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January 22, 26
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
エキセントリックトレーニングにおける 動作速度維持を促す 聴覚フィードバック手法の保持効果検証 明治大学 大石琉翔、中村聡史
エキセントリックトレーニング 重量をゆっくりと下げることに重点をおいた筋トレ 3〜5秒のペースで下ろすことが効果的 繰り返し行ううちに 無意識に動作速度が速くなってしまう 2
エキセントリックトレーニング 重量をゆっくりと下げることに重点をおいた筋トレ 3〜5秒のペースで下ろすことが効果的 繰り返し行ううちに 無意識に動作速度が速くなってしまう 3
エキセントリックトレーニング 重量をゆっくりと下げることに重点をおいた筋トレ 研究の大目的 3〜5秒のペースで下ろすことが効果的 適切な速度を維持してトレーニングできるようにすること 繰り返し行ううちに 無意識に動作速度が速くなってしまう 4
これまでの研究 [EC71] 「動作をゆっくりと促す効果音」を鳴らし 動作速度に基づいてフィードバックする手法を提案 • 動作速度が適切 :チャージ音 • 動作速度が不適切:パワーが抜ける音 – 動作のイメージに合う効果音をフィードバックすることで 感覚的に動作速度を調節できる 従来手法(秒数カウント)やフィードバックなしと比較して 速度の上昇を抑制する効果があることが明らかになった 大石 琉翔, 中村 聡史. エキセントリックトレーニングにおける動作速度の安定性向上のための効果音フィードバック, 情報処理学会 研究報告エンタテインメントコン ピューティング(EC), Vol.2024-EC-71, No.24, pp.1-8, 2024. 5
フィードバックの問題 運動学習では頻繁なフィードバックが 学習者をフィードバックに依存させてしまう – フィードバックがなくなると、パフォーマンスが低下してしまう [Salmoniら 1984] – 異なる速度や動作への応用(転移)が低下する可能性 [Winsteinら 1994] 一時的に改善された動作がフィードバックがない状況でも 維持できるかを評価することが重要 Salmoni, A. W., Schmidt, R. A. and Walter, C. B.: Knowledge of results and motor learning: A reviewand critical reappraisal, Psychological Bulletin, Vol. 95,No. 3, pp. 355–386 (1984). Winstein, C. J., Pohl, P. S. and Lewthwaite, R.: Effectsof physical guidance and knowledge of results on motorlearning: Support for the hypothesis, Research Quarterly for Exercise and Sport, Vol. 65, No. 4, pp.316–323 (1994). 6
目的 これまでの研究:1回のトレーニングのみで効果が示された 即時的な効果だけでなく、フィードバックが なくなったあとにも動作が維持されるのかという保持に着目 効果音のフィードバックが、長期的な使用によって フィードバックがなくても動作として身につくのかを検証 7
実験|概要 参加者 • 男性7名、女性7名の14名 実験デザイン • 全員が同じ実験システムを利用する単群デザインを採用 内容 • ダンベルカールでのエキセントリックトレーニング – 週2回の頻度で1ヶ月間実施 8
実験システム 速度に応じて「動作をゆっくりと促す効果音」を フィードバックするシステム Apple Watch上で動作し、動作データの取得も行う 良い例 悪い例 適切な速度:チャージ音 不適切な速度:パワーが抜ける音 ユーザーが音を聞くだけで 動作を制御することができる 9
実験| トレーニングの流れ 週2回の頻度で1ヶ月間トレーニング フィードバックありと フィードバックなしを交互に実施 • フィードバックがない状況での動作が どのように変化していくかを評価 セッション内容 • 10回3セットのトレーニング – 3〜5秒で下ろすよう指示 10
実験| アンケート 各セッション後のアンケート – 動作への意識や集中度、楽しさなどのユーザ体験について 実験終了後アンケート – フィードバック音が動作時間の意識や速度制御に与えた 影響について – 自由記述形式の質問を通じて、音に対する印象や違和感、 トレーニング全体に関する感想を回答 11
評価指標 動作時間 – 1回の動作に要した時間を示すもの – 目標時間に対して、どの程度適切なペースで動作できていたかを 評価できる 速度の一貫性 – 1回の動作を通して速度がどれだけ均一に保たれているかを 示す指標 – 動作時間が目標の範囲に収まっていても、速度の変動が 大きい動作は適切な効果が得られにくい 12
結果| フィードバックなしの変化 フィードバックなしにおける動作時間の時系列変化 動作時間の中央値が徐々に 増加している傾向 • 線形混合モデルにより有意 13
結果| フィードバックなしの変化 フィードバックなしにおける速度の一貫性の時系列変化 速度の標準偏差が小さいほど 速度が一定で動作できている 標準偏差の中央値が徐々に 減少している傾向 • 線形混合モデルにより有意 14
結果| フィードバックありの変化 フィードバックありにおける動作時間と速度の一貫性の時系列変化 中央値の大きな変動はなかった 速度の変動が有意に減少する 15
結果| アンケート フィードバックなしセッション後の主観評価 質問項目 1週目 2週目 3週目 4週目 動作速度を意識できましたか? 3.62 3.69 3.62 4.23 動作に集中できましたか? 3.69 3.77 4.00 4.23 トレーニングが楽しいと感じましたか? 3.54 3.77 3.77 4.15 – 動作速度の意識や集中度、楽しさが増加傾向 実験終了後アンケートでの自由記述 • 「頭の中でフィードバック音を思い浮かべながら動作した」 • 「3~5秒を数えながら動作していたが、後半は数えずとも 動作できた」 16
考察| フィードバックなしの変化 フィードバックなしにおいて 週の経過に伴い動作時間が増加し、速度のばらつきも低下 – 動作をゆっくりと一定で動作する感覚が フィードバックがない状況においても保持された フィードバックがある状況と同等の動作ができているかを 明らかにするため、フィードバックの有無による比較を行う 17
考察| フィードバックの有無の比較 動作時間のばらつきがある 速度のばらつきがやや大きい • 概ねフィードバックありと同等の動作ができるようになった 18 • 動作の安定性を保つうえでは、フィードバックが有効
考察| フィードバックありの変化 動作時間の大きな変動はなかった – 最初の週からフィードバックを用いることで適切な動作ができ、 速度調整に対して即時的な効果をもたらす 速度のばらつきは徐々に小さくなった – 動作の安定性や速度制御の向上には ある程度練習や経験が必要である可能性 19
結論 効果音フィードバックの効果 • 動作に対して即時的な改善効果 • 長期的に使用することで、フィードバックを用いて 形成された速度の感覚が、フィードバックがなくなっても ある程度保持される 20
制約と展望 フィードバックありとなしのセッションを交互に実施し フィードバックを全く使用しない時の効果は検討できてない 1ヶ月間エキセントリックトレーニングを継続したこと 自体による学習効果の結果なのかについて評価できない 今後 • フィードバックを一切用いない対象群を設けた長期実験 • 筋電図などを用いた筋活動の評価 21
まとめ 問題|エキセントリックトレーニングの動作が速くなってしまう 背景|フィードバックがなくなるとパフォーマンスが低下する可能性 実験|効果音フィードバックを使用した1ヶ月間のトレーニング 結果|フィードバックがなくなってもある程度効果を保持 展望|フィードバックを一切用いない対象群を設けた長期実験 筋電図を用いた筋活動の計測 22
経験者有無による差分 23
アンケート 24