実践(⾏動変容)に向けた中間指標として成果 発表会を実施した。発表から、粗削りではあるものの、事業モ デル化を企画・設計できるスキルや潜在的な課題抽出ができ るスキルの基礎が⾝につけられたと判断した 受講者からの フィードバック内容、 観測された ⾏動変容 受講者のアンケートでは全体的に好評で、「タイトな⽇程では あったが、事業⽴案時の考え⽅・進め⽅の参考になった」、 「間違いなく実践につながる」といったポジティブな意⾒が多 かった。 ⼀⽅で、座学や⽅法論だけでなく、実践過程に重きをおきた い、時間的拘束が重いといった意⾒もあった ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 将来的には他資格取得と並⾏して本講座を上位スキルレベ ルの教育として実施し、当社重点強化⼈材のテクニカルパス として活⽤することを検討。 今回の成果を踏まえ、処遇等への反映を検討する予定 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 講座終了3ヶ⽉後の現場実践度調査(アンケート・⼀部受 講者へのインタビュー)で⾏動変容の有無を測定し、今後の ⼈材育成施策に反映していく 93

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NECネッツエスアイ株式会社×芝浦⼯業⼤学|カーボンニュートラル時代の事業創造に向けた将来予測 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 概要 1 2023年9⽉ 3コマ 計7.5時間 講義(座学) データサイエンスとシステム⼯学の知⾒を活⽤して課題解決を構想する⽅法論を学習し た 2 2023年10〜11⽉ 3コマ 計12時間 PBL(ワークショップ) 講義(座学)で学んだ知識・分析法等を活⽤して、2030年におけるカーボンニュートラル 領域での事業の在り⽅を構想するPBLに取り組んだ 3 2023年11⽉ 1コマ 計3時間 成果発表会 抽出した課題と解決策を実際の業務に反映し実現の可否を深掘りした 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 94

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NECネッツエスアイ株式会社×芝浦⼯業⼤学|カーボンニュートラル時代の事業創造に向けた将来予測 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 実践を意識した講座設計と継続的な改善: 現場での実践度を確認: 受講者が実践につなげられることを⽬指して講座内容を 設計し、講座実施中も受講者の声を取り⼊れた 講座の内容が受講者の現場での実践・⾏動の変化につな がったかを確認するために、段階的に達成状況を測る • 受講後に実際に活⽤できるアイデア、思考法・⽅法論、ネットワークを提 供することを意識し、以下の取組みを講座に取り⼊れた ü 全体デザイン反転学習、座学+演習 ü PBL ü 参加者の全員の個性を活かした協働学習 ü 芝浦⼯業⼤学⽣の参加、ワールドカフェの開催 ü 次のビジネスを実際に考えてみる(成果報告会で発表) • 講座実施中も受講者の声を反映できるよう、座学とPBLでは、各回終了 後に毎回アンケートを取得し、次回開催に向けできる限りの改善をした • また、受講者から講義で学習したスキルを実業務で活⽤したい旨の相談 があった際は、担当講師が助⾔を⾏い、すぐに実践へ結びつけるができた 出所)事業者への聞き取り調査、書⾯調査、提出された実績報告書より作成 • 講座では「⾃社が今後取組むべき事業のモデル化を先導して企画・設計 ができる」 、「将来発⽣するであろう課題の抽出が⽇常的にできる」 といっ た⾏動変容がおきる事を⽬指した • 今後、講座終了3か⽉後に現場実践度の確認として、アンケートを実施 するとともに、選抜者へのインタビューを実施する予定である。これにより⾏ 動変容の有無を定性的に確認し、今後の⼈材育成施策へ反映していく • アンケートやインタビューでは、「現場実践度」 「⾏動変容の有無(定 性)」 「業務に反映できた経験・エピソード」を確認する想定である • 講座内では中間指標として成果発表会を実施し、その時点での達成状 況を把握した。成果発表会の内容からは、粗削りではあるものの、事業モ デル化を企画・設計できるスキルや潜在的な課題抽出ができるスキルの基 礎が⾝につけられた 95

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シナノケンシ株式会社×信州⼤学|デジタル⼈材育成共同研究講座(ASPINA) 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野を 選んだ背景と狙い ⼈ 材 開 戦 発 略 課 ・ 題 ⼈ 材 ⾃社の主⼒事業は厳しい価格競争に晒されており、価 格競争⼒がある競合他社と性能⾯での差別化を図りつ つ、業務の効率化を進め、市場での競争⼒を維持するこ とが求められる。これらを実現する⼈材として、①付加価 値を⾼められる分野へ参⼊するために機械学習等に精 通し⾼度な設計を⾏える⼈材や、②既存市場で競争⼒ を維持する為に保有する各種データを有効に活⽤して業 務効率化を進められる⼈材が必要となる。 これらの背景から、共同講座を通じて、データサイエンスや AIのスキル、⾼度な制御設計技術、社内外の⼈と技術 的な内容について円滑にコミュニケーションを取れるスキル の習得を⽬指す ⾃社社員 データサイエンスが使える⼈材を育成して、業務の効率化 と新しい技術の実装をすることで⾃社の競争⼒を向上さ せ、売上/利益向上に繋げる 連携⾼等教育 機関の学⽣ 学⽣に対する⾃社の知名度を向上させ、デジタル⼈材活 躍の場があることを周知すること ⾃社社員 データサイエンスを使って何ができるかを理解し、データサイ エンスを適⽤して新しい価値の創出ができるようになる 連携⾼等教育 機関の学⽣ 事例の学習を通じて、将来の技術者としての姿を想像で きるようになる。また、学びへのモチベーションにつなげる 共同講座で特に注⼒す るポイント 本共同研究講座は2022年に設置したもので、学習した 技術を製品に実装するという成果も出た。⼀⽅で、実施 後アンケートでは課題解決型学習で理解を深めたいと⾔ うフィードバックが多かったため、今年度は実務に関わる課 題解決型学習を増やすことを改善点として注⼒する 期 る待 変し 化て い 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 連携体制 信州⼤学⼯学部 責任教員 教授 シナノケンシ(株) (ASPINA) 担当教員(特定雇⽤) 准教授 (専任教員) 担当教員(特任) 特任教授 総務本部 副本部⻑ 総務本部 IT改⾰推進部 部⻑ 開発技術本部 本部⻑(企画/統括) 協⼒教員 教授 教授 教授 准教授 准教授 助教 総務本部 ⼈事課 総務本部 IT改⾰推進部 DX推進係 (社内企画) 相互教育 受講者 常務 (総責任者) シナノケンシ(株)社員 ※2022年度受講者からDX推進専任者を設置 信州⼤学⼯学部学⽣ 申込・受講者数等 属性 申込者数 受講者数 ⾃社社員 68 68 連携⾼等教育機関の学⽣ 120 120 97

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シナノケンシ株式会社×信州⼤学|デジタル⼈材育成共同研究講座(ASPINA) ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 連 携 の 狙 い ・ 利 点 2019年に信州⼤学⼯学部と包括連携協定を締結し、相互 教育や共同研究に取り組んでいたところ、信州⼤学⼯学部 より包括連携協定を発展させて共同講座を設置する提案を 受けた。経営層も最新のデジタル技術を活⽤して新しい価値 を創出できる⼈材の育成を⾏う必要があると考えており、共 同研究と相互教育に加えてデータサイエンスの教育を盛り込 む形で2022年に共同研究講座を設置した 企業側 • ⾃社に不⾜している技術を体系的に学ぶことができる • ⼈材育成の為の適切な教材を獲得できる • 学⽣に対する認知度が向上する ⾼等 教育 機関側 • 企業等と連携体制の強化、繋がりの獲得 • 学⽣の、企業等における実践的な学びの受講 企画時 対経営層:短期的には利益を⽣まない活動である⼀⽅で、 ⼀定の出費と別途⼯数が必要となることに対して理解をして もらうこと 対現場:各部⾨から受講者を選定してもらい、通常業務を ⽌めて、教育に参加してもらう時間を確保すること 対⾼等教育機関:参加教員・役割や、企業から派遣する 特任教授の報酬の⽀払い⽅法等の調整 連 課携 題に 等係 る 運営時 対経営層:⼈材の育成はすぐに収益に貢献できない為に経 費の負担の根拠や得られる利点を合意してもらうこと 対現場:受講者の選出や教育時間の捻出、⽇常の業務と 教育時間の調整に協⼒してもらうこと 対⾼等教育機関:講座内容の調整 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 効果促進施策、成果、今後の展望 受講者 への フォロー アップ 実施前 ⾃社社員には、受講前に講座の⽬的や進め⽅を事前説明 実施中 ⾃社社員が参加する講座で、受講者以外の社員を専任者 として設置し、講義の前後でフォローの会を実施したり、確認 試験に⽴ち会ったりした。さらに、⼀部の講座では、個⼈毎に 進捗を確認し、学習が進むようフォローした 実施後 理解度や定着度、難易度、その他改善点や講座内容を適 ⽤可能な実務についてアンケートで確認 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 受講者からの フィードバック内容、 観測された ⾏動変容 制御講座では、製品の課題について検討し、講座の成果を 今後⼀部製品のシステムへ実装する予定 DE/DS講座では特にPBLを通して学んだことを実際の業務改 善に活かすよう、社員同⼠が議論できるようになった オンデマンド型のDE/DS講座で、講座内容や難易度、今後の 活⽤場⾯についてアンケートを実施し、受講者が内容に満⾜ し、難易度も丁度良いことが確認できた。ただし、理系社員 以外では難しいとする様⼦もあり、今後の課題として検討する。 活⽤場⾯についても様々な意⾒があり、これまでとは違った視 点を社員に与えることができ、新たな解決策が考えられている ことがわかった。なお、PBL形式の講座でも、受講者が学んだ ことを実務に活かしていた ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 学⽣からの応募数が増えた。 ⾃社社員に関しては、⼿当の追加や昇進等を検討している が、講座への参加だけで判断することは難しい。スキルを活か せる社員を適正に配置して昇給や昇格などに繋げて⾏きたい 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 受講者に対し、アンケートやインタビューを実施し、企業担当 者や⼤学教員で振り返りを⾏う 98

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シナノケンシ株式会社×信州⼤学|デジタル⼈材育成共同研究講座(ASPINA) 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 概要 1 2023年4⽉〜7⽉ 12時間 先端産業論 学⽣に向けの講義で、主に開発設計時の課題の克服事例の紹介と課題克服に活⽤ した⼯学的な技術や分析⽅法の講義 2 2023年5⽉ 〜 2024年2⽉ 16時間 制御講座(PBL) 社内の課題を持ち寄り、昨年度までに座学やPBLで学んだ知識を使って、適時教員から 助⾔や指導を受けながら、受講者で解決策を考える課題解決型講座 3 2023年6⽉ 〜 2024年1⽉ 16時間 DE/DS講座(PBL) 社内でDE(データエンジニアリング)/DS(データサイエンス)の技術と社内保有のデー タで解決できそうな課題を持ち寄り、教員と共にデータの分析やA Iの活⽤⽅法などを試 しながらこれまでの座学で学んだ知識を定着させる為の課題解決型講座 4 2023年12⽉ 〜 2024年2⽉ DE講座:30時間 DS講座:25時間 DE/DS講座 (オンデマンド) DE及びDSの基礎について、信州⼤学のオンライン学習システムを活⽤して、⾃社社員が 業務の隙間時間を活⽤して学べるようにした講座で、データの取り扱いの基礎から様々 な分析⼿法とその理論についての学習を実施 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 99

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シナノケンシ株式会社×信州⼤学|デジタル⼈材育成共同研究講座(ASPINA) 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 受講者の実感を踏まえた講座の改善: 実務につなげる活⽤機会の仕掛け: 継続実施だからこそ、毎年の受講者の声を次年度の 講座に活かせる ⼤学教員との連携という機械を活かし、講座の⼀環で学びを 実践レベルに引き上げる • 本講座は2022年度より実施している。2022年度実施分についても、実 施後に受講者へのアンケートを実施し、課題としてあげられた点を今年度 の講座に取り⼊れた(詳細は以下の通り) ü 学⽣向けの講座でグループワークを取り⼊れ、⾃分たちで考える時 間を増加 ü オンデマンド講座を社員が業務のスキマ時間に視聴できるよう、短 時間に分割 ü 昨年度実施したオンデマンド講座にPBLを追加 • なお、新たにPBLを追加した講座では、企業・⼤学ともに⼿探りではあった が、両者で議論を重ね、お互いにできること(企業からは検討課題の提 供/⼤学は受講者の議論相⼿)を探り設計した • グループワークやPBL等、実践的な講義内容を盛り込んでいる • 昨年までの講義の発展として、実務的な課題解決を⽬的に⻑期的な研 究活動を実施した。⾃社社員、教員、学⽣が参加し、期間中に中間報 告と最終報告を各4時間対⾯で実施した。進捗報告・確認会も定期的 に実施した • 参加者は限られるものの、学んだことを試すことができるため、講義で学ん だ知識を実践的な能⼒に引き上げることができた • 今後も、受講者向けアンケートも通じて、実務に適⽤可能なテーマの提案 を受け付け、次年度以降のPBLで⽤いるのに適当と考えられる課題を受 講者のアイディアからも拾い出していく • 今年度も全ての講座において受講者に対して理解度や定着度、難易度、 その他改善点の提案、適⽤可能な実務の提案などのアンケートを実施し 次年度以降の講座の内容に反映させる • また、今後はインタビューも実施する予定。企業担当者や⼤学教員で振り 返りを⾏い、次年度の⼈材育成活動につなげる 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 100

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テクニウム株式会社×北九州⼯業⾼等専⾨学校|⾼等専⾨学校におけるデジタルものづくり実践講座 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野を 選んだ背景と狙い 機械加⼯業界はデジタル化が進み、先端⼯作機械を含 むデジタル化された⽣産設備へと⼤きく変化している。こ れに対応するための⼈材育成プログラム整備が遅れてお り、OJT依存度が⾼い。⾼専においては、NC⼯作機械等 の活⽤率が低い。まずは先端⼯作機械に⾼専⽣が触れ る機会を増やすことが重要となっている ⾃社社員以外 の社会⼈ 上記背景より、先端⼯作機械に関する⼈材育成に課題 がある企業が多いという仮説があった 連携⾼等教育 機関の学⽣ NC⼯作機械、特に最先端の5軸加⼯機や複合加⼯機 の学⽣利⽤率が低く、教育機会が不⼗分であった 連携⾼等教育 機関の教員、 技術職員 上記を実施する上では教員や技術職員のリスキリングも 重要。実際に授業でNC⼯作機械を教える際の体系化 された教材がなかったため、合わせて解消を図った ⾃社社員以外 の社会⼈ 各社に戻り、先端⼯作機械や⾃動化ロボットの便益を 上司に説明できること。経営者の場合は便益を⾃社の利 益に置き換えて説明できること 連携⾼等教育 機関の学⽣ ⼯作機械業界に対する認知の改善(3Kの職場ではな い等)。NC⼯作機械や⾃動化ロボットに対する⼼理的 障壁の軽減。⾃学でのNC⼯作機械活⽤への意欲向上 連携⾼等教育 機関の教員、 技術職員 NC⼯作機械や⾃動化ロボットの便益を学び、学⽣に説 明できること。当社教材の授業内利⽤⽅法を実⾏できる こと 上記の⽬標に向けて特 に重要なプログラム(講 義、実習等) 技術を学んでもらうだけでなく、先端⼯作機械の実加⼯ に取組む機会を提供することで、実践⼒の向上を促す。 さらにデジタル教育コンテンツの開発に⼒を⼊れ、講座内 で効果的に活⽤する ⼈ ⼈ 材 材 開 戦 発 略 課 ・ 題 期 待 し て い る 変 化 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 連携体制 北九州市 北九州⾼専 部⻑ 教授 課⻑ 研究員 ü 受講者 募集 ü ビジネス スクール 運営委託 の み DMG森精機(株) GP⻑ 社員 社員 ü 連携 ü eラーニングプラットフォーム提供 ü eラーニングコンテンツカスタマイズ インターン (株)富⼠通ラーニングメディア ü 講師派遣 北九州⾼専学⽣ 北九州ビジネススクール ü 講師リソース・教育コンテンツ提供 ü 会場貸与 執⾏役員副社⻑ ü 連携・ 事務委託 事務補佐員 技術補佐員 全 授 受 業 講 遠 者 隔 テクニウム(株) ⼀関/秋⽥/仙台/東京/⽊更津/⻑野/岐⾩/奈良/舞鶴/⽶⼦/ ⾼知/⾹川/久留⽶/熊本/⿅児島 北九州⾼専学⽣ 申込・受講者数等 属性 申込者数 受講者数 ⾃社社員以外の社会⼈ 10 9 連携⾼等教育機関の学⽣ 175 175 連携⾼等教育機関の教員、 技術職員 5 5 102

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テクニウム株式会社×北九州⼯業⾼等専⾨学校|⾼等専⾨学校におけるデジタルものづくり実践講座 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 連 携 の 狙 い ・ 利 点 連 携 に 係 る 課 題 等 企業側 ⾼専機構の「Society5.0型未来技術⼈財」育成事業 (COMPASS 5.0)の⼀環として、機械加⼯教育のデジタル 化を2020年から試⾏しており、年に何度か授業も実施してい た。2022年から⾼専⽣のNC⼯作機械に対する⼼理的障壁 についての調査も実施しており、各種の課題認識が重なった ⾼等教育機関の中で⼯作機械業界の現状を基にした授業 を展開するためのきっかけづくりとなった。また、教育プログラム への学⽣ニーズについて、⾮常に把握しやすくなった ⾼等 教育 機関側 • 産学連携による⼈材育成の実現 • 企業等と連携体制の強化、繋がりの獲得 • 学⽣の、企業等における実践的な学びの受講 企画時 対経営層:企画初期に持続可能な事業を意識して、内部 リソースを最⼤限活⽤するよう課題設定を受けた。また、⾼専 ⽣や学校に対してインセンティブを感じてもらえるような事業設 計をするようにという期待も受け、上記両者を達成すべく、⾃ 社の⾼専出⾝者や⾼専教員等にヒアリングを重ね、企画を ⾏った 対現場:本社のリソースを借りるケースがあり、座組の調整に 苦労した 対⾼等教育機関:特になし。すでにリレーションができており、 問題なく調整できた 運営時 対経営層:特に課題は発⽣なし 対現場:実際の授業実施期間より、それ以前の各学校およ び各⽣徒・教員と現場間の調整に⼤きな⼯数が⽣じた 対⾼等教育機関:各⾼専でルールやインターンシップ認定の 条件が異なり、その確認に苦労した 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 効果促進施策、成果、今後の展望 受講者 への フォロー アップ 実施前 まず集中講義を実施して動機づけ。その後、実習授業に参 加する前に学びを深められるようeラーニングを⽤意 実施中 2泊3⽇の合宿授業では⼯場⾒学や先輩社員講話などを実 施し、学んだ内容と⾼専⽣の溝を埋められるよう試みた 実施後 採⽤関連の情報提供などを実施したほか、事後アンケートを 実施 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 共同講座を通じて、デジタル技術を活⽤したものづくりに必 要な知識・スキルを持った⼈材を育成。⾼専およびDMG森 精機本社からの評価も⾼く、受講者の実践的な技術⼒向 上が確認された 受講者からの フィードバック内容、 観測された ⾏動変容 多くの学⽣がデジタル技術の学習への関⼼を深め、⾃主的な スキルアップやプロジェクトへの積極的な参加が⾒られた。こ れは、学⽣の学習意欲と⾏動変容を促したことを⽰している。 受講者からは、講座の内容の実践性の⾼さと、就職活動や キャリア形成に役⽴つ具体的なスキルが学べた点に対して肯 定的なフィードバックが多数寄せられた ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 受講した学⽣のうち、就職活動で⼯作機械業界を志望する と多く回答。実際に⼈事メーリングリストに登録や、選考の出 願をした学⽣もいた 修了者は、デジタル化が進む産業界において⾼いニーズがある ため、将来の⼈材確保と産業界全体の競争⼒強化につなが ることが期待される 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 講座を通じて全7つのアンケート・レポートを実施し、学⽣の学 びや態度、感じ⽅がどのように変化したのかを調査した。初期 は50%の学⽣がNC⼯作機械の操作経験がないと回答して いたが、98%の学⽣が興味を持った状態で講座を終えること ができた 103

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テクニウム株式会社×北九州⼯業⾼等専⾨学校|⾼等専⾨学校におけるデジタルものづくり実践講座 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 概要 1 2023年8⽉ 4.5時間×7回 ①-1:サマーインターンシップ a. 集中講義 動機づけの講義 2 2023年8⽉ 8時間(各⾃) ①-1:サマーインターンシップ b. デジタルアカデミー 各⼈による⾃⼰学習 3 2023年8⽉ 2.5⽇×8回 ①-1:サマーインターンシップ c. 実習授業 加⼯・操作を含む実習 4 2023年12⽉ 〜2024年2⽉ 4.5時間 ①-2:デジタルものづくりオンライン体験 a. 集中講義 動機づけの講義 5 2023年12⽉ 〜2024年2⽉ 8時間(各⾃) ①-2:デジタルものづくりオンライン体験 b. デジタルアカデミー 各⼈による⾃⼰学習 6 2023年6⽉ 〜2024年2⽉ 4.5時間×3回 ②実証実験(共同研究) ⼼理的障壁の解明、VRコンテンツ・⾃動化システム教材の開発、 ライブラリ開発 7 2024年1⽉ 4.5時間×1回 ③社会⼈向け講座 ①-2の⾼度版 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 104

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テクニウム株式会社×北九州⼯業⾼等専⾨学校|⾼等専⾨学校におけるデジタルものづくり実践講座 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 事前調査に基づく課題の特定: 共同研究を通じた横展開への仕掛け: 事前調査を通じて、⾼専⽣の現在の学びについての課題を 特定し、それを解決するためのプログラムを検討 個⼈体験⽤VRコンテンツや掘り下げ学習⽤コンテンツなどを 開発し、他⾼専等への学びの横展開を推進 • 本講座の実施前から、⾼専⽣のNC⼯作機械に対する⼼理的障壁につ いての調査を⾼等教育機関と共同で実施。 「⾼専⽣の学ぶ汎⽤機と、 加⼯現場で主流のNC⼯作機械には⼤きな乖離がある」点が主要な課 題となっていることを特定していた • そこで、本講座の開発にあたっては⾼等教育機関と緊密に連携。産業界 の最新技術を反映させるとともに、学⽣ニーズにも合わせたカリキュラムとし た。これにより、理論と実践の融合による効果的な学習を実現した • 例えば、①-1サマーインターンシップにおいては、まず集中講義(オンライ ン)で動機づけを強化。その後、eラーニングによる⾃学⾃習を経て、2.5 ⽇間の実習において操作体験を実施した これらにより、⼀連の機械加⼯やロボット操作の流れを習得するとともに、 講座終了後もそれらの先端機器に興味を持ち続けてもらうことを促した 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 • 共同研究を通じて、NC⼯作機械に対する⽇本の⾼専⽣の⼼理的障壁 の解明と、学習コンテンツの開発を進めた • 具体的には、最新のNC⼯作機械を⼿軽に個⼈で体験できるVRコンテン ツeラーニング「切削加⼯安全確保VR」や、⼯程集約・⾃動化・デジタル 化に強い関⼼を頂いた学⽣の掘り下げ学習に⽤いるeラーニング「⾃動化 ベーシック」、各⾼専のレベルや事情に応じたコース設計が可能な「⾼専専 ⽤eラーニングライブラリ集」の開発を進めた • VRコンテンツについては、共同講座においても⾼専⽣に利⽤してもらい、コ ンテンツ品質改善のための評価を実施した。その後、正式版の開発に着 ⼿している 105

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JR⻄⽇本SC開発株式会社×阪南⼤学|バイオメトリクスセキュリティとLTVモデリング共同講座 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野を 選んだ背景と狙い 連携体制 ポイントサービス事業で集積されたビッグデータを活⽤して 顧客のLTVを向上させること、さらに、バイオメトリクスを活 ⽤してシームレスかつ安⼼・安全なサービス提供が可能と なる仕組みを構築することが事業課題となっている。 そこで本講座では、①ビッグデータをマーケティングに活⽤で きる⼈材、②ITを活⽤したセキュアなサービスの導⼊・運⽤ が可能な⼈材の育成を⽬標とする 阪南⼤学 AIデータサイエンス教育研究所 JR⻄⽇本SC開発株式会社 教授 産学連携担当 ⾃社社員 競争がボーダーレスに激化する中、⾃社のLTVを更に⾼め ていくためには、新たなデジタルツールの開発・導⼊が必要 であり、それに資する⼈材育成が求められている い期 る待 変し 化て ⾃社社員 顧客起点で提供するべき価値を明確にし、それを実現す るために最適なデジタルツールを開発・導⼊できるようにな ること 上記の⽬標に向けて特 に重要なプログラム(講 義、実習等) 社内独⾃のビッグデータを活⽤し、実際に社内で進む各 プロジェクト(AIレコメンドシステム、AI混雑予測サービス、 静脈認証決済プラットフォームに係る実証実験)の進捗 に合わせて講座を運営 さらに、データを活⽤したロイヤルカスタマーの発掘について、 社員と学⽣によるディスカッションを実施 また、IoT機器開発による独⾃データの収集体験や、バイ オメトリクス認証システムを実際に⽤いたセキュリティの検 証体験を提供する 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 ü ビッグデータAI解析システム 構築⽀援 バカン ⼈流分析チーム 企画・統括 情報通信研究機構 サイバーセキュリティ 研究所 TA ü ⽣徒募集・選定 開略 発 ・ ⼈ 課 ⼈材 題 材戦 フライウィール AIデータ解析チーム 受講者 阪南⼤学学部⽣ JR⻄⽇本グループ 内連携担当 ü ⼈流分析IoTサービス導⼊ ⽀援 関係会社 連携担当 富⼠通 &service事業本部 ü バイオメトリクス認証システ ム導⼊⽀援 ü 社内公募・選定 ⾃社の従業員(推薦/公募) 申込・受講者数等 属性 申込者数 受講者数 ⾃社社員 14 14 連携⾼等教育機関の学⽣* 14 14 * 学⽣の参加は当初想定していなかったが、講座を運営するにあたり、講義(ビッグデータ 分析、IoT機器開発 等)への参加があった 107

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JR⻄⽇本SC開発株式会社×阪南⼤学|バイオメトリクスセキュリティとLTVモデリング共同講座 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 連 携 の 狙 い ・ 利 点 企業側 ⾃社の開発戦略部⻑が当該⾼等教育機関の⾮常勤講師 を務めており、担当教員との個⼈的な接点があった。開講1 年前からDX導⼊に関する助⾔を受けており、その後に具体的 なデジタル施策が明確になったこともあり、⼈材育成プログラム について具体的な検討を開始した 消費者の価値観・ニーズの変化や産業構造・競争環境変化 が加速度的に進む中、従来産業の枠組みでは解決できない 課題が顕在化しており、DXの導⼊等、産業横断的な新たな 解決策が望まれている。その中で、産業外のノウハウを⾃産 業へ最適に活⽤する際に必要な専⾨的な知⾒を得ることが でき、最適なプロダクトの創出につながった ⾼等教育 機関側 学⽣に対する、企業等における実践的な学びの受講 企画時 対経営層:特になし 対現場:共同講座参加社員のみ加点される制度は平等性 に⽋けるため、他の業務同様、参加社員の⽬標設定に取り ⼊れ、達成度合いに応じた評価を⾏うべきとの議論があった 対⾼等教育機関:特になし 運営時 対経営層:当時、社会的に、コロナ関連の給付⾦等につい て不正受給が取りざたされていたこともあり、意図せずとも不 正受給が疑われるリスクがあるのであれば、無理をして申請す る必要はないのではないか、との議論があった 対現場:特になし。むしろ専⾨家に相談できる絶好の機会 であり、歓迎された 対⾼等教育機関:スケジュールがイレギュラーになってしまい、 かつ、現場で発⽣している課題についてのリアルタイムでの議 論が多くなったことから、かなりの臨機応変な対応をお願いし てしまった 連 課携 題に 等係 る 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 効果促進施策、成果、今後の展望 受講者 への フォロー アップ 実施前 全ての受講者に対して、上司との1on1ミーティングを実施 実施中 現場で進むプロジェクトについても頻度⾼く進捗確認し、共同 講座の内容と丁寧に紐づけた 実施後 2024年4⽉初旬に再度1on1ミーティングを実施し、各⾃の⽬ 標達成⽔準を確認したうえで評価を⾏っていく予定 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 協⼒会社の⾼度な専⾨性を理解し、伍して議論し、主導で きるまでの知識を⾝につけることができ、プロジェクトを着実か つ最適に推進することができた。特に、座組が複雑化するプロ ジェクトにおいて、セキュリティリスクを理解し、その対策について、 協⼒会社と具体的に議論できるようになった 受講者からの フィードバック内容、 観測された ⾏動変容 「何が分からないか分からない」状態から、何をどのように専⾨ 家に相談すれば良いかが理解できる状態になった。その結果、 専⾨家の指導を仰ぎつつ、協⼒会社との会議において、的を 射た指摘や質問、指⽰が積極的にできるようになった。 なお、プロジェクトに関する協⼒会社との会議には上司が出 席し、上記の⾏動変容を確認した ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 直接の採⽤にはつながっていないが、⾃社や当産業に興味を 持つ学⽣は複数いた 実証実験を進めているプロジェクトにおいて、今回の共同講座 で得た知識・ノウハウを如何に発揮していくのか、今後も各⾃ の⽬標設定とそれに基づく⼈事評価に紐づける。⾃社の持 続的発展に貢献したと判断できる社員については昇給、昇職 を検討していく 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 1on1ミーティングを実施し、各⾃の⽬標達成⽔準を確認した うえで評価を⾏っていく 108

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JR⻄⽇本SC開発株式会社×阪南⼤学|バイオメトリクスセキュリティとLTVモデリング共同講座 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 概要 1 2023年10⽉31⽇ 〜2024年2⽉29⽇ 研究 5時間 ビッグデータ分析研究 (株)フライウィールと推進するAIビッグデータ解析に関する研究 2 2023年9⽉26⽇ 〜2024年2⽉21⽇ 研究 11時間 ⼈流データ解析・IoT機器開発研究 (株)バカンと推進する混雑予測システム開発に関する研究 3 2023年9⽉28⽇ 〜2024年2⽉15⽇ 研究 4時間 セキュリティ研究 (株)富⼠通と推進する静脈認証決済プラットフォーム構築に関する研究 4 2023年10⽉20⽇ 講座 2時間 ビッグデータ分析講座 (株)フライウィールと推進するAIビッグデータ解析システム開発PoCに基づくビッグ データ分析講座 5 2023年11⽉1⽇ 講座 2時間 IoT機器開発講座 (株)バカンと推進する混雑予測システム開発PoCに基づくIoT機器開発講座 6 2023年12⽉1⽇ 共同研究 2時間 セキュリティ技術講座 (株)富⼠通と推進する静脈認証決済プラットフォーム構築PoCに基づくセキュリ ティ技術講座 7 2024年1⽉12⽇ 実習・共同研究 2時間 ⼈流データ解析実習 (株)バカンと推進する混雑予測システム開発PoCに基づく⼈流データ解析実習 8 2024年2⽉7⽇ 実習 2時間 セキュリティ実践実習 (株)富⼠通と推進する静脈認証決済プラットフォーム構築PoCに基づくセキュリ ティ実践実習 9 2024年2⽉29⽇ 実習・共同研究 2時間 ビッグデータ分析実践実習 WESTERアプリレビューのテキストマイニング実習を踏まえた、AI解析を⾏う上でのあ るべきアルゴリズム選定実務 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 109

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JR⻄⽇本SC開発株式会社×阪南⼤学|バイオメトリクスセキュリティとLTVモデリング共同講座 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 実プロジェクトに紐づけた実践的な学びの提供: 受講者への丁寧なフォローアップの実施: 業務として進めている実証実験プロジェクトの進捗に合わせて 講座を進め、業務に直結した実践的な学びを獲得 講座実施前、実施後に全ての受講者と上司が1on1ミーティン グを実施し、⽬標設定とその達成状況を確認 • 単に⾼度専⾨⼈材を育成するに留まらず、⾃社事業において新たな価値 を⽣むデジタル製品開発を⽬的としたことから、複数の実証実験プロジェ クト(AIレコメンドシステム、AI混雑予測サービス、静脈認証決済プラット フォーム)の進捗に合わせ共同講座を開催した • 全て受講者に対して、開講前に上司との1on1ミーティングを実施。その中 で、各受講者への意識づけを改めて⾏うとともに、今回の共同講座にて ⾝につけるべきスキル、期待する効果等を各⾃の⽬標に取⼊れることで、 ⼈事評価項⽬の⼀つとして設定した • プロジェクトを進めるうえで次々に顕在化する課題への対応や、協⼒会社 との協議等の実務をベースに共同講座を開催することで、社員のモチベー ションを向上しつつ、業務に直結した実践的な学びやスキル、ノウハウを⾝ につけることができた • 今後、改めて1on1ミーティングを実施し、各受講者の取組み実績や⽬標 達成状況を確認したうえで評価を⾏っていく予定としている • また共同講座の実施中においては、現場で進む実証実験プロジェクトにつ いても頻度⾼く進捗確認し、講座の内容と丁寧に紐づけることを意識した • 成果として、協⼒会社の⾼度な専⾨性を理解し、伍して議論し、主導で きるまでの知識を⾝につけることができ、プロジェクトを着実かつ最適に推進 することができた。専⾨家の指導を仰ぎつつ、協⼒会社との会議において、 的を射た指摘や質問、指⽰が積極的にできるようになるなど、具体的な ⾏動変容が⾒られた 出所)今年度採択事業者(担当者)アンケート、提出された実績報告書等より作成 110