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March 15, 24
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
フェンシングにおける 記者の振り返りシーンを考慮した 時系列情報提示による取材支援 明治大学 萩原亜依,中村聡史
研究背景 わたしも 去年まで 記者でした! 2024/3/15 1
研究背景 u 私のとある取材スケジュール 2024/3/15 前日 13:30 14:00 試 合 の 告 知 ス タ メ ン 速 報 試 合 開 始 写 真 撮 影 ・ メ モ 15:45 15:50 16:00 21:30 試 合 終 了 試 合 結 果 の 速 報 取 材 ウ ; ブ 記 事 投 稿 2
研究背景 u 私のとある取材スケジュール 2024/3/15 前日 13:30 14:00 試 合 の 告 知 ス タ メ ン 速 報 試 合 開 始 写 真 撮 影 ・ メ モ 15:45 15:50 16:00 21:30 試 合 終 了 試 合 結 果 の 速 報 取 材 ウ ; ブ 記 事 投 稿 3
01. 研究背景 u 不適切な取材例 – 試合を振り返っていかがですか – 今日の調子はいかがでしたか – 勝てた/負けてしまった要因は何かありますか – 今回見つかった課題を教えてください – 次の試合に向けて意気込みをお願いします 選手任せな質問や どんな試合でも聞ける質問ばかりしている 2024/3/15 4
研究背景 u 今回目指す取材例 序盤は接戦だったが何を意識してプレーしていましたか? 最後30秒で相手が点差を縮めてきたが,どう対処しましたか? →特定のシーンを取り上げた質問 〜〜を狙っているように感じたのですが,その点は意識していましたか? →選手のプレーに対する記者の解釈が含まれた質問 試合を見た人にしか聞けない質問をしている 2024/3/15 5
聞き取り調査 u 異なる大学スポーツ新聞団体に所属経験のある4名 u 業務内容や過去の取材の経験など 2024/3/15 6
聞き取り調査 Q: 1人で取材に行った割合 A: 100% … 2人 25% … 2人 l 1人で取材に行くときは 必ず写真撮影と取材を両方行う l メモを取るのが難しいので 点数のみ記録したり,そもそも メモを取らないこともある l いい質問ができないと感じるのは 写真撮影もやっている時がほとんど 2024/3/15 7
聞き取り調査 Q: 時空間における系列情報について l ある特定の時間における情報は気になることがあれば 記録しているが,流れを把握するのは難しい l 人の手では常に追い続けることはできないので そもそも記録し続けようとしたことがなかった l 振り返ることができたら今までよりも深い質問ができそう 2024/3/15 8
本研究における問い 試合に関する時系列情報とともに試合を振り返ることで 試合を見た人にしか考えられない質問を考えられるようになるのか 2024/3/15 9
提案手法 ◉ RE C PO S I NEG 後で振り返りたいシーンに フラグをつけながら試合を観戦 試合中 2024/3/15 取材前 10
04. 実験 2024/3/15 11
実験 試合を観戦した直後に選手への質問を考えてもらう実験 u 振り返りなし 2024/3/15 u 動画のみ 12
実験 手法1 10~15分 3試合分の試合動画を視聴 2分 1人目の質問を考える 2分 2人目の質問を考える 22分 分 3人目の質問を考える 約5分 質問の読み上げ・アンケート 手法2 手法3 実験協力者:フェンシングを3年間取材していた2名の記者 2024/3/15 13
質問内容に関する分析項目の選定 本研究における理想的な質問 ① 試合を見なければ考えられない質問 ② 特定のシーンを取り上げた質問 ③ 選手のプレーに対して記者の解釈が含まれた質問 選手の回答しやすさに関する項目 ④ 聞きたいことが明確な質問 ⑤ シーンの想起が難しい質問 2024/3/15 14
質問内容に関する分析項目の選定 本研究における理想的な質問 ① 試合を見なければ考えられない質問 ② 特定のシーンを取り上げた質問 ③ 選手のプレーに対して記者の解釈が含まれた質問 選手の回答しやすさに関する項目 ④ 聞きたいことが明確な質問 ⑤ シーンの想起が難しい質問 2024/3/15 15
質問内容に関する分析項目の選定 u 想起しやすい質問 – 「試合開始から2分ほど」「勝ち越した瞬間」 – ある程度幅を持った時間指定・試合において意味を持つ場面指定 u 想起しにくい質問 – 「46秒のシーンで」「27点目を取った時は」 – 詳細すぎる時間・場面指定は想起が難しい システムを用いることで想起しにくい質問を考えてしまう可能性 2024/3/15 16
項目ごとの質問の割合の平均 試合を見なければ 考えられない質問 特定のシーンを 取り上げた質問 プレーに対する 記者の解釈が 含まれた質問 聞きたいことが 明確な質問 場面の想起が 難しい質問 振り返りなし 0.57 0.13 0.23 0.57 0.00 動画のみ 0.74 0.16 0.37 0.66 0.07 動画+グラフ 0.78 0.43 0.51 0.61 0.10 u 振り返ることでプレーに対する解像度が上がり,選手任せな質問が減少 u 従来より正確に試合を振り返ることで数字を意識 – 取材対象が想起しにくい数字の使い方 2024/3/15 17
項目ごとの質問の割合の平均 試合を見なければ 考えられない質問 特定のシーンを 取り上げた質問 プレーに対する 記者の解釈が 含まれた質問 聞きたいことが 明確な質問 場面の想起が 難しい質問 振り返りなし 0.57 0.13 0.23 0.57 0.00 動画のみ 0.74 0.16 0.37 0.66 0.07 動画+グラフ 0.78 0.43 0.51 0.61 0.10 u 振り返ることでプレーに対する解像度が上がった u 従来より正確に試合を振り返ることで数字を意識 – 取材対象が想起しにくい数字の使い方 2024/3/15 18
各要素が含まれている質問の割合の平均 手法 位置 時間 攻撃方法 点数 勝敗 振り返りなし 0.04 0.02 0.37 0.27 0.27 動画のみ 0.25 0.07 0.24 0.35 0.35 動画+グラフ 0.34 0.04 0.38 0.23 0.17 u 位置や攻撃の狙いに関する質問増加 u システムの有無による意識の違い – 確信を持って質問できた・試合全体の流れを把握できた – 振り返りなしにおいては確信を持って質問ができない 2024/3/15 19
各要素が含まれている質問の割合の平均 手法 位置 時間 攻撃方法 点数 勝敗 振り返りなし 0.04 0.02 0.37 0.27 0.27 動画のみ 0.25 0.07 0.24 0.35 0.35 動画+グラフ 0.34 0.04 0.38 0.23 0.17 u 動画+グラフにおいて点数・勝敗に関する質問が減少 – 選手の立ち位置によって新しい観点で質問を考えた – 重要な場面においては点数や勝敗に触れる 2024/3/15 20
システムの利用方法:フラグ付与 u 実験参加者A u 実験参加者B システムが得失点シーンを記録し 記者は必要だと思った部分にのみフラグをつけることが可能なシステム設計 2024/3/15 21
展望 u 得失点シーンはシステムで記録・提示 u フラグの種類の検討 u システムへの習熟度 u 他のスポーツへの応用 2024/3/15 22
まとめ 背景 試合に関するメモが不十分で,取材における質問の質が低下 問い 時系列情報を提示し動画で試合を振り返ることで,質問内容が改善するのか 実験 振り返りシーンを記録しながら試合を観戦し,システムを用いて質問を考える 結果 位置に関する質問が増加.試合全体の流れを把握できたため質問を考えやすい 展望 得失点シーンの提示・フラグの検討・他の競技への応用 2024/3/15 23