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February 28, 22
スライド概要
DEIM2022 F34にて発表したスライドになります。
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
色覚特性によるゲームの有利不利の制御に向けた背景色を考慮した D型模擬フィルタを用いた実験による色の基礎検討 F34-6 藤原優花、中村聡史 (明治大学)
どう見えますか?
どう見えますか?
どう見えますか?
背景 ・インターネットの普及によりeスポーツやオンラインゲームの人気が高い ・COVID-19の影響で家庭で遊べる娯楽としての需要が高い
背景 ・インターネットの普及によりeスポーツやオンラインゲームの人気が高い ・COVID-19の影響で家庭で遊べる娯楽としての需要が高い オンラインゲームの普及が進んでいる
背景 世界中にたくさんのゲームプレイヤーがいる
背景
背景 聴力が弱い 視力が悪い
背景 聴力が弱い 視力が悪い その中にハンディキャップを持つ人もいる
背景 ・多くの人がオンラインゲームを楽しんでいる ・中にはハンディキャップを抱えて困っている人がいる ・ゲームスキル以外の面で不利になることがある 技量以外でゲームの勝敗に影響してしまう
背景 ・ハンディキャップは様々ある ・本研究では特に色覚多様性者に着目する
色覚多様性者 一般色覚者 P型色覚者 D型色覚者 T型色覚者
色覚多様性者 赤い光を主に感じる L錐体が欠損している 一般色覚者 P型色覚者 D型色覚者 T型色覚者
色覚多様性者 一般色覚者 P型色覚者 緑の光を主に感じる M錐体が欠損している D型色覚者 T型色覚者
色覚多様性者 一般色覚者 P型色覚者 青い光を主に感じる S錐体が欠損している D型色覚者 T型色覚者
色覚多様性者 一般色覚者 P型色覚者 D型色覚者 T型色覚者
色覚多様性者 「乗車位置はホームの黄色の三角印です」と アナウンスが入った時 一般色覚者が見ている色
色覚多様性者 一般色覚者が見ている色 P型色覚者が見ている色
色覚多様性者 一般色覚者が見ている色 P型色覚者が見ている色 色による判断が難しい
色覚多様性者
色覚多様性者
色覚多様性者 日本人男性の割合
色覚多様性者 日本人男性の割合 男性は20人に1人、女性は500人に1人
色覚多様性者 c 黄色と緑色 c 黄色だけ
色覚多様性者
色覚多様性者 ©️2020 Riot VALORANT
色覚サポート ・色覚多様性者は色による判断が難しい ・一般色覚者と比べ判断する時間がかかってしまい、 反応速度が遅くなってしまう ・オンラインゲームでは判断から行動に移す時間が短い方が有利 ・この問題に対してゲーム製作者は色覚サポートで対策している
色覚サポート 一般色覚者 P型色覚者
目的 通常 色覚サポート適応 本研究の目的 色覚サポート 一般 多様性者 一般 多様性者 一般 多様性者
大目的 様々な特性がある色覚多様性者がゲームをプレイする際の 色によるハンディキャップをなくす
D型模擬フィルタ 一般色覚者 P型色覚者 D型色覚者 T型色覚者
D型模擬フィルタ 一般色覚者 P型色覚者 D型色覚者 T型色覚者
D型模擬フィルタ 色のハンディキャップをなくすためには それぞれの色覚タイプの人を集めて実験を行う必要がある
D型模擬フィルタ 色のハンディキャップをなくすためには それぞれの色覚タイプの人を集めて実験を行う必要がある 色覚多様性者を集めて実験を行ってもらうことは 簡単ではない
D型模擬フィルタ 色のハンディキャップをなくすためには それぞれの色覚タイプの人を集めて実験を行う必要がある 色覚多様性者を集めて実験を行ってもらうことは 簡単ではない 本研究ではD型色覚者に限定して 一般色覚者の人を集めて実験を行う
D型模擬フィルタ 一般色覚者が見ている色 D型色覚者が見ている色
D型模擬フィルタ フィルタなし (一般色覚者) フィルタあり (D型色覚者)
これまでの研究 [ICEC2021]
これまでの研究 [ICEC2021] 両者における有利不利な色の組み合わせ 一般不利 一般有利 色の組み合わせ D型有利 実際の色 フィルタ適用 D型不利 フィルタ適用 pair-D pair-11 pair-15 pair-5 pair-6 標的色 基本色 標的色 基本色 色の組み合わせ 実際の色 pair-C 標的色 基本色 標的色 基本色 pair-26 pair-27 pair-19
これまでの研究 [ICEC2021] 両者における有利不利な色の組み合わせ 両者ともに識別しやすい 色の組み合わせ D型有利 実際の色 フィルタ適用 D型不利 実際の色 フィルタ適用 pair-C pair-D pair-11 pair-15 pair-5 pair-6 標的色 基本色 標的色 基本色 色の組み合わせ 両者ともに識別しにくい 一般不利 一般有利 標的色 基本色 標的色 pair-26 pair-27 pair-19 D型色覚者の方が 識別しやすい 基本色 彩度と明度の値に差があることが要因として考えられる
実験概要 これまでの研究では背景色を白に固定
実験概要 これまでの研究では背景色を白に固定 BUT
実験概要 これまでの研究では背景色を白に固定 BUT 背景色も含めて初めてゲームが成り立つ
実験概要 これまでの研究では背景色を白に固定 BUT 背景色も含めて初めてゲームが成り立つ 「緑」「青」「茶色」「オレンジ」「灰色」の背景色を追加
実験概要
実験概要 背景色 標的色 基本色
実験概要 目的の色を素早く、正確に選んでもらう
実験概要 ・ディスプレイ上に試行を表示 ・選択肢の中で異なる色を マウスでクリックする 色の組み合わせ30通り × フィルタありなしの2条件 × 背景色5パターン
M1での研究
実験概要 ・色の組み合わせ30通り、背景色5パターン ・実験協力者 14名(男性6名、女性8名) ・実験協力者は全員一般色覚者である ・全6施行のうち3回は素早く、残りを正確に選択する
実験概要 ゲームにおける平等性を保つ
実験概要 ゲームにおける平等性を保つ 反応速度が同じ 識別性が同じ
実験概要 ゲームにおける平等性を保つ 反応速度が同じ 識別性が同じ
実験概要 ゲームにおける平等性を保つ 反応速度が同じ 識別性が同じ オンラインゲームは反応速度が同じ = 平等性が保たれる
結果 全体 14名分の平均回答時間 All Fast Correct 全体 2.14 1.61 2.67 フィルタあり 2.72 1.83 3.61 フィルタなし 1.56 1.39 1.73 14名分の正答率 All Fast Correct 全体 0.86 0.80 0.92 フィルタあり 0.80 0.73 0.87 フィルタなし 0.92 0.86 0.97
結果 平均回答時間 1秒以下 0.97~1.00 ‥→ 良い結果 3秒以上 0.00~0.05 ‥→ 悪い結果
結果 正答率 0.97~1.00 ‥→ 良い結果 0.00~0.05 ‥→ 悪い結果
考察 両者にとって識別する時間の差がない色の組み合わせ 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 90, 64, 89 98, 55, 85 232,87, 78 60, 58, 81 60, 48, 77 240, 79, 78 pair-8 90, 64, 89 98, 55, 85 26, 55, 47 60, 58, 81 60, 48, 77 60, 47, 38 90, 64, 89 98, 55, 85 0, 0, 52 60, 58, 81 60, 48, 77 0, 0, 52 pair-11 239, 100, 56 240, 100, 66 31, 72, 95 240, 99, 56 240, 100, 65 60, 69, 74 pair-15 0, 100, 39 0, 100, 45 0, 0, 52 60, 100, 22 60, 100, 26 0, 0, 52 147, 100, 35 19, 88, 100 102, 71, 67 60, 42, 29 60, 100, 67 60, 63, 58 147, 100, 35 19, 88, 100 232,87, 78 60, 42, 29 60, 100, 67 240, 79, 78 147, 100, 35 19, 88, 100 0, 0, 52 60, 42, 29 60, 100, 67 0, 0, 52 19, 88, 100 147, 100, 35 232,87, 78 60, 100, 67 60, 42, 29 240, 79, 78 19, 88, 100 147, 100, 35 31, 72, 95 60, 100, 67 60, 42, 29 60, 69, 74 19, 88, 100 147, 100, 35 0, 0, 52 60, 100, 67 60, 42, 29 0, 0, 52 pair-17 pair-18
考察 pair-8 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 90, 64, 89 98, 55, 85 232,87, 78 60, 58, 81 60, 48, 77 240, 79, 78 90, 64, 89 98, 55, 85 0, 0, 52 60, 58, 81 60, 48, 77 0, 0, 52
考察 pair-8 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 90, 64, 89 98, 55, 85 232,87, 78 60, 58, 81 60, 48, 77 240, 79, 78 90, 64, 89 98, 55, 85 0, 0, 52 60, 58, 81 60, 48, 77 0, 0, 52
考察 pair-8 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 90, 64, 89 98, 55, 85 232,87, 78 60, 58, 81 60, 48, 77 240, 79, 78 90, 64, 89 98, 55, 85 0, 0, 52 60, 58, 81 60, 48, 77 0, 0, 52 背景色が明度と彩度の差が大きい色の組み合わせは両者にとって識別しやすい
考察 pair-11 pair-15 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 239, 100, 56 240, 100, 66 31, 72, 95 240, 99, 56 240, 100, 65 60, 69, 74 0, 100, 39 0, 100, 45 0, 0, 52 60, 100, 22 60, 100, 26 0, 0, 52
考察 pair-11 pair-15 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 239, 100, 56 240, 100, 66 31, 72, 95 240, 99, 56 240, 100, 65 60, 69, 74 0, 100, 39 0, 100, 45 0, 0, 52 60, 100, 22 60, 100, 26 0, 0, 52 基本色と標準色と背景色の明度の値に差があれば, 彩度の値が同じ場合でも両者にとって識別する早さでは変わらない
考察 pair-11 pair-15 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 239, 100, 56 240, 100, 66 31, 72, 95 240, 99, 56 240, 100, 65 60, 69, 74 0, 100, 39 0, 100, 45 0, 0, 52 60, 100, 22 60, 100, 26 0, 0, 52 基本色と標準色と背景色の明度の値に差があれば, 彩度の値が同じ場合でも両者にとって識別する早さでは変わらない →色覚多様性者は明度の差で色を識別することができる [岡部ら 2002]
考察 背景色が明度と彩度の差が大きい色の組み合わせ と 基本色と標準色と背景色の明度の値に差がある色の組み合わせ は識別しやすい 注目したい色の明度が周りの色の明度と比べて値が高い場合, 一般色覚者と色覚多様性者の両者にとって識別しやすい公平色がある
展望 ・D型色覚者以外の色覚タイプが見ている色で同様の実験を行う ・実際に色覚多様性者自身の方に実験を行う ・標的色や基本色の位置を動かした場合の実験を行う ・識別しやすい色を使って、ゲームの有利不利の制御が 可能かどうかを検討する
まとめ 目的 色覚による有利不利を制御するための指標となる色の調査 実験 複数の選択肢の中から、異なる色を正確かつ迅速に選択する 結果 公平色の要因として基本色と標準色と背景色の明度の値に差が必要 展望 ゲームの有利不利の制御が可能かどうかの検討