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March 22, 22
スライド概要
進捗についての考え方と実践方法を以下の観点でまとめました。
・自分が主導権を握る
・現実を見て計画する
・タスクをさばく
・読む・伝える・考える時間を最適化する
1日8時間足らずでだいたい 年18本企画して10冊つくる 進捗のしくみ 傳 智之(でん ともゆき) @オンライン
■こんな人です ・2002年4月から書籍編集(19年半) ・およそ年16~20本新規企画/9~11冊刊行 ・編集プロダクションさんほかヘルプ依頼はほ ぼなし(ライティング依頼はまだ数件) ・プライベート:子ども2人 =残業・休出しにくい
■案件を見える化すると (年間での数字) ・担当→28~32 (集中するのは2~6) ・伴走(おもに引き継いでもらったもの)→10 ・企画中(大枠は見えている)→10 ・アイデア(著者の方と話はしてる)→40 ・思いつき→無数 →イメージほどは大変ではない
■量をこなせばいいわけではない、 けれど ・量に埋もれてしまうと質を担保できない ・量がないと成果が出せない場合はある (試行錯誤、ムダかもしれない試みをあきらめ ない)
■進捗の4つのコツ (ダイジェスト) ・自分が主導権を握る ・現実を見て計画する ・タスクをさばく ・読む・伝える・考える時間を最適化する
■自分が主導権を握る □現実を見て計画する □タスクをさばく □読む・伝える・考える時間を最適化する
■自己決定感・自己最適化が大事 ・自分で決める ・自分に合った仕組みをつくる 人の意見ややり方に学びつつ、鵜呑みにしない
■どこでも同じ環境で仕事する ・ノートパソコン+スマホ →デスクトップは使わない →クラムシェルにもしない ・アナログ媒体(手帳やノート)は使わない ・タスク管理ツールは使わない
■4つのファイル+メールで 現在・未来・過去の仕事をまとめる ・タスクリスト→テキストファイル https://www.dropbox.com/s/4qgzsy3wsznv847/tasklist_sample.txt?dl=0 ・プロジェクト一覧(進捗報告リスト)→Excel https://www.dropbox.com/s/nrlumf8srpcx7za/project_sample.xlsx?dl=0 ・アーカイブ(消化したタスクの記録)→Excel ・企画→テキストファイル ・メール→Gmail
■タスクリストがすべてのよりどころ (あとは補完の位置づけ) ・一度に達成できない目標に足場をつくる ・タスクとスケジュールをテキストファイルで 一元管理 →「ここだけ見ればいい」ようにする ・DropboxでスマホでもPCでも更新できるよう にする
■「自分から見にいく」 主体性をつくる(たとえ幻想でも) ・通知はすべてオフに ・リマインダーは使わない →タスクリストを随時見て対応 (こまめにタスクリストを見る習慣をつくる)
□自分が主導権を握る ■現実を見て計画する □タスクをさばく □読む・伝える・考える時間を最適化する
■理想を前提にしない ・相手の時間が問題なく空いている ・手戻り、すり合わせなど発生しない、一発OK ・パフォーマンスが常に最大を持続できる ・割り込みがない ・残業でカバー →そんなうまい話はほとんどない
■時間の使い方をざっくり洗い出す 時間配分シミュレーションシート(Excel) ★参加者の方のみ ※会議・社内勉強会、相談・アドバイス、企画、 原稿対応、デザイン・イラスト、事務、ルー チン、投資、バッファの9つにざっくり分類
■分類①会議・社内勉強会 ・定例の集まりでは、ホウレンソウの「相談」 にあたる内容、創発的なことに注力したい (報告・連絡は非同期のやりとりで十分なこと が多い) ・全体の5%以下に抑えたい
■分類②相談・アドバイス ・即対応する(社外>社内>自分) ・同行はオンライン同席になりつつある ・「読む」「考える」ためにかかる時間と比例 して増える (速ければ全体に占める時間は少なくてもなん とかなる)
■分類③企画 ・「目的ない情報収集」「目的ある情報収集」 両方必要 ・打ち合わせは選別しつつ時間を削りすぎない ・企画書は目次作成と類書調査に時間がかかる ・タイトル・コピーの検討を短くできるか ・全体の25%は確保したい
■分類④原稿対応 ・原稿の質と量によって時間の増減が大きい →自分なりの標準を想定して振れ幅を考える ・フィードバックを早く (■読む・伝える・考える時間を最適化する) ・索引の有無とこだわり具合で時間が変わる ・企画書は目次作成と類書調査に時間がかかる
■分類⑤デザイン・イラスト ・人選に時間がかかる(自分の場合) →短縮できるけど時間は削らない ・資料の整理は思考の整理 ・想像を超えるために打ち合わせする (POPなど既存デザインから派生させる場合は 大丈夫かもしれない)
■分類⑥事務 ・できればゼロにしたい (という意味で「⑦ルーチン」と別カウント) ・唯一、増刷はうれしいが、対応には時間が必 要(確認だけ、修正なしでも)
■分類⑦ルーチン ・メール・メッセージ対応は時間がかかる ・タスク整理(リバランスとアーカイブ)で現 在地と見通しを確認しつつ、達成感を得る ・既刊の動向チェックを予定に組み込む
■分類⑧投資 ・SNSは見返りを求めないで時間を計上する ・過去の整理、未来の検討に時間を使う ・成果が見えないことに時間を使える余地を残 しておく
■分類⑨バッファ ・働く時間すべてを思いどおりにはできない ・休憩を計画に織り込む ・割り込みやタスクの切り替えでパフォーマン スが下がることを前提に ・ぼーっとしてしまう時間が生まれるのが現実
■目標から逆算して考える 年A本企画を通す →月B本企画を通す(A/12に休みも考慮) →月B本を通すには、C本の仕掛りが必要 (B*1.5~4、遅延+却下の可能性もふまえて) →C本の仕掛りを持つには、D時間の行動が必要 →D時間を確保するには、ほかをE時間に収める
■弱さを見積もりに織り込む (にんげんだもの) ・実力の50%で見積もる →そのうえで必死に全力を出す ・正確さにこだわりすぎない (不便がなければいい) ・後回しになりがちな予定は先に入れる (会う・聴く予定は特に)
■ゆとりをつくる ・「1日3時間しか仕事ができない」と考える ・スケジュールを埋めない (2つの意味で「仕事量に酔わない」) ・入稿は締切の2週間前を目標に (それでも余裕があるとは限らない)
■家庭の時間を確保する ・夜の予定を入れるのは週2日までとする ※現状はオンラインで月1~2回あるかどうか ・土・日・祝日は家庭を最優先する ※予定を入れるときは前びろに相談 ・金曜夜に予定を入れるのは月2日までとする ・夜のバッファ日を月2日は作っておく
■自分の時間を確保する ・仕事と直結しない夜の予定を月1日は入れる ・自分1人の予定を月1日は入れる (イベントの予定の後など、ほかの予定と組み 合わせるのが基本)
■「残業は悪」ではない ・「残業が前提」「残業が常態化」が問題 ・自分で時間を動かせないこともある (イベントなど) ・ロスタイムとして通勤時間を使うかどうか ・残業した分、ほかでつじつまを合わせる
□自分が主導権を握る □現実を見て計画する ■タスクをさばく □読む・伝える・考える時間を最適化する
■着手は進捗の母 ・できるだけその場で判断・お返事する →「1分以内に対応できるか?」が目安 ・勢いがついた仕事は予定を無視して進める (締め切り間近のタスクがない場合) ・やる気がないから手がつかない →手をつけるからやる気が出る
■タスク/スケジュールを洗い出す ・1分以上かかるものはタスクリストに ・時間をざっくり記しておく (厳密にすると息苦しくなるのでほどほどに) ・自分や同僚の休暇もタスクリストに ・タイミングがわからなければタスクリストに 入れるのをなるべく先送りする
■タスクリストの上からガシガシやる ・1タスク=15分を目安に分割する (最大でも1時間以内で終わるように) ・優先度が高いタスクを上のほうにもってくる ・タスクの順番は変更してもいい
■リズムと達成感をつくる ・タスクを消化したら2~3個おきにアーカイブ にまわす ・割り込み(急な依頼)もタスクリストに記録 する ・集中していてもあえて区切りをつける (ツァイガルニク効果)
■「待つ」タスクを可視化する ・「やれてないタスク」と「待っているタス ク」をGmailのスーパースター2段階で管理 - やれてない → 1タップ★ - 待っている → 2タップ★ ・進捗確認をタスクリストに載せる (進捗確認をする曜日を決めてしまう)
■「マルチタスクは生産性が下がる」 それで? ・生きてるだけでマルチタスク(重田玲さん) →慣れるしかない面も ・高度に発達したシングルタスクはマルチタス クと見分けがつかない ・生産性の上限を上げて、多少下がっても問題 ないレベルに底上げする
■「究極の1分間」を どれだけつくれるか ・初見が最高の成果を出せるチャンス (神の雫メソッド) ・ボールを手放すために最低限必要なフィード バックは60点でも成立する
■EADS(イーズ)の法則で 効率化を考える E=Eliminate(除去する) A=Automate(自動化する) D=Delegate(任せる) S=Simplify(面倒を減らす) 上から順に検討する 【参考】ECRSの法則
■ルーチンワークは レシピとしてまとめておく ・毎回思い出す負荷を減らす ・タスクリストに載せずに済ませる ・プライベートのタスクも一覧に 【例】朝レシピ/夜レシピ ★参加者の方のみ
□自分が主導権を握る □現実を見て計画する □タスクをさばく ■読む・伝える・考える時間を最適化する
■つい時間を使ってしまうタスク ・集中しやすい ・モヤモヤしやすい 「人と会う・話す」は投資の感覚で、最適化を 追求しない
■読みの精度を使い分ける ・ざっくり見る (文字の引力を逃れて直観する) ・ペンキを塗るように読む (全体の構造・流れを捉える) ・噛みしめるように読む (細部まで見極める)
■フィードバックは 大きなものほどなるべく早く ①根本的な内容や書き方の 見直し ②加筆 ③削除 ④構成の変更(章、節、項 レベル)/階層の整理 ⑤文章の位置の変更 ⑥言い回しの変更(見出し のコピーも含む) ⑦表記の変更(統一)/要 素記号の付加 ⑧誤植の修正
■伝える基本をサボらない ・着手できなくても受領の連絡はすぐに ・箇条書きで抽象化して整理する ・違和感をスルーせず確認する (悪い予感はだいたい当たる) ・「できません」を伝える https://www.dropbox.com/s/6y5jz16umkgr4wh/den_workstyle.txt?dl=0
■考える時間の尊さを疑う ・「考えているようで、じつはなんにも考えて いない」時間になってないか? ・アイデアを思いつくのは気持ちいい、けれど ・「悩んでいる」「不安になっている」と「考 えている」は違う ・思考を言語化する(文字に落とす)
■考えなくてすむ状況をつくる ・案件を増やしてラクになる (どこかで辻褄を合うようにする、一石二鳥を 狙う、 気分転換を仕組み化する) ・テーマでなく著者で企画する (差別化を考える手間を省く) ・偶然を味方につける
□ □ □ □ ■おわりに
■自分で決めると楽しい、 楽しいから進捗する ・「価値のある仕事を作る」「価値のない(少 ない)仕事をしない」ことは大事 ・でも無駄かもしれないこと、失敗するかもし れないけどおもしろそうなことをやらないの も楽しくない ・進捗と向き合うことは、自分を知ること
■仕事が好きだからこそ、 働く時間を少なくする ・ハードワークしたい人を否定してはいけない、 本当の意味でのハードワークへ ・気づかないうちにパフォーマンスは下がる ・時間の制約がある状態を体感したうえで他人 に思いを馳せる ・残業自慢で新しい人を遠ざけない
□ □ □ □ □ ■参考資料
■おすすめ書籍9選 ●なぜ、仕事が予定どおりに 終わらないのか? ●「やること地獄」を終わらせる タスク管理「超」入門 http://gihyo.jp/book/2014/978-4-7741-6356-7 https://www.seikaisha.co.jp/information/2019/02/08-post-task.html ●神・時間術 ●仕事を高速化する 「時間割」の作り方 https://www.daiwashobo.co.jp/book/b280522.html ●やめる時間術 https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-33954-2 ●仕事が速い人は、「これ」しかや らない https://presidentstore.jp/category/BOOKS/002252.html ●マンガでよくわかる 自分を操る超集中力 https://kanki-pub.co.jp/pub/book/details/9784761273101 https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84667-5 ●ストレスフリーの仕事術 ●どこでも成果を出す技術 https://gihyo.jp/book/2022/978-4-297-12533-2 https://www.futami.co.jp/book/index.php?isbn=9784576060736
■#進捗鬼十則(cf.電通鬼十則) ①進捗は自ら創るべきで、催促されるべきでな い。 ⑦計画を持て、計画を持っていれば、忍耐と工 夫と、そして正しい先送りと余裕が生まれる。 ②進捗とは、先手先手と手を動かしていくこと で、受け身でやらされるものではない。 ⑧いつまでにやるか言え、言えないから君の進 捗には、迫力も粘りも、そして厚味すらがな い。 ③厳しい納期と取り組め、甘い納期はおのれを 小さくする。 ④難しいタスクを狙え、そしてこれを成し遂げ るところに進歩がある。 ⑤取り組んだらやめるな、割り込まれてもやめ るな、進捗完遂までは……。 ⑥誘惑を引きずり回せ、引きずるのと引きずら れるのとでは、永い間に天地のひらきができ る。 ⑨つぶやきは常に全回転、八方に気を配って、 一分の遅れも見逃してはならぬ、進捗ポエム とはそのようなものだ。 ⑩完璧主義を怖れるな、完璧主義は進歩の母、 積極の肥料だ、でないと君の仕事は品質不足 になる。
■大量の仕事を捌く力をつける 練習法(未完)① ●主導権を握る練習 ・不自由(制約)を自分でつくる ・ボールを手放せるフィードバックを考える ・コミュニケーションの方針やツールを自分で 決める
■大量の仕事を捌く力をつける 練習法(未完)② ●タスク整理の練習 ・記録をとる ・考えを頭の外に出す ・考えなくてすむ状況をつくる ・仕事を捨てる ・待ちリストをつくる
■大量の仕事を捌く力をつける 練習法(未完)③ ●時間使いの練習 ・時間配分を見える化する ・「読む」「考える」「探す」時間を減らす (同じ成果を短い時間で得ることを狙う) ・「会う」「聞く」「伝える」時間を増やす (不確実性に向き合う)
■大量の仕事を捌く力をつける 練習法(未完)④ ●集中する/集中を切る練習 ・時間がきたら不完全でも判断を下す ・時間がきたら一瞬でやめる/集中する ・今しなくていいことを我慢しないかわりに、 やるべきことを3倍のスピードでやる ・リアルタイムで全文書き起こしに挑む
■大量の仕事を捌く力をつける 練習法(未完)⑤ ●任せる練習 ・2回目(改訂など)以降はだれかに頼む ・完成形が見えるもの・成果が出る確率が高そ うなものはだれかに頼む ・マニュアルをつくる ・任せて失敗したときの対応を考える
■大量の仕事を捌く力をつける 練習法(未完)⑥ ●目先の効率から逃れる練習 ・すぐ対応できそうなことでも勤務日(時間) 以外は対応しない(認知してしまった気持ち 悪さとあえて共存してみる) ・経験のないことに手を出してみる
■大量の仕事を捌く力をつける 練習法(未完)⑦ ●その他 ・プロレスに学ぶ(編集はプロレス) ・瀕死になる ※非推奨 ・ポエムを吟じる