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July 30, 23
スライド概要
東京私学協会主催の研究会で使用した資料です
東京都にある学校の教員です
2023年度 文系教科研究会 地理探究との接続を視野に入れた 地理総合の授業展開 品川女子学院 河合豊明
1)自身のプロフィール 2011年 広島大学文学部(人文地理学)卒業 広島文教女子大学附属高校 採用 2015年 広島大学大学院文学研究科(人文地理学)修了 2016年 品川女子学院 教諭 8年目 中等部3年担任・広報部・道徳総合委員 吹奏楽部及びチェンバーオーケストラ部顧問 現在 日本学術会議 地理教育小委員会 地図/GIS教育分科会 内閣官房ビッグデータチーム RESAS専門委員 東京私学協会 社会科研究員 6年目
2)事前のアンケート結果より 本日お越しの皆様 28校 地理探究 地 理 総 合 1年 1・2年 2年 3年 2年 2・3年 3年 なし 6 4 2 6 1 1 5 1 2
2)事前のアンケート結果より 3つのパターンに分かれる ・受験は歴史・公民のみで… →受験とは一線を画した「地理総合」の実施 ・「地理総合・公共」を共通テストで受験 →「高校地理」の何を取捨選択するか ・「地理総合+地理探究」を受験 →今までの「高校地理」からの変更点は?
2)事前のアンケート結果より 3つのパターンに分かれる ・受験は歴史・公民のみで… →受験とは一線を画した「地理総合」の実施 →どのようなアクティビティを実施するか ・「地理総合・公共」を共通テストで受験 →「高校地理」の何を取捨選択するか →GIS・国際理解/国際協力・防災/地域調査 という3つの柱?従来型に沿う? ・「地理総合+地理探究」を受験 →今までの「高校地理」からの変更点は?
2)事前のアンケート結果より 3つのパターンに分かれる ・受験は歴史・公民のみで… →受験とは一線を画した「地理総合」の実施 →どのようなアクティビティを実施するか ・「地理総合・公共」を共通テストで受験 →「高校地理」の何を取捨選択するか →GIS・国際理解/国際協力・防災/地域調査 という3つの柱?従来型に沿う? ・「地理総合+地理探究」を受験 →今までの「高校地理」からの変更点は?
2)事前のアンケート結果より ・より効果的にするため単元の冒頭?まとめ? ・1単元でまとめて実施?分散して実施?
2)事前のアンケート結果より 冒 頭・まとめ
2)事前のアンケート結果より 学習の順序 付加 地形〜工業まで 地形→気候 従来通り (地理A・B) 教科書通り 防災を 前倒し 一部省略 地図・GIS 削減
2)GISの活用事例 3)河合の事例 1学期:地図/GIS・工業立地・商業立地・都市問題 Google Earth 地理院地図 (地図太郎?)
2)GISの活用事例 3)河合の事例 1学期:地図/GIS・工業立地・商業立地・都市問題 Google Earth 地理院地図 (地図太郎?)
3)河合の事例 「地理総合」の必修によって, 「全く興味も関心もない高校生」も,地理の授業を 受けなければならない… →興味がない高校生にとって, 「世界のどこかの事例」なんて微塵も興味がない…
2)GISの活用事例 3)河合の事例 1学期:地図/GIS・工業立地・商業立地・都市問題 Google Earth 地理院地図 (地図太郎?) 暖色が増加,寒色が減少。ここから分かることは? RESAS *秋の政策アイデアコンテストへ応募
2)GISの活用事例 3)河合の事例 1学期:地図/GIS・工業立地・商業立地・都市問題 Google Earth 地理院地図 (地図太郎?) j-STAT MAP
3)河合の事例 2)GISの活用事例 統計地図のデータ読み取りを徹底する 1学期:地図/GIS・工業立地・商業立地・都市問題 ジオグラフ(都市構造可視化計画)
Q)ある学校に登校する生徒の通学時間をまとめた以下のヒストグラム(%) から分かることを,ア〜エより1つ選びなさい。 15分未満 15〜30分 30〜45分 45〜60分 60〜75分 75分以上 0 10 20 30 40 ア.45分以上をかけて登校している生徒が,全体の過半数である。 イ.過半数の生徒の自宅は,学校から20km以上離れている。 ウ.75分以上をかけて登校している生徒が, 少なくとも4人は在籍している。 エ.この学校は,地方の山間部に位置する学校だと考えられる。
Q)右の散布図は,ある地方都市における「ある施設」から市内のケーキ 屋までの距離(横軸)と売上(縦軸)を示したものである。 それを踏まえ,①〜③の問いに答えなさい。 ①「ある施設」とは何でしょう? ②外れ値にあたる店舗は,どのような特徴がありますか? ¥
2)GISの活用事例 3)河合の事例 2学期:防災・地形・気候・環境問題・農業・食糧問題 ー防災をテーマにデータを見つめるー Google Earth 地理院地図 (地図太郎?) 海沿いより 内陸の方が より深く沈む… 重ねるハザードマップより
2)GISの活用事例 3)河合の事例 2学期:防災・地形・気候・環境問題・農業・食糧問題 ー防災をテーマにデータを見つめるー Google Earth 地理院地図 (地図太郎?) 旧版地形図を 重ねてみる 干拓と埋立 重ねるハザードマップより 1898年発行国土地理院地形図「廣島」
2014/11/4撮影 2)GISの活用事例 3)河合の事例 Google Earth Google Earth 地理院地図 (地図太郎?) 1974年撮影 Google Earthに1974年 国土地理院撮影 航空写真をオーバーレイ表示した
1974年 2)GISの活用事例 3)河合の事例 Google Earth 地理院地図 (地図太郎?) 2010年 航空写真から取得した現地データをCARTOに入力
3)河合の事例 データを踏まえたストーリーを説明できるか 上 流 に ダ ム を 建 設 砂 が 川 に 流 出 し な い 砂 浜 は 波 に さ ら わ れ る … 都 市 を 洪 水 か ら 守 り た い 砂 浜 に 砂 が 供 給 さ れ な い 砂 浜 が 消 滅 寸 前
3)河合の事例 文脈作り ダムが建設された 2 つの理由と,ダムと海岸線後退の関係を 考え,100 字程度で説明しなさい。 Google Earthより カイロ大学紀要より
2)GISの活用事例 3)河合の事例 2学期:防災・地形・気候・環境問題・農業・食糧問題 南半球 北半球
2)GISの活用事例 3)河合の事例 2学期:防災・地形・気候・環境問題・農業・食糧問題 摂津市生活環境部Webサイトより オゾン層の破壊は南半球ばかり…でも, 「南半球の国々の自業自得」ではない。 誤解を解くという観点で,どのように説明できるか…
3)河合の事例 2)GISの活用事例 3学期:国際理解・最終レポート
「歴史総合」との連携として,歴史的な観点からも説明させる 3学期:国際理解・最終レポート Google ストリートビューより ¥
3)河合の事例 3学期:国際理解・最終レポート 「探究活動として,個人が成果物をつくる」ことを目標に →生徒は,思い思いの情報を地図化し考察 ・宝塚スターや力士の出身都道府県 ・海岸に打ち上げられるゴミの量 ・駅の利用者数と構内のカフェ・ファーストフード店数 ・不動産価格とコインパーキングの価格
3)河合の事例 Youtube 前面展望の動画 Youtubeより
爇 壇 糵 龗 櫽 欅 3)河合の事例 襲 : 第 蔣 - ' 赤:高層ビル・商業施設 橙:3・4階建て 緑:2階建て・農地 黒:不明 :癆 一護 、 川田未羽・河合豊明 2022.個人が探究する地図学習の提案 -データを実感できる地図作成を事例に-.日本地図学会学術大会発表.
3)河合の事例 2)GISの活用事例 ここまでにご紹介したポイント ・データ/情報を適切に読み取ることができるか ・どのように説明できるか これこそが,従来の地理A/Bとの違い? その能力を充実させるべく…
3)河合の事例 情報を置き換えて RESAS 一世帯あたり人口 表現させる jSTAT MAP 一戸建て数
2)GISの活用事例 3)河合の事例 わざと誤っている表現法に気付けるか 2014年 RESASより <金沢市への観光客数> 2016年 510,476 861,564 92,144 122,128 69,796 92,349
3)河合の事例 わざと誤っている表現法に気付けるか 2019 年,新幹線の⾞両が⽔没し 148 億円の損害が 発⽣した。右図のア〜エのうち,2019年と同じような 被害が発⽣する可能性が最も⾼い場所を選びなさい。 地理院地図より 地理院地図にて作成
2)事前のアンケート結果より どれでもできる! どれも必要! 3つのパターンに分かれる ・受験は歴史・公民のみで… →受験とは一線を画した「地理総合」の実施 →どのようなアクティビティを実施するか ・「地理総合・公共」を共通テストで受験 →「高校地理」の何を取捨選択するか →GIS・国際理解/国際協力・防災/地域調査 という3つの柱?従来型に沿う? ・「地理総合+地理探究」を受験 →今までの「高校地理」からの変更点は?
4)最後に 地理総合だからこそできる(やるべき)… ① 情報を置き換えて表現する機会 ② わざと誤った表現法を提示する機会 の2つを考えてみてください。 またそれは,冒頭?まとめ?
研究会後のアンケート・メモより ●いろんな学校での事例を聞くことができて,色々と遅れているのだなと痛感した →担当者が1人しかいないと,情報交換の機会も少なくなってしまうかと思います。 折角のご縁ですので,引き続き先生方と情報交換の機会をいただけますと幸いです。 ●地理探究の実践事例が気になりました(単位数削減により,どのように取捨選択を する必要があるのか悩んでいます) →私の場合は,地誌を長期休暇の宿題とし,系統地理に絞って進めていきます。 いずれにせよ,初年度が来年度となりますので,改めて情報交換をお願いします。 ●どのようにして問いを立てるのか,思いつくのかが気になった →賛否両論であることを前提に,私の場合は以下の2つのポイントを気にしています。 1)ストーリーが成立すること 地理の場合は,沢山の例外があります。それを全て切り捨てて,地理総合では 法則だけを取り扱い,探究で個別事例を取り扱うという形にしています。 2)仮説であったとしても取り扱う 学術の世界に行けば,「こういう説もある」としか言えないことは多々あります。 そして自然地理学・地質学・地震学,人文地理学・経済学・社会学と分野が違えば 結論が違う…ということも多々あります。それらの説も全て,簡単に触れるように しています(教科書や資料集の「答えがある話」だけだと探究にならないため)。 …入口として,日本地理学会の高校生セッションへの参加はオススメです。引率しつつ たくさんの情報を入手することにも繋がります。
授業に関するお問い合せ,ご質問があれば [email protected](河合)へ ご遠慮なく,ご連絡ください。 引き続き,研究会をよろしくお願いいたします。