コロナ禍に躍進した星野リゾートのIT戦略 ~コストカットと事業拡大を両立するAWS活用術~

830 Views

August 21, 24

スライド概要

コロナ禍において観光業は大きく影響を受けた業界ですが、そのような環境でも星野リゾートは急激な変化に対応しながら、事業の成長を続けてきました。
本セッションではコロナ禍において星野リゾートが実際に行ったAWSを活用した取組みやIT戦略について、お伝えします。
また、AWS活用、コスト最適化、また内製化を進めていくための支援としてクラスメソッド様に行っていただいた支援内容を説明いたします。

profile-image

星野リゾートでエンジニアリングマネージャをやっています。 入社後、エンジニアが全くいない状態からエンジニア組織を立ち上げました。 SIer出身で、Javaを中心にシステム開発していますが、転職後は、AWSを触ったり、フロントエンドも触ったりと幅広く開発しています。 エンジニア組織で登壇する機会が増えてきていますが、アジャイル開発が好きで、アジャイル関連での登壇もよくしています。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

コロナ禍に躍進した星野リゾートのIT戦略 ~コストカットと事業拡大を両立するAWS活用術~ 株式会社星野リゾート 情報システムグループ 藤井 崇介

2.

藤井 崇介 星野リゾート 情報システムグループ エンジニアチーム リーダー @ZooBonta ・18年に中途採用で入社 ・星のや京都にスペースを借りて勤務 ・入社後は1人から始め、内製化を促進 ・好きなサービスは、AWS Lambda Hoshino Resorts Inc. 2

3.

とは 全国42施設のリゾート・温泉旅館・ホテルのオペレーションを担っ ている総合リゾート運営会社です。 ラグジュアリーな滞在を叶える「星のや」、温泉旅館「界」、ファミ リーリゾート「リゾナーレ」、都市観光を楽しむ「OMO」、ルーズで 新しいホテル「BEB」など多様な旅のニーズの創造を通じて、世界 に通用する旅館運営を目指しています。 1914年創業、長野県軽井沢に最初の旅館を開業し、今年で 107年を迎えました。 旅行産業は世界で最も大切な平和維持産業であるという視点を 持ち、夢は大きく運営は地道にこれからの事業に取り組んでいます。 Hoshino Resorts Inc. 3

4.

2020年の星野リゾート 4

5.

激動の2020年のはじまり Hoshino Resorts Inc. 5

6.

観光産業は大打撃! Hoshino Resorts Inc. 6

7.

コロナ禍の影響 長期休業 開業延期 一部帰休 リーマンショックや東日本大震災を超える観光産業にとってはかつて経験のないショック 我々も需要ゼロとなり経営は一気に縮小モードとなりました Hoshino Resorts Inc. 7

8.

かつて経験のない『ピンチ』 4月、創業以来最大の赤字となる Hoshino Resorts Inc. 8

9.

トップから出た方針 Hoshino Resorts Inc. 9

10.

New Normalへの挑戦 Promotion 毎日全体会議 波乗り予測 全国4500人の社員が再起するために それぞれの場所でそれぞれの対応が始まった Hoshino Resorts Inc. 10

11.

生き延びるための施策① Hoshino Resorts Inc. 11

12.

コストカット対策 1. クラウドサービスの適切な利用 2. 機能の重複したサービスの廃止 3. コストパフォーマンスの悪いサーバの破棄 4. コストパフォーマンスの良いサービスへの置き換え AWSの利用費もコストカットの対象となった Hoshino Resorts Inc. 12

13.

AWSのコストカット対策 1. サーバの起動時間見直し サーバを利用していない時間にはインスタンスを起動しないようにした 2. 不要なデータの削除 AMIやS3などに不要なデータが大量に溜まっていたので、削除した 3. インスタンスタイプの見直し T2系やM4系などの、古いインスタンスタイプをすべて置き換えた Hoshino Resorts Inc. 13

14.

コスト削減の結果 約13%の コスト削減に成功 AWS利用料金推移 ¥70,000 ¥60,000 ¥50,000 ¥40,000 ¥30,000 ¥20,000 ¥10,000 ¥0 2019年10月 2019年11月 2019年12月 2020年01月 2020年02月 2020年03月 Relational Database Service(USD) EC2 インスタンス(USD) 税金(USD) EC2 その他(USD) CloudFront(USD) EC2 ELB(USD) S3(USD) CloudWatch(USD) DynamoDB(USD) Kinesis(USD) EC2 Container Service(USD) CloudTrail(USD) VPC(USD) Lambda(USD) API Gateway(USD) CloudWatch Events(USD) SNS(USD) SQS(USD) ElastiCache(USD) WorkSpaces(USD) GuardDuty(USD) Route 53(USD) WAF(USD) Direct Connect(USD) EC2 Container Registry (ECR)(USD) Config(USD) CodePipeline(USD) 合計コスト (USD) Hoshino Resorts Inc. 14

15.

さらなる改善 もっと下げる方法がないか調べてほしい。 CIO 自分ではこれが限界・・・ ご協力いたします。 Hoshino Resorts Inc. 藤井 15

16.

さらなるコスト改善 1. 適切な契約によるコスト削減 当初、一律5%引きのプランで契約していたが、Amazon EC2やCloudFrontを 使っている環境では、もっと良い契約があった。 Hoshino Resorts Inc. 16

17.

さらなるコスト改善 2. リザーブドインスタンス購入 本番環境など、常時起動しているEC2やRDSについては、リザーブドインスタンスを 購入することで、大きくコストが削減できる。 対象 Amazon EC2 契約数 78台 Amazon RDS 18台 3. その他 サーバの使用状況から、適切なインスタンスタイプを提案してもらった。 Hoshino Resorts Inc. 17

18.

コスト改善結果 AWS利用料金推移 約29%の コスト削減に成功 ¥7,000,000 ¥6,000,000 ¥5,000,000 ¥4,000,000 ¥3,000,000 ¥2,000,000 ¥1,000,000 ¥0 2020年08月 2020年09月 2020年10月 2020年11月 2020年12月 2021年01月 ※リザーブドインスタンの金額は1月辺りの金額に算出し直しています Hoshino Resorts Inc. 18

19.

生き延びるための施策➁ Hoshino Resorts Inc. 19

20.

コロナ禍で行った開発内容 GoToキャンペーン対応 温泉IoT 湯守 1ヶ月でリリース 6週間でリリース ふるさと納税 結婚式新サービス 1ヶ月でリリース Hoshino Resorts Inc. 3ヶ月でリリース 20

21.

チャンスがあればすぐに動く! 協力会社に 即日相談! 急遽アイデア出し chatでメンバーに展開 立候補! Hoshino Resorts Inc. 21

22.

パートナー会社と一緒に開発 管理画面は kintone 保守機能の 追加も容易に ゲストが直接見る可 視化の仕組は自前で 星野リゾート自社開発 Docomo/ KDDI どちらも OK リモート ファーム 更新の実現 監視ログや チューニングに高いノ ウハウ Hoshino Resorts Inc. パートナー開発 旅館に溶け込む こだわりのデザイン 22

23.

短期間で開発した結果 1. 各種メディアで取材があり、三密対策のブランディングになった 2. 困難な課題を次々と達成することで社内の信頼も上がった 3. 次のIoT案件の投資につながった お出迎えIoT 門守 冷蔵庫IoT氷室守 Hoshino Resorts Inc. 23

24.

Hoshino Resorts Inc. 24

25.

コロナ禍で躍進したIT戦略 ◼ コストを削減し、投資できる余力を蓄える ◼ 世の中の状況に合わせて、素早く対応する 予算をベースに 投資 まずは、予算確保 破棄対象システム 新システム 新システム 予算 新システム 新システム 予算 既存システム 既存システム Hoshino Resorts Inc. 予算 既存システム 25

26.

戦略の遂行に実施していること コスト削減 システムへの投資 • コスト削減の対象を見極め、素早く実行する • 専門家に的確なアドバイスをもらう • 定期的なモニタリングで改善を繰り返す • レガシーのシステムを少しずつ減らす • 世の中のニーズを素早く察知し、実現する • 小さく始め、改善し続ける Crisp’s blog by Henrik Kniberg Hoshino Resorts Inc. 26

27.

必要な基盤 クラウド環境 • いつでも小さくスタート • 利用状況に合わせた進化 • 開発コストの削減 内製化 • アジャイルな対応 • 継続的な生産性向上 • 見えない価値の創出 強力なパートナー • 専門的なアドバイス • 専門分野での開発 • トレーニング 実現するためには、土壌の整備も必要。 Hoshino Resorts Inc. 27