ノイズキャンセリングミュージック

337 Views

September 20, 17

スライド概要

2017/09/16から18に開催されたEC2017で,「ノイズキャンセリングミュージック」というタイトルで口頭発表を行った際のスライドです

profile-image

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

ノイズキャンセリング ミュージック 松田滉平 松井啓司 佐藤剣太 久保田夏美 佐々木美香子 斎藤光 中村聡史 (明治大学)

2.

まずは こちらをお聞きください! ゼミの声 車の通過音 野球の練習掛け声 Summer(久石譲) Truth(T-SQUARE ) 燃焼系アミノ式(CM)

3.

雑音の印象の変化 雑音に対する印象が 変わりませんでしたか?

4.

背景 • こんな経験はありませんか • セミの音が気に触る • 工事の音がうるさい • 選挙演説にいらいら • うるさくて作業に集中できない! 雑音は日常生活にありふれた フラストレーションの原因

5.

背景 • 保育園の騒音による近隣トラブル • 「子供の声がうるさい」と抗議の声 • 反対運動による開園の延期や中止 騒音が社会問題に発展することも

6.

背景 • 身近な対応策として • 耳栓で雑音をシャットアウト • ヘッドホンやイヤホンで音楽を聴く • ノイズキャンセリングデバイス • 重要な音を聞き逃すかも! • インターフォンの音 • 電車の車内アナウンス

7.

関連研究 • 携帯型音楽プレイヤのための雑音・音楽融合型 再生方式の評価 [井上ら 2007] • 雑音と音楽のリズムを一致させて心理負担を軽減 • リズムが一定の雑音に限定される • PAPA: Physiology and Purpose-Aware Automatic Playlist Generation [Oliver 2006] • 音楽を聴く目的に合わせたプレイリスト生成 • 運動する時の音楽,集中するための音楽など 楽曲の提示でユーザの気分を変化させる

8.

目的 雑音を心理的に気にならなくさせる ノイズキャンセリングミュージックの提案 • 雑音に合わせた楽曲の提示によって雑音が 気にならなくなるかの検証 • 雑音が気にならなくなる楽曲の傾向調査

9.

提案手法 楽曲で雑音に対する心理的負荷を軽減 • 例) 夏の雰囲気の楽曲でセミの音を軽減 • 例) 車の走行音を想起させる楽曲で車の騒音 を軽減

10.

実験 適切な楽曲を提示することで 雑音が気にならなくなるか検証 雑音と楽曲をピックアップ カテゴリ 無音 夏 車 運動 エンジン 話し声 悪天候 雑音 セミの鳴き声 車の走行音 運動部の掛け声 ロケットの 打ち上げ音 人混み 雷 楽曲 無音 Summer Truth 燃焼系アミノ式 I Don’t Want to Miss a Thing Moanin’ He’s a Pirate

11.

実験 適切な楽曲を提示することで 楽曲のイメージと雑音のイメージが 雑音が気にならなくなるか検証 一致するものをリストアップ 雑音と楽曲をピックアップ カテゴリ 無音 夏 車 運動 エンジン 話し声 悪天候 雑音 セミの鳴き声 車の走行音 運動部の掛け声 ロケットの 打ち上げ音 人混み 雷 楽曲 無音 Summer Truth 燃焼系アミノ式 I Don’t Want to Miss a Thing Moanin’ He’s a Pirate

12.

実験 • 楽曲提示による雑音の印象変化の調査 • 楽曲と雑音を合わせて聞くタスク • 楽曲(6曲+無音)×雑音(6つ)=42通り • 実験協力者10名(男5名・女5名) 10名 6曲+無音 6つ

13.

実験環境 • 防音室で実施 • 2つのスピーカーから雑音と楽曲を別々に 流す 実験風景 実験画面

14.

実験タスク 1. 雑音+楽曲を同時聞く(30秒) 2. 1と同じものを雑音だけで聞く(30秒) 3. 1の雑音の音量を再現する(0~40で評価) 4. 1〜3を全パターン(6×7通り)行う 雑音&楽曲 雑音のみ

15.

実験結果 結果の正規化 • 人物・カテゴリごとに評価値を正規化 • 雑音単体の評価値を1.0とする • 1.0以下だと雑音単体より静かと評価 • 1.0以上だと雑音単体よりうるさいと評価 Aさんの評価の例 雑音 夏 夏 夏 楽曲 無音 夏 車 音量評価値 正規化後の値 29 1.00 25 0.86 34 1.17

16.

実験結果 対応表 全体的に「雑音+楽曲」で音量を低く評価し 「雑音+楽曲」による音量評価値の平均 たもの(1以下)が多い 楽曲 エ ン ジ ン 話 し 声 悪 天 候 夏 車 運 動 雑音 夏 0.92 0.96 0.99 0.96 1.02 1.01 車 0.94 0.98 0.93 1.00 1.00 1.00 運動 1.00 0.94 0.83 0.95 0.96 1.02 エンジン 0.97 0.98 0.95 0.86 0.93 0.97 話し声 0.93 0.99 0.97 1.01 0.92 1.01 悪天候 0.89 0.97 0.96 0.90 0.98 0.89

17.

実験結果 対応表 全体的に雑音を楽曲と聞くことで音量を低く 適切な組み合わせが効果的な傾向 評価 楽曲 エ ン ジ ン 話 し 声 悪 天 候 夏 車 運 動 雑音 夏 0.92 0.96 0.99 0.96 1.02 1.01 車 0.94 0.98 0.93 1.00 1.00 1.00 運動 1.00 0.94 0.83 0.95 0.96 1.02 エンジン 0.97 0.98 0.95 0.86 0.93 0.97 話し声 0.93 0.99 0.97 1.01 0.92 1.01 悪天候 0.89 0.97 0.96 0.90 0.98 0.89

18.

実験結果 同カテゴリと別カテゴリ 適切な組み合わせを低く評価 同カテゴリ 別カテゴリ 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 夏 車 運 動 エ ン ジ ン 話 し 声 悪 天 候 実験協力者の楽曲に対するイメージが想 定と差があったことが原因の可能性

19.

アンケート 実験協力者が楽曲から 想起するイメージをアンケート 1. 楽曲を聞いて何を連想するか 2. 実験以前にこの楽曲を聞いたことがあっ たか 3. この楽曲に対する好感度はどれほどか • 7段階のリッカート尺度 • とても好き〜とても嫌い

20.

アンケート結果 想定と同じものを連想した実験協力者は有意 差あり(有意水準5%)

21.

考察 • 全体的に「雑音+楽曲」で音量を低く評価し たものが多い • 雑音を適切な楽曲と聞くと雑音単体と比べさら に音量を低く評価 • 楽曲からの連想が雑音とズレている「車」は結 果に差がない • 「楽曲+雑音」のバリエーション ゼミの声 少年時代 蚊の音 マリオカートの曲

22.

応用 • 雑音を気にならなくさせる音楽を自動再生す るスピーカー • 環境センシングで雑音を検出+推定 • 楽曲の特徴量から印象推定を行い適切な楽曲 を選出

23.

まとめ • 雑音を心理的に許容させるノイズキャンセリ ングミュージックの提案 • 楽曲のイメージが雑音と一致すると雑音の音 量を低く評価 • 今後の展開 • 幅広い雑音に対応可能な楽曲特徴の調査 • タスク中の提示による集中力変化の検証 • 実世界の雑音を使用した実験