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May 04, 26
スライド概要
何卒よろしくお願い申し上げます。 一流のIT研修講師を目指し、日々研鑽を続けております。 本資料は外部公開用としてご提供するものです。 ALJ Education Plus 株式会社 Yukiko(※趣味枠アカウント)
メンター声掛けフレーズ集 新卒未経験学生の主体性を引き出す18シーン 現場PJ式ではない、答えを教えない、メンター式の声掛け 論文・教育研究に基づく実用フレーズ集 うさうさエンジニア研究室
現場PJ式 と メンター式 の違い Coaching vs Directing × 現場PJ式 ○ メンター式 ・指示・命令で動かす ・問いで考えさせる ・答えを直接渡す ・気づきの足場をかける ・できる前提で進める ・現在地から始める ・スピードと成果が最優先 ・理解と主体性が最優先 ・「分かるはず」が暗黙の了解 ・「まだ分からない」を歓迎 ・失敗は責任問題 ・失敗は学習教材 受講生は部下ではない。指示の対象ではなく、伴走の対象。
このフレーズ集の使い方 How to use 01 受講生の気分・状況を観察する 表情・姿勢・発言・沈黙の長さなど、シーンを特定 02 対応するシーン番号を選ぶ 全18シーンから、いま目の前にある状況に近いものを 03 「× 避けたい」を回避する 現場PJ式の反射的な一言は、主体性を奪う 04 「○ 効くセリフ」をそのまま使う 型として覚えておけば、迷う瞬間に出てくる 05 論文根拠で自信を持つ 声掛けの背後にある教育研究を理解しておく
シーン 01 / 【つまずき】 「もう無理、わからない…」 × 避けたい一言 「そんなの調べれば分かるでしょ」 ○ 効くセリフ 「いま、どこまで分かっていて、どこから分からない? 一緒に切り分けてみよう。」 根拠 メタ認知支援(Prather 2024):困難の言語化が学びの起点 「全然動かない。何が悪いのかも分からない。」 1 / 18
シーン 02 / 【沈黙】 質問が出ない、空気が重い × 避けたい一言 「じゃあ次いきます」 ○ 効くセリフ 「では、隣の人と1分話して、二人で1つだけ「もやっ」 を出してくれる?」 根拠 ピアインストラクション(Lasry 2007):質問は対話で醸成 「質問って言われても、何を聞けばいいか分からない。」 2 / 18
シーン 03 / 【答え依存】 「正解教えてください」 × 避けたい一言 「じゃあ正解はこれね」 ○ 効くセリフ 「答え、私も知ってるよ。でもその前に、あなたはどん な仮説を立てた?」 根拠 自己決定理論(Ryan & Deci 2020):自律性が内発的動機づけの核 「考えるのめんどい。答えだけ知りたい。」 3 / 18
シーン 04 / 【自己卑下】 「自分だけできない…」 × 避けたい一言 「みんなできてるよ、頑張って」 ○ 効くセリフ 「進む速さは人それぞれ。今日のあなたは、昨日のあな たより何ができるようになった?」 「周りはサクサク進んでる。自分だけ取り残されてる気が する。」 根拠 成長マインドセット(Dweck 2006 / Scott 2017):他者比較から自己比 較へ 4 / 18
シーン 05 / 【完璧主義】 手が止まっている × 避けたい一言 「早く手を動かして」 ○ 効くセリフ 「70点でいいから、一回出してみよう。間違えてからの 方が、学べることが多いよ。」 「間違えたくない。動き出せない。」 根拠 有意義な失敗(Kapur 2008 / Suriyaarachchi 2024):演習→指導の順で 長期保持力↑ 5 / 18
シーン 06 / 【焦り】 進捗が遅れて追いつけない不安 × 避けたい一言 「もっとスピード上げて」 ○ 効くセリフ 「間に合わせるより、ちゃんと理解する方が大事。今、 何に時間がかかってる?」 根拠 認知負荷(Sweller):焦りは作業記憶を奪う、まず原因の特定 「もう全然間に合わない。どうしよう。」 6 / 18
シーン 07 / 【退屈】 先に進んでしまって、暇そう × 避けたい一言 「ちょっと待ってて」 ○ 効くセリフ 「せっかくだから、こんな応用問題にチャレンジしてみ る? 答え合わせは私とやろう。」 根拠 自己効力感(Bandura):適切な負荷で有能感が伸びる 「もう終わった。何していいか分からない。」 7 / 18
シーン 08 / 【落胆】 レビューでヘコんでいる × 避けたい一言 「気にしすぎ、次がんばろう」 ○ 効くセリフ 「コードへの指摘で、あなた自身は否定されてないよ。 今回学べたことは何だった?」 根拠 コードレビュー感情研究(Alami 2025):感情→意味化→対処の3段階支 「ダメ出しばっかり。自分のコード、全然ダメだ。」 援 8 / 18
シーン 09 / 【意味喪失】 「これ、何の役に立つの?」 × 避けたい一言 「とりあえず覚えて」 ○ 効くセリフ 「いい問いだね。これは現場の◯◯で必ず出てくる。一 緒にその場面を想像してみる?」 根拠 WHY→WHAT→HOW(教育設計の基本):意味なき学びは身につかない 「こんな細かい文法、現場で使うの?」 9 / 18
シーン 10 / 【自信喪失】 「向いていないかも」 × 避けたい一言 「みんな最初はそうだから」 ○ 効くセリフ 「「まだ」できないだけ。3週間前のあなたが今を見たら 、どう思うかな?」 根拠 成長マインドセット(Dweck):「できない」を「まだできない」へ 「自分、エンジニアに向いてないんじゃないか。」 10 / 18
シーン 11 / 【発言不可】 グループワークで黙ってしまう × 避けたい一言 「○○さん、何か発言して」 ○ 効くセリフ 「全員、まずノートに30秒書いて。それから順番に、書 いたものを読み上げよう。」 「発言したいけど、間違ってたら恥ずかしい。」 根拠 心理的安全性×規範明確化(Lenberg & Feldt 2018):曖昧な促しより 明確な手順 11 / 18
シーン 12 / 【ヘルプ拒否】 困っているのに聞けない × 避けたい一言 「分からなかったら聞いてね」 ○ 効くセリフ 「「分からない」と言ってくれた人が、今日のMVPだよ 。私からも30分に1回、声をかけるね。」 根拠 心理的安全性(Edmondson):『質問していい場』は宣言と運用で作る 「聞いたら迷惑かも。馬鹿にされるかも。」 12 / 18
シーン 13 / 【AI依存】 コピペで動かして、考えていない × 避けたい一言 「AIに頼りすぎ」 ○ 効くセリフ 「そのコード、なぜ動いてるか30秒で説明してみて。そ れができたら本物の力。」 根拠 GenAI×メタ認知(Prather 2024):AIは『代行』でなく『足場』に 「ChatGPTに聞けば動く。理解しなくていいや。」 13 / 18
シーン 14 / 【恥】 失敗して赤面、笑ってごまかす × 避けたい一言 「気にしないで次いこう」 ○ 効くセリフ 「今のミス、全員に共有していい? ろでハマるはずだから。」 みんなも同じとこ 根拠 有意義な失敗(Kapur):失敗を学習教材化することで価値転換 「みんなの前で間違えた。恥ずかしい。」 14 / 18
シーン 15 / 【比較ダメージ】 同期と比べて落ち込む × 避けたい一言 「人と比べるな」 ○ 効くセリフ 「比べる相手は、入講初日のあなた自身。今日できるよ うになったこと、3つ書き出してみよう。」 「○○さんはもう応用までやってる。自分は基礎で精一杯 。」 根拠 自己効力感(Bandura):マスタリー体験の可視化が効力感を高める 15 / 18
シーン 16 / 【ミス連発】 何度も同じところで間違える × 避けたい一言 「前にも教えたよね?」 ○ 効くセリフ 「同じミスを繰り返すのは、まだ手が覚えてない証拠。 あなたのせいじゃない、回数が足りないだけ。」 根拠 認知負荷×自己効力感:習熟は反復、責めは効力感を破壊 「また同じミス…自分、本当にダメだな。」 16 / 18
シーン 17 / 【質問の質】 質問の仕方が抽象的すぎる × 避けたい一言 「もっとちゃんと質問して」 ○ 効くセリフ 「いい質問テンプレを渡すね。「やりたいこと/実際の 挙動/試したこと」の3点でまとめてみよう。」 根拠 明確化質問の研究(Vijayvargiya 2026):タスク関連性と回答可能性の2 「「動かないんですけど」だけで伝わると思っている。」 軸 17 / 18
シーン 18 / 【やる気の波】 今日はやる気が出ない × 避けたい一言 「気合いで乗り切れ」 ○ 効くセリフ 「そういう日、ある。今日は『理解する日』にしようか 。手は動かさず、昨日のコード読み返すだけでOK。」 根拠 自己決定理論(Ryan & Deci):選択肢があると関与が回復する 「なんか今日は集中できない。だるい。」 18 / 18
まとめ:4つの声掛け原則 4 Principles 01 02 03 04 答えではなく、問いを返す 「分からない」と言われたら、答えではなく『どこまで分かっている?』を返す。受講生の脳を動かす。 比較は、他者ではなく過去の自分と 「○○さんは…」ではなく「3週間前のあなたは…」。マスタリー体験の可視化が自己効力感を育てる。 失敗は教材、責任ではない ミスを共有財産化する一言が、心理的安全性を作る。「全員に共有していい?」 選択肢を渡し、自律性を尊重する 「やる気出して」ではなく「今日は理解する日にしようか」。選択は内発的動機づけを回復させる。
セリフは、技術。 型を持つほど、即興が効く。 18のシーンを全部覚える必要はありません。 明日、目の前の受講生に合うひとつだけ、口に出してみる。 それが、メンタリングの始まり。 うさうさエンジニア研究室