視線に追随するぼかしエフェクトがビデオゲームの体験に及ぼす影響の調査

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March 20, 19

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

視線に追随するぼかしエフェクトが ビデオゲームの体験に及ぼす影響の調査 山浦祐明(明治大学 大学院) 中村聡史(明治大学)

2.

背景 デジタルコンテンツに演出を付与し,視聴体験 を拡張する研究や試みは多くなされている 視聴を著しく阻害してしまう 可能性がある ニコニコ動画

3.

ひとの視野特性 対象をはっきりと知覚 周辺視野 周囲をぼんやりと知覚

4.

視野特性を考慮した体験拡張研究 [福地ら 2016] 視聴が阻害されていた [田村ら 2015] 汎用性が低い

5.

ひとの視野特性 対象をはっきりと知覚 周辺視野 周囲をぼんやりと知覚

6.

人間の視野を再現した研究例 [岡谷ら 2009]

7.

人間の視野を再現した研究例 リアルタイムに遅延なくぼかしを 重畳すれば手間もかからずに任意の コンテンツに適用可能になるのでは? [岡谷ら 2009]

8.

HCI169 [山浦 2016]

9.

HCI169 [山浦 2016]

10.

重畳例

11.

重畳例

12.

過去の研究について 視線に追随したエフェクト重畳による デジタルコンテンツの体験拡張手法の提案[山浦 2016] ‐臨場感,没入感などの印象が増幅傾向に ‐一部のコンテンツに対して集中度合いが向上 ‐対象としたコンテンツが画像と動画のみ ‐コンテンツに対する適・不適が未検証

13.

システムの改良の必要性 視線に追随したエフェクト重畳による デジタルコンテンツの体験拡張手法の提案[山浦 2016] ‐対象コンテンツは画像と動画

14.

システム構成

15.

システム構成 映像キャプチャ 変換モジュール 映像をWebカメラ映像として USB出力しリアルタイムに取得

16.

システム構成 ゲーム映像 取得モジュール ProcessingでUSB映像を取得

17.

システム構成 視線検出 モジュール Tobii Eye Trackerを用いて 視線データを取得

18.

システム構成 ぼかし映像生成 モジュール

19.

システム構成 ぼかし重畳映像

20.

システム構成 操作 視聴 ぼかし重畳映像 ユーザ

21.

本研究の目的 ‐臨場感などの印象は増幅されるが 見やすさなどの生理的印象が減少する ‐集中度の上昇により技術力が向上する

22.

実験 実験協力者 ‐大学生・大学院生6名 実験概要 ‐実際に発売されている ゲームをそれぞれ ぼかしありなしで 交互に4回プレイ ‐使用ゲームは4種類 ‐できるだけハイスコア を目指してもらう

23.

選定ゲーム BADLAND ぷよぷよテトリス SPACE INVADERS EXTREME Getting Over It

24.

選定ゲーム BADLAND SPACE INVADERS EXTREME 明度の差が大きなものにたいして ぼかしはどう影響するか? ぷよぷよテトリス Getting Over It

25.

選定ゲーム BADLAND SPACE INVADERS EXTREME 多くの色を使った演出に対して ぼかしはどう影響するか? ぷよぷよテトリス Getting Over It

26.

選定ゲーム 視認性に影響が及んだ際に 技術力にも影響は及ぶか? BADLAND ぷよぷよテトリス SPACE INVADERS EXTREME Getting Over It

27.

選定ゲーム 難易度が高いため 集中力が途切れやすくなり その時にどう影響するか? BADLAND ぷよぷよテトリス SPACE INVADERS EXTREME Getting Over It

28.

実験の流れ ぷよぷよテトリス BADLAND Getting Over It SPACE INVADERS EXTREME 交互にぼかしあり・なしで4回プレイ 合計16回プレイ

29.

評価指標 ‐臨場感 ‐没入感 ‐立体感 ‐緊張感 ‐心地よさ具合 ‐見えやすさ ‐集中しすいさ ‐目の疲れ 順位(各ゲームのプレイスコア) 客観集中度(JINS MEME ES) いずれも [-2] ~ [+2]の 範囲で選択

30.

4種類のゲームの値を平均した結果

31.

4種類のゲームの値を平均した結果

32.

4種類のゲームの値を平均した結果

33.

4種類のゲームの値を平均した結果

34.

4種類のゲームの値を平均した結果

35.

2条件間の客観集中度比較

36.

2条件間の客観集中度比較 序盤は通常条件の 値が高い

37.

2条件間の客観集中度比較 序盤は集中を阻害しているが、 中盤以降集中を促進している 中盤以降は ぼかし条件が値が高い

38.

技術力と集中力への影響 技術力に影響が及ばなかったのはなぜか? ‐認知特性上、周辺視野の映像は無意識的に 処理される ‐生理的印象に影響を与えても敵や対象の認知に 影響が及ぶ可能性が少なかったのでは? なぜ集中力が向上するのか? ‐低解像度領域と高解像度領域があると、視線は 高解像度領域に誘導される [Hata et al. 2016] ‐本システムでは注視点が高解像度領域となるため 注視点に視線が誘導されていたのでは?

39.

技術力と集中力への影響 技術力に影響が及ばなかったのはなぜか? ‐認知特性上、周辺視野の映像は無意識的に 処理される ‐生理的印象に影響を与えても敵や対象の認知に 影響が及ぶ可能性が少なかったのでは? なぜ集中力が向上するのか? ‐低解像度領域と高解像度領域があると、視線は 高解像度領域に誘導される [Hata et al. 2016] ‐本システムでは注視点が高解像度領域となるため 注視点に視線が誘導されていたのでは?

40.

技術力と集中力への影響 技術力に影響が及ばなかったのはなぜか? ‐認知特性上、周辺視野の映像は無意識的に 処理される ‐生理的印象に影響を与えても敵や対象の認知に 影響が及ぶ可能性が少なかったのでは? なぜ集中力が向上するのか? ‐低解像度領域と高解像度領域があると、視線は 高解像度領域に誘導される [Hata et al. 2016] ‐本システムでは注視点が高解像度領域となるため 注視点に視線が誘導されていたのでは?

41.

ある実験協力者のフィードバック 「もう少しぼかしが強くてもよかった」 ‐結果の値から、ぼかしエフェクトは実験協力者に 影響を及ぼしていることは明らか ‐ではなぜ物足りないと感じたのか? 有効視野狭窄が起こっていたのでは? ‐集中度が向上するにつれて、ぼかしエフェクトを あまり感じなくなっていた? ‐集中度に応じて動的にぼかしエフェクトを 強くしたり範囲を縮小することが考えられる

42.

本実験の課題と展望 実験の課題 ‐実験参加者が全体的に少ない ‐個人差についてあまり考慮できていない ‐長期的な利用による影響は未検証 今後の展望 ‐ゲーム以外のインタラクティブなものへの応用 ex) プログラミング、タイピング、Word等 ‐有効視野狭窄を考慮したエフェクトの動的な制御

43.

まとめ 実際に販売されているビデオゲームを用いて ぼかしエフェクトがビデオゲームのプレイに どう影響を与えるか実験を行い調査した 実験の結果 ということが明らかになった