主旋律と和音を同時に演奏する ソロギターのためのタブ譜生成システム

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January 28, 25

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日本大学 文理学部 情報科学科 北原研究室。 「Technology Makes Music More Fun」を合言葉に、音楽をはじめとするエンターテインメントの高度化に資する技術の研究開発を行っています。

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各ページのテキスト
1.

主旋律と和音を同時に演奏する ソロギターのためのタブ譜生成システム 北原研究室 B4 坂井俊亮

2.

ギターについて 単旋律 コード弾き ソロギター

3.

ギターについて ⚫ 押さえる弦の場所が一意に定まらない -> 同じ音を演奏できる場所が複数存在

4.

タブ譜とは ◼ タブ譜 ・ 各線がギターの弦に対応 ・ 数字が演奏するフレット(場所)

5.

背景・目的 ◼ 背景 ⚫ タブ譜の数が少ない ⚫ 今までタブ譜の生成に関する研究が多数なされてきた ➢ いずれも得られる旋律以外の情報は使っていない ◼ 目的 ⚫ リードシートから主旋律と和音を同時に演奏するタブ譜生成システムの作成

6.

関連研究 ⚫ “単旋律ギターにおける最適押弦位置決定システムの構築” ➢三浦雅展, 柳田益造, MUS(2002) ➢入力された単旋律に対して押弦位置を決定 ⚫ "A Genetic Algolithm for the Automatic Generation of Playable Guitar Tablature“ ➢ D.R.Tuohy and W.D.Potter, ICMC(2005) ➢遺伝的アルゴリズムを用いたタブ譜生成 ⚫ "押弦制約付きギター演奏自動採譜システム“ ➢ 矢澤一樹, 阪上大地, 糸山克寿, 尾形哲也, 奥乃博,情報処理学会第74回全国大会(2012) ➢入力された音源に対して、押弦制約を用いてタブ譜を生成 ⚫ "隠れマルコフモデルによるギターのための運指決定および自動編曲“ ➢ 吉永悠真, 堀玄, 深山覚, 嵯峨山茂樹,日本音響学会春季研究発表会講演集(2012) ➢ HMMを用いた最適な押弦位置の探索とタブ譜への編曲

7.

考え方 ⚫ あらゆる押さえ方から最適なものを探す ➢ 押さえ方同士の移動距離などを考慮する ⚫ 主旋律と和音を同時に演奏できるタブ譜が得られる!

8.

提案手法 リード シート 旋律 情報 システム 押弦 情報 ・ 押弦状態 ・ 遷移コスト ・ 出力コスト 遷移コストと出力コストの総和が最小となるようにする タブ譜

9.

提案手法 ◼ 押弦状態 ⚫ 運指情報を表すベクトル ➢ ex). s = [0, 1, 0, 2, 0,-1] • 配列のi番目が、ギターのi弦目を表す • -1 : 休符, 0 : 開放弦, else : 各フレット番号を表す ◼ 典型フォームリスト ⚫ 基本的な和音の押さえ方を表す押弦状態 • ex1). Fコード : [ 1, 1, 2, 3, 3, 1] • ex2). Cコード : [ 0, 1, 0, 2, 3,-1] Fコード Cコード

10.

提案手法 ⚫ 遷移コスト ➢ 現在位置から次の位置に移動する距離に応じたコストを与える • 押弦状態の1以上の最小値同士を比較し、絶対値をコストとして与える ex). p = [-1, 1, -1, -1, -1, -1] q1 = [-1,-1,-1, 4,-1,-1], q2 = [-1,-1, 6,-1,-1,-1,] dist(p, q1) = 3 dist(p, q2) = 5 p->q1の方を採用

11.

提案手法 ⚫ 出力コスト ➢ 出るべき音が出力されるように与えられるコスト • 押弦状態と主旋律が一致するときに低いコストを与える • 和音を演奏するときは、採用される音がなるべく多くなるようにコストを与える これらのタイミングで2音以上演奏できる ような押弦状態を使用する

12.

出力結果 楽曲(一部抜粋) 演奏動画(一部)

13.

評価実験 ⚫ 6つの項目に対して評価を行う ➢ 各項目1~7段階で評価を行った 1. 2. 3. 4. 5. 6. 和音のヴォイシングの適切さ 和音同士の遷移のしやすさ 主旋律の演奏のしやすさ 曲全体のヴォイシングの妥当さ 中級者にとっての演奏のしやすさ 中級者にとっての編曲難易度の妥当性 -> ギターの専門家1名に評価して頂く。

14.

評価結果 Q1.和音のヴォイシングの適切さ Q2.和音同士の遷移のしやすさ Q3.主旋律の演奏のしやすさ Q4.曲全体のヴォイシングの妥当さ Q5.中級者にとっての演奏のしやすさ Q6.中級者にとっての編曲難易度の妥当性 (1~7段階で評価) 和音の適切さや演奏のしやすさは、楽曲によって大きく異なる

15.

評価結果・考察 ⚫ コード、コード進行が単純な楽曲は高評価 ➢ 構成音が単純なため、押弦位置も決定しやすい

16.

評価結果・考察 ⚫ コードシンボルの切り替わりが多い楽曲は低評価 ➢ 切り替わりが多い分、押弦箇所が増加するため

17.

まとめ ⚫ リードシートを用いた主旋律と和音を同時に演奏するタブ譜を作成することが 出来た ⚫ 現状では大きな問題はないものの、和音の採用方法の見直しは必要 ⚫ 状態の追加や出力コストの変更でより改善される