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September 25, 26
スライド概要
2026年9月12日開催の「第20回データビジネス創造コンテスト」本選発表会での、慶應義塾大学大学院・慶應義塾大学「Ymos」プレゼンテーション資料
慶應義塾大学データビジネス創造コンソーシアム
ジシンプラス保険 震度にもう一つを、支払いにも自信を。 Ymos 慶應義塾大学大学院・慶應義塾大学 安倍幹人、楊蕊瑞、秋元浩貴、豊島康平、西川輝星、礒嵜心夢、漆原雅盛 1
目次 01 背景 02 提案内容 03 実験 04 実現性 05 まとめ 2
目次 01 背景 ✓ 早期資金の必要性 3
背景 / 早期資金の必要性 被災者からは、まとまったお金がすぐに必要になったという声がある 避難先で暮らすための 家電を揃えるのに 15 万円かかった。 仮店舗で営業を再開するため、 商品棚などの備品 に数十万円かかった。 余震が続く不安から、遠方の実家に 避難し、 交通費がかかった。 本震の翌日、 代替工場を借り、 移転用のトラック を手配した。 幼児がいたため、避難所ではなくホテルに 泊まる必要があり、 宿泊費がかかった。 地震で酒造りに 使う 釜にひびが 入り 、 修理に約200 万円が必要になった 。 出典: 東京海上日動「地震に備える EQuick 保険」 , 内閣府「企業の事業継続に関する熊本地震の影響調査報告書 」 ,柄谷友香「中小企業の仮設施設による事業再開プロセスに関する一考察」 4
背景 / 早期資金の必要性 早期の資金需要が、個別の事例にとどまらないことを外部データで検証 個人 被災後に日常生活費が必要になった時期 ✓ 早い段階から 日常生活費が必要 選択肢の中で最も短い 「 1ヶ月以内」が 41.0% で最多 出典: 内閣府「第1章 被災世帯の状況等に関して」 企業 被災企業の事業再開・業績回復までの期間 ✓ 業績回復する前から事業再開の資金が必要 半数超が2週間以内に事業を再開する一方、業績が被災前の水準まで戻るのは 18.3% にとどまっている。 出典: 内閣府「令和6年度 能登半島地震被災エリア」 生活や事業を動かすための資金は、被災後の早い段階から必要 5
背景 / 早期資金の必要性 一般的な保険は実損に近い額を支払うため現地調査をしており、支払いに時間がかかる 現地調査があるため、被災直後の苦しい時期にお金が届かない 一般的な保険の支払いの仕組み ① 地震発生 ここに時間がかかる ② 事故受付 ③ 現地調査 ④査定 ⑤支払い 例:能登半島地震 地震から 1ヶ月経っても、現地調査の完了率が低い 現地調査の完了率の低さは支払いの遅れを表している。 5か月経過でも 100% 未満 約 50 % 出典: 財務省 地震保険研究会 資料( 能登・ 現地調査の完了率) ※ 事故受付件数に対する調査完了の割合 (受付には相談も含む) 早期の資金需要との間に生じる時間差を補完する仕組みが必要 6
目次 01 背景 ✓ 既存の仕組みとその限界 7
背景 / 既存の仕組みとその限界 パラメトリック 保険は指標に基づいて 補償額を 決める 保険で、 支払いが迅速 パラメトリック保険 とは ✓ あらかじめ決めた 指標(震度など) 被災後の支払いが早い で補償が決まる保険。 震度が上がるほど、補償額も上がる 25 万円 ✓ 現地調査の時間がかからないため 、 被災後すぐに 保険金を 受け取れる 。 支払いまでの日数 10 万円 5万円 一般的な保険 震度6弱 震度6強 震度7 ✓ 現地調査をせず、指標だけ で支払い可否・金額が決まる。 ① 地震発生 ② 建物に被害 数週間〜数か月 ③ すぐに給付 パラメトリック 最短3日 出典: 東京海上日動「地震に備える EQuick 保険」 8
背景 / 既存の仕組みとその限界 早さの代償として「支払いと実損のズレ」が生じる 指標は被害を完全には代替できず、ベーシスリスクが生まれる ベーシスリスク:保険金支払い額と実際の損害額の不一致 Negative Basis Risk Positive Basis Risk 支払い不足 過払い 実損 > 支払 → 被災者の資金不足につながる 実損 < 支払 → 保険料上昇・制度撤退につながる 足りなければ 被災者が、 払いすぎれば 制度が傷つく 9
背景 / 既存の仕組みとその限界 ベーシスリスクが大きくなる理由は、指標が単純すぎるから 地震被害は「震度」だけでなく、地盤・継続時間・液状化で大きく変わる 実際の被害 既存の指標 震度 単一指標に圧縮 震度 地盤条件 客観的で早いが 、 局所被害の差は無視 揺れの継続時間 液状化 例えば、 こんなときに 困る ... 複数要因の掛け合わせ 能登半島地震で内灘町は震度5弱と 極端に大きな 震度ではなかったが 、 液状化により 住宅約690 棟 が全半壊 出典: 防災科研「令和6年能登半島地震液状化被害の分布と特徴」 震度だけでは「局所被害の取りこぼし」が残る 10
背景 / 既存の仕組みとその限界 同じ震度でも、実際に支払われた補償額の割合にどれだけ差があるのかを検証 実損に近い支払いをする、一般的な保険の支払いデータで検証 検証方法 同じ震度を観測した自治体同士で 、 実際に支払われた 補償額の割合を比較 自治体𝑖の合計補償額 自治体𝑖の補償額の割合 = 自治体𝑖の合計保険金額 使用データ 出典 損害保険料率算出機構 「過去の地震による支払(自治体別)」 対象 令和6年能登半島地震 市区町村 63 自治体(震度 5弱〜7) 項目 気象庁の最大震度・建物の保有保険金額・ 損害区分別の建物支払保険金 補足 1 「 自治体𝑖の合計補償額 」 は、 5つの損害区分( 全損・ 大半損・ 半損・ 小半損・ 一部損) の支払保険金を 自治体ごとに 合算 2 「 自治体𝑖の合計保険金額 」で割ることで、自治体の規模に依らず比較できるようにする 11
背景 / 既存の仕組みとその限界 同じ震度でも、実際に支払われた補償額の割合は 17 倍異なる ( 5強を抜粋) 震度5強の30 自治体における 補償額の割合を 比較 補償額の割合 最大 6.41% 約17 倍の差 最低 0.38% 震度だけでは、実際の被害に見合った支払いを再現できない 12
目次 01 背景 ✓ まとめ 13
背景 / まとめ データから、提案サービスが満たすべき要件が見える 「早期資金の必要性」と「震度で被害を表現する限界」という 2つの分析結果が、そのまま設計要件になる 早期資金の必要性 震度で被害を 表現する 限界 分析結果① 生活や事業を動かす資金は、 被災後の早い段階から必要 分析結果② 震度だけでは、実際の被害に見合った支払いを 再現できない 設計要件① 現地調査を待たずに早く支払う 設計要件② 震度以外にも局所被害を表せる情報を使う 支払いの速さと局所被害の表現を同時に満たす仕組みが必要 14
背景 / まとめ 支払いも早く、ベーシスリスクも抑えられる保険を作るべき 実損に近い ( ベーシスリスク小 ) 〇 実損に見合った支払い 目指すべき領域 ✕ 支払いが遅い 一般的な保険 FASTALERT で リアルタイム処理 〇 支払いが早い 支払いが遅い 支払いが早い ✕ 実損とのずれが大きい 指標にFASTALERT を 既存パラメトリック保険 加えて実損に近づける 実損から 遠い( ベーシスリスク 大) FASTALERT を「震度だけでは見えない局所被害」を金額に反映する、二つ目の指標として活用 15
目次 02 提案内容 ✓ サービス概要 16
提案内容 / サービスの概要 震度にFASTALERT の情報を加えて補償額を決定する After :震度 + FASTALERT Before : 一般的な保険や震度のみ 一般的な保険 震度のみパラメトリック保険 ジシンプラス保険 震度 震度 FASTALERT 現地で人が査定 LLM が自動で査定 自動で査定 ベーシスリスクが大 査定に時間がかかる ! 被災直後にお金が届かな い ! 震度のみでは被害の実態 を捉えきれない 支払いの迅速化 & ベーシスリスクの低減 ✓ ・ FASTALERTの情報はリアルタイム ・現地被害情報が震度の限界を補完 支払いの迅速化とベーシスリスクの低減を両立 17
提案内容 / サービス利用の流れ 1 地震発生 2 3 4 保険会社の人が「○○地震 における <住所>への補償額 を教えてください」と LLMに 聞く LLMが震度やFASTALERTの 情報から 、 「補償額は△△ 円です 。」と出力する 被災者に△△円の補償額が 支払われる FASTALERT MCP はリアルタイムに処理できるため、地震発生から支払いまでが早い 18
提案内容 / デモ スマホでも 試せます URL https://jishinplus.pages.dev/ 19
目次 02 提案内容 ✓ 内部アルゴリズム 20
提案内容 / 機能の全体像 補償額計算と理由説明の 2機能に分かれる ① 補償額計算 震度と FASTALERT の情報から適切な補償額を 算出する ○○地震における <住所>の補償額は いくらですか? 補償額は△△円です ② 理由説明 震度と FASTALERT の情報から、なぜその補償額 になったかを説明する その補償額になった理由は何ですか? 理由は□□です 21
提案内容 / 機能の全体像 補償額計算と理由説明の 2機能に分かれる ① 補償額計算 震度と FASTALERT の情報から適切な補償額を 算出する ○○地震における <住所>の補償額は いくらですか? 補償額は△△円です 22
提案内容 / 補償額計算のフロー 計算や変換に独自MCP 、 データ 取得にFASTALERT MCP を 使用する ユーザー 1 ① 前処理 ローカル LLM 独自MCPサーバー FASTALERT MCPサーバー 「○○地震における <住所>の 補償額を教えてください」 住所 2 緯度・経度 データ取得 取得リクエスト 3 観測所ごとの 震度・ 被害投稿 緯度・経度・観測所ごとの震度 4 最寄り観測所の震度 5 所属する市区町村の被害投稿に絞る 23
提案内容 / 補償額計算のフロー 独自MCP と FASTALERT MCP を活用して、適切な補償額を出力する ユーザー ローカル LLM 補償額計算 独自MCPサーバー FASTALERT MCPサーバー 所属する市区町村の被害投稿 6 特徴量 最寄り観測所の震度・特徴量 7 事前に最適化で得ていた重みと線形結合 補償額 8 「補償額は△△円です」 LLM が金額を生成するのではなく、独自 MCP を使って再現性のある補償額計算をしている 24
提案内容 / 最適化と補償額計算のアルゴリズム 最適化は事前に行い、補償額計算は最適化で得た重みを使ってリアルタイムに行う 事前に行うこと (過去の地震を 対象に行う ) リアルタイムに行うこと 地震を再現するシミュレーターで建物ごとの損害率を算出し、 以下の式を解く 推論時は最適化された重み 𝑤0 , 𝑤1 , 𝑤𝑘 を 使って、 以下の式から補償額を計算する Minimize max 0, 𝑃𝑖 𝒘 − 𝐿𝑖 𝑃𝑖 𝒘 = 𝑖 subject to max 0, 𝐿𝑖 − 𝑃𝑖 𝒘 (今起きた地震を対象に行う) ≤ 𝑁𝐵𝑅old 1 1 + exp − 𝑤0 + 𝑤1 𝑆𝑖 + σ𝑘=2 𝑤𝑘 𝐹𝐴𝑗𝑘 補償額 = 𝑃𝑖 𝒘 × 保険金額 𝑖 変数の意味 ✓ 𝑃𝑖 𝒘 :建物 𝑖 の損害率の予測値( 𝑤0 , 𝑤1 , 𝑤𝑘 は最適化するパラメータ) 1 𝑃𝑖 𝒘 = 1 + exp − 𝑤0 + 𝑤1 𝑆𝑖 + σ𝑘=2 𝑤𝑘 𝐹𝐴𝑗𝑘 ✓ 𝐿𝑖 : シミュレーターで計算した建物 𝑖 の損害率 ✓ 𝑁𝐵𝑅old :一般的な 保険のネガティブ・ベーシスリスク(支払い不足分) ✓ 𝑆𝑖 :建物 𝑖 の震度 ※ 𝑁𝐵𝑅old の計算方法はAppendix に記載 ✓ 𝐹𝐴𝑗𝑘 : 建物 𝑖 が所属する市区町村 𝑗 における FASTALERTの特徴量( 𝑘 は特徴量ID) [1] Miki, Y., Chua, C. T., et al. ( 2025 ). A proposed approach towards minimizing basis risk in tsunami parametric insurance scheme. npj Natural Hazards, 2(1), 67 . 25
提案内容 / 最適化と補償額計算のアルゴリズム 最適化は事前に行い、補償額計算は最適化で得た重みを使ってリアルタイムに行う 事前に行うこと (過去の地震を対象に行う ) リアルタイムに 行うこと ( 今起きた 地震を 対象に行う ) 地震を再現するシミュレーターで建物ごとの損害率を算出し、 以下の式を解く 推論時は最適化された重み 𝑤0 , 𝑤1 , 𝑤𝑘 を 使って、 以下の式から補償額を計算する Minimize max 0, 𝑃𝑖 𝒘 − 𝐿𝑖 𝑃𝑖 𝒘 = 𝑖 subject to max 0, 𝐿𝑖 − 𝑃𝑖 𝒘 ≤ 𝑁𝐵𝑅old 1 1 + exp − 𝑤0 + 𝑤1 𝑆𝑖 + σ𝑘=2 𝑤𝑘 𝐹𝐴𝑗𝑘 補償額 = 𝑃𝑖 𝒘 × 保険金額 𝑖 変数の意味 支払い不足を一般的な保険以下にする [1] ✓ 𝑃𝑖 𝒘 :建物 𝑖 の損害率の予測値( 𝑤0 , 𝑤1 , という制約のもと、過払いを最小化する 𝑤𝑘 は最適化するパラメータ) ✓ 𝐿 : シミュレーターで計算した建物 𝑖 𝑃𝑖 𝒘 = 𝑖 の損害率 1 1 + exp − 𝑤0 + 𝑤1 𝑆𝑖 + σ𝑘=2 𝑤𝑘 𝐹𝐴𝑗𝑘 ✓ 𝑆𝑖 : 建物 𝑖 の震度 ✓ 𝑁𝐵𝑅old :一般的な 保険のネガティブ・ベーシスリスク(支払い不足分) 支払い不足も過払いも小さくする ※ 𝑁𝐵𝑅old の計算方法はAppendix に記載 ✓ 𝐹𝐴𝑗𝑘 : 建物 𝑖 が所属する 市区町村 𝑗 における FASTALERTの特徴量( 𝑘 は特徴量ID) [1] Miki, Y., Chua, C. T., et al. (2025). A proposed approach towards minimizing basis risk in tsunami parametric insurance s che me. npj Natural Hazards, 2(1), 67. 26
提案内容 / 最適化と補償額計算のアルゴリズム 最適化は事前に行い、補償額計算は最適化で得た重みを使ってリアルタイムに行う 事前に行うこと (過去の地震を対象に行う ) 地震を 再現するシミュレーターで 以下の式を 解く リアルタイムに行うこと 建物ごとの 損害率を 算出し 、 Minimize max 0, 𝑃𝑖 𝒘 − 𝐿𝑖 subject to max 0, 𝐿𝑖 − 𝑃𝑖 𝒘 ≤ 𝑁𝐵𝑅old 𝑖 変数の意味 推論時は最適化された重み 𝑤0 , 𝑤1 , 𝑤𝑘 を 使って、 以下の式から補償額を計算する 𝑃𝑖 𝒘 = 𝑖 (今起きた地震を対象に行う) 1 1 + exp − 𝑤0 + 𝑤1 𝑆𝑖 + σ𝑘=2 𝑤𝑘 𝐹𝐴𝑗𝑘 補償額 = 𝑃𝑖 𝒘 × 保険金額 最適化で得た重みを使って、補償額を計算 ✓ 𝑃𝑖 𝒘 :建物 𝑖 の損害率の予測値( 𝑤0 , 𝑤1 , 𝑤𝑘 は最適化するパラメータ) ✓ 𝐿𝑖 : シミュレーターで計算した建物 𝑖 の損害率 1 𝑃𝑖 𝒘 = ✓ 𝑁𝐵𝑅old :一般的な 保険のネガティブ・ベーシスリスク(支払い不足分) σ𝑘=2 𝑤𝑘 𝐹𝐴𝑗𝑘 1 + exp − 𝑤0 + 𝑤1 𝑆𝑖 + 過去の地震の傾向から、支払い不足も過払いも ✓ 𝑆𝑖 :建物 𝑖 の震度 抑えられる可能性が高い補償額を計算する ※ 𝑁𝐵𝑅old の計算方法はAppendix に記載 ✓ 𝐹𝐴𝑗𝑘 : 建物 𝑖 が所属する市区町村 𝑗 における FASTALERTの特徴量( 𝑘 は特徴量ID) [1] Miki, Y., Chua, C. T., et al. (2025). A proposed approach towards minimizing basis risk in tsunami parametric insurance s che me. npj Natural Hazards, 2(1), 67. 27
提案内容 / 機能の全体像 補償額計算と 理由説明の2機能に分かれる ② 理由説明 震度と FASTALERT の情報から 、 なぜその 補償額 になったかを 説明する その補償額になった理由は何ですか? 理由は□□です 28
提案内容 / 理由説明のフロー 独自MCP と FASTALERT MCP で得た情報から、出力した補償額になった理由を説明する ユーザー 1 ローカル LLM 独自MCPサーバー FASTALERT MCPサーバー 「その補償額になった理由を 教えてください」 取得リクエスト 理由説明 2 特徴量・重み 3 特徴量と重みから理由を整理 4 「理由は□□です」 29
目次 03 実験 30
実験 / 実験設定 能登半島地震を 再現し 、 震度のみ vs 震度+FASTALERT でベーシスリスクを ✓変数の定義 A:震度のみ 𝐿𝑖 : OpenQuake で再現した建物 𝑖の損害率(真値) 𝑆𝑖 :建物 𝑖の震度(気象庁 137 観測点の最寄り震度) 𝑃𝑖 𝑤 :建物 𝑖の損害率の予測値 𝐹𝐴𝑗𝑘 : 建物 𝑖 が所属する市区町村 𝑗のFASTALERT特徴量 𝑤0 , 𝑤1 :震度項の重み 𝑤𝑘 比較 : FASTALERT項の重み ✓データ分割 12 地域×100 棟=1200 棟を 学習840 棟/検証360 棟で分割 交差検証は学習840 棟で5分割 最適化は学習データのみ・評価は検証データのみ 𝑃𝑖 𝒘 = 1 1 + exp − 𝑤0 + 𝑤1 𝑆𝑖 + FASTALERT の検知情報 A+: 震度+FASTALERT 𝑃𝑖 𝒘 = 1 1 + exp − 𝑤0 + 𝑤1 𝑆𝑖 + σ𝑘=2 𝑤𝑘 𝐹𝐴𝑗𝑘 ・震度項 𝑤0 , 𝑤1 はAの値に固定 ・ 𝑖: 建物、 𝑗: 市区町村、 𝑘: 現象 → 改善幅=FASTALERT の寄与と断定できる 最適化と補償額計算を行い、検証データでベーシスリスクを計測する 31
実験 / 特徴量: NSI 普段と比べて、どんな被害がどれだけ投稿されているかを特徴量とする ① SNS の被害投稿を 現象別に集計 発災後72 時間の被害投稿 3,389 件を 12 地域×10 現象に振り分ける ※市区町村×現象のカテゴリは FASTALERT側で事前に付与済み 投稿 ③ Lasso が10 現象 から 5現象を選抜 ② 平常時比の𝑵𝑺𝑰に変換 𝑁𝑆𝐼 𝑁𝑜𝑟𝑚𝑎𝑙𝑖𝑧𝑒𝑑 𝑆𝑖𝑔𝑛𝑎𝑙 𝐼𝑛𝑡𝑒𝑛𝑠𝑖𝑡𝑦 とは … 変換 各現象が、その地域で平常時の何倍の勢いで 選抜 液状化 土砂災害 投稿されているか 投入 震度𝑆𝑖( 建物𝑖 ごと ) +𝑵𝑺𝑰 地域𝒋 ごと 救助要請 𝑁𝑆𝐼𝑗𝑘= 地域𝑗・ 現象𝑘の発災後72ℎの被害投稿数 (地域 𝑗の平常時の投稿数+1) 津波 地盤変状 … … 12 地域×10 現象へ振り分け ④ 支払モデルへ 𝑁𝑆𝐼𝑗𝑘を 地域𝑗・現象 𝑘ごとに算出 地域単位( 12 市区町村) 建物𝑖 ごとに 支払割合 𝑃𝑖 を 算定 採用した 𝑁𝑆𝐼𝑗𝑘を 𝐹𝐴𝑗𝑘と 表記 建物単位( 1,200 棟) 工夫1: SNS 活発度の地域差を吸収できている点 工夫2: 意味のある 現象を 統計学的に絞り 込んでいる 点 ✓ 平常時の投稿量は地域で最大73 倍差もある ✓ 分母に置いて正規化することで SNS活発度の地域差を減らす ✓ 多重共線性を 避け、 本当に意味のある 現象のみを 選んでいる ✓ 選んだ 現象も 人が選ばず、 Lasso で統計学的に選抜する ※ +1は平常時の投稿が0件の地域でも 計算できるようにする 定数. ※ 選抜されなかった 現象: 倒壊・ 停電・ 断水・ 火災・ 道路被害 32
実験 / 実験結果 未払い・過払いの両方を削減 ベーシスリスク(検証 19.38 360 棟) 震度だけでは被害を測れない地域を、補正できる 未払いの減少幅 :震度のわりに被害が重かった地域 18.71 志賀 0.76 輪島 8.20 7.76 七尾 氷見 未払い (NBR) 過払い (PBR) 震度のみ 震度+FASTALERT 0.40 0.31 0.21 過払いの減少幅 :震度のわりに被害が軽かった地域 穴水 ▲3.4% ▲5.4% ▲4.0 % 未払いの削減 過払いの削減 合計の削減 0.71 能登町 長岡 富山 0.45 0.21 0.16 33
目次 04 実現性 34
実現性 / AI活用の妥当性 AIの誤りが 人命に直結しない 領域だからこそ 、 AIを 活用できる 加えて、 LLM に任せる範囲を限定し、ローカル処理による安全性にも配慮 AI活用自体にも安全策を設ける AI活用の妥当性を判断する最重要観点 人身被害に直結しない 安全確認・救助配分の AIとは、失敗の重さが違う。 ジシンプラス保険での誤りは経済的損失にとどまる + 事後の是正が可能 追加精算・ 返金によって 修正できる 35
実現性 / 競合調査 実損適合度・支払速度・契約者負担・地震適用性の 4条件をすべて満たす点に優位性 比較軸 一般的な保険 写真査定 ( SOMPO たてもの スマート見積) 実損適合度 〇 〇 ✕ 〇 〇 〇 ✕ △ 見積書手配・立会い 写真を撮る必要あり 〇 〇 〇 〇 〇 ✕ 〇 上空からだと判断しづらい 実被害の情報から判断 支払速度 査定に時間がかかる 契約者負担 地震への適用性 注: 実損適合度は個別の現地査定と同水準を主張するものではなく 震度連動パラメトリック 保険( EQuick ) 衛星活用型査定 (東京海上 ×ICEYE ) △ 〇 震度だけで把握できない 、震度単独と比較した相対的な改善を指す。 ジシンプラス保険 〇 FASTALERTの情報で補完 〇 自動査定で速い 〇 必要な行動なし 36
実現性 / 保険料 保険料は補償額の期待値とリスクマージン・ 経費で決定する 地域によってリスクが 異なるため 、 補償額の期待値は都道府県ごとに 変わるように 設計 保険料の構成 補償額の期待値 + リスクマージン 保険料 = 1 − 経費率 福島県: 2710 円 ※リスクマージンや経費率は保険業界の水準を参考に決定 高知県: 8900 円 補償額の期待値の決め方 補償額の期待値 𝑞 = 都道府県𝑞で震度𝑘が起きる確率 × 震度𝑘が起きたときの平均 補償額 𝑘 都道府県𝑞で震度𝑘が起きる 確率 震度𝑘が起きたときの平均補償額 J-SHIS APIで任意の地域のリスクを取得可能。 都道府県の代表点で取得 補償額の予測値 (𝑃𝑖 𝒘 × 保険金額)を実験で 使用した 12 地域の建物分集約し、震度ごとに 平均値を計算する 東京都: 9054 円 大阪府: 3200 円 ※保険金額100 万円の場合の年間保険料 地域ごとに保険料を変えることでリスクの低い地域の人も加入しやすくなり、保険として成立しやすい 37
実現性 / 収益シミュレーション 3年目に単年黒字化、 5年間の累計CF+2.4 億円を実現する 保険金額 個人は上限100 万円、法人は上限 1000 万円で設定 個人96% :法人 4% 契約構成 都道府県ごとの 契約数と 保険料、 補償額の期待値を 用いて 算出 保険料収入・ 保険金支払 項目(万円) 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 契約件数(件) 15,660 39,150 84,600 151,950 228,750 利益(棒)と累計 CF( 折れ線)の推移 利益 保険料収入 9,852 24,634 53,233 95,612 143,937 30,000 保険金支払 5,337 13,344 28,835 51,790 77,966 25,000 再保険コスト 493 1,232 2,662 4,781 7,197 累計CF 24,819 20,000 15,000 780 700 870 1,150 1,280 10,000 初期開発費 3,000 500 0 0 0 5,000 営業・マーケ費 1,741 3,604 7,207 12,547 18,636 技術費( MCP ・ LLM ) 単位:万円 4,661 0 ▲5,000 固定費(人件費ほか) 5,500 7,500 10,500 14,600 18,700 利益 ▲ 6,998 ▲ 2,245 3,159 10,744 20,158 累計CF ▲ 6,998 ▲ 9,243 ▲ 6,084 4,661 24,819 前提 ・契約:初年度 15, 66 0件(個人 15,0 34 +法人626 ) → 5年目228 , 75 0件 ・期待保険金額:個人 700 , 000 円(上限 100 万) / 法人7,00 0,000 円/年(上限 1,000 万) ・都道府県ごとの契約数:世帯数と地震保険加入率から各都道府県に割り振り ・営業・マーケ費=保険料収入× 12.6% (代理店手数料)+固定マーケ費 ・その他:再保険は保険料収入の 5% 、リスクマージンは補償額の期待値の 20% 、経費率は 20% ▲10,000 ▲6,998 ▲15,000 1年目 ▲6,084 ▲9,243 2年目 3年目 4年目 5年目 単年黒字化 累計CFプラス転化 5年累計CF 3年目〜 4年目 +2.4 億円 38
実現性 / ロードマップ 本提案から、リアルタイム自動査定を世界標準へ 地震保険での実証からスタートし 、 対象災害と 提供地域を 段階的に拡大。 リアルタイム 自動査定を 業界標準へ育てる 。 ねらい いきなり広げず、地震保険だけで“計算式の STEP 3 正しさ”を証明することが最初の関門。 STEP 2 STEP 1 定着期 自動査定を世界標準に 拡大期 対象と導入先を一気に広げる 準備期 仕組みが機能するかを検証 • • • • • 地震保険にしぼって開始 震度×FASTALERTで自動算出 実被害とのズレを検証 算出式を多変数化 複数事例で重みを学習 • • • • • 台風・水害へ拡大 国内の保険会社へ導入 支払データで精度向上 市区町村単位へ細分化 複数シナリオを連続最適化 • • • • リアルタイム自動支払い 衛星・ SNSデータを統合 海外へ展開し標準化 最適化を継続改善 ゴール 人手ゼロで即時支払い。国内で確立した標準 ● 事業展開 ● モデル 高度化 を、そのまま世界へ広げる。 39
目次 05 まとめ 40
まとめ 背景 提案内容 1 早期の資金需要 2 既存の仕組みの限界 一般的な保険 (現地調査あり) パラメトリック 保険 ( 震度のみ) 震度に加えて、 FASTALERT のリアルタイム 被害情報で 補償額を計算する保険 ジシンプラス保険 被災後すぐに まとまったお金が必要 3 目指す姿 支払いが遅い ベーシスリスクが 大きい 震度 FASTALERT 実損に近い( ベーシスリスク 小) 目指すべき 領域 LLM が自動で査定 一般的な保険 支払いが早い 支払いが遅い 支払いの迅速化 & ベーシスリスクの低減 ✓ ・ FASTALERTの情報はリアルタイム ・現地被害情報が震度の限界を補完 既存パラメトリック保険 実損から遠い( ベーシスリスク 大) 41
ご 清聴ありがとうございました Thank You for Your Attention 42
Appendix 43
Appendix / FASTALERT 特徴量の操作可能性 不正投稿による補償額の操作は、 3層のフィルタリングにより抑制可能 加入者がSNS に虚偽の被害投稿をしても、 FASTALERT側の精査・情報の選別・投稿者の偏り除去の FASTALERT 側でのデマ排除 3段階で影響を抑えられる is_hot の情報だけを 使用 同一ユーザーの偏りを除去 ✓AIによる自動分類 ✓重要度の高い情報のみ採用 ✓N回以上の投稿者を除外 自然言語処理AIが投稿を「リスク情報か 否か」で自動判定。位置情報の正確性も AIが評価する。 FASTALERTが付与する is_hot ラベルの情 報だけで特徴量を計算することで、信頼 性の高い情報だけを使用できる。 FASTALERT APIではユーザー名を取得で きるため、 N回以上投稿しているユー ザーのツイートを除外する処理で対応で きる。 リアルタイム運用時に適用し、信頼性の低 い情報を排除する。 現状のFASTALERT MCPでは取得不可。 ✓専門スタッフによる人力精査 AIが拾った情報を専門スタッフが裏取り し、報道機関品質の精度を担保する 。 正確性、 迅速性、 情報の網羅性で高い評価 を 得ている 。 完全な防止は困難だが、 多層的な対策により 操作の影響を 限定できる 44
Appendix / 震度ごとの補償額の割合比較 震度5強以外でも大きな差がある 建物支払い率 の割合の差 約197 倍 約17 倍 約17 倍 約3倍 約2倍 45
Appendix / 一般的な保険のネガティブ・ベーシスリスクの計算方法 論文[1] と同じように免責( 10% )、補償上限 50% からモデル化 𝑁𝐵𝑅old = max 0, 𝐿𝑖 − max 0, min 𝐿𝑖 − 0.1,0.5 𝑖 ✓損害率 𝐿𝑖 ≤ 0.1( 10 % 以下) のとき : 支払率は 0% ✓損害率 0.1 < 𝐿𝑖 ≤ 0.6のとき : 支払率は 𝐿𝑖 − 0.1 ✓損害率 𝐿𝑖 > 0.6( 60 % 超) のとき : 支払率は一律 0.5( 50 % ) [1] Miki, Y., Chua, C. T., et al. (2025). A proposed approach towards minimizing basis risk in tsunami parametric insurance s che me. npj Natural Hazards, 2(1), 67. 46
Appendix / 多重共線性の検証 多重共線性を 3つの観点で確認し、結論への影響がないことを確かめた 観点① 変数ごとの相関係数 観点② 液状 土砂 救助 津波 地盤 1.00 -0.51 -0.13 0.20 -0.58 土砂 -0.51 1.00 0.87 0.35 0.31 液状 救助 -0.13 0.87 1.00 0.52 0.06 津波 0.35 0.52 1.00 -0.36 0.20 地盤 -0.58 0.31 0.06 -0.36 1.00 注1: 0.58 以上で5% 有意。網掛けの 2組のみ意味を持つ 注2:地盤×液状は観測が 2地域のみで、参考値とする 相関係数( Spearman )の定義 2 6 σ 𝑑𝑖 相関係数 = 1 − 𝑛(𝑛2 − 1) ✓ 𝑑𝑖 :地域 𝑖における 2変数の順位の差 ✓ 𝑛:地域数 有意な相関は、土砂×救助のみ 各変数のVIF 変数 震度S 液状化 土砂災害 救助要請 津波 地盤変状 観点③ VIF 4.80 1.66 変数 選ばれた回数 救助要請 12 津波 12 地盤変状 12 5.90 液状化 11 3.07 2.85 1.79 土砂災害 11 (参考)火災 2 (参考 )道路被害 1 その他3現象 0 VIF の定義 𝑉𝐼𝐹𝑗 = Lasso 選択の安定性 1 1 − 𝑅𝑗 2 ✓ 𝑅𝑗 2 : 変数𝑗を 残りの 変数で回帰した 時の決定係数 ✓ 12 地域から 1地域を除く ✓ 本実験と同一の Lasso ( positive ・ 交差検証)を ゼロから再実行 ✓ 選ばれた変数を記録し、全地域について 12 回繰 り返す ✓ 10 超で深刻な共線性の目安 ✓ 学習データで 算出 VIF>10 の変数がなく、深刻な共線性なし 5変数とも 11 回以上選ばれ、 特定地域・偶然に依存しない特徴量選定 相関の影響が及ぶのは個々の係数を解釈する場合のみ で、 特徴量の選抜/予測/改善幅の評価には影響しない 47
Appendix / 実験結果の妥当性 見かけ上の過払いの大改善を排除し、 FASTALERT の純寄与のみを採用 ✓自由に学習させると過払いを 67% 減らせる 3つのモデルの比較(検証全体) 19.38 8.20 震度の重み𝑤1 も動かして最適化すると 過払いは 8.20 → 2.71 まで減る 19.65 18.71 ✓しかし震度 の重み𝑤1 が 2.00 → 0.29 に低下 7.76 2.71 A A+ frozen A+ 自由 震度のみ 【 採用】 【 不採用】 未払い 過払い 揺れの強弱で支払額がほぼ変わらず 、 実質「地域ごとの定額払い」になる = 揺れに応じて払う契約が崩れる ✓対策:震度 の重みを固定して学習 震度の重みを固定した時の 4% の改善を 、 FASTALERTの成果として採用 震度の重み 𝑤1 派手な数字より、帰属が清潔な数字を採る 2.00 2.00 0.29 成果は FASTALERT で説明できる分だけ 48