高校生起業家教育プログラム「エヌイチ道場」 インパクトレポート vol.2

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March 27, 26

スライド概要

高校生起業家教育プログラム「エヌイチ道場」のインパクトレポート vol.2

高校生起業家教育プログラム「エヌイチ道場」
公式サイト
https://n1dojo-shiojiri.studio.site/
公式Instagram
https://www.instagram.com/n1dojo.shiojiri/

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長野県塩尻市シビック・イノベーション拠点「スナバ」が主催する高校生起業家教育プログラム「エヌイチ道場」の公式アカウントです!

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各ページのテキスト
1.

vol.2 発 行 者 : 一 般 財 団 法 人 塩 尻 市 振 興 公 社 ( シビック ・ イノベーション 拠 点 「 ス ナ バ 」)

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2018 年 8 月、長野県塩尻市にオープンしたシビック・イノベーション拠点「スナバ」 は、 「生きたいまちを共に創る」 をビジョンに掲げ、市民による、市民のための課題解 決や新しい価値創造を行うことを支援・加速するための場です。 「誰かに解決してもらうのを待っているのではなく、自分の住む地域の課題は、自分自 身が解決の担い手になれる。」こうしたカルチャーが広がっていくことで課題が少しず つ解決されていき、 自由で多様な未来が広がっていきます。 「スナバ」という名前は公園の砂場に由来します。 そこへ行けば誰かがいる。 そこであ れば新しいコトやモノを試行錯誤しながらつくっていける。新しい挑戦を後押しするよ うなコミュニティがある。 スナバを通して、挑戦する人が仲間と出会い、動きを加速させ ていく。 そんな場を目指して運営をしています。 塩尻市が主催する「高校生起業家教育事業」の一環で 令和2年度からスナバが始動した高校生の事業伴走プロ グラムです。 エヌイチとは、 ビジネス用語の n= 1 に由来し、 高校生が「本当に喜ばせたい誰か(n =1)」のことを考え、 自分なりに解決策を考え、事業化を目指すプログラムで す。 約 4 ヶ月のプログラム期間の中で、高校生は 「なぜ」 自分 がやるかを突き詰め、本当に喜ばせたい誰かのことを想 い、仮説検証をおこないます。早い段階から資源を集めな がら仮説検証を行うため、事業のピッチの機会は二回。中 間発表と、最終発表があります。 社会を変えるのに大人になるまで待っている必要なんてな い!エヌイチ道場は、高校生たちが本気で考える事業に 伴走しながら、社会を変える人たちを増やします。

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エヌイチ 道 場 の カリキュラム ( 令 和 4 年 度 ) 前 年 度 からの 変 更 点 (プ ログラム 運 営 者 からのコメント ) 従来は全 8 回、全員参加で行っていたプログラムを、今期はフェーズ別で 2 段階構成にしました。冒頭 3 日間を短期集中プログラムの「チャレプ ロ」、最終のピッチイベントと振り返りを入れた本格的な事業アイディアの仮説検証に入る後半の 5 日間を「ゴリプロ」と設定し、学生が「チャレプ ロ」に参加したのちに、残り 5 日間の「ゴリプロ」に参加したいかどうか、自ら選択できるような立て付けにしました。初日から全編の参加にコミット しなくてもよくなったため、学生の応募時の心理的ハードルが下がり、募集の結果、「チャレプロ」には過去最多となる計 12 名 9 事業の参加(今 回は参加には至らずでしたが、茨城県や東京都からの応募もありました)、「ゴリプロ」へは計 8 名 7 事業が参加しました。 前半 - チャレプロ ( アイデ ア 着 想 期 間 ) - DAY 1 9/10 DAY 2 9/11 DAY 3 9/25 後半 - 事 業 アイディア 発 表 ・なぜ自分がその事業をやるのかの深堀り ・顧客は誰で、どんな課題を抱えているかを理解 ・課題への解決策はどんなものか、仮説を検証するアクションについて検討 事 業 アイディア の W H Y 、 深 堀 顧客(エヌイチは誰?どんな課題がある?)、 ソリューション(エヌイチを喜ばせるためにどんな商品、 サービスが必要?) について仮説を設定→この検証するためにどんなアクションが必要か検討 公 開プレピッチ ( 招 待 制 )、 フィード バック ・仮説検証期間で必要な協力を募るために招待制ピッチイベントを実施(各生徒から 3 分ピッチ&フィードバック) ・地域の事業者や先輩起業家、参加者のマッチングなど、仮説検証に向けたネットワークを形成 ゴリプロ ( 仮 説 検 証 期 間 ) - DAY 4 11/7 DAY 5 12/18 DAY 6 1/23 メンター 佐 竹 氏 からのインプット 回 ・各参加者から 3 分ピッチ&事業フィードバック ・各メンターそれぞれの経験・知識に基づいたテーマにまつわるインプット メンターた つ み 氏 からのインプット 回 ・各参加者から 3 分ピッチ&事業フィードバック ・各メンターそれぞれの経験・知識に基づいたテーマにまつわるインプット メンター 小 林 氏 ・ 坂 下 氏 からのインプット 回 ・各参加者から 3 分ピッチ&事業フィードバック ・各メンターそれぞれの経験・知識に基づいたテーマにまつわるインプット 最終 DAY 7 2/12 DAY 2/28 8 最終発表会(DEMODAY) ・プログラムの集大成として各生徒から 5 分間の最終ピッチ ・全体セッションでの意見交換・ディスカッション 振り返り&フィード バック ・参加した学生の振り返りをチームごとに実施、半年後の在りたい姿などを共有し、目標を設定

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社会的インパクトとは 短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の成果として生じた社会的、環境的なアウトカム これまでのインパクト評価は経済的な指標や短期で測定できるインパクト評価に重きがおかれる傾向がありました。しかし、近年は、経済指標だけではなく、人々 とのつながりに基づく社会的関係資本や、地球の自然環境資本などといった「非経済的資本」も考慮しながら、総合的にインパクトを測定していく動きが生 まれています。本事業では行政機関が運営に関わる事業だからこそ実現できる、幅広い評価の切り口、そして教育事業として長期的に顕在化してくるインパ クトを評価する視点に立脚したインパクト指標の設定が重要だと考えています。そのため、本評価における社会的インパクトとは、参加高校生自身の変化と、 それがもたらす地域内の人々・環境への影響の総称として定義します。

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塩尻市では、 こうした現状を踏まえて、 「これからの都市像」を行政が単独で達成を目指す目標ではなく、地域の多様な主体とともに実現を目指すことを目標とし、 塩尻市の総合戦略の中に入れ込みながら実現を目指してきました。 その文脈の中で重要視されているのが、これからの都市像を一緒になって描き、実現していく多様な主体の創造、つまり「人創り」の部分です。地域課題 の解決のためにはさまざまなスキル、経験を持ったプロフェッショナルな人材と関わっていくことも大事ですが、地場で生まれ、生活する人たちが本来持ってい る個性や才能を伸ばし、未来を形づくる主体として育っていくフィールドが地域に用意されていることが求められます。

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スナバは、 「市民の」「市民による」という意味のある「シビック」という単語と、革新的な動きを表す「イノベーション」という単語を掛け合わせた「シビック・ イノベーション拠点」として 2018 年 8 月長野県塩尻市に誕生した施設です。 企業、起業家、教育機関、農家、生活者、そして行政など。地域に暮らす、すべての人を 市民 ととらえ、持続可能性と社会的効果を両立する事業や、 新しいしくみを、ともに生み出し、ともに育てる場。それがスナバです。「生きたいまちを共に創る」ことをビジョンに、多様な主体が混ざり合い、新たな価値を まちに生み出していくムーブメント、それがシビック・イノベーションです。 このムーブメントを創り出すための 3 つの要素が、「人創り」「事業創り」「場創り」です。特に、「人創り」においては、課題が発生した時に誰かに解決を 委ねるのではなく自ら解決の主体となろうとするような起業家精神 = アントレプレナーシップや、アクションを自ら起こしていくリーダーシップ、問題を他人事とせ ずに自分ごととして捉えて解決を目指すオーナーシップの精神を醸成することを目指しています。その「人創り」のカルチャーを土台に、地域課題を持続的に 解決するような「事業創り」や起業家人材への支援、多様な人が共創していくような機会創出などの「場創り」を行っていきます。 こうした「人創り」 「事業創り」 「場創り」の活動を絶えず行ってきた私たちは、令和 2 年度から塩尻市が主催する「塩尻市高校生起業家教育事業」 を受 託することになりました。高校教員のみなさまや、高校生たちにヒアリングを行う中でいくつかの地域課題が見えてきました。 まず、大学が少ない塩尻市に おいて、多くの学生が高校卒業や大学進学を機に県外へ転出してしまう状況があり、且つ大学卒業時の就職時以降も地元に帰る人が少ないこと。 ま た、高校生活においては学校と自宅の往復をしている学生が多く、地域との接点を持つ機会が少ないことから、地域への理解や愛着の醸成がうまくいか ない例が多いことなどが見えてきました。 さらに、選択した高校によってある程度のキャリアパスの固定化なども地域特有の課題としてあげられ、進学・就 職以外のキャリアの選択肢を知らないまま進路選択をせざるを得ない心理的な状況も考察されました。

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2 0 2 2 年度 版 地 域 課 題や ニーズの認 識 同世 代からの 刺激 社会人との 関係性構築 課 題やニーズへ 当事 者 意 識が 芽 生える 失敗・課題感の 発現 / 事業修正 自分や周りの 課題に向き合う やりたいこと・ 根源的興味 の発 掘 プ ロトタイプ 実施 キャリア選 択 の幅が広がる 起業家精神 の会 得 挑 戦 者を応 援する コミュニティの創出 達成度 低 高

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ロジックモデ ル 項 目 測定指標 調査対象 手段 師範からのインプット回 / その効果を感じているか 3期生 運営データ参照、 参加者事後アンケート 参加人数 / セッション回数 ( 全体・チーム) 3期生 運営収集データ 前回からの変化(自他ともに評価)、 モチベーション 3期生 振り返りシート、 参加者アンケート プレゼン回数 3期生 運営収集データ セッション回数(全体・チーム)/ その効果を感じているか 3期生 運営データ参照、 参加者アンケート 地域(自分に身近な場所・事柄) 課題をテーマにしている 3期生 ピッチ資料 参加同士の学び合いは起きているか 3期生 参加者アンケート 自分や周りの課題に向き合う WHY の深掘り、 自己分析ができているか 3期生 インタビュー 失敗・課題感の発現、事業の修正 悩み・つまづきを認識しているか、 それを基に事業内容を修正しているか 3期生 振り返りシート、 参加者アンケート 10. 社会人とのつながり 社会人とのつながりは増したか 1 期生、 2期生、 3期生 運営ヒアリング 11. 地域課題やニーズへ当事者意識が 芽生える 地域(自分に身近な場所・事柄) 課題についての理解や関心が深まる 3期生 インタビュー、 参加者アンケート 12. チャレンジング精神を持つ学生の 居場所確保 普段のコミュニティとの差異 3期生 インタビュー、 参加者アンケート 13. やりたいこと・根源的興味の発掘 WHY が事業 / アクションに活かされているか 3期生 インタビュー 14. プロト事業 / プロジェクトに取り組む プロト事業 / プロジェクトに取り組んでいるか 3期生 振り返りシート、 参加者アンケート 15. 地域への愛着醸成 地域への印象は変化したか 1 期生、 2期生、 3期生 インタビュー 16. キャリア選択の幅が広がる エヌイチ道場で出会った人々や 1 期生、 2期生 気づきをキャリア選択に活かしているか 17. 参加者の起業 起業しているか 1 期生、 2期生 運営ヒアリング 18. 起業家精神の会得 まずはやってみる、失敗しても修正して 取り組む姿勢は身についているか 1 期生、 2期生、 3期生 振り返りシート、参加者 アンケート、 インタビュー インタビュー

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本ページからは、 ロジックモデルの中でも特に強調したい 3 つのアウトカムについて紹介していきます。 3つはロジックモデル内(p.07)において、 それぞれ短期・中期に位置しています。 09 失 敗 ・ 課 題 感 の 発 現と事 業 修 正 【エビデンス】 1. インタビュー、 セッションごとのアンケート 質問項目:苦労したこと、つらかったこと、ぶつかった壁は? ・n=1 設定(だれに対しての事業なのか)4/7 組 ・プロトタイプやアクションに関する内容 5/7 組 自ら事業内容や自己のスキル・スタンスに対して課題感を抱き、修正を繰り返しながら成長していく中で、その課題感は何をきっかけに生まれる のか、 またそれはどのような影響を与えているのか、 3つの視点で以下に記載をしています。 1. 師範からのインプット 全体セッションでは地域で活躍する起業家(師範) 3名から事業構築やプレゼンに関してのインプットを受けました。 それによって、各自のアクショ ンに結びついたり、周囲を巻き込むための事業設計やピッチの心構えなど、起業家としてのスタンス面において大きな学びとなりました。 (セッシ ョンごとの振り返りアンケート内『印象に残ったこと』項目にて確認) 2. チームセッション チームセッションでは運営メンバー含めた少人数のグループで進捗共有や壁打ちをします。高校生同士で事業の進捗や悩みなどを共有するこ とでモチベーションの向上や自己の客観視につながりました。 また、運営メンバーからの問いかけや働きかけで事業の深化と具体的なアクション への取り組みが加速しました。 3. アクション後の修正 全体的にアンケート、インタビュー、イベント企画・運営などの仮説検証のためのアクションに積極的に取り組みました (詳細は次ページ)。アク ションを通して多様なステークホルダーからフィードバックを得ることで、修正しながら次のステップへ進みました。 当初は起業に対して不安が多かったが、 師範からの『まずはやってみる』、『ワクワ クすることに取り組む』などといった言葉 がアクションする時の後押しになった。 チームセッションで運営メンバーから事業 を進める上で的 確なアドバイスを受けた り、他の参加者の姿を見て自分たちも行 動しなければと焦燥感を持った。 イベント開催を通して、参加者の 変化を感じたり、協力者と話をし た。モチベーションが高まり、次 のイベントへの意欲と、修正点 が見つかった。

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14 プ ロトタイプ の 実 践 【エビデンス】 参加者の最終発表資料 イベント開催 2 チラシ配布 1 アンケートの実践 今期のエヌイチ道場では、特に事業を進めるにあたってワンアクションを起こしてみることを重要視しました。 その結果、本年度は、それぞれアクションの規模の差はあるものの、アンケートの実施や自分が考えたイベントを開催するなど、全員がワンアクシ ョンをおこすことができました。 ワンアクションを行って見えてきた課題や新たなチャンスを事業に落とし込むことによって、最終報告に向けて事業がレベルアップしていきます。 ケース 紹 介 エヌイチ に 入 る 前 こどもの 居 場 所 である 「 子ども 食 堂 」 を 知って 欲しい! 自分たちが 居 場 所をつ くる側になりたいと思っ た。協 力してもらえる大 人に出会いたいとの思 いからエヌイチ道場へ チーム 「uluhalo(ウルハロ)」 高 橋 真 結さん、伏 見 百 々 花さん エヌイチで の 出 会 い 現 状を知る アクション 後 今 後 やりた いこと スナバメンバーでエンジニ アの人とつながり、Web サイトをつくろうとなった。 アンケートを実施したことでインターネッ トで知る人が少ないこと、友人や家族か ら知ることが多いと知った。 自分が知ら せる側になろうと思って、 チラシ作成した 中学や小学校などに配布した。 また新聞などでも取材をしてもら ったことで、自分たちの活動や 子ども食堂を知ってもらえた 誰もが居場所を 感じられる社会を つくりたい 木曽町の温もりという強みを知ってもらう には泊まってもらうしかないと感じた。週に 1 回チームで進捗共有をするミーティン グがあり、そこで焦りを感じた。 そのタイミ ングで何を言わなければいけないかを考 え、オンラインで毎週話すことができたか ら進めることができた。 師範の言葉で 「失敗にかかるコストを減ら そう」が印象に残った。行動することを恐 れずにどんどん失敗して学んでいくことが 大切だと感じた。 市外高校生[地域体験プログラム事業] 市外高校生[教育事業]

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16 キャリア 選 択 肢 の 幅 が 広 が る 【エビデンス】 参加者の最終発表資料 参加者の声 加 藤 あす み さん [エヌイチ道場 1 期生] (長野県松本深志高等学校 1 年 * 参加当時) 事業内容:高校生にエシカル消費を促す メディア「Ethiteria」の運営 2023 年秋よりエジンバラ大学へ進学 大学 : The University of Edinburgh 学部 : College of Arts, Humanities, and Social Sciences エヌイチ道場を起点にスナバに行ったり、塩尻市のイベントに参加しました。新しい人とつながったり、社会人とつながることに対してハードルが 下がり、 チャレンジのハードルも下がりました。 また、 どんな人とでも話せるようになりました。 進学先のイギリスの大学でやりたいのは政治社会科学です。サステナブルな社会をつくる為にどういう要素が必要なのか、エヌイチ道場を通し てプロジェクトをやっていく中で大学で何をやりたいかを考えた時、起業家としていろいろなプロジェクトもできるけど、既存の経済のシステムの中 でやるしかない。 システムの中では限界があると感じているので、経済のシステムがどう社会に関わっているのかに興味を持ちました。 日々 別 荘 に 出 店 新しい 人との 出 会 い 参加 スナ バ の コミュニティに 参 加 大 門 マ ルシェに 出 店 新しい 興 味 関 心 との 出 会 い 環 境 フェア に 参 加 情報発信 ス ナ バ が 起 点となって 様 々な 人との 出 会 い や チャレンジする 機 会 が 増 加

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これまでエヌイチ道場が生み出すアウトカムやインパクトを紹介してきました。 そのなかにはエヌイチ道場という環境だからこそ生まれた成果もあり ます。 プログラム全体として、大きく2つの特徴を紹介します。 ① シビック ・ イノベーション 拠 点 『 ス ナ バ 』 に 蓄 積された 人 的 資 本 をフル 活 用したプ ログラム 運 営 スナバは多種多様なメンバーによって運営されており、そのうちの 4 人がエヌイチ道場のプログラムを企画 / 運営しています。普段から起業家 に伴走している経験や、事務局それぞれの事業運営体験から参加高校生に対して、ときには厳しいフィードバックを行いながら、起業家精神を 育みました。 また、事務局だけではなく、師範やピッチのオーディエンス、協力者を巻き込んだプログラムは、スナバのメイン事業でもある 『地域 起業家コミュニティの運営』の人的資本をフルに活用した結果です。 さらには、行政視点を兼ね備え、長期的視点の事業目的(ロジックモデル内のインパクト) を掲げて取り組みを積み重ねてきたことで、単なる高校 生へのインプットの繰り返しではなく、高校生のアクションとそれによって生まれる地域の小さな変化を、大きな潮流に昇華させていきます。 ② 二 段 階プ ログラム の 設 計 今年度の新たなチャレンジとして『チャレプロ』 『ゴリプロ』という2段 階の座組みを取り入れました。 チャレプロでは3日間という短い期間 の中で、n=1 設定〜事業構築〜ピッチという一連の流れを体験しま す。 ゴリプロではチャレプロ参加者のうち、希望者が中長期的にビジ ネス構築の PDCA を繰り返します。 AN D 計 画を 実 行する EC T CH K AC 改善し 次 回に繋ぐ IO N O 計画を 作成する PL この2段階のプログラムを導入したことで「チャレプロ」ではより多くの 学生が参加可能に、 「ゴリプロ」 では少人数で濃度の高いプログラム の開催が可能になりました。特に「チャレプロ」期間中に既に一度ピ ッチまで実施していることで、 「ゴリプロ」期間中に仮説検証(プロトタ イピング) などのアクションを行いやすくなり、また行動したことで他者 からのフィードバックも得られやすく、事業の完成度も高まる形となり ました。 行 動を評 価 ・分析 ゴリプロ チャレプロ

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東京都市大学 塩尻高等学校 � 年生 松本県ヶ丘高等学校 � 年 *参加当時 * 「エヌイチ道場」� 期にも参加 *参加当時 中嶌桃和子 さん 塩原 優菜 さん 起立性調節障害の人が抱える周りの理解のなさから生まれる生き 「ツナガルタンキュウ」は、探究学習に取り組む高校生をつなげて、 づらさがない世界を作りたいとの思いから事業内容を考えました。 話して、一歩進むことを促す事業です。 「自分にしかできないワクワク 「心の病気」ってどんなものなのか知らないからこその悪いイメージ を創れる人がたくさんいる未来になってほしい」、という思いから、高 だったり、心の病気を持った人たちに対する世間の厳しい態度は現 校生の探究学習に注目しています。既に高校教育で必修化として れたりするのではないでしょうか。 そこで、 「心の病気」 とはどんなもの いる探究学習は自分で学び、考え、行動する力がつく魅力的な学び なのか知ってもらえる機会を作りたいと考えています。今回は私たち です。 しかし現状は課題が多く、なかでも私はモチベーション低下と 学生にとても身近な 「起立性調節障害」 に注目して、活動を行いまし いう課題に着目しています。 ワークショップやデジタル技術を介して た。 探究学習を頑張る高校 生同士を繋げて1人でも多くの高校生が自 分にしかないワクワクを追究できる環境を作りたいと考えています。 他の参加者のピッチを聞いて、みんな大人だなと感心しました。隣 で同じ話を聞いて、同じように事業を持っている人たちがいて心強 かったです。学校の探究はグループ学習だったため、周りにあわせ なければいけませんでした。 エヌイチ道場ではひとりひとりが事業を 持っているので、進捗の差が生まれるのが刺激になりました。抜い たり抜かされたりする関係が 新鮮でよかったです。 前期でも自分に対して成長したと思っていましたが、今振り返ると 「成長させてもらっていた」と感じました。 インプットと周りの刺激が 多く、自分の中で消化することができていませんでした。今期はそう いう意味では自分が行動したいことを行動に移せたり、自分自身で 成長を取りにいくことができたりしたと感じました。 松本県ケ丘高等学校 � 年 木曽青峰高等学校 � 年 *参加当時 *参加当時 伏見百々花 さん 『uluhalo(ウルハロ)』 久保晴希 さん 事業内容『ぬくもりホームステイ』 私たちは助けを求められない人たちが助けを求められて、誰もが居 僕の生まれた木曽町を盛り上げるために木曽町の魅力を感じても 場所を感じられる社会を目指しています。私たちは第 3 の居場所を らうホームステイを考えました。 「子ども食堂」ととらえ、「子ども食堂」が誰でも来やすい場所にな り、たくさんの人に来てもらうことで本当に困っている人も来やすく なるのではないかと思いました。 そして、「子ども食堂」のマイナスな 自主的に活動しているだけなので、受け入れ先とか参加したいとい イメージを変えるために活動をしています。 うような人が出てくる活動をしたいと思っています。木曽での活動も したいと思っていますが、さらにいろいろなことも挑戦していきたいで もともとは人前で話すこととか、こういう輪の中で話すのがすごく苦 手でした。極度に緊張しちゃうとか、声が震えてしまうのがコンプレッ クスでしたが、回数を重ねるうちに、人前で話せるようになった気が します。大人数の前で話すことも、前ほど緊張しなくなり、自分に自 信が持てるようになりました。行動力とか、人と関わろうという気持 ち、変えていきたいという気持ちが強く現れるようになり、挑戦する 気持ちが強くなりました。 す。 あとは、こういう場に参加したことで、行動力が増えたので、工業 クラブなどの使えるものを使っていろんなイベントを開催したいなと 思っています。

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本インパクト評価 / レポート作成を進める中で、 「エヌイチ道場」 というプログラムが参加高校生、ひいては塩尻市全体に社会的な便益を与えることを私たち自身も再 認識することができました。 さらには、プログラム設計段階には想定し得ないような成果が高校生や地域起業家、事業に関わる全ての方々の手により生み出されてい ることにも気づきを得ました。 その一方で、私たちが描く塩尻市の未来を実現するためには、 まだまだアップデートしなければならない部分も可視化されてきています。 例えば、「20. 挑戦者を応援するコミュニティの創出」 ( p.07)におけるコミュニティの可視化や持続可能性の向上もその一つです。 さらに「要因分析」 ( p.12) では、 「スナバ」 が本事業を運営をする中で、地域起業家や地域企業との密接な関係性がインパクトの最大化のために重要な要因として挙げています。次年度はこのサポ ート体制の輪をより広範囲に拡大し、 「エヌイチ道場」内外において、地域企業や学校との連携体制の強化も検討しています。 以上のような新たな取り組みを導入していくためにも、私たちのビジョンに近い想いを持つ方々や組織のみなさまと、何らかの形で関わらせていただけるような仕組み づくりにも励みます。 令和 2 年度より、 シビック・イノベーション拠点「スナバ」 で始動した 「エヌイチ道場」 は令和 4 年度末までに、3 期、計 29 名の高校生や高専生が参加しました。 学生指導要領の改訂により、令和 4 年度から高校での「総合的な探究の時間」 が必修化していることを踏まえ、高校生が課外活動に取り組む機会は増加傾向に あります。 しかし、その多くは地域との継続的な関係性構築や学生の長期的な自己成長や発見よりも、カリキュラム内での実施や検証可能な内容であることが前提 におかれ、学習内容も地域との単発的な関わりやデスクリサーチの域を超えないようなものが散見されます。 「エヌイチ道場」 では、地域のキーパーソンが出入りするコミュニティ 「スナバ」 が運営するプログラムだからこそできる、多様な起業家や地域の人々との設定の創出 や、長期的視野で学生個人の成長に寄り添う、地域を巻き込んだ面的な伴走支援体制を組むことを心がけています。 しかし、課題もあります。 高校生にとっての最も大きな試練は 「エヌイチ道場」終了後、いかに事業や活動を継続させていくかです。進学準備など、さまざまな活動を両立しながらの事業継続 には、金銭的・時間的・人的リソースなど、 さまざまなリソースが必要となります。 彼らをサポートする体制を地域内で強めたり、広げていくことは、高校生のチャレンジや挑戦を後押しするだけにとどまらず、 さまざまなひとが挑戦しやすい地域を創るこ とにつながります。今期で 3 年目となった 「エヌイチ道場」 では、第 1 期に参加した OB/OG たちが、現役道場生の壁打ちをする光景も見られました。 このことから、こ の地域で 「エヌイチ道場」 を継続していくこと、 また、支援体制の輪を広げていくことの意義は年々強まっています。 第二回目の「エヌイチ道場」 インパクトレポート作成に向けて、 ご協力いただいたみなさま、 そして、 これからつながっていくであろうみなさま、 「エヌイチ道場」 を通して、誰もが生きたいと願う、私たちのまちの未来を、一緒に創っていきませんか。

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事業主催:塩尻市役所 プログラム運営・発行者:一般財団法人塩尻市振興公社(スナバ事業部) レポート制作:浅川雄介、畔高咲良 デザイン:川口純 2023 シビック・イノベーション拠点「スナバ」