-- Views
May 13, 26
スライド概要
令和8年度診療報酬改定で見直される特別地域訪問看護加算をスライドで解説。「片道移動時間」のみの現行評価から「移動+訪問の合計時間」へ。新設区分ロの算定要件、シミュレーション、関連5項目への横断適用まで網羅し、過疎地域等の訪問看護提供体制への影響を整理しました。
▼ メルマガ記事(テキスト版)はこちら
令和8年度改定:特別地域訪問看護加算が「合計時間」でも算定可能に
https://www.daitoku0110.news/p/special-area-nursing-revision
▼ チャットでの質問はこちら
https://notebooklm.google.com/notebook/1bd3cbae-fc14-4693-9211-434093979c81
病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用
令和8年度改定 令和8年度改定:特別地域訪問看護加算の要件見直し 「片道移動時間」から「合計時間」へ — 過疎地域等における訪問看護提供体制の再構築 — 本資料の要旨 【課題】長時間の移動・訪問を伴う非効率な地方医療が、片道1時間未満のケースで評価外となっていた。 【解決】令和8年度より「移動30分以上かつ合計2時間30分以上」を評価する新区分(区分口)が創設。 【影響】訪問看護基本療養費など関5項目へ横断的に適用され、地方の療養継続を強力に下支えする。
長時間訪問が評価されない現行制度の構造的課題 日本訪問看護財団の報告による、過疎地域での典型的な非効率事例(午前中の訪問が1件のみとなるケース) 片道移動50分 訪問看護提供120分 復路移動50分 利用者1人に約4時間(240分)を消費 現行ルールの壁 片道移動「1時間以上」の要件を満たさないため、加算対象外。多大な時間投資に対する評価がゼロ。
「特別地域」の定義と、現行要件による普及の停滞 過疎地域 離島振興対策実施地域 奄美群島 対象となる特別地域 振興山村 小笠原諸島 沖縄の離島 1.5% 特別地域に所在する訪問看護ステーションの全ステーションに対する割合。 426人 600人 令和3年 令和7年 算定者数は微増に留まり、利用者全体に占める算定割合は横ばいで推移。現在の「片道移動時間のみ」の評価軸では、対象地域でのサービス拡充インセンティブとして機能していない。
評価軸のパラダイムシフト:「片道」から「総負担」へ 現行の評価軸 片道移動時間 移動距離(時間)のみを唯一の評価基準とする単一的な構造。 令和8年度改定の評価軸 片道移動時間 + 移動+訪問の合計時間 遠方への移動負担に加え、訪問全体の時間的拘束を統合的に評価。 政策目的:住み慣れた地域での療養継続を支える体制確保
新体系の全容:統合された「区分イ」と新設の「区分口」 区分 拠点 訪問先 移動時間要件 合計時間要件 加算率 現行 -- -- 片道1時間以上 なし 100分の50 区分イ 現行要件を整理・統合 特別地域内or外 特別地域内 片道1時間以上 なし 100分の50 区分口【新設】 特別地域内 特別地域内 片道30分以上 往復移動+訪問合計2時間30分以上 100分の50 区分口の創設により、片道1時間に満たない移動であっても、総拘束時間が長い訪問(実態としての長時間負担)が新たに加算対象として救済される。
「区分口」算定のシミュレーション 移動 片道30分以上 + 訪問看護実施 = 往復移動+訪問 合計2時間30分(150分)以上 = 加算率 100分の50 ケースA 片道20分+訪問110分+復路20分 = 合計150分 × 算定不可(移動時間が30分未満のため) ケースB 片道35分+訪問60分+復路35分 = 合計130分 片道35分+訪問60分+復路35分 × 算定不可(合計時間が150分未満のため) ケースC 片道35分+訪問90分+復路35分 = 合計160分 片道35分+訪問90分+復路35分 √ 算定可能(移動30分以上、かつ合計150分以上を満たす)
関連5項目への横断的適用による制度の整合性確保 提供主体や対象患者による算定の不整合を防ぐため、関連する全項目に同一の要件改定を適用。 「合計時間」を評価する新しい特別地域要件 訪問看護基本療養費 在宅患者訪問看護・指導料 同一建物居住者訪問看護・指導料 精神科訪問看護・指導料 精神科訪問看護基本療養費 評価項目間の整合性を完全保持
総括:過疎地域等の訪問看護提供体制を下支えする新評価 課題の解消 片道移動時間のみの硬直的な評価軸から脱却。 「非効率だが不可欠な長時間ケア」が正当に評価される構造へ進化。 現場への影響 区分イ・口の2本立てにより、従来の対象ステーションの権利を保護しつつ、これまで算定漏れとなっていた「域内・中距離・長時間」の訪問を新たに救済。 地域医療の維持 関連5項目への横断適用により、対象疾患や施設形態を問わず、住み慣れた地域での療養継続という国策を強力に推進する。 「合計時間」の導入は、単なる要件緩和ではなく、日本の過疎地域医療のセーフティネットを再構築するための重要な布石である。