エキセントリックトレーニングにおける動作速度の安定性向上のための 効果音フィードバック

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March 18, 24

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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1.

エキセントリックトレーニングにおける 動作速度の安定性向上のための 効果音フィードバック 明治大学 大石琉翔,中村聡史 1

2.

デモ エキセントリックトレーニング – ゆるやかに動作をする必要がある 動作をゆるやかにするための支援を行う 2

3.

背景 ひとりで筋トレを行うことが多い – 時間や金銭的な都合から 筋トレの効果を最大限に引き出すのが難しい フォームが崩れているのに気付かない → 筋トレの効果の低下,怪我のリスク… ひとりで効果的な筋トレを行うための支援が必要 3

4.

エキセントリックトレーニング 効果的に筋力アップや筋肥大ができる筋トレ方法 ダンベルカール • 腕を下ろすこと(エキセントリック収縮)に 重点をおいた筋トレ • 腕を下ろすのを3〜5秒かけて行うと一番効果的 例)ダンベルカール 3〜5秒かけて下ろすのがかなり負荷がかかる 無意識に動作が速くなってしまう 4

5.

目的とアプローチ 目的 • エキセントリックトレーニングにおいて 適切な速度を維持してトレーニングできるようにすること アプローチ • 動作速度を維持できているかを聴覚的にフィードバック – 単に音を聞くだけで済み,筋トレにおいて集中力が阻害されにくい 5

6.

提案手法 トレーニングの動作に連動して 「ゆるやかな動作を促すような音」を鳴らし 動作速度をフィードバックする手法 – 音に合わせるような感覚で自然と動作速度をゆるやかにさせる チャージ音 – エネルギーが貯まっていくような音 – トレーニング動作のイメージに合う • 腕を上げる動作:エネルギーを解放する • 腕を下げる動作:エネルギーを貯める 6

7.

システム概要 Apple Watchから動作速度を推定し 動作速度が適切 :チャージ音 動作速度が不適切:パワーが抜ける音(プシュー) 7

8.

実験 目的 – 提案手法の有効性を検証 仮説 – 効果音を提示する支援の方が秒数をカウントアップする支援より 適切な速度を維持してトレーニングできる 実験者内比較 チャージ音提示 秒数読み上げ提示 音提示なし – 動作時間 :適切な時間で行えたか – 速度の標準偏差:動作を安定して行えたか 8

9.

実験概要 実験参加者 – 男性12名 実験内容 – ダンベルカールでのエキセントリックトレーニング – エキセントリック収縮(腕を下ろす動作)のみ行う 9

10.

実験手順 ウォーミング アップ エキセン トレーニング 休憩3分 アンケート 3セット繰り返す 上記の手順を各手法につき1回実施 – ダンベルの重量は1RM(1回の最大挙上重量)の 80〜90%の範囲内で設定 10

11.

結果|動作時間 • 音提示なしは他の条件より動作時間が短い • チャージ音提示と秒数読み上げ提示で差はみられない 11

12.

結果|速度の標準偏差 • 音提示なしは他の条件より標準偏差は大きい • チャージ音提示と秒数読み上げ提示で差はみられない 12

13.

考察|動作時間と標準偏差 • 音提示なしは動作時間が短く,標準偏差が大きい – 自身で秒数数えることが難しく,動作が速くなってしまった – 動作を安定させる意識に集中する余裕がなかった • チャージ音提示と秒数読み上げ提示で差はみられない – セット間に差がある可能性があるため セット数に分けて分析を行った 13

14.

考察|動作時間のセット間の差 • 1セット目は秒数読み上げ提示が動作時間が長い – 秒数が明確に認識できるため,筋肉の疲労が少ない1セット目で ゆるやかに下ろす意識が強まった可能性が考えられた • どのセットも5秒くらいで,適切な速度で下ろせている 1 セ ッ ト 目 2 セ ッ ト 目 3 セ ッ ト 目 1 セ ッ ト 目 2 セ ッ ト 目 3 セ ッ ト 目 14

15.

考察|動作時間のセット間の差 • 1セット目は秒数読み上げ提示が動作時間が長い – 秒数が明確に認識できるため,筋肉の疲労が少ない1セット目で ゆるやかに下ろす意識が強まった可能性が考えられた • どのセットも5秒くらいで,適切な速度で下ろせている 1 セ ッ ト 目 2 セ ッ ト 目 3 セ ッ ト 目 1 セ ッ ト 目 2 セ ッ ト 目 3 セ ッ ト 目 15

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考察|標準偏差のセット間の差 • 3セット目はチャージ音提示が標準偏差が低い – チャージ音提示は筋肉への負荷が高い3セット目でも 速度を変動することなく安定してトレーニングを行えている 1 セ ッ ト 目 2 セ ッ ト 目 3 セ ッ ト 目 1 セ ッ ト 目 2 セ ッ ト 目 3 セ ッ ト 目 16

17.

考察|標準偏差のセット間の差 • 3セット目はチャージ音提示が標準偏差が低い – チャージ音提示は筋肉への負荷が高い3セット目でも 速度を変動することなく安定してトレーニングを行えている 1 セ ッ ト 目 2 セ ッ ト 目 3 セ ッ ト 目 1 セ ッ ト 目 2 セ ッ ト 目 3 セ ッ ト 目 17

18.

考察|角速度の可視化 • 筋肉が疲労している時の効果を調べるため 特に疲れている3セット目に注目して分析を行う • チャージ音提示が最も速度を抑えて動作できている 腕の下ろし始め 腕の下ろし終わり 18

19.

考察|角速度の可視化 • 音提示なしは他の条件より動作が速く また徐々に動作が速くなる傾向がある 1回 2回 3回 4回 5回 6回 7回 8回 9回 10回 19

20.

考察|角速度の可視化 • 4〜7回目においてチャージ音提示は動作がゆるやかである • 筋肉にかかる負荷が特に高い状況でも チャージ音提示によって効果的なトレーニングができる 1回 2回 3回 4回 5回 6回 7回 8回 9回 10回 20

21.

結論 チャージ音提示と秒数読み上げ提示で 動作時間:どちらも適切な速度で動作できた 標準偏差:チャージ音提示の方が安定して動作できた 角速度の可視化: チャージ音提示の方が 負荷が高くなっても効果的なトレーニングが行える 21

22.

今後 不快感を覚えないフィードバックシステムへの改善 – 効果音の違和感の意見が得られたため どのような効果音がより動作速度を維持できるのか検証 – 音自体に問題があった可能性 – 他にもゆるやかに促進する効果音があるかどうか調査し どの効果音がいいか検証 22

23.

まとめ 背景|エキセントリックトレーニングの動作が速くなってしまう 目的|適切な速度を維持してトレーニングできるようにする 手法|ゆるやかな動作を促がす効果音を提示する手法 結果|チャージ音提示は動作を安定させることができた 展望|適切な効果音の検討 23