体系的な演習形式による知財実務家育成手法に関する調査研究

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May 05, 24

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サイボウズ株式会社 / 株式会社知財塾 / Smart-IP株式会社

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1.

体系的な演習形式による 知財実務家育成手法に 関する調査研究 2C1 株式会社知財塾 東京理科大学平塚研究室特別研究員 次世代パテントプラットフォーム研究会 上池 睦

2.

目次 • 研究の背景 • 知財実務教育の課題 • 課題解決のためのアプローチ • 体系的な整理 • 実践的な演習形式 • 少数のゼミ形式 • 本アプローチの効果 • アンケート分析 • まとめ

3.

研究の背景

4.

本研究における教育対象 対象 対象外 • 知財実務家 • 非知財実務家 • 企業知財部の従業員 • 特許事務所の従業員 • これから知財実務を行う予定の 実務未経験者 • 企業の研究者 • 特許事務所のクライアント先 • 中等高等教育

5.

知財実務のアウトプットに必要な要素 知識 • 法律(知財法、民法など) • 経営(戦略、マーケティングなど) • 技術(自然科学) 理解力 表現力 • 法律理解、リーガルマインド • 事業理解 • 技術理解 • 論理的思考力 • コミュニケーション能力 • ライティング能力 アウトプット • ドキュメント作成 • 特許明細書 • 意見書 • 調査報告書 • 見解の提供

6.

座学を通じて知識を増やし、 理解力を高める 知財実務教育の現状 OJTで、アウトプットに対して 直接フィードバック 知識 • 法律(知財法、民法など) • 経営(戦略、マーケティングなど) • 技術(自然科学) 理解力 表現力 • 法律理解、リーガルマインド • 事業理解 • 技術理解 • 論理的思考力 • コミュニケーション能力 • ライティング能力 アウトプット • ドキュメント作成 • 特許明細書 • 意見書 • 調査報告書 • 見解の提供

7.

知財実務教育の課題 知識 • 法律(知財法、民法など) • 経営(戦略、マーケティングなど) • 技術(自然科学)• アウトプットの過程が 不明確 • 属人的 理解力 表現力 • 法律理解、リーガルマインド • 事業理解 • 技術理解 • 論理的思考力 • コミュニケーション能力 • ライティング能力 アウトプット • ドキュメント作成 • 特許明細書 • 意見書 • 調査報告書 • 見解の提供

8.

他業界における実務教育 • ビジネススクール • 経営課題に対する仮説立案、提案の実践 • プログラミングスクール • アプリケーション開発 • 英会話スクール • 講師に対して英語を話す • 寿司職人スクール • 寿司の握り方から体系的に学ぶ

9.

課題解決のためのアプローチ

10.

知財塾について • 実務で使えるドキュメント作成スキルの向上 • ターゲット • 企業知財部や特許事務所勤務の初学者 • これから知財実務を行う予定の実務未経験者 • バリュー • 明細書・意見書・調査報告書などの書面が書けるようになる • 現役実務家のノウハウを学べる https://chizaijuku.com/

11.

知識 • 法律(知財法、民法など) • 経営(戦略、マーケティングなど) • 技術(自然科学) アウトプットの過程を 明らかにする 理解から表現するまでを、 体系的に整理 理解力 表現力 • 法律理解、リーガルマインド • 事業理解 • 技術理解 • 論理的思考力 • コミュニケーション能力 • ライティング能力 アウトプット • ドキュメント作成 • 特許明細書 • 意見書 • 調査報告書 • 見解の提供 これらを、事例に基づいた 演習形式で行う

12.

体系的な整理をした学習コンテンツ • ステップバイステップ • アウトプットを行うための要素をステップにして、ステップ通りに進めれば 一定のドキュメントが出来上がるように整理 • 発明理解ができているか、適切に表現できているか、など、 要素ごとの学習過程を把握できる • 再現性の高さ • 事例を問わず、アウトプットの質を担保 • 講師の属人性を減らす(その上で、講師毎に+αのノウハウ提供)

13.

実践的な演習形式 • 複数の事例を繰り返し行う • 1つ目の事例におけるアウトプットに対して受けたレビューを2事例目に活かす、 といったスキルのブラッシュアップを見込める • アウトプットに対するフィードバックを行う • 講師は知識を伝えるのではなく、ファシリテーターとして受講生とディスカッション、 フィードバックを行い、受講生がドキュメントを作成できる力を引き出す

14.

少人数のゼミ形式 • 個別フォローと受講生同士のインスパイアの両立 • 受講生それぞれの理解度に合わせた個別のフィードバックが可能な、 3~6人で開講 • 他の受講生の成果物と比較できることにより、新たな学びを得られる • 失敗することができる場 • 実際の業務ではないからこそ、未経験者や初学者に対して特に効果が高い • 職に就く前に、実務との相性を試せる

15.

事例 発明ヒアリング ざっくりとしたアイデア 成果物 得られるスキル メインクレーム • ヒアリング、発明理解 • クレームドラフティング 明細書作成 発明提案書 明細書 • 発明理解 • クレームドラフティング • ドキュメンテーション 中間応答 拒絶理由通知 意見書、補正書 • 審査対応 • ドキュメンテーション 先行技術調査 発明提案書 調査報告書 • 発明理解 • 特許調査 侵害予防調査 製品情報 調査報告書 • ヒアリング、技術理解 • 特許調査 • 侵害判断 特許情報分析 事業課題を踏まえた 分析依頼 分析報告書 • 特許情報の可視化 • 仮説立案、検証、提案 事業戦略提案 事業課題 提案書 • ヒアリング、事業理解 • 仮説立案、検証、提案 商標権利化 • 商標、事業領域 • 拒絶理由通知 • 調査報告書 • 意見書、補正書 • 商標実務 • ドキュメンテーション 意匠権利化 • 製品情報 • 拒絶理由通知 • 出願書面 • 意見書 • 意匠実務 • ドキュメンテーション

16.

明細書作成(IT) における例 • ステップ1:発明の把握 • 【小問1-1】先行技術と本発明の比較 • 【小問1-2】課題の特定 • 【小問1-3】発明の要素の書き出し • ステップ2:クレームの作成 • 【小問2-1】メインクレーム案の作成 • 【小問2-2】メインクレーム案のブラッシュアップ • 【小問2-3】メインクレームの効果の記載 • 【小問2-4】サブクレームの検討 • 【小問2-5】クレームツリーの作成 • 【小問2-6】特許請求の範囲の記載 • ステップ3:図面の作成 • 【小問3-1】図面の検討 • 【小問3-2】図面の作成 • 【小問3-3】図面の要素名の検討 • ステップ4:明細書の作成 • 【小問4-1】明細書の作成 • 【小問4-2】明細書の改善

18.

本アプローチによる効果

19.

学習のメリット • 講師は、受講者が理解できていない過程ごとにレビューを行うことができ、 上流の理解ができていないまま下流に進むといったことを防げる • ステップに沿えば非同期的に学習を行うことができるため、 eラーニングのように自分のペースで学習を行える • 再現性のある形でアウトプットを出すことができ、実際の業務においても 活用できる

20.

ゼミの効果に関するアンケート調査 • 概要 • 期間:2022年8月31日~2022年9月24日 • 手法:Google Forms への回答 • 対象:知財塾の受講経験者107名 • 回答数:28件 • 集計結果 • 予稿に記載のURLを参照

21.

調査結果サマリー • 演習形式によるスキル修得の効果 • 「普段の学習形式と比べて身に付いた」「普段の学習形式に比べて、どちらかといえば 身に付いた」の合計が100% • 普段の学習形式: • 座学・講義型セミナーへの参加:39.3% • 組織内での教育・OJTでの指導:35.7% • 書籍・論文の閲読:21.4% • 演習形式のコストパフォーマンス • 費用についても時間についても、コストが高いという評価が多数であった • 内面への影響 • 実践的にアウトプットを行うことにより、業務に対する自信やモチベーション、 新たな学習へのモチベーションが高まったという意見が多数であった

22.

まとめ

23.

• 企業知財部や特許事務所による知財塾活用の効果 • 受講生の学習モチベーションにポジティブな影響があることがわかった • 一方で、少人数のゼミ形式である構造上、受講単価は個人で負担するには 高めである → 従業員の成長支援、福利厚生への活用に期待したい • OJTの一手法として活用 • 本アプローチは、ゼミのサービス提供に関わらず、実務におけるOJTにも取り入れる ことが可能である • 各組織において体系的な教育が行われることにより、知財実務家のスキル向上を 加速させることに寄与できれば幸いである • 人材市場における価値向上 • 演習経験のある実務未経験者が、人材市場における価値向上に繋がるかに ついても検証の余地がある • ゼミの受講経験が、組織内における評価の向上や採用応募に有利に働くかの アンケート調査を行うことで、人材市場におけるニーズを明らかにするといったことが 考えられる • 当該検証については今後の課題としたい