大企業をボトムからアジャイルにする~大きな企業で「アジャイルな組織づくり」はじめましたー~ RSGT2025

379 Views

January 17, 25

スライド概要

Regional Scrum Gathering Tokyo 2025(#RSGT2025)で登壇した際に使用したスライドです。
共有させていただきます!

概要はこちら(プロポーザル)
https://confengine.com/conferences/regional-scrum-gathering-tokyo-2025/proposal/21143

profile-image

大きめの製造業の現場で楽しみながらアジャイルを広める係やってまーす RSGTなどフェス大好き! 日本酒、新幹線、大好き。ニンジンは苦手なエンジニア、認定スクラムマスター(CSM) 、認定プロダクトオーナー(CSPO)

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

大企業をボトムからアジャイルにする ~大きな企業で「アジャイルな組織づくり」はじめましたー~ 2025/1/9 鈴木保恒 三菱重工機械システム株式会社 三菱重工は、大阪・関西万博の 「三菱未来館」を応援しています。 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved.

2.

免責事項 今回の発表は個人の見解であり、 所属組織を代表するものではありません © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 2

3.

プロフィール 鈴木保恒(すずきやすのぶ) @ysuzuki324 ニックネーム:やす [email protected] 好きなもの:日本酒、新幹線、フェス 嫌いなもの:にんじん キャリアスタート キャリアチェンジ がん放射線治療装置の開発において、 電気制御やハードウェア設計のエンジニア、 医学部との共同開発などに従事 食品包装機械(産業機械)のアフターサービス 事業に携わることになり、その流れでドメイン 知識を有するプロダクトオーナー(PO)とし て、顧客向けのEC系カスタマーポータルのプ ロダクト開発に従事 出展:https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/511/511088.pdf © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 3

4.

三菱重工グループの概要紹介 事業領域 モノ売り 3つの事業ドメインおよび5つのセグメント ⇒ コト売り AS(アフターサービス)⇒CS(カスタマーサービス)⇒CS(カスタマーサクセス) 激しく変化する顧客の事業環境と持続的な顧客価値創出に向き合うため アジリティを高める 出展:https://www.mhi.com/jp/finance/library/annual/pdf/report_2024_05.pdf © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 4

5.

このセッションでのLearning Outcome ➢ アジャイルな組織づくりにも「アジャイルマインドやスクラムの価値」などが 役に立つことが分かる ➢ 困難な冒険には、チームと仲間、そして、対話から創発されるワクドキこそが 情熱の火種になるということに気づく ➢ 少しずつでも、信じて歩めば、大小に関わらずいろんな組織を「全員が主役と なる組織」へと進化させることが出来るかもしれないという気持ちになれる © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 5

6.

アジャイルなプロダクトづくりを始めたころの話 アジャイルの基礎を学ぶ 三菱重工・本社のスクラムチームで プロダクトオーナーとして アジャイル開発を経験する デジタルツールの利用 ⚫ Slack ⚫ Miro ⚫ Notion © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. アジャイルコーチの伴走支援を受け、 アジャイルマインドを学ぶ 取り組んだ各種トレーニング ⚫ 具体と抽象(講師:細谷功さん) ⚫ EQトレーニング( Hyper-collaboration ) ⚫ CSPO研修(アギレルゴコンサルティング) ⚫ CSM研修(アトラクタ) 6

7.

アジャイルなプロダクトづくりを始めたころの話 トレーニングの一例 具体と抽象トレーニング ※「具体と抽象」著者・細谷さんのトレーニング 抽象的な思考は、アイディアの創発だけでなく、他者を理解したり、共通認識合わせ など問題解決やコミュニケーションの向上にも有用であることをワークショップ形式 のトレーニングで学びました EQトレーニング ※Hyper-collaborationさんのトレーニング(約半年間) 「どんな気持ち、それはなぜ」「方法はそれだけ?」「本当はどうしたい?」を自問 しながら、自身の感情を深く知り、本当に意図する行動ができるようになることで、 自分らしい生き方・働き方を築いていくために必要な感情知性(EQコンピテンシーの 3つの領域(知る、選ぶ、活かす))を向上させるために必要なことを学びました © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 7

8.

そして今 神戸にある工場の中の、約1,000人規模の事業部の DXを推進するというミッションを持ったチームに入ることになり、 ●「アジャイルなプロダクトづくり」を、 私たちがよりアジリティ高き、ふるまいを行うための ●「アジャイルな組織づくり」という言葉に置き換えて、 現場(ボトム)の課題(ツラミ)を少しずつ解決していきながら 「大企業をアジャイルにする活動」に取り組み始めています © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 8

9.

今日の話の流れ アジャイルな組織づくりを ➢ Step1:「一緒に始めるチーム」をつくりはじめた話 ➢ Step2:「推進する仲間」を探しはじめた話 ➢ Step3:「大きな組織」で展開しはじめてみた話 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 9

10.

今日の話の流れ アジャイルな組織づくりを ➢ Step1:「一緒に始めるチーム」をつくりはじめた話 ➢ Step2:「推進する仲間」を探しはじめた話 ➢ Step3:「大きな組織」で展開しはじめてみた話 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 10

11.

Step1:「一緒に始めるチーム」をつくりはじめた話 前提となる状況と課題 推進するメンバーは、 初期5人(今は7人)、私以外は デジタルもアジャイルも 未経験者だった © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. グループとして個人のタスク管理を行 いながら進める仕事のやり方に慣れて いる組織のメンバーが、 協働できるチームに進化しないと この難題は解けそうにない 11

12.

Step1:「一緒に始めるチーム」をつくりはじめた話 アジャイル未経験者のチームで、どんなことから始めてみる? ①メンバー間の コミュニケーション密度を上げる ②メンバーやチームの成長を促進する 関わり合いの質を高める 共通理解/協働の土台づくり ツールの導入(コミュニケーション) 場づくり(アジャイルマインド) Slack導入により習慣を変える ふりかえり、Learning Session © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 12

13.

Step1:「一緒に始めるチーム」をつくりはじめた話 ①メンバー間のコミュニケーション密度を上げる ねらい メンバーの関係性構築と関わり合いの質を高める Slackの導入によりコミュニケーション習慣を変える やったこと ➢ Attendanceチャンネルに投稿/リアクション ⚫ 「はじめます」「おわります」「〇〇で離席します」 ➢ 朝礼を朝会を変える ⚫ 管理主導な朝礼から、チームが協働するための朝会へ ⚫ 毎朝、各人が朝会チャンネルに投稿、共有 どうだった ✓ メンバーの動向/状況について、良い意味で関心を持てるようになった ✓ 習慣化しやすい反面、形骸化しやすく、リノベも必要 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 13

14.

Step1:「一緒に始めるチーム」をつくりはじめた話 ②メンバーやチームの成長を促進する ねらい 協働するという価値観を、相互学習で学び理解する アジャイルマインドの基礎を身ににつけるための場づくりと実践 やったこと ➢ 学びの場づくり ⚫ Learning Session、読書会、アジャイル探究会 ➢ ふりかえり会の実施 ※アジャイルコーチの伴走支援 ⚫ 個人への反省ではなく、チームで内省し成長するための場 ⚫ Miroを導入し、目線合わせをしやすくした どうだった ✓ 相互学習の効果を体感でき、協働することの価値を理解しやすくなった ✓ 共通認識が合わせやすくなったが、共通認識は油断するとすぐにズレていく © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 14

15.

今日の話の流れ アジャイルな組織づくりを ➢ Step1:「一緒に始めるチーム」をつくりはじめた話 ➢ Step2:「推進する仲間」を探しはじめた話 ➢ Step3:「大きな組織」で展開しはじめてみた話 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 15

16.

Step2:「推進する仲間」を探しはじめた話 前提となる状況と課題 一緒に活動してくれそうな 現場のチームが そんな仲間の探し方が 分かっていない 1つもいない © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 16

17.

Step2:「推進する仲間」を探しはじめた話 一緒に推進してくれそうな仲間をどうやってつくっていく? ①広く、一緒に推進する仲間を探す ②マッハチームを立ち上げる 組織変革の「土壌」を耕しながら 課題(ツラミ)に向き合う方法を探求する デジタル推進委員会の発足 デジタル推進分科会の発足 各部よりデジタル推進員を選出:約30人 先駆者となる数名と © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 17

18.

Step2:「推進する仲間」を探しはじめた話 ①広く、一緒に推進する仲間を探す ねらい 広大な組織変革の「土壌」を耕しながら、一緒に推進してくれそうな仲間を探す 各部門の代表(デジタル推進委員)を集める(約30人) やったこと ➢ みんなで委員会のやり方を変える ⚫ PPTによる「一方通行型」から、Miro活用による「双方向型」へ ⚫ 対話と協働の素地を作りながら、一緒に推進する仲間を探す ➢ みんなでアジャイルを体験する(アジャイルマインドの基礎) ⚫ アジャイルワークショップの実施 どうだった ✓ 一緒に推進してくれそうな仲間は見つかった ✓ コミュニケーションパスも多く、まだまだ十分でない状況 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 18

19.

Step2:「推進する仲間」を探しはじめた話 ②マッハチームを立ち上げる ねらい 推進する仲間との対話を通じて、現場の課題(ツラミ)に向き合う方法を探求する マッハチームで活動を始める(数名で) やったこと ➢ 課題(ツラミ)を解決するローコードアプリの開発を実施 ⚫ 共通アプリ:事業部全員が利用対象なもの ⚫ 個別アプリ:個々の現場(一部)に寄り添ったもの ➢ 事業部全体への浸透、影響状況を現場の視座で共有 ⚫ 進む方向の確からしさの検証 どうだった ✓ いろんな現場の中にアジャイルを芽生えさせるための段取り感が少し分かった ✓ 一方、現場の課題は多種多様であり、経験値がまだまだ足りてない状況 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 19

20.

今日の話の流れ アジャイルな組織づくりを ➢ Step1:「一緒に始めるチーム」をつくりはじめた話 ➢ Step2:「推進する仲間」を探しはじめた話 ➢ Step3:「大きな組織」で展開しはじめてみた話 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 20

21.

Step3:「大きな組織」て展開しはじめてみた話 前提となる状況と課題 一部の現場でアジリティ高く、 それを、大きな組織全体に 課題を解決していくことを 広げていくことは、果てしなく 少しだけ経験できた 気が遠くなるという状況 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 21

22.

Step3:「大きな組織」て展開しはじめてみた話 約1,000人規模の事業部全体にどこからアタックする? ①デジタルツールの積極活用 ②現場の課題(ツラミ)を現場で解決する 同じ土俵に立つためのツールを装備する 実践する現場(チーム)を増やしていく 各種クラウドツールの導入 ローコードツールによる市民開発 約1,000人規模の事業部全員で アジリティ高くやっていく © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 22

23.

Step3:「大きな組織」て展開しはじめてみた話 ①デジタルツールの積極活用 ねらい 同じ土俵に立つためのツールを装備し、コラボレーションの向上 約1,000人規模の事業部全員を対象に やりはじめた こと ➢ 各種クラウドツールの導入 ⚫ Slack、Miro、kintoneのライセンスを付与 ⚫ 各部門にAmbassadorを立てて利用促進活動を実施 ➢ OKR/KPIを設定し、定量評価を開始 ⚫ アンケートなどの定性評価も どうだった ✓ 少しずつ利用は増えていっているが、これからが正念場 ✓ チームとして課題を素早く解決していくために、有用な取り組みであることを実感 © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 23

24.

Step3:「大きな組織」て展開しはじめてみた話 ②現場の課題(ツラミ)を現場の近くで解決する ねらい 現場の課題(ツラミ)を現場の近くで、アジリティ高く解決していく場を増やしていく 約1,000人規模の事業部の現場全てを対象に、優先度をつけながら、 1つ1つの現場で以下のことに取り組み始めている やりはじめた こと ➢ 現場の課題を主語とし、課題対私たちの構図で取り組めるようにする ➢ 見つけた課題を、素早く解決してみせる ➢ 現場の手の内で解決できる環境や仕組み整えていく(市民開発) どうだった ✓ 多くの人は「変わりたくないわけではないけど、変えられたくない」と感じてるかも ✓ よりよいやり方を説得するのではなく、課題と向き合う対話の中で創発されたアイ ディアと同時に芽生えたワクドキこそが情熱の火種になるようなことを経験できた © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 24

25.

まとめ ①「一緒に始めるチーム」を作って ③アジャイルな組織づくりを 伝統的な日本の大企業の 「大きな組織」ではじめてみました デジタル推進チーム (私たち) ②「推進する仲間」と共に まだ参加していない チーム © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. マッハ チーム 事業部A 改善 チーム 部門横断 チーム 25

26.

まとめ 総 じ て 分 か っ た こ と む す び 個人やグループでの仕事に慣れている組織が、共通の目標に 取り組むためのチームになるということは、それなりに難しい アジャイルな組織づくりには推進チーム単独ではなく、各職場や 支援者など多くの仲間が広義のチームとなっていく必要がある 課題解決を楽しみながら手の内化していくことを通じチームとなり、 アジリティ高きふるまいを習慣化できれば組織変革の推進力になる 変化を捉え、機敏に対応するためのケーパビリティ獲得において、 「アジャイルマインドやスクラムの価値」などは親和性が高く 経験や失敗からチームで学び、協働できようになれば、 私たちのような伝統的な大企業であっても、 「全員が主役となる組織」へと進化していけると信じています © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 26

27.

まとめ END To Be Continued... © Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems ,Ltd. All Rights Reserved. 27

28.

三菱重工は、大阪・関西万博の「三菱未来館」を応援しています。 三菱重工機械システム株式会社