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March 11, 17
スライド概要
2017/03/10〜11に行われた第101回グループウェアとネットワークサービス研究発表会で口頭発表を行った際に使用したスライドです.
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
長距離通勤・通学者向けの場所に応じた 暗記項目提示による学習支援手法の提案とその検証 佐藤 剣太,中村 聡史 (明治大学 総合数理学部)
背景 語学・資格試験の需要 • TOEIC • TOEFL • 情報処理技術者試験 学習範囲が 膨大!! 限られた期間での効率的な学習が重要
背景 健康づくりのための睡眠指針 [厚労省14] • 成人の理想的な睡眠時間:6〜7時間 活動時間:約17〜18時間 電車による通勤・通学 • 大学に通う学生の通学時間:2時間2分 [本田06] 下校 自由 入浴 夕食 睡眠 朝食 学校 登校
背景 健康づくりのための睡眠指針 [厚労省14] • 成人の理想的な睡眠時間:6〜7時間 活動時間:約17〜18時間 電車による通勤・通学 家や学校、会社で学習可能な • 大学に通う学生の通学時間:2時間2分 [本田06] 時間が限られてくる! 下校 自由 入浴 夕食 睡眠 朝食 学校 登校
背景 行き:2時間 帰り:2時間
背景 下校 自由 入浴 夕食 行き:2時間 睡眠 朝食 学校 帰り:2時間 登校
背景 通勤・通学中の学習 • スマートフォンやタブレット端末の普及 • 混雑時は手で操作する余裕がないことや、 痴漢の冤罪のリスクなどもあり、作業が困難 ❌ ❌
背景 通勤・通学中の学習 • スマートフォンやタブレット端末の普及 • 混雑時は手で操作する余裕がないことや、 痴漢の冤罪のリスクなどもあり、作業が困難 ❌ ❌ 音声提示を用い、乗車中でも手軽に 学習を行えるようにする必要性あり
背景 -関連研究① Mnemonic DJ [伊藤 2011] • ユーザの既知の楽曲に対し単語を割り当て、替え歌 を生成 • 単語リストの順序を入れ替えた場合/そのままの場合 に対応しており、様々な暗記対象に適用可能
背景 効率的な暗記方法 • 就寝前に暗記 • 物語法 - ストーリーを作って整理 • 場所法 - 暗記内容と場所を関連づける academic inhabitant
背景 -関連研究② Memory-Organizer[村上 2001] • 個人の外化記憶を構築し、記憶作業を支援 • 地理空間ブラウザ:記憶対象を地図上に配置可能
背景 時間がかかる… 場所法 academic inhabitant 暗記項目と場所を対応づける 技術の習得には時間が必要
背景 ユーザが場所に抱くイメージは様々に存在する 駅は大きいし 混雑もすごいよなあ… 近くにアニメショップ 多いよなあ…
背景 ユーザが場所に抱くイメージは様々に存在する 駅は大きいし 混雑もすごいよなあ… 場所のイメージと暗記項目を自動的に 結びつけることで効率的に記憶可能? 近くにアニメショップ 多いよなあ…
目的 暗記項目をユーザの通学区間に対応づけ、 現在地に応じた項目を音声提示することで 効率的な暗記を支援 • 通学区間内の駅と暗記項目の自動的な対応づけ • ユーザの理想的な対応づけを提案手法で再現可能か 検証 • ユーザの現在地に応じた項目の音声提示による暗記の 有効性を検証
手法 - ①駅の関連語の収集 各駅に関連する語を自動で収集 • HeartRails APIを用いて駅の経緯度を取得 • Google Places APIを用いて、各駅の周辺にある施設 情報と、それに関連する語を複数収集 百貨店 雑貨 大手 公園 桜 環境
手法 - ②通学区間との対応付け • 対象項目の関連語を収集 - Wordnetを使用 • 駅の関連語グループと単語の関連語グループを比較し 共通部分の多い組み合わせは関連が高いとみなす 大手 百貨店 雑貨 公園 花 緑 環境 major = 大きい, 主要な planting = 緑化
精度評価 ユーザの理想的な対応付けを再現可能か? • 被験者:19〜23歳の大学生8名 • 各通学区間の正解データを作成してもらう • 3種類の手法で比較 ①ランダムな対応づけ(=従来の場所法) ②訳語と駅名のローマ字表記の類似度で対応づけ ③提案手法による対応づけ
精度評価 -ローマ字比較 駅名と訳語をローマ字にしたものを比較 • 例)新宿 → shinjuku truth(真実)→ shinjitsu • Gestalt Pattern Matching アルゴリズムに基づいて類 似度を計算
結果 ユーザ A 駅数 16 B C D E F G H 28 24 43 31 11 13 43
考察 -精度評価 提案手法は他の2手法と比較して有意差なし • 駅数が多い人ほど正解データとマッチしづらい • 難易度の高い単語は類義語の取得が困難 学習実験では、人の手によって 分類されたデータを利用
暗記学習実験 仮説:ランダムな項目再生と比べて、 場所に応じた項目再生のほうが効率的に暗記可能 • 対象:正解データを作成した大学生8名 • 条件:片道の乗車時間が60分以上 学習前 テスト 通学中に 学習 学習後 テスト
暗記学習実験 実験手順 学習前 テスト 通学中に 学習 学習後 テスト
暗記学習実験 -学習前テスト • 解答内容:英単語(300語)の日本語訳 • 制限時間:60分
暗記学習実験 実験手順 学習前 テスト 通学中に 学習 学習後 テスト
暗記学習実験 -通学中の学習 A B C D ランダムに項目を提示 E F G H ユーザの現在地に応じて 項目を提示 →著者が主観で割り当てた ものを使用
暗記学習実験 -通学中の学習 モバイル端末からの音声提示 • 現在地から最も近い駅を決定 • 駅に対応づけられた単語を再生
暗記学習実験 -通学中の学習 green(緑)、 calm(穏やかな)、 … office(会社)、 crowded(混雑した)、 …
暗記学習実験 -通学中の学習 • 電車に乗車している間は常に学習 • 使用期間:5日間 学習(登校) 学習(下校) ×5 = 10回
暗記学習実験 実験手順 学習前 テスト 通学中に 学習 • 学習前と同じテストに解答 学習後 テスト
結果 -スコアの変化 • A〜D(ランダム) • E〜H(場所に応ずる)
結果 -スコアの変化した倍率
結果 -正解したデータの内訳 駅周辺の施設と結びつけることで 効率的な暗記が可能?
追加実験 長期間の記憶には適しているのか? • 実験協力者8名に、1ヶ月以上間隔をおいて再解答
考察 -学習実験 場所に応じた項目提示による学習は、ユーザに よって差あり • 著者と実験協力者の、通学区間に対する認識の差 • 施設内にある物体、施設で行う動作を表す単語は適切 に記憶可能
応用 • 提案手法:施設の情報のみを利用 • Twitter上の投稿を用いた対応づけ - 地域に関するユーザの認識を直接的に取得可能? 迷子 買い物 ラーメン
まとめ • ユーザの通学区間と暗記項目を対応づけることで、 長距離通勤・通学の時間を暗記学習に活用する手法 を提案 • 精度評価にて、提案手法は従来手法と比較して有意差 なし • 学習実験にて、ユーザによって効果に差が出ることを 確認 [今後の展望] •アルゴリズムの改善 •英単語以外の暗記項目を対象とした実験