インサイトを捉える・活かす技術

>100 Views

December 30, 25

スライド概要

人の行動や意思決定の背景にあるインサイトを捉える構造について整理した資料です。
インサイトという言葉は聞いたことがあるものの、「何を指すのか」「どうやって捉えるのか」「どう活かせばよいのか」が曖昧な方に向けて、基礎的な考え方から順を追って解説しています。

顕在ニーズ・潜在ニーズとの違いや、行動・感情・前提・欲求・物語といった層構造を通じて、
なぜ人はその行動を取るのかを構造的に理解し、企画や構想に活かすための思考の型をまとめています。

<本資料の内容>
・インサイトとは何か
・洞察・ニーズ・インサイトの違い
・インサイトを捉える構造
・よいインサイトのポイント
・捉えたインサイトを構想に活かすステップ

profile-image

デジタルプロダクトのビジネスデザイナー。大手企業~スタートアップまで幅広いクライアントの新規事業開発・サービス開発を支援。趣味は読書で、年間で約100冊のビジネス書を読んでます。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

ダウンロード

関連スライド

各ページのテキスト
1.

インサイトを 捉える‧活かす技術 ©Akihiro Kato All rights reserved 1

2.

こんな課題ないですか? ©Akihiro Kato All rights reserved 2

3.

インサイトを捉える構造が解決する課題 顧客像(N1)が 曖昧で議論が中々 噛み合わない 課題設定が浅く、 解決策が コモディティ化する 価値提案が 「機能説明」から 抜け出せない アイデアはあるが 「なぜそれをやる のか」が弱い ©Akihiro Kato All rights reserved 3

4.

インサイトを捉える構造によって得られる効果 「どんな⾏動を、 どんな前提‧物語 で取る⼈か」 顧客定義できる 課題を「⾏動が成⽴ する意味の歪み」と して再定義できる 提供価値を 「機能 → 意味充⾜」 に翻訳できる 「なぜその⼈に とって重要なの か」が説明できる ©Akihiro Kato All rights reserved 4

5.

まずは、前提の整理 ©Akihiro Kato All rights reserved 5

6.

前提:インサイトを捉える‧活かす技術とは ⼈の⼼理や本⾳、価値観、無意識の欲求を捉え、構想に活かす、その⽅法について解説 インサイトとは‧‧‧ 技術とは‧‧‧ 物事の本質を⾒抜くこと。洞察。明察。 1.物事を取り扱ったり処理したりする際の⽅法や⼿段。 また、それを⾏うわざ。 ※マーケティングにおけるインサイトとは‧‧‧ 「—を磨く」「⾼度な表現—」 顧客⾃⾝も気づいていない、購買⾏動や消費の背景にある 深層⼼理、本⾳、価値観、無意識の欲求 2.科学の研究成果を⽣かして、 ⼈間⽣活に役⽴たせる⽅法。 「先端—の導⼊」「産業界における—⾰命」 ©Akihiro Kato All rights reserved 6

7.

洞察とインサイト その違いとは? ©Akihiro Kato All rights reserved 7

8.

洞察‧インサイト、その違いとは? 洞察とは「⾒抜く⾏為‧能⼒」、インサイトとは「⾒抜いた結果としての理解」である 観点 洞察 インサイト 品詞的性格 動作‧⾏為 名詞的な理解内容 主体 観察する⼈ 得られた理解 状態 プロセス 結果 ニュアンス 能⼒‧働き 内容‧成果 ©Akihiro Kato All rights reserved 8

9.

ニーズとインサイト その違いとは? ©Akihiro Kato All rights reserved 9

10.

ニーズとインサイト、その違いとは? ©Akihiro Kato All rights reserved 10

11.

ニーズとインサイト、その違いとは? ⾃覚 ⾔語化 深さ 正体 例 顕在ニーズ ある 容易 表層 要求 要望 今、こうしたい こうしてほしい 潜在ニーズ ほぼない 難しい 中層 隠れた 欲求 本当はこう感じたい こうしてほしい インサイト ほぼない ⾮常に 難しい 深層 ⾏動の 理由 ⾃分は、 こういう⼈でありたい こういう⼈だと思われたい ©Akihiro Kato All rights reserved 11

12.

インサイトを⾒抜く構造 ©Akihiro Kato All rights reserved 12

13.

インサイトを捉える構造 インサイトを捉えるとは、⾏動の背後にある「意味の構造」を⾒抜くことである この⼈は、何をしているか? ● 実際に取っている⾏動 ● 発⾔‧操作‧選択‧回数‧タイミングなど ● 誰が⾒ても同じように確認できること 把握すること 感情 その⾏動のとき、どんな気持ちだったのか? 前提 この⼈は、世界をどういう前提で⾒ているか? 欲求 この⼈は、何を満たそうとして動いているのか? 物語 この⼈は、⾃分をどんな⼈だと思っているか? 思いたいか? ● ⾏動している最中‧直前‧直後の気持ち ● 不安、焦り、安⼼、期待、緊張など ● ポジティブでもネガティブでもOK 把握すること ● 本⼈にとっての「当たり前」 ● 無意識の思い込み‧価値観‧ルール ● 「〜すべき」「〜であるはず」など ポイント ● 解釈しない ● 評価しない ● 事実だけを書く ポイント ● 感情は理由ではない ● あくまで「反応」 ポイント ● 本⼈は前提に気づいていない ことが多い ● 感情が⽣まれる“原因” 把握すること ポイント ● ⾏動や判断を⽀えている深い動機 ● ニーズ/〜したいではなく存在レベルの欲求 ● 誰が⾒ても同じように確認できること ● ⾏動は変わっても、欲求は あまり変わらない ● ここが⾒えると理解が⼀気に深くなる 把握すること ポイント ● ⾃分はこういう⼈間だ…という⾃⼰認識 ● どんな⾃分でありたいか∕どう⾒られたいか ● ⼈⽣や役割に⼀貫して流れているストーリー ● ⾏動‧判断‧欲求に意味を与える 最深層 ●ここまでつながるとインサイトになる ©Akihiro Kato All rights reserved インサイト 深い理解 潜在ニーズ 顕在ニーズ 事実 ⾏動 把握すること 13

14.

(例)決断できない転職検討者のインサイト インサイトを捉えるとは、⾏動の背後にある「意味の構造」を⾒抜くことである この⼈は、何をしているか? ● 実際に取っている⾏動 ● 発⾔‧操作‧選択‧回数‧タイミングなど ● 誰が⾒ても同じように確認できること 把握すること 感情 その⾏動のとき、どんな気持ちだったのか? 前提 この⼈は、世界をどういう前提で⾒ているか? 欲求 この⼈は、何を満たそうとして動いているのか? 物語 この⼈は、⾃分をどんな⼈だと思っているか? 思いたいか? ● ⾏動している最中‧直前‧直後の気持ち ● 不安、焦り、安⼼、期待、緊張など ● ポジティブでもネガティブでもOK 把握すること ● 本⼈にとっての「当たり前」 ● 無意識の思い込み‧価値観‧ルール ● 「〜すべき」「〜であるはず」など 把握すること ● ⾏動や判断を⽀えている深い動機 ● ニーズ/〜したいではなく存在レベルの欲求 ● 誰が⾒ても同じように確認できること 把握すること ● ⾃分はこういう⼈間だ…という⾃⼰認識 ● どんな⾃分でありたいか∕どう⾒られたいか ● ⼈⽣や役割に⼀貫して流れているストーリー ©Akihiro Kato All rights reserved ポイント ★ ⼝コミを何⼗件も読む ● ★ 解釈しない エージェントに何度も確認する ● ★ 評価しない 決断を先延ばしにする ● 事実だけを書く ポイント ★ 期待と不安が混在 ● ★感情は理由ではない 失敗への恐怖 ● あくまで「反応」 ポイント ★ ● 転職は⼈⽣の⽅向性を決める」 本⼈は前提に気づいていない ★⼀度失敗すると取り返しできない ことが多い ● 感情が⽣まれる“原因” インサイト 深い理解 潜在ニーズ 顕在ニーズ 事実 ⾏動 把握すること ポイント ★⾏動は変わっても、欲求は 納得して選びたい ● ★あまり変わらない ⾃分分の判断を肯定したい ● ここが⾒えると理解が⼀気に深くなる ポイント ★ ⾏動‧判断‧欲求に意味を与える ⾃分のキャリアをちゃんと ● 選んでいる⼈でいたい」 最深層 ●ここまでつながるとインサイトになる 14

15.

よいインサイトとは? ©Akihiro Kato All rights reserved 15

16.

よいインサイトとは? よいインサイト 5つのポイント ポ イ ン ト 説 明 【①説明可能性】 【②汎⽤性】 【③構造的⼀貫性】 【④存在欲求性】 【⑤⾏動変容性】 ⾏動を⾃然に 説明できること 複数の⾏動を⼀貫して説 明できること ⾏動→感情→前提→欲求 →物語の⽭盾がない 「〜したい」ではなく 「どうありたいか」 満たせば⾏動が 変わりうること 「だから、この⼈はこの ⾏動を取るのか」が⼀撃 で腑に落ちる 1つの⾏動だけでなく、 別の場⾯‧別の選択も同 じ理由で説明できる どの階層の理由を聞かれ ても、次の階層が“⾃然 な理由”として返せる 行動欲求ではなく、存在レ ベルの欲求に到達してい る 説明できるだけでなく、 未来の⾏動を変える可能 性がある ©Akihiro Kato All rights reserved 16

17.

捉えたインサイトを 構想にどう活かすか? ©Akihiro Kato All rights reserved 17

18.

捉えたインサイトを構想に活かすか? ① インサイトを確定する どんな⼈が、どんな⾏動を、どんな理由で取っているのかをはっきりさせる。この⼈は 「何に困っているか」ではなく、「どんな物語/⾃分像を守ろうとしているか」を特定する。 ② 意味の⽋乏を特定する なぜ今、その⼈にとって⼤事な意味が満たされていないのかを明らかにする。 情報不⾜や機能不⾜ではなく、「納得‧安⼼‧⾃信などの意味が⽋けている状態」を⾒つける。 ③ 提供価値に翻訳する ⽋けている意味を、サービスとして提供できる価値の⾔葉に置き換える。 「何ができるか」ではなく、「何が満たされればいいか」で価値を定義する。 ④ ⾏動変化を定義する その価値が満たされたら、⾏動がどう変わるかを具体的に描く。 ⽐較しなくなる、迷わなくなる、決断できるなど「Before∕After」で⾏動を⾔語化する。 ⑤ ⾏動変化が起きるために 体験要件の定義をする ⾏動が変わるために、⼈はどんな状態を“体験している必要があるか”を整理する。 ここでは機能を考えず、「判断軸が⾔葉になっている状態」など体験の要件として定義する。 ⑥ サービスコンセプトを 1⽂にまとめる ①〜⑤を⼀⽂に束ね、「なぜこのサービスなのか」を迷いなく⾔える形にする。 ©Akihiro Kato All rights reserved 18

19.

(例)決断できない転職検討者のインサイトを活かした構想 ① インサイトを確定する どんな⼈が、どんな⾏動を、どんな理由で取っているのかをはっきりさせる。この⼈は 転職検討者は、条件が決まらないから迷っているのではなく、「⾃分のキャリアを 「何に困っているか」ではなく、「どんな物語/⾃分像を守ろうとしているか」を特定する。 ちゃんと選んでいる⼈でいたい」という⾃⼰像を守ろうとして⾏動している。 ② 意味の⽋乏を特定する なぜ今、その⼈にとって⼤事な意味が満たされていないのかを明らかにする。 今の状態では、⾃分の判断に対して納得や確信が持てず、 情報不⾜や機能不⾜ではなく、「納得‧安⼼‧⾃信などの意味が⽋けている状態」を⾒つける。 「この選択でいい」と⾔い切れない意味が⽋けている。 ③ 提供価値に翻訳する そこで提供すべき価値は、求⼈情報ではなく、 ⽋けている意味を、サービスとして提供できる価値の⾔葉に置き換える。 ⾃分の判断に理由と納得を持てる状態をつくることである。 「何ができるか」ではなく、「何が満たされればいいか」で価値を定義する。 ④ ⾏動変化を定義する この価値が満たされると、転職検討者は⽐較や確認を続ける状態から、 その価値が満たされたら、⾏動がどう変わるかを具体的に描く。 ⾃分の⾔葉で選択理由を語り、決断できる状態へ変わる。 ⽐較しなくなる、迷わなくなる、決断できるなど「Before∕After」で⾏動を⾔語化する。 ⑤ ⾏動変化が起きるために 体験要件の定義をする 決断に⾄るためには、⾃分のキャリア軸が⾔語化され、 ⾏動が変わるために、⼈はどんな状態を“体験している必要があるか”を整理する。 過去の選択と今回の決断が⼀貫して⾒える状態を体験している必要がある。 ここでは機能を考えず、「判断軸が⾔葉になっている状態」など体験の要件として定義する。 ⑥ サービスコンセプトを 1⽂にまとめる このサービスは、「⾃分のキャリアをちゃんと選んでいる⼈でいたい」転職検討者が、 ①〜⑤を⼀⽂に束ね、「なぜこのサービスなのか」を迷いなく⾔える形にする。 ⾃分の判断に納得し、理由を持って決断できるようにするためのサービスである。 ©Akihiro Kato All rights reserved 19