>100 Views
January 28, 25
スライド概要
日本大学 文理学部 情報科学科 北原研究室。 「Technology Makes Music More Fun」を合言葉に、音楽をはじめとするエンターテインメントの高度化に資する技術の研究開発を行っています。
押弦位置の変更による ギター初心者向け簡略化タブ譜の生成 北原研 瀬川日向
研究目的・背景 背景 ギターの演奏方法にギターソロがある. • ギターソロは難しい • 速い動きは初心者にはできない • できたらかっこいい https://www.youtube.com/shorts/qD2lmsIodKc
研究目的・背景 背景 • 初心者にとって難しいメロディは譜面があっても習得が難しい • 原曲に近い簡単なメロディに変換すれば,練習の出発点となるメロディに できるのではないかと考えた. 弾けないことで練習モチベーションが低下してしまう. 弾きやすいメロディになるように音高を変化させることでモチベーショ ンを維持できるのでは?
研究目的・背景 目的 初心者には難しいメロディのタブ譜を,原曲に近い簡単なメロディのタブ譜 に変換する
研究目的・背景 補足 タブ譜の読み方 • それぞれの場所で違う音が鳴る • 押さえる位置のことを押弦位置という
研究目的・背景 補足 やりたいこと • 移動を減らしたい • 押弦位置の変更を少なくしたい
関連研究
関連研究 タブ譜生成の研究 • Gen Hori,Shigeki,Sagayama Minimax Viterbi Algorithm for HMM-BASED Guitar Fingering Decision 2016 HMMを使用し,押弦位置を最小化したタブ譜生成 • D.R Tuohy and W.D. Potter A Genetic Algorithm for the Automatic Generation of Playable Guitar Tablature 2005 遺伝的アルゴリズムを使用し,押弦可能な位置でのタブ譜生成 タブ譜が表すメロディの簡略化は行われていなかった
関連研究 メロディ簡略化の研究 • Ryan Groves Automatic Melodic Reduction Using a Supervised Probabilistic Context-Free Grammar 2016 確率文脈自由文法(PCFG)を使用し,西洋古典音楽のメロディにおける旋律の簡略化 • 吉井 和佳 中村栄太 糸山克寿 吉井 和佳 楽譜簡略化と自動補完伴奏によ るピアノ演奏練習支援システム 実際の演奏から苦手な楽譜の傾向を判断し,簡略化された楽譜の生成 ギターにおけるメロディ簡略化ではなかった
提案手法
提案手法 システム概要 単旋律のタブ譜を入力,コストが最小の和となる音符列を探索し,簡略 化したメロディのタブ譜を生成 入力したタブ譜 簡略化されたタブ譜
提案手法 タブ譜の入力 • MusicXML形式のタブ譜を入力 押弦位置の時系列を探索 • 演奏コストとメロディ改変ペナルティを求め,その和が最小となる音符列を探索 タブ譜の出力 • MusicXML形式のタブ譜を出力
提案手法 コスト設定 • 演奏しにくさを表す「演奏コスト」 • 原曲からの乖離を表す「メロディ改変ペナルティ」
提案手法 演奏コスト 現在の押弦位置から次の押弦位置へ遷移するときのコスト
提案手法 メロディ改変ペナルティ 出力されるメロディが元のメロディと異なるかを表す 出力の 音符 元の音符 A4 A4 A4 スケール内 の音符 A4 スケール 外の音符 1を与える 5000を与える
比較実験
比較実験 • タブ譜の出力 • 提案手法 • GTTMに基づく手法 • 表拍の押弦位置に合わせる手法 • 比較するもの • 弦移動が2以上の数 • フレット移動が3以上の数 • スケール外の音符の数
比較実験 GTTMに基づく手法 • GTTMとは,聴取者の音楽の認知過程から曲中の音符の重 要度を階層的な構造 で表すことを目的とした理論
比較実験 表拍の音符の押弦位置に合わせる手法 • 裏拍の音符の押弦位置を,表拍の音符の押弦位置に合わせる • 今回は16分音符で見たときの表拍の位置に合わせる
比較実験 入力に使用したタブ譜 使用した楽曲 MotorMan Scarified ScuttleButtin' Daddy,brother,love 「Racer X」の,MotorManを紹介 16分音符が連続しており,動きが早い譜 面
比較実験 提案手法での結果 • 表拍の押弦位置と裏拍の押弦位置が一致して いる • 第一小節では同じ押弦位置を8連続で抑える 譜面になった • フレットの移動は少なくなった
比較実験 提案手法での結果 第三小節 移動の制限ができている
比較実験 GTTMに基づく手法での結果 • 表拍と裏拍の押弦位置は一致していない • 得られたタイムスパン木によって,複雑な動きになる ことが考えられる • 弦とフレットの移動が提案手法よりも多い
比較実験 GTTMに基づく手法での結果 第二小節の一拍目から四拍目まで 変換後も表拍と裏拍の押弦位置は一致してお らず弾きやすいとは言えない
比較実験 表拍の音符の押弦位置に合わせる手法での結果 • 表拍の押弦位置に合わせているだけなので, 弦の移動が多い • GTTMに基づく手法よりは,複雑な動きではな い
比較実験 表拍の音符の押弦位置に合わせる手法での結果 第四小節 表拍と裏拍の押弦位置は一致しているが移動が大きい印象
比較実験 結果の比較 入力したメロディ 提案手法 GTTMに基づく手法 表拍の音符の押弦位置に合わせる手法 弦移動 2 以上の数 フレット移動 3以上の数 スケール外の音符数 5 3 11 9 22 4 11 12 5 0 7 16
考察
考察 • 提案手法では,移動を減らすことができ,スケール外の音符の数を0 にできた 大きな移動に対するコスト,スケール外の音符に対するコストを大きくした結果が出た • GTTMに基づく手法と,表拍の押弦位置に合わせる手法では,ス ケール外の音符が増えた スケール外の音符が重要な音と判断されたり,表拍の押弦位置であると増えてしまうと考え られる.
実験のまとめ • 提案手法では移動の制限ができ,スケール外の音符が出力されること もなかった. • 他の手法では,変換後も演奏しにくいと考えられる部分があった. • 他の手法では,スケール外の音符が増えてしまった.
今後の課題
今後の課題 • 今回の実験では数値上での比較のみで,被験者実験を行っていない. • 実際に弾いてもらい,弾きやすくなっているか確かめる. • 音楽的に変ではないかを判断する ギター上級者,専門家を募集し,被験者実験を行う必要がある. • メロディによっては,全て同じ押弦位置に変換されることが考えられる. • 数値で見ると,移動もなく,スケール内の音符だが,それでは練習にならない どのようなメロディに対してそうなるのか確かめ,全て同じ押弦位 置にならないコスト設定を行う必要がある.
終わり