すべての医療者に求められるリーダーシップ  ― 基礎から学ぶその理論と実践 ―

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September 12, 25

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虎の門病院の人材育成講習会で使用したスライドです.

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岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 教授

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1.

すべての医療者に求められるリーダーシップ ― 基礎から学ぶその理論と実践 ― 岐阜大学大学院医学系研究科 脳神経内科学分野 下畑 享良

2.

日本神経学会 COI 開示 筆頭発表者:下畑 享良 岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野・教授 本発表に関連し,明示すべきCOI関係にある企業などはありません.

3.

講演で知っていただきたいこと 1. 医療者のバーンアウト防止にリーダーシップは不可欠. 2. リーダーシップは生まれつき備わっているものではなく, 学んで身につけるべきものであること. 3. 知っておくべき様々なリーダーシップを学び,今後の行動 に活かすこと.

4.

自己紹介(なぜリーダーシップを学ぶに至ったか) 1. 8年前に教授を拝命した.岐阜はもっとも神経内科 専門医が少ない地域,かつ小規模医局で,強力な リーダーシップが求められた. 2. 着任後,周囲の医師のバーンアウトに直面した. バーンアウトに対する研究に取り組み,上司のリー ダーシップ不足が重要な要因であることを理解した. →まずバーンアウトについて少し解説したい.

5.

臨床神経,61:89-102,2021 臨床神経,61:219-227,2021

6.

国内初の医師に対する大規模調査 回答者 回答率 年齢 女性 既婚 子供あり 要介護者あり 1261/8407名*1 15.0% 45歳(IQR 37ー55歳) 28.2%*2 77.7% 66.1% 12.1% *1. メールアドレスの登録されている会員 *2. 全学会員では23.6%で,やや女性が多い

7.

★自覚的バーンアウトを用いた解析 • 「なりそう,も含めて経験がある」は,49.7%に 認められた. • 30歳代で最多で,20~40歳代で多かった. • バーンアウトの発生回数は,1回が最も多いが 2回以上の回答も54.8%に認められた.

8.

バーンアウトの原因は多彩である 1.業務過多 2.時間外労働 3.職場の人間関係 4.上司の無理解 5.睡眠時間 6.患者・家族からのクレーム 7.ハラスメント パワハラ 107,アカハラ 38 セクハラ 12,ジェンダー 12 480人 369 240 213 184 168 149 ① ① ② ③ ① ④ ③ ①労働負荷,②職場の人間関係,③上司の影響,④クレーム

9.

バーンアウトの3徴(学問的定義) ① 情緒的消耗感(Emotional exhaustion) 仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし,消耗してしまった 状態. ② 脱人格化(Depersonalization) クライアント(患者)に対する無情で非人間的な対応, 防衛反応の一つ. ③ 個人的達成感(Personal accomplishment)の低下 職務に関わる有能感や達成感が低下した状態.

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3徴の関係 情緒的 消耗感 Burning out 脱人格化を来す前の 段階で対策を講じる 医療者は倫理観により なんとかブロックしている Burned out 脱人格化 個人的 達成感 の低下 一般に独立した因子で,これだけが 保たれていることがありうる.

11.

★日本版バーンアウト尺度を用いた解析 下位尺度 本研究 1261名 看護師 1827名 (久保2007) 情緒的消耗感 2.86 < 3.25 脱人格化 2.21 > 2.07 個人的達成感の 低下 3.17 < 3.56 点数が高いほど顕著 情緒的消耗感が低く,個人的達成感が高い!

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3徴と関連する因子 情緒的消耗感 脱人格化 個人的達成感低下 仕事の有意義性 仕事の有意義性 仕事の有意義性 2 間接的な事務作業 間接的な事務作業 業務比率 臨床 年齢 脳神経内科を選ぶ 動機になった活動の ための時間 1 個人/家族生活のた 3 めの時間 • バーンアウトは,自身の仕事を有意義と感じられない ことが最も強く関連していた. • 量的な労働負担とバーンアウトの間には有意な関連 性は認めなかった. 下畑享良ら.臨床神経,61:89-102,2021

13.

対策として個人だけでなく,組織全体の変革が必要 Stanford式プロフェッショナルフルフィルメント 組織がwellness 文化をもつ 組織が実務の 効率化を図る 非効率的な業務の特定と再設計 臨床プロセスやフローの再設計 への医師の参画 チームワークの実践モデル コミュニケーション向上のための 人間的な近接性を考慮したワー クスペースのデザイン 電子メールの負担を最小化 EHRやその他のITインターフェー スの合理化 予測可能な欠勤を考慮した現実 的な人員配置とスケジューリング ウェルネスをサポートするための インフラとリソース ウェルネスと専門的達成度の定 期的な測定 承認と感謝 公正さと包容力 透明性と価値観の一致 組織における リーダーシップの 重要性 個人がレジリエンスを磨く

14.

小括1 1. バーンアウトの原因は多彩だが,上司の無理解やハラスメントも 重要な要因になっている. 2. 自身の仕事を有意義に感じることは強力なバーンアウト対策だが そのためには個人だけでなく,上司や組織の支援が必要である. 3. バーンアウト対策のうち,組織が取り組むべきものが3分の2を 占めると考えられている → 上司・組織のリーダーシップの重要性

15.

リーダーシップ 総論 リーダーシップ の歴史と理論 目指すべき リーダーシップ

16.

背景: 世界の学会はリーダーシップ教育に取り組んでいる 国際神経学会連合 米国神経学会 https://wfneurology.org/education/galp

17.

米国神経学会の取り組み(2017年~) 医師のQOL向上セミナー Taking care of your patients Starts with taking care of you

18.

学会場でさまざまな趣味講座 (絵画,ヨガ,ワインなど) 趣味はレジリエンス (抵抗力)を高める

19.

そしてリーダーシップ教育 学会期間中を通して行われる 教授/部長,女性,若手・・・さまざまなリーダーシップ

20.

Movement Disorder Societyの取り組み

21.

学会がリーダーシップ教育に取り組む理由 1. 次世代リーダーの育成 2. 若手・中堅・女性医師・管理者のキャリア形成 3. 組織の強化 4. 医療政策や社会への影響力の向上 → 日本神経学会もリーダーシップ教育を重視.

22.

リーダーシップについて考えてみよう 1. リーダーが組織の風土に与える影響はどの程度(%) だろうか? 回答 2. メンバーにとって良い組織風土とはどのようなものか? 回答

23.

リーダーが持つべき特徴は? 4つ選んでください. 1.応援する 9.知的 2.公正な心を持った 10.忠誠な 3.心が広い 11.独立心のある 4.正直な 12.前向きの 5.成熟している 13.野心的 6.想像力のある 14.勇気がある 7.大切に思ってくれる 15.有能な 8.頼もしい 16.わくわくさせてくれる

24.

リーダーシップについて考えてみよう 1. リーダーが組織の風土に与える影響はどの程度(%) だろうか? 回答 70% 2. メンバーにとって良い組織風土とはどのようなものか? 回答 自分の意見を言える 自分の仕事に誇りを持てる 自身の成長を実感できる

25.

リーダーが持つべき特徴は? 4つ選んでください. 1.応援する 9.知的 2.公正な心を持った 10.忠誠な 3.心が広い 11.独立心のある 4.正直な 12.前向きの 5.成熟している 13.野心的 6.想像力のある 14.勇気がある 7.大切に思ってくれる 15.有能な 8.頼もしい 16.わくわくさせてくれる

26.

「リーダーシップ」は誤解されている • リーダーはもともと備わった才能が求められる • リーダーは地位である • リーダーは偉く,価値が高い あくまでもリーダーは役割にすぎない. リーダーとして身につけるべき「型」がある.

27.

つまりリーダーシップは 学問として学ぶことができる! その証拠にたくさんのリーダーシップ本が発刊されている

28.

リーダーシップとはなにか? 組織 リーダーシップは どこに向かう?

29.

リーダーシップは全方向性,かつ全員に必要 リーダーシップは 全方向性 上に向くリーダーシップ =フォロワーシップ 若くてもLSを身に つければ上司を 巻き込める

30.

リーダーシップは自分にも向かう セルフ・リーダーシップ (自己理解・自己制御) 周囲に自分の 情報や知識を 与え影響を及ぼす 自律型組織

31.

組織の進化(自律型組織への成長) 進化 特徴 組織のタイプ 個人が意思決定できるフラットな組織 生命体 メンバーが主体的・自律的に行動する組織 家族 目標達成を第一に考える合理的な組織 大企業 トップダウンの階層的構造を持つ組織 軍隊 圧倒的な支配者がトップに立つ組織 狼の群れ,狩猟民族, マフィア 多くの組織はアンバー型~オレンジ型:グリーン型を目指す フレデリック・ラルー著「ティール組織」より作成

32.

リーダーシップとマネジメントは何が違う? Peter Ferdinand Drucker The Practice of Management, 1954 ( A Peter Drucker ) is doing things right, whereas ( B ) is doing the right things.

33.

リーダーシップとマネジメントは何が違う? Peter Ferdinand Drucker The Practice of Management, 1954 Peter Drucker Management is doing things right, whereas leadership is doing the right things.

34.

リーダーとマネジャーの仕事は 明確に異なり,相互に補完する リーダー マネジャー 危機→変革 安定→管理 メンバーを鼓舞する メンバーをコントロールする 組織の発展 組織の維持 長期的視野(ビジョン) 短期的視野 どちらがより重要かは状況に依存する.

35.

フォローワーシップとは? リーダーシップは 全方向性 上に向くリーダーシップ =フォロワーシップ 若くてもLSを身に つければ上司を 巻き込める

36.

私が影響を受けたフォロワーシップ 後藤田五訓 1. 出身がどの省庁であれ,省益を忘れ, 国益を想え 2. 悪い本当の事実を報告せよ 3. 勇気を以って意見具申せよ 4. 自分の仕事でないと言うなかれ 5. 決定が下ったら従い,命令は実行せよ (3→組織の心理的安全性が必要) (3と5はセットでなければいけない) 後藤田正晴

37.

小括2.結局,リーダーシップとは? • ある状況下で,コミュニケーションを通して示される 対人的な影響力 • ビジョンを共有し,メンバーのモチベーションを高め, 組織の目標を達成することができる能力

38.

リーダーシップ 総論 リーダーシップ の歴史と理論 目指すべき リーダーシップ

39.

リーダーシップ理論は進化した ① リーダーには共通する特性がある(特性理論) ② リーダーには取るべき行動がある(行動理論) ③ リーダー像は環境により変わる(条件適合理論) ④ 組織を変革するのがリーダーである ⑤ より高次の倫理観をもつ者がリーダーである

40.

リーダーシップ理論の歴史 ①特性理論 • 傑出した人物からリーダーの適性を考える – 孫子 「将とは,智,信,仁,勇,厳なり」 – マキャベリ 「狐のごとく狡猾で,ライオンのごとく 獰猛であるべし」 • しかし個人の特性だけで,リーダーシップが生まれる わけではないことに気づく.

41.

リーダーシップ理論の歴史 ②行動理論 • 他人に影響力を与えている人に共通して認める 行動パターンにより,リーダーシップを定義しよう とする理論. • その行動パターンを習得することで,リーダー シップを身につけ,強化できる.

42.

③条件適合理論(Situational leadership) • リーダーの行動のすべてが効果を発揮するわけでは なく,環境条件に適合した行動が,効果を発揮する. • つまり,組織ではリーダーの行動は部下の状況で 変わる. • 例:DAPSフレーム,PM理論

43.

リーダーの行動スタイルは 部下の状況により変わる(DAPS フレーム) 環境変化 激しい 状況は 安定 部下は成長中 部下は自力で動ける

44.

リーダーの行動スタイルは 部下の状況により変わる(DAPS フレーム) 環境変化 激しい 状況は 安定 指示型 達成志向型 しっかり,具体的な 命令 高い目標,ゴールを 示し,努力を求める Achievementoriented Directive 参加型 支援型 仲間集団,意見を 求め,活用 部下の状況に 気遣い,配慮 Participative Supportive 部下は成長中 部下は自力で動ける

45.

みんなのリーダーシップ能力は? あてはまる◯,やや当てはまる△,当てはまらない✕ 目標達成能力(P) 集団維持機能(M) 新たに始める ひとを励ます 周囲に情報や意見を求める グループを盛り上げる 周囲に情報や意見を提供する 調停する 明確化し,混乱を解きほぐす 譲歩する 情報や意見を集約する コミュニケーションを促進する 意見が一致したか確かめる 進め方のルールなどを決めら れる

46.

PM理論;個々のリーダーシップは 目標達成能力(P)と集団維持能力(M)で決まる • 自分の強み,弱みを知り改善を図る

47.

④変革のリーダーシップ(transformative LS) • 時代の急激な変化に対応する必要性から生じた考え方. • つまりリーダーとして変化を受け入れ,変革に挑む. • 例.コロナ対応,医師の働き方改革

48.

Terrence Casino AAN元会長による Leadership Universityの講義(AANAM 2018) バーンアウト増加に直面した医師に向けた「変革のリー ダーシップ」に関する講義であり,学会でこのような人材 育成の講義が行われていることに衝撃を受けた.

49.

ADKAR モデル(変革のための5つの要素) Jeffrey M Hiatt. ADKAR: A Model for Change in Business, Government and Community(2006) Awareness(認識) – 変革が必要な理由を認識してもらう Desire(欲求) – 変革に参加したいという欲求を持ってもらう Knowledge(知識) – どう変革するかという知識を持ってもらう Ability(実践) – 実際に実践してもらう Reinforcement(強化) – 変革を定着させるために補強する

50.

4つのマスのどれを変革するか? 緊急性低い 緊急性高い 1 2 3 4 重要度 高い 重要度 低い

51.

何を変革するか? 大事を小事の犠牲にしない 緊急性高い 重要度 高い 重要度 低い 緊急性低い 目先の仕事 成長のための方策 (小事であることあり) 長期的な計画等 (本当に大事なもの) やる必要があるか 分からない作業 目先のことばかりに時間配分し,変革のタイミングを 逃さないことが大切!

52.

どのように変革するか? レビンによる変革プロセス 解凍 • 変化の必要 性をメン バーに理解 してもらう. • 現状を突き 崩す 変革 • 具体的な方 策を取り入 れる • 新たな行動, 考え方を学 習する 再凍結 • 新しく導入し た変化を, 定着させる

53.

変革マネジメントモデル(ADKAR model) Awareness(認識) – 変革が必要な理由の認識 Desire(欲求) – 変革に参加したいという欲求 Knowledge(知識) – どう変革するかという知識 Ability(実践) – 実際に実践する場をもってもらう Reinforcement(強化) – 変革を定着させるための補強 Jeffrey M Hiatt

54.

変化に対する抵抗に対するリーダーの対応 ① 変化に対する抵抗は正常な反応であり,抵抗に対し リーダーは感情的になってはいけない. ② しかし変化の意味を認知させ,適応させるまでの時間を 短縮させる工夫はできる. ③ 変化が必ずしも正解というわけではなく,抵抗のなかに 真実がある場合もある.より良い方向を探る.

55.

全体的視野,目線を高くすることの大切さ • 自分だけの個別の視点で見ていないか? • 忙しすぎて盲目的になっていないか? • 全体を俯瞰できる高い視野から,上司や組織 全体の立場から見ることができるようになること が大切.

56.

⑤ EQリーダーシップ Emotional Intelligence Quotient (こころの知能指数) 自己の感情をコントロールし,他者の 感情を元にニーズに奉仕し,激励・ 育成・確執管理ができる ダニエル・コールマン著

57.

「怒る」ではなく,「叱る」 • 感情的に「怒る」のは厳に慎む. • 理性的に,相手の感情を理解し,指導的に「叱る」 叱る場合は現行犯で叱る. 人前では叱らない. 人物ではなく行為を叱る.

58.

⑥サーヴァント・リーダーシップ • Servant =使用人,召使い • リーダーは「まず相手に奉仕し,その後, 相手を導くものである」という考え方に基づく. • 部下に対して,奉仕の気持ちを持って接し, どうすれば組織のメンバーの持つ力を最大化 することができるのかを考え,環境づくりをする

59.

エンパワーメント(empowerment) • 現場の自主性を高め,パフォーマンス向上につなげる ために権限を与え,力をつけさせること.これはボトム アップの実現につながる. • チームのタスクを完遂しつつ,部下を育成をする. • 従来型の権限委譲とは異なり,部下の意欲を最大化 することが目的である.

60.

サーヴァント・リーダーの心得 • 自ら語るのではなく,質問せよ • マイクロマネジメント(過保護)をしない • 適切な仕事を任せる(今の知識とスキルで できる領域とできない領域の境界) • 小さな決定権を与え,小さな失敗をさせる • 手柄は部下のもの,責任は自分のもの

61.

連合艦隊司令長官 山本五十六によるエンパワーメント やってみせ,言って聞かせて, させてみせ,ほめてやらねば, 人は動かじ 話し合い,耳を傾け,承認し, 任せてやらねば,人は育たず やっている,姿を感謝で見守って 信頼せねば,人は実らず 山本五十六(1884-1943) (→心理的安全性,チャレンジを評価)

62.

エンパワーメントの5つのステップ 仕事を与えたあと 目標目的 の共有 部下の 能力,意 欲の把握 適切な仕 事の提供 コーチン グ・動機 づけ 環境の整 備・支援 What型:何をやるか?から考えてくれ How型:・・・はやろう。やり方は考えてくれ

63.

従来の命令指示型とエンパワーメント型の違い 命令指示型 上司(命令をする側) 命令 管理 服従 部下(命令を受ける側) 権限と責任

64.

従来の命令指示型とエンパワーメント型の違い エンパワーメント型 上司(権限を委譲する側) 支援 明示 結果責任 目標 部下(権限を受ける側) 執行責任

65.

エンパワーメントはやりかたが大切(EQが必要) • 「何かあったら言って」では不十分に終わる. • 差し出がましい口出し(micro-management)は, やる気の喪失や依存心の助長につながる. • 予告なく「どうなった?」と聞くと監視と感じる. 部下への声かけの時期を予め合意しておく. • いつでも相談できる関係を構築する.

66.

サーバントリーダーシップにより 発達支援型組織ができる 安定志向型組織 発達支援型組織 重視点 • 成果 • 成果と学習 仕事の割り 振り • 一番上手にやれる人 • 経験が成長につながる と考えられる人 弱さ(弱点) の捉え方 • 他人に知られては ならないもの • 成長のための気付き • 周囲の支援のきっかけ ロバート・キーガン著.「なぜ弱さを見せる組織が強いのか」

67.

⑦オーセンティック・リーダーシップ Authentic=「本物の」 • 指導者として人のまねではなく,自分自身の価値観や信念に 正直に,自分らしく,誠実さや倫理観に重きを置いて人を導く. • 誠実でオープンなコミュニケーションにより信頼関係を築く. • リーダーである自分も不完全で向上を図っている姿を見せて良い. • これらは組織内の心理的安全性(組織の中で自分の意見・感情・ 疑問・失敗を安心して表現できる状態)を向上させ,イノベーション につながる.

68.

Authentic とはどういう状態か? 1. 本当の自己(感情,考え)を知る 2. 本当の自己を積極的に,包み隠さず表現できる 3. 自分の人生の創造者として「自分の人生のリーダー」 になる → 自分の弱さを認めると,その弱さが強さに変容する!

69.

小括3.リーダーシップ理論とは? • 歴史や社会の変遷とともにリーダーシップのあり方はさま ざまに変化し,発展してきた. • 先人が経験して身につけたさまざまなリーダーシップを, 現代の我々は本などで学んで実践することができる.

70.

リーダーシップ 総論 リーダーシップ の歴史と理論 目指すべき リーダーシップ 多くのリーダーシップがあるが, 結局,どうしたら良いのか?

71.

1.複数のリーダーシップを身に着ける 複数のリーダーシップを身につけ, 適切なときに適切なリーダーシップ を使い分ければよい! スティーヴン・マーフィ重松.著

72.

最高のリーダー(Assertive leader)を目指し 4つのリーダーシップを身につける Assertive 自分を尊重し,人を否定せす,自分と人のために 行動できる積極的なリーダー Authentic 個人的 土台 Servant 部下を 支援 Transfor mative 変革する Crossover 壁(違い) を克服

73.

2.キャリアの転機でリーダーシップをシフトさせる 支配的リーダーシップ • 名声を得る モチベーション • 権力を得る サーバント・リーダーシップ • 他者に奉仕する • 他者の成長を支援する マネジメント スタイル • 権力を用いて部下を • 対話を通じて行動を促す 動かす 重視点 • 自分が賞賛される • 相手が称賛される 山口周.人生の経営戦略(2025)を改変

74.

支配型から支援型にシフトする時期が来る 1. 支配型が全面的に悪いわけではなく,状況によっては支配型が 機能することがある(例;緊急性の高いタフなタスク). 2. しかし支配型は「現場の第一線で働く」というキャリアの一時期 (30~40歳代)においてのみ有効で,短期的に結果を出せても 持続せず,それでも続けると後進も育たず機能不全に陥る. 3. つまりキャリアの過程で,支配型から支援型にシフトする必要が ある(50歳代~) . 山口周.人生の経営戦略(2025)

75.

3.世の中に貢献するという正しい理念をもつ 社会の問題を解決し,人々に貢献する 企業の存在意義は社会への貢献

76.

結論 1. リーダーシップとは,高い志に基づき魅力ある目標を設定し, そのための環境を構築し,周囲の意欲を高め成長させながら, 課題や障害を解決する行動といえる. 2. 状況や年齢,自身のキャリアに応じたリーダーシップを発揮でき るよう,教科書や経験者からリーダーシップについて学ぼう! ご清聴ありがとうございました.