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December 09, 25
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
大学生スポーツ記者の対面インタビューにおける 質問作成を支援する試合振り返り手法の実地検証 明治大学 萩原 亜依,中村 聡史
背景:大学スポーツ新聞 1 ✦ 大学スポーツ新聞団体 – 各大学所属の選手の活躍を発信 – プロのメディアでは取り上げられない試合も取材 ✦ 学生スポーツ記者が抱える課題 [Hagihara+ 2025] – 人員不足により試合中にマルチタスクを強いられている 試合観戦,写真撮影,SNSでの速報投稿… – インタビュー開始までの時間が短い A. Hagihara and S. Nakamura, “Supporting time-constrained student sports journalists: Smartwatch flagging and match visualization for better interview questions,” Proceedings of the 31st International Conference on Collaboration Technologies and Social Computing (CollabTech 2025), 2026. to appear.
背景:試合把握不足・短時間での質問作成による質問の質低下 テンプレ質問しかできない状況に陥りやすい環境 – 試合を振り返っていかがですか? – 今後の意気込みをお願いします 試合やプレーを深掘りする質問の作成を支援する – 記者独自の視点や,試合を見たからこそできる質問を作ってほしい! 2
試合振り返り手法の提案 [Hagihara+ 2025] グ ラ PO S フ I 3 Junior soccer-cuate.png NEG Apple Watchでフラグ付与 試合動画とプレーデータを 参考に質問作成 試合中 取材前
実用に向けた課題 これまで フェンシングにおけるフィールドに対する選手の立ち位置を提示する プロトタイプシステムによる実験・提案手法を検討 ✦ リアルタイムでの人物追跡ができない – 分析時間が非常に長い – 追跡IDを手動で修正 4
フェンシングのルールを活用して処理を軽量化・自動化 5 • 人物追跡ではなく検出を利用 • 左右の位置関係で選手を識別 • 緑枠内に人が2人いるときのみ 試合中と判定し,座標を取得 • YOLOv8を利用
システム構成 6 試合会場 Apple Watch 研究室 iPhone タイム スタンプ 画像 フラグ 座標 (X1, Y1) (X2, Y2) フラグ付与 データ保存・提示 物体検出
試合動画の録画 試合が行われるピストの範囲を選択 ダブルタップで分析開始 7 試合中はスマホ放置 試合終了後に録画停止ボタンを押す
振り返り画面 8 各セットの フラグの総数 試合に付与された フラグの総数 スコア フラグ箇所 立ち位置の変化 赤:左の選手 青:右の選手
ユーザテスト:概要 実際の取材スケジュール下でも運用可能かを調査し システムの利用方法やインタビュー内容に与える影響を観察 ✦ フェンシングの大会で3日間のユーザテスト ✦ 取材にきた現役記者2名,インタビューを受けた選手8名 9
結果:概要 10 試合数 試合時間 フラグ数 準備可能時間 振り返り時間 個人戦8試合 61分 14個 1時間 14分 団体戦3試合 141分 15個 10分 3分 記者B1日目 個人戦3試合 34分 1個 10分 4分 記者B2日目 団体戦2試合 86分 11個 15分 8分 記者A ✦ 記者は業務を妨げられることなくシステムを利用できていた ✦ 特にフラグを活用し,短時間で効率的に試合内容を整理 提案システムは実際の取材スケジュール下でも運用可能である
結果:概要 11 試合数 試合時間 フラグ数 準備可能時間 振り返り時間 個人戦8試合 61分 14個 1時間 14分 団体戦3試合 141分 15個 10分 3分 記者B1日目 個人戦3試合 34分 1個 10分 4分 記者B2日目 団体戦2試合 86分 11個 15分 8分 記者A ✦ 記者は業務を妨げられることなくシステムを利用できていた ✦ 特にフラグを活用し,短時間で効率的に試合内容を整理 提案システムは実際の取材スケジュール下でも運用可能である
結果:概要 12 試合数 試合時間 フラグ数 準備可能時間 振り返り時間 個人戦8試合 61分 14個 1時間 14分 団体戦3試合 141分 15個 10分 3分 記者B1日目 個人戦3試合 34分 1個 10分 4分 記者B2日目 団体戦2試合 86分 11個 15分 8分 記者A 基本的には写真撮影をしながらでもフラグ付与が可能 記者B:1日目は追加業務を依頼されてしまい,勝敗すらわからないほどだった 2日目はフラグをつけるために試合にも集中
結果:フラグ付与〜インタビュー フラグ 付与理由 流れつかんだな あまり動いてないな 振り返り 連続得点だった ある数分だけ グラフの変化が小さい 選手にした 質問 「連続得点で逆転した シーンを振り返って いかがですか?」 「あまり前後に動かない 場面がありましたが 意識していたことは ありますか?」 13 振り返りをして 確信を持てたからこそ 聞けた質問だった
結果:フラグ付与〜インタビュー フラグ 付与理由 振り返り 選手にした 質問 流れつかんだな 14 あまり動いてないな 記者が試合中になんとなく感じたことを ある数分だけ 連続得点だった グラフの変化が小さい システムでの振り返りによって詳細を把握することで 自信を持ってプレーを深掘りする質問をすることができた! 「連続得点で逆転した シーンを振り返って いかがですか?」 「あまり前後に動かない 場面がありましたが 意識していたことは ありますか?」 振り返りをして 確信を持てたからこそ 聞けた質問だった
結果:データの読み取り 相手に攻め込まれて失点 カウンターを決めた グラフとスコアを組み合わせて攻撃パターンを解釈 15
結果:データの読み取り 前後に大きく動いている 16 動きが細かい 複数試合のグラフの概形を比較して選手のプレーの傾向を解釈
結果:記者の感想 ✦ 前回はテンプレ質問しかできなかったのに 今回はプレーについて掘り下げる質問ができてうれしかった ✦ 普段は暗い顔をしているのに,表情が華やかになっていつもより たくさん話してくれたのでうれしかった システムを使ったことでインタビューがより良くなって 記者によろこんでもらえた 17
結果:記者の感想 ✦ フラグをつけることで普段よりも試合をしっかりと見るという 意識があった フラグをつけるという行動が観戦意識を変化させた ✦ ボタンを押すことで記憶に残りやすく 試合の大事なところを普段よりも覚えていられた気がした フラグを付与するという行動に記憶促進効果がある可能性 18
結果:選手の感想 ✦ 自分でもうまくいったと思ったところについて深掘りしてくれて うれしかった ✦ 試合中に自分では気付けない自分のプレーの傾向を話してくれたので 気付きのあるいい質問だと思った 選手にとってもよりよいインタビューにつながった 19
展望 20 ✦ プレーデータを選手にも役立つ形で提示 – 1回1回のプレーの詳細を振り返るよりプレーの傾向を提示 – エリアごとのポイント率など P-2-31 でお待ちしております! 実際のシステムもお見せできるのでぜひ!
実測値 21 項目 実測値 画像解像度 720✖ 1280 px JPEGサイズ 約550KB フレームレート 3 fps 処理時間 約0.18秒(画像1枚あたり) サーバ往復遅延 約0.5秒