【中医協第654回】半月板の再生医療等製品「セイビスカス注」の保険上の取扱いを解説

-- Views

October 30, 26

スライド概要

令和8年8月5日の中医協総会(第654回)で示された、再生医療等製品「セイビスカス注」を医療機器の例で扱う案を解説します。判断理由となった作用原理と使用方法、製品の構成と使い方、第Ⅲ相試験の成績をスライドで整理しました。

▼ メルマガ記事(テキスト版)はこちら
半月板再生の「セイビスカス注」は医療機器の例で扱う案|中医協654回
https://www.daitoku0110.news/p/meniscus-stem-cell-device-coverage

profile-image

病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

(ダウンロード不可)

関連スライド

各ページのテキスト
1.

半月板再生医療等製品「セイビスカス注」の保険上の取扱い 中医協総会(第654回)における医療機器としての評価と今後の展望 令和8年8月5日 中央社会保険医療協議会

2.

セイビスカス注は「医療機器の例」として材料価格基準への収載を目指す 結論 再生医療等製品「セイビスカス注」の保険適用により対応する案が了承された。 理由 作用原理が「細胞による組織修復」であること、および「関節鏡下での直接塗布」という手術手技を伴うことの2点が決定打となった。 次ステップ 今後、保険医療材料等専門組織が償還価格を検討し、中医協総会にて材料価格基準への収載が審議される。

3.

再生医療等製品の価格評価は製品特性と薬事承認に基づき2つの経路へ分岐する 再生医療等製品 医薬品の例 評価機関:薬価算定組織 薬価基準への収載 医療機器の例 評価機関:保険医療材料等専門組織 材料価格基準への収載 制度の前提ルール:平成26年および令和8年のルールに基づき、当面の間は個別の製品特性と薬事承認結果(条件及び期限付き承認を含む)を踏まえ、どちらの例で扱うかを都度判断する仕組みとなっている。

4.

「組織修復」のメカニズムと「関節鏡下手術」の併用が分類の決定要因 判断理由1:作用原理 主構成体である幹細胞による「組織修復」。薬理学的な作用ではなく、細胞物理的な接着と再生を原理とする。 判断理由2:使用方法 関節鏡下で半月板の損傷部に直接塗布する「手術手技」を必ず伴う。この物理的アプローチが医療機器の性質と合致する。 結論:医療機器の例に該当

5.

幹細胞による「再生」と滑膜組織の「誘導」が半月板の癒合を促進する Step 1: 再生 セイビスカス注の細胞が損傷部と周囲の滑膜組織に接着。軟骨細胞へ分化し、軟骨基質を産生することで損傷部を直接癒合させる。 Step 2: 誘導 損傷部に滑膜組織を誘導。体内にもともと存在する滑膜由来の幹細胞の供給を増幅させることで、自己の力による再生をさらに促進する。

6.

自己幹細胞と専用輸送キットで構成される製品アーキテクチャ 基本情報 販売名: セイビスカス注 承認日: 令和8年5月8日 (新再生医療等製品) 一般的な名称: ヒト (自己) 滑膜由来間葉系幹細胞 効能: 半月板切除術が適応となる半月板損傷 製造販売業者: 富士フイルム富山化学株式会社 主構成体 細胞懸濁液 (患者自身の滑膜から採取・培養した間葉系幹細胞) 副構成体 ・滑膜組織運搬セット ・血液採取キット

7.

医療機関と製造施設を厳密な温度管理で結ぶ4段階の運用サイクル 1. 全血の採取と輸送 1~20℃で保存・輸送 2. 滑膜の採取と輸送 10~22℃で保存・輸送 3. 前処置 投与直前までに半月板の損傷部を形成的に修復(縫合)する。 4. 受入れと投与 -80℃以下で保存 投与直前に融解し、関節鏡下で1.5×10^7~9.0×10^7個を投与。

8.

第III相試験 (JP301) において膝機能スコアは事前設定の閾値を大幅に超過 Lysholm score (膝の機能スコア) 変化量 (フラップ断裂患者15例, 52週時) 53.5点 閾値 (22点) 95%信頼区間: 48.7~58.2点 信頼区間の下限値(48.7点)が、既存治療の報告から設定された閾値(22点)を明確に上回った。 副次評価: KOOS (膝関節機能) および NRS (疼痛) においても、患者自身が評価するすべてのサブスケールにおいて改善を確認。

9.

血流のない領域での完全癒合率と、製品由来の重大な有害事象ゼロを達成 半月板構造の癒合 44.4% (8/18例) 投与後52週時、血流がなく自然治癒が期待できない半月板中央部において、全体で44.4%、フラップ断裂例で35.7%の完全癒合が認められた。 安全性 0 ・治験製品と因果関係のある有害事象ゼロ。 ・2年間の観察期間中、半月板病変に対する再手術ゼロ。 ※処置 (手術自体) による疼痛は85.0% (17/20名) で発生。

10.

承認条件として「全症例調査」と「厳格な適正使用措置」が義務付けられる 全症例調査 一定数の症例データが集積されるまで、使用されるすべての症例を対象とした使用成績調査の実施が必須。 適正使用措置 関連学会の協力のもと作成された適正使用指針を周知。講習等を実施し、十分な知識・経験を持つ医師が、体制の整った医療機関でのみ使用できる仕組みを構築する。

11.

医療機器スキームでの評価が確定。今後の焦点は償還価格の決定へ移行する 完了 薬事承認 (令和8年5月8日) - 新再生医療等製品としての有効性・安全性確認 今回 中医協判断 (第654回) - 「医療機器の例」としての取り扱い方針了承 次ステップ: 価格算定と収載 保険医療材料等専門組織が償還価格の検討を行い、最終的に中医協にて材料価格基準への収載が審議される。関係者はこの価格評価のプロセスと結果を注視する必要がある。