青木島遊園地廃止・市民検証報告書 第4章「案」「1軒の苦情→こども公園廃止 望んだのは、誰?」--検証: 信州・長野県 小さな遊園地の大きな問い 青木島遊園地廃止検証市民委員会

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July 24, 25

スライド概要

この検証報告書へのご意見をお願いします。
報告書に反映させて、長野市に提出する予定です。
2025.08.08.締め切り
こちらまで↓
https://bit.ly/aokijimagorm
青木島遊園地廃止検証市民委員会

市役所のような大きな組織が何かを決めるとき、どういう手順を踏むのでしょうか?
例えば、「公園を1つなくす」という重大な決定は、担当者が一人で決められるものではありません。担当者が案を作り、上司である課長や部長が内容をチェックし、電子決裁システム上で「承認」の操作を行います。この一連の手続きが「決裁」です。
この「決裁」があって初めて、その決定は市の公式な意思となり、効力を持ちます。決裁の記録(決裁文書)は、「誰が、いつ、なぜ、何を決定したのか」を記録する、行政の最も基本的なルールであり、民主主義の土台でもあります。
しかし、既述のとおり、この最も重要であるべき青木島遊園地廃止という決裁文書が存在しないことが、調査で明らかになっています。
これは単なるシステムの操作ミスではありません。いわば、正式な社内稟議もないまま、会社の重要なプロジェクトが廃止されてしまったようなものなのです。
では、遊園地廃止後の後始末は、きちんとした決裁もないまま、長野市はどうやって進めたのでしょうか。

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◆徹夜必至につき閲覧注意の「〇見え通信」https://linktr.ee/koizumikazuma◆長野市議4期◆自称スーパー無所属◆情報公開徹底◆市民第一主義◆主著「長野県庁の『不都合な真実』」は平安堂ランク最高2位◆元長野県庁職員◆大北森林組合事件で住民監査請求成功◆一軒の苦情で!? 青木島遊園地廃止に大反対◆URLまとめhttps://bit.ly/m/kazuma◆以前使っていた資料公開サイトhttps://www.slideshare.net/kazumakoizumi1/documents

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各ページのテキスト
3.

第 4 章 最後の砦の陥落 決裁のない⽀払い 市役所のような大きな組織が何かを決めるとき、どういう手順を 踏むのでしょうか? 例えば、「公園を 1 つなくす」という重大な決定は、担当者が一 人で決められるものではありません。担当者が案を作り、上司であ る課長や部長が内容をチェックし、電子決裁システム上で「承認」 の操作を行います。この一連の手続きが「決裁」です。 この「決裁」があって初めて、その決定は市の公式な意思とな り、効力を持ちます。決裁の記録(決裁文書)は、「誰が、いつ、 なぜ、何を決定したのか」を記録する、行政の最も基本的なルール であり、民主主義の土台でもあります。 しかし、既述のとおり、この最も重要であるべき青木島遊園地廃 止という決裁文書が存在しないことが、調査で明らかになっていま す。 これは単なるシステムの操作ミスではありません。いわば、正式 な社内稟議もないまま、会社の重要なプロジェクトが廃止されてし まったようなものなのです。 では、遊園地廃止後の後始末は、きちんとした決裁もないまま、 長野市はどうやって進めたのでしょうか。

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公園緑地課 情報部分公開決定 令和 4 年(2022 年)11 月 25 日 青木島遊園地の「廃止に係る意思決定が読み取れる文書」を公開請求したとこ ろ、出てきたのは「市長レク資料」だけ。ほかに廃止決裁文書等は公開されませ んでした。公園緑地課は、実は事案の発覚した当初から廃止決裁文書がないこと を自覚していたと推定できる資料です。

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.4.1 「公⾦の番⼈」の責任 青木島遊園地廃止の後始末として長野市が実施した仕事の一つ が、借地していた跡地を地権者に返す前に更地に戻す原形復旧工事 です。当然、工事には多額の費用(公金= 税金)がかかります。市 の「お財布」を管理する会計局(会計管理者)の出番です。 会計局の仕事は、言われた通りにお金を支払うことではありませ ん。その支払いが、正しい手続きに基づいているかを厳しくチェッ クする、「公金の番人」としての重要な役割を担っています。もし 手続きに不備があれば、「この支払いはできません」とストップを かけるのが、会計局の本来の仕事であり、責任です。 長野市議会総務委員会で、この点が問われました。 (2025 年 6 月 24 日会議から抜粋して構成) K 委員:遊園地廃止の決裁がなかったのに、なぜ解体工事費 の支払いを認めたのですか?工事の前提となる『廃止決定』 が正しく行われたか、審査しなかったのですか? 会計管理者:私たちは、担当の課で『支払います』という決 裁がされていれば、その支払いを認めます。その前段階の、 そもそもなぜ支払うことになったのか(廃止決定があったか など)という政策決定の部分は、審査の対象としていませ ん。 会計管理者の答弁は、驚くべき告白です。それは「担当課が『払 う』と決めたのだから、その理由は正しいはずだ」という危険な性 善説に立ち、自らのチェック機能を放棄していることに等しいので す。

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青木島遊園地原形復旧工事 支出命令書

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4.2 法律違反の疑い この会計管理者の答弁は、単なる「やる気のなさ」や「事なかれ 主義」ではありません。地方自治法や市の会計ルールに抵触する可 能性のある、重大な問題をはらんでいます。 市のルールの形骸化 長野市財務規則には、工事契約の際に必要 な書類のリストが定められています。そして、そのリストには「廃 止の決裁書」は含まれていません。会計局が規則の条文を字面通り に読んで、「リストにない書類の不備は問えない」と主張するとし たら、一見、もっともらしく聞こえるかもしれません。 しかし、これはルールの趣旨を無視した、機械的な解釈です。そ もそも、なぜ解体工事が必要になったのでしょう? 「遊園地を廃 止するから」です。つまり、「廃止の決定」は、解体工事という支 出の「大前提」となる根拠です。大前提が、正式な手続きを踏んだ か確認することなく、会計局は「担当課が決めたことだから」と支 払いを認めてしまいました。これは、財務規則が本来目指している はずの適正な公金支出という目的を、自ら骨抜きにする行為です。 「最後の砦」の陥落 さらに深刻なのは、より上位の法律である地 方自治法との関係です。地方自治法では、市長からの支出命令であ っても、その支出が「法令に違反していないか」を自らの責任で確 認し、違反していれば支払いを拒否するという、独立した強い権限 を会計管理者に与えています(地方自治法第 232 条の 4)。これは、 会計管理者が違法な支出を食い止める「最後の砦」であることを意 味します。 遊園地の廃止には、正式な決裁がなく、支出の前提となる行政行 為そのものに法的な正当性がない(瑕疵がある)状態でした。しか し、会計管理者は公園緑地課の誤った手続きを追認してしまいまし た。法律が与えた「公金の番人」としての責務は、果たさなかった のです。 会計管理者は「政策決定には関与しない」と言いますが、これは 論点のすり替えです。「廃止すべきか」という政策判断の良し悪し ではなく、「廃止は正式に決まったのか」という手続きが問われて いるのです。

8.

青木島遊園地廃止の問題は、市が不透明なプロセスで決定に至っ た点が問われています。お金の流れを通じて行政の透明性をチェッ クする「最後の砦」の会計局さえもが、法律違反の疑義を指摘され なければならないほどの機能不全に陥ってしまいました。 これは、誰かに気を使った結果なのでしょうか? 一連の事実は、長野市のガバナンス(組織統治)が機能不全に陥 っていることを示しています。会計局は、今までの会計事務のあり 方を見直し、なぜ廃止の決裁もないのに原形復旧費が支出できるの か、市民への説明責任を果たすべきです。