なぜそのデータソースを選ぶのか:データ要件の明確化から評価・選択まで

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October 18, 26

スライド概要

第31回日本薬剤疫学会学術総会
ランチョンセミナー6 問いから始めるRWD選択:データソース選択の論理を可視化する
2026年10月18日

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京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学分野 講師

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1.

第31 回日本薬剤疫学会学術総会 2026 年10 月18 日 ランチョンセミナー(株式会社 JMDC ) 問いから始める RWD 選択:データソース選択の論理を可視化する なぜそのデータソースを選ぶのか データ要件の明確化から評価・選択まで 深澤 俊貴 京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 薬剤疫学分野 1

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利益相反 過去1年間の開示(日本薬剤疫学会の規程に基づく) • 研究費:アストラゼネカ株式会社 • コンサルティング料:旭化成セラピューティクス株式会社、 株式会社JMDC MSD 株式会社、 2

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プラトンの「洞窟の比喩」 見えているものを、 現実そのものと 思っていないか 壁に映る影しか知らなければ、 それを現実だと思ってしまう 振り返ることで、 その影を生み出しているものに 気づく 図:演者作成( ChatGPT 使用) 3

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データを見つめる研究者 私たちは データを通じて 何を見ているのか 患者に起きたことのすべてが、 データに表れるわけではない 私たちが見ているのは、 診療・記録・収集・加工の 過程を経て得られた情報である 図:演者作成( ChatGPT 使用) 4

5.

振り返る研究者 データを生み出す 過程に、 目を向ける 誰の、何が、いつ、どのように 記録されているのか その過程と限界を理解し、 問いに答えるために必要な情報が 得られるかを確かめる 図:演者作成( ChatGPT 使用) 5

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問いに即したデータソース選択へ データの生成過程と限界を踏まえ、関心のある問いに適しているかを評価する 近年、規制関連文書で、データソースの評価・選択の考え方が整理されている FDA Real -World Data: Assessing Electronic Health Records and Medical Claims Data to Support Regulatory Decision -Making for Drug and Biological Products Jul 2024 ICH M14 General Principles on Planning, Designing, Analyzing, and Reporting of Non -interventional Studies That Utilize Real -World Data for Safety Assessment of Medicines Mar 2025 EMA Reflection paper on use of real -world data in non -interventional studies to generate real -world evidence for regulatory purposes Sep 2025 Mar 2026 EMA Data Quality Framework for EU medicines regulation: application to Real -World Data (RW -DQF) 6

7.

ICH M14 にみるデータソース選択 医薬品の安全性に関する規制上の問いに 十分に答えられるエビデンスを fit -for -use なリアルワールドデータを用いて 創出するための概念的枠組み データソース選択( Steps 2 ~7) を、 研究計画全体の中に位置づける *ICH M14 は、医薬品の安全性評価を主な対象と するが、 基本原則は使用実態・有効性研究など の非介入研究にも適用されうる ( §1.4 参照) 7

8.

ICH M14 にみるデータソース選択 問いと研究デザインを具体化し、 フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、評価結果を踏まえ、 研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 8

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ICH M14 にみるデータソース選択 問いと研究デザイン を具体化 し、フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、評価結果を踏まえ、研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 9

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Step 2. Define the research question 問いの明確化 研究の目的が、記述か因果推論かを明確にする 推定対象( estimands )の明確化にあたり、目的に応じたフレームワークを用いるのがよい 記述疫学のフレームワーク( framework for descriptive epidemiology ) 集団における特徴を定量的に要約 • 標的集団(人・場所・時点) • アウトカム • 発生頻度を表す指標 • 補助変数(必要に応じて、層別・標準化等) • 追跡開始時点・追跡期間(縦断研究の場合) Lesko, et al. Am J Epidemiol . 2022;191:2063 –2070. *記述疫学のフレームワークは、 M14 ではなく演者の推奨 因果推論のフレームワーク( framework ) 介入の因果効果を問う • 適格基準 • 治療戦略 • 治療割付 • アウトカム • 追跡開始と終了 • 因果的な対比 • 識別仮定 • 推定量 target trial Cashin, et al. JAMA. 2025;334:1084 –1093. 10

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Step 2. Define the research question 仮想事例:骨粗鬆症治療薬 A vs Bの心血管安全性 標的試験の特定 ( target trial specification ) 標的試験のエミュレーション ( target trial emulation ) 適格基準 50 歳以上の骨粗鬆症患者(悪性腫瘍、骨巨細胞 腫、骨パジェット病などの既往なし) 標的試験と同じ (ただし、既往歴は DB内で遡及 可能な限りの期間において判定) 追跡開始以前のDB登録期間 ≥ 1年 治療戦略 治療薬Aまたは Bの開始 標的試験と同じ (調剤記録で操作的に定義) 治療割付 患者は非盲検下でベースライン時にいずれかの 治療戦略にランダム割付 患者は観察データと一致する治療戦略に分類さ れ、 ベースライン共変量で交絡調整 アウトカム 主要心血管イベント( 標的試験と同じ (診断・医薬品・診療行為コー ドと死亡・死因情報で定義) 追跡開始と 終了 治療割付日に開始、アウトカムの発生、追跡不 能、追跡の管理的終了のいずれか早い日に終了 治療開始日から追跡し、終了条件は左記と同じ (追跡不能は、 DBからの脱落として定義) 因果的な 対比 Intention -to -treat ( ITT)効果(総合効果) 効果指標: 3 年リスク、リスク差、リスク比 ITT効果の観察研究におけるアナロジー 効果指標:標的試験と同じ MACE) 11

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ICH M14 にみるデータソース選択 問いと 研究デザインを具体化 し、フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、評価結果を踏まえ、研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 12

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Step 3. Define key study design elements 研究デザインの主要要素の具体化 標的試験の特定 ( target trial specification ) 標的試験のエミュレーション ( target trial emulation ) 適格基準 50 歳以上の骨粗鬆症患者(悪性腫瘍、骨巨細胞 腫、骨パジェット病などの既往なし) 標的試験と同じ (ただし、既往歴は DB内で遡及 可能な限りの期間において判定) 追跡開始以前のDB登録期間 ≥ 1年 治療戦略 治療薬Aまたは Bの開始 標的試験と同じ (調剤記録で操作的に定義) 治療割付 患者は非盲検下でベースライン時にいずれかの 治療戦略にランダム割付 患者は観察データと一致する治療戦略に分類さ れ、 ベースライン共変量で交絡調整 アウトカム 主要心血管イベント( 標的試験と同じ (診断・医薬品・診療行為コー ドと死亡・死因情報で定義) 追跡開始と 終了 治療割付日に開始、アウトカムの発生、追跡不 能、追跡の管理的終了のいずれか早い日に終了 治療開始日から追跡し、終了条件は左記と同じ (追跡不能は、 DBからの脱落として定義) 因果的な 対比 Intention -to -treat ( ITT)効果(総合効果) 効果指標: 3 年リスク、リスク差、リスク比 ITT効果の観察研究におけるアナロジー 効果指標:標的試験と同じ MACE) 13

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Step 3. Define key study design elements 研究デザインの主要要素の具体化 深澤 俊貴, 篠崎 智大. 薬剤疫学. 2025;30(2):53 -73 . 深澤 俊貴, 篠崎 智大. 薬剤疫学. 2026;31(1):31 -45 . 14

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テセウスの船 一つひとつ置き換えた先で、 答えたい問いは保たれているか 船の部材を少しずつ置き換えても、 それは同じ船といえるだろうか 標的試験を観察データで模倣する際も、 何を変え、何を保ったのかを振り返る その違いを踏まえても、 当初の問いに答えられるだろうか 図:演者作成( ChatGPT 使用) 15

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ICH M14 にみるデータソース選択 問いと研究デザインを具体化し、 フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、評価結果を踏まえ、研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 16

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources 初期フィージビリティ評価 データソースのフィージビリティ評価は、少なくとも 2段階で進める(初期評価で適切な候補が見つ かった場合も、詳細評価を行う) 1. 初期評価( Step 4 ):候補の探索・絞り込み • Step 3 で整理したデータ要件に基づき、利用可能なデータソースを探索する • 研究上の重要性に応じてデータ要件に優先順位を付け 、要件を満たす見込みから詳細評価に進 む候補データソースを絞り込む 2. 詳細評価( Step 6 ):候補の包括的な評価 • Step 5 のプロトコル案を踏まえ、対象者数と必要なデータの利用可能性を確認する • 研究に必要なデータの質と要件の充足度 を、候補データソースごとに詳しく評価・比較する 17

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources 初期フィージビリティ評価 研究上の重要性に応じてデータ要件 に優先順位を付け 、要件を満たす見 込みから詳細評価に進む候補データ ソースを絞り込む ICH M14 のトレーニング資料: 特に重要な 3つのデータ要件に基づ き、候補データソースを絞り込む例 が示されている ICH M14. WG Presentation / Trainings . 18

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources データソースを評価する二つの観点 該当性( relevance ) と 信頼性( reliability ) を研究の問いとデータ要件に照らして評価 該当性:問いに必要な情報が得られるか 信頼性:その情報を信頼できるか • 代表性( representativeness ): 研究対象 集団は、標的集団をどの程度代表するか • 正確性( accuracy ): にどの程度近いか • 利用可能性( availability ): 曝露・アウト カム・共変量に必要なデータが得られるか • 完全性( completeness ): 研究に必要な データがそろっているか • 追跡期間( follow -up time ): 研究に必要な 追跡期間を確保できるか • 由来( provenance ): データがどこから、 どのように収集・記録され、データソースに 取り込まれたか • 対象者数( sample size ): 見込まれる対象 者数で、どの程度の推定精度が得られるか データの値が真の値 • 追跡可能性( traceability ): 原データから 解析結果まで、データ間の関係をたどれるか 19

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources ICH M14 ( Step 2 版)用語集の邦訳 日本薬剤疫学会. 【 薬剤疫学を学ぶ 】 薬剤疫学研究に用いられる用語集が掲載されました 日本薬剤疫学会. 用語集. . 20

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources 該当性:代表性( representativeness ) 研究対象集団( study population ) は、 標的集団( target population ) をどの程度代表するか?  データソースと適格基準によって、どのような患者が研究対象となるか確認する  標的集団との患者特性の違い、特に 効果修飾因子の分布の違いを検討する(効果修飾因子の分布 が異なると、両集団で効果が異なりうる) 患者特性の比較( 効果修飾因子の分布など) 研究対象集団 利用するデータと適格基準に基づく集団 深澤 俊貴, 篠崎 智大. 薬剤疫学. 2025;30(2):53 -73 . 標的集団 研究の結論を適用したい集団 21

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources 該当性:利用可能性( availability ) 曝露・アウトカム・共変量に必要なデータが得られるか?  医療機関DBでは、一般に他施設での診療情報を捉えられない( 「記録がない」ことは、「診断・ 処方・イベントがない」ことを意味するとは限らない )  他施設での処方・診断や転院後のアウトカムなど、必要な情報が必要な期間にわたり得られるか 確認する  情報が不足する場合は、他のデータソースとの連結や追加収集の可能性を検討する 日本の製造販売後DB 調査には、施設横断的な診療情報が必要な問いに医療機関 DB を用い、データ ソース選択の妥当性に疑問が残る例も散見される ... Lin KJ, et al. Epidemiology . 2018;29(3):356 -363. Wang SV, et al. Clin Epidemiol . 2022;14:601 -608. 22

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources 該当性:追跡期間( follow -up time ) 研究に必要な追跡期間を確保できるか?  データの収載期間に加え、対象者ごとに追跡できる期間を確認する  契約終了に伴う、保険者・医療機関からのデータ提供の停止により、多数の対象者で追跡が途中 で終了することがある。こうした追跡の継続性は「観察期間の完全性( completeness of observation time )」にも関わる( §4.2 参照) 確認する観点 想定される影響・検討事項 追跡期間・イベント数 追跡期間の短縮やイベント数の減少により、推定精度が低下し、長 期アウトカムの評価が難しくなる 打ち切りによる選択バイアス 打ち切りが生じる理由を確認し、打ち切りに関連する対象者の特性 が、アウトカムのリスクにも関連するか検討する 23

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources 該当性:対象者数( sample size ) 見込まれる対象者数で、どの程度の推定精度が得られるか?  適格基準を満たす対象者数(全体・曝露群別)と、アウトカムの発生数( 曝露群別には分けず全 体のみ)を確認する  想定する効果の大きさなどの仮定に基づき、期待される信頼区間の幅を概算する  見込まれる精度を目安に、データソースや研究デザインの見直しが必要か検討する 補足:重要な因果的な問いを扱う、既存データを用いた研究では、予想される精度不足だけを理由 に実施を見送るべきではないとの議論もある( Hernán MA. J Clin Epidemiol . 2022;144:203 -205. ; ICH M14 本文の記載ではない) Desai RJ, et al. BMJ . 2024;384:e076460. Rothman KJ, et al. Epidemiology . 2018;29(5):599 -603. 24

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources 信頼性:正確性( accuracy ) データの値が真の値にどの程度近いか?  曝露・アウトカム・共変量について、既存のバリデーション研究やデータ品質の情報を確認する  既存のバリデーション結果は、データソース・対象集団・時期の違いを踏まえて適用できるか 判断する  変数の定義だけでなく、記録・入力・加工の過程で生じる誤りにも着目する 確認する観点 確認事項・具体例 変数の定義の妥当性 診断コード等による定義の感度・特異度・陽性的中率などを確認する 記録された値の正確性 年齢や検査値などに、不自然な値や誤記録がないか確認する 加工・変換の正確性 コードの変換や変数の作成などで、誤りが生じていないか確認する 25

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources 信頼性:完全性( completeness ) 研究に必要なデータがそろっているか?  必要な変数について、データが得られる範囲と欠測の割合、その経時的な変化を確認する  欠測の割合だけでなく、なぜ情報が得られないのかを確認する  欠測が生じる理由と範囲を踏まえ、研究への影響と対応の可能性を検討する 情報が得られない状況 具体例 収集・測定されていない 必要な項目が収集対象に含まれない、検査が実施されていない 実施されても記録されていない 検査は実施されたが、結果が記録されていない 記録されても利用できない 利用できない形式で保存されている、抽出・加工の過程で情報が 欠落している 26

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医科レセプト DPCレセプト 調剤レセプト レセプト管理レコード( MN ) レセプト管理レコード( MN ) レセプト管理レコード( 医療機関情報レコード( IR) 医療機関情報レコード( IR) 薬局情報レコード( レセプト共通レコード( RE) レセプト共通レコード( RE) レセプト共通レコード( 保険者レコード( 公費レコード( HO ) 保険者レコード( KO) 公費レコード( HO ) 保険者レコード( KO) 公費レコード( YK) RE) HO ) KO) 傷病名レコード( SY) 傷病名レコード( SY) 処方基本レコード( SH) 医薬品レコード( IY) 医薬品レコード( IY) 調剤情報レコード( CZ) 診療行為レコード( SI) 診療行為レコード( SI) 医薬品レコード( 特定器材レコード( TO) 特定器材レコード( TO) 特定器材レコード( TO) コメントレコード( CO) コメントレコード( CO) コメントレコード( CO) 日計表レコード( 症状群記レコード( NI ) 日計表レコード( SJ) NI ) 症状群記レコード( 臓器提供医療機関情報レコード( TI) 臓器提供者レセプト情報レコード( TR) 摘要欄レコード( SJ) TI) 臓器提供者レセプト情報レコード( 臓器提供者請求情報レコード( TS) 臓器提供者請求情報レコード( TS) 包括評価対象外理由レコード( GR) 包括評価対象外理由レコード( GR) 診断群分類レコード( 傷病レコード( BU) SB) 患者基礎レコード( KK) 診療関連レコード( SK) 外泊レコード( GA) 包括評価レコード( HH ) 合計調整レコード( GT) 診療行為レコード( SI) コーディングレコード( IY) TK) 基本料・薬学管理料レコード( 臓器提供医療機関情報レコード( CD) TR) 信頼性:由来( provenance )と 追跡可能性( traceability ) 具体例:レセプトから DBへ MN ) 分割技術料レコード( KI) ST) 原データ を加工・統合 して DB を作成 DB の各変数から 加工過程をたどり、 原データ まで さかのぼれるか? テーブル名 情報源 レセプト RE, HO, BU 傷病 SY, SB, BU 医薬品 IY, CZ, SH, CD( IYと CDの重複分は削除*) 診療行為 SI, CD( SIと CDの重複分は削除*) IR *特定入院期間( 診断群分類ごとに定められている算定期間 ) を超える場合 27

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources レセプトデータの由来( Nakao YM, et al . Ann Clin Epidemiol provenance )と加工過程 . 2026. Online ahead of print. 28

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources メタデータなどの既存情報から候補を絞る Step 3 で整理したデータ要件と、候補データソースの情報を照合し、 価して、候補を絞り込み データ要件ごとに、確認できたこと・未確認のこと・判断の根拠を記録 該当性と 信頼性の観点から評 情報源 確認する内容の例 メタデータ・データソースの説明 対象集団、収載項目、収載期間、更新頻度、連結の可否 公表文献・既存のバリデーション研究 利用実績、変数定義の妥当性、既知の限界 必要に応じた簡単な件数集計 対象者や薬剤使用者などの規模、要件を満たす見込み 29

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Step 4. Perform initial feasibility assessment to identify potential available RWD sources メタデータ(データの内容・構造・収集背景などを説明する情報) 掲載情報を確認し、 研究に必要な詳細は データ提供者に照会( Step 6 ) 日本薬剤疫学会. 日本における薬剤疫学に応用可能なデータベース調査 .

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ICH M14 にみるデータソース選択 問いと 研究デザインを具体化 し、フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、評価結果を踏まえ、研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 31

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Step 5. Develop draft protocol/synopsis describing study design and analytic methods プロトコル案の作成:再現性向上に向けた調和プロトコルテンプレート( Wang SV, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf 深澤 俊貴, 他. 薬剤疫学. 2023;28(1):17 -35. HARPER ) . 2023;32(1):44 -55. 32

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ICH M14 にみるデータソース選択 問いと研究デザインを具体化し、 フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、評価結果を踏まえ、研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 33

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Step 6. Refine feasibility assessment to determine which data are fit -for -use フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 のプロトコル案に基づき、候補データソースを詳しく評価・比較する • 評価の観点はStep 4 で紹介した該当性・信頼性を参照 し、対象者数やデータ要件の充足度を詳し く確認する • 判断できない点は、 データ提供者等への照会や追加集計で確認 する • 必要に応じて、欠測が研究の実施可能性に及ぼす影響を検討する • データの最新時点・更新頻度と、契約・データ入手・解析に要する期間を確認する 34

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Step 6. Refine feasibility assessment to determine which data are fit -for -use フィージビリティ評価の精緻化 各データ要件の充足度を 候補間で比較し、 利用するデータソースを選択 ICH M14 のトレーニング資料: 初期評価で絞り込んだ 3つの候補 について、要件の充足度をヒー トマップで示し、契約・データ 入手・解析に要する期間も含め て比較する例が示されている ICH M14. WG Presentation / Trainings . 35

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ICH M14 にみるデータソース選択 問いと 研究デザインを具体化 し、 フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、評価結果を踏まえ、 研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 36

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ICH M14 にみるデータソース選択 問いと研究デザインを具体化し、フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、 評価結果を踏まえ、研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 37

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Step 7a. Determine if the proposed study is sufficient to address the research question 問いに答えられるかの判断 以下の3つを総合評価し、研究の問いに十分に答えられるか判断する 1. データの該当性・信頼性 2. 研究デザイン・解析方法の適切性 3. 研究の限界と、結果の妥当性・解釈に及ぼす影響 感度解析の計画 • 研究の限界が結果に及ぼす影響を評価するため、感度解析を事前に計画する • 検討する仮定・バイアスと、各解析の実施理由・強み・限界を明確にする 感度解析に関する演者の見解 • 主解析自体に検討の余地がある一方、実施理由が不明確な感度解析を多数並べた例も散見される • まず主解析の妥当性を吟味し、必要な感度解析を選ぶべき 総合評価で問いに十分に答えられないと判断した場合は、研究設計の見直しやデータ連結・追加収 集などを検討する( Step 7b ) 38

39.

Step 7b. Evaluate alternative approaches 代替案の検討 計画した研究で問いに十分に答えられない場合は、データや研究設計を見直す • 別のデータソース を検討する • 他のデータソースとの連結 による情報の補完を検討する • 当該研究のために新たにデータを収集する 一次データ収集 を検討する • 既存データの利用と一次データ収集を組み合わせる ハイブリッド型の研究 を検討する • 必要に応じて適格基準や比較対照などを見直し、変更の理由と推定する効果への影響を明記する 見直し後は Step 3 ~7a に戻り、実施可能性と問いに答えられるかを再評価する Desai RJ, et al. BMJ . 2024;384:e076460. 39

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ICH M14 にみるデータソース選択 問いと 研究デザインを具体化 し、 フィージビリティ評価を通じてデータソースを選ぶ この過程では、 評価結果を踏まえ、 研究デザイン・データソース選択を反復的に見直す Step 2 問いの明確化 Step 3 研究デザインの主要要素の具体化 Step 4 初期フィージビリティ評価 研究目的を明確にし、対象・曝 露・比較対照・アウトカム・期 間・セッティングを具体化 対象者の条件、曝露、アウトカ ム、共変量などを定め、最低限必 要なデータ要件を整理 利用可能なデータソースを探索 し、要件を満たす見込みのある候 補に絞り込み Step 7 問いに答えられるかの判断 Step 6 フィージビリティ評価の精緻化 Step 5 プロトコル案の作成 データ・研究デザイン・解析方法 と限界の影響を踏まえて判断し、 必要に応じて代替案を検討 候補データソースごとに、対象者 数と必要なデータの利用可能性・ 質を詳しく評価 研究デザイン、解析方法、残余バ イアスの影響を評価する方針を具 体化 40

41.

テセウスの船 一つひとつ置き換えた先で、 答えたい問いは保たれているか 船の部材を少しずつ置き換えても、 それは同じ船といえるだろうか 標的試験を観察データで模倣する際も、 何を変え、何を保ったのかを振り返る その違いを踏まえても、 当初の問いに答えられるだろうか 図:演者作成( ChatGPT 使用) 41

42.

製造販売後DB 調査では、適切なデータソース選択がなされているだろうか 医薬品医療機器総合機構. 医薬品リスク管理計画( RMP: Risk Management Plan ) . ... ? 42

43.

問いに答えるために、データの生成過程へ目を向ける 問いに答えるために、 何が見えている必要があるか 誰の、何が、いつ、どのように 記録されているのか 研究の問いから 必要な情報を要件にし、 候補データソースを評価して、 適したものを選ぶ 図:演者作成( ChatGPT 使用) 43