第30回リベラルアーツ研究会

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October 02, 24

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岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 教授

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各ページのテキスト
1.

第30回 医学生のための リベラルアーツ研究会 茶道に触れて,その精神を 学んでみよう! 岐阜大学 脳神経内科学分野 下畑 享良

2.

千利休(1522-1591) 安土桃山時代の茶人 質素さと内面的な精神を重視す る「わび茶」を確立した. → 美意識と哲学 武士といえども頭を下げないと 入れない躙口(にじり口)を作り, かつ刀を置いて丸腰で入ること を考えた=人の平等 彼は秀吉に仕えたが,後に 対立し,切腹を命じられた.

3.

茶室 躙口 千利休が手がけた茶室で唯一残る国宝「待庵」. わずか2畳の広さ.究極の侘び(わび)の世界.

4.

千利休を理解するためのキーワード 侘び・寂び 質素でありながら深い精神的な満足を追求する美学(わび)と, 時間が経ったことで得られる静かな美(さび). わび茶 質素で簡素な美を追求し,内面的な精神性を重視する. 自然の中にある不完全さや静けさを尊び,華美を避ける美学. 一期一会 一生に一度の出会いを大切にする精神. 茶会はその瞬間が唯一無二のものである. 主客一体 主人と客が一体となり,互いに心を通わせることを重視する.

5.

和敬清寂 和 皆で和し合うこと.「平和と調和」 敬 人間すべてを敬うこと.互いに敬う. 清 清らかな気持ちを持つこと 寂 何事にも動じない気持ちを持つこと → 茶の道とは,これらの心を涵養すること. この精神があれば,広い心で物事をとらえ,相手の立場に なって仕え合えるようになる.

6.

弟子 古田織部(1544-1615) 千利休の弟子として茶道を学び 独自の「織部流」を確立した. 織部流は,利休の「わび茶」とは 異なり,より大胆で自由な美的 感覚を重視し,歪んだ形や斬新 なデザインの陶器「織部焼」を 生み出した.(=師匠を超える) 美濃国の出身であり,美濃焼の 発展にも大きく貢献した (織部焼は美濃焼の一派)

7.

推薦図書 ひょうげる(ひねくれる.茶目っ気がある.風変わりな)

8.

重文 黒楽茶碗『大黒』

9.

赤楽茶碗『早船

10.

黒織部沓形(くつがた)茶碗

11.

黒織部沓形茶碗 銘 わらや

12.

おまけ:一番,感動した茶碗 曜変天目茶碗(静嘉堂文庫美術館)

13.

千玄室さん 裏千家の第15代家元(大宗匠). 茶道を通じて日本文化の普及と国際的 な交流を推進してた. 茶道は単なる芸術や礼儀作法ではなく, 心の安らぎや人々をつなぐ架け橋として 位置づけている. 著作のなかで茶道の精神や美学を解説 してきた.

14.

一盌からピースフルネス 身分の枠にとらわれず,差別なく,あらゆる人々が一盌のお茶を 楽しみながら和やかな心になる.お茶の精神には,そんな平和へ の祈りが込められているのです. 一盌の茶を前にしたときは人として対等. 自分を認めた者を認める.そこにこそ平和の原点がある. 世界中の人々がお茶の心を理解し実践するなら,必ず世界は 変わるでしょう

15.

大和魂(本来の意味は) 「源氏物語」の「少女」の巻の中に「大和魂」という言葉が出てきま す.大和魂というのは,そうした学問によって得た知識や理論を, 生きて血の通ったものにする知恵や工夫をする心です.知識がい くらあろうともそれを使いこなすことのできる豊かな心がなくてはダ メなんだ,というわけですね. もともとの大和魂とは,そういう物事や人,心を理解する柔らかな 心を表す言葉だったのです. → 医療の2面性(知識と知恵,治療と癒やし)につながる

16.

濃茶と薄茶 濃茶は,ひとつの碗に点てたお茶を,その場に集った人々が分け合って,回し飲 みをします.身分も人種も関係ない「人の平等」を 「世界人類はひとつ」ということ を,この一碗の茶は表しています. → 「一盌からピースフルネスを」 茶の心を通して平和を! ひとりひとりに点てられる薄茶では,先に飲んだ隣の方に「もう一服いかがですか ?」と,まず尋ね,次の方には「お先に」と声をかけて,そして自分がいただく.そこ には他人を気遣い,大切にする心があるのです.人が先,自分が後,です.

17.

印象に残った千玄室さんのことば① ー教育についてー 何でもかんでも教えることが真の教育ではない. 真の教育とは道を教えること.それは心です. 学問の知識を教えることも大事ですが,それより もその先生の人であり心でありといったものを 学生に与えてやれるかどうか,ということです. 人を導くものは,陽でなければならないのです

18.

印象に残った千玄室さんのことば② ー世の中との関わり方ー 何を望み,何を選び,何を拒否するのか,ひとりひとりが心に強く 思う.自分ひとりが動いたところで流れは何も変わらないなどと 諦めずに,ひとりひとりが,この国の向かう方向を決めるのは自分 たちなのだ,と自覚すること.それしかないと思います. 英語はあまり得意ではないけれど,日本の文化や伝統について 語ることができる.そういう人こそが真の国際人たりうると私は 思います.

19.

次回の課題図書 関孝和 上杉鷹山 福沢諭吉 河原操子 柴五郎 西郷隆盛 上杉鷹山 二宮尊徳 中江藤樹 日蓮 いずれかの本を読んで,印象に残った「日本人らしい日本人」をあげて その理由も教えてください