多様性を、感情負債を生まない構造で実装する

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January 22, 26

スライド概要

多様性を「揃えること」や「強制すること」で実現しようとすると、
納得できない判断や言語化されない違和感が、感情負債として蓄積していく。

本スライドで扱ったのは、
人を揃えず、感情に説得せず、流れと主流を可視化することで共存を成立させる構造設計である。

重要なのは、全員を同じ場所に留めることではなく、
「今どこが主流か」を示し続け、各人が自分の速度で参加できる余地を残すこと。

多様性は理念ではなく、感情負債を生まない“構造”として実装できる。

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好きなときに好きなことに対してコミットしています。月に40、50冊の本を分野に関係なく読んでいます。ソフトウェアエンジニアしてますが、知の探索が専門領域です。 https://after12am.carrd.co/ 過去スライド https://speakerdeck.com/after12am

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各ページのテキスト
1.

多様性を、感情負債を生まない構造で実装する NIKKEI - Satoshi Okami

2.

はじめに 多様性を、どう現場で実装するか? ● 日経のバリュー・パーパス・ミッションにも「多様性」がある ● 一般的に、多様性は理念として語られる 独立 クオリティー 先進性 多様性 Independence Quality Innovation Diversity 何者にも阿らず、事実に基づき公正な報道を行う 提供する全てのものにおいて、社会やユーザーの クオリティーを高め続けるため、新たな技術や発想 誰にとっても公正な組織であるとともに、多様で豊 日経の根幹。報道以外の事業でも重要な前提。 ニーズに応えられる高い水準を維持する姿勢。 を積極的に取り入れるイノベーションの精神。 かな発想力を持った柔軟な組織に変わる決意。 👉 多様性をスローガンで終わらせず、現場に実装する話をします。 2

3.

そもそも多様性とは何か? 多様性 = 違いが存在する状態 ● スキル差 ● 関心度の違い ● 職能の違い ● キャッチアップタイミングの違い ● 意見・価値観の違い ● 自発的に発言する人/求められて発 ● キャッチアップ速度の違い 言する人 👉 違いがあること自体は、問題でも悪でもない 3

4.

違いがあると、現場では何が起きるか? 違いは、摩擦・コンフリクトを発生させる。 👉 違いそのものより、「どう揃えるか」が問題になり始める 4

5.

よくある解決策|AかBかで決める 例①|スキル差・役割の違いの場合 例②|価値観・目的の違い ● 属人性はリスクだ ● 心理的安全性のために雑談したい ● 同じレベルで動いてほしい ● 生産性のために雑談したくない 👉 じゃあ、全員フルスタック 👉 じゃあ、雑談はやめよう/雑談しよう 👉 一方に揃えると、もう一方は「感情負債を飲み込む」ことになる 5

6.

二元論が生む、感情負債という問題 感情負債(Emotion Debt)とは 雑談を「する/しない」で決めた場合 チームの意思決定には従うが、内心 ● 雑談したい人:満たされる では納得していない状態 ● 雑談したくない人:飲み込む ● 言語化されなかった違和感 次の会議でも、同じ構図が発生する ● 行動は合意、感情は未合意 👉 感情負債が“反復生成”される設計 ● 👉 二元論の問題は、感情負債が未精算のまま積み重なる構造にある 6

7.

環境変化の速度が、人の適応速度を上回り始めている 2020年代:環境変化は加速している。学習設計が「全 員同時」に揃えたままだと? 変化の高速化は、感情負債の「蓄積 レート」を引き上げる 2000年代:職域が比較的安定し、分業前提 の「揃える設計」が機能していた時代 👉 変化の速さそのものが、人の流速差を拡大させている ※ 人の流速差 = 人の理解・習熟・心理的適応が進む “速さの差” 7

8.

「揃えようとする設計」が破綻し始めている 揃えようとする設計の限界 ● 同じタイミングで ● 同じ理解度で ● 同じスキルを 全員に求める設計は、環境変化の速い状 変化が緩やかな方が「揃いやすい」 況とズレ始めている 👉 環境変化の高速化は「揃えようとする設計」の歪みを拡大する 8

9.

水脈設計(解決策) 時間差のある多様性を扱う構造な解決策 解いている問題 構造的な解き方 ● キャッチアップ速度の違い ● 時間差を前提にする ● キャッチアップタイミングの違い ● 同時・同レベルを要求しない ● 関心・成熟度の違い ● 上流で試す人/後から合流する人を 許容する 👉 時間差のある多様性(違い)を、本流・支流 の水脈設計で扱う 9

10.

期末には全員AIバイブコー ディング AI開発浸透事例 スプリントレトロスペクティブ 2025 4Q(10月-12月)振り返り会 環境圧で人は行動 変容する 2025 2Q(4月-6月)振り返り会 2025 目標設定ワークショップ 人は周囲の環境に影響を受 スプリントレトロスペクティブ けて、行動変容する生き物 期初はAI開発のことなんて誰 もよくわからなかった 単純接触効果 スプリントレトロスペクティブ 👉 揃えにいかず、「今どこが主流か」を可視化し続ける設計が重要 10

11.

雑談する/しないは、目的の二面性で解決する 同時に存在する多様性を扱う構造な解決策 解いている問題 ● 価値観・意見・快/不快の違い 構造的な解き方 ● 雑談の例 ● 会議の合間に「休憩のタイムボック ス」を組み込む 雑談したい人/雑談したくない人 ● 休憩中は雑談してもいい/休憩しても いい 👉 同時に存在する多様性(声)を、共存できる構造で扱う 11

12.

まとめ|多様性を現場で機能させる設計指針 構造的な解き方 ① 時間差が生まれる多様性の設計指針 ● 上流で試す人/後から合流する人 が共存できる構造をつくる ② 同じ時間を共有する多様性の設計指針 ● 目的に二面性を持たせ、共存できる構 造をつくる ○ 同時、同じ理解度を求めない ○ どちらかを潰さない ○ 流速差と本流/支流で設計 ○ 選択的自由を構造的に提供 👉 感情負債が溜まらない流れを、構造でつくる 12

13.

自己紹介 岡見 慧 担当:ダイアログエンジニア、スクラムマスター、ソフト ウェアエンジニア、ワークショップデザイナー 趣味:素潜り。息止めベスト5分3秒。 ポートフォリオサイト:https://after12am.carrd.co/